第2期雪華王戦 決勝観戦記 真光 祐尚
2020年03月24日
2020年1月17日正午、聖地夏目坂で第2期雪華王戦の決勝が行われた。メイン解説には瀬戸熊直樹プロ。冒頭のインタビュアーは実況の古橋崇志プロ、解説の北海道本部長である喜多清貴プロが各選手に意気込みと選手紹介を。
北海道のAリーグプロが全国放送で紹介される姿は同じ仲間としてもこの上なく嬉しいものだ。放送をご覧になれなかった方のためにここで再度紹介したい。
首位通過 加藤晋平 27期生 三段
北海道Aリーグでは最年少。2年連続決定戦へ首位通過。喜多本部長からも中心選手と紹介されるほど存在感のある選手。攻めの意識で今期こそ雪華王をと意気込む。
2位通過 山屋洋平 33期生 三段
言わずとしれたサイコロジー麻雀の使い手であり、現雪華王。今年も解説を唸らせる鳴きで3連覇なるか。
3位通過 西野拓也 11期生 六段
冒頭のインタビューでこう語った。
「僕は特別技術が優れている訳ではなく、メンタルも強い方ではない。あまりいい所ないのですが総合力勝負なので、自分自身を分析して勝ち筋をイメージしてきた。」北海道本部の中では古参、副本部長を務めながらプレイヤーとしても研鑽を怠らない。選手の兄貴分。今回は結果に拘ると、本人の口から聞いていただけに今日に賭ける想いを感じた。
4位通過 須賀智博 23期生 四段
初めての映像対局だが実績は抜群、気負わず冷静にミスなくこなし、結果的にいい結果が出ればいいと爽やかに回答。
笑いありのインタビューで各選手の緊張が和らぎ穏やかに対局が開始される。
1回戦 (起親→加藤、西野、山屋、須賀)※文中敬称略
開局は静かに西野がピンフをツモアガるも次局ゲームが動く。
東2局 5巡目加藤の手牌
ツモ ドラ
加藤の選択は切りリーチ。ツモ三暗刻の高目跳満を狙う。1回戦の東場、場にが1枚切られていることもあり、両面でリーチの手もあったがここは強気にシャンポンリーチ。
そこに山屋が同巡、ドラ無し、役無しのカンで追いかけリーチ。
山屋の宣言牌は。1回戦東2局子番での追いかけリーチだが、このリーチには2つの可能性があるのではないかと思う。1つはシンプルに6巡目で共通安パイの無い2人から筋のが河に放たれ自分が失点しないで加点出来る可能性を追った局収支重視の選択。
もうひとつは加藤の手が勝負手だった場合に、1回戦の東2局で加藤を優勝争いから脱落させる程のダメージを負わせることが出来る心理面での選択。言い換えれば、山屋はここで仮に放銃失点してもそれを取り戻せる自信があって、天秤にかけた場合、加藤のメンタルを削る事のほうが上回り、リスクを先に取って1人潰しに行ったとも思える。
しかし、加藤に暗刻で持たれている純空のリーチではいくら山屋でも厳しい。
ツモ
負ける可能性のないめくり合いを加藤がで引きアガリ2,000・4,000で大きなリードをもぎ取る。解説の喜多も暗刻で持たれている待ちでリーチした山屋のピントのズレを指摘。今後の戦い方に注目が集まる。
東3局南家須賀4巡目
ドラ
ここから打として次巡ツモで打としピンフ一気通貫の1シャンテンに構える。
同巡の山屋以下の牌姿
リャンペーコーが丸見えな引きだがここはツモ切りとして、七対子に固定するも須賀から間髪入れずのリーチ宣言。
出アガリの可能性が若干上がる捨て牌に。加藤も宣言牌をチーして参戦すると、山屋のツモ牌はテンパイを逃した形の。実況席も思わず声をあげる。すぐに狙い通りのを引き七対子のドラ単騎で2枚生きのリーチするも須賀がをツモり2,000・4,000。
東4局は加藤が1人テンパイで南1局。
好配牌をもらった西野が4巡目
ツモ ドラ
打牌候補が沢山ある中、西野の選択は。打牌候補はとの比較で三色を追いながらソウズが両面か3面張変化すればも切る構えか。3巡後ツモときて打。456の三色はまだ見切らない。
次巡、残したを重ねて打リーチ。
出来合いの三色だが、ドラ表示牌と考えれば景色のいいでのアガリが優先となるか。
