グランプリ レポート/第6期麻雀グランプリ MAXベスト16 B卓レポート 小車 祥
2016年03月16日
現鳳凰位。さらに麻雀グランプリMAXの優勝経験もある。今期鳳凰位に続いて二冠を狙う勝又健志。
名誉会長となってからは、選手としてその切れ味が増したのではないかと言われる「カミソリ」こと灘麻太郎。
A2リーグ準優勝でA1リーグ返り咲きを決め、一次予選から勝ち上がりのHIRO柴田。
上位リーガーやタイトルホルダーが名を連ねる中、王位戦準優勝という成績で、一次予選から勝ち上がってきた若手プロの星、29期生の山田学武。
山田は「このメンバーで対局させてもらえるだけでも感謝しています」と謙虚な姿勢を見せていた。
1回戦(起家から、HIRO・勝又・山田・灘)
東1局、まずは親のHIROが先制リーチ。
リーチ ドラ
開局からこの親リーチに対して強くまっすぐ前に出たのが山田。
HIROのリーチ後すぐにテンパイし、その次のツモで以下の手牌。
ツモ
リーチ宣言と共にが切られてHIROへの放銃となる。
7,700。
東3局には親の山田が7巡目にリーチ。
リーチ ドラ
ツモれば2,600オールという手だが、なかなかツモれないと灘がうまく追いついてくるケースは多い。
リーチを受けた段階では以下の手牌だった灘。
ツモ
灘はここから決して安全牌ではないをトイツ落とし。13巡目には追っかけリーチを打つ。
リーチ
灘がこのリーチをハイテイでツモ。2,000・3,900のアガリとなる。
山田は戦う姿勢にアガリがついてこない苦しい展開。
南1局、勝又が仕掛けていく。
ポン 打 ドラ
仕掛けを積極的に使ってくる灘、ここは仕掛け返していく。
ポン 打
勝又は手が進み以下のテンパイ。
ポン
灘も2フーロしてテンパイ。
ポン ポン
この勝負は灘に軍配が上がる。を掴んだ勝又、8,000の手痛い放銃となる。
南3局、16,000持ちのラス目で親番を迎えた山田。
できればこの親番で得点しておきたいところ。むしろ得点しておかねば初戦ラスを受け入れなければならない状況だが、灘が仕掛けを入れ先にテンパイ。
ポン チー ドラ
この仕掛けに対して切りづらいドラを勝負してテンパイを取った柴田。
さらに同巡、勝又にリーチを打たれてしまう。
リーチ
こういう状況になると、さすがにこの親番は連荘を諦めるしかないかと思ったところだったが、山田はギリギリまで粘る選択を続けていく。
その粘りの末、ハイテイ牌でうまくテンパイした山田。いや、結果からすればテンパイしてしまったというのが正しいか。
ツモ
1シャンテンの段階でワンチャンスのを山田が勝負したことで、自らは比較的切りやすい牌になってしまっていた。親番維持に拘った粘りが、この局面では裏目に出てしまう。切られたはホウテイロン。HIROへの8,000の放銃。
このアガリでトップになったHIROがそのまま逃げ切る形となった。
1回戦成績
HIRO+24.6P 灘+12.3P 勝又▲8.9P 山田▲28.0P
2回戦(起家から、山田・勝又・HIRO・灘)
高打点のアガリが飛び交った1回戦と比べ、2回戦は小さな点数の動きで局が進んでいくという展開。
しかしそんな中でもしっかり勝負手を決めてきたのがHIRO。
南3局の親番で以下の手をアガる。
リーチ ツモ ドラ
4,000オール。
そのまま1人浮きのトップでHIROが2連勝。
2回戦成績
HIRO+32.0P 灘▲4.1P 山田▲9.0P 勝又▲18.9P
2回戦終了時
HIRO+56.6P 灘8.2P 勝又▲27.8P 山田▲37.0P
3回戦(起家から、勝又・HIRO・灘・山田)
東1局、ここまで苦しんできた山田がようやく高打点のアガリをものにする。
ポン ロン ドラ
7,700をHIROから直撃。
東4局、勝又の手牌。
ツモ ドラ
ピンフ一気通貫ドラ1でリーチをかけてツモれば跳満まで見える手牌。
しかしここから打とし、手牌構成を変化させていく。
数巡後、以下のテンパイ。
リーチ
すぐにをツモ。1,300・2,600のアガリ。
このレポートで他家の動きや捨て牌の情報を全て伝えることは難しいが、その情報収集能力と状況判断能力の高さは凄まじいものがある。
鳳凰位勝又の凄さの片鱗を見せた1局であった。
トータルトップのHIROが抜けている分、2名勝ち上がりのトーナメントでは当然標的となるトータル2位の灘。
この3回戦でも、追う立場の勝又と山田は3万点台をキープしながらうまくゲーム展開していたように思えたが、南2局に灘が本手を決めて追う立場の相手に厳しい条件を突きつける。
ツモ リーチ ドラ
2,000・4,000。
そのまま灘がトップを取り、残り2回戦にして2人抜けの状態を作り上げた。
3回戦成績
灘+21.1P 山田+8.0P 勝又▲6.6P HIRO▲22.5P
3回戦終了時
HIRO+34.1P 灘+29.3P 山田▲29.0P 勝又▲34.4P
4回戦(起家から、灘・HIRO・山田・勝又)
南2局、勝又がリーチを打つ。
リーチ ドラ
HIROが残り数巡でツモり四暗刻テンパイ。
しかし数巡後、勝又がをツモ。
1,300・2,600のアガリで食らいつきトップ目に立つ。
南4局、1,300点以上のアガリで持ち点原点復帰するHIRO。
ツモ ドラ
この手をツモ。500・1,000。
さらには親被りで勝又が100点差の2着になってしまい、トップは灘。
灘かHIROのどちらかの点数を原点以下にし、最低でもトップを取っておきたかった勝又にとって苦しい展開となる。
4回戦成績
灘+12.0P 勝又+6.9P HIRO+1.7P 山田▲20.6P
4回戦終了時
灘+41.3P HIRO+35.8P 勝又▲27.5P 山田▲49.6P
5回戦(起家から、HIRO・勝又・山田・灘)
トータル2位のHIROとトータル3位の勝又のポイント差が63.3Pと、追いかける勝又と山田にとってはかなり苦しい最終戦となった。
無情にも南3局の山田最後の親番もノーテン。
勝又には以下のテンパイが入っていたが、四暗刻までは伸びきらなかった。
ドラ
5回戦成績
HIRO+11.0P 灘+5.0P 勝又▲6.2P 山田▲10.8P
5回戦終了時
HIRO+46.8P 灘+46.3P 勝又▲33.7P 山田▲60.4P
見事ベスト8へ勝ち上がりを決めたのはHIROと灘。
「今日の対局、どうでしたか?」
なんの捻りもない質問だが、率直な気持ちが聞けるので、個人的に気に入っている質問を勝ち上がった2人に投げかけてみた。
HIROは「序盤に点数持っちゃったから、押し引きとか難しくなっちゃったかもね」と、勝った試合からも反省点を探す謙虚な発言。
対して灘は「まぁ……普通だな」と冗談めかしながらも、さすがは余裕の言葉をくれた。
ベスト8での対局も楽しみである。
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