第9期麻雀グランプリMAX ベスト8 B卓レポート 武田 裕希
2019年03月29日
ベスト16を勝ち上がってベスト8B卓に進出したのは前原・紺野・大橋・柴田の4名。ベスト8A卓も全員Aリーガーだったが、このB卓も全員Aリーガーである。
前日の勝ち上がり山田・藤崎の待っている決勝卓に進むのは誰なのだろうか。
1回戦【起家から 紺野、柴田、前原、大橋】
大橋が東1局から前原のお株を奪うようなガラクタリーチをかける。
ドラ
どちらかというと得点のためのリーチというより、自分の姿勢を相手に見せつけ、なおかつ相手に選択を迫るような戦略的リーチに見える。
ここは柴田の追いかけリーチ2,600にヤミテンの前原が放銃となった。
この後はヤミテンや牽制の流局が続くが、東4局から局面が動く。
2度の5,200アガリをものにした柴田が南2局も続けて大物手をアガる。
ツモ ドラ
この4,000オールで1人浮きとなった柴田の番手を取るべく、南3局で親の前原と紺野がぶつかる。
前原 リーチ
ドラ
紺野 リーチ
紺野がをツモりあげ、番手をキープ。逆に前原はオーラスでも柴田に6,400を放銃してラスを引くこととなった。
1回戦成績
紺野+8.9P 柴田+34.0P 前原▲26.2P 大橋▲16.7P
2回戦【起家から 大橋、紺野、柴田、前原】
1回戦で沈まされた大橋と前原だが、2回戦では開始早々積極的な鳴きで攻める。
タンピン三色の1シャンテンまでこぎつけていた紺野であったが、両者の鳴きで後手を踏んでいると判断して一歩引きさがった。
打 ドラ
前原は実際にこの形でテンパイ。
ポン
紺野に浮いているの筋は当たり牌になっている。
そしてが通ったことを確認した紺野は、悠々と当たり牌のを使い切って高め三色のテンパイ。
だが、ここは大橋がのみの500オールで両者の本手をさばく。
東1局0本場で隙の無い動きを見せた紺野は、大橋の小さな連荘が終わった後の東2局も隙なく大物手をヤミでテンパイする。
ここに飛び込んだのは大橋。東1局の連荘で稼いだ点棒を一気に吐き出してしまう。
ロン ドラ
紺野・大橋が場面をリードする状況となっているこの撃ち合いの中、地道に放銃を抑え小さなアガリをものにしていた柴田。南3局の親番を迎えるころには微差ではあるがトップ目に立っていた。
少しずつ加速する柴田であったがこの親番は一気に進む。
ロン ドラ
次々と牌を引き込みホンイツ18,000。放銃したのは1回戦ラスの前原。
続く南3局1本場でも前原は大橋にリーチ負けして3,900は4,200を放銃しこの半荘の点数がマイナス2,200にまで落ち込む。
最終的には3人浮きで箱下のラス。前原にとっては序盤戦から非常に厳しい状況となってしまった。
2回戦成績
大橋+12.1P 紺野+1.5P 柴田+30.6P 前原▲44.2P
2回戦終了時
柴田+64.6P 紺野+10.4P 大橋▲4.6P 前原▲70.4P
3回戦【起家から 大橋、前原、紺野、柴田】
東1局、ここまで大きくマイナスしている前原にようやく場風のドラが暗刻の手が入る。
だが、ここは先行してテンパイしていた紺野が1,000点でかわす。前原の大物手はまたもや埋もれてしまうこととなった。
東3局、先ほどうまくかわした紺野にご褒美ともいえる大物手が入る。
ドラ
高めは親満12,000という凄いリーチだが、大橋がタンヤオのテンパイを入れて対抗する。
この緊張の1局を制したのは大橋。東1局では大物手をかわした紺野がここでかわし返される結果となった。
この局以降もひたすら紺野と大橋のぶつかり合いとなったが、大橋が器用にアガリを重ねてトップを奪った。
上に柴田・下に前原が離れている状況での2番手争いは、大橋が小さなリードを奪い、終盤4・5回戦を迎えることとなった。
3回戦成績
大橋+25.7P 前原▲19.2P 紺野▲2.2P 柴田▲6.3P 供託+2.0
3回戦終了時
柴田+58.3P 大橋+21.1P 紺野+8.2P 前原▲89.6P 供託+2.0P
4回戦【起家から 柴田、大橋、前原、紺野】
1回戦2回戦と連勝したものの、3回戦では一旦勢いが収まったかのように見えた柴田。
