第29期新人王戦 予選レポート 柴田 吉和
2015年09月10日
2015年8月29日
前夜から降り続く小雨の中、第29期新人王を目指し全国から96名が集結した。
新人王戦とは、入会3年目までの連盟員のみが参加できるタイトル戦で、予選半荘7回戦を1日で戦い上位4名を決定し、翌日に決勝半荘4回戦にて新人王を決定するシステムとなっている。
決勝4回戦は日本プロ麻雀連盟チャンネルでニコ生放送されるので、若手にとっては自分をアピールできる絶好の場である為、是が非でも決勝に残りたい・優勝したいと思わずにはいられないだろう。
ここで第29期新人王戦のシステムを簡単にまとめてみると、
・参加資格は入会3年目までの連盟員(28~31期生)
・ルールは日本プロ連盟Aルール(一発・裏ドラなし)
・予選4回戦終了時にポイント上位48人が予選5回戦に進出。
予選5回戦、6回戦終了時にそれぞれポイント下位12人が敗退。
予選最終7回戦を24人で行いポイント上位4人が翌日の決勝進出となる。
・予選は得点持越しで各回50分打ち切り。
・決勝戦は予選ポイントリセットし、4回戦で新人王を決定する。
【予選開始】
時計が12時をさした所で、日本プロ麻雀連盟副会長 伊藤優孝プロと競技委員長である藤原隆弘プロの挨拶と合図により予選1回戦が開始された。
早速、会場を回って注目選手達の様子を見てみた。
前年、第28期新人王戦のファイナリスト
1年前の悔しさをバネに、1年間でどれだけ成長したか彼らの戦いに注目したい。
五反地清一郎プロ |
佐々木啓文プロ |
大野彩乃プロ |
3回戦 南4局 親:五反地プロの手牌 28,500点持ち 10巡目
ツモ ドラ
打点はないがオーラスの親で先手が取れ、ひとまず30,000点の浮きを狙った先行リーチを打つと思われたが、選択は打のテンパイ取らずで目先の30,000点には見向きもせず、決勝ボーダーを意識して一気にチンイツへ!
多少強引と思えたが、結果は大成功の12,000点のアガリ。
ポン ロン
『必ず決勝の椅子に座るんだ』と、強い意志が表れた打牌選択であった。
現・元最強戦ガールの4名
大久保朋美プロは前々年の第27期新人王戦3位でもある。
石田亜沙己プロ |
山脇千文美プロ |
菅原千瑛プロ |
大久保朋美プロ |
先日行われた、第18期特別昇級リーグで2位となり、鳳凰戦C1リーグ入りを決めたケネス徳田プロ。
こちらも記憶に新しい、第32期十段戦ベスト16で瀬戸熊プロを最終戦オーラスまで追い詰めた高谷圭一プロ。
第25期チャンピオンズリーグ覇者・森岡貞臣プロ。
第28期チャンピオンズリーグで決勝進出を決めている平野良栄プロ。
ケネス徳田プロ |
高谷圭一プロ |
森岡貞臣プロ |
平野良栄プロ |
コナミ麻雀格闘倶楽部で活躍中の女流プロ
手塚紗掬プロ |
井上絵美子プロ |
七瀬真実プロ |
第6期夕刊フジ杯麻雀女王、第13回野口恭一郎賞受賞、現在放送中の第13回女流モンド杯出演とシンデレラストリーを歩み始めた池沢麻奈美プロ。
池沢麻奈美プロ |
3回戦 南1局
西家、七瀬真実プロが7,700点の本手で先行リーチ
ドラ
先行リーチを受け南家、山脇千文美プロの手牌
この役なしテンパイをヤミテン続行。
数巡後に上家から出たをノータイムで食い替えチーして役ありに変化させ、すぐにロンアガリ。
チー ロン
先行リーチが入っている状況で、ノータイムでの決断を見てプレッシャーに負けず自分の麻雀を打てているなと感心した。
予選4回戦の開始前、運営からボーダー発表。
5回戦に進めるのは、参加96中半分の48名。ポイントボーダー目安は±0程。
例年の決勝ボーダーが100ポイント程なので、選手はこの辺りからポイントを叩ける時にどれだけ叩けるかが非常に重要になってくる。
【4回戦終了】
前年ファイナリスト大野彩乃プロ、佐々木啓文プロや、麻雀格闘倶楽部で活躍中の手塚紗掬プロ、菅原千瑛プロ、井上絵美子プロ、七瀬真実プロなどがここで敗戦となった。
