第33期十段戦 ベスト8B卓レポート HIRO柴田
2016年08月30日
十段戦ベスト8B卓、対局者は以下の通りである。
ダンプ大橋 ベスト16からの勝ち上がり
上田直樹 初段戦からの勝ち上がり
瀬戸熊直樹 九段戦Sからの勝ち上がり
伊藤優孝 九段戦からの勝ち上がり
注目すべきは初段戦からの出場となる上田 。トーナメント戦というシステムの経験は、圧倒的に他3者より劣るはずだ。
上田は勢いで勝ちきれるか、それともベテラン勢が上田を押さえ込んで決勝へコマを進めることができるかが見所だ。
1回戦(起家からダンプ・瀬戸熊・上田・伊藤)
東1局、親のダンプ3巡目に持ってきた孤立牌であるを残して、丁寧に手牌を進行させていき瀬戸熊から7,700をアガる。
ロン ドラ
東1局1本場、上田がを暗刻にしてこの形。
リーチ ドラ
理想は三暗刻だが、ヤミテンでのでのアガリは弱くみえてしまうのでここは堂々とリーチを宣言する。
瀬戸熊もすぐに追いつき、上田の捨て牌にもあることからヤミテンを選択。
しかしこの局は3番目にテンパイを入れたダンプが、瀬戸熊から大きな18,000のアガリをものにする!
ロン ドラ
東3局、親の上田、選択は迷わずのリーチだった。
場にはが2枚打たれている狙いならヤミテンもあるだろう。だが、ここでリーチを打つというのが上田の戦い方なのだ。
伊藤もここは勝負とリーチを打つが、軍配は上田にあがった。
伊藤
リーチ ドラ
上田
リーチ ロン
南2局3本場、A1選手である瀬戸熊と伊藤が2人ともに1万点を切る、まさかのゲーム展開となるが、ここは瀬戸熊が意地の12,000を上田からアガる。
リーチ ロン ドラ
の切り出しを見るに上田の守備力が気になる。守備を伸ばすか、それともそれを上回る攻撃力を伸ばすかは上田の今後の課題であろう。
南3局、さきほどの放銃をものともせず、上田がこの4,000オールをアガリ持ち点が40,000点を越える。
上田
リーチ ツモ ドラ
南4局、伊藤が5,800を上田からアガリ失点を減らしにくる。
伊藤
チー ポン ロン ドラ
瀬戸熊のピンズ色での仕掛けと、親・伊藤の仕掛けによって上田を苦しめる展開を作りにくる。
南4局1本場、瀬戸熊が見事なテンパイ外しの手順で、高めツモ2着となるリーチを打つがここは安めでのアガリとなる。
打 ドラ
ツモ 打
ツモ 打
ツモ
このアガリで上田が原点を割り、3人沈みでダンプが50ポイントオーバーの特大トップ。
1回戦成績
ダンプ+51.0P 上田▲1.8P 瀬戸熊▲11.3P 伊藤▲37.9P
2回戦(起家から伊藤・上田・ダンプ・瀬戸熊)
東1局、上田が先制リーチとくるが、すぐに瀬戸熊も追いつきリーチを打っての2,000・4,000ツモアガリ。
上田
リーチ ドラ
瀬戸熊
リーチ ツモ
東2局、1回戦は我慢が続いた伊藤が、異名の死神の優の名の通り、死神の鎌を上田に切りつける。
伊藤
ロン ドラ
南3局、点数状況は以下の通り。
伊藤39,600、瀬戸熊36,700、ダンプ36,200、上田7,500
1回戦トップのダンプが親でさらに加点を狙いリーチを打つ。
ダンプ
リーチ ロン ドラ
対する上田、は場に出ていないもも現物である。
上田
ここからでの放銃。自身の持ち点を見てか切りとしそうだが、誰も合わせなかったのを狙い目としたのだろうが、ここはを打ち放銃となった。
結果だけを見れば悪い放銃だが、この状況下で楽に安全牌を打たない上田の精神力とアガリにかける執念を評価してあげたい。
2回戦成績
ダンプ+24.8P 瀬戸熊+12.9P 伊藤+7.9P 上田▲45.6P
2回戦終了時成
ダンプ+75.8P 瀬戸熊+1.6P 伊藤▲30.0P 上田▲47.4P
3回戦(起家から伊藤・ダンプ・上田・瀬戸熊)
1、2回戦の失速を見てか、上田のマークが外されたかのように2連続で1人テンパイして親番を向かえる。
東3局2本場、上田がここからダンプの第一打であるをポンとしてドラ色の一色手を狙う。
上田
ドラ
この遠い仕掛けを、上手く他者の手を遅らせることにより、4,000は4,200オールを成就させる。
上田
ポン ツモ ドラ
南3局2本場、ポイントの現状はダンプが抜けていて伊藤が置いていかれている状態、瀬戸熊と上田が競っている。
