十段戦 レポート

十段戦 レポート/第32期十段戦 ベスト16B卓レポート 猿川 真寿

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十段戦ベスト16B卓進出者は、藤崎智(八段)滝沢和典(七段)山井弘(七段)野方祐介(四段)。
野方って誰。というのが率直な感想だった。
彼について調べていくと、18期生。私と1期しか変わらない。14年目という計算になる。
途中で改名したらしい。旧名を聞くと、12年前ぐらいに会ったことあることを思い出した。
どういう麻雀を打つのかは、記憶になかったが、Twitterで太田がこのようなことを呟いていた。
「連盟で1番仕掛けの多い打ち手です。」
これは非常に興味深い情報だった。
これで展開予想は大体ついたが、誰が勝ち上がるのかは全く予想がつかなかった。
他の3者についてはすでに説明は不要だと思うので、私視点で簡単に書きたいと思う。
藤崎は団体きっての守備型である。野方の仕掛けにどういう対応をするのだろうか?
山井と滝沢が押し返してきたら完全に受ける展開になりそうだ。
その場合、2着勝ち残りのルールだったとしても苦しい戦いになりそう。
滝沢は今、攻めを強化中である。仕掛けに本手をかぶせるのではないかと思われる。
山井は今バランスを崩している感じがする。
それに加えて、多少の空中戦が予想されることを考慮すると、山井の得意な展開になるには野方の動きがプラスに働くか、野方の仕掛けに真っ向勝負でねじ伏せるかということになりそうである。
1回戦、野方が積極的に動いて先手をとっていく。場は軽くなり、小場でどんどん局が進んでいく。
プラスは小さいながらも滝沢の1人浮き。
山井は1人沈みになってもおかしくない状況だっただけに少し安心しただろう。
2回戦は野方に展開が向いてきた。苦しい待ちでもアガリに結びつき、安定感のある卓回しだったと思う。
山井も浮きをキープして混戦になった。
山井の2,600オールで幕を開けた3回戦。そのあとも打点こそないものの着実にアガリを重ねていく。
迎えた南1局。親は山井。6巡目にリーチ。
四万五万六万七万八万九万四索四索七索八索三筒四筒五筒  リーチ  ドラ二索
ピンフのみのリーチだが待ちも悪くなく、調子の上昇も感じていたのだろう。
しかし、これが最悪な結果を招いてしまう。
ここまで一番苦しかった藤崎がうまくまわし打ち満貫をツモアガる。
この後、山井が日の目を浴びることはなかった。
南4局はトップ目の野方が追っかけリーチで3,900オールをツモリ頭ひとつ抜け出す。
三万三万七万七万七万六索七索五筒六筒七筒七筒八筒九筒  リーチ  ツモ五索  ドラ三万
1本場は藤崎が軽く捌いて浮きにまわった。
4回戦も野方の勢いは止まらなく1人浮きで当確となった。
最終戦を迎えたときのポイント状況は、
野方+70.3P、滝沢▲2.8P、藤崎▲25.2P、山井▲43.3P
滝沢と藤崎の一騎打ちとなった。
東2局、藤崎が7,700をアガって差をつめる。
続く東3局にアガって滝沢をかわしたが、東4局に滝沢が
四万四万八索八索一筒二筒三筒四筒五筒六筒七筒八筒九筒  リーチ  ツモ四万  ドラ三万 
これをアガッて捲りかえす。
南1局に親の藤崎がつみ、また差をつける。
リーチで突き放そうとしたところに滝沢がドラポンで真っ向勝負。
残り1枚のアガリ牌は滝沢の手に引き寄せられた。
これで、滝沢は浮きにまわり勝負はついたかに見えたが、南2局、藤崎が
一万二万三万四万六万七万八万九万四索五索六索六筒六筒  ツモ五万  ドラ二万
これをアガリ詰め寄ると、南3局に七対子をアガリ捲りかえす。
藤崎が0.3ポイント上で迎えた南4局。
最後は自力で藤崎がアガリベスト8進出を決めた。
ここで今回の戦いを見ての感想を述べたいと思う。
まず、展開として藤崎もそこまで字牌を絞らなかったこともあり、野方にとっては得意の場になった。
冒頭で書いたように、藤崎としては当然の戦術だったかも知れない。
あとは4者とも、ぎりぎりまで押しかなり見応えのある麻雀だったと思う。
なかでも、藤崎はあの苦しい状況を見事に打破する技術はとても勉強になった。

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