「~迫りくる足音~」 吉田 直
2019年11月29日
鳳凰位決定戦2日目が終了し以下のポイント状況。
吉田 +74.9P
前原 +13.8P
勝又 ▲31.5P
柴田 ▲57.2P
初の決定戦にしては、自分からするとここまでは出来過ぎ以上の結果だ。
このポイントなら最終日まで優勝争いは出来そうだが、欲をいえば3日目にもっと引き離し最終日は余裕のあるポイントで迎えられれば鳳凰位が現実的なものになってくる。
ただ、そんな甘い面子じゃないのは百も承知。なので、おそらく今日はこの決定戦で初めてマークされるのではと思っていた。
ここまでは自分以外の3者がマークしあい、1人ほっとかれていた様な気がしたので悠々自適に逃げていたが、流石に今日からはマークされると思っていたので、相手が高そうな手の時の山越しも視野に入れ、自分は現状2番手の前原を徹底マークしようと思い戦いに挑んだ。
東1局親番ドラ
リーチ
9巡目にテンパイが入り即リーチ。
仕掛けを入れている勝又から、すぐにが打たれ3,900のアガリ。
6,000オールを引きに行ったリーチだったので、安目のアガリは不服だったが、入りとしては自分らしく打てているのと、牌が自分の構想通りに来てくれていることに満足していた。
東3局に1人ノーテンをくらい原点割れしたが、次局7巡目に仮テンのをあっさりツモれて、今日もツキは味方してくれていると思い、このままゴールまで駆け抜けようと思っていた。
ツモ
南1局親番ドラ
対面の柴田がマンズのチンイツで2フーロしている状況。マンズが1枚余りテンパイ濃厚。他2人はソウズの一色手模様で12巡目に以下の牌姿。
ツモ
この形どう切って行くのが良かったのか。は自分で第一打に切っていて、場には3枚切れのフリテン。5枚持ちのが危険なのはわかるが、相手が愚形の可能性もあるのでワンチャンスを頼りに、と切って放銃は最悪。前原もが手から余り若干気配が出ていてソウズも切りにくく、前原に放銃だけは絶対駄目だと思った。だったら真っ直ぐに攻めて、この手を本手に仕上げようと思いを打ち抜く。しかし当然のように柴田に8,000の放銃。
南家
勝又24,500
西家
柴田26,700
ポン チー
北家
前原32,500
まあ当たってもおかしくない牌での放銃だし、自分の戦う姿勢は崩していないので、こういう放銃は点数的には痛いがメンタルにはこない。またやり直せばいい。
南4局親前原 ドラ
オーラスを迎えた点数状況
東家前原 31,500
南家吉田 29,300
西家勝又 20,600
北家柴田 38,600
ここは最低アガって浮きを確保したいと思っていたが、速度もあり打点が見えそうな配牌だったので、ホンイツやチャンタを見ながら手を進める。
そして4巡目に2枚目のから仕掛ける。
ポン
手が進み8巡目にをポンしてテンパイ。
ポン ポン
テンパイ一番乗りかと思いきや、この巡目でなんと全員テンパイ!
前原
勝又
柴田
そして前原がテンパイしている所にツモ。も通っていないのでを切りそうだが、後の変則3面張などを考えてなのかをツモ切り。
そして、これが自分にとっては当面のライバルを沈めた浮きに回る大きなアガリとなり9回戦が終了。まずは上々の滑り出しとなった。
しかしA1の猛者達はやはりそんなに甘くはない。
10回戦
東1局親勝又ドラ
9巡目に柴田からリーチが入る。
その時、自分は好調を意識していたので、手を目一杯に広げていて安全牌がない状況。
ツモ
柴田には現物だが、前原からテンパイ気配が出ていた。前原にはは結構危ないが、他に切る牌もなく打点もそんなに高くないだろうと思いを打ち出すと、前原からロンの声。
ロン
いきなり超本手の8,000を放銃。久しぶりに頭がクラクラ来た。そしてここから完全に3人に抑え込まれ、この半荘は大きな沈みの3着で終わる。
そしてこの半荘70,000点近いトップを取り2連勝の柴田がトータル2位に浮上。上から下まで一気に差が縮まった。
10回戦終了時
吉田 +54.6P
柴田 +4.5P
前原 ▲28.7P
勝又 ▲30.4P
このぐらいの差になる事など当然覚悟していたが、いざそうなると中々焦ってくる。
