静岡プロリーグ レポート/第23回静岡リーグ決勝観戦記
2015年01月05日
去る8月17日(日)、第23回静岡リーグ決勝戦が行われた。
静岡リーグは予選5節、計20半荘を戦い、上位5名が決勝進出となる。
また、予選通過順に 1位通過+40.0P 2位通過+30.0P 3位通過+20.0P 4位通過+10.0P 5位通過+0.0P この通過ポイントが加算される。
決勝戦は全6回戦行われ、5回戦終了時にポイント最下位の者はここで敗退となる。
栄えある決勝の舞台に勝ち進んできたのは、この5名。
1位通過 竹内 仁さん
(一般 第20・21回静岡リーグ優勝)
一般で最高の成績を残している決勝戦の常連。
そして、今回の優勝候補筆頭。
コメント「あまり周りを気にしないで、自分の麻雀が打てれば良い。」
2位通過 田中 良典さん
(一般 初出場)
予選では2度のベストスコアを叩き出す破壊力を見せた。
初の決勝の舞台となるが緊張に打ち勝ち、予選で見せた破壊力を再現してもらいたい。
コメント「みなさん強くて経験もあるので、気持ちで負けないようにがんばりたい。」
3位通過 舟橋 晃さん
(一般 第10回静岡リーグ優勝)
予選では最終節に役満をアガリここ一番の勝負強さを見せた。
過去に優勝経験もあり、決勝での気負いは無いようにうかがえる。
コメント「いつも通りの麻雀が打ちたい。」
4位通過 平野敬悟プロ
(静岡支部 初出場)
今期プロデビューしていきなり、D3リーグ昇級と静岡リーグ決勝進出と結果を残す。
アガリ出したら止まらなくなるタイプなだけに、いかに早く自分の時間帯を作れるかがポイントになる。
コメント「決勝戦ということを意識しないで、普段通り打ちたい。」
5位通過 鷲見 隼人プロ
(静岡支部 第13回 静岡リーグ優勝)
通過ポイントは+0.0Pとなるが、強烈な爆発力を持っているだけに一気に首位へ躍り出ることも予想される。
コメント「せっかくのチャンスなのでモノにしたい。対戦相手が良いので、良い決勝戦をお見せします。」
(以下敬称略)
1回戦(起家から、田中・平野・鷲見・舟橋)抜け番:竹内
東1局は舟橋の1人テンパイ、東2局は鷲見の1人テンパイと、2局続けて流局となる静かな立ち上がり。
初アガリは東3局2本場。
舟橋が7巡目リーチ。
リーチ ドラ
いきなりのチャンス手だったが、すぐに親の鷲見からが出て3,900は4,500のアガリとなった。
南場に入ると緊張がほぐれてきたのか、全員の摸打が早くなってくる。
南1局は流局、南2局1本場、舟橋に本手が入る。
暗カン ツモ ドラ
この2,000・4,000をアガリ一歩抜けだした
南3局、親の鷲見が先制リーチをするも、平野が300・500をツモアガリ。
南4局、舟橋がテンパイで1本積むが、1本場はノーテンで流局。
1回戦は、チャンスを確実にものにした舟橋の1人浮きとなった。
1回戦成績
田中▲14.9P 平野▲4.4P 鷲見▲7.5P 舟橋+25.8P
1回戦終了時
舟橋+45.8P 竹内+40.0P 田中+15.1P 平野+5.6P 鷲見▲7.5P
2回戦はいよいよ予選1位通過の竹内登場。
2回戦(起家から、竹内・平野・鷲見・田中)抜け番:舟橋
東2局2本場、本日アガリの無い鷲見にチャンス手が入る。10巡目、ホンイツ・七対子のテンパイ。
ドラ
しかし、今日の鷲見は簡単にはアガらせてもらえない。
15巡目に竹内のピンフに放銃。
東3局、平野に本手が入り8巡目リーチ。
リーチ ドラ
1回戦にポイントを減らしてしまった平野、ここは何としてもアガリたいところ。
しかし、ここでも竹内が300・500をツモアガリ、チャンス手を巧みに捌く。
ポン ツモ
この連続のアガリで竹内に流れが傾くかと思われたが、南1局2本場まで流局が続く。
そして南2局3本場、竹内にホンイツ・七対子のテンパイが入る。
ドラ
竹内のアガリかと思われたが、先ほどチャンス手を潰された親の平野が、お返しとばかりに1,000は1,300オールをツモ。
南2局4本場、勢いに乗ってさらに加点を狙う平野は
チー ドラ
このテンパイを入れる。しかし、今度は竹内がアガリ返す。
ツモ ドラ
この1,300・2,600は1,700・3,000をアガリ、竹内がトップ目に立つ。
ここで竹内が大きなトップを取ると、予選通過ポイント+40.0Pがあることから早くも優勝が見えてくる。
それだけに他の3人は竹内の独走をなんとかして阻止したい。
南3局、親の鷲見に待望の初アガリが出る。
ポン ロン ドラ
この7,700をトップ目の竹内からアガる。
このアガリで全員の点差がほとんど無くなりオーラスを迎える。
得点状況は 竹内29,000 平野29,600 鷲見29,500 田中30,900 供託1,000
日本プロ麻雀連盟のAルールは順位点が少なく設定されているが、1人浮きなら+12.0Pが加算される。
静岡リーグの決勝戦は6回戦の短期決戦だけに、この順位点は大きな加点になる。