宣言牌のを親番の加藤がポンして参戦するも、西野が1,000・2,000のツモアガリ。
ツモ
南2局は配牌でダブがカンツだったラス目の山屋が道中暗カンして2,000・4,000のツモアガリ。劣勢の山屋だがこのアガリで勢いを取り戻せるか。
しかし南3局は山屋が西野へ2,600の放銃となり全員が圏内のオーラスに。
加藤34,200 西野29,000 山屋25,300 須賀31,500
親番の須賀4巡目に
ツモ ドラ
こうなるが、こんな物はテンパイじゃないとばかりにツモ切り。一旦テンパイを取ってからの引きフリテン一通リーチや、引きの高目ピンフイーペーコー、引きの高目ピンフ一通、その他ピンフテンパイが2種なので取る人も一定数居そうだが須賀の選択は打。
2巡後を引き入れリーチとして、次巡即ツモで2,600オール。
ツモ
持ち点を4万点近くまで伸ばし1本場。須賀が丁寧に配牌をまとめ上げ、12巡目に以下のテンパイ。
ドラ
リーチして一気に勝負を決めに行く選択もあるかと思うが冷静にヤミテンを選択。狙い通り加藤から5,800は6,100を直撃して1人浮きに。
2本場は加藤が1,000は1,600をアガリ結局須賀の1人浮きで1回戦が終了。
1回戦結果
須賀+25.8P 加藤▲3.9P 西野▲6.6P 山屋▲15.3P
2回戦(起親→西野、山屋、加藤、須賀)
1回戦いきなりの1人浮きでスタートした須賀を沈められるかが勝負だ。
そしてこちらは1回戦ラススタートとなった山屋。2回戦の東1局いきなり難解な手牌。
打牌候補は、、、、、
解説席の3人は、山屋の選択は打
連盟公式ルールで序盤にこの手を貰えれば超チャンス手になる可能性がある。234、345、456の三色にリーチタンヤオピンフ、とにかく夢のある牌姿だが山屋は。
ここからの進行はツモ牌で未来が変わりそうだが、マンズの上のペンチャン、カンチャンでもリーチを打つという事なのだろう。とにかくよくも悪くも山屋らしい一打が出た。そして澱みのない進行から
ツモ ドラ
ここから打のリーチと打って出る。山屋の先切りによって高目のは全員が危ない。
全員が受けに周り14巡目に山屋がツモ。
ツモ
安めながら1,300・2,600をアガる。
東2局、解説席が加藤の打ち筋に言及。年々場況にスピードを合わせるようになったと。
加藤の良さは麻雀がワガママなところにある。時に場況に沿わない打牌が他者の判断を狂わせるし、受ける方が嫌になって痺れを切らす程に続くメンゼンリーチ攻撃も加藤の良さだ。今決定戦は手牌に恵まれなかった事もあるが、やはり鳴きが上手く行かなかったように思う。
スプリントの決定戦は型のぶつけ合いでいい。自分が一番得意な型を最高に発揮出来れば、それがその時損な選択でもどこかで風が吹く。鳳凰戦のAリーグを見ていると毎回思うのが型を崩すと隙の無いメンツは逃さない。後に加藤は苦境に立たされる。
その加藤が7巡目。
ドラ
七対子でテンパイを入れる。待ち頃の牌を探して次巡、生牌のを引くもヤミに構える。この間に須賀がタンヤオのテンパイ。加藤が11巡目にを引きリーチと打って出る。
だがドラを重ねた七対子1シャンテンの西野から、加藤の現物が放たれて1,000の横移動となる。
東3局は西野が1,000・2,000をツモリ東4局親は須賀。
ドラがトイツの須賀が軽快にとをポンで仕掛けて5巡目。
山屋が動く
ドラ
メンゼンで頑張れば2,000・3,900まである手だが、親が2フーロという事もありここからをチーしてテンパイ。
チー
打牌候補にがある勝負手になっている西野からこぼれそうな待ちであったが
西野6巡目
ツモ 打
この形で放銃を回避。大物手を成就させるチャンスは続く。
こうなると山屋はピンチとなって8巡目
ツモ 打
このリーチが飛んでくる。放銃の危機が一転して大チャンス、5枚山に居る待ちで西野が手を伸ばしてツモった牌は・・・・・無情にも山屋の上がり牌であるだった。山屋ピンチを脱してエンジン全開となるか?
