王位戦 レポート

第40期王位戦A級決勝レポート  本田 朋広

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・システム

ベスト72からはじまるこのA級決勝。4回戦終了後に下位24名が敗退しベスト48、5回戦終了後に下位12名が敗退しベスト36、6回戦終了後に下位8名が敗退しベスト28、最終7回戦に下位13名が敗退し15名が準決勝へと駒を進める。

現王位の森下を加えた16名での戦いになり、ここまでは去年までと変わらない。
最初の4回戦は、18卓にシード選手16名が入る。
この18名は5回戦まで直接対決はない。

5回戦からは順位ごとの卓組となり、順位ごとの卓組とはその時点での
(1位、24位、25位、48位)
(2位、23位、26位、47位)
といったように、順位合計を同じに、たすきがけのように組む。

昨日のA級本戦も同様であるが、現在のポイントの開示が対戦前に義務づけられた。
今回のレポートを担当させていただいて感じたことは、ベテランの選手は勿論、歴代の王位達は1、2回戦の着順に影響されることなく4回戦を消化している印象だった。

逆に、若手やアマチュアの選手は、1、2回戦にマイナスしてしまうと3、4回戦には本来の実力を出し切れず終了してしまう事もあり、伝統ある王位戦の難しさを選手ではなく観戦記者をやってみて肌で感じた。

・シード選手

歴代王位から荒・森山・灘・羽山・清水・宮崎(協)・滝沢・ダンプ・井出・二見(協)
前回決勝卓の杉浦・伊藤(一般)・穴澤(一般)・手塚・現鳳凰位・藤崎・世界チャンピオン山井、歴代王位順から順番に1卓からシード順に卓が組まれる。
そこに、他団体、アマチュア順位順に卓組され残りを連盟の順位順で行う為、他団体は同じ団体とはあたりづらく、アマチュアは逆に、歴代王位、シード選手と運がよければ3回くらい対戦するチャンスがある。

会場の雰囲気から。好調なスタートをきっているのは、灘、森山、荒、前原らシード選手。

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灘 麻太郎

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森山 茂和

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荒 正義

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前原 雄大

東場から4万点、5万点持っている状況。
(今日1日、私が強く感じたのはベテランの勢い。この一言に尽きるだろう。)

2回戦に入ってもベテラン勢の勢いは止まらず、古川、近藤もどんどん上位にくいこんできた。

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古川 孝次

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近藤 久春

2回戦終了時、A級決勝はベテラン勢が試合を引っ張り、今大会はベテラン選手が活躍する兆候が見られはじめていた。

3回戦以降は、徐々に滝沢、ダンプなど若手歴代王位達も実力を発揮し始めた。

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滝沢 和典

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ダンプ 大橋

若手選手の手塚、斉藤(豪)安村、大野も食らいついていった。

しかし、今日のベテラン選手達は、序盤のプラスを守ろうとはせず、どんどんとプラスを重ねていた。
なかでも荒は、東場では苦しい展開となり、7,700、8,000の放銃などもあったが、持ち前の見切りのよさを生かし、捌きなど落ち着いて局をこなし、親番では怒涛の連荘をみせ、トップまであがる。