南4局3本場、競技麻雀では珍しく4人全員がアガリに向かい、3人にテンパイが入る。
田中
ポン ドラ
竹内
チー ポン ポン
鷲見
ポン
そして、この競り合いを征したのは竹内。をツモリ1人浮きとなり優勝に向けて大きく前進した。
2回戦成績
竹内+14.9P 平野▲4.2P 鷲見▲9.3P 田中▲1.4P
2回戦終了時
竹内+54.9P 舟橋+45.8P 田中+13.7P 平野+1.4P 鷲見▲16.8P
3回戦(起家から、平野・竹内・鷲見・舟橋)抜け番:田中
東1局、1回戦で1人浮きの舟橋が抜け番から戻り、いきなりチャンス手が入る。
配牌
ドラ
この配牌からドラを重ねて2巡目リーチ。
リーチ ツモ
この2,000・3,900をアッサリと6巡目にツモアガる。
このアガリから、舟橋の状態がかなり良いように感じられる。
東2局、6巡目に先制リーチをしたのは鷲見。
リーチ ドラ
3メンチャンの待ちだが、今日の鷲見は本当にアガリが遠かった。
ツモ切りが続いている間に親の竹内に追い付かれ、アタリ牌を掴み痛恨の12,000の放銃となる。
ポン ロン
東2局1本場、竹内の独走を許すわけにはいかないと、好調の舟橋が七対子・ドラドラをテンパイ。
しっかりとヤミテンに構え、竹内からを召し捕る。
ロン ドラ
東3局、前局8,300を放銃した竹内から5巡目リーチが入る。
ドラ
これを鷲見からアガり7,700の収入。
親の鷲見はトータルラスということもあり若干前のめりになっていた感はあるが、こんな不調な鷲見を見るのは初めてだった。
3回戦成績
平野+1.8P 竹内+6.7P 鷲見▲29.6P 舟橋+21.1P
3回戦終了時
舟橋+66.9P 竹内+61.6P 田中+13.7P 平野+3.2P 鷲見▲46.4P
4回戦(起家から、竹内・舟橋・平野・田中)抜け番:鷲見
まだ4回戦だが、田中と平野はトップとこれ以上ポイント差が開いてしまうと優勝が厳しくなるだけに、何としても大きめのプラスにしたいところだ。
特に平野は5回戦目が抜け番だけに苦しい状況。
東2局、その平野が意地を見せる。
ポン ツモ ドラ
ドラのをハイテイでツモり2,000・3,900。
東3局、親の平野はここで勢いを付けたいところだが、舟橋から先制リーチが入る。
リーチ ドラ
しかし、平野はこのリーチに対し冷静に対応し単騎をツモアガる。
チー ツモ ドラ
連続でアガリをものにするが、今日の平野は勢いに乗り切れない。
東3局1本場、竹内が1,300は1,600をアガり平野の親が終わる。
東4局、田中の親番。5巡目から積極的に仕掛ける。
ドラ
ここからをチー。これをしっかりとアガリきる。
ポン チー ツモ ドラ
普段、田中が5巡目からこの仕掛けをするのは、あまり見たことが無い。田中も勝負に出てきている。
東4局1本場、田中が2,000は2,100オールをツモリ、平野をかわしトップ目に立つ。
南場に入ってからも田中は加点を続け、南2局終了時の得点状況は下記となる。
竹内 23,100
舟橋 11,500
平野 37,200
田中 48,200
トータルポイント3番手・4番手の2人が得点を伸ばし決勝戦を盛り上げて行く。
南3局、親は平野。この親でさらに加点したいところだったが、竹内の一撃がでる。
竹内配牌
ドラ
これを10巡目には
四暗刻1シャンテンに育てる。11巡目をポンして次巡を力強くツモり4,000・8,000。
平野は痛恨の8,000を被り原点を割ってしまい、優勝争いから後退してしまう。
トータルポイントトップの舟橋は大きな放銃は無かったものの、1度もアガリが無く▲30.9P。
竹内が優勝へ向け一歩リードする展開となった。
4回戦成績
竹内+15.6P 舟橋▲30.9P 平野▲5.2P 田中+20.5P
4回戦終了時
竹内+77.2P 舟橋+36.0P 田中+34.2P 平野▲2.0P 鷲見▲46.4P
5回戦(起家から、田中・鷲見・舟橋・竹内)抜け番:平野
この5回戦が終わった時点でトータルポイント最下位が敗退となる。
現在首位の竹内が2位に30P以上の差を付けていることから、ここで竹内がトップを取るとほぼ優勝が決まってしまう。
これは他の対局者全員も同じ事を考えていたと思う。
5回戦に入り全員の手牌が重くなる。
初アガリは南1局4本場、竹内。
ポン ロン ドラ
この3,900は5,100を田中からアガる。
南2局、舟橋にチャンス手が入る。
ドラ
この配牌を6巡目にタンヤオ・ピンフ・三色・ドラ2に仕上げ鷲見からアガる。
ロン
南3局、舟橋の1人テンパイ。
南3局1本場、テンパイ一番乗りは舟橋。
ポン ドラ
ここから高目のをツモリ4,000は4,100オール。反撃の狼煙を上げる。
南3局2本場、舟橋・竹内の2人テンパイ。
南3局3本場、舟橋11巡目にリーチ。
リーチ ドラ
同巡に竹内もテンパイを入れ無筋の牌を勝負していく。
勝負どころだ!!
