第36期鳳凰位決定戦 三日目観戦記 荒 正義
2020年02月29日
2日目までの、結果がこれだ。
藤崎 +72,7
古川 +55,6
西川 ▲45,0
吉田 ▲83,3
藤崎と古川の差は17,1Pだ。残り8回戦あるから、あってないような点差である。しかし、2日目の出来から態勢は藤崎有利だ。それは、抜いた者と抜かれし者の差である。藤崎にとって大事なのは、古川との距離だ。
今日、誰が吹こうとその距離が広がればいいのだ。それは古川も同じ。
3番手の西川は、マイナスを消すことから始める。話はそれからだ。
残念ながら、吉田の連覇は途絶えたかに見える。今日から負け戦だ。しかし、現・「鳳凰」らしく堂々と麻雀を打ってくれることだろう。
これまで、トップは藤崎が5回。古川が3回だ。西川と吉田は0である。
なお、この日の解説は瀬戸熊直樹と黒沢咲だ。実況は古橋である。
9回戦。
出親は吉田。順に古川、藤崎、西川の並び。
点棒が大きく動いたのは、東3局だ。
東3局。ドラ
吉田がこの手をリーチで引いて、1,600・3,200点。
暗カン リーチ ツモ
藤崎が親で、少し痛かった。
東4局は、吉田の1人テンパイ。これで、吉田の浮きは9,700点で、1人浮き。もしかしたら…の感無きにしもあらず、だ。今日、3回トップを取ればいいのだ。
南2局。ドラ
9巡目、西川に勝負手が入った。
ツモ
は、2枚切れの地獄待ち。は初物。西川は切りのリーチを選択。
しかし、これが親の古川の鳴きタンヤオのロン牌で1,500点。西川、無念!
南2局1本場。ドラ
今度は、その西川が怒った。
7巡目にテンパイで、ヤミテン。入り目は。
そして、次巡ツモで2,000・3,900 (+300)
南3局は、流局。
テンパイは、吉田と西川。藤崎と古川が沈んで、西川と吉田が浮いている。追う側にとっては、いい流れだ。
南4局1本場。
親の西川が、古川からピンフのヤミテンを打ち取る。1,500点(+300・1,000)
南4局2本場。ドラ
8巡目、藤崎にリーチがかかった。
ツモなら、三暗刻で浮きに回れる。しかし、古川がを放銃。3,200(+600)点。
9回戦の成績。
吉田 古川 藤崎 西川
42,1 7,6 23,4 46,9
9回戦までの総合得点。
藤崎 +66,1P
古川 +33,2P
西川 ▲28,1P
吉田 ▲71,2P
10回戦。
親は古川で西川、藤崎、吉田の並び。
東1局 。ドラ
6巡目に、古川の親のリーチがかかった。
これじゃあ、待ちも高さも分からない。だが、見てびっくり!
三色高めのツモなら、6,000点オールだ。
実況の古橋が、悲鳴を上げた。なんと入り目が、西川に暗刻のだったのである。このツモの流れから、アガリは約束されたようなもの。しかし、ツモはで2,000点オールだった。
1本場は、1,000点(+300)で藤崎が落とす。競っている古川の親は、容赦なく蹴るのだ。
東2局。ドラ
この局は、仕掛け合戦。初めに動いたのは藤崎で、6巡目の早い仕上がり。
チー チー
吉田もすぐに追いつく。こちらはのドラが暗刻。
チー チー
勝ったのは吉田で、打ちは古川だった。7,700点。藤崎はラッキーである。
東3局。ドラ
テンパイ一番乗りは、西川だった。8巡目でこれ!
次巡ツモで、ドラ切りリーチだ。
この時点で、とは河に1枚ずつ出ていた。はドラの指示牌で0。西川の目から、は1枚限りだ。それを、引きの勝負に賭けたのだ。手堅く構えるなら、こうだ。
これでヤミテンし、ドラの引きを待つところだ。この後、ツモがならアガるか、四暗刻単騎に取るかは状況次第だ。
その残りのが、親の藤崎の手の内だ。一通を見て止めたのだった。
しかし、藤崎のツモはこの後ツモで、345の三色変化する。
ツモ
藤崎の手も、てっぺんで決まれば6,000点オールだ。このは、止まらなかった。痛い、12,000点の放銃である。
東4局。ドラ
ここは吉田の親番。13巡目、その吉田からリーチが入った。
これにタンヤオ・ドラ1でテンパイの古川が戦う。
しかし、を掴んで放銃。5,800点。さっきと今度、そしてその前。2つ高い山が崩れ出した。
東4局1本場。ドラ
テンパイ一番乗りは藤崎だ。これが、6巡目のリーチだ。
入り目がだから、手応えがある。しかし、ツモれない。17巡目、親の吉田が追いつく。そして、リーチだ。残り1回のツモだ。なのに、リーチ。
は、藤崎に通っていた。とっても薄かった。このを、手詰まりの古川が打ちこんで7,700(+1,000・300)点。吉田の闘志を見た。
東4局2本場。ドラ
吉田のツモが軽い。無駄ツモなしで早いテンパイ。この手を5巡目で仕上げて、即リーチ。
昇り調子ですぐにアガリできるかと思ったが、流局で吉田の1人テンパイ。
3本場は、古川が落とす。1,300(+1,000・900)点。打ったのは藤崎だった。
この時点で、4人の持ち点はこうだ。
古川 西川 藤崎 吉田
24,5 29,7 13,1 52,5