結果だけを先に言ってしまえば、7回戦を戦いぬき、5回のトップと2回の2着。うち2回は1人浮き、本日は荒の試合巧者ぶりの目立つ1日だった。

4回戦終了。ボーダーは▲20Pこの時点で▲20P以上は敗退。

現鳳凰位藤崎、世界チャンピオン山井、歴代王位清水は敗退となった。

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藤崎 智

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山井 弘

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清水 香織

座る場所などで確認していたが、マイナスこそ▲20Pほどではあったが平均素点などは3~4ほどのマイナスが続いていた。最後まで手が入らず苦しい展開のまま敗退。

藤崎「連盟スタジオだったらなぁー。1年ぶりの錦江荘だったからだめでした。」
山井「世界チャンピオンで運を使いすぎました…。」
清水「来年は頑張ります。」

5回戦終了 敗退ボーダー+1.2P

ベテラン勢も若干の疲れが出たのか、成績も荒れはじめ、東谷、浜上、大野、杉浦、は敗退しまいと元気が見え始めていた。

しかし、ここでもベテラン勢の勢いを感じさせるのは灘、終始疲れを感じさせず通路を歩く際もニコニコと表情が変わらない。

4、5、6回戦と連続で5万点を超えるトップを取り会場一番の元気さえ感じた。
衰えを知らない灘の体力は、準決勝でも必見であろう。

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5回戦敗退

AⅠリーガー猿川 歴代王位の羽山

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猿川 真寿

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羽山 真生

6回戦終了時の敗退ボーダ+15.3P

歴代王位の滝沢 AⅠリーガー前田、敗退

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滝沢 和典

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前田 直哉

滝沢「チャンスがあったのになー。悔しいです。」
前田「勝ちにいったけどだめでした。」

7回戦

準決勝進出までのボーダーは、現在15位の有田で44.7Pである。これは、去年の準決勝ボーダーが約45Pであり、当日はそれを目指している声も多く聞こえていたため、選手達には予定通りの状況だったと思われる。

1卓(1位 荒+127.1P 14位 谷岡+45.6P  15位 有田+44.7P  28位 斎藤+17.9P)

ほぼ確定で間違いない荒、開局時で親番の荒にかけよると4,000オールツモアガリ。
最後まで手を緩めることなく7回戦を終える。

マイナスながらもなんとか2着に着けたが、残念ながら谷岡は16位となった。
15位の福島とは0.1P差の42.1Pであり、とても悔しい結果となった。

1位通過 荒

2卓(2位 灘+118P 13位 五十嵐+47.1P 16位 竹内+43P 27位ダンプ+20.4P)

ほぼトップ条件のダンプ。好調の灘から5,200出アガリも、五十嵐が1人浮きまで浮上で万事休す。
結局、ここでも灘が粘りを見せ▲1.7Pながらも2着まで浮上。

2位通過 灘 6位通過 五十嵐

3卓(3位 安村+115.4P 12位 福島+47.9P 17位 石井+39.8P 26位 杉浦+21.4P)

3位安村、ここまでが最終戦ラスを引いてもなんとかなる順位、他3名は必ず2着以上が条件で石井が8,000をアガリ迎えた親番。

東3局 東家 石井

二索二索二索二筒二筒六筒六筒七筒七筒八筒南南南  ドラ六筒

10巡目にこの手牌でテンパイしているも、八筒が場に2枚見えの状態からドラの六筒が出ると、ポンして待ち変えをし、12,000のアガリ。このアガリで勝負あり、1人浮きの5万点越えトップ。

石井は他団体であり、年齢的にも若い選手ではあるが、経験も実績もあり、1回戦から7回戦までを冷静な表情でこなし、最高位戦の代表として相応しくあり、準決勝でも彼の力がどこまで通用するか楽しみである。

一般の選手の福島は、▲5.7Pながらも最終ポイントを42.2Pとし、最後の1人(15位)となる。
一般の選手の中ではただ1人の準決勝進出者となった。

安村は最終戦こそマイナスではあったが、残りはすべてプラスで終え、最終ポイント107.6Pとし、安定感抜群の内容だったといえる。

4位通過 安村 5位通過 石井 15位通過 福島

4卓(4位 近藤+79.6P 11位 手塚+50.6P 18位 清原+39.2P 25位 田中史+26.2P)

オーラス4万点台のトップがほしい田中は、32,600点持ちで6巡目テンパイからリーチ。

一万一万六万六万七万七万八万八万二筒二筒二筒四筒五筒  リーチ  ドラ九筒

29,700点持ちの手塚が、同巡に同じ待ちで追っかけリーチ。
軍配は手塚のツモアガリ。このアガリで+2.6Pながらも卓内トップを取った。

なんとかプラスで終えた清原は、トータルポイントで14位で通過。

近藤は1人沈みのラスを引くも、前半の貯金があり9位通過。

9位通過 近藤 11位通過 手塚 14位通過 清原

5卓(5位 東谷+69.1P 10位 大野51.6P 19位 浜上37.5P 24位 金子27.3P)

