北関東プロリーグ レポート/第15期北関東リーグ 決勝レポート
2017年03月24日
鳳凰位決定戦やWRCリーグの熱い話題が絶えない2月某日、北関東プロリーグの決勝が行われた。
今期の決勝進出者が若手中心ということもあり、まずは選手紹介から。
1位通過
小川尚哉(22期)
第33期王位戦3位、グランプリ(2007)3位、更には特昇リーグ優勝など決勝での対戦経験は4人の中で最も豊富。
北関東プロリーグ準優勝、プロアマリーグでは優勝経験もあり、決勝常連組の1人。順当に考えれば大本命。
後輩3人に囲まれた今回の決勝戦、負けられない戦いである。本人曰く雀風は「なんでもやりたい型」。
2位通過
小暮智貴(31期)
第1回モンド新人戦3位。アマチュア時代に北関東プロアマリーグでの準優勝経験がある。
普段から麻雀では負けん気の強さを見せ、自他ともに認める攻撃型。麻雀以外では会社のマラソン部に所属しているそう。
5回戦という決勝戦の長丁場、持ち前の持久力を発揮することができるか。
3位通過
福田雄大(33期)
麻雀プロになって間もない彼にまだ決勝経験はない。雀風は「わかりません」。まだ自身の麻雀を模索中といったところか。
普段は麻雀卓販売の仕事をしているそう。麻雀に関わる職業を選び、麻雀プロの世界へ足を踏み入れ1年目で勝ち取った決勝戦への切符。優勝への思いは計り知れない。
4位通過
塚越裕次郎(28期)
アマチュア時代、北関東プロアマリーグの優勝経験あり。最近は雀風についてあまり意識していないとのこと。
普段は麻雀広告サイトの営業を生業とする彼は、今期で連盟を退会することになった。
今大会が最後の公式戦となるため、有終の美を飾るべく優勝を勝ち取りにいくに違いない。
1回戦 起家から塚越、小川、福田、木暮
この日、最初のアガリは東2局のこと。配牌に恵まれた西家の木暮が、
ドラ
この形に早くも5巡目で絶好のドラを引き入れリーチ。程無くして福田からが切られ、6,400は6,700のロンアガリ。気持ちの良いスタートを切る。
東3局、南家木暮が3巡目にの一鳴きから、一気にマンズの一色手へと向かう。
4巡目にはカンチー、13巡目にをポンしてこのテンパイ。
ポン チー ポン ドラ
下家の木暮に対しマンズをぶつけ続けた親の福田も勝負手をテンパイ。
ポン
西家塚越も本日最初の勝負手をヤミテンに構えていた。
3者が静かにぶつかり合ったこの局を制したのも木暮。あっさりをツモり2,000・3,900。
誰の目にも好調に映っていたであろう木暮は、親を迎えた東4局も、一手変わり三色のタンピンのテンパイを入れヤミテンで押し続ける小川をリーチのみの2,000点で打ち取ることに成功する。
この日最初に親を連荘したのも木暮だった。
東3局1本場、木暮はさらにアグレッシブな攻撃を見せつける。
7巡目にチーしてテンパイ。
チー ドラ
同巡、下家の塚越の切ったを大明カン。嶺上からツモって来たのは。塚越から7,700は8,000のアガリとなる。
しかし、放っておいたらどこまでも続きそうな木暮の時間を流しにかかったのは、この南家の塚越。
チー ドラ
好調を確信していたであろう木暮のリーチ宣言牌となったドラのを打ち取り2,000は2,000のアガリ。塚越にとってこの日の初アガリである。
南1局、木暮の親を落とすことに成功した塚越の親番。
6巡目の塚越、木暮、両者の手牌がこちら(ドラ)
塚越
木暮
見ている方が苦しくなる塚越の手牌は、ドラのも1枚浮いている。観戦者のほとんどが、木暮があっさりアガることを想像しただろう。案の定2巡後にを引いた木暮はリーチに打って出る。しかし塚越も粘りを見せ、見事14巡目に七対子テンパイで木暮に追いつく。
迷いなく「リーチ」の発声。しかしツモ番が来ることなく木暮の500・1,000ツモアガリ。結果的に木暮のアガリとなったが、観戦者の目を引く塚越の粘りであった。
南3局には再び3者の手がぶつかる。
7巡目にポンから仕掛けた親の福田が16巡目、西家塚越の切ったドラのをポンしてテンパイ。
ポン ポン ドラ
塚越は四暗刻1シャンテン。その後もツモ切りを続ける塚越に対しロンと発声をしたのはまたしても木暮。
