第32期新人王戦 決勝戦観戦記 藤井 崇勝
2018年09月27日
2018年8月26日
前日の予選を勝ち抜いた4名の中から第32期新人王が決まる決勝戦。
若手にとっては今後の活躍にもチャンスになる特典がたくさんある新人王。
連盟チャンネルでも放送されたこの決勝戦をレポートしていきたいと思います。
前日の予選を見事勝ち上がり、決勝へと進出した選手は以下の4名。(以下敬称略)
予選1位通過:鹿嶌文太
東京本部所属31期生
「優勝しか見てないので、勝ち切るために精一杯がんばります。」
予選2位通過:日高志穂
中部本部所属34期生
「初の全国規模のタイトル戦、映像対局で緊張しますが、中部本部の先輩方や同期、ファンの皆様の期待に応えられるよう、臨みたいと思います。紅一点、赤旗を上げられるよう頑張ります!」
予選3位通過:上田稜
東京本部所属32期生
「麻雀プロに反対だったお母さんや高校時代の友達、元九州本部所属だったので九州本部の方たちなど僕の優勝を待っている人がいるので、優勝します!」
予選4位通過:菊原真人
東京本部所属32期生
「タイトル戦の決勝は2回目になりますがしっかり勝負して、優勝掴みとりたいと思います!!」
第32期新人王戦は東京本部所属の3名と地方所属で紅一点の日高志穂含めた4名での決戦になった。
[1回戦](起家から日高・上田・鹿嶌・菊原)
東1局
南家の上田が5巡目にテンパイ。
ドラ
5巡目ですでに高めのが2枚切れていたためリーチはせず。
テンパイをしているとはいざ知らず親の日高は手を進めて9巡目にテンパイ。
ツモ リーチ
テンパイ即リーチと緊張を物ともせずに声を出していく。
親のリーチを受けた上田だがをツモり3面張で追っかけリーチ。
リーチ
12巡目に上田が高めのをツモり1,300・2,600をアガリ、いい立ち上がりを見せる。
東2局は菊原が1人テンパイ。次局軽い仕掛けでアガリ親を持ってきた菊原。
東4局
親の菊原に難しい配牌が入る。
ドラ
純チャンや三色、一通など色々な可能性を感じる配牌で選んだ第一打は。
この選択で取りこぼしなく手が進む。
11巡目に日高がテンパイ。
ツモ リーチ
先制リーチを打つも親の菊原が12巡目にテンパイ。
ヤミテンに構えて次巡ラス牌のを悠々とツモり3,900オールのアガリで1人飛び抜ける。
点数にあまり変動なく迎えた南3局、上田に好配牌が入る。7巡目にテンパイ。
リーチ ドラ
日高が追いかけてリーチを打つも上田がをツモり、2,000・4,000をアガる。このアガリで上田は原点復帰してプラスでオーラスを迎える。
南4局
親の菊原に早い手が入り6巡目にリーチ。
リーチ ドラ
4回戦勝負なので今後を戦いやすくするためリードを広げるリーチ。原点復帰した上田はここで親に放銃したくはない状況で手も悪くオリを選択。
鹿嶌はリーチ棒が出たので8,000点をアガれば原点に復帰するため押し気味に。日高も一度もアガることができなく短期決戦なので押しを選択する。
菊原がアガリやすい状況ができ、日高がを掴んで菊原に5,800の放銃となった。
1本場は上田が軽くアガリ1回戦が終わった。
1回戦成績
菊原:+28.8P 上田:+14.3P 鹿嶌:▲13.5P 日高:▲29.6
【2回戦】(起家から日高・鹿嶌・上田・菊原)
1回戦に全くアガることのできなかった日高に親で好配牌が入る。
東1局 親:日高
リーチ ドラ
菊原が先制でメンホン七対子をテンパイしていたが、待ち選択もできたためヤミテンに構えていたところで日高からリーチが入る。
日高の捨て牌に1枚捨ててあるでアガリを探るも先に、日高がをツモり4,000オールをものにした。
1本場でまたしても日高に好配牌。5巡目でまとまっていた!
