麻雀マスターズ レポート/第23期マスターズ トーナメントレポート
2014年05月23日
第23期麻雀マスターズの本戦が行われた翌日、ベスト28の対局が行われた。
昨年度までは、ここでベスト8までの対局が行われていたが、今年度からは日本プロ麻雀連盟チャンネルの開設に伴い、ベスト8からは夏目坂スタジオで生放送される事が決定したため、この日はベスト16までの対局となる。
システムは通過順位によって決定した4名で半荘3回を戦い、トータルポイント上位2名が勝ち上がるトーナメント方式。ベスト28を通過した14名に加え、昨年度優勝者である小車祥と、前日の本戦を1位通過した紺野真太郎の2名を加え、ベスト16の対局が行われる。
なお、ルールは日本プロ麻雀連盟Bルール(一発、裏ドラあり)を採用しており、順位ウマはトップが+15P、2着が+5P、3着が▲5P、4着が▲15Pと、各順位に1万点の差がつくようになっている。
左から、荒木栄二(協会)、四柳弘樹(連盟)、小西隆之(一般)、蛯原朗(連盟)
プロ連盟Aリーガーである四柳と2013年度の麻雀最強戦ファイナルに勝ち進んだ荒木のいるこの1卓。東三局に嵐が吹き荒れる。
親番の荒木。持ち味である仕掛けを多用し連荘に連荘を重ねる。何度も蛯原と小西さんが仕掛けで応戦し、果敢に立ち向かうものの、和了に結びつかず、10本場にも及ぶ大連荘を許す。
荒木は1回戦を+70.3Pで終え、大きなアドバンテージを獲得。
続く2回戦は四柳がトップをとり、荒木は4着。安全圏とは言えないかもしれないが、まだ優位である事には違いない。
四柳弘樹
2回戦終了時成績
荒木+38.2P 四柳▲9.5P 小西▲13.6P 蛯原▲15.1P
最終3回戦、起家は小西さん。6000オールを決め、大きく前進。
そして東三局には蛯原が連荘。4者の持ち点は以下。
小西40700 荒木 12700 蛯原51900 四柳14700
終止苦しい四柳であるが、時間打ち切りがない限りまだ親番は2回ある。
しかし、東場で抜け出した小西さんは守りきり、蛯原はさらに加点しフィニッシュ。
波乱の1卓であった。
蛯原朗
3回戦終了時最終成績
蛯原+40.5P 小西+2.6P 四柳▲16.8P 荒木▲26.3P
勝ち上がり:蛯原朗(連盟)、小西隆之(一般)
左から、魚谷侑未(連盟)、水沼利晃(一般)、渋川難波(協会)、浅井裕介(最高位戦)
1回戦起家は魚谷。リーチをかけるがここは流局。しかし1本場は2000オール、2本場は4000オールと攻撃の手を緩めない。
魚谷侑未
1回戦終了時成績
魚谷+31.9P 水沼+14.9P 浅井▲6.6P 渋川▲40.2P
続く2回戦。1回戦4着だった渋川が大連荘しトータルポイントを2着につける。
渋川難波
2回戦終了時成績
魚谷+37.9P 渋川+11.2P 浅井▲11.2P 水沼▲37.9P
最終3回戦、浅井と、元最強位の水沼さんが首位に肉薄するが、あと一歩届かずここで敗退となってしまう。
3回戦終了時最終成績
渋川+9.6P 魚谷+6.4P 浅井▲1.2P 水沼▲14.8P
勝ち上がり:魚谷侑未(連盟)、渋川難波(協会)
左から、仲田加南(連盟)、和久津晶(連盟)、鳥居裕一(最高位戦)、芝美穂子(一般)
第11期プロクイーン決定戦、第8期女流桜花決定戦での準優勝が記憶に新しい和久津晶。
4大タイトル戦であるこのマスターズでもここまで勝ち進むことは、その強さをより一層証明している。
和久津晶
1回戦東四局の親番で4,000オールを和了り初戦トップの和久津。
2回戦は仲田がトップ、和久津が2着でトータルポイントは以下。
2回戦終了時成績
和久津+32.9P 仲田+27.3P 芝+0.2P 鳥居▲60.4P
