グランプリ 決勝観戦記

グランプリ 決勝観戦記/第7期麻雀グランプリMAX決勝観戦記 最終日 藤崎 智

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5回戦
ここが内川にとっては厳しい半荘となってしまった。結果的にはここで内川の初タイトルは次へと持ち越しとなった。
南2局(内川217、佐々木364、柴田283、白鳥336)
ここまで内川以外の3人は手ごたえのあるアガリをものにしていて、内川1人置いてけぼり状態である。
 
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柴田の4巡目リーチを受けての親番内川の6巡目。柴田のリーチは自風の西のトイツ落としからのリーチでタンヤオの十分形が予想される。1シャンテンとなった内川の選択肢は2つ。九索の暗刻落としで引くかテンパイ目指して真っ直ぐ七万を打つかである。ドラが六万なので七万で当たれば最低5,200。普通は7,700。このくらいの予測は内川なら簡単である。さて九索を抜いた場合、今佐々木がトップ目なのでトータルトップの佐々木との差が75.8ポイント。柴田がツモアガリならおそらく2,000・3,900か2,000・4,000で佐々木を捲って柴田が瞬間トップ目に立つが自分は1人沈みとなり親被りもあるのでポイントはさらに開く。あと3回で80ポイント弱の差か。こんな計算が内川の頭の中を駆け巡っていたことだろう。内川の選択は真っ直ぐの打七万であったが、これが予想通りの7,700に捕まる。
南3局1本場(佐々木364、柴田360、白鳥336、内川140)
 
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北家の内川。これもまた究極の選択。ここも選択肢はほぼ三万六万七索かの2つ。北発が1枚ずつ切られているので次はポンの一手。ならば1,000点アガリを拒否する七索か?今の自分の牌勢では結構な無理筋に思えるし、あと3回で約85ポイント。かなり厳しいポイントだがまだ諦める状況ではない。もし打七索として失敗したら応援してくれている皆さんに負け戦の形作りと思われないか?今度はそんな考えが頭の中を駆け巡る。先程と同じくここも質問されれば先輩として正しい答えは出してあげられない。内川は打六万を選択して次巡発をポンして1,000点をアガった。結果的には佐々木と白鳥に勝負手の1シャンテンがはいっておりホンイツは無理筋だっただろう。
南2局1本場(柴田399、白鳥310、内川140、佐々木356)
 
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立て続けに究極の選択を迫られる内川。5巡目にこのテンパイをして手替わり待ち中。このままツモならフリテンリーチだったはずである。これは難しくない。どうして究極の選択かというと、9巡目に親の柴田からドラの四万が切られる。まだ切られたのが七万なら怖さは感じないのかもしれないが親に切られたドラである。アガるか見逃すかの選択なのだ。だがここは先輩として答えが出せる気がする。前の局に苦しみ抜いて自ら選んだ答えがこの半荘我慢して残り3回戦の勝負を選択したはずである。麻雀を点ではなく線で捉える打ち手としてはここはアガっておく局面であったと私は思う。これはあくまで私個人の意見であるが、この局面の見逃しは前の局と繋がっていないような気がする。ましてや跳満ツモで沈むのはトータルトップの佐々木ではなくトータル3位の白鳥であるのだから。この局の結果はリーチときた白鳥への7,700の放銃となった。
 
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5回戦成績
柴田+17.9P 白鳥+12.0P 佐々木+6.1P 内川▲36.0P
柴田が初トップでトータル2番手へ。
5回戦まで
佐々木+43.8P 柴田+9.0P 白鳥▲9.8P 内川▲43.0P
 
 
6回戦
東4局1本場 供託1.0(内川374、佐々木311、柴田205、白鳥300)
 