1回戦、2回戦とマイナススタートの東谷は、3回戦から4連勝で5位につけるものすごい勢い。
大野も最近の活躍ぶりは、どこでも耳にするくらい結果がでている。

この若手がぶつかりあう最終戦。ラスだけは引きたくない東谷は、南2局でラス目ながらも、ここから気持ちが伝わる連続のアガリでラスを抜ける。

オーラスは3,000、6,000を引いた浜上以外は、東谷27,600、大野23,500、親の金子23,200この状況で大野の手牌2巡目、北家

二万三万四万一索二索三索五索六索七索四筒六筒中中  ドラ二筒

これをヤミテンとし、14巡目に七筒を持ってくる。ここで待ちを変えると四筒が、浜上の高目ピンフ一通に放銃となるが、中を落としてまわる、次巡に四筒を引いて五筒八筒ピンフテンパイ。これもヤミテンで続行。
すると親からリーチの発声とともに打ち切り終了の合図。

大野は、リーチ棒で2着にアガる条件は出来たがヤミテンを続行。
しかし17巡目にドラの二筒が親に放銃、これで終了。

最終ボーダーが42.2Pだったため、大野は最終戦24,600点以上の3着であれば、通過を決めていたが、最終戦が始まった時はほぼ2着以上が条件だったため、他の卓の状況が分からない大会の難しさがここに出た。

本人も結果を聞いてとても悔しい思いをしたと思うが、これをいかし、彼女の今後の活躍に期待したいと思う。

8位通過 浜上 10位通過 東谷

6卓(6位 前原+60.9P 9位 海老沢+53.1P 20位 森山+34.7P 23位 二見 +27.6P)

トップがほしい森山、二見。しかし好調の前原は、南場で39,400点のトップ目、ほかの3人はもうあとがない状況。二見の親がなくなり、南3局、森山も最後の親。南場に入った時点では17,600のラス目1人沈みの状況から、リーチのみながらも最速のアガリで2度アガリきり25,000点の粘りを見せる。
4本場には、またまたリーチ。
ベテランの技、勢いも感じられ、もうプラスが目前にまできているように見えた。
しかし、そこに立ちはだかったのはやはり前原だった。

会場中から、規格外な攻撃力と言われる前原の手は、なんと四暗刻単騎。
これを親の森山から打ち取り、これで森山は親を落とす。
最後はオーラス親の海老沢がノーテンを選んで2着で終了。

3位通過 前原 12位通過 海老沢

7卓(7位 矢島+55.3P 8位 古川 +53.3P 21位 小原 +28.2P 22位 藍島+16.7P)

好調が続くベテラン勢の一角古川。

東3局北家、古川

一万二万三万九万九万九万五索六索三筒四筒五筒東東  ドラ九万

この手牌で10巡目にリーチ。
今日の展開的に、簡単にツモアガリ出来るかと思いきや流局。
古川も黄信号かと思いきやオーラス。

南4局 西家 古川

五索六索七索三筒五筒六筒六筒  ポン四万 上向き四万 上向き四万 上向き  ポン西西西

「ロン1,000点」とし、3万点ちょうどの3着、これで通過。

7位通過 矢島 13位通過 古川

これで本日、全卓終了。

7回戦の長い対局にも関わらず、ベテランの落ち着いたゲーム運びには本当に驚かされる1日だった。
この度は、初めて観戦レポートをすることになったが、来年こそは選手としてこの場に立ちたい。

11月29日 夏目坂スタジオで行われる準決勝出場者は以下の通り。
1位 荒 正義
2位 灘 麻太郎
3位 前原 雄大
4位 安村 浩司
5位 石井 一馬(最高位戦)
6位 五十嵐 殻(協会)
7位 矢島 享(協会)
8位 浜上 文吾
9位 近藤 久春
10位 東谷 達矢
11位 手塚 紗掬
12位 海老沢 稔(最高位戦)
13位 古川 孝次
14位 清原 純光
15位 福原 直次郎(一般)