ツモ ドラ
無難に雀頭固定の打を選択する。
南家の鹿嶌がピンズに染めている捨て牌で場にピンズが高くなるのを感じ、この手で8巡目にをチーして1,500のテンパイ。
チー
連荘したい気持ちの日高は、親でこの手を1,500で終わらせるにはもったいない感じもした。
そしてドラがなので打点が見えやすい状況になった上田に高打点のテンパイが入り押し返される。
リーチ
これを上田はツモれず、日高もどうにかテンパイを維持して2人テンパイで流局。
2本場では前局に高打点が入った上田にまたしても手が入る。
ドラ
ここからをツモり日高からをポン。とドラのシャンポン待ちとなり、この待ちに先制リーチをしていた鹿嶌がを掴み上田へ8,600の放銃となった。
南1局
北家の菊原がドラ色のホンイツで仕掛けていく。
ポン ポン ドラ
この仕掛けになすすべなくオリに回った鹿嶌と上田。親の日高もテンパイは取れないかと思われたが、終局間際に七対子でテンパイが入り、日高と菊原の2人テンパイで流局した。
南1局1本場
ここでも親の日高は手が軽い。
リーチ ドラ
6巡目でリーチを打ちをツモ。2,600は2,700オールをアガる。
2本場では5,800は6400。3本場でさらに手が入る。
リーチ ドラ
ダブルリーチのテンパイで、トータルトップ目の菊原から9,600は10,500をアガリ一気に73,000点まで加点をした。
南3局:8巡目
今まで我慢の麻雀だった鹿嶌にようやく手が入る。
リーチ ドラ
の先切りと、が場に3枚見えていたためヤミテンでテンパイしていた日高からが打ち出され、鹿嶌が8,000は8,300のアガリとなりマイナスを減らした。
そのまま日高が大きなトップを取り2回戦が終わった。
2回戦成績
日高+41.8P 上田+4.8P 鹿嶌▲18.4P 菊原▲28.2P
2回戦終了時
上田+19.1P 日高+12.2P 菊原+0.6P 鹿嶌▲51.9P
【3回戦】(起家から上田・日高・鹿嶌・菊原)
東2局1本場
親の日高が勢いよく攻めていく。
リーチ ドラ
数巡手がわりを待ったがもう待てないと判断してのリーチ。しかし鹿嶌にも手が入っていた。
ポン ポン
小三元ホンイツの跳満テンパイ。は親の日高が1枚切っていたが、もう2枚は上田が抱えていた。
上田は日高の切ったをポンしていれば、すぐさまアガリが拾え日高の親を流せたが、あくまでリーチをかけて親の日高の点棒を減らしていこうとしたのが裏目に出た。
鹿嶌の仕掛けにアガリが見えなくなってしまった上田は、終盤に形式テンパイでチーをする。その鳴きで日高がをツモり、2,000は2,100オールのアガリとなった。
次局は上田がヤミテンで3,900は4,500を菊原からアガリ、日高の親を流した。
東4局
親で果敢に攻めてリーチを打っていく菊原。
リーチ ドラ
鹿嶌もここで沈んでしまうと実質的にどんどん厳しい状況になっていくため押し返していき、リーチを打つ。
リーチ
2人のリーチ勝負になるかと思いきや、安全に手を進めていた日高がラス牌のカンをツモ。
500・1,000をアガったがそれ以上に大きなアガリとなった。
南3局
日高と鹿嶌が仕掛けを入れている中、鳴きで菊原が早くもテンパイ。
リーチ ドラ
を次巡にツモり2,000・4,000をアガる。
迎えた菊原の親番、南4局。この時点で日高は1人浮き状態で、このまま終わらせたいあせりが出て菊原の仕掛けに1,500を放銃。
1本場で上田と鹿嶌の2人テンパイで上田が浮き、3回戦が終わった。
3回戦成績
日高+21.6P 上田+5.1P 菊原▲7.3P 鹿嶌▲20.4P
3回戦終了時
日高+33.8P 上田+24.2P 菊原▲6.7P 鹿嶌▲72.3P
【最終4回戦】(起家から上田・菊原・鹿嶌・日高)
日本プロ麻雀連盟公式タイトル戦、最終戦規定により席順が決まる。日高と上田の着順のよるポイント勝負、少し離されて菊原が追う形となった。
