プロクイーン決定戦 レポート/第13期プロクイーンベスト8B卓レポート 編集部
2015年10月29日
A卓から2日後。ベスト8B卓が行われた。
宮内こずえがまさかの敗退。
B卓の選手はA卓の試合をどのような気持ちで観戦したのか。
この日試合開始約2時間前に姿を現したのは優木。
優木美智
初代女流桜花。昨年のファイナリスト。
女流桜花では降級を経験したが、今期はAリーグに復帰可能な位置につけている。
(掲載時点でAリーグ復帰を決めた)
女流桜花Bリーグ
1回戦 起家から(鳥越・優木・茅森・瑠美)
厳しいとされるこのB卓の初アガリは優木。
気迫と、覚悟のようなものが表情から見て取れる。
東2局 鳥越に手役。
ロン ドラ
ヤミテンに構え茅森から5,200。茅森にとってはボーンヘッド。
しかし、次局の親番でチャンス手。
6巡目にテンパイ。
ドラ
ここはヤミテンと構えたが8巡目のツモでほんの逡巡の間。
3者が真っ直ぐ手を組んでいるのを見て、タイミングを計ったか。
瑠美も8巡目にテンパイはずし。茅森のリーチは瑠美の先制リーチによるものだった。
ツモ切りリーチをするも
リーチ 一発ツモ ドラ 裏
瑠美の2,000・4,000。
次局も茅森はリーチを打つが、優木がサバく。感触が悪い。
南1局 親番の鳥越がリーチ。
優木
ドラ
親の現物には。ここはヤミテンを選択する。
そしてツモ。ヤミテンにした以上ということか、打とする。
結果はツモの1,000・2,000。
この始終に優木のプロクイーンへの気持ちが伝わる。
絶対にもう一度あの舞台に立ちたいのだ。
南2局 茅森についにアガリが生まれる。
リーチ ロン ドラ 裏
1シャンテンでとを手中に残す切りが秀逸。
安全牌に屈し、一枚切れのをトイツ落としとした鳥越の放銃。
これで鳥越は4着に落ちる。
南4局は親番瑠美からリーチが入るも流局。
続く1本場は優木がアガリきりトップで1回戦を終えた。
ベスト8の卓割が発表されて以降、「厳しい卓に入ったね」周囲の会う人全員にそう言われたそうだ。
対戦相手のほうが上だ。そう聞こえてしまった。悔しかった。
1回戦成績
優木+30.8P 瑠美+11.8P 茅森▲14.2P 鳥越▲28.4P
2回戦 起家から(優木・瑠美・茅森・鳥越)
この2回戦は接戦となった。
東1局、鳥越はこのリーチをかけ見事1人テンパイ。
ドラ
東2局
優木
打 ドラ 裏
ここに鳥越もぶつける
鳥越
リーチ
勝負手の茅森も応戦するが、優木のツモアガリ。1,000・2,000。
2局連続で鳥越の戦う姿勢が見受けられる。
鳥越智恵子
最高位戦日本プロ麻雀協会所属。池袋の雀荘のママ。
実力は織り込み済み。決定戦に進んでも何ら不思議ではない。
東3局2本場
鳥越にとっては自然な手順でようやく大物手が成就。
リーチ ツモ ドラ 裏
2,000・4,000。
1回戦4着の鳥越がトップ目に立った。
そして親番を迎えたが、ここは瑠美が400・700。
南場に入り点数状況は以下。
鳥越36,700
優木31,600
茅森29,400
瑠美22,800
南1局 鳥越リーチ。
優木ホンイツの7,700テンパイ。しかし一度もツモらせることなく茅森が400・700。
鳥越、優木ともに引き離せない。
南2局 テンパイ一番乗りは鳥越
ドラ
チャンス手なのだがドラのは2枚切れ。が2枚きれが1枚きれ。ここは打のヤミテンを選択。
次巡、親の瑠美がリーチ。
リーチ
茅森も追いかけリーチ
リーチ
そして鳥越のツモは生牌の。これは茅森のアガリ牌。
ここで鳥越はオリを選択。冷静の一言。打てば8,000の放銃。
そして瑠美の2,000オール。
南4局
鳥越31,900
優木30,500
瑠美29,300
茅森28,300
1着から4着までの差がわずか3,600点。
順位点が15,000点5,000点▲5,000点▲15,000点。
1着順10,000点の差がつく。
全員がトップを取りたいが、鳥越は連続4着は取りたくないところ。
1回戦トップの優木はドラが2枚あることよりもスピード優先で、を1枚目から仕掛ける。
そして現在4着目の茅森からリーチ。テンパイの優木、余ったドラを勝負し放銃。
緊迫した2回戦は茅森に勝ち星が付いた。
2回戦成績
茅森+19.5P 鳥越+6.9P 瑠美▲6.7P 優木▲19.7P
2回戦終了時
優木+11.1P 茅森+5.3P 瑠美+5.1P 鳥越▲21.5P
3回戦 起家から(鳥越・瑠美・優木・茅森)
1人沈みの鳥越であるが、半荘1回で取り返せる差ではある。
ただし4着を引いてしまうと4回戦以降の戦い方に制限がついてしまう。
東1局 鳥越1人テンパイ
東1局1本場 鳥越タンヤオドラ2のテンパイも優木に2,000の放銃。
東2局 親の瑠美のリーチで1人テンパイ。
その1本場。
東家、瑠美の積極的なドラポン
ポン ポン ドラ
そしてヤミテンの入っている南家、優木。