最終戦、芝さんが南二局の親番で抜け出し4者の持ち点は以下。
和久津 32700 芝 51300 鳥居 16800 仲田 19200
仲田以下の形でリーチ
リーチ ドラ
打点が欲しい仲田、リーチ宣言牌は。
しかし、鳥居に
リーチ
この形で追っかけられ、をつかみ2000点の放縦。
ちなみに–での和了り逃しもなかった。
鳥居、仲田共にラス親にかけたい所だが、敢え無くここまで。
仲田加南
3回戦終了時最終成績
和久津+43.2P 芝+34.2P 仲田▲3.4P 鳥居▲74.0P
勝ち上がり:和久津晶(連盟)、芝美穂子(一般)
左から、坂本大志(最高位戦)、丸江茂(一般)、西野圭介(一般)、滝沢和典(連盟)
1回戦オーラス。
西野 17500 丸江 27600 坂本 44600 滝沢 29300
流れ4本場、供託1000点で迎えた滝沢の親番5巡目。
ツモ ドラ
三色の目が消えてしまうが、伸びをマンズかピンズに絞ってイーシャンテンキープする打ち手も多いと思うが、滝沢の選択は打。
この切迫した状況で滝沢らしい一打。
坂本から–待ちの先制リーチが入るが、14巡目に、滝沢にもテンパイが入る。
ツモ 打 ドラ
2巡後をツモリ4000オール。
滝沢和典
1回戦終了時成績
滝沢+23.6P 坂本+12.7P 丸江▲1.3P 西野▲35.0P
2回戦オーラス3本場、親番は滝沢。
西野 26000 丸江 36400 坂本 34500 滝沢 23100
西野さんが、
ツモ 打
の形に受け、すぐにが出るがこれを見逃し。1回戦を4着で終え、この局面で3着から着順の変わらない和了りをしても、最終戦が苦しいと考えたためであろう。ここはタンピン三色の最終形を目指す。
しかし流局。親の滝沢もテンパイで続く4本場、滝沢5巡目。
ドラ ツモ 打
同巡丸江さんがリーチ。
リーチ
自然に打ち出されたであるが間に合っている滝沢。8順目に追いつきリーチ。
リーチ
丸江さんのと滝沢のに暗カンが入り、三色の手変わりを待っていた西野さんもツモ切りリーチ。
リーチ ドラ
丸江さんがをつかみ、滝沢に12000の放縦で決着。裏
そして5本場。8巡目、滝沢にテンパイが入るがここはダマテン。
ドラ
11巡目に丸江さんからリーチが入り、同巡ションパイのを持ってきてヤメ。
丸江さんの手牌
リーチ
2回戦終了時成績
滝沢+47.4P 坂本+19.7P 丸江▲23.6P 西野▲44.5P
最終戦、西野さんが2着に差し迫るもここで敗退となってしまう。
3回戦終了時最終成績
滝沢+49.5P 坂本▲6.0P 西野▲8.9P 丸江▲35.6P
勝ち上がり:滝沢和典(連盟)、坂本大志(最高位戦)
左から、杉浦勘介(連盟)、寺戸孝志(連盟)、市橋篤文(一般)、勝又健志(連盟)
1回戦終了時成績
杉浦+40.0P 寺戸+9.4P 市橋▲12.1P 勝又▲37.3P
杉浦勘介
南二局の親番で7本場まで積み、初戦をトップで飾る杉浦。
一方、トーナメント巧者で有名な勝又は4着スタート。残す2戦の戦いぶりに注目だが、さっそく転機が訪れた。
2回戦、東一局の親番で、跳満を出和了り、最終戦を着順勝負にまで持ち込む。
勝又健志
2回戦終了時成績
杉浦+25.6P 市橋+3.6P 勝又▲5.3P 寺戸▲23.9P
3回戦、南二局1本場、親番は市橋さんで4者の持ち点は以下。
杉浦35400 市橋 19400 寺戸33600 勝又30600 供1.0
7巡目に勝又先制リーチ。
リーチ ドラ
11巡目に寺戸も追いつき手がぶつかる。
リーチ
両者にとって勝負所。模打に力が入り、場面に言いようの無い重い空気が流れる。
勝又のシャンポンの片割れ、は場に1枚、杉浦の手に一枚で、両者の待ちであるドラのは残り1枚。そこに・・・
『リーチ!』
