麻雀日本シリーズ2018 第6節レポート 黒木 真生
2018年11月15日
プレーオフの進出者が決まった。
1位通過は、予選からほとんど首位の座に座りっぱなしだった平賀聡彦プロ。とは言っても「その座を守った」のではなく、その座を狙っていない相手の首根っこを捕まえてハンマーで殴打するような、ド迫力の闘牌を続けた結果がこれなのだ。まさに「攻撃は最大の防御」である。
夏目坂スタジオの裏方スタッフの間にも平賀ファンが増え始めている。それぐらい、凄い攻撃を見せ続けてきた。
プレーオフも変わらず「相手を倒す」ことに専心して、「強い平賀のまま決勝へ突入してもらいたい。
2位は松ヶ瀬隆弥プロ。現在の風貌は得点表の写真とは全然違っていて、ほとんどアメリカ人プロレスラーの様相を呈しているのだが、麻雀は実は繊細な部分もあり、攻め一辺倒というわけではない。
もちろん、攻撃に転じた際の迫力は満点なのだが、平賀プロを超攻撃型と分類するなら、松ヶ瀬プロは「攻撃型」と言えるだろう。
第3位の佐々木寿人は平賀プロに匹敵する「超・攻撃型」だ。
やっぱりプロは攻めてナンボ。一般人が打てないような超危険牌を平気な顔をして打ち抜くから驚くわけで、驚くからこそ観ている人の心が動く。
麻雀の打牌で「感心」させることは比較的容易だ。上手な人の麻雀を見れば、誰も「うまいなぁ」と「感心」するだろう。
だが、打牌で人を驚かせたり、笑わせたり、泣かせたり、怒らせたりできる人はなかなかいないが、そういう人こそ、私はプロとして価値があると思っている。
いま、上位3名をご紹介したところで気づいたのだが、プレーオフ進出者8名のほとんどが「攻撃型」と「超・攻撃型」に分類されるタイプの打ち手たちなのである。
平賀プロ、佐々木、前原雄大は言わずもがなの「超・攻撃型」である。松ヶ瀬プロ、瀬戸熊直樹、ともたけ雅晴は「攻撃型」。ともたけは打点力が凄さで迫力を感じさせるが、佐々木や前原、平賀プロほど無理な体勢から踏み込んでは行かない。
白鳥翔と多井隆晴プロは「バランス型」だ。
おそらく、「超・攻撃型」と「攻撃型」の6名は、ほとんどが「攻め」という選択肢をとってくると思われるので、勝負のキーを握るのは、白鳥と多井プロの2人の「バランス型」の対処方法だと思う。
相手に合わせて攻撃にシフトするのか、それとも逆に守りを固めて決勝へと生き抜こうとするのか。
そこが焦点になりそうな気がしている。
惜しくも敗退したのは、萩原聖人。井出洋介プロ、近藤誠一プロ、村上淳プロ。
11位の近藤プロでさえ、8位のともたけと30ポイントもついておらず、本当に全員が全員、接戦での惜敗であった。12位の村上プロは1人大きく離されているように見えるかもしれないが、これは勝負の展開の結果そうなったものである。あるところで優勝の可能性がなくなると、特殊な打ち方をせざるを得なくなり、それによってマイナスが大きくなることがある。あくまでも全員が「8位以内」を目指した結果であり、敗者の順位に優劣はない。
次は決勝を賭けた8名の戦いとなるが、ポイント差はあってなきが如し。「ポイント差がこれだけだからこう打つ」といったチマチマしたことを考えていては大きな波にさらわれる。
麻雀打ち同士が意地を張り合い、力と技がぶつかり合う。そんなプレーオフになること間違いなしである。
【システム】
■16人で一次予選全24回戦(各自6回戦)を行い下位4名が敗退
■12人でポイントを持ち越し二次予選全6回戦(各自2回戦)を行い下位4名が敗退
■8人でポイントを持ち越しプレーオフ全4回戦(各自2回戦)を行い上位4名が決勝進出
■ポイントをリセットし決勝4回戦
【ルール】
30,000点持ち30,000点返し
順位点5,000-15,000
一発・裏ドラあり
その他WRCルールに準ずる
二次予選
順位 | 名前 | 一次予選合計 | 1回戦 | 2回戦 | 合計 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 平賀聡彦(RTDリーグ2017優勝) | 142.0 | ▲ 20.7 | 32.8 | 154.1 |
2 | 松ヶ瀬隆弥(RMUリーグチャンピオン) | 48.3 | ▲ 7.7 | 27.5 | 68.1 |
