プロ雀士インタビュー/第98回:藤原 隆弘
2013年09月25日
第24期チャンピオンズリーグを優勝した藤原隆弘プロ
皆さんの知っている藤原隆弘はどんなイメージですか?
日本プロ麻雀連盟のタイトルであるチャンピオンズリーグを3度も優勝した、剛腕な緻密な仕事師?
毎日お客様と連盟員を温かく迎える陽気な道場長?
各タイトル戦会場でハキハキ、バリバリ立会人をこなすベテラン競技委員長?
それとも、麻雀格闘倶楽部で茶目っ気たっぷりにタンクトップ姿を見せた、元気な筋肉マン?
どれも藤原さんにぴったりなイメージです。
そして、もう1つのイメージがあるんです。
それは何か?
最後までこのインタビューに御付き合い下されば、きっとあなたにも分って頂けると思います。
蒼井、童瞳「藤原さん、おめでとうございまーす」
カンパーイ☆
左から 蒼井ゆりかプロ、藤原隆弘プロ、童瞳プロ
藤原「おーあらためて、わざわざありがとう」
相変わらず瓶ビールを愛飲する藤原さん♪
藤原「インタビューはどんな話をしようか?」
おっとと、藤原さんから切り出してきちゃったよ。汗
童瞳「かしこまったインタビューというか・・・普通に話してくれればいいんです♪まずはビールをどうぞ♪」
そう☆
出来れば沢山飲んでもらわないと♪
私は何を企んでいるかって?
後程わかりますよ♪
インタビュー開始間もなく、ファイナルリスト2人もいる事から、自然と試合の話になりました。
藤原「今回、相手3人はCリーグの後輩、俺の中では負けられない戦いだったよ。負けるパターンを2つ想定してた。1つは、予測不能の役満、特に親の役満ツモ。もう1つは、対局者の誰か1人の出来がかなり悪く、特定な人に勢いをつけ、その人に遠い先頭を走られた場合。ただし、どんな形でも最後まで優勝争いはできると思っていたよ。勝ち85%の負け15%かな。まあ甘かったな、もう1回満貫の横移動があったら、負けちゃってたね。ハハハ」
童瞳「そうだよね、蒼井さんは本当にあと一歩だったね。最後、藤原さんを追っかけている時はどんな心境だったの?」
蒼井「それはもう、藤原さんが打ってくれると思わないから、とにかく55,000点のトップを取ろうって思っていたよ」
童瞳「おー」
藤原「ちょっと違うんだよね・・・」
童瞳「???」
蒼井「そう!もうちょっと、自分でツモって藤原さんの点棒も削らないと・・・」
藤原「俺を沈めれば普通のトップでいいわけだよ。そこはね、ゆりかちゃんはまだ決勝経験が足りないから、俺が助かったんだよ。5回戦やって、俺は1回もトップがなしで優勝したんだけど、2着2着3着2着2着ね、たぶん初めてのケースなんだよね。逆に、ゆりかちゃんは5回やって3回トップを取っていて、残りが3着、ラス。順位率でいうとゆりかちゃんのほうが0.2%上。それで順位点を計算してみたら、俺のほうが5ポイント上だった、最終スコアは約5ポイント差、つまり、順位点のこの5ポイントの差で俺が優勝したんですよ。ゆりかちゃんは1回でよかったんだよ、トップであれば俺を沈めたり(30,000点以下にする事)、3着でもラスでも俺を道連れにしていれば、ゆりかちゃんのその日の調子だと勝てたんだよね」
蒼井「うんうん。チャンスは何回もあったけど、やっつけ切れなったんです・・・」
童瞳「ほー」
藤原「正直、俺は自分の調子があまりよくないのと、ゆりかちゃんの調子がいいのもわかっていたから、トップ取った次の回、ゆりかちゃんをいかに浮かせないか、って戦略も使っていた。だから三好さんや藤井さんが1回ぐらいダントツになってもよかったの。ゆりかちゃんが俺より上だったらとか、ゆりかちゃんが沈んでいればとか、考えながら局を回した。混戦になっても俺は有利だし、とにかくちぎらせない!50ポイントも60ポイントも離れるとさすがに追いつくのも難しいんで・・・そういう頭で対局したの俺だけじゃないかな。通常、鳳凰戦や十段戦の決勝ではみんな考えてやる事なんだけど、みんなにそういうスキルがまだないから、俺は助かった」
条件計算を常にしっかり、正確にやって、局を進める。これは当たり前のようで、若手ではできる人どれぐらいいるのでしょう・・・果して、私はちゃんとできるかな・・・
藤原「翌日すぐに牌譜を検証して、自己採点したんだけど、ミスらしいミスは3回、ほかの人たちは10倍ぐらいかな・・・ガハハ」
おっ!辛口。笑
お酒がまわってきたかな♪