親番の市橋さんである。
15巡目に追いつき、そして次巡手が開かれた。
リーチ 一発ツモ ドラ 裏
強烈な8000オールでベスト16に駒を進める。
市橋さん
3回戦終了時最終成績
杉浦+33.0P 市橋+25.0P 勝又▲9.0P 寺戸▲49.0P
勝ち上がり:杉浦勘介(連盟)、市橋篤文(一般)
左から、西島一彦(連盟)、櫻井秀樹(連盟)、中西正行(一般)、小池美穂(最高位戦)
1回戦、東四局、6巡目に親の西島が先制リーチ。
10巡目、小池に四暗刻のテンパイが入るがここは流局。
南一局、親は小池に変わり、先制リーチ。押し返していた中西さんからロンの声がかかる。
開かれた手は国士無双。痛恨の放縦となってしまうが、まだ1回戦。諦めるわけにはいかない。
2回戦は見事トップをとり、2着争いに食い込む。
櫻井秀樹
2回戦終了時成績
中西+70.7P 櫻井▲11.6P 西島▲25.0P 小池▲34.1P
3回戦、2着を狙う3者の激しいデッドヒート。成績を見ても分かるように、僅差で勝負が決まった。
3回戦成績
西島+25.6P 櫻井+6.4P 小池▲10.3P 中西▲22.7P
3回戦終了時最終成績
中西+48.0P 西島+0.6P 櫻井▲5.2P 小池▲44.4P
Aリーガーの櫻井と女流最高位の小池が敢え無く敗退。
小池美穂
勝ち上がり:中西正行(一般)、西島一彦(連盟)
左から、木原浩一(協会)、宮崎皓之介(連盟)、山田浩之(連盟)、猿川真寿(連盟)
1回戦終了時成績
宮崎+33.9P 木原+8.3P 猿川▲11.8P 山田▲30.4P
2回戦、東二局1本場、連荘中の山田。3巡目に木原の先制リーチが入る。
受けつつも終盤にこのテンパイを入れ、反撃成功。
リーチ ロン 裏
持ち点を6万点オーバーとし、1回戦の成績をひっくり返す。
山田浩之
2回戦終了時成績
宮崎+46.6P 山田+19.9P 猿川▲32.2P 木原▲34.3P
最終戦オーラス今度は木原がトップ目に。
山田 18100 宮崎 21300 猿川 24300 木原 56300
山田は2着条件、猿川はツモなら三倍満であったが、木原の4000オールで終了。
山田、猿川の両名はここで敗退。
猿川真寿
勝ち上がり:宮崎皓之介(連盟)、木原浩一(協会)
左から、木原浩一(協会)、杉浦勘介(連盟)、紺野真太郎(連盟)、魚谷侑未(連盟)
昨日の本戦を堂々の4連勝で飾りベスト16の切符を手に入れた紺野真太郎。満を持しての登場である。
しかし、相手は先刻ベスト28を勝ち抜いてきた選手達。立ち上がりは苦しい展開となる。
1回戦終了時成績
木原+49.2P 魚谷▲5.4P 紺野▲16.0P 杉浦▲27.8P
2回戦、初戦を一人浮きで終えた木原が、東一局、東二局と連続で満貫をツモ和了り、首位の座をより強固なものとする。
それにより、他の3者は残り1席をかけた戦いを強いられる事となった。
南一局、場面が動く。
親番は魚谷。木原が先制リーチをかけると、魚谷が追いつき–で追いかけリーチ。
をポンしていた紺野がツモってきた牌は。
は暗刻でかかえていて、カンをした後リンシャンからツモ。それが跳満の和了り牌であった。
暗カン ポン ツモ
2回戦終了時成績
木原+65.7P 紺野+15.2P 魚谷▲35.8P 杉浦▲45.1P
最終戦、魚谷が3000,6000そして4000オールと和了り、南三局でツモれば逆転という所まで肉薄するが、紺野自ら決着をつけベスト8進出。
紺野真太郎
紺野『1回戦苦しかったけどラス抜けできた事が大きかったです。ターニングポイントはリンシャンから跳満をひけた局。木原さんが抜けた分、お互いにテーマが一致したところがあるので、その後は優位に進める事ができたと思います。