3 | 佐々木寿人(連盟会長推薦) | 38.9 | 12.1 | 12.9 | 63.9 |
4 | 白鳥翔(連盟会長推薦) | 32.6 | ▲ 31.5 | 33.0 | 34.1 |
5 | 瀬戸熊直樹(連盟会長推薦) | 18.3 | 22.2 | ▲ 10.0 | 30.5 |
6 | 多井隆晴(連盟会長推薦) | 28.1 | 26.8 | ▲ 25.4 | 29.5 |
7 | 前原雄大(鳳凰位) | 22.2 | 9.1 | ▲ 12.8 | 18.5 |
8 | ともたけ雅晴(第2回WRCチャンピオン) | ▲ 0.9 | 28.8 | ▲ 25.4 | 2.5 |
9 | 萩原聖人(連盟会長推薦) | 9.4 | ▲ 25.1 | 2.4 | ▲ 13.3 |
10 | 井出洋介(将王) | ▲ 0.3 | ▲ 9.4 | ▲ 8.5 | ▲ 18.2 |
11 | 近藤誠一(連盟会長推薦) | ▲ 22.0 | ▲ 10.6 | 5.4 | ▲ 27.2 |
12 | 村上淳(最高位) | ▲ 16.1 | 6.0 | ▲ 31.9 | ▲ 42.0 |
一次予選
順位 | 名前 | 1回戦 | 2回戦 | 3回戦 | 4回戦 | 5回戦 | 6回戦 | 合計 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 平賀聡彦(RTDリーグ2017優勝) | 28.9 | 44.5 | ▲ 13.9 | 33.5 | ▲ 11.0 | 60.0 | 142.0 |
2 | 松ヶ瀬隆弥(RMUリーグチャンピオン) | 33.6 | 2.3 | ▲ 27.7 | 21.7 | 34.7 | ▲ 16.3 | 48.3 |
3 | 佐々木寿人(連盟会長推薦) | 31.9 | 21.2 | ▲ 5.1 | 16.5 | ▲ 30.5 | 4.9 | 38.9 |
4 | 白鳥翔(連盟会長推薦) | 28.3 | ▲ 12.9 | 6.0 | 36.1 | ▲ 33.5 | 8.6 | 32.6 |
5 | 多井隆晴(連盟会長推薦) | ▲ 9.9 | 2.3 | ▲ 8.4 | 2.0 | 4.5 | 37.6 | 28.1 |
6 | 前原雄大(鳳凰位) | ▲ 18.6 | ▲ 13.1 | ▲ 24.2 | 41.5 | 45.9 | ▲ 9.3 | 22.2 |
7 | 瀬戸熊直樹(連盟会長推薦) | 6.6 | ▲ 29.9 | 30.7 | 32.5 | 6.7 | ▲ 28.3 | 18.3 |
8 | 萩原聖人(連盟会長推薦) | 29.5 | ▲ 6.5 | 2.2 | 4.3 | 6.0 | ▲ 26.1 | 9.4 |
9 | 井出洋介(将王) | ▲ 41.4 | 8.3 | ▲ 6.3 | 9.7 | 27.0 | 2.4 | ▲ 0.3 |
10 | ともたけ雅晴(第2回WRCチャンピオン) | 8.8 | 37.4 | ▲ 36.0 | ▲ 12.7 | ▲ 9.7 | 11.3 | ▲ 0.9 |
11 | 村上淳(最高位) | 36.2 | ▲ 11.3 | ▲ 13.7 | ▲ 24.3 | ▲ 34.8 | 31.8 | ▲ 16.1 |
12 | 近藤誠一(連盟会長推薦) | 23.8 | ▲ 5.9 | ▲ 30.5 | ▲ 28.5 | 31.9 | ▲ 12.8 | ▲ 22.0 |
13 | 金太賢(2017最強位) | ▲ 30.2 | ▲ 18.3 | 26.4 | ▲ 30.4 | ▲ 8.5 | 26.3 | ▲ 34.7 |
14 | 勝又健志(連盟会長推薦) | 15.0 | ▲ 12.2 | ▲ 21.4 | ▲ 27.3 | ▲ 0.1 | ▲ 10.6 | ▲ 56.6 |
15 | 沢崎誠(麻雀日本シリーズ2017優勝) | ▲ 28.4 | ▲ 40.9 | ▲ 12.4 | ▲ 25.2 | ▲ 50.6 | ▲ 29.9 | ▲ 187.4 |
16 | 藤崎 智(十段位) | ▲ 30.2 | 6.4 | ▲ 23.8 |
※藤崎智は肺炎のため辞退になりました。
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