南家
ロン
タンピンで2,000。
1回戦、好調者木暮が5万点を超える1人浮きのトップ。この半荘の主役となった。
対して小川はこの半荘アガリなし。しかし執念のテンパイ取りなどで小さな沈みの2着につけているのは流石である。
1回戦終了時
木暮+36.8P 小川▲4.4P 塚越▲12.4P 福田▲20.0P
2回戦 起家から福田、木暮、小川、塚越
東1局、西家の小川が早い段階で1枚目のから仕掛けにかかり、続けて北もポン、8巡目にカンをチーしてこの牌姿。
ポン ポン チー ドラ
自身としては一度もアガリがなく終わった1回戦での木暮の好調ぶりを見て、上家の木暮の警戒を煽るためか、苦しいながらもどうにかアガリをものにしようという意志か。
次巡、親の福田のリーチを受け、字牌を払いながら受けにまわる。
程無くして福田が高めのをツモり2,600オールのアガリ。
ツモ
福田としてもマンズに寄せている小川の3フーロを見せられてからの待ちのリーチ、あっさりドラをツモることができ感触はよかったはずだ。
そして続く東1局1本場8巡目、小川にとって待ちに待ったこの日初のアガリが。
ツモ ドラ
2,000・3,900は2,100・4,000。
この時北家の塚越もひっそりと勝負手を入れていた。
そして親の福田もタンピンイーペーコーの好形イ1シャンテン。
この半荘も4者の手がぶつかり合う予感がする。
東2局でも南家小川は4巡目でホンイツがすぐそこに見えるこの牌姿。
ドラ
次巡をツモるとを空切り。ターツが足りているので先に処理したと考えられるが、結果、小川の河はこのようになっていた。
変則手には見えるが、切りが他家に合わせて切られており、速度や手役が判断しにくい。そして7巡目にポンでテンパイ。
ポン
またも小川のアガリとなりそうな空気が流れる中、2巡後、北家福田からリーチが入る。
これをヤミテンとしていたところに、注文通りドラのをひき、タンヤオ高め三色含みに振り替わりリーチ。安めではあるもののを即ツモ、2,000・4,000のアガリとなった。
東3局、親を迎えた小川、ダブとドラのがトイツ、そして1面子1両面と、大物手を予感させる配牌であったが、福田から塚越へ2,600横移動に終わる。小川の時間帯が来るのはまだもう少し先か。
南1局。北家の塚越は早い段階で1シャンテンに漕ぎつける。
ドラ
しかしここから有効牌を全く持ってこなくなる。私も普段実感することだが、不調の時は1シャンテンが異様に長い。そうした時、自分の不調さが改めて身に染みる。中終盤になりやっと引いてきた牌は八。テンパイ打牌となるはドラの跨ぎで切りにくく、切っても役なしテンパイではあるが、塚越はテンパイを取った。ドラ2枚使いの順子手や一通まで伸びる可能性も秘めていただけに納得のいく形ではないとは思うが、数巡後をツモり500・1,000。折り合いをつけながら我慢の麻雀を強いられている塚越、ぐっと堪えヤミテンで押してのこのアガリは打点以上の価値あるものに見受けられた。
南2局1本場、西家塚越はここで積極的な攻撃に出る。8巡目に1枚目のを仕掛けてから有効牌を立て続けに引き入れ、2巡後にこのテンパイ。
ポン ドラ
同巡もポンして単騎に受けトイトイテンパイ。
実はこの時南家小川に大物手が入っていた。
北家の福田はドラ1枚使い、イーペーコー含みの1シャンテン。
親の木暮はチーしてタンヤオテンパイ
チー
塚越の仕掛けに対し3者は一歩も引かなかった。
さらに塚越はを大明カン。嶺上からツモって来たのは。木暮の当たり牌である。単騎に受けていれば…しかし塚越は表情を変えない。自分の不調を受け入れ、自然体で麻雀と向き合っているように見える。
その後塚越は南2局2本場で3,200は3,800、南3局で1,300、2,600をアガリ。少しずつ復調が見られた頃にオーラスで親番を迎える。
トップ目の福田は36,700、塚越は33,600、その差3,100点。
中盤にきて塚越はドラのをポンしタンヤオドラ3のテンパイを入れる。
対する福田は次の牌姿からを切り三色を狙う。
ドラ
上家塚越の切ったをチーしてテンパイ。をツモり300・500のアガリ。トップを守りきった。