しかし魚谷の追い上げは凄かった、さすがです!』
3回戦終了時最終成績
木原+54.1P 紺野+24.6P 魚谷▲0.9P 杉浦▲77.8P
勝ち上がり:木原浩一(協会)、紺野真太郎(連盟)
左から、宮崎皓之介(連盟)、小車祥(連盟)、小西隆之(一般)、中西正行(一般)
そしてこちら、昨年度のマスターズ覇者で紺野と同じくベスト16シードの小車祥。小車にとって今期のマスターズ初戦となるため、いかに勝ち上がってきた選手の温度に順応できるかが鍵となる事は間違いないであろう。
小車祥
1回戦、(起家から中西、小西、小車、宮崎)東一局、小車からリーチの声。流局かと思われた矢先、タンヤオのみで宮崎がチーテンをとり、本来回ってこない小車にハイテイを回す。
『3000,6000!』
私はこの和了りを見て、他の卓の観戦に足を向けたのであるが、終局時のポイントは逆転していた。
1回戦終了時成績
小西+24.5P 宮崎+7.2P 小車▲5.3P 中西▲26.4P
2回戦、ベスト28で国士を和了った中西さんがトップでトータル2着に浮上。宮崎は連続2着でポイントを伸ばし、トータル首位で最終戦を迎える。
宮崎皓之介
2回戦終了時成績
宮崎+26.1P 中西+8.8P 小車▲15.9P 小西▲19.0P
最終戦オーラス、小車はマンツモ条件で、10巡目にタンヤオドラ2のイーシャンテンまでいくがテンパイ叶わず、小西さんは倍ツモ条件で、条件を満たすメンチンリーチまでこぎつけるが敢え無く流局。
3回戦終了時最終成績
宮崎+16.7P 中西+16.5P 小車+5.7P 小西▲39.9P
勝ち上がり:宮崎皓之介(連盟)、中西正行(一般)
左から、西島一彦(連盟)、蛯原朗(連盟)、滝沢和典(連盟)、芝美穂子(一般)
1回戦東一局、蛯原の親番を西島が捌くと、迎えた親番。
リーチ ツモ
高めツモで4000オールと好スタート。さらに2回戦東一局、親番は西島。
リーチ
こちらもあっさり高めをツモ和了り6000オール。
西島一彦
南一局、好調の西島が親番であるが滝沢がこの手で先手を取る。
??リーチ
しかし芝さんが置いたにロンの声。
9600をヤミで和了り追撃を許さない。
滝沢は東場の親では芝さんのハネツモを親っかぶり、南場の親でも芝さんのマンツモを親っかぶりと進退両難。
2回戦終了時成績
西島+77.7P 蛯原▲1.1P 芝▲12.1P 滝沢▲64.5P
最終戦オーラス持ち点は以下
西島 29000 蛯原 39000 滝沢 11400 芝 40600
蛯原と芝さんの息を呑むような戦いとなったが、芝さんがこれを制した。
芝さん
勝ち上がり:西島一彦(連盟)、芝美穂子(一般)
左から、市橋篤文(一般)、坂本大志(最高位戦)、渋川難波(協会)、和久津晶(連盟)
1回戦終了時成績
市橋+43.5P 坂本▲1.7P 和久津▲14.0P 渋川▲27.8P
坂本大志
2回戦、南一局親番は渋川。
和久津と渋川の手がぶつかる。
和久津先制
??リーチ??ロン??ドラ??裏
渋川
??リーチ
渋川がをつかみ和久津へ8000の放銃となった。
南二局1本場、和久津が満貫をツモり3者のポイントが横一線となる。
??ポン??ポン??ポン??ツモ
2回戦終了時成績
市橋+29.8P 坂本+20.0P 和久津+19.9P 渋川▲69.7P
最終戦、東一局、和久津が渋川から決定打となる18000を和了り、ベスト8進出。
和久津晶
勝ち上がり:和久津晶(連盟)、市橋篤文(一般)
ベスト8A卓:市橋篤文(一般)vs紺野真太郎(連盟)vs西島一彦(連盟)vs宮崎皓之介(連盟)
ベスト8B卓;木原浩一(協会)vs芝美穂子(一般)vs中西正行(一般)vs和久津晶(連盟)
カテゴリ:麻雀マスターズ レポート