手塚紗掬プロ「負けました。プロクイーンがんばります。」
菅原千瑛プロ「沈み2着が2回ありました。ラス親のオーラスでツモられ沈みなど展開が向かなかった。王位戦がんばります。」
優月みかプロ「4回戦まで可能性があったが、残れませんでした。来年またがんばります。」
七瀬真実プロ「3半荘目まで2回しかアガれず苦しかったです。来年もう1回あるのでがんばります!」
井上絵美子プロ「トップ2回のラスラスでした。力及ばずでした。悔しいです。」
ケネス徳田プロ「2回戦から全くアガれなかった。放銃は少なかったんだけどね。」
【5回戦】
開始前に運営からボーダー発表。
6回戦に進めるのは、48名⇒12名カットの36名。ポイントボーダー目安は+10ポイント程。
現在、敗退ボーダー付近の吉田彩乃プロ
オーラス南家
リーチ ドラ
アガれば、通過という手役を作りリーチを打つが無情にも流局。ここで敗退となった。
注目していた、池沢プロ・高谷プロもここで敗退。
池沢麻奈美プロ「所々で弱気が出てしまいました。プロクイーンでリベンジします!」
高谷圭一プロ「気合いが空回りしてしまいました。来季から初めてチャンピオンズリーグに挑戦しようと思っているので、そちらでがんばります。」
※5回戦終了時点ポイント
1位:西嶋ゆかりプロ(+101.3P)
2位:林潤一郎プロ (+95.3P)
3位:中寿文プロ (+81.5P)
【6回戦】
最終予選の7回戦に進めるのは、36名⇒12名カットの24名。ポイントボーダー目安は+37ポイント程。
6回戦開始時には18時を過ぎ、疲れた表情を見せる選手もちらほら。
現在、敗退ボーダー付近の古川彩乃プロ
南1局 南家 24,400点持ち
リーチ ツモ ドラ
終盤に嬉しい3,000・6,000をツモアガリ、通過と思われたが、オーラス前に痛恨の9,600点を放銃してしまいここで敗退。
注目選手、森岡プロもここで敗退となった。
森岡貞臣プロ「新人王戦最後のチャンスでしたが。。。力不足です。」
白銀紗希プロ「3回戦で18,000点のリーチを打って8,000点放銃したのがすべてでした。」
※6回戦終了時点ポイント
1位:西嶋ゆかりプロ(+104.5P)
2位:土屋幸弘プロ (+89.9P)
3位:古本和宏プロ (+82.0P)
4位:永井勝晴プロ (+78.2P)
【最終7回戦】 ※以後敬称略
最終半荘の卓組は以下の通り。
(最終戦開始時の順位/トータルポイント)
[1卓] 西嶋ゆかり(①/104.5P) 瀬下勝也(⑫/59.1P) 石田亜沙己(⑬/56.8P) 平野敬悟(35.5P)
[2卓] 土屋幸弘(②/89.9P) 山脇千文美(⑪/60.8P) 吉田圭吾(⑭/53.5P) 川上直也(35.9P)
[3卓] 古本和宏(③/82.0P) 原佑典(⑩/61.4P) 弘中栄司(⑮/47.4P) 戸部弘次(25.1P)
[4卓] 時田拓和(⑥/67.1P) 平野良栄(⑦/66.7P) 高橋勇(⑱/42.3P) 谷誠之(⑲/41.7P)
[5卓] 林潤一郎(⑤/75.6P) 井上美里(⑧/65.2P) 厚谷昇太(⑰/43.1P) 小野雅峻(⑳/40.2P)
[6卓] 永井勝晴(④/78.2P) 中寿文(⑨/62.9P) 楠原遊(⑯/47.2P) 五反地清一郎(39.5)
【1卓】
平野敬が60,400点持ちでオーラス。
7回戦までトータル1位の西嶋は20,600点の3着目。
西嶋はラス親で500オールをツモるなど粘りを見せるが、原点復帰できずに終了した。
【2卓】
南1局 南家 山脇の手牌
ツモ ドラ
4巡目テンパイであっさり3,000・6,000のツモアガリ。
持ち点を39,600点まで増やすが、次局山脇の親番で土屋が2,000・4,000をアガリ返す。
土屋はこのアガリなどでオーラスを38,400点で迎え、ほぼ通過と思えたが終盤に親の吉田にまさかの9,600放銃!