そして11回戦目も好配牌をもらうも、思うようにいかず苦しい展開が続いていたが、この1局で精神的に凄く楽になった。
東2局親番2本場ドラ
前原から11巡目にリーチが入る
それを受け以下の形
ツモ
前原の捨て牌的には相当切りづらいが、これは勝負手だと思い歯を食いしばってを勝負。直後、前原からドラのが打たれ、それをポンしてダブの後づけでテンパイ。
すぐに勝又もを重ね役なしテンパイ
前原のリーチ前からテンパイしていた柴田は、残りツモ2回で無筋のを掴み考える。
ツモ
柴田は南家なので、役ありのツモり三暗刻。は親には通りそうだが、リーチの前原にはドラ跨ぎで危険牌。少考の末、選択は打。七対子などの復活も見た一打か。しかし無情にも次巡の引きアガリを逃す。
そして全員テンパイ濃厚ということもあってか、上家の自分から出たをチーして形式テンパイを取り、親の自分にハイテイを回した。
を勝負していればで2,000・4,000のツモアガリ。前原の現物のを切り、生牌だが筋のを切る手順だとを引きツモり四暗刻のテンパイで、自分が打ったで8,000のアガリ。それも踏まえると、柴田なら仕掛けなさそうだが•••。
これが麻雀なのか、本来ならアガれないはずのハイテイ牌で4,000オール。
この局は、柴田もインタビューで凄く後悔の残る1局と言っていたが、珍しくらしくない様に見えた。
自分が連盟で強い人を挙げろと言われれば、間違いなく5本の指に入る打ち手で、読みの精度が高くオリジナルなアガリを幾度となく見せてくる名手だ。だからアガリ逃しから親にハイテイを回すなど、普段なら絶対やらないと思う。
ただ、これが鳳凰位決定戦の重圧なのかとも思った。
そして、ここからはまた牌が応えてくれ、点数を加点していきトップを取りトータルで3者を大きく引き離した。
11回戦終了時
吉田 +79.5P
勝又 ▲12.7P
柴田 ▲19.9P
前原 ▲46.9P
本日の最終戦でトップを取ることが出来れば、いよいよ連盟最高峰が見えてくるが、ここまで全く展開に恵まれないにもかかわらず、2番手につけている勝又が遂にやってきた。
南2局親勝又ドラ
7巡目に勝又先制リーチ
リーチ
自分は手が悪いのでオリを選択。そこへ前原が仕掛けて応戦。さらに柴田が追いかけリーチ。
前原
ポン
柴田
リーチ
すぐに勝又がを引き6,000オール。
このアガリを見て、前局の勝又のアガリが凄かったので、当然だなと思っていた記憶がある。
南1局親前原ドラ
親の前原が6巡目に先制リーチ。
リーチ
勝又が同巡に追いつき、無筋のを切りヤミテン。そして次巡、ツモ切りリーチを掛けて来た。
リーチ
を引ければジュンチャンイーペーコーの手変わりもあるが現状役なし。そしてドラが見えていない状況。
捨て牌は
山には無く、が2枚が1枚山に残っている。そこへドラのを重ねた柴田が、前原から出たをポンしてテンパイ。
柴田
ポン
しかし、勝又が前原からで1,600をアガる。打点こそ安いが、開かれた手を見て勝又の山読みもさることながら、勝負感も凄くそれをリーチ出来るのかと驚いた1局だった。
南3局親番ドラ
配牌
2番手の勝又が45,600点の1人浮きで、自分は26,600点の3着目。最低でも浮いて終わりたい状況。
ジュンチャン、チャンタ、ホンイツ、七対子、国士などが考えられるが、お世辞にもいいとは言えない配牌だ。
そして柴田が4巡目に南家で1枚目のを仕掛ける。
柴田
ポン
ピンズのホンイツやドラやダブの重なり、ドラ単騎などを見た仕掛けか。
しかし、その仕掛けで親の自分は予想以上の伸びを見せ、11巡目にテンパイ。
2枚切れだが親満のテンパイを果たす。しかし柴田、勝又もテンパイを入れている。
勝又
柴田
ポン
枚数的には勝又、柴田が2枚、自分は1枚だったが、を手元に手繰り寄せ4,000オールのアガリを決めこの半荘浮きで終わる事が出来た。
本当にこの3日目は厳しい半荘の連続だったが、気持ちを途切れさせずによく戦い抜いたと思う。
いよいよキツく楽しい戦いも最終日を残すのみ。後は悔いの残らぬよう全力で腕を振り抜くだけだ。
3日目終了時
吉田 +87.3P
勝又 +8.7P
柴田 ▲44.7P
前原 ▲53.3P
カテゴリ:鳳凰の部屋