JPML WRCリーグ レポート/第28期チャンピオンズリーグ トーナメントレポート 奈良 圭純
2015年09月04日
チャンピオンズリーグ。今期で28期目となる。
日本プロ麻雀連盟員が参加出来るタイトル戦で、Aルールで行われる。
予選は半年間で各自20半荘を行い、上位29名がトーナメント進出。前回優勝者1名と予選通過1位の2名がベスト16シードとなる。
トーナメントは同一メンツで3半荘行い、上位2名の勝ち上がりとなる。
ベスト28
【1卓】
東谷達也×山口大和×紺野真太郎×小笠原奈央
2回戦終了時
紺野+38.0P 山口+28.0P 小笠原▲32.7P 東谷▲33.3P
会場の都合上、この卓だけ別会場での対局となり、観戦が3回戦のオーラスのみとなってしまったのだが最終戦、東谷がオーラスの親番で1人浮きの50,000点近くまでいくが一歩届かず。
Aリーガーの紺野、山口の勝ち上がり。
1位通過:紺野 真太郎 2位通過:山口 大和
【2卓】
石橋和也×西島一彦×藤原隆弘×小車祥
チャンピオンズリーグ優勝経験のある藤原、石橋と、マスターズ優勝経験のある西島、小車の対決。
西島が1、2回戦とトップを穫り、当確。
2回戦終了時
西島+45.6P 藤原+6.2P 小車▲18.3P 石橋▲33.5P
この日の西島はとにかく強かった。親での連荘こそ少なかったが、とにかくアガリまくる。
ツモ ドラ
三色もドラもない、ど安めのアガリでなんて事はないと思うが、親の小車の手牌が、
ドラ
このヤミテンが入っており、卓外から見ているものにしか分からないのだが、西島のアガリ牌は8枚目の牌である。
藤原も3回戦はラスになるものの、緻密な仕事師らしく小車との点差をきっちり守りきり、勝ち上がりとなった。
1位通過:西島 一彦 2位通過:藤原 隆弘
【3卓】
小川尚哉×柴田弘幸×刀川昌浩×吾妻さおり
A2リーガーの柴田、刀川に、女流桜花連覇中の吾妻、B1リーガーの小川と、ベスト28屈指の好カード。
1回戦、小川がトップ。続く2回戦目に柴田が66,600点の1人浮きの大トップをとる。
2回戦終了時
柴田+34.7P 小川+15.7P 吾妻▲23.4P 刀川▲27.0P
ほぼ上位2人の通過と思っていたが、最終戦の南1局、刀川が親番で
リーチ ツモ ドラ
安めながらもこのアガリを皮切りに2,600オールなど、さらに加点。連荘に成功し、持ち点が70,000点を超える。
終わってみれば3回戦は刀川が71,300点の1人浮きの大トップをとり、大逆転!
小川もオーラスに逆転のテンパイを入れるもツモれずに流局。A2リーガー2人が力を見せつける格好となった。
1位通過:刀川 昌浩 2位通過:柴田 弘幸
【4卓】
野方裕介×富田久志×ガース・ネルソン×古橋崇志
1回戦は野方のトップ。
2回戦に親の古橋とガースの手がぶつかる。
古橋
ガース
ポン ポン ポン ドラ
どちらの待ち牌も山には残っていたのだが、ガースがハイテイでをツモり3,000・6,000。
このアガリで2回戦はガースが1人浮きのトップ。
2回戦終了時
ガース+15.4P 野方+8.7P 富田▲10.2P 古橋▲13.9P
全員にチャンスのある点差。
東場に、富田がターゲットである野方から、七対子ドラ2を打ち取り逆転に成功。
再度古橋が、
ドラ
このテンパイをするも、テンパイ打牌がガースに捕まり終局。
1位通過:ガース・ネルソン 2位通過:富田 久志
【5卓】
安田麻里菜×塚越祐次郎×山脇千文美×斉藤圭司
仕掛けを多様する打ち手が揃った印象。
塚越が親で
ポン ロン ドラ
