関西プロリーグ レポート

第21期太閤位決定戦レポート

【第21期太閤位決定戦、ミスター太閤位、花岡章生が復位】

太閤位決定戦は、関西本部で行われる全5リーグ(A、B、C1、C2、C3)からなるリーグ戦の頂点を決める戦いだ。
本日の4選手、Aリーグを勝ち残った3名、そして、現太閤位の紹介は、関西本部に所属する稲岡ミカのブログをぜひ読んでいただきたい。

 

 

◇長尾浩平

◇花岡章生

◇濱中真志

◇山中翼(現太閤位)

ブログにも書かれているが、現太閤位の山中は、花岡(過去4度の太閤位、15度目の決定戦)を倒してこそ真の太閤位と語った。

3回戦まではハイライトでお伝えする。

 

◇ 1回戦
「四国に少しでも注目してもらえるよう、いい結果を残したい」
と戦前のインタビューで語った、四国支部の副支部長の長尾。
片道3~4時間かけて通っていたご褒美かのごとく、4巡目テンパイのホンイツ、七対子をツモアガリ。
そのリードを更に伸ばし、1人浮きのトップをとる。

 

 

1回戦終了時
長尾+25.5P、山中▲2.3P、花岡▲6.3P、濱中▲16.9P

 

◇ 2回戦
前半の勝負所だった南4局2本場(供託2)、
長尾が四索をポンして、(供託があるので)アガれば浮きに回るテンパイを入れる。

 

 

これに対し、山中の対応がとても光った。

 

 

自分の都合では、七対子の1シャンテンとなる七筒切りだが、ラス目にも関わらず、三万を切る我慢強さ。
ほぼ自身のラスを受け入れることになるが、ここで長尾にアガられると差が開いてしまう。
残り2回戦での逆転に賭けた。

 

 

親の濱中も追いつく。
長尾の待ちの四筒七筒を使い切ってテンパイを果たし、この七筒で長尾の待ちは山から消えた。

 

 

本局の結果は、仕掛けて押し返していた花岡のアガリ。
1人浮きのトップを確定させる値千金のアガリになった。

2回戦終了時
花岡+27.4P、長尾+15.8P、山中▲19.2P、濱中▲24.0P

 

◇ 3回戦
オーラス、長尾は2,600以上をアガれば3着に浮上するが、親でトータルトップ目の花岡を沈んだままにすることを優先した。
これも胆力のいるヤミテン。
一索四索七索二索五索八索待ちに変化したときは、リーチをする方針だったかもしれない。

 

 

3回戦終了時
花岡+19.2P、長尾+2.5P、濱中▲9.8P、山中▲11.9P

ここまで全員がお互いに決め手を与えないように粘っていたことで、トータル4番手の山中ですら、花岡と31.1ポイント差と、全員にチャンスがある最終戦になった。

 

◇ 最終戦
まずは濱中が加点。東2局の親番

三万三万八万一筒二筒二筒五筒八筒八筒九筒三索五索六索 ドラ五筒
4巡目に八筒のポン。

 

 

山中に、

一索一索二索二索三索三索四索四索五索六索中中中 ドラ五筒

このテンパイが入っていただけに打点以上に価値のあるアガリ。

同1本場はこの配牌。

一万三万五万七万九万二筒七筒東南西北北発中 ドラ二万 打二筒
1巡目から北を仕掛ける。
安目のアガリではあったものの、花岡から3,900(+300)の直撃ができたことは大きい。
この2局は、濱中の描いた構想が素晴らしく、Aリーグ1年目にして首位で決定戦に進出したのも頷ける。

 

 

これで長尾、花岡、濱中の差は3.6ポイント差。
この均衡を破ったのは花岡だった。
待ち選択が素晴らしく、七対子、ドラ2をツモって一歩リードする。

 

 

しかし、東4局、濱中がタンヤオ、ドラ3を花岡から直撃。
花岡を沈ませる最高の出場所だった。
あと1周のところで、再度、横一線に戻る。

 

 

 

 

花岡「東京に出て来てから闘う癖がついちゃって(苦笑)。(でも今日は)闘い続けたろって思っていた。」
満貫を放銃した次局に、『愚形のリーチ、ドラ1』でリーチに踏み切る強さよ。

 

 

たった2,600点のアガリだが、花岡の山読みの精度の高さと、そして闘う姿勢が凝縮された2,600点だった。
一手替わりで234の三色同順になることを、花岡が見落とすわけがない。
長尾の親落としと、2,600(または1,000・2,000)点の加点の価値が高いという判断だろう。
もちろん、押し返されても勝負になる待ちという場況の良さもある。

そして、オーラス。
花岡は、30,000点の浮きをキープできれば優勝という条件。
自身はテンパイしていたが、長尾のノーテンを読み切り、手牌を伏せた。

 

 

 

昨年は12年間連続していた決定戦進出を逃し、プロリーグ(鳳凰戦)もC3からD1に降級するという悔しい1年を味わった。
珍しく外から見る決定戦は、とても楽しく映ったそうだ。
弟分の山中の戴冠を「嬉しかったですよ。自分は(決定戦に)出てなかったので。」と喜んだが、今年は争う立場。
関西本部を長年背負ってきた選手として、高い壁にならなければ、との思いも持っていただろう。

 

 

インタビューの締めで、以下のように述べた。

「山中が新時代を築くと言っていましたが、僕もまだ若いので、そんな簡単には(太閤位を)渡せないよと。東京でも、(リーグを)上がっていけるように頑張っていきますので、これからも関西本部を宜しくお願いします。」

痛恨の満貫を放銃しても、ポーカーフェイスを崩さなかった花岡。
最後にはひと仕事終えたかのような、安堵の表情を見せた。

 

 

(文:福光聖雄)