プロリーグ(鳳凰戦)レポート

プロリーグ(鳳凰戦)レポート/第31期A1リーグ最終節レポートA卓 白鳥 翔

第31期となる鳳凰戦、その最上位リーグのA1リーグも最終節を迎えた。
日本プロ麻雀連盟チャンネルが出来てから、A1リーグの全ての対局をニコニコ生放送でお伝えしてきた。
1年間実況を務めさせて頂いた私、白鳥翔が最終節のレポートを書かせて頂くことになりました。
よろしくお願いします。
12名で行われるA1リーグの最終節は9節目までのポイントによって卓組みが変わる。
9節目までのポイントが9、10、11、12位の下位卓、
5、6、7、8位で行われる中位卓、そして1、2、3、4位の上位卓。
今回行われたのは下位卓でポイント状況とメンバーはそれぞれ
9位  望月▲18.4P
10位 伊藤▲33.7P
11位 柴田▲86.2P
12位 猿川▲258.7P
この様になっていた。
A1リーグは下位2名が降級、上位3名が鳳凰位決定戦進出となる為、この下位卓で注目すべき点は望月、伊藤、柴田、この3名の残留を懸けた闘いというところである。
猿川はポイント上ほぼ降級は免れない形となっていて、実質、猿川とこの3名から1人が降級ということになるだろう。
しかし、それでも上を見ると公言していたのは望月。
9節終了時の決定戦進出ボーダーがともたけの44.7Pであることを考えれば、大きくプラスすることができれば十分に決定戦進出のチャンスは残されている、ということだろう。
しかし、1回戦ポイントを叩くことが出来ない様なら、確実に残留できる様な打ち方に変えてくるだろう。
なぜなら、A1リーグとはその期の鳳凰位決定戦進出者を決める闘いであると同時に、来期の鳳凰位決定戦に進出できる可能性のある者を決める闘いでもあるのだから。
A1リーグにいなければその期は100%鳳凰位は戴冠できない。その事実はとてつもなく重い。……などと思っているのは私だけで、望月は上しか見ないのかもしれないが。
猿川は本番前Twitterなどで「来期に繋がる様な麻雀が打ちたい」と公言していた。
今期の降級は既にしっかりと受け入れて、先を見据えているものだと感じた。
そして柴田。伊藤との差は52.5P差。伊藤が有利なのは間違いないが半荘4回の直接対決なら十分に逆転がある。
各人のテーマが交錯しながら1回戦が始まった。
1回戦、起家は望月。
まずは猿川と2人テンパイで1本積んだ親の望月。
8巡目にこの形でリーチを打つ。
三万四万五万六万七万八万九万七索八索九索一筒二筒三筒  リーチ  ドラ九万
そこにいかにも危険な六索を一発目に河に置いたのが柴田。手牌は
一万二万二万三万九万九万一索一索二索二索三索東東
と、倍満まで見えるこの形。13巡目に三索を引き入れ小考して二万切りのツモれば倍満の勝負リーチ。
一万二万三万九万九万一索一索二索二索三索三索東東  リーチ
これを望月から出アガリ、もしくはツモアガリとなれば、差が一気に35~40P程縮まる所だったが、リーチ時点で山には柴田の待ちは無かった。
終盤、三万を柴田が掴んで珍しく強めに卓上に放った。望月が柴田から3,900は4,200のアガリとなった。
この親で4本場まで積み、持ち点は40,000点を越えた。
点数自体は増えているのだが、望月としてはあまり感触が良くなかったのではないかと私は感じでいた。
アガリは1本場の4,200だけで、後はリーチが空振りしてのテンパイ料での収入。
決して本調子とは言えないだろう。
4本場は伊藤がきっちりと捌いて300・500は700・900のツモアガリ。
東2局は、柴田の親番で猿川がメンゼンでドラ単騎の1,000・2,000をツモると、次局の親番では簡単に4,000オールを引きアガる。
柴田にとっては非常に苦しい展開だ。
東4局の親番では伊藤がベテランらしい落ち着いたプレーを見せる。
8巡目に親で
二万二万二万四万五万六万七索八索一筒二筒三筒東東  ドラ九筒
この形でリーチを打たず役無しのヤミテン。
すぐに望月から打たれた東をポンして役アリに変化。
望月から六索を討ち取って2,900のアガリとなった。
文章にしてみれば簡単なことかもしれないが、落ち着いていて相手との間合いも兼ねた的確なプレーだなと私の目には映った。
次局も伊藤は
一万二万三万三索三索四索五索五索七索八索九索三筒三筒  ドラ白
このカン四索テンパイから三筒を引いてもノータイムでツモ切り。
あくまで勝負手以外はリーチはしない構えだ。
これをテンパイしていた猿川から捕らえて2,000は2,300のアガリ。
ここから望月は決定戦に向けて加点をしに前にでるが、それが捕まってしまい猿川に8,000、柴田に5,200放銃で一気にラス目に。
オーラスを迎えて、伊藤は安定感のある絶妙な打ち回しで原点以上をキープ。
ラス目にいた望月だったが七対子ドラ2を柴田から直撃してラス抜けに成功。
柴田がラスとなってしまった。
2回戦は、東2局に伊藤が柴田から7,700をアガリ、2回戦は柴田が大きめのラスで2連続ラス。
対して伊藤は、沈みながらもわずか300点の沈み望月は浮きの2着で終わり、伊藤、望月2人が崩れることは最後まで一切なかった。
望月、伊藤はしっかり打ちながらもどこかで一気にポイントを伸ばそうとするが、今節好調の猿川がそれを阻む形となった。
中位卓の結果を待たずしてほぼ降級となってしまった柴田、猿川だが対局終了後のインタビューでは後ろ向きなコメントは一切なかった。
柴田は「もし負けるなら来期に向けてこう負けようと思っていた、来期頑張ります」と、穏やかな表情で語り、猿川は「来期もちろん昇級は目指すが、猿川が弱いのではなくA1が強いということを証明したい」と語ってくれた。
この原稿を書いている現在、ほぼ来期のA2で闘う者たちは決まっているが、今期かそれ以上に楽しみなメンバーになることは間違いない。
来期はA1、A2リーグ共に全卓配信される予定なので皆様楽しみにしていて下さい!