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白鳥の7巡目の手応え十分のリーチで山に5枚残り。
 
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柴田も3フーロで追いつく。3,900で良しの四索七索受けならアガっていたのだが、ここは8,000にこだわった。結果は流局。
南1局2本場 供託2.0(佐々木296、柴田220、白鳥305、内川359)
この局がこの半荘のハイライトであり「白鳥劇場」の本編スタートといった感じか?
この局の大まかな流れは以下の通り。
佐々木東ポンからホンイツ一直線→白鳥が捌きにいく一通ドラ1の仕掛け→内川テンパイ一番乗り→内川リャンメンに待ち変えしてリーチ→佐々木高目ツモ8,000オールのホンイツトイトイのテンパイ→白鳥も2フーロでテンパイ
息の詰まるような展開で白鳥が制した。2,000は2,900でリーチ棒3本の収入となる。
このあともリーチ棒3本取るなど丁寧に攻め続け、南3局の連荘中に一旦トータルトップの佐々木とほぼ並びまで浮上する。その後佐々木の反撃にあい、また少し離れるも「白鳥ワールド」全開まであと一歩と迫ることになる。
6回戦成績
白鳥+24.1P 内川+5.2P 佐々木▲11.1P 柴田▲18.2P
6回戦終了時のスコアをおさらいしておく。
佐々木+32.7P 白鳥+14.3P 柴田▲9.2P 内川▲37.8P
佐々木が頭一つ抜けている。点差的には白鳥、柴田にはまだまだ普通にチャンスあり。内川も7回戦で佐々木を沈めて6万点のトップくらいがくればまだまだ可能性があるくらいの点差ではある。ここから佐々木自身G1タイトル獲得の難しさを味わうこととなる。
 
 
7回戦
東1局1本場(内川330、佐々木290、柴田290、白鳥290)
内川1人テンパイで迎えた1本場佐々木追撃の2人がそれぞれらしさを見せて手がぶつかる。
西家柴田の配牌
 
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北家白鳥の配牌
 
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どちらもあまりパッとしない配牌である。ここから柴田はメンゼンで丁寧に手を進め、白鳥は軽快な捌きにでる。
白鳥6巡目。
 
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ここまで手が伸び、ここから九万六筒とポンして9巡目にトイトイのテンパイを入れる。
柴田10巡目リーチ。
 
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ピンフドラドラの勝負手。
 
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同巡白鳥が北をツモって1,600・3,200。
ここまでのトータル(順位点含) 白鳥+33.0P 佐々木+27.0P 柴田▲20.9P 内川▲36.5P
白鳥の瞬間ではあるがとうとうトータルトップにたつ。
 
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東3局(柴田258、白鳥362、内川317、佐々木263)
 
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親番の柴田ドラ暗刻の12巡目リーチ。
白鳥も追いつく。16巡目にヤミテンも、
 
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17巡目ラス牌をツモる。
ここまでのトータル(順位点含) 白鳥+20.5P 佐々木+17.0P 柴田+6.6P 内川▲44.1P
柴田も上位2人に肉迫する。
東3局1本場(柴田378、白鳥322、内川277、佐々木223)
親番の柴田の7巡目のチャンス手。もちろん6,000オールなら突き抜ける。
 
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しかしテンパイ出来ないまま、
 
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11巡目に佐々木のメンホンが炸裂する。放銃は白鳥。まだソーズが1枚も余っておらず、早めの処理のはずが間に合わなっかた。山にはすでにない七索だった。
ここまでのトータル(順位点含)
佐々木+37.3P 柴田+6.6P 白鳥+0.2P 内川▲44.1P
佐々木が再びトータルトップ。しかし放銃した白鳥の表情が印象的だった。全く表情を変えず真っ直ぐに佐々木の手牌を見据えて点棒を静かに支払っていた。まるで「佐々木さんやりますね。でも最後には僕が勝ちますよ」とでも心の中で言っているようだった。
 
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東4局(白鳥239、内川277、佐々木306、柴田378)
白鳥が先制リーチから2,600オール。
これでトータルが佐々木+26.7P、白鳥+20.0P、柴田+4.0P、内川▲50.7P
東4局1本場(白鳥317、内川251、佐々木280、柴田352)
親番の白鳥が2巡目1シャンテンで再びチャンス。4巡目に好形となるのだが、これがなかなかテンパイしない。8巡目には全員1シャンテンとなっていた。ここから誰もテンパイしない。そして14巡目にようやく1人がテンパイする。それはこの人。
 