藤原「結局、決勝戦というのは、その日一番内容のいい人が優勝するのね。例えば、実力差がうんとあるメンツでも、一番実力的に劣っている人が勝つ場合もある、だけど、決してツキだけじゃなくて、必ずその日は一番ミスが少なくて内容がいいから勝つわけだ。俺は立会人で、沢山の決勝戦を観てきた、麻雀の神様がいるのなら、内容の一番いい人を勝たせる、そう信じて決勝戦を戦ってきた。」
熱く語る藤原さん☆
藤原「今回のチャンピオンズリーグが24回目で、俺が参加しなかったのが3、4回だけで、20回近く参加した。チャンピオンズリーグは連盟員であればどのリーグの所属でも出られるから、色んな人と当るんだけど、俺はほぼ8割、予選を通過してきた、正直、全体のレベルがまだまだ低い。(おこ)」
はっきり言っちゃたよ・・・レベルが低いって。笑
藤原「特に、トーナメントに入って戦ってみれば、トーナメントの戦い方は半分以上の人が知らないわけですよ・・・俺に、もういい加減参加するのやめれば?って思う人もいるだろうけど、出てあげなければ、連盟員の実力が上がらないわけですよ・・・下手な人同士でやっても、結局誰かが優勝するわけで、誰のためにもならないし、全体が向上しない。上のリーグに所属している人は続けて出てあげるべきで、俺も決して上から目線ではないが、胸をかすという義務感もあって、何回優勝しても、まだまだ頑張ろうって思うんだ。」
童瞳「後輩のためですか?」
あえて聞いてみた。
藤原「全体的な連盟員のレベルを上げるためかな。それで、若い子たちには積極的にチャンピオンズリーグに参加してほしい。普段戦えない上のリーグの選手と当れるし、トーナメントにも決勝戦にも残りやすいので、必ずいい練習になる。」
おいしそうにビールをグイッと飲んで、一呼吸おいた。
藤原「失敗を糧にして向上し続けなければいけない、たとえチャンピオンズリーグで恥をかいても、誰にどんな負け方をしてもいいのよ。それでスキルアップに繋がればいい、最初からできる人なんかいないんだから、練習するのとしない=経験するのとしないのとでは全然違うから。」
厳しい言葉を発しながらも、しみじみと語る藤原さん。
皆さん、気づきましたか?
藤原さんは食事をしながらも、お酒を楽しんでいながらも、実は私と蒼井さんに惜しみもなく、決勝戦や麻雀に関する彼なりの経験を言い続けていたのです。
そしてそれは、ただの自己顕示欲からの、人を馬鹿にするような自慢話ではないのです。偉そうに上から目線で自分の価値観を押し付けているのではないのです。ましてや、お酒による暴言でも、決してないのです!
対戦前の準備=シミュレーション、対戦時の考え方、対戦後の自己分析方法、それと、麻雀へ対する己の信念の持ち方。
自分の持っている技術を当り触りのない程度にしか話さない人がいる中、勝たなければいけない、この厳しい業界の中でも、藤原さん、道場でも、リーグ戦会場でも、食事会でも、どんな時でも、すべてを後輩たちにさらけ出してきた。厳格だが、誰にでも平等で、見返りを求めない。
私を含め、若きプロの中には、まだまだダメな人=プロと呼べない人が沢山います。ツモと切るの動作が遅く、リズム感が極端に悪い人もいれば。なぜか仕掛けが軽くて遠くて安いスタイルに憧れる人もいれば。トーナメント戦で点数条件が分からなく一局ごとに計算し直したり、可能性が残っていないにも関わらず無理にあがいて局を乱したりする人もいます。
すべての原因は、間違った勉強方法と経験不足にあります。
そういった原因を藤原さんは彼なりに、最大限に解消(解決)をしてくれようとしています。
もう1つのイメージは、後輩たちにどこまでも心優しい先輩である。と、私は思います。
その深い愛情は、陰で、日々後輩たちをサポートする、成長させる真剣な姿から十二分に感じ取れます。
もうすぐ、その藤原さんは父になる・・・後輩たちをこんなにも思いやる彼が一体どんな素敵なお父さんになっちゃうんだろう☆
藤原さん(#^.^#)
息子さんの誕生をバネに、1日も早く念願のG1タイトルを獲得して下さいね☆
お父さんになっても、お酒を飲んで、後輩たちに辛口コメントを言い続けてくださいね!!
次の優勝インタビューも童瞳にやらせて下さい☆
NGにならない程度に、今度はもっと忠実にコメントの辛さを再現しますから(笑)
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