見ているこちらにも力が入る。
数巡ツモ切りが続き舟橋から「ロンッ!」 の声。
竹内から11,600は12,500をアガリ、トータルトップに躍り出る。
5回戦成績
田中▲6.9P 鷲見▲35.6P 舟橋+57.5P 竹内▲15.0P
5回戦終了時
舟橋+93.5P 竹内+62.2P 田中+27.3P 平野▲2.0P 鷲見▲82.0P ※鷲見:規定により敗退
6回戦(起家から、竹内・田中・平野・舟橋)
泣いても笑ってもこの6回戦が最後。
席順は東からトータルポイント2・3・4・1の順で座る。
東1局、平野が竹内から2,000をアガる。
東2局、舟橋の配牌
ドラ
この配牌から、・とツモり2巡目テンパイ。
5巡目にピンフに変わり竹内からアガる。
東3局、田中からリーチが入る。
リーチ ドラ
田中のトータルポイントからして、このリーチが安い筈が無い。
他の3人は丁寧にオリて田中の1人テンパイ。
東4局、最後の親番を前にアガリが欲しい竹内に好配牌が入る。
ドラ
この手をきっちりと7巡目にツモアガリ最後の親番を迎える。
ツモ
南1局、この親が落ちると苦しくなる竹内、10巡目にテンパイしてリーチを打つ。
リーチ ドラ
しかし結果は流局。竹内の1人テンパイ。
南1局1本場、
竹内配牌
ドラ
ここから、とツモりこの1シャンテンになる。
次のツモは。竹内の手が止まった。
この時が田中の河に1枚、が舟橋の河に2枚並んでいる。
小考のあと竹内が選択したのは打。タテの勢いを感じ取ったのだろう。
そして田中からリーチが入る。
リーチ
次巡の竹内のツモは。追いかけリーチをかける。
リーチ
竹内の次巡のツモは。竹内はどう感じただろう。
麻雀に〔たら・れば〕は無いが、小考した時に打かを選択していれば、をツモり4,000オール、リーチをかけた場合は6,000オールになっていた。
この局の結末は流局。
南1局2本場、舟橋が捌きにいく。
ドラ
ここから2巡目にを積極的にポン。8巡目にテンパイを入れ2番手竹内の親を落とす値千金のツモアガリ。優勝へ向け大きく前進した。
チー ポン ツモ
ここまでの得点状況は、
竹内 32,800
田中 29,200
平野 27,200
舟橋 30,800
南2局、竹内が8巡目にリーチを打つ。
リーチ ドラ
もう親が残っていない竹内。是が非でもアガリたいところだが、なかなかツモれない。
親の田中も15巡目にテンパイするが結果は流局。田中・竹内の2人テンパイ。
南2局1本場、舟橋に6巡目テンパイが入り平野から出アガリ。
ロン ドラ
南3局、竹内にチャンス手が入る。
配牌 ドラ
10巡目にテンパイしてリーチを打つ。
リーチ
しかし、11巡目「ツモ」の声は舟橋。
ツモ
残すは南4局のみとなった。
ここまでの得点状況は下記となる。
竹内 31,600
田中 30,000
平野 21,100
舟橋 37,300
現在の得点をトータルポイントに加算すると下記となる。
舟橋 +108.8P
竹内 +66.8P
田中 +28.3P
平野 ▲22.9P
竹内が舟橋を逆転するには、倍満ツモか三倍満直撃。
(静岡リーグの規定では、同点の場合は予選通過順位の上のほうが上位となる。)
南4局、竹内配牌
ドラ
倍満を目指し手を組んで行くが、竹内の手が開かれることは最後まで無かった…。
そして、舟橋がそっと手牌を伏せ、優勝者が決まった。
会場から自然と拍手が沸き起こる。
これは、優勝者を称えるだけのものでは無く、素晴らしい決勝戦を見せてくれた選手全員へ向けられたものだったに違いない。
最終成績
1位 舟橋+108.8P 2位 竹内+66.8P 3位 田中+28.3P 4位 平野▲22.9P 5位 鷲見▲82.0P
舟橋さんおめでとうございました。
また、素晴らしい決勝戦を見せてくれた対局者の皆様、本当にありがとうございました。
カテゴリ:静岡プロリーグ レポート