須賀1人テンパイ、2人テンパイと連続で流局した南2局、親番の山屋だったが、西野に1,300は1,900の放銃となりいまいち波に乗れないまま親権を手放してしまう。
ジリジリと点棒を減らした南3局親の加藤は親権維持のために3フーロしてドラ1のの後付けで押し切ろうとするも、この高速でツモ切ったが須賀に捕まりピンフの放銃。1人沈みのままオーラスを迎えることとなる。
今期の北海道Aリーグを引っ張ってきた山屋、加藤は苦難の決勝となっているが、オーラスなんとしても須賀のトップは阻止したいところ。
オーラスは山屋がのみの300・500をツモアガリ3人浮きだがトップを取って2回戦が終了。
2回戦結果
山屋+12.4P 須賀+6.2P 西野+1.0P 加藤▲19.6P
2回戦まで
須賀+32.0P 山屋▲2.9P 西野▲5.6P 加藤▲23.5P
3回戦 (起親→須賀、西野、加藤、山屋)
ここまで須賀が1人浮きと、この半荘次第では優勝が決まってもおかしくない3回戦となった。開局に解説の喜多が後手を踏んだサイコロジーを見てみたいと話す注目の半荘。
まず先手を取ったのは西野8巡目。
ドラ 先制リーチ
同巡、加藤も追いつき
こちらはヤミテンを選択。
加藤ヤミのまま3段目まで押しを引きリーチと打って出る。こちらは山に1枚、西野は2枚。加藤がリーチ後にを掴み、直後の須賀が以下からを打ち抜いて放銃決着。
ツモ
現物は今通ったのみでは1枚切れ。親番での勝負を決められる1シャンテンとなっていた須賀の放銃は責められないが、須賀にしては珍しい放銃に見えた。優勝が見えてきたプレッシャーはあるのだろうか。
ロン
西野にとっては大きい5,200の直撃となった。
東2局親番の西野6巡目
ドラ
上家から出たをチー。解説陣も珍しいと口を揃える西野の仕掛けだが、これが裏目に出てテンパイを入れていた加藤が大事なをツモる
ポン ツモ
500・1,000。直後、有効牌を食い下げてアガリが出た西野の表情。
普段なら鳴かないのかもしれない、勝ちたい気持ちが鳴かせたのかもしれない。
天を仰ぐ西野はここでギアを入れ替えられるかが勝負だ。
東4局親の山屋が先制リーチ
ドラ
これをアガれば一気に頂上が見えてくる。山屋もここが勝負とばかりにツモに力が入るが終盤後がない加藤が最年少Aリーガーの意地を見せる。
は現物は無筋でドラを早々に手放した山屋の手はそこまで安くない。現状トータルラス目の加藤はここで放銃に回ると脱落濃厚。ドラが2枚とはいえ、待ちはカンチャン待ちに取るしかアガリ目は無さそう。それでも加藤は腹に力を入れてリーチの発声。
ツモ リーチ
ここが勝負と加藤自分を信じたカン待ち。決着は1巡。腹をくくった加藤見事なツモアガリで2,000・4,000このアガリは加藤を奮い立たせる。かに思えた・・・
ここは北海道の麻雀プロが必ず見てほしい部分である。勝負手をあがって南1局、須賀を現状ラス目に落として全員に優勝の可能性が出てきた。加藤はここでおそらく麻雀人生で一番後悔した1局を迎える。
超勝負手のメンチンテンパイ高目倍満。を切れば、の6面チャン。結果から言うと加藤は河に置かれたに声が出なかった。
メンチンは麻雀の花形の1つだ。先日も寿人プロと、滝沢プロのノー理牌メンチンを解説の勝又プロが瞬時に解いて話題になったばかりだ。牌理に明るいのは強者の条件なのだが、書いている私自身も決してメンチンは得意ではない。おそらくこの手が入った時に、メンチンテンパイとわかってしまう時間をかけて慎重に切ると思う。間違ってはいけないという重圧が緊張に変わってしまうのだ。夏目坂の控室で連日対局まで1時間以上ずっと不安でメンチンのゲームをやっていた私には加藤の気持ちはよくわかる。ここで冒頭の西野の「麻雀は総合力のゲーム」という言葉を引用すればメンチンの得意不得意はさして勝負には影響しない。もっと頻度の高い、押し引きや攻守バランスのほうが成績に直結する。しかし、この超勝負手がチョンボと隣り合わせの手だとすれば、それはプロとしてとても不幸な事になる。