わずか6巡でのアガリ。1回戦トップで終え、好スタートを切る。
2回戦
塚越が南家で仕掛けを入れて、このテンパイ。
ポン ポン ドラ
親の安田が、この牌姿。
下家の塚越が明らかなホンイツの為、丁寧に対応していた安田だったが、
絶好のドラをツモりリーチ。
塚越がすぐにを掴み11,600のアガリ。
このアガリで2回戦は安田が1人浮きのトップ。
2回戦終了時
安田+27.3P 塚越+8.6P 山脇▲13.9P 斉藤▲22.0P
山脇が最終戦オーラスに逆転するテンパイを入れるが、流局。
安田、塚越がリードを守りきり通過となった。
1位通過:安田麻里菜 2位通過:塚越祐次郎
【6卓】
平野良栄×吉田直×蒼山秀佑×林潤一郎
Aリーグの吉田に、若手3人が挑む。
2回戦終了時。
吉田+20.5P 林+1.6P 平野±0.0P 蒼山▲22.1P
吉田は大きく沈まなければ通過。林と平野は着順勝負。
均衡状態のままオーラスを迎えるが、親の林が平野から
暗カン ドラ ロン
このアガリで、一歩リード。親の林は次局ノーテンでも通過。
平野は直撃はほぼ無理なので、1局勝負で2,000・3,900ツモと、条件は苦しかったのだが、
ドラ
確定三色のテンパイを入れ、きっちりツモって逆転に成功。
1位通過:平野 良栄 2位通過:吉田 直
【7卓】
吉野 敦×土井 悟×柚木 正仁×石立 岳大
石立が、2回戦に
ロン
このメンチンをアガるなどして、3連勝。
もう1枠は3回戦すべて浮きの2着をキープした吉野の勝ち上がりとなった。
1位通過:石立 岳大 2位通過:吉野 敦
ベスト16
ここから、前回優勝者の客野と、予選通過1位の山田が参戦。
【1卓】
客野 直×平野 良栄×石立 岳大×山口 大和
静かな立ち上がりだったが、山口が均衡を破る。
ツモ ドラ
ツモ、タンヤオ、七対子で1,600・3,200。
ドラ表示牌待ちと苦しい受けだが、この時平野がヤミテン。
ドラ
ロン牌をきっちりとめてのツモアガリで、山口が1回戦トップ。
2回戦終了時
山口+9.6P 石立▲1.6P 平野▲1.9P 客野▲6.1P
山口だけ多少有利だが、ほぼ並びで最終戦へ。
ここまであまり大きな点棒の動きはなかったのだが、
東2局平野が親で、
ツモ
この8,000オールでほぼ勝ち上がりを決める。
対局時間が残り5分を切ったところで、跳満が必要だった石立が序盤からタンヤオの仕掛けで2フーロ。
残り時間が40秒を切ったところで1,000点をアガリきり、なんとか親番をむかえる。
東家から、
石立:21,900 平野:59,000 客野:14,100 山口:25,000
時間打ち切りの為、ほぼ1局勝負。石立は30,000点を超えるアガリ、客野は倍満ツモ。
序盤に平野がドラを切ってリーチとくる。
ドラ
石立
石立は通過するにはリーチで高めツモと条件は難しかったのだが、この平野のリーチは石立にとっては渡りに船。
2,600オールもしくは7,700出アガリでも原点復帰するため、条件が緩和された。
程なくを引き入れ、一気通貫確定の七単騎でリーチ。
平野がを掴み、苦しい条件をクリアした石立の勝ち上がりとなった。
1位通過:平野 良栄 2位通過:石立 岳大
【2卓】
山田弘之×安田麻里菜×吉野敦志×藤原隆弘
ここから参戦の山田の、注目の立ち上がり。
ツモ ドラ
ここから暗カンするとリンシャンから絶好のドラのを引き入れリーチ。
親でテンパイを入れていた藤原からアガリ、1回戦を1人浮きのトップで終える。
2回戦
1回戦ラスだった安田に勝負手が入る。
ツモ ドラ
が1枚切れ、、が生牌と、難しい選択だったが安田の選択は打。