ドラを切った西家、茅森も勝負。
リーチ
最後にテンパイは北家・鳥越。
ツモ
このは親の瑠美に抑えていた牌。切り遅れていることと、待ちの悪さから、冷静であれば止まったか。
5,200は5,500をで茅森に放銃。ここで4着を押し付けられるわけにはいかない鳥越。
親の優木に大チャンス。
ドラ
北家・瑠美の切り出しを見てヤミテンに構えると、鳥越に以下のリーチが入る。
打
全くの同じ待ち取り。ここは鳥越が引き勝つ2,000・4,000。
この時、優木の顔はワイプが捉えていたが全くの無表情。
そして次局、この手を決めてくる。
リーチ ロン ドラ 裏
やはり優木の出来がいい。精神的にも充実している。
この半荘の決まり手はこちら。
リーチ 一発ツモ ドラ 裏
鳥越の4,000オール。
このあと失点もなく見事トップを取り天地逆転の図を作った。
3回戦成績
鳥越+28.0P 瑠美+4.3P 優木▲10.0P 茅森▲22.3P
3回戦終了時
瑠美+9.4P 鳥越+6.5P 優木+1.1P 茅森▲17.0P
各半荘ごとに通過者が入れ替わる。
4回戦 起家から(瑠美・鳥越・優木・茅森)
現在総合1位は瑠美。なんとトップを一度も取らずに総合1位である。
この2名勝ち上がりのトーナメントの戦い方においての瑠美は恐ろしい。
主役にならずともしっかり勝ち上がる方法を知っているのだ。
実はこの4回戦も2着でまとめている。(ここまで2・3・2着)
二階堂瑠美
第11期プロクイーン。昨年は無念の途中敗退となってしまったものの、麻雀の安定感は格別。
天衣無縫でありながら、したたかさも手に入れた。
東1局 瑠美がリーチするも鳥越が500・1,000。
東2局 瑠美のリーチを受け、
リーチ ドラ
南家・優木は以下のテンパイ。
このままだとハイテイは優木。ハイテイ前に打たれたをポンをして、共通安全牌のを打つかと思われたが、スルー。
するとなんとハイテイにはラス牌のが眠っていた。
絶好調の優木の決め手のアガリ。
南2局
リーチ ツモ ドラ 裏
この2,000・4,000。優木はこのアガリでトップをもぎ取り決定戦進出をほぼ手中に収めたか。
1人沈みで始まった茅森、この4回戦、連帯を外してしまう。
最終戦を前に綺麗に並んでいた隊列が少し間隔が空いてしまった。
4回戦成績
優木+24.7P 瑠美+5.7P 茅森▲7.1P 鳥越▲23.3P
4回戦終了時
優木+25.8P 瑠美+15.1P 鳥越▲16.8P 茅森▲24.1P
2着瑠美と3着鳥越の差が31.9ポイント
2着瑠美と4着茅森の差が39.2ポイント
1着順の差が10ポイントの為、簡単に逆転できる数字ではなくなってしまった。
最終5回戦 起家から(茅森・瑠美・優木・鳥越)
東1局 トータルトップ優木が400・700で流す。
東2局 北家・茅森に、このベスト8の苦戦を象徴する出来事。
ポン
1巡目に早くもテンパイ。ドラはなんと。
そして5巡目にが暗刻になり単騎選択。単騎にすると、次巡のツモはなんと。
捨牌は以下。
それ以降、場況と照らし合わせながら待ち取りを選択していくものの、ことごとく裏目を引いてしまう。
そして優木に1,300の放銃。
茅森早香
最高位戦日本プロ麻雀協会所属。天才と称される。
昨年の決定戦では優勝目前で和久津にクイーンの冠を奪われた。
今年こそリベンジを果たしたいところだが、、、、、。
南3局2本場供託1,000
現在の持ち点と総合成績
瑠美35,000(+35.1)
優木31,600(+32.4)
鳥越30,300(▲21.5)
茅森22,100(▲47.0)
残る親は優木と鳥越のみ。
南4局の鳥越がどれだけ粘れるか。視聴者はそう思っていたに違いない。
しかし、、、、
瑠美の初手のを茅森がポン。。。
場が一気に凍る。優木の心境はいかに。
もしここで跳満などをツモアガリされれば、1着、4着の並びが出来てしまう。
すると瑠美+21.9P 優木+6.2P 鳥越▲24.7P 茅森▲3.4P
南4局に、茅森は満貫ツモ。
鳥越はトップになればいいので2,000オール。などで逆転。一気に僅差。
瑠美、優木からすれば直撃はさらに条件を軽くしてしまう。
両者はここから字牌を切ることはなかった。
が、信じられないことが起きる。
これは神様のいたずらか。大きすぎる字一色。
ここまで完璧な戦いぶりをしたかに見えた優木が、天才茅森に捕らえられた瞬間だった。
南4局 逆転手が入った優木。しかし勝利の女神は微笑んでくれなかった。
最終戦成績
茅森+42.2P 瑠美+1.4P 鳥越▲13.6P 優木▲30.0P
最終戦終了時
茅森+18.1P 瑠美+16.5P 優木▲4.2P 鳥越▲30.4P
決定戦進出 茅森早香(2年連続2回目) 二階堂瑠美(3年連続3回目)
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