「~最後の試練~」 吉田 直
2019年07月24日
長かったリーグ戦も遂に最終節を迎えた。
リーグ戦を戦っていて短く感じる人や長く感じる人、またポイント状況によっても感じ方は様々だと思うが、今回自分は序盤にリードをしていたのでとても長く感じた。
早い段階で首位になり、途中から守備的になって危うい場面も幾度とあったが、どうにか最終卓に残れたので、最終節までの1ヶ月麻雀の調整やメンタルの強化、験担ぎなどやれるべき事は全てやった。
験担ぎと言えば、A卓で藤崎さんと紺野さんが降級争いをしていたが、残留したのは伊勢神宮に行ったからだという情報を聞き、自分も当然のように伊勢神宮に行って来た。(もちろん残留したのは実力だとわかっています笑)
まだあまり歩けなかったので4、5時間かかったが、しっかりと神頼みをして準備は万端。笑
最終節を迎えた時のポイント状況は
HIRO柴田+251.4P
勝又+142.8P
吉田+ 133.6P
沢崎+ 98.5P
伊藤+ 99.7P(12節終了)
決定戦には3名残れるので、まずは勝又より上を目指して戦うが、離されたら沢崎より上を目指す。
ただ、最終卓で3位になっても伊藤のポイントを下回ると伊藤が決定戦に残るため、途中でマイナスしていた場合は伊藤のポイントも頭に入れ戦わなくてはならない。
泣いても笑っても残すは半荘4回。
決定戦に残れなかったとしても後悔する打牌だけはしないようにと心に誓い席に着く。
1回戦東4局ドラ 南家
勝又
ポン ポン
勝又がトイトイの仕掛けをしている所に表示牌のを持って来た。自分も下記の勝負手でが良いと思っている。
ツモ
かなり時間を使って考えた。それは相手の待ちよりもこれからの覚悟だ。この1回戦から自分が勝負手を貰って受けてしまったら、この後も引き気味に打たなければならなくなるという事。まだ守っていいポイントでもないし、自分の麻雀に反するからここはドラのを持って来たら待ち替えをしてリーチを打ち、それ以外は全て行こうと決断しを切った。
しかし無情にも勝又にをツモられる。
最近1半荘目にラスを引く事が多いので、今日も苦しいのかと脳裏をよぎった。
南1局ドラ 東家
8巡目にとりあえずこのテンパイを果たすが、次巡にを持って来て勝又に1,000点の放銃。
2局連続勝負手が実らず少し焦りを感じていた。
オーラスドラ 親 柴田
柴田20,600点
吉田25,900点
沢崎27,900点
勝又45,600点
目標にしていた勝又が1人抜け出したので、浮かなくてもせめて沢崎よりは上に行きたいと思いリーチを打つ。
リーチ
そこに、リーチ棒が出た事により2,000点で浮く沢崎が仕掛けを入れる
チー チー
タンヤオ高め三色の仕掛けだ。リーチが入っているので、当然安めでもアガると思うが、終盤にラス牌のを自分が持って来て沢崎は浮きに回りポイントを少し詰め寄られる。
1回戦終了時
柴田+234.0P
勝又+166.4P
吉田+122.5P
沢崎+103.4P
2回戦東4局ドラ 北家
沢崎が6巡目リーチ。
当面のライバルから親で早いリーチが入り、手が整っていない自分はすぐに撤退を決意。安い手か流局を祈るも、あっさりと高めのをツモり6,000オール。
まだ2回戦の途中なのにこの瞬間トータルポイントを捲られ少し心は揺れた。
しかし沢崎が強いのは織り込み済みだし、そんな簡単にはいかないと想定もしていたので、この後も自分らしく打つだけだと思った。
南2局ドラ 南家
リーチ
10巡目にこの形でリーチを打つ。
点数状況が
沢崎46,100(+103.4P)
勝又27,400(+166.4P)
柴田27,000(+234.0P)
吉田19,500(+122.5P)
