第17期女流桜花決定戦~2日目~レポート
2023年01月18日
『0.02%の奇跡!?百花繚乱の戦いを制したのは山脇千文美。初戴冠に向けて七分咲きへ。』
◆初日までの成績
山脇千文美・魚谷侑未(現女流桜花)・白銀紗希・内田美乃里
解説:白鳥翔・仲田加南
実況:部谷幸則
決定戦初日の対局後では“まだまだ優勝するにはポイントが足りない”と語った山脇。その言葉通り、5回戦の開局では魚谷から先制リーチを受けながらも真っ直ぐ打ち抜き2,000・3,900のツモアガリと幸先の良いスタートを切った。
一方で離されずについて行きたい白銀は
5回戦東4局
南家・白銀
リーチ ツモ ドラ
で勢いに乗ると、南2局には山脇から待望の満貫直撃を実らせる。
追いかける魚谷・内田にとっても鼓舞するアガリであり、ポイントリーダーへプレッシャーを与える一撃。しかし、山脇からは焦りという二文字は見られなかった。
次局の南3局、ヤミテン高め7,700の手牌も普段通り強気にリーチに行くと、その思いに応えるかのように残り1枚のアガリ牌であるをそっと手元に引き寄せる。
気負い過ぎる事なく且つ強い意志に満ちた姿から、このまま山脇が突き抜けるかと思われた。ところが、初戴冠への道筋はそう平坦には行かなかった。
6回戦に入ると展開が一転する。
6回戦東2局
北家・内田
リーチ ツモ ドラ
まずは白銀と同様に距離を縮めたいと意気込んだ内田がリーチ・ツモ・タンヤオ・イーペーコー・ドラ3の跳満ツモで上下差を詰めると
6回戦東3局
北家・魚谷
ロン ドラ
今度は魚谷が内田から狙いすました7,700をアガリ、自身が得意とする二番手へと位置付けた。
正に一進一退が続く展開であったが、対局後に“先行しながらも捲られて負けてしまった悔しい経験があるので”と話した山脇は過去の苦い思いを払拭するかのように再びリードを築く。
折り返しとなる6回戦の南場に2局連続の大きなツモアガリを決め、大きなアドバンテージを持って後半戦へ突入した。
しかし、またしても7回戦は追いかける3者の猛追に耐えながらも徐々に点棒を削られる山脇。局面が大きく動いたのはオーラスであった。
ドラのを持ち合った山脇が魚谷の親リーチに捉まり、再び点数差もフラット模様で8回戦へ。
と、ここまでは局推移に焦点を当てて振り返ってみたが、どこか違和感のようなものを覚える事にお気づきになっただろうか。実は5回戦から始まった2日目、このアガリが発生するまで何と連続23局“連荘なし”である。
仮に親のアガリ率が23%で流局率14%、流局時テンパイ率を50%として計算すると、その確率ざっと『0.02%』。数字が物語っているように4者のアガリに対する精度が高いのはもちろん、お互いの親を開花させまいと拮抗したバトルが繰り広げられた。
そして、横一線とも言える戦いに黙っていなかったのが現女流桜花の魚谷である。
東場の親番を活かして山脇が4,000オールと一歩抜け出した8回戦。場面はその南2局を迎えていた。
この局の一番乗りはを仕掛けてドラの待ちテンパイである山脇。一見すると苦しい印象だが、雀頭が一枚切れのなのでバランスの取れた手格好である。
東家の内田もを晒しながらドラ色のホンイツ仕掛けで場に制限を与える中、注目は魚谷の押し引きであった。
現状はドラドラではあるものの七対子の2シャンテン。また2人に仕掛けが入っており生牌のとドラ表のが浮いている牌姿である。追加で補足すると、マンズの一色濃厚な親が下家に座っているという状況。大人しく2枚切れのなどに手が掛かるかと思われたが、魚谷の選択は切りであった。
自身のアガリを強く見つつ、鳴かれてもそれはそれで良しという構えである。つまり内田の2フーロ目は山脇に圧を与える事を意味しており、この局は親と一心同体となって戦っているのだ。そして牌が応えた時は一気に攻め返す。
最終手番でテンパイすると、しっかりとも勝負して内田から跳満を成就させ本日の対局を終えた。
41局中36局がアガリと華やかな戦いとなった2日目、唯一ポイントを伸ばしたのは山脇であった。
そして最後に見事な12,000によって魚谷が追いかけるポジションに続く。
少し差は広がってはしまったものの白銀・内田もまだまだチャンスのある立ち位置と言えるだろう。
泣いても笑っても残り4半荘。連覇かそれとも初戴冠か。最終日レポートも是非ご覧下さい。
◆2日目終了時の成績
(文:小林正和)
カテゴリ:女流プロリーグ(女流桜花) レポート