プロ雀士インタビュー

第258回:プロ雀士インタビュー 石立 岳大  インタビュアー:福光 聖雄

『石立岳大JPML WRCリーグ史上初の連覇』
前回JPML WRCリーグを優勝したときの、西川淳(A1リーグ)が執筆したインタビューがとても素敵だった。
その次に書くインタビューの荷が重いことといったら。

西川のインタビューが最上級のステーキだとしたら、僕はペラペラの赤身肉だと思う。
まず、前回のインタビューを読んで、お腹いっぱいになってきてほしい。

第246回:プロ雀士インタビュー 石立岳大  インタビュアー:西川淳

 

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(画像補足:石立の好物の浦安そば)

 

お腹いっぱいになっただろうか?
もし、まだまだ空腹な人がいたら、石立の書いたnoteをおかわりにしてもらおう。
リンクはこちら

(※注) 東1局で終わっているのが面白い点なので、読んでも読まなくてもいいです

 

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(画像補足:さらにお腹を満たすために浦安そばを投下)

 

冒頭でこう書いたが、書いている張本人もここから大ボリュームのインタビュー記事になるとは、想像もしていなかったのだ。(汗)
目次を置くので、読みたいところを読んでもらえれば幸いだ。

[目次]
・石立の麻雀IQの高さ(グランプリMAX二次予選から)
・WRC決勝戦の意気込み
・石立と僕の関係性
・マシンガン副露の誕生経緯
・石立による石立対策
・17年目のシーズン
・終わりに

 

【石立の麻雀IQの高さ(グランプリMAX二次予選から)】

石立「こないだの手、文字だと長くなるから書かなかったんだけど・・・」

から始まった。

こないだの手とは、麻雀グランプリMAX二次予選のC卓での対局の話。
ここまでドンピシャで読んでいるのかと、恐れにも似た思いだったので取り上げたい。

石立「これってインタビューで読みたい話かなぁ。戦術の系譜のコーナーじゃないの?」

と気を使っていたので、麻雀の細かい話に興味のない方は、次まですっ飛ばして問題ないです。

まずは、場面の説明から。
石立が四索を鳴いたあとに、渡辺史哉がカン二索待ちの三色同順のリーチを打った。

 

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リーチの時点での石立の手はこちら。

 

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必死にオリて、オリきれるかどうかというところだったが、
そのあと、三万を鳴き、八万を鳴き、なんとアガリきってしまった。

 

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安牌になった三万八万をポンするなんて、お気は確かでしょうか?がオブラートに包んだ感想だ。

石立「三浦(智博)くんは、『いざとなったら二索でオリれるから(実際は放銃だけど)、仕掛けていけたんですね』って解説してたけど、違うんだよね。
二索は渡辺くんにも浜上(文吾)さんにも危険だと思っていたから、よほどじゃない限り切らないよ。」

福光「え?え?」

以下に、石立のその局の深い思考を記載する。
・浜上がやる気で、ドラが2枚以上あるだろう。
渡辺のリーチは自信がありそうだった。
この卓で一番格上の前田(直哉)の親、その前田が七筒を暗カンしていて押し返してくる局面で、渡辺は(ドラが多くはないのに)堂々していた。
よい待ちと読めて、前田の現物の二索は候補のひとつ。
二索待ちの七対子が本線だった。
・浜上は、4枚目の五索が切られたときにテンションが下がった。
二索は前田の河に1枚、自分2枚、渡辺1枚(予想)と埋まらないところで、浜上に対してもかなり危険。

この思考を聞いたときの、僕の驚きをなんとかして伝えたい。
同じリーグ(B1)にこんなヤツいるのかよ…とも思ったり。

三浦も、このアガリにはかなり驚いていた。
無料で見ることができるので、ぜひご覧になっていただきたい。
(1回戦東4局、35分くらいから)

こちら

 

【WRC決勝戦の意気込み】

福光「今回のWRC決勝、連覇がかかったりとか、相手は後輩(全員37期)だったりしたけど、どういう心境だったの?これは優勝しなきゃとか思った?」

石立「寿人さんや魚谷さんがいたらもっと注目されたけど、2人とも倒しちゃったから、せめて、自分以外が勝ったときに、強い石立を破って優勝した、にさせたいとは思ったね。ベストパフォーマンスを出さなきゃな、とその点での緊張はあった。」

ところが、石立は会場入りの時間に遅刻してしまう。

福光「Twitterに偽ソーセージエッグ定食を載せてたじゃん。どうしたのよ?」

石立「電車を乗り過ごした…」

 

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イエローカードの処分だったが、ポイントのペナルティがついたら、ちゃんとした決勝戦にならないかもしれないと、申し訳ない思いだったそうだ。

石立「ポロリさん(対戦相手の仲田浩二)が心配してくれたんだよね。ペナルティにならなかったことがわかったときに、『よかった。良い決勝戦にしようぜ』と言ってもらえて、ホントに救われたよ。」

ご存知の通り、決勝戦はベストパフォーマンスの石立の独壇場。
強い石立に、3者は為す術がなかった。
僕個人としては、キッチリ若手の壁になってくれたことを、とても嬉しく思う。

 

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(画像補足:負けた仲田の明るさとは対象的に、遅刻の謝罪から入る優勝インタビュー)
【石立と僕の関係性】

閑話休題。
石立と僕の関係について触れておこう。
石立は23期生(この4月から17年目)で、僕は25期生(同15年目)。年齢は43歳と同学年。
出会いは覚えていないが、共通の知り合いが開催したセットだと思う。
ともに会社員なので、仕事終わりに都合がつくことが多く、一緒に練習するようになって長い年月が経つ。