吉田はラス親だ。もっと点棒が欲しい。古川と西川は浮き狙いだ。それだけで、藤崎との距離は詰まる。
南1局は親の古川の2,900点のアガリ。打ったのは西川だ。
1本場は、藤崎が1,000・2,000(+300)点のツモ。
南2局。ドラ
吉田と西川がぶつかった。吉田の手はこうだ。
暗カン ポン
追いついた親の西川が、リーチだ。
入り目は、ドラのだ。勝ったのは西川で、吉田の放銃。
7,700点は痛かった。後は小場で流れて終了。
10回戦の成績。
古川 西川 藤崎 吉田
21,4 36,1 13,8 48,7
10回戦までの総合計。
藤崎 49,9P
古川 25,6P
西川▲23,0P
吉田▲52,5P
11回戦。
親は吉田で古川、藤崎、西川の並び。
東1局。ドラ
藤崎が5巡目にテンパイ。
ピンフのみの手は、ヤミテンが常識。すぐにを引いてタンヤオになったが、それでもヤミテン。これが彼の大局観の明るさである。現状トップを走る藤崎は、危険を冒す必要がないのだ。まして親は、前回大きなトップを取った吉田だ。
このヤミテンに古川が捕まる。2,000点。
東2局。ドラ
この局は、鳴き合戦。制したのは藤崎だった。
チー 暗カン ツモ
1,000・2,000点のアガリだ。
東3局。ドラ
この局は、古川の早い仕掛け。しかし、11巡目に西川がリーチだ。
河にがあるから、掴めば出そう。そこに、吉田のリーチだ。
親の藤崎は、古川の2度の鳴きでドラのを3枚にしてこの手で、オリる気無しだ。
誰が勝つか分らない。古川は、2フーロしてノーテン。
しかし、勝ったのは西川で1,600・3,200(+1,000)点。
東4局は流局。テンパイは西川と吉田。
東4局1本場は、古川が制す。2,000(+300)点。打ったのは藤崎だ。
南1局。ドラ
この局は、好調西川のアガリ。
ポン ツモ
高目のドラを引いて、1,300・2,600(+1,000)
南2局。ドラ
藤崎がを切って、Wリーチだ。
ドラもあるし、三色もあるぞ!は、8枚山残り。
しかし、西川の手が止まっている。
藤崎「どうした淳よ、早く切れ!」
淳 「麻雀は、配牌で打つものではありませんから…流します」
藤崎「何すんだ!」
残念ながら、西川の九種倒牌だったのである。藤崎はリーチ棒まで供託となり、散々である。
南2局1本場は、親の古川のアガリ。1,500(+1,000・300)点。打ったのは吉田だった。
南2局2本場。ドラ
今度は、藤崎が怒った。これが9巡目の仕上がり。そしてヤミテン。
怒っているときは…無口がいいのだ。これに古川が飛び込んで、8,000と600点の献上。
南3局は藤崎の親番。ここはライバルの古川が300・500点で、早く蹴る。
今、怖いのは藤崎の連荘なのだ。ラスだっていい。まだ、先があるのだ!
南4局。ドラ
今度は、古川に4巡目のリーチがかかる。受けも好形。
これには、親で踏ん張った西川が放銃。7,700点は大きかった。
11回戦の成績。
吉田 古川 藤崎 西川
15,2 21,9 38,8 44,1
11回戦までの総合得点はこれだ。
藤崎+58,7P
古川+17,5P
西川▲8,9P
吉田▲67,3P
12回戦。
出親は西川で吉田、藤崎、古川の並び。
東1局。ドラ
11巡目に、古川からリーチがかかる。
この手にテンパイの吉田が、一発でを掴んで打つ。8,000点。
古川は、鳴きより面前の方が怖いのだ。
東2局は、吉田の親番。
吉田は1,500点をアガって連荘。
1本場は古川が、鳴き合戦を制す。3,900と300点だ。打ったのは、2度とも西川だった。
東3局。ドラ
今度はその西川から、9巡目にリーチが入った。
吉田も追いついて、この形。
チー ポン
勝ったのは西川。のツモで、2,000・3,900点。
東4局は、古川の親番。
藤崎が500・1,000点で落とす。
南1局。ドラ
5巡目、親の西川からリーチがかかった。
その手はこうだった。
ツモなら6,000点オールだ。は、3枚生きていた。
しかし、古川が500・1,000(+1,000)点ツモで、これを蹴る。
南2局、ドラ
9巡目、親の吉田のリーチが入った。
これを藤崎が1,300点で蹴る。吉田は残念。
南3局。ドラ
6巡目、古川がテンパイ。
ここにを引いて、受けを変える。
そしてヤミテン。同巡、西川もテンパイ。
ツモ
打。
この辺を、不調の吉田が掴んで打ち込んだ。一通があるから、16,000点。
この一発で、トップを捲った。
南4局は、全員ノーテンで終局。
12回戦の成績はこうだ。
西川 吉田 藤崎 古川
52,4 ▲4,5 25,9 46,2
トップは、西川3で吉田が1 。今日は、西川の圧勝だった。
そして、総合成績がこれである。
藤崎 +54,6P
古川 +33,7P
西川 +13,5P
吉田 ▲101,8P
西川が見事、浮きに回った。これで三つ巴戦となり、最終日が楽しみだ!
カテゴリ:プロリーグ(鳳凰戦)決勝観戦記