捨て牌が
、、がツモ切り。
普段はヤミテンにしそうだが、ここまで勝負手が全くアガれていなかったので、ヤミテンにしていたら他の人にアガられる気がしたのと、捨て牌が派手なので色々考えてもらいオロしたかったという思いからリーチに踏み切る。
その時柴田がテンパイをしていて、同巡勝又もテンパイをする。
柴田
勝又
親の柴田が長考してをツモ切って来たが、次にを引き回ってくれた。
しかし勝又は、フリテン待ちだが読みを入れ押し返して来て、をツモりまたも勝負負けした。
2半荘で1,300と500・1,000の2回しかアガっていなくてとてもキツイ状況だが、最後まで集中力を切らさずしっかりと戦おうと心に決めた。
2回戦終了時
柴田+223.9P
勝又+173.5P
沢崎+130.4P
吉田+98.5P
始まる前は沢崎に対して30Pリードしていたが、2回戦が終了して逆に30Pリードされ、さらに別卓で終了している伊藤よりもポイントが下回った。
3回戦沢崎よりも着順が下だと最終戦相当厳しくなるので、トップはもちろん取りたいが沢崎よりも上の着順を取り浮く事を念頭に置いた。
3回戦は東3局2,000オール、南1局1,300・2,600とアガリ加点をしていき、オーラストップ目で迎えたが親の柴田が連荘して捲られ浮きの2着で終わった。それでも沢崎がラスだったのでトータルポイントはほぼ並びとなり最終戦は着順勝負となる。
3回戦終了時
柴田+252.4P
勝又+158.5P
沢崎+108.0P
吉田+107.4P
4回戦東4局ドラ 西家
ここまで点数はほぼ横並びと拮抗していたが、遂に均衡が破れた。
配牌から七対子を見据えて打っていた自分は、ドラを2枚引いて6巡目に早くもテンパイする。
は悪くなさそうぐらいの牌だが、他に替える牌が来なかったのでそのまま単騎にした。
そして沢崎が下記の手牌
ツモ
こちらも勝負手。を引き7,700のテンパイが入り打。喉から手が出るほど欲しかった6,400点。しかも着順勝負の相手からの直撃だったので倒す時に少し手が震えていたのを覚えている。
南3局ドラ 北家
柴田32,500点(252.4P)
勝又28,400点(158.5P)
吉田37,400点(107.4P)
沢崎21,700点(108.0P)
沢崎と自分の親が終わり残すは後2局。まだまだ捲られる可能性はあるので沢崎の捨て牌だけを集中して見ながら手を進めていく。
14巡目に沢崎からリーチが入る。
ツモ 切りリーチ。
リーチ
やっぱり来たかと心の中で思った。しかも捨て牌は一色手だ。これをツモられるとまた並びになってしまうので、自分もチーテンを入れが薄かったので変則3面張に受けピンズ以外は全部押そうと決め仕掛ける。
チー 打
自分の勝ちたい思いが麻雀の神様に届いたのか沢崎がを掴み決着。
オーラスは6巡目にピンフテンパイを果たし、すぐにアガって初のA1リーグで初の決定戦進出を果たした。
あまりに苦しい戦いが終わり、緊張の糸が切れた自分はいつもの様に泣いていた。
それはここまで辿り着くのに色々な想いがあったからだ。一度は連盟を辞めた自分をまた受け入れてくれてここまで可愛がってくれた先輩方。昨年のA2リーグで最終戦まで苦しめられた荒、黒沢との壮絶な戦い。そして11節、最終節と連続で対戦した怪物のような強さの沢崎。さらに負けるかもしれないプレッシャーとの戦い。様々な事を考え、そしていつも涙腺は崩壊する。
もう人前で泣かないようにしようと思っても勝手に零れ落ちる嬉し涙。
もう1回だけ泣けたらいいなと思いこの日は飲み明かした。笑
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