プロならばこの手が入った時、即座に待ちを理解してメンチンだとわからない程の速度で切ることが理想だ。しかし、全てのプロがそうなれるとは限らないのなら、「待ちがわかるまでは切らない」事も大事だ。時間打ち切りのあるタイトル戦の予選などでは、わからなくても切る位の速度感が無いとダメだと思うが、制限のない映像対局では常識的な時間であれば後悔しない選択を出来るに越したことはない。偶然この手が入って、偶然映像対局で、偶然すぐに一番見落としやすいが出て、偶然そこに座っていたのが加藤プロだった。自分がその場に座った時には1秒でも早く切れるように稽古や練習をして臨むよう北海道のプロはこれを自分の事と思って取り組まなくてはならないし、もちろん書いている私が一番そう思っている。そして加藤、今回のミスはきっとこれから続く麻雀人生で今のタイミングでミスしなければならない事だったのだと思う。これから加藤は雪華王だけではなく多くの映像対局に出られるだけの力があると思う。頻度の少ない事に取り組む時間は無いのかもしれないが、今回の事を真摯に受け止め、次にメンチンが来た時には華麗にアガリきって欲しい。ミスは他人事ではなく自分の事、きっと北海道のプロは皆そう思った出来事だった。
さて本題に戻って、この局の結末はを見逃された須賀、そして同巡テンパイを入れていた西野が2人ともドラ単騎ので張っていて次巡加藤の引いた牌はドラの。止められる術もなく河に置かれたに2つの声が交差するも頭ハネで須賀のアガリ。
チー ロン ドラ
トータルトップ目の須賀にとっては大きすぎるアガリ。そして追いかける3者にとっては痛すぎるアガリとなった。こうなると息を吹き返した須賀の1人舞台。
同1本場
チー ポン ポン ツモ ドラ
1,000は1,100オール。
同2本場
リーチ ツモ ドラ
2,600は2,800オールで一気に突き抜ける。
盤石の須賀が親落ちからオーラスまでうまく回してオーラスは1人浮き状態。
全員が最低浮いて終わりたいオーラス西野がリーチをかけて
ロン ドラ
加藤から7,700をアガリ終局。なんとか浮きの2着となり最終戦に望みをつなげた。
3回戦結果
須賀+23.0P 西野+5.4P 山屋▲10.1P 加藤▲18.3P
3回戦まで
須賀+55.0P 西野▲0.2P 山屋▲13.0P 加藤▲47.8P
4回戦 (起親→西野、山屋、加藤、須賀)
大きなリードを持って迎えた最終戦。須賀のラスは絶対条件で共闘できるか、が勝負の鍵となる。
まずは東1局西野好配牌から4巡目
ドラ
いきなり落とせない親番で難解な手牌。七対子は見切って打ちとした。切りかか七対子固定かで意見が分かれそうだが、シンプルに速度を保つ打牌として次巡
ツモ
打の先制リーチ
これをアガって反撃の狼煙を上げられるかが勝負だが流局。七対子に固定すれば6,000オールだったが、落とせない親で固定するのは無理か。1人テンパイで同1本場を迎える。
またも好配牌の西野4巡でこの手牌。
追う一番手として絶対に間違えられないチャンス手である。ここはシンプルにを打って受け入れ重視とする。次巡ドンピシャのドラを暗刻としてリーチの発声
ドラ
あっさりをツモで4,000は4,100オール。
ツモ
追撃の態勢は整ったか。同2本場、またも好配牌の西野だが、これ以上2人に離されると条件のなくなる加藤が、ここは捌きのピンフで西野東場の親番はここで終了。1,000は1,600。
ロン ドラ
しかし、親が落ちた西野にまたもドラ対子の勝負手が入り9巡目
ドラ
この超勝負手をテンパイ。
丁寧にヤミテンとして13巡目に西野の手元に舞い降りたのはドラの。
ツモ ドラ
3,000・6,000のツモアガリ。
メンゼン派の西野が4回戦に勝負手を連続でアガリ持ち点を5万超えとし、これで須賀に肉薄。
この時点で須賀と西野のポイント差は6.4ポイント差。勝負は須賀、西野2人の争いになったかと思ったが、ここまで見せ場のなかったこの男が今日一番の勝負所を迎える。