見事正解を選び、8,000のアガリ。
その後も安田は加点し続け、60,000点近いトップをとる。
一方、山田は安田に8,000の放銃などで、一万点を割るラスになってしまう。
2回戦終了時
安田+21.9P 藤原+5.5P 山田▲10.9P 吉野▲16.5P
吉野は終始丁寧な打ちまわしをしていたのだが、この日は牌がついてきてくれなかった。
藤原が巧妙なゲーム回しで常に局面をリードし、トップ。
安田もきっちり30,000点をキープし、勝ち上がりとなった。
1位通過:藤原 隆弘 2位通過:安田 麻里菜
【3卓】
紺野真太郎×ガース・ネルソン×吉田直×柴田弘幸
Aリーガー3人の対決となる、注目の一戦。
1回戦は柴田の独壇場。
親、吉田のリーチを受けるも、
ドラ
柴田
ヤミテンでしっかり押しきり、2,000・3,900。
オーラスにも確定のタンピン三色をヤミテンでアガリ1人浮きのトップ。
対して、牌運に恵まれなかったのが紺野。
南場の親で
このヤミテンを入れるも、待ちは山に残ってはいたのだが流局、
次局も5巡で
ドラ
この1シャンテンになるのだが、ガースがあっさり500・1,000をツモ。
2回戦はガースが60,000点のトップを獲り、柴田と共に勝ち上がりを決めた。
1位通過:柴田 弘幸 2位通過:ガース・ネルソン
【4卓】
西島一彦×刀川昌浩×塚越祐次郎×富田久志
開局すぐに、手がぶつかる。親、塚越のリーチ。
リーチ ドラ
北家、富田も追いつきヤミテン。
ここは富田が制し、塚越から12,000。そのままトップをとり、好スタートを切るが、2回戦以降は刀川と西島がアガリまくる。
刀川、リーチ。
リーチ ロン ドラ
西島
ポン ロン ドラ
富田にラスを押しつけ、逆転。
2回戦終了時
西島+25.4P 刀川+20.5P 富田▲2.2P 塚越▲43.7P
3回戦も西島が加点し、1人浮きのトップ。刀川もリードを守り、勝ち上がり。
1位通過:西島一彦 2位通過:刀川昌浩
ベスト8
あと1つ勝ち上がれば決勝の舞台に立てる為、ここからのプレッシャーは相当なものとなる事は想像に難くない。
ここまで6半荘も打っているだけに、各選手、気力、体力共に相当消耗していると思われるが、疲労感を出しているものは誰もおらず、各者卓についていく。
【1卓】
平野良栄×安田麻里菜×柴田弘幸×刀川昌浩
東2局から柴田が大物手を連発する。
ツモ ドラ
ツモ・ホンイツ・三暗刻で3,000・6,000。次局の親番では
ロン ドラ
白、チャンタ、三色、ドラ1で18,000。6巡でのアガリで、これに飛び込んだのが安田。
南場の親でも
ロン
高めのを平野からアガリし、60,000点超え。
安田は南場の親で失点を取り返そうとリーチを打つが、
ドラ
柴田のチーで、南家平野に高めのが喰い流され、暗カン。
暗カン
待ちの薄くなった安田が掴み、平野が満貫のアガリ。
次局、平野の親で刀川と手がぶつかる。
刀川
リーチ ドラ
平野
リーチ
この勝負所も制したのは平野。4,000オールで原点復帰。
平野はオーラスにも役牌ドラ3をアガリ、さらに加点することに成功。
1回戦終了時
柴田+39.7P 平野+18.5P 安田▲25.1P 刀川▲33.1P
1回戦をいい形で終えれた平野の調子が良い。
平野
暗カン リーチ ツモ
満貫のツモアガリ。こうなると、追う刀川と安田は厳しい。
親・刀川
ドラ
このリーチを2巡目に打つも、流局。
安田も
ポン チー ツモ ドラ
この4,000・8,000で平野に親かぶりさせるも、平野の原点を割ることが出来ず。