親である上田の打牌を制限させる為、南家の瀬戸熊がとターツを外し、ドラ2で仕掛けプレッシャーをかけていく。
瀬戸熊
チー ポン ドラ
上田は、瀬戸熊の2フーロを攻めから守備へのシフトチェンジとし、テンパイで粘っているところで1,000は1,200オールをツモアガる。
上田
ツモ ドラ
南3局3本場、瀬戸熊がソーズ、伊藤がマンズ、そこへ上田はひるまずピンズ待ちでリーチを打ち2,600は2,900オールのツモアガリ。
瀬戸熊
チー ポン ドラ
伊藤
ポン ポン
上田
リーチ ツモ
南3局5本場、瀬戸熊が早いテンパイの待ちだが、出る気配がないまま上田がリーチをしの暗カンが入る。
上田の待ちであるは4枚切れているので、残るはタンヤオ確定ののみ。
お互いに厳しい待ちだが、勢いで上田がツモアガる3,200は3,700オール。
瀬戸熊
ポン ドラ
上田
暗カン ツモ
3回戦成績
上田+43.9P 伊藤▲2.5P 瀬戸熊▲14.1P ダンプ▲27.3P
3回戦終了時成績
ダンプ+48.5P 上田▲3.5P 瀬戸熊▲12.5P 伊藤▲32.5P
4回戦(起家から伊藤・ダンプ・上田・瀬戸熊)
ポイント状況ではダンプは4回戦を浮きで終われば、ほぼ当確でラスを引けば混戦となりそうだ。
伊藤はトップ、もしくは浮きで終らなければ苦しいか。
瀬戸熊、上田は最終戦もふまえて、ここはお互いの着順を意識した戦いになるだろう。
東2局、開局に1,300・2,600のツモアガリでリードした上田が連続でリーチを打つ。
伊藤も加点をしなくてはいけない状況下なので、すぐに追いかけチーリを打つ。
瀬戸熊もドラが暗刻のホンイツ1シャンテン。
7巡目の時点で上田の待ちは残り1枚。高めののみだったが、ここは瀬戸熊が最後のを放銃。
手数の多い上田なだけに、点数が読みにくいことと、自身の手牌を含めチャンスの局であったが、今回はそんな時に手痛い放銃になってしまう。
瀬戸熊
ドラ
伊藤
リーチ
上田
リーチ ロン
南2局、この時点で上田の点数は44,400の1人浮きトップ、対して瀬戸熊は21,300のラス。
相手のチャンスを減らすことと、局を進める為にヤミテン選択もあるが、上田がここは力強くリーチとし本日何度目なのだろうか?と思わせるツモアガリ。
上田
ツモ ドラ
上田が競っている瀬戸熊を押さえ込んでの5万点トップをとる。
4回戦成績
上田+36.8P 伊藤▲7.2P ダンプ▲11.0P 瀬戸熊▲18.6P
4回戦終了時成績
ダンプ+37.5P 上田+33.3P 瀬戸熊▲31.1P 伊藤▲39.7P
5回戦(起家から上田・ダンプ・伊藤・瀬戸熊)
ポイントは上下に分かれた展開だ。瀬戸熊・伊藤は最低でも6万点以上は欲しい最終戦。
東1局、親の上田が絶好のカンを引き入れてのヤミテン。これに伊藤が捕まる。
上田
ロン ドラ
東1局1本場、さらに1本場で上田が伊藤から5,800をアガる。
上田
ロン ドラ
上田がダンプよりポイントを上回っていることと、現状原点であるダンプのほうが沈めやすいため、伊藤・瀬戸熊の標的がダンプになる。
上田の攻めの強さとダンプの巧みなゲームまわしで、伊藤・瀬戸熊なすすべなくオーラスを迎えることとなる。
南4局、点棒状況は上田51,300で当確か、ダンプ30,700、伊藤4,100、瀬戸熊33,900。
ダンプと瀬戸熊の4回戦までの成績差が68.6ポイントで、ダンプを2万点にしても瀬戸熊は8万点は欲しい。ダンプが1万点なら7万点条件だ。
瀬戸熊は連続で2,600オール、2,000オール、1人テンパイと持ち点を5万点とし18,000条件とする。
瀬戸熊
リーチ ツモ ドラ
リーチ ツモ ドラ
リーチ ドラ
南4局3本場、ダンプ重くなりそうな役牌をうまく仕掛け、瀬戸熊からアガり勝負を決す
ダンプ
チー ポン ロン ドラ
5回戦成績
瀬戸熊+26.4P 上田+19.6P ダンプ▲6.4P 伊藤▲39.6P
5回戦終了時成績
上田+52.9P ダンプ+31.1P 瀬戸熊▲4.7P 伊藤▲79.3P
A1リーガーの両名を見事に完封した上田、そしてダンプの勝ち上がりとなった。
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