第34期十段戦 ベスト16A卓レポート HIRO柴田
2017年07月06日
十段戦もいよいよ終盤戦。
今回はベスト16A卓のレポートをお届けします。
まずは対局者する選手から。
瀬戸熊直樹(9段戦Sからの出場)
武藤武(6段戦からの出場)
古川孝次(9段戦Sからの出場)
上田直樹(前年度決勝シード)
1回戦(起家から、瀬戸熊・武藤・古川・上田)
まずは開局の様子から。
親の瀬戸熊4巡目にこの牌姿。
ツモ ドラ
瀬戸熊の選択は、ドラ受けよりもダイレクトの引きを逃さずにホンイツへの渡りもみた。
構想通りに手牌が進み、と有効牌を引き込んで14巡目と遅くはなったが、ホンイツ七対子のテンパイを入れる。
瀬戸熊
そこへ昨年度決勝進出した上田、同14巡目にリーチと向かっていく。
上田
リーチ
このアガリに実直な所が上田の持ち味だと私は思う。
それが悪い方向にでればもちろん悪手となるのだが、見ている側としてはドキドキさせられる。
つまり魅力があるということなのだろう。
結果は流局、瀬戸熊・上田のテンパイ、これを見て対局者の4名は何を思ったのだろう。
東1局3本場、牽制の攻防が続いた所で古川が一歩抜け出す。
古川
ツモ ドラ
この2,000・4,000のアガリの後に古川のキレが増す。
東2局では親の武藤が、
武藤
ドラ
この配牌を8巡で
リーチ
この手に育て、我慢をして本手を決める武藤らしくここは6,000オール狙いでリーチを打つ。
しかし、ここは古川に400・700と点数以上の価値あるアガリをものにされる。
武藤としては、せめて相手に受けてもらって流局までもつれこみたい所だったはずだ。
古川
ポン ポン ツモ ドラ
東3局 親古川
西家の瀬戸熊が5巡目にピンフドラ1のリーチを打つ。
上田リーチ後のをチーして次巡、
上田
チー ツモ ドラ
このを(は2枚切れ)迷うことなくツモ切って3,900の放銃。
瀬戸熊
ロン
瀬戸熊のリーチ後に、3シャンテンからチーして向かって行ける若手なんてそうはいない。
臆することなく向かっていく上田は、麻雀と戦っているんだなと私は感心させられた。
東4局 親上田
上田
ツモ ドラ
攻め続ける上田。ここでついに2,600オールをアガリ浮きへまわる。
古川が一歩リードし瀬戸熊・上田が競り、武藤がやや後退といった並びとなる。
南1局 親瀬戸熊
上田8巡目にこのタンヤオピンフのリーチを打つ。
上田
ドラ
それに対して親の瀬戸熊の選択は現物の、勝負を保留したように映った。
瀬戸熊
ツモ 打 ドラ
少しだけ、上田を意識したように見えた局だった。
結果は流局。
南2局 親武藤
上田が8巡目にタンヤオのリーチ、それに煽られるかのように古川もツモ切りリーチで追いかける。
古川
ドラ
上田
ツモ
しかしここは上田のツモアガリで古川を捲りトップ目に立ち終わってみれば大トップとなる。
1回成績
上田+25.1P 古川+10.6P 瀬戸熊▲11.0P 武藤▲24.7P
2回戦(起家から、瀬戸熊・上田・古川・武藤)
東3局 親古川
静かな点数の動きから均衡を破るようにポンと動いたのは西家の瀬戸熊。
3巡目に武藤が打ち出したに反応する。
瀬戸熊
ポン ドラ
4巡目の上田、形こそ悪いもののドラ暗刻の1シャンテン。
上田
ツモ ドラ 打
やっと上田がリーチした時には、瀬戸熊が大量の字牌を引き込んで臨戦態勢となっていた。
上田
暗カン リーチ
瀬戸熊
ポン ポン ツモ
サーフィン打法のお株を奪うかの如く瀬戸熊が3,000・6,000をアガる。
南1局 親瀬戸熊
先ほどのアガリで勢いに乗った瀬戸熊が、リーチ者の上田から12,000をアガる。
瀬戸熊
ポン ロン ドラ
1回戦からの上田との強弱関係を一気にひっくり返すこととなるこのアガリで、瀬戸熊勝ち上がりを確信したファンは多かったはずだ。
(実際に選手はそんな余裕はないのだが・・)
南1局 1本場 親瀬戸熊
攻め時と判断した瀬戸熊からドラが手放され、古川が選択を間違えず3,000・6,000をアガリ一気に瀬戸熊に追いつく。
古川
ポン ポン ツモ ドラ
南2局 親上田
4者の手牌が面白い
上田
ツモ 打 ドラ
上家のを当然のようにスルーして手を伸ばす上田。
古川
ドラ
ドラこそないもののダブとが暗刻で高打点がみこめる古川。
武藤
ドラ
3色の1シャンテンで点数は維持してるので、どうしてもひとアガリして原点を上回りたい武藤。
瀬戸熊
ツモ ドラ 打
3色ドラ2の1シャンテン、2番手古川を引き離したい瀬戸熊。
この勝負は古川から上田の11,600で決着となる。
選択となる上記上田の打、場には2枚切れ、1枚切れ、一方は顔を見せていないが上田の選択は残し。