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2巡目1シャンテンだった親番の白鳥。これをリーチといく。
 
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一発目にツモって2,000オールは2,100オール。白鳥を応援する者達にとっては鳥肌もののアガりであった。
ここまでのトータル(順位点含) 白鳥+30.3P 佐々木+24.6P 柴田▲2.1P 内川▲42.8P
白鳥再々再逆転。柴田は再びマイナス域へ。優勝争いは完全に2人の争いか?という雰囲気に包まれていた。
東4局2本場(白鳥380、内川230、佐々木259、柴田331)
11巡目。完全に流れを白鳥に持って行かれていた佐々木の先制リーチ。
 
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いかにも苦しいドラ表示牌のカンチャン待ち。これを
 
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お返しの一発目のツモ。強引に流れを引き戻す。
ここまでのトータル(順位点含) 佐々木+34.2P 白鳥+28.1P 柴田▲4.3P 内川▲58.0P
佐々木この半荘4度目の逆転。
南1局、内川、柴田の2人テンパイの後、1本場で白鳥が1,600は1,900をアガリ、5度目の逆転で白鳥がトータルトップにたち、南2局には1,300・2,600をツモりリードを広げる。白鳥この半荘早くも5回目のアガリで乗ってきた感がある。白鳥という選手、あまり闘志を表に出さず、摸打のモーションもゆったりしているので、白鳥の勝ちゲームは全体が独特の雰囲気に包まれる。これも含めて「白鳥ワールド」と記させてもらう。
ここまでのトータル(順位点含) 白鳥+33.7P 佐々木+25.1P 柴田▲5.0P 内川▲53.8P
南3局(柴田302、白鳥414、内川220、佐々木264)
親番柴田のビッグチャンス。8巡目に白鳥が2フーロでテンパイ入れるも早々に純カラ。柴田の9巡目
 
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フリテンの九筒を引き戻した、いや引き戻してしまった。もちろん柴田の理想はタンピン三色の6,000オール。しかし白鳥はドラの北を切った後に2フーロ目を入れているのでテンパイ濃厚。柴田としては打点だけでなく、受け入れの広さも考えなければいけない局面。もし鳴いて2,900もやむなしの局面であれば柴田は九筒をツモ切ったであろう。しかし40ポイント弱を追いかける立場として、これを鳴いて2,900ではあまりにもったいない。考えた末の柴田の選択は打七筒であった。メンゼンが前提で広く受ける方を選択したということである。しかしこれが大誤算となる。
2巡後。
 
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もし2巡前に打九筒としておけば
二万三万四万二索三索四索六索七索二筒三筒四筒七筒七筒でリーチがかかっていた。
 
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2巡後の13巡目にこの形でリーチ。一筒は山に3枚の絶好の待ちではあったが、五索ツモ切りの時の柴田の表情が険しくなる。結局山に3枚の一筒を手繰り寄せることは出来ず、6,000オールをアガリ逃した一局となってしまった。この局面であれば私もおそらく打七筒を選択したと思う。どちらが正しいとか正しくないとかの話ではなく、全ての対局が終わった後に、ただ「負け」の運命だった人のツモ順だったのかな?と思えてならない。
勝負の世界に「もし」が禁物なのは承知のうえで、あえて、もし柴田が6,000オールをツモっていれば
白鳥+23.7P 佐々木+19.1P 柴田+17.0P
となっていた。
南3局1本場 供託1.0P (柴田307、白鳥429、内川205、佐々木249)
前局手痛い裏目を喰らった親番の柴田に再びチャンス。それを見事な手順でかわす白鳥。まずは白鳥の9巡目
 
