グランプリ レポート/第4期麻雀グランプリMAXベスト8レポート 藤崎智
2014年03月28日
第4期麻雀グランプリMAXのベスト8A卓。
つまりわかり易く言うとあと1回勝てば決勝戦の舞台に立てるという事である。
「ベスト8」聞こえはカッコ良く聞こえる。このタイトル戦は出場する事すら難しい。
ベスト8まで勝ち上がるとなれば、かなりの名誉なはずである。
しかし、麻雀のプロの世界では何の意味もなさない。
ましてや本人達にとっては何の財産にもならないものなのである。
名誉になるのは優勝者のみ。たとえ敗れたとしても、本人の財産として残るのは決勝進出者のみである。
ここは、対局者4人にとって、絶対に負けられない大戦なのである。
ある意味では、決勝戦よりも大切な一戦と言ってもいいのかもしれない。
さて対局の方は、4人それぞれ持ち味を発揮している。
序盤から激しい主導権争いが、灘、前原、二階堂(瑠美)の3人で繰り広げられる。
前年度チャンピオンの前原と一緒に戦った灘は、昨年の決勝戦の再戦であり、現プロクイーンの二階堂はグランプリ初出場での決勝進出を目指す。
3人共に人気トッププロという事もあって、コメントでの応援合戦もすごかったが、やはり応援合戦では二階堂がやや優勢か。
さて、展開的には1人おいでいかれたグランプリ2度目の出場の中村。
3度目の連盟チャンネル出演となるのだが、こちらは今年度の十段戦の決勝で魅せた最終戦最後方からの末脚。グランプリベスト16での最終戦での大逆転劇と派手な対局がファンの心をぐっと掴んだようだ。
現在B1リーグ所属で、無冠の19期生の38歳。他の3人に比べると知名度では断然劣る。
しかし、応援コメントでは決して負けていなかった。
相変わらずのスタートの悪さと、高打点派のスタイルから今回も最後方からのレースとなった。
しかし、いつものように中盤戦あたりから中村らしい手順でテンパイを入れる。
こうなると、ポイント的に大きく沈んでいる者に、上位3人は振り込みたくない。
したがって、中村は他の3人を降ろしてゆっくりツモアガリを目指せばいいはずであった。
これで得意の末脚爆発が決まるはずだったのだが、態勢の差を重視した二階堂が中村の勝負手を全て捌いた。この二階堂の感性で彼女が局面をリードする事となり、中村は最後まで浮上のきっかけを掴む事は叶わなかった。
終盤の4回戦。
ここを無難に乗り切れば、最終5回戦を待たずして二階堂の勝ち上がりがほぼ決まるというところで、二階堂痛恨の大きなラスを引く。
並びも最悪で、前原がトップで灘が2着。
対局後、二階堂が言っていた。
「ここはラスだけは引いてはいけないという局面で、大きなラスを引いてしまう。
自分にとっての大きな課題です。」
どうやったらクリアできる課題なのかはわからないが、彼女らしい麻雀の大きさがうかがえるコメントである。
さて最終5回戦。席順とポイントは、
起家から、二階堂+2.2P・前原+29.9P・灘+20.1P・中村▲54.0P
東1局に、二階堂が爆発して1人早くも当確。
もう1枠は、南2局まで灘が優勢に進めて、南3局の親番での爆発につなげる。
錆びないカミソリの切れ味は抜群で、本当に隙がない。安定感抜群の対局であった。
一方、大本命と目された前原はここで敗退。
競り合いには強い前原ではあったが、今回は灘と二階堂のゲームの組み立てが素晴らしかった。
完敗と言っていいだろう。
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