1回戦目1人浮きのトップだった木暮は2回戦で1人沈みのラス、また4着だった福田がトップをとったことで混戦模様となった。
2回戦結果(2回戦終了時トータル)
木暮▲23.6P(+13.2P)
小川+1.7P (▲2.7P)
福田+15.8P(▲4.2P)
塚越+6.1P (▲6.3P)
3回戦 起親から塚越、木暮、小川、福田
東1局、西家小川が先制リーチ。
リーチ ドラ
福田から8,000のアガリ。
しかし若手選手の勢いも衰えない。東4局福田がピンズを1枚も余らせることなくこのテンパイ、塚越から5,800のアガリ。
ポン ロン
続く2本場でも福田は4巡目に先制リーチを打つ。テンパイの入った塚越から3,900は4,200のアガリ。
リーチ ロン ドラ
塚越には苦しい展開の幕開けかと思われた。
しかし次局、塚越は跳満を引きアガる。
リーチ ツモ ドラ
これでまた混戦模様である。
南2局1本場、ここまでしばらく静かだった木暮の親番である。21,900持ちの4着目、ここは積極的にアガリを目指したいところ。僅か7巡で三色テンパイ。
ドラ
は場に2枚切れ、小川と福田の手に1枚ずつで山には残っていない。小川はメンツで使っていたが、福田は手が進むにつれのカンチャンターツに手がかかり木暮に3,900は4,200の放銃。点数状況的にリーチを選択する打ち手もいるとは思うが、今回はリーチがかかればアガリは無かったと考えられるだけにこの木暮の冷静な選択が吉と出た。
その後も1,500は1,800、2,000は2,900と細かいながらもアガリを重ね連荘し浮きに回ることに成功する。
南4局、北家木暮が4巡目でこの牌姿からドラをリリース。
ドラ
トイツ手もまだ否定できず、カンチャンターツも残っており、を切ってもを暗刻にするかポンしない限り役も見えないだけに、ドラを切らないうち手が多いのではないかと思う。アガリたい気持ちが強く伺えた。自身が北家ということも切りやすい要素となっていたか。しかしこのを西家塚越がポン。
ポン
なんとか三色へ持っていきたい2シャンテン。
そこへ8巡目に親の福田がリーチを被せるが、それらを掻い潜り小川が400・700ツモ。
東場での加点を守り抜き、最後も他家をかわしてトップを守り抜いた。トータルでも木暮と約7ポイント差に詰め寄る。
3回戦結果(3回戦終了時トータル)
木暮+9.1P (+22.3P)
小川+18.1P(+15.4P)
塚越▲7.0P (▲13.3P)
福田▲20.2P(▲24.4P)
4回戦 起家から塚越、木暮、福田、小川
トータル首位の木暮と4着目福田は、1半荘で入れ替わる可能性も十分にあるポイント差。この4回戦がターニングポイントとなりそうである。
この半荘どうにかトップ、最低でもプラスが欲しい西家福田が東1局から積極的に仕掛けていく。
ポン ポン ポン ドラ
親の塚越もプラスが欲しいのは同様だが、手牌がなかなか動かない。どうにかドラ単騎の七対子テンパイに漕ぎつけるが、間もなく福田が1,000・2,000をツモアガる。
トータル首位の木暮の勢いも衰えず、次局迎えた親番で2メンツ1両面とドラトイツの好配牌。わずか4巡でリーチ、4,000オールを決める。
リーチ ツモ ドラ
続く東2局でも木暮、福田の手がいい。親の木暮はポンテンもとれる形の1シャンテン。南家福田は役なしテンパイからドラを引き入れ役ありの5,200テンパイに振り替わる。
ドラ
一方小川と塚越は2人とも2フーロして1シャンテン。木暮の親番をどうにか落とすためにアガリへの道を探っているようだ。こういうとき、勢いや流れ、態勢などという目に見えないはずのものが実際に具現化されているように感じる。麻雀にはやはりそういった類のものが大いに影響しているとわたしは思っているし、このときも心のどこかで(やっぱり...)と思っていた。
結果、この局は木暮がをポンして塚越から1,500は1,800をアガリ、福田の勝負手をかわし親番連荘に成功する。
続く東2局、西家小川がをポンして木暮から1,000は1,600をアガリ、木暮の連荘を止めることに成功する。このときも木暮は中張牌だけで2メンツ1両面2トイツの超好配牌であった。