石立と僕を語る上で欠かせないものに、『朝練部』がある。
対局が16時開始だった頃(C2~D1リーグ時代)に、リーグ戦の前にセットをするというものだが、なかなか人を集めるのに苦労した。
その中で、僕と石立はかなりの参加率だった。
※ 『朝練部』と仰々しく名前がついていますが、セットのメンツを募る内輪のグループLINEの名前です。
正確には覚えていないが、3年間くらい活動していたと思う。

今でも、麻雀の検討を一番する相手だ。
僕がTwitterで麻雀の内容を書くと、すぐにリアクションをしてくれる。
ここ最近のお気に入りはこちらである。

 

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【マシンガンフーロの誕生経緯】

石立『おれは、おれが思い入れを持っている人たちに(インタビューを)書いてもらいたい』

こう言われて指名されたら、書かざるを得なかったのだが(苦笑)、インタビューをしながら、こんなことも聞かれた。

石立「福光から見て、オレの麻雀、昔とどこが変わった(よくなった)かな?」

ちなみに昔、とは、Dリーグで燻っていたとき。
せっかくなので、石立と僕のリーグの推移を作ってみた。

 

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(画像補足:これだけ停滞していたら辞める気にもなる…西川さん、よく引き止めたな…)

 

なお、自分の麻雀ですら、そんな昔のことは覚えていない。
福光「いつから、今のよく仕掛けるスタイルになったの?」

石立「朝練を始めた頃かな。C3の1節目で鳴いてみたらめっちゃ勝って、2節目もうまくいって、ダメになるところまでやってみよう、と」

そうした結果、トントン拍子で昇級する。
元々、ポテンシャルは高いのと、仕掛ける戦術がうまくマッチしたのだろう。

石立「B2は1期で降級して。流石にBリーグになると通用しないかと、1年くらいメンゼンでやってみたんだけども…」

福光「ふむふむ」

石立「目の前に、仕掛けていればなかったはずのアガリが出まくって、それに業を煮やした。メンゼンの練習するのBリーグからに変更!ってなった。(笑)」

誤解しないでほしいのだが、この『仕掛けていればなかった』というのは、仕掛けていたら食い流れている、ではない。
例えば、このような手。

一万二万三万一筒二筒八筒八筒八筒一索二索三索発発 リーチ ツモ三筒 ドラ西

仕掛けてプレッシャーをかけていれば、リーチに踏み切れなかったかもしれないし、
スピードをあわせて、ポンテンやチーテンを取って、安くなっていたかもしれない、ということだ。

石立「鳴いている方が失点が少ない気がしてて、なんでうまくいくんだろう?って考えてたね。」

その頃から、競技麻雀が面白くなってきたそうだ。
成績が良くなったから面白くなったのか、面白くなってきたから成績がよくなったのかはわからないけども。

福光「もし仮に、自分みたいな相手と対戦したらどうする?」

 

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(画像補足:インタビュー会場に予定していた浦安そばは、悲しみの貸切営業)

 

【石立による石立対策】

(非公開です。)

冗談だ。
でも書かれないことはあっているか。
なにせ、本人も「わからない(笑)」と答えていたのだから。

しかし、1つエッセンスを聞き出せた。
真理をついていて、「これ書いていいの?」と念のため確認している。

石立「上手い人は、五分五分より分の良い勝負をしたがって、どこかで必ず、踏み込めるポイントがくるはず、と考えるけど、こっちはなるべく五分五分だと思わせるようにやってるのよ。思わせることで、踏み込まれる局は少なくなる。相手がチャンスを待っているうちに、1局平均にして数百点(石立体感)の得を積み上げる感じかな。」

なるほどねー。
石立と麻雀の話をすると、新しい視点を得られてとても面白い。

石立「こういう話、読んでいる(一般の)人、そんなに興味ないんじゃないの?」

そうかも(笑)
割とコアな麻雀ファン向けになってしまったかもしれない。ご容赦いただきたい。

 

【17年目のシーズン】

4月から(これが公開される頃には始まっているが)新シーズンが始まる。
WRC決勝を解説していた藤島健二郎は、A2リーグへの昇級候補に石立を挙げた。

石立「いやー、厳しいなぁ。毎期そうだけど、今期も相手が強い。」

(ちなみに2軒目では、2人で5節分の卓組とにらめっこし、この日はキツイとか、ここが勝負の節とか、(中村)慎吾が昇級しそうとか、ここには書けない話で盛り上がりました。)

福光「解説やったらどうよ?」

石立「やりたいけど、口数多く話せないなぁ…(齋藤)豪くんや三浦(智博)くん、ホントにすごい。」

福光「戦術の系譜を書いてみたら?」

石立「noteが東1局で終わってしまうのに?(笑)」

どうやら書きたいことが多すぎて、大変になってしまうらしい。

能をつかんとする人「よくせざらんほどは、なまじひに人に知られじ。(以下略)」
と言ってなかったっけ?(西川のインタビュー記事を参照)
まあでも、選手や関係者に迷惑かけちゃうか。
いつかできるようになるといいね。

 

【終わりに】

石立の麻雀は発想が豊かで面白いし、その裏にしっかりと思考もあって、それを聞くのも面白い。
インタビューなのだから、もう少し麻雀以外の話をとは思ったが、任務を忘れて麻雀トークを楽しんでしまった。
そのあたりは、西川のインタビュー記事をおさらいしていただきたい。

『優勝、本当におめでとう。』とか
『今後の石立岳大の活躍に期待です。』
などでインタビューを締めくくることが多いのだけど、同じリーグだとなかなかこれは書きたくない。

いい言葉を思いついた。
この言葉で締めにして、石立に贈りたいと思う。
『僕の下家で鳴きまくるの、ちょっとは遠慮してもらえませんかね?』

 

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(文:福光聖雄)