第17期プロクイーン決定戦二日目観戦記 藤井 すみれ
2019年12月07日
すっかり肌寒くなり、秋の匂いが深まってきた。
しかし、夏目坂スタジオにはまだ夏が終わらない選手達が集まっていた。
初日4回戦までを終えて、ポイントは以下。
瑠美+58.7P 童瞳+24.1P 日向▲17.2P 西城▲32.4P りんの▲35.2P
初日最終戦にりんのが四暗刻ツモというドラマもあり、まだまだ全員に優勝の可能性が残されている。
5回戦(起家から、童瞳・りんの・日向・西城)抜け番・瑠美
東2局
親のりんの、仕掛けてテンパイ。
ポン ドラ
そこへ西城、最高の引きでリーチといく。
初日に苦しんだ2人の対決。
この2人の待ちが、2対2でまったくわからない。画面の向こうでは祈っている人がたくさんいる事だろう。
ここは親のりんのの勝利で西城から5,800。
東3局
西城が3巡目にテンパイ。
ドラ
引きやツモり三暗刻など、高くなる変化を見てヤミテンにしていたが、あっさりとをツモ。
解説陣の間では
「ソーズやピンズくっつきで好形リーチが打てそうなので、アガらずを切る」
との意見もあったが、西城はツモアガリを選んだ。ドラがで、を切っていたのも理由のひとつか。
西城は東1局、東2局のリーチ、東2局1本場のヤミテンとすべて空振ってきた。
なのにここではすぐにをツモってくるとは、麻雀とは皮肉なものだ。
東4局の親でもヤミテンを入れるが、日向のリーチにアガられてしまい、1局で終わってしまう。
南1局
日向が終盤にリーチ。
ドラ
西城も、何度でも手を作りリーチする。
りんのも暗カンしてテンパイ。
ここは勝負の3軒リーチだ!
暗カン
親の童瞳が静観する中、このめくり合いを制したのはついに西城!
日向から8,000を討ち取った。
しかしここからも、複数のリーチ対決が続く。
南2局
日向vsりんの 流局
南2局1本場
西城vs日向 日向が西城から3,900。
南3局
りんのvsヤミテン西城 リーチの現物で日向→西城3,200。
熱戦の結果、迎えた南4局の点棒状況は
童瞳32,400
りんの25,000
日向25,900
西城33,700
東2局に1,000・2,000をツモった童瞳は、ほぼ無傷で2着目につけている。
何としてもトップが欲しい親の西城、
ゴツゴツの手が来る。
ドラ
南家・りんのも、アガリ方次第ではトップになれるホンイツやチャンタ想定の仕掛け。
チー
他家の手が育つ中、日向は非常に難しい選択に迫られる。
これの何が難しいかって、場にはが3枚で自分から全て見え、が1枚切れ、が2枚切れ、が1枚、が1枚。
マンズが大安売り。ソーズが高すぎる異様な場なのだ。
じっくりと考えた末、日向が選択にしたのは。非常にバランスの良い一打だが、唯一痛すぎるツモがあった。
ドラのツモだ。
ツモ
のタンピンドラドラテンパイ逃し。
ぐにゃあ……となりそうな心を立て直し、を切る。間もなくを引いてとのシャンポンテンパイヤミテン。
がフリテンなのでさすがにこうなるだろう。
をツモってがフリテンなのでシャンポン続行。
を引いてこれもフリテンには受けられないのでツモ切り。というかフリテンにしていたらアガっていた牌。
ザ・フリテン地獄。
来る順番さえ違っていれば……いくらでもアガっていたのに……
この悪夢を振り切るように摸打を繰り返す。
りんのと西城と童瞳が字牌を持ちあって、アガらないまま時は過ぎ、最後に聞こえたのは日向の声。
「2,000・4,000!」
それは雨上がりの空のような、爽やかな声だった。
5回戦成績
日向+21.9P 童瞳+5.4P 西城▲5.3P りんの▲22.0P
5回戦終了時
瑠美+58.7P 童瞳+29.5P 日向+4.7P 西城▲37.7P りんの▲57.2P
6回戦(起家から、瑠美・りんの・日向・童瞳)抜け番・西城
東3局
本日はここから登場、瑠美の9巡目。
ドラ
これをヤミテンにして童瞳から2,600。
が親の日向の現物で、日向と童瞳が両者ドラドラ。これが好判断ですぐに初アガリ。
東4局
親の童瞳、2枚目のをポンしてテンパイを入れる。
ポン ドラ
そこへ、りんののリーチが飛んでくる。
一発目に童瞳の元に来たのは。これをまっすぐ打ち抜き8,000。侍が刀を振り下ろすような、潔い放銃だ。
日向が一歩リードで迎えた南場。
南2局
親のりんのがこのテンパイ。
暗カン ツモ ドラ
ここからを切ってリーチを宣言。そしてをツモって4,000オール!僥倖のアガリでトップ目に立つ。
そこから連荘を重ねるりんの。
南2局2本場
北家・童瞳が動く。
ポン ドラ
しかし先にテンパイしたのは親のりんの。
珍しくヤミテンを選択……したのも束の間。
日向がツモ切り、童瞳がツモ切りしたのを見て、リーチを敢行。
同巡、童瞳もカンを引き入れてテンパイ!