小川と木暮の勢いの差は誰の目にも明らかだった。しかしそれを揺るがすような局があった。
東3局1本場、北家木暮は6巡目にソーズのホンイツ1シャンテン。
ドラ
そこへ南家小川が9巡目に1,300のリーチ。
リーチ
木暮がソーズのホンイツということもありソーズはやや場に高いというだけでなく、木暮が字牌を余らせ始めた後のことである。ここが小川の強さなのではないかと思う。
対する木暮はリーチを受け、上記のホンイツ1シャンテンの牌姿にをツモってきて少考。確かにはドラ跨ぎで切りにくい牌ではあるが、木暮という選手の印象からするとをツモ切ってもおかしくない。実際小川への当たり牌は木暮からはほぼ出ない形になっている。ここも木暮がアガリきるのか。
しかし木暮は唯一の現物を抜いた。これには驚いた。ここまでの両者の態勢や、今までの木暮の攻めっぷりを見てきた観戦者はどう感じただろうか。
他に現物のない木暮の手牌。次巡をツモり、の筋を追ってで1,300放銃となる。
失点こそ小さいものの、いつもの木暮なら当たり牌を使い切ってテンパイしアガリきるビジョンまで見える。そして、そうやってこの決勝への道を開拓してきたと私は思う。木暮としても決勝での戦い方を考えてのことだろう。しかし何かが変わりそうな気がした。4回戦まできてトータルトップ、この半荘もトップ目という現状、木暮に守りたい気持ちが出始めているように見受けられた。
次局、親番は前局見事1,300のアガリを決めた小川。
6巡目南家塚越から先行リーチが打たれる。
リーチ ドラ
塚越もここまで我慢が続いただけに、この勝負手で先手を打てたのは大きい。
しかし小川の手牌もまとまっており、9巡目に追いつきリーチ。
リーチ
塚越がで11,600の放銃。塚越には苦しい時間帯が続く。対して小川は前々局の木暮の親番落とし、そして前局の1,300と流れを感じさせる大きなアガリである。もうひとアガリあれば木暮をかわせる、そんな勢いを感じた。
しかし次局アガったのは木暮。
ドラ
塚越から5,200は5,500のアガリでさらに加点し木暮が44,100持ちのトップ目。大抵のことでは揺るがないほどの態勢ができあがっているか、若しくは木暮は牌に愛されているのか、そんなことを思った。
南1局、痛い放銃が続いた塚越は3,000持ちのラス目で親番を迎えた。9巡目に両面2ターツのピンフ1シャンテン。しかしここから全くテンパイまで至らない。ギリギリのところでチーして形式テンパイをとりなんとか親番を維持する。続く1本場も2フーロでタンヤオテンパイを入れるがアガリには至らない。2本場で木暮が700・1,300は900・1,500をツモアガリ、塚越はアガリなく3着に大きく離されたラス目のまま親番を落としてしまう。
その後は大きな点数の変動はなく、勢い衰えない木暮はトップを守り切りリードを広げた。塚越は1人沈みのラス、トータルトップとは約97ポイント差と最終戦の条件は厳しいものになった。
4回戦結果(4回戦終了時トータル)
木暮+23.2P(+45.5P)
小川+4.1P (+19.5P)
福田+10.6P(▲13.8P)
塚越▲37.9P(▲51.2P)
最終戦 起親から小川、福田、塚越、木暮
東1局にアガリを決めたのは、中盤から勢いを見せ始めた福田の1,300・2,600。
リーチ ツモ ドラ
福田は続く東2局親番を迎え、3,900オールをアガリしさらに加点。
しかしこの福田の親番を、トップ走者木暮が流しにかかる。
暗カン ツモ ドラ
800・1,600は1,000・1,800のアガリで原点近い2着目につける。この並びのまま終局とすると、福田は少なくともあと30ポイント以上素点で差をつけなければならないが、実際、福田は最終戦開始時から東2局までに計算上ポイント差をほぼ半分に詰めたことになる。後半に勢いを増してきた福田と守備態勢を強めた木暮。選手たちを見つめる観戦者たちの目が、勝負の行方を見守る。
東3局、西家小川が国士無双の1シャンテンという場面。気配がなかったか他家は字牌をノータイムで淡々とツモ切る。南家の木暮が3枚目のを切った直後、小川の手に4枚目の西が舞い込み、2枚切れ待ちの国士無双テンパイ。を引いたら誰もがツモ切ろうという場面。しかしここはポンテンを入れていた親番塚越の1,000オールのアガリ。