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さて皆さんなら何を切りますか?ちなみに私なら二索八索。タンピン三色を見つつ七対子の1シャンテンにも戻れるようにしておく。白鳥の選択は四索
12巡目親の柴田先制リーチ。
 
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残念ながら6,000オールとなるドラは山にはない。しかし六万が山に2枚残っている。2,600オールから次に繋げれば面白くなる。
14巡目にその六万を力強く手元に引き寄せる。
 
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手元に引き寄せたのは白鳥。前巡六索を重ねてのツモアガリであった。この瞬間の私の感想を記す。「これぞ優勝者のツモ」。これが私の感想である。まさに完璧な選択からの針の穴を通すアガリであった。
ここまでのトータル(順位点含) 白鳥+47.9P 佐々木+22.9P 柴田▲13.8P 内川▲57.0P
ここまでずっとトータルトップを走っていた佐々木はどんな心境だったのだろう。いかに冷静沈着な佐々木でも心中穏やかではないと思うのだが、今決勝、今までの佐々木とは少し違った闘いを続けてきた「ニュー寿人」はここでも素晴らしかった。
南4局(白鳥+516、内川188、佐々木232、柴田264)
12巡目二索ポンで佐々木テンパイ。
 
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発でアガれば浮きである。
同巡柴田テンパイでリーチ。柴田らしい丁寧な手順である。
 
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このリーチを受けて佐々木の13巡目。
 
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さてこの安目では柴田浮きにはならない。アガるかな?見逃すかな?と思っていのだが、
 
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目を疑う光景である。
 
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これで高目安目なしのアガれば浮き。
そして15巡目
 
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最終戦に向けてさらにリードを広げたい親番の白鳥追いかけリーチ。
そして佐々木の17巡目
 
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つかむ。
 
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やめる。
見事なものである。
 
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南4局1本場 供託2.0P (白鳥521、内川173、佐々木217、柴田269)
柴田11巡目リーチ。
 
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8巡目からテンパイしていた佐々木。
 
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12巡目に手変わりして今度は五索を勝負。
三万が1枚、六万が3枚のこの勝負。先に山にいたのは三万の方。出元に手繰り寄せたのは
 
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佐々木の方であった。この南4局の2局を見てこの時の私の感想は、「優勝者の麻雀」であった。
「優勝者の麻雀」を見せた佐々木と「優勝者のツモ」を見せた白鳥と「負けの運命の人の牌のきかた」を見せてしまった柴田の3人。勝負はいよいよ最終戦を残すのみである。
白鳥+26.1P 佐々木+6.9P 柴田▲10.5P 内川▲22.8P
7回戦トータル 白鳥+40.4P 佐々木+39.6P 柴田▲19.4P 内川▲60.6P
優勝の行方は最終戦の白鳥と佐々木の着順勝負となった。いや、なったと思っていた。
 
 
最終戦
 
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予想通り白鳥と佐々木のアガリ合戦となる。
東1局 内川、白鳥から1,000
東2局 佐々木、内川から5,200
東3局 白鳥、内川から3,900
東4局 佐々木ツモ500・1,000
南1局 佐々木、柴田2人テンパイ
南1局1本場 白鳥、柴田から2,600は2,900
ここまでの展開は予想通りである。
南2局(柴田281、内川199、白鳥333、佐々木387)
佐々木が白鳥を5,400点リードしている。
最後の親番の柴田。
 
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4人の捨て牌をご覧頂きたい。
 
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二筒が4枚切れで三筒が1枚切れの12,000のリーチ。残り2枚の三筒は佐々木と白鳥の手に1枚ずつで山には0。ここで手詰まりから三筒が河に放たれる。
 
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放銃は白鳥。この手牌、間違いなく三筒が一番通り易そうである。一瞬時が止まったような瞬間であった。そしてまた時はゆっくり動き始める。「寿人G1初タイトルおめでとう」そんな言葉が頭をよぎる。しかし「逆転の柴田」と呼ばれる柴田がここから更に加速する。そして最後まで勝負を諦めない白鳥が泥臭く蘇ってくることになる。
南2局3本場 供託2.0(柴田431、内川169、白鳥223、佐々木357)
 
