第11期プロクイーン決定戦 ベスト8レポート
2013年09月26日
さあ、いよいよプロクイーンもこのベスト8と決勝を残すのみとなりました。
現在残るは魚谷侑未、大里奈美、清水香織、手塚紗掬、仲田加南、二階堂瑠美、和久津晶、豊後葵の8名。
果たして現プロクイーン・安田麻里菜に挑む4人は誰となるのでしょうか。
A卓:魚谷侑未、清水香織、二階堂瑠美、和久津晶
清水香織 |
二階堂瑠美 |
魚谷侑未 | 和久津晶 |
これが決勝でもおかしくない豪華な組み合わせとなりました。
現在急上昇中の魚谷、和久津に対するは、人気実力共に揃った清水、二階堂のベテラン2名。
そして4名とも攻撃型の打ち手となれば、非常に面白い戦いを期待せざるを得ません。
それを知ってか知らずか東3局から早くも3名が火花を散らします。
魚谷が以下の形で先制リーチをすれば、
リーチ ドラ
清水が当然の様に追いかけ、
リーチ
二階堂が手役を作りヤミ。
ドラ
これは流局となりましたが、1本場の親・魚谷は、
リーチ ドラ
このリーチを一発でツモり6,000オール。
2本場では、清水がお返しとばかり七対子ドラ2でリーチ、
二階堂から出アガリ裏も乗って12,000。
案の定インファイトでの殴り合いと表現すればいいのでしょうか。
しかし、殴り合いとなるのであれば、跳満程度の火力では決めきることなど出来ないのが道理なわけで。
6,000オールをツモった魚谷でしたが、南3局、3人に囲まれてしまいます。
清水はカンチーの後にポン。和久津はポン、ポン、ポン。さらに親の二階堂がリーチ。
親のリーチの一発目という状況で魚谷が選択したのは打。
これが安目ながら二階堂に一発放銃となり、6,000オールも何処吹く風、一気に3着目まで落ちてしまいます。
ドラ ロン
それでも次局は二階堂から3,900を取り返し、何とか2着キープとなりましたが、派手な展開の割には点差がつかず、まだまだ流れの行き先は見えません。
徐々に均衡が破れてきたのは3回戦。
南3局で連荘を続ける二階堂が魚谷からこんな12,000。
リーチ ロン
魚谷の雀風は手数が多く門前でも鳴いてでも戦えるのが強みですが、逆に手数が多い分、他家と噛み合いやすいともいえます。
1回戦にも二階堂に12,000を放銃した様に、なまじ戦える手牌になってしまったが故に放銃となるケースが唯一の負けパターンといってもいい程です。
前日のベスト16でも決して楽な展開ではなかったのと同様、今日も厳しい戦いが続きそうです。
ラス目に落ちてしまった魚谷ですが、それでもオーラス親の清水のリーチと二階堂の仕掛けを掻い潜っての満貫ツモ。なんとか3着目に浮上して失点を最小に抑えます。
逆に、この満貫の煽りを受けてしまった清水は、本日3着3着4着。残り2回戦残っているとはいえ黄色信号点灯。とは言っても、清水の攻撃が一度ハマれば、半荘1回で全てを引っ繰り返す事も十分考えられるので、まだまだ何が起こるかはわかりません。
さて、この3回戦のトップでトータルでも首位に立った二階堂は4回戦も順調に点棒を稼いでの2連勝。
残り1回を残して当確ランプが早くも点灯。以下、和久津、魚谷、清水の順に。
和久津と魚谷のポイント差は約47P、清水とは約60P。
魚谷、清水の2名は当然、和久津を沈ませてのトップが必要となります。
とはいっても、順位点が5,000、15,000なので、魚谷は4,000オール、清水は6,000オールをツモればほぼ並び。
ポイント差の印象だけだと絶望感が漂いますが、実際の条件を考えると、まだまだ魚谷にも清水にもチャンスは残っています。
その言葉通り、魚谷が親番でこんなリーチ。
暗カン リーチ ドラ カンドラ
ツモれば文句無しの8,000オール。裏ドラ次第では、それ以上も期待できる勝負手です。
ツモる動作に心なし力が入った様な気もしましたが、残念ながらここは流局。
リーチの時点では山に2枚残っていたのですが、麻雀の女神様は魚谷には微笑まず。