大物手のぶつかり合いとなり、両者勝ち目はあったのだがが童瞳から切られる。
裏ドラがそのでなんと18,000!
爆発力でりんのがこの半荘を制した。
6回戦成績
りんの+46.1P 日向+15.6P 瑠美▲17.4P 童瞳▲44.3P
6回戦終了時
瑠美+41.3P 日向+20.3P りんの▲11.1P 童瞳▲14.8P 西城▲37.7P
7回戦(起家から、童瞳・西城・瑠美・りんの)抜け番・日向
東1局
6回戦の勢いそのまに、りんのの3,000・6,000からスタート。
リーチ ツモ ドラ
西城も同テンだったのだが惜しくも引き負け。
東2局 親・西城
5回戦オーラス、トップ目で迎えていたのに満貫の親かぶりで3着にまでおとされ、すぐそこにあったトップが手からすり抜けて行った。
なんとか親を繋ぎたい西城。2枚目のダブをポンしてテンパイにこぎつける。
ポン ドラ
そしてテンパイが入ったりんのから打たれる。
「ロン」声が重なる。
童瞳
2,000のチーテンをとらずにしっかり手を育てた童瞳が待ち構えていた。
頭ハネで西城は連荘ならず。
東3局も童瞳のリーチに西城は果敢に勝負するが、宣言牌で御用。
その後もアグレッシブに攻める童瞳。
瑠美、りんのもアガリを重ねて3人の熾烈なトップ争い。
オーラスの親でりんのが一度はトップ目に立つが、童瞳が1,300・2,600をツモり逆転トップ。
自身の2日目を気持ちよく終えた。
7回戦成績
童瞳+30.4P りんの+17.1P 瑠美▲10.3P 西城▲37.2P
7回戦終了時
瑠美+31.0P 日向+20.3P 童瞳+15.6P りんの+6.0P 西城▲74.9P
8回戦(起家から、りんの・日向・瑠美・西城)抜け番・童瞳
これが2日目の最終戦。
「見所は、西城さんがトップをとれるかどうか」と解説の吉田直が言う。
ひとりでマイナスを背負う形になった西城、踏ん張れるか。
プラスしている3者もここで負けるわけにはいかない。
東1局から東3局まで流局が続く重苦しい展開。
東3局3本場R2
西城がリーチ。
ドラ
どうにか一本決めたい。その一心だ。
しかし立ち塞がる壁。親の瑠美がこのリーチをうけて一発でドラを切って追いかける!
普通はトータルラス目の西城のリーチに打つのは絶対嫌だし、損だ。
そんな事、瑠美は百も承知だろう。それでも、ドラを切って勝負した。勇気を称えるような一発ツモが、そこには用意されていた。
東4局
親の西城、形式テンパイでリーチにドラも勝負。
なんとか親を繋ぐ。
しかし1本場には、日向の2,000・4,000で親かぶり、そして親落ち……。苦しい。苦しい見本がここにある。
南1局
親・りんの
ポン ドラ
1枚切れの待ちで8巡目テンパイ。
そこに来たのはもちろん……西城。
渾身のメンホンリーチだ!!河には「メンホンです」と書いてある。
りんの、怖いも押してゆく!祈るようにツモる西城だったが、りんのへの放銃となった。
結果から言うと、西城はこの半荘8回のリーチ、10回のテンパイを入れた。
そのうちアガリは700・1,300の一度だけ。
日吉の言葉を借りるならば、「涙前」とはきっと今日の西城の事だと思う。
それでもきっと、最終日も彼女はリーチを打ち続けるだろう。
8回戦結果
日向+32.2P 瑠美+9.0P りんの▲6.8P 西城▲34.4P
8回戦終了時
日向+52.5P 瑠美+40.0P 童瞳+15.6P りんの▲0.8P 西城▲109.3P
2日目の勝ち頭は、日向。
安定感抜群・全連帯でトータルトップ目に立った。各選手のTwitterを見てみると、どの選手も最終日に向けて気合い充分。
一体誰が栄冠を手にするのか!?
最後まで、ご期待下さい!
カテゴリ:プロクイーン決定戦 決勝観戦記