だが、この4回戦はひたすら柴田がアガリ続ける展開となった。
東1局0本場 3,900
東1局1本場 500は600オール
東2局3本場 500・1,000は800・1,300
南1局1本場 1,000は1,100オール(供託1,000)
南1局2本場 11,600は12,200
南2局0本場 400・700
南3局0本場 3,200
南4局0本場 500・1,000
なんと8回ものアガリを重ね、トータルスコアもほぼ100ポイントまで増やし決勝進出を濃厚なものとした。
放銃を抑えつつ安手を2回アガれた大橋が、ノーホーラの紺野との差を少し広げた2番手となって最終戦を迎えることとなった。
4回戦成績
柴田+41.0P 大橋▲4.6P 前原▲15.0P 紺野▲21.4P
4回戦終了時
柴田+99.3P 大橋+16.5P 紺野▲13.2P 前原▲104.6P 供託+2.0P
5回戦【起家から 前原、柴田、紺野、大橋】
柴田は3番手の紺野との差が112.5Pと大きく離れており、よほどのことがなければ決勝進出濃厚である。
前原は大差の4番手。1人はともかく2人交わすのは非常に厳しいが、それでもするべきことをして僅かなチャンスに賭けるしかない。
現実的には大橋と紺野の一騎打ちと言える最終戦が始まった。
その最終戦の東2局、紺野にドラ3の手が入る。
対抗の大橋も紺野の高さと速さを察したのか、を鳴きさばき手のテンパイ。紺野はテンパイ即リーチ。
この重要な局面を制したのは紺野。
ツモ ドラ
山に2枚のを力強くツモ。トータルで大橋をかわす2,000・4,000のアガリとなった。
続く東3局、勢いを増した紺野の親番となったが、加点したのは前原。
可能性は少なくとも手をこまねいてはいられないとばかりに鳴いて満貫を仕上げる。
チー ツモ ドラ
このツモアガリで、2番手が親被りの紺野から大橋に再度代わることとなった。
東4局、大橋の仕掛けが入る。
ポン ドラ
後がない前原、アガリ続けるためにとにかくリーチをかける。
ツモ 打
すでにホンイツをテンパイしている大橋はソーズが濃いと感じつつもソーズの無筋を連打するが、さすがに3筋目となるを引かされ迂回する。だが、迂回した瞬間に先ほどまで欲しかったを引いてしまう。
普通なら落胆してしまいそうな状況であったが、大橋の迂回を感じた柴田が切ったをしっかりと鳴き、大橋はぎりぎりのテンパイを果たす。
ポン ポン
大橋の鳴きにテンパイ気配を感じた紺野も必死に形を崩さず打ちまわし、16巡目に火の出るような打牌で1枚だけ押してテンパイを取った。
カン
東4局2本場、混沌としたシーソーゲームの様相を呈してきた最終戦だが、ついに決定打と言えるアガリが飛び出す。
紺野がここを勝負局にするという決意をもってチンイツに向かい、鳴きを入れる。
大橋も紺野が大物手を狙う気配を感じつつも本手をぶつける。
暗カン リーチ ドラ
紺野も1シャンテンまで迫るが、ここを制したのはぎりぎりで親番をつないだ大橋。力強く高めのをツモり、6,200オールで3番手紺野との差を大きく広げた。
大物手をライバルにアガられて辛い状況の紺野だが、次局3本場は
ロン ドラ
8,000は8,900をアガって冷静に差を詰める。
その後は大きな動きがないまま南4局を迎える。
紺野の条件は大橋からの跳満直撃か倍満ツモ。
配牌からはその条件をクリアする手が見えない状態であったが、中盤から手が寄りホンイツに向かい、ついに条件を満たす聴牌に至った。
ドラ
他3人は全員オリていて待ちの優劣はつけがたい状況であったが、紺野は小考の末を切り、リーチ宣言。
ドラ
は山に残り0枚、は1枚。この時点では正解を選ぶことができた紺野だが、無情にも王牌に最後のは埋もれてしまっていた。
5回戦成績
前原▲8.2P 柴田▲33.5P 紺野+26.1P 大橋+14.6P 供託+1.0P
5回戦終了時
柴田+65.8P 大橋+31.1P 紺野+12.9P 前原▲112.8P 供託+3.0P
山田と藤崎の待つ決勝戦へのチケットを手に入れたのは、HIRO柴田とダンプ大橋の2名となった。
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