吉田54,300点 土屋28,800点
オーラス1本場。終盤に土屋が1,600点をアガリ、大きな大きな原点復帰を果たして終了した。
【3卓】
弘中が東1局の親番から怒涛の連荘でアガリを重ね、58,200点持ちで南3局まできたがラス親の原が粘りの連チャン、弘中は点棒を徐々に削られてしまう。
ようやく原の親が落ちオーラス。
南4局 弘中の手牌
ポン ポン ツモ ドラ
渾身の3,000・6,000!このアガリで決勝が見えたか!?
【4卓】
高橋が南1局の親番で連荘。1人浮きの49,100点まで加点に成功。
南3局 南家:平野(良)30,300持ちの手牌
ポン ポン ドラ
このアガリを皮きりに、オーラスの親番で猛連荘。
5本場、持ち点を58,700点まで増やし、まだまだ加点できそうな雰囲気であったが、ここでタイムアップとなった。
【5卓】
南入時 林:42,500点 井上:17,300点
南2局 後のない親番井上の手牌
リーチ ツモ
高めをツモリ6,000オール。
ここから怒涛のアガリを重ね、自信の親が落ちた時には75,900点まで得点をのばしていた。
【6卓】
東2局 北家:楠原の手牌
ツモ ドラ
先行リーチを受けていたが、見事な手順で2,000・4,000。
このアガリを皮きりに、自身の親番で連荘開始。4本場まで積み51,500点まで加点、南2局では3,000・6,000をツモアガリ、決勝が見えたと思われたが!?
【7回戦終了 最終順位】
1位通過:井上美里 (116.7P)
2位通過:平野良栄 (113.4P)
3位通過:弘中栄司 ( 95.1P)
4位通過:土屋幸弘 ( 94.6P)
5位: 西嶋ゆかり(92.1P)
井上・平野・弘中の3者は最終戦で50ポイント強を上乗せする攻撃力を見せつけ通過。
土屋はオーラスの9,600点放銃で敗退かと思われたが、オーラス1本場になんとかかんとか浮きにまわりヒヤヒヤの予選通過。
7回戦開始時トータルトップだった西嶋は、無念の予選敗退となった。
注目選手の山脇、石田、五反地は準決勝での敗退となった。
五反地清一郎プロ「昨年の雪辱を晴らしたかったです。去年の自分より強いと思いやりましたが残念です。」
石田亜沙己プロ「色々と迷う所があったので、勉強してプロクイーンに備えます。」
山脇千文美プロ「最終戦で満貫・跳満とアガったのにダメでした。明日から、新人からベテランになります(笑)」
長き予選が終了し、決勝進出は井上美里プロ、平野良栄プロ、弘中栄司プロ、土屋幸弘プロの4名に決定した。
翌日の決勝戦は、予選ポイントはリセットされ半荘4回戦でのトータルポイント勝負となる。
決勝戦の模様は、後日掲載される決勝観戦記にてお伝えさせて頂く。
カテゴリ:新人王 レポート