ポン ツモ ドラ
小川、塚越もまだ勝負を諦めてはいない。
続く東3局1本場、塚越は苦しいながらもなんとかテンパイを入れリーチ、ドラトイツの1シャンテンで押していた小川から2,000は2,300のアガリ。
リーチ ロン ドラ
ところが2本場ではツモがかみ合わず、2フーロして粘るが痛恨のノーテンで親が流れる。塚越はまだ原点を割る3着目、南場の親番での大逆転に賭けることになる。
東4局、トータルトップ目の木暮の親番。木暮は10巡目にチーテンをとることを選択する。
チー ドラ
西のトイツを守備要素とみなしてのテンパイ取りか。現状のポイント差を考えると1,500点のアガリで自身の親番を1局増やすより、失点を抑えて親番を消化する選択もあるように思える。他家からのリーチやテンパイ気配があればアガリの構えか。
この仕掛けにかぶせるように北家の塚越がドラ単騎七対子のリーチ。
リーチ
この日1日で、苦しい手牌からどうにかドラ単騎の七対子テンパイに漕ぎつけた塚越を何度見ただろう。そしてこのリーチを掻い潜りテンパイを入れたのは小川。
これに対し木暮はのトイツ落としで受け、塚越、小川の2人テンパイで流局。勝負はいよいよ最終戦南場へ突入する。
南1局4本場、20,800持ち4着目で親番を迎えた小川はここが勝負どころ。7巡目で
ドラ
この3面張リーチを打つが結果は福田に1,300は2,500の放銃。最後の親番も流れ、このあとは条件との兼ね合いの手組を組むことを強いられることとなる。
南2局、最後の親番を迎えた福田はなかなかアガリに結びつかないもののテンパイを入れ連荘。
2本場で福田は7巡目のピンフテンパイをヤミテンに構え、小川から1,500は2,100と供託のリーチ棒で4,100点の加点。
この時点で福田は木暮まであと13ポイント。親番継続中の福田にとって大チャンス。
3本場、小川が11巡目にピンフドラ1のリーチ。
ドラ
流局が近づく16巡目、西家の木暮がチーテンをとる。次巡、木暮のツモは。ノータイムでツモ切った木暮のに塚越がロンの発声。
「12,000は12,900」
ドラ
四暗刻が食い流れた。この放銃により木暮は4着目へ。トータルで福田に逆転される。その差3.6ポイント。
南3局、前局にその場が騒然とするアガリを見せた塚越の親番、わたしは密かに奇跡の大連荘を期待した。
チーしドラのを切ると、最終局条件を残したい西家小川がこれをポン。小川が2,000・3,900をツモアガリる。
ポン ポン
南4局、福田を追いかける立場となった木暮の親番。
まずは仕掛けてタンヤオの1,500を小川からアガリ。
チー ポン
続く1本場、11巡目に木暮がリーチ。
リーチ ドラ
これに対し西家福田も優勝を決めに動く。
チー
しかし結果は、木暮が小川から3,900は4,200のアガリ。これで再び福田を逆転するが、その差2.1ポイント。
すっかり勢いを取り戻した木暮。次局5,800は6,400を小川からアガリ。
ロン ドラ
木暮と小川の着順が入れ替わったことにより、木暮は福田に12.5ポイントの差をつけた。
最終局、福田はさっきまですぐそこにいた木暮を逆転するのに満貫ツモ条件となり、必死でその条件を満たす手組を探っていくが、ツモが効かない。
一方、一度は手放しそうになった優勝の2文字が、再びすぐそこに迫ってきている木暮の手は震えていた。
対局後に木暮は言った。
「内容は20点でした」
それを聞いて周りは笑ったが、木暮はこの優勝を糧にさらに進化するだろう。そしてこんな風に生きのいい若手選手が増えつつあることが、北関東支部の今後の発展の要となることは違いない。
そして退いていく者。彼もまた北関東支部で共に闘い、麻雀について熱く語り合い、何度も牌を交わした仲間である。新たな道での活躍を期待する。
最終戦結果(総合ポイント)
木暮▲14.7P(+30.8P)
福田+33.2P(+19.4P)
小川▲29.1P(▲9.6P)
塚越+10.6P(▲40.6P)
カテゴリ:北関東プロリーグ レポート