オーラスは柴田がヤミテンで400・700をすぐにツモり終局。
3回戦に刀川、安田共に浮きにまわり、平野に1人沈みのラスを押し付けるも、時既に遅し。
柴田、平野の勝ち上がりとなった。
1位通過:柴田弘幸 2位通過:平野良栄
【2卓】
石立岳大×藤原隆弘×ガース・ネルソン×西島一彦
この日絶好調の西島。ここまで6半荘で4トップ2着2回。7半荘目となる今半荘も、全く手が落ちない。
ツモ ドラ
あっさりツモり、3,000・6,000。
1回戦を1人浮きのトップで終える。
1回戦終了時
西島+33.0P 石立▲2.2P 藤原▲9.2P ガース▲21.6P
2回戦も西島が、メンゼンで三色、役牌をツモアガリ先行する。
オーラスまで微差ながら、またしても西島の1人浮き。
親の石立が、
リーチ ツモ ドラ
この2,000オールでトップ目に立つが、続く1本場、ガースの2巡目リーチ。
リーチ ドラ
石立が手詰まり、3,200の放銃。石立が2着に転落し、展開も味方につけた西島が、またもやトップ。
2回戦終了時
西島+46.0P 石立+6.4P 藤原▲20.0P ガース▲32.4P
西島は当確。藤原、ガースは石立を沈めてのトップ条件。
西家・藤原
リーチ ツモ ドラ
ドラこそないが、字風のをツモり1,000・2,000。
親番でもターゲットである石立から2,900を打ち取り、微差ながらも並びが出来上がる。
1本場。石立
ツモ ドラ
不本意ながらもリーチを選択、石立の1人テンパイで流局。
2本場、藤原がドラの待ちの七対子でリーチ。
石立も勝負手の1シャンテン。
石立
ツモ
ここで石立は打を選択。安全牌もなくがドラ表示で1枚、場に1枚見えているため、
当たり前と言えば当たり前なのだが、次のツモが。
藤原の捨て牌にが切られ、石立の顔が歪む。
山にまだが残っていたため、藤原のアガリもあるかと思ったが、藤原の1人テンパイで流局。
3本場供託2本
石立
ツモ ドラ
打でリーチ。
ここで親の石立にアガられると、相当厳しくなるため藤原も仕掛けて応戦。
藤原
ポン
無スジをどんどん切り飛ばしていくが、なかなかテンパイが入らない。
石立がをツモり、1,000は1,300オール。
次局も石立の1人テンパイと、少しずつ加点していく。
オーラス、親番の藤原は2,600オールで捲れる位置にいたが、石立が自身の手で喰いタンをアガリきり、勝ち上がりを決めた。
1位通過:西島一彦 2位通過:石立岳大
藤原「俺は4年に1回しか勝てないんだよ、まだ2年しかたってないからな、はっはっは。」
(敗者からコメントをもらうのは非常に気が重いのだが、藤原は自らコメントを言いにきてくれた。(笑)藤原は8期、16期、24期と、過去3度チャンピオンズリーグを優勝しており、4年おきに優勝している為。)
Aリーガーの柴田、23期マスターズの西島に、若手の石立、新人の平野と多様な選手が揃った。
どんな決勝戦になるのかは正直、想像するのが難しいが、熱い戦いになるのは間違いなしである。
最後に、ファイナリスト4名に意気込みを聞かせて頂いたので、そのコメントでしめさせていただく。
柴田「チャンピオンズリーグの決勝は3回目。3度目の正直で勝てるように頑張ります。」
平野「初めてのチャンスなので精一杯頑張りたいと思います。」
西島「チャンピオンズリーグ決勝は2回目で、前回悔しい思いをしました。今回は頑張りたいと思います。」
石立「疲れた・・・。ベスト16がいちばんキツかった。がんばるよ。」
決勝は9月19日(土)13:00 日本プロ麻雀連盟チャンネルにて、ON AIR!
カテゴリ:JPML WRCリーグ レポート