鹿嶌はひたすらアガって相当大きなトップを取らないといけない厳しい最終戦。
東2局1本場
上田はマンズ、日高はソウズのホンイツとチンイツで12巡目に親の菊原からリーチを受ける。
リーチ ドラ
日高がを掴みオリを選択したと思いきや、場にピンズが安すぎて通りそうと思ったのか菊原に7,700は8,000を放銃してしまう。
2本場でさらに勢いつく菊原。
リーチ ドラ
トータルトップを前局の放銃で上田に渡してしまった日高だったが、このリーチにも向かっていく。10巡目にこのテンパイ。
次巡をツモ。打で勝負していく。またその次巡にをツモ。選択が迫られた。
ツモ
ここでツモり四暗刻のテンパイに取った日高だが、イーペーコーで充分と選択していればすぐに菊原からアガっていた。
そんな中、上田にも手が入っていて2人のリーチと押しに地道に押し返していた。
ハイテイ間際にテンパイを入れた上田。
次巡にをツモり、さらに日高を突き放す2,000・4,000をアガる。
南2局
親の菊原が優勝に向けてさらに加点するためにリーチ。
リーチ ドラ
ここにも追いかけた日高。
リーチ
ここで菊原から2,600をアガリどんどん失点を取り戻していく。
南3局1本場
親の鹿嶌が2巡目で仕掛けていく。
ポン ドラ
手が進み大物手を狙った鹿嶌のソウズ全落としから勢いを増した日高がリーチ。
リーチ
鹿嶌は後がないのとソウズは全くいらないため、日高に3,900は4,200を放銃となってしまった。
南4局
現状上田がこの半荘トップ目でトータルが38.4P。日高が浮きの3着で37.3P。
日高、上田の差は1.1P。上田優位な状況で始まった南4局。菊原が3倍満ツモ条件。
条件計算が終わって始まった南4局。ここでも勢いがある日高に好配牌。
ドラ
ここでアガれば一気に優位に立てる日高だが、ここから場況に合わせて仕掛けていく。
上田がマンズのホンイツに向かうような手で一気に場のマンズが高くなる。
この判断がなかなか難しいところを日高は上田から1,500を直撃する。
ポン ロン
このアガリで一気に形勢逆転。アガるところを制限された上田。
3,900は4,200を鹿嶌から。日高からアガるには2,600以上。菊原からアガる場合は菊原がマイナスに落ちるため、順位点で日高が現状から+1Pになるため5,200以上。ツモだと700・1,300以上。
プロ試験に出そうな難しい条件で始まった南4局1本場。
上田がアガリを目指してドラのを切る。そのを日高がポン。
ポン ドラ
日高はこのテンパイ。上田も6巡目にテンパイをいれる。
ツモ
をツモなら1,000・2,000で条件をクリア。もしくはピンフに持っていくための、テンパイ取らずの選択で上田はヤミテンに構えた。
お互いにツモ切りが続いたが日高がラス牌のをツモ。4,000は4,100オールで上田を突き放した。
このアガリが新人王を決める決定打となり日高が第32期新人王に輝いた!
第4位:鹿嶌文太
「初めてのタイトル戦決勝で何も出来なくて悔しいです。来年戻ってきます!!」
第3位:菊原真人
「1回戦にトップが取れたのにこの結果はその後の内容がよくなかったです。手組みが悪くそれが敗因だったと思います。全然足りませんでした。」
第2位:上田稜
「押しきれなかった部分があり何度もアガリ逃しもありもっと強気でいけばよかったなと思うところを後悔しています。ですが今後も頑張って行きたいと思います!」
優勝:日高志穂
「ミスもたくさんあったと思うのですが、自分の力を出しきれたと思います。ありがとうございました!!」
地方所属の4人目となる女流プロ、日高志穂が優勝で新人王に輝いた。
強気で戦う気持ちが1番強かった。今後の活躍を期待したいと思います!
平成最後の新人王戦。第32期新人王、日高志穂プロ、おめでとうございます!!
カテゴリ:新人王 決勝観戦記