若獅子戦 レポート

第5期若獅子戦ベスト16A卓レポート

【第5期若獅子戦~ベスト16A卓~高橋大輔、貝原香の勝ち上がり】

この若獅子戦と桜蕾戦が新設されたとき、内外ともに大きく盛り上がったのを覚えている。
半年に1回の開催ではあるが、あっという間に5期目を迎えた。
これに懸ける若手の熱量や、才能の片鱗を見ることができ、非常に面白く、注目度も高い。
今年も新スターが誕生するのだろうか?

 

 

昨年12月に入会、この若獅子戦が初の公式戦にも関わらず、首位で予選を通過した櫻井一樹。
29歳、今回が最初で最後の挑戦とのことだが、1回戦から非凡な才能を見せる。

 

 

 

 

高橋が白を暗カンして先制リーチした局面、自身の都合では道中に持ってきた孤立の二万を切って放銃になっておかしくなかったが、
二万五万三万六万九万のマンズ待ちが本線だったので、ピンズを全部切って回ることも視野に入れていた。」と切らずに粘り、なんとハイテイでのツモアガリ。
解説の三浦からは「テンパイでの六万切りは、六万が現物で巡目も深いので、シャンポンに受ける人もいるが、(2枚目の局面で)ここで二万を切らなかったことが素晴らしい」と大絶賛だった。

 

「普段はオリるのに、熱くなってたんでしょうね。」

櫻井が、終局後に後悔していたのはこの場面。

 

 

この半荘の櫻井と貝原の順位の上下は大きく、櫻井は是が非でも上の着順で終わりたい。
当然、貝原からは逆転できるリーチと読め、櫻井はアガリを阻止したかったが、痛恨の放銃となってしまった。

 

 

とても共感できたので、掲載したい。
この前局、ツモるとトップまでいく跳満のテンパイをかわされていたね。
(自分も15年近く経つけど、やっちゃうんだよなぁ・・・)

 

早川健太は、第3期以来の2回目の優勝を目指して、この場にやってきた。

 

 

しかし、今日は不遇の1日。
僅差の3回戦オーラス、負けている早川はアガってトップで終わりたい局面だったが、高橋のヤミテンの12,000に放銃。
高橋との運量の差が圧倒的だった。
代わりに、「ズルいよ、勘弁してよ」と僕が心の中で代弁しておきました。

 

 

100ポイント差になってしまった最終戦、それでも、あわや逆転か、と思わせるまで猛追するところに、意地と強さを垣間見た。

 

 

高橋から出アガリで18,000。

しかし、一発ツモの五索を食い取られていて、鳴きがなければ8,000オールだった。
本場も入れると、貝原との差が、33.6ポイント分詰まるところ、9.2ポイントしか詰まらず、貝原にとっては命拾いした思いだろう。

貝原香は、早川と同期。
「早川とは同じ特待生オーディションで合格したが、先に早川が若獅子を獲ったので、今度は自分が獲りたい。」と語った。

 

 

 

「リードした立場での麻雀がひどかった。」と反省していたが、積極的に局を潰そうとしていた試みが全然アガリにつながらず、3、4回戦は苦しかった。
三浦もフォローしていたが、貝原自身が感じるほどひどい内容ではなかった。
(苦しいとそう感じてしまうものですね。)

 

 

最後は必死の3フーロで決着させ、ホッとしたところだろう。

推薦枠で選ばれた高橋大輔。
審査員を担当していた白鳥から、「判断が早いのがとてもよい」との評価だったが、その判断の早さが結果にも現れた。

 

 

 

1回戦、早川の先制リーチにドラの南が暗刻になり、押し返した局面。
早川の現物の六万でアガリになったのだが、このアガリに高橋の良さが生きたと感じた人もいたと思う。
誇張した例で書くと、オリているときはとても慎重に悩んで切っている人が、全然悩まずに無筋を切ってきたら、あなたはどう感じるだろうか。(普段と違うぞ。高いテンパイをしているかもしれない)と察知するだろう。
高橋は二索は安牌でトイツ落とし、六索は中筋(ツモ切り)、一万は無筋でテンパイ打牌なのだが、どれも素早く同じテンポで切った。
無筋ではあるものの、端の一万ではあるし、普段から高橋の押しは多いので、高い手が入っているとは読み取りづらい。
櫻井は自身のテンパイを目指して粘った六万だったので、気配が出ていたら、間違いなく打たれない牌だった。

 

 

もう1つはこちら。
二万切りリーチがノータイムだった点が素晴らしかった。
三浦からも「少しでも迷ったら、二万付近の待ち取りで悩んだのかも?と読まれて、一万が止まったかもしれませんね。」とお褒めの解説をされていた。
待ち取り、リーチ判断も含めて、悩ましい手牌だと思う。
なお、放銃した親の早川は、二万が暗刻で一万はノーチャンス。不憫でならない。

 

 

「普段の2倍は疲れました。」と終局後のコメント。
楽勝ムードの最終戦をヒヤヒヤにしてしまって、高橋は反省を持ち帰っただろうが、勝ちという結果だけでなく、課題も受け取れて、1粒(試合)で2度美味しいと思っておこう。
(これは藤崎の受け売りですが)

 

 

最後に、サムネイルにしたこの七筒切り、これは推薦の期待に応えた一打だったね。

 

 

(文:福光聖雄)