現雪華王山屋洋平。
サイコロジー麻雀という独自の理論に基づく雀風でデビュー即2連覇の絶対王者。
鳴きという扱いの難しい武器を難なく操る彼は私の良き理解者でありライバルである。
山屋6巡目最大のチャンスが訪れる。これをツモれば一気に3連覇が現実的な物になる。この時点で山に3枚。そしてテンパイを入れていた須賀が山屋のリーチでオリに回って雰囲気は最高潮。解説の瀬戸熊、喜多の両プロ、実況の古橋プロ、雪華王決勝を見ていた全員が固唾をのんで見守る。尋常ではない山屋の力の入り方はツモ牌が変わるんじゃないかという程の圧力だったが結果は流局。山屋の3連覇の夢はここで絶たれた。
同1本場は、須賀が得意の仕掛けから1,000は1,300をアガリ、優勝に向けて西野に条件を押し付ける。
須賀は親を流して西野が最後の親番。
西野またもドラトイツの勝負手を15巡目にテンパイ。
ドラ
しかし、この手はこの時点で山に無しでテンパイ料で差を詰める。
南1局2本場は加藤が仕掛け、須賀のオリを見て西野もオリを選択。加藤の2着を守り、須賀が3着4着になる可能性を上げて、現状はまだ須賀より下の状態で親権を流した。
南2局3本場10巡目に親の山屋からリーチ。
ツモ ドラ
2,000は2,300オール。山屋のこのアガリで須賀がラスに落ち、西野と須賀の差はわずかに1.7P。
加藤が意地を見せ浮きに回ってまたも差が開いたが南3局3本場。
ついに西野が男を見せる。8巡目西野
本場と供託でアガリたくなる4枚目の上家のを見送ってすぐにテンパイ。先ほど鳴いて天を仰いだ西野、ここは自分の型で勝負を決めに行った。を切って勝負のリーチ!
ドラ
優勝に向けてツモられる訳にはいかない須賀の祈りの時間は果てしなく長い。決着は終局間近の17巡目を暗カンしてゆっくりと嶺上に手を伸ばす西野。互いの祈りが交錯するそこに眠っていたのは・・・・
「居たあああああああああ」解説席も大きな声を上げる8枚目のを嶺上からツモりあげ決着。第2期雪華王は西野拓也となった。
ツモ 暗カン ドラ
4回戦結果
西野+44.3P 加藤▲6.0P 山屋▲11.3P 須賀▲27.0P
最終結果
西野+44.1P 須賀+28.0P 山屋▲24.3P 加藤▲47.8P
最後まで優勝争いを繰り広げた須賀は、初の映像対局だが須賀智博という名前を全国にしっかりと残せたと思う。よどみない進行から手順に正確なリーチと、局収支を最大限にしようと毎局やれる事をやる姿は、プロとしての矜持を感じさせる。また雪華王決勝で戦って欲しいと皆が思う素晴らしい麻雀だったと思う。
さて話を西野に戻そう。私と北海道Aリーグ所属の石田雅人プロは時に「西野組」と呼ばれる。建設会社ではないが西野拓也を慕って止まない2人の後輩は西野の気持ちの弱さを幾度となく見てきた。
ある日3人で西野宅に泊まると夜も更けた頃にメンタルの話になり「俺たちは駅前で歌も歌ったほうがいい」と西野が言った。そう、人前で格好つけるのでは無く、自分をさらけ出してその姿を見ている人が感動してくれたり、自分の持てる力を最大限に発揮する姿を人は見たいと思うのだ。
映像対局で自分の思う通りの牌を切るのはとても難しい。
1つのミスが勝負を決める事になったり、麻雀プロとしての評価を落としてしまう事にもなりかねない。
だからこそ「普段の自分」をどれだけ出せるかが勝負なのだと西野は語ったのだと思う。
今回の西野は勝ちに拘った。自分のやりたくない麻雀もやったと思う。それでも泥臭く、そして最後は自分らしく、普段の自分を出し切った西野拓也を見た。後輩としてこの上なく嬉しく思う。
最近は対局で会えないので、西野と話しをする機会もめっきり少なくなったが、この先プロを続ける限りずっと西野が先にいる安心感は私だけでなく、連盟北海道全員が思っている事だと思う。来期はディフェンディングとしてまた決勝で素晴らしい麻雀を見せてくれるだろう。西野さん心からおめでとうございます!!!
カテゴリ:北海道プロリーグ 成績表