それでも諦めない魚谷は徐々に持ち点を稼ぎ南場を迎えて、各人の持ち点は以下の通り。
二階堂38,600 魚谷32,700 清水25,400 和久津23,300
このまま和久津をラスにできれば、魚谷は二階堂を捲った時点でほぼ逆転。
清水も和久津がラス目ならば、自身のトップ+30,000差で逆転可能なので、現状、和久津から跳満を直撃するような事があれば、二階堂を除く3人がほぼ並びの状況になってしまいます。
和久津はとにかく、3着目に浮上すれば魚谷と清水の条件が一気に厳しくなるので、まずは清水を捲りたいところ。こういった状況では追う者の方が追われる者より強いと良くいわれますが、果たして。
自身の親番は二階堂に捌かれてしまいましたが、南3局ついに逆転手が入ります。
ドラ
待ちは悪いですが、リーチしてツモればオーラスを残してついにトータル2着へ返り咲き。
出アガリは清水以外からならやっぱりトータル2着になります。
しかし、親番の清水が終盤七対子で追いかけると、魚谷が一発で掴んだのが清水の待ち牌である。
これで放銃となり裏も乗って18,000。残念ながら魚谷のプロクイーンはここまで。
アガった清水も和久津とのポイント差を18Pまで縮めますが、魚谷がラス目となってしまったので
この親番で18,000点の上積みが必要ですが、連荘出来ずここまで。
オーラスの条件は清水が和久津からの跳満直撃か三倍満ツモ。
魚谷は役満ツモ条件と、条件というには厳しすぎる言葉の通り、何事もなく流局。
A卓は二階堂瑠美、和久津晶の勝ちあがりとなりました。
最終成績
二階堂瑠美78.9P 和久津晶4.6P 清水香織▲17.5P 魚谷侑未▲67.0P
二階堂瑠美
『プロクイーンの決勝は初めてなので頑張ります。
今日は立ち上がりが不安だったんですが、ツイていたので何とかなりました。』
和久津晶
『(昨日今日と)酷かった。このままでは不味いので、修正して決勝に臨みます。』
B卓:大里奈美、手塚紗掬、仲田加南、豊後葵
仲田加南 |
手塚紗掬 |
大里奈美 | 豊後葵 |
前年度決勝進出の豊後、女流桜花優勝経験を持つ仲田、新人ながら人気とキャリアはトップクラスの手塚、
そして新人大里の組み合わせとなりました。
注目は大里。ここまで破竹の勢いで勝ちあがり、本日ベスト8の選手の中で最も勢いがあるプレイヤーでしょう。
短期決戦において勢いは非常に重要なファクターであり、スポーツの世界などでも、勢いのある選手が実力上位のベテランを破るといった場面は数多く見受けられます。
大里もその中の1人になれるのでしょうか。
先手を取ったのはその大里。東2局でピンフドラ2をリーチすると、早々にツモって裏も1枚乗っての跳満。
最高のスタートを切ることに成功します。
その後、仲田に一度は捲られてしまいますが、南1局の仲田の親でツモの声は大里
ツモ
こんな倍満で一気に突き放し、前日の勢いのままに1人浮きのトップスタート。
2回戦は豊後が4,000オールスタートで流れに乗れるかと思いきや、待ったをかけるのはやはり大里。
親番でエンジン性能を3人に見せ付けるかの様に大捲りを見せ、終わってみれば50,000点持ちの大トップで2連勝。
わずか2回戦でトータルポイントを61.1Pに伸ばし、2着以下に大差をつけての断トツ状態となります。
残り3回戦といえども、次にラスさえ引かなければ、残りの3人はトータル2着目を見据えた戦いにシフトせざるをえなくなり、大里のマークは薄れる状況となる事は必至。
この時点で決勝の椅子をほぼ手中に納めたといってもいいでしょう。
が、わずかに見えた綻びが大里に焦りと迷いを感じさせます。
予兆を感じたのは1回戦の南2局。仲田がカンをチーしてこんなテンパイ。
チー ドラ
豊後はドラのと待ちのシャンポンリーチ。役はリーチドラ2。
さらに親の手塚が追いつき–待ちの一通確定リーチ。
この3人の攻めに対して大里は、3人の現物であるのスジを追って打でオリ打ち。