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柴田渾身の6,000オールは6,300オールで供託2,000点。
柴田がトータル8.4ポイント差の2番手に浮上してきた。
南3局7本場 供託2.0P(内川111、白鳥135、佐々木289、柴田645)
柴田4巡目リーチ。
 
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リーチのみではあるが7本場と供託2本でアガれば佐々木に肉迫する。リーチの1巡前の四万切りからの、このリーチはかなり賛否別れると思う。この時十数年前に個人的に故安藤満プロに教えて頂いた言葉を思い出した。
「タイトル戦の最後の最後でせっている場合はもう理屈じゃない。強いものが勝つわけでもなければ、執念で勝るものが勝つわけでもない。勝利の女神に選ばれたものが勝つのだと自分は思っている。だから最後は最初のテンパイ型でリーチする。ここまでの自分自身の戦いが勝者にふさわしいかどうか女神に聞くために」
無論柴田が安藤満プロの言葉を知っているはずもないのだが、最後の最後は安藤満プロと同じ思考になっている。普段の柴田であれば決してないであろう手順とリーチである。このリーチの結果に関わらずすごい選手が出てきたな。というのが私の素直な感想である。
 
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この局の結果は佐々木が9巡目に1フーロで追いつく。そして10巡目に白鳥が2フーロで追いつく。大事なめくりっこは白鳥に軍配で500・1,000のツモアガリ。柴田は山には3枚も残っていたにも関わらず、アガることが出来なかったということは、安藤プロの言葉を借りれば今決勝の麻雀では、勝者としては少しだけ足りないと女神が判断したということなのだろう。この後南4局は3局あるのだが、柴田に逆転の条件をクリアする手は入らなかった。
南4局(白鳥206、佐々木277、柴田623、内川94)
佐々木7,100点リード。
 
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佐々木が先にテンパイしたが直後に山には無くなる。
 
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三筒を引けば放銃でゲームセットだったと思うがツモり三暗刻テンパイなら、一転して白鳥チャンス。六筒が山に1枚残っていたがアガれず、白鳥、佐々木の2人テンパイで流局。
南4局1本場も白鳥、佐々木の2人テンパイで流局して、続く2本場では流局で無念の白鳥テンパイ出来ずでの終戦となった。
闘いを終えて、まず口数少なくうつむく内川が印象的だった。普段は負けても悔しさはあまり表に出さない選手なのだが、こんな内川は初めて見た。それほど勝ちたいメンバーだったし、獲りたいタイトルだったし、A1戦士として欲しい肩書だったのだろう。先輩として優しい言葉を掛けるつもりはない。悔しがるだけ悔しがればいいと思う。そうすれば近々訪れるであろう初タイトルの喜びは増すはずである。
 
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白鳥、柴田共に持ち味は存分に発揮していた。柴田は丁寧さと我慢強さはAリーグの先輩3人を凌ぐほどであったと思う。逆に白鳥は運では勝てないと思えば、我慢ではなく仕掛け多用で攻めてくる。2日目は白鳥が配牌において一番であった。それでも少しツモが効かないとみると、惜しげもなく動き出す。なかなか本手は決まらない中、柔軟さと軽快な捌きでよくここまでの闘いが出来るものだとつくづく思う。
そして優勝した佐々木。見事な麻雀だったと思う。今までと全く違うスタイルで勝ちきった。4月から始まるリーグ戦はどちらで闘うのか今から楽しみである。「攻めダルマ」なのか「ニューダルマ」なのか。
この4人の闘いを最初から最後まで見せてもらった。純粋に面白かった。とにかく熱かった。麻雀の内容なら自分も現役の選手として、まだまだ負けない自信はある。しかし、これだけ純粋に熱く面白い対局はもう自分には作り出せないだろう。「この4人今度は鳳凰戦で」。そんな未来もあるのかもしれない。
 
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