特集企画/天空麻雀16 男性大会決勝レポート 佐々木 寿人
2015年01月16日
ツモ ドラ
これは第1回天空麻雀予選2回戦、東1局に飛び出した灘麻太郎のアガリ形である。
現会長である森山茂和は、このアガリを見て天空麻雀の成功を確信したと言う。
あれから6年、天空麻雀も今回で第16回大会を迎えることとなった。
視聴者の皆様にはただただ感謝を申し上げるばかりだが、我々プレーヤーは決して現状に満足してはいない。
見て頂く側としてどういう麻雀を提供できるか。
これは我々にとって終わりのない永遠のテーマなのである。
では早速、予選を勝ち上がった4名を紹介していこう。
瀬戸熊直樹
「対戦相手は皆先輩で優勝経験のある方ばかりなので、僕は胸を借りるつもりで目一杯腕を振っていきたい。」
これで6回目の出場となる瀬戸熊だが、未だ優勝はゼロ。
鳳凰戦や十段戦では常に優勝候補筆頭に挙げられ、その実力は誰もが認めるところ。
今回は短期戦だけにいつも以上に攻めの姿勢を持ち続けられるか、これが鍵となる。
灘麻太郎
「ここまできたら皆優勝を狙っていると思うので、強い気持ちで打ちたい。」
前回の天空麻雀15で第2回大会以来の久々の優勝を飾った灘。
変幻自在な戦いぶりはまだまだ健在。
連覇、並びに4度目の優勝を目指す。
荒正義
「前回優勝の灘さんの親はマーク。」
実に荒らしいシンプルなコメントであるが、決勝に向けてのシミュレーションはできているということか。
特筆すべきは16回中予選敗退がただ一度という抜群の安定感だ。
しかし意外にも優勝は1回きり。
天空麻雀15で灘に捲られた借りをここで返せるか。
森山茂和
「最近決勝に残っていなかったので、しっかり勝っておきたい。6回(優勝回数)にしておけば、次は4だからね。」
天空麻雀優勝5回は歴代最多。
過去の実績だけでなく、勝つための戦い方を熟知していることからも、優勝候補ナンバーワンと言ってもいいだろう。
ちなみに4というのは私のことを指しているのだが、今回は(も)あえなく予選敗退。
他の追随を許さず、更なる高い壁となって立ちはだかるか。
1回戦東1局、5巡目に親の瀬戸熊が1シャンテンとなる。
ツモ ドラ
連盟のリーグ戦ならここでマンズかソーズのターツを払いにいきそうなところだが、瀬戸熊はここで打を選択。
親ということ、更には一発、裏ドラ、赤入りのルールということも考えての一打である。
最高形はドラを重ねての456三色。これが決まれば願ってもないスタートとなる。
しかし同巡、西家の灘が先制リーチ。
打点こそ低いものの、主導権争いは譲らないといったところか。
対する瀬戸熊も真っ向勝負の構えをとるが、なかなかテンパイが入らない。
そうこうしている間に北家の森山も追いついてくる。
ツモ
灘のリーチには、とが通っているが、その後打ち出していくことになるととの危険度で少考する森山。
森山の目からはが3枚見えていて、はワンチャンス。
開局ということもあり、345の三色で決めたい手牌には見えたが、結局森山が選択したのは打。
しかしこれが裏目となる。
次巡にを掴んで灘に1,300の放銃である。
仮に森山がこのを捉えられれば、山にはが2枚と、が3枚。
そうなればアガリ目も十分あっただけに痛い打ち込みになってしまった。
流局が2回続き、迎えた東2局2本場、西家の森山が積極的に仕掛ける。
ドラ
ドラがトイツということもあり、ここからをポン。
これがあっさりまとまって、6巡目に灘から3,900は4,500(供託2)の出アガリとなった。
ポン ロン
これで開局の放銃も帳消し。森山がトップ目に立つ。
続く東3局は、初優勝を狙う瀬戸熊にとって痛恨の1局となる。
まず局面が動いたのは8巡目。
北家の灘がを引き込んでリーチと出る。
ツモ ドラ
灘の捨て牌は以下。
それを受けての瀬戸熊の手牌がこうだ。
ツモ
まずは現物のを切って様子見の構えである。
続けて次巡がツモ。
ツモ
ここでは素直に打として1シャンテン。
そして迎えた12巡目、遂に瀬戸熊も追いつく。
ツモ
場には、が3枚飛んでいるが、瀬戸熊にとってもここは勝負所である。
「よし、追っかけだ!」
控え室で見守る者達からも自ずと声が上がる。
だが、ここで瀬戸熊はテンパイ取らずの打とする。
「うわー、どうしちゃったんだよ瀬戸熊さん!」
灘の異様な捨て牌がそうさせたのか、、の枚数がそうさせたのかはわからない。
ただ、瀬戸熊がを勝負してリーチを選択しなかったことだけは事実である。
それを嘲笑うかのような灘のツモ切り。
これを目の当たりにして、巡を追うごとに崩壊していく瀬戸熊の手牌。
本来なら終わっていてもおかしくない1局だけに、これでまた別の局面が生まれていく。
丁寧に回しながら打っていた親の荒が、残り2巡というところでリーチだ。
しかし、このカンは既に山には残っておらず、灘が最後のツモで力強くを引きアガった。
リーチ ツモ ドラ 裏
私も随分と瀬戸熊の麻雀を見てきたが、勝負を先送りするような打ち方はあまり見たことがなかった。
このメンバー相手に隙を見せればしっかり咎められる。
もし瀬戸熊が優勝を逃したとすれば、今局が敗因となることだけは間違いないだろう。
東4局、最初にテンパイを入れたのは西家の灘。
ツモ ドラ
7巡目、打としてヤミテン出アガリでも満貫の七対子だ。
前局に満貫放銃の可能性もあったところを、逆に満貫のツモアガリ。
この局で一気に他家を突き放したいところだ。
しかし次巡、親の森山も追いつく。
ツモ
こちらは赤を切ってのリーチだ。
これに対して灘も一発で入り目のを打ち抜く。
決勝第一戦のトップ争いを占うだけに、2者にとっては重要な1局である。
さぁ決着はいかに…
続きは本編でご覧下さい。
カテゴリ:対局番組レポート