第31期A2リーグ第2節レポート 佐々木 寿人
2014年05月28日
「これは苦労しそうだな。」
ロン ドラ
白鳥が、リーチの黒沢から打たれたで手牌を倒した瞬間、率直にそう思った。
開局に起家を引いた私の配牌は以下。
これがわずか6巡目にテンパイ。
ポン チー
1節は半荘4回の戦いであるが、やはり初戦、特に開局の入り方は大変重要である。
出て5,800、ツモアガリ2,600オールのこの手が決まれば上々の滑り出しだ。
戦い方にも余裕が生まれることは間違いない。
ところが、結果はあっという間の1,300。それに関してはもう仕方がない。
問題は、このアガリから何を感じ、どう対処するかである。
8年もリーグ戦をやっていれば、ある種のパターンがあることはわかってくる。
それはもちろん、良いときのパターン、そして崩れそうなときのパターンである。
この手はたった1,300ではあるが、私にとって後者をイメージさせるには十分過ぎるアガリだった。
ただ、開局にこれを感じ取ることができたのは大きかった。
後は、ここからどうやって自分のペースに持ち込めるかである。
それが上手く形に現れたのが東4局であろう。
ポン ロン ドラ
配牌こそあまりよくないものの、第一ツモの感触で向かうべき方向は決まっていた。
ツモ
私は最近、若手勉強会などでよく口にすることがある。
「放銃したっていいからまずチャレンジしてみろ。そこから何かが変わることだってあるんだから。」
振り返れば正にそんな一局だったのではないだろうか。
このアガリを契機に、私は1、2回戦をどうにかプラスの2着で終えることが出来た。
そして、何と言ってもこの日のハイライトは、3回戦の南1局だった。
まずは、西家の白鳥が黒沢の第一打であるを仕掛ける。
こちらの心証とすれば、持ち点が38,200の白鳥が一鳴きする以上、ドラが最低でも2枚あるか、或いは早い捌き手が入ったかのどちらかである。
西を仕掛けた段階での白鳥の手牌は以下。
ポン ドラ
やはりドラは2枚で、形もまずまずのものとなっている。
これが3巡目には、を引き込んでカン待ちでのテンパイ。
私もを鳴いて応戦してはいるが、アガリまでの道のりは決して平坦ではない。
ポン
しかし、白鳥の捨て牌にソーズが高いことも手伝って、私の手牌も自然にソーズの一色に染まっていく。
白鳥は、5巡目にを引いて、待ちへと変化。
南家・黒沢も場面に安いマンズ待ちで10巡目にテンパイを果たす。
チー
だが、次巡にを引いたところで少考。
そこまでの白鳥の捨て牌はこうだ。
私の捨て牌にもソーズはただの1枚も切られていないが、この少考はどちらかと言えば白鳥を警戒してのものだろう。
黒沢はここで打とテンパイを壊す。
映像を見ればやはりここがターニングポイントだったように思う。
私が黒沢の立場なら、が当たろうが当たるまいが、最後まで、の待ちで突っ張っていただろう。
それで結果がどうなったかはわからない。
ただ、私のアガリがなかったことだけは間違いない。
14巡目、私は以下の手牌から打をチョイスする。
ツモ ポン
先にも述べた通り、ドラはもちろんのこと、ソーズは白鳥に相当危険である。
だが、こちらがアガリに向かうなら、いずれどれかは勝負しなければならない。
こういう手牌構成にした以上、打ち込みは覚悟の上である。
本当に運良くと言っていいだろう。
このが通り、黒沢がカンで仕掛ける。
チー チー
これによって、私は4枚目のを引く。
これを加カンすると、リンシャンから引いたのがだ。
ツモ 加カン
を切ってある以上、まだドラには手を掛けられない。
また、が通った以上、やはりドラはまだ打てない。
この2つの思いが私に打とさせる。
すると次巡、がやってくる。これでもう散って後悔なしだ。
打。(は頭だったか…)
そして決着はすぐに訪れた。
ツモ 加カン
私はこのアガリを皮切りに、1本場で11,600。
リーチ ロン ドラ
2本場で4,000オールと、自分の波を捕まえることに成功した。
リーチ ツモ ドラ
結局、この日は60Pを超えるプラスで終わることができたが、牌譜を見る限り、この結果は相手のミスによるところが大きかったように思う。
ただ、それは自分自身の身にも起こりうることである。
麻雀が4人の戦いであること、そしてメンタルのバランスが誰かしらは必ずブレることを考えれば、皆が皆正着を打ち続けるのは不可能と言っても過言ではない。
その部分は常に意識し、きっかけを掴んだら手放さない、そういう心構えで1年間戦っていきたいと思う。
それから…
沈み行く夕日、これを見送る努力を怠らないようしっかり打ち抜きたい。
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