裏は乗りませんでしたが、豊後に5,200の放銃となりました。
結果的には親の手塚は6,000オールも見える本手だったので、放銃なれど5,200で済んだ事はよかったのかもしれませんが、前日から見る限りこういった放銃はありませんでした。
そもそも大里は殴り合いの展開をあまり好みません。
前日のベスト8でも親でリャンメンのドラ1テンパイから子供のリーチの一発目という理由でメンツの中抜きをした程です。そして自分が先手を取れたならば攻める、メリハリの効いた打ち手だったと感じました。
そんな打ち方をするのであれば、守勢に回った時はそれこそ爆発物を取り扱う様に慎重にならなくてはいけません。本人はしょうがないと思っていたのかもしれませんし、現実は絶好の2連勝スタートなので気にも留めていなかったのかもしれませんが、はてさてどうなることやら。
そんな3回戦は、大里にとって最も厳しい展開に。
トータル2着目の豊後が、トータル3着目の手塚に8,000の放銃後、自分の親で4,000オール。
自分の関係ないところで自分の点数だけが減っていき、下位とのポイントが縮まっていきます。
せめて、連続4着の仲田よりは上の着順で終わる事ができればもう少し余裕ができたのでしょうが、劣勢時の戦い方は経験がものをいう部分。プロとしての対局の経験値が絶対的に少ない大里にそれを求めるのは酷でしょう。
この半荘で一気に上位の差がなくなってしまいました。
3回戦終了時
大里+32.1P 豊後+26.1P 手塚+8.8P 仲田▲67.0P
そして4回戦。
仲田がトップ条件なのは間違いありませんが、大里が決勝に進めるとしたら、ここでトップを取り、最終戦を迎えた時点で大きなアドバンテージを持つことです。
どんなに本人に技術があったとしても普段麻雀を打っているだけでは、こういった同じ4人で上位2名が勝ち上がるといったシステムに対しての理解は難しいですし、半荘1回の着順勝負といった特殊な状況は、場数を踏んだ経験者が圧倒的に有利です。
となると、着順勝負になった時点で大里は相手が誰であろうとも間違いなく不利となります。
他のタイトル戦でも若手が有名実力者に勝つケースは、最終戦の時点で大きなアドバンテージを持っている事が多いです。
その為にも大里はトップを取らなくてはいけません。
しかし勝負は無常なもの。
東3局に後がない親の仲田がドラ筋の–待ちでリーチを打つと、それに真っ向勝負の手塚が追いかけリーチ。
仲田が一発目にを河に置くと手塚からロンの声
ロン ドラ
裏ドラは乗らずとも16,000のアガリ。この放銃で仲田はほぼ敗退。
現在トータル3着目の手塚はトップ目となり上2人とほぼ並びましたが、豊後がオーラスの親番で連荘を続け、終わってみれば60,000点近いトップに。手塚も削られはしましたが、45,000点の2着をキープ。
この間、大里はノーホーラで削られ続け20,000点弱の3着となってしました。
必死に糸を自分の元へ手繰り寄せようとはしますが、ただただ焦りが先行し全てが裏目り、数時間前とは真逆の展開に。
残り1回戦でトータル2着目の手塚との点差は約13P。
着順勝負ではありますが、こうなってはもう結果は火を見るよりも明らかでした。
最終成績
豊後葵+79.3P 手塚紗掬+58.0P 大里奈美+2.9P 仲田加南▲141.2P
豊後葵
『自分らしく、何でもリーチに打ってでたのが結果に繋がったと思います。
去年悔しい思いをしたので頑張ります。』
手塚紗掬
『去年の王位戦で弱気になりすぎてしまったので、今回は強気にいこうと思ったのですが、ベスト16では少しやりすぎてしまったかなと。決勝はちゃんと打てるように頑張ります。』
こうして安田麻里菜に挑む4名が決定しました。
決勝は連覇に燃える安田と去年のリベンジを誓う和久津に豊後、
妹とアベックタイトルが欲しい二階堂に初タイトルに挑む手塚。
果たして栄冠は誰の手に!?
カテゴリ:プロクイーン決定戦 レポート