第32期A2リーグ第3節レポート 佐々木 寿人
2015年06月30日
今期のテーマは『棒』。
平たく言えば、昔のスタイルに戻すということだ。
きっかけは前期のプロリーグである。
荒正義さんをはじめ、沢山の先輩方に、「バランスが良くなった。」とは言われたが、結果的には昇級を逃してしまった。
ポイントを持ってから、自分の麻雀に微妙な変化があったのだ。
敗因を自分なりに考えた結果、もっと戦う局面を増やさなければ、というところに行き着いた。
ここ数年は捨て局が増えた。つまりは、遊び手を多く打っているのである。
遊び手がアガリに結びつくことなど、30局に1局程度のものだ。
ここに、どれだけムダな局数を費やしているかがわかる。
自分が遊び手を打った分だけ、相手は楽になる。
もちろん、全てを0からやり直すというわけではないが、『棒』で打つことに一番の意識を置いていたことは間違いない。
それを如実に示しているのが、1回戦東2局の親番である。
ツモ ドラ
5巡目にを引いた場面だ。
345の三色も見える以上、ツモ切りが手筋だろう。しかし手順は切りである。
それこそが棒の一手である。
前局に2,000・3,900を引きアガっていたことも大きい。
まずはアガリを重ねること、手役は二の次である。
リーチ ツモ
ただ、この日はブレーキの性能が格段に悪かった。
ポン チー ツモ ドラ
3回戦東4局1本場、私はここからノータイムでをツモ切っているが、この時の親山田浩之の河が以下なのである。
ピンズの一色手がかなり濃厚な捨て牌で、すでにが余っているのだ。
これが当たったとして、何らおかしくない牌である。
だが、これを仕掛けたのは、中盤から対応の気配が出ていた北家の西岡慎泰だった。
ポンの打として、捨て牌はこう。
こちらもまた、ソーズが異様に高い河になっている。
このを山田がポンして打。
山田、西岡共にテンパイは明白である。
{次のピンズ、ソーズは止めだな}
心の中ではそう思っていた。
ところがいざを引くと、逡巡している自分がいる。負ける日というのは、総じてブレーキが利かないものだ。
頭では切りとなっているのに、実際にはに手を掛けてしまっている。これはただの欲である。
仮にこのを押し切ったところで、一体何で止めるというのだろうか。
こちらは所詮クズ手。いくら『棒』でも、その前ので歯止めを利かせるべき局面だったように思う。
ポン ロン
今節を終え、私の負債は70Pを超えた。
だが落胆はしていない(むしろしなさいと怒鳴られそうだが…)。
『棒』の精度を上げるにはもう少し時間がかかりそうだが、まずはしっかりとした土台を築いていきたいところである。
カテゴリ:プロリーグ(鳳凰戦)レポート