第68回『藤崎流』
2012年08月31日
前回までで、藤崎流麻雀の大筋に関しては終わりました。
後はちょっとした、細かい肉付けの部分です。
例えば、荒場と小場というのが麻雀には存在します。
荒場は高い手が飛び交う状態で、小場は逆に安い手の応酬になる状態の事です。
これについて意識することはあっても一般の方は「どうして?」と考えることは少ないと思います。
これは、他の人の対局を観戦する機会の多い競技プロだから気付くことなのだと思います。
荒場であっても小場であっても、やはり普段と同じく高い手も安い手もテンパイまでは同じようにするものです。
しかし、荒場の場合は高い手ほどアガリ易く、安い手はなかなかアガれないという現象が生じます。
高い手と安いかわし手のめくりっこになった場合は、必ずといっていいほど高い手が勝つこととなり、小場の場合はその逆になります。
理由は私にもよくわかりませんが、観戦していて不思議なくらい、荒場や小場の場合はこの局は誰がアガるか予測できるものです。
荒場や小場といった状態がそれ程頻繁にあるわけではないのですが、この特性を知っているのと知らないのでは、トータルで大きな差となってしまいます。
荒場の場合のかわし手は控えた方がいいでしょう。
もし荒場と感じた時は、例え受け入れを狭くしても手組みの段階で高打点を目指した方が逆にアガリ易いでしょう。
例えばアガリトップのオーラス。
ポン ツモ ドラ
アガリトップのオーラスなら、普通はドラ受けのカンチャンをきらっていくのが当然の手順でしょう。
しかし荒場の場合は、打として真っ直ぐホンイツを目指すのが藤崎流となります。
–は他3人にいっぱい持たれていて、逆にアガリづらくなっている事が予想されます。
アガリトップの1シャンテンで、唯一のリャンメン受けを嫌っていくのは利に反しているかもしれませんが、
理屈では説明のつかないものが荒場や小場だと思っています。
次によく質問されるドラの切り時についてです。このテーマに関しては、昔研究会で意見を出し合った事がありました。
我々競技プロの場合は、一般的にドラを鳴かせた以上は、責任を取って真っ直ぐ行くものなので、特に役牌のドラは、テンパイまでは切らないのが普通です。
しかし、切っても鳴かれるとは限りません。
それに、もし親番などの理由で、受け入れの広い1シャンテンにとっておきたいケースもたくさんあるでしょう。
次の2つの牌姿は、共に東1局の親番の8巡目としてみましょう。
(1) ツモ ドラ
(2) ツモ ドラ
このままでも良いのですが、ちょっと意地悪にが場に3枚切れているとしましょう。
さて皆さんなら(1)と(2)それぞれ何を切りますか?
もちろん正確などはないでしょう。
皆さんのスタイルやイメージ的な問題だと思いますので気軽に答えてみて下さい。
研究会の時の多かった意見はこうでした。
「勝負手ではない場合はテンパイまではドラは切らないが、勝負手の場合は、覚悟を決めて1シャンテンでもドラは当たり牌になる前に切る。」
なるほど、なるほど。
ここでまたよせばいいのに、ひねくれ者の藤崎が正反対の意見で真っ向勝負を挑む。
「勝負手とは何か?」
これが重要である。麻雀というゲーム、アガリを目指せば必ず振り込みの危険がついてくるものである。
「振り込まないようにアガる」理想的な話ではあるが現実的ではないだろう。
ならば、勝負手とは振り込み覚悟でも是非自分がアガリたい手の事ではないだろうか。
1シャンテンから覚悟のドラ切り?
覚悟があるのならば、例え当たり牌になる確率が巡を追うごとに高くなっていったとしても、
ドラの早切りでポンされて相手に手を進ませる事を避けるべきであり、
本当に覚悟を決めるのであれば、1巡1巡怖さが増してくるドラは、テンパイまで持つべきではないであろうか。
こんなところでも少数派の藤崎でありました。
ドラなのでタンキに当たる事もあるし、当たり牌ではなくとも、巡目が進むにつれて後で重ねられてポンされる事も勿論あるので、
どちらが正しいのかはあれから14年たった今でもわからない。
おそらく今でも藤崎流の方が少数派であると思う。
先程の荒場・小場の話同様に、藤崎の独り言程度でさらりと読んで欲しい。
では答え合わせです。
もうお分かりだとは思いますが、(1)はドラの切りで(2)はを切りるのが藤崎流です。
(1) のケースでは、もしドラが鳴かれてしまっても真っ直ぐいきますが、鳴ける牌がでれば鳴いてしまって1500点でドラポンと勝負します。
また、鳴かれなかった場合はメンゼンでテンパイを目指します。
そして当然(2)のケースは最高型がタンピン三色の勝負手なのでドラのはリーチ宣言牌と言う事になります。
最後にもう1つ藤崎流の決め事を。
オーラスで2,600条件でドラのない次の牌姿。
ツモ
この形から何を切りますか?と質問すれば、上級者の皆さんなら「はぁ?」と答えてくれるだろう。
どうしてもと言われれば、この時点では1番失敗の確率の低い切りと答えてくれるだろう。
引きは失敗になってしまうが、引きは失敗にならないからである。
しかし、だいたいは何を切ってもアガリに関しては大差ない形である。
ここでポイントとなるのは、この手で条件を満たすためには、
リーチが必要になる確率が非常に高いということと、–を現時点で5枚持っているという2点である。
攻撃型の打ち手はプラス思考であり、リーチまで持っていけば後は山との勝負であると考える人が多いようだ。
しかし、守備型の打ち手は元来マイナス思考である。従ってリーチ後の事まで視野に入れて考える。
良い事のように聞こえるかもしれないがこれが微妙である。
希少なケースにとらわれて失敗するケースも多い。
ここで迷わすと答えた方は、間違いなく守備型である。
リーチと宣言しなければならない確率が高い以上、自分でたくさん殺している–の筋は河に捨てたくないというのが藤崎の答えである。
リーチ後に現物のを打たれて、誰かにアガられたり鳴かれたりしたくないという考え方である。
従って、もしオーラスという条件がない場合であっても、この流れは気になってしまう。
自分でたくさん持っている牌を切らなければならなかった場合は、リーチはかけずにヤミテンに構えるのが基本である。
皆さんもリーチ後に「そんな薄い牌打つなよ」とか「そんな薄い牌鳴かせるなよ」なんて思ってしまった経験ありますよね。
でも勘違いしてはいけません。相手はリーチと宣言したあなたの現物を切っただけなのですから。
2ヶ月前に書きましたね。
麻雀は4人でやるゲームなのですから。
カテゴリ:上級