実際山にはは残り1枚。のほうが優秀だったこのを引き入れ最高のアガリとなる。
もし1巡でも相手の変化があれば勝負はわからなかったはずだ。
南3局 親古川
1回戦のマイナスを取り戻すため、原点浮きが欲しい武藤がやっとアガリをものにする。
武藤
チー ロン ドラ
このアガリで武藤は浮きへ、古川は2回の手痛い放銃で原点を割る3着となった
2回戦成績
瀬戸熊+16.9P 武藤+6.4P 古川▲7.2P(ペナルティ▲20P) 上田▲17.1P
3回戦(起家から、武藤・古川・瀬戸熊・上田)
東1局 親武藤
北家の上田がここから1枚目のをポンすると、
上田
ポン ドラ
すぐにツモポンとカンの5,200テンパイを入れる。
上田
ポン ポン
この仕掛けにより手が進んだのは武藤・古川。
古川
武藤
親の武藤はが若干危なかったが、高めがある為切りの攻めのリーチを選択。
結果は、古川からでの3,900のアガリ、武藤これをきっかけにしたいところ。
武藤
ロン
東1局 1本場 親武藤
古川が5巡目にピンフドラ1の早いリーチを打つ。
古川
リーチ ドラ
この時の瀬戸熊の手牌はこうだったが、
瀬戸熊
古川のリーチを指標とするように、打牌を選択し粘り強く瀬戸熊が終盤に1,000・2,000をツモアガる。
瀬戸熊
ツモ
ここから特に点数の移動がなく南場へ移るのだが、局参加は少なかった事へ違和感を感じたのか?瀬戸熊ピンフドラ2のヤミテンを選択し体勢を整える。
瀬戸熊
ツモ ドラ
瀬戸熊この1,300・2,600をツモアガリ1人浮き状態になると、次局は積極的にリーチとくる。
瀬戸熊
リーチ ツモ ドラ
先ほどがヤミテンで今回がリーチなら、当然ツモるのだろうと思わせる瀬戸熊の見事な判断。
3回戦は瀬戸熊が1人浮きで終えることとなる。
3回戦成績
瀬戸熊+23.1 古川▲1.7 上田▲6.5 武藤▲14.9
4回戦(起家から、上田・武藤・瀬戸熊・古川)
さて残すところあと2半荘、瀬戸熊がリードして2番手の上田を古川・武藤が追う形。
古川・武藤としては、なんとしてもこの4回戦で上田を沈めて、自身がトップまたは浮きを確保したいところ。
東1局 親上田
リードしている上田の精神力の強さが光る。
北家、古川のこの仕掛けに対して、
古川
チー ポン ドラ
上田残りツモ1回でチーしてを勝負とし連荘に成功する。
上田
チー 暗カン
続く1本場でも上田が攻める。
上田
ツモ ドラ
5巡目に単騎でテンパイしていたのだが、次巡2枚切れのを引き迷わず待ちでリーチとくる。
このを同巡に武藤が掴み、止めようもなく放銃4,800は5,100。追う立場の武藤にとっては辛い結果となる
東1局2本場 親上田
上田のこのチーに対して瀬戸熊・古川の対応が面白い。
上田
チー チー ドラ
瀬戸熊
ツモ ドラ
トータルトップの瀬戸熊、ここで上田に11,600を打つと勝負はわからなくなる。
1枚切れのペンには待ちとしては感触もなく、ここは冷静に現物のを選択。
古川
チー ポン ツモ 打
古川もここでを引き、一度単騎の形式テンパイを取るも、武藤の打ちに合わせて同巡でツモ打とし粘る。
そのを瀬戸熊がポンとし瀬戸熊も単騎だ。目が回るが当たり前のことをこなすという見事な局だった。
瀬戸熊
ポン
古川
チー ポン
東1局3本場 親上田
古川意地を見せ1メンツを崩して大物手を作る。
古川
打 ドラ
ここから456と打ち出し→とツモる。
古川
しかし、そこへ瀬戸熊が追いつき古川5,200放銃となり、上下が分かれて追う側が不利な展開となる。
瀬戸熊
ポン ロン
東3局 親瀬戸熊
瀬戸熊の安定感は流石に見事なもので、アガリや放銃に無駄を感じさせない。
この局も4,000オールをツモアガリ、ほぼ勝ち上がりへは安泰なポイント差となる。
瀬戸熊
ツモ ドラ
東3局1本場 親瀬戸熊
武藤ここでやっと2,000・4,000をツモアガリ、自身が浮き上田を沈めることに成功する。
ここから南場にかけて、いかに上田を引き離せるかが勝ち上がりへの道となる。
武藤
リーチ ツモ ドラ
そのことは本人も承知の上だろうだが、そのバランス感覚が難しく、武藤次局に当面のライバルである上田に8,000の放銃となる。
東4局 親古川
上田
ポン ロン ドラ
南1局 親上田
上田の精神力の強さは計り知れないなと思わされた。
古川と20P、武藤と30P離して現状37,600点持ちのこの古川の仕掛けている局で、テンパイしてドラのを上田が切り1,500をアガる。
古川
ポン ポン ドラ
上田
ロン
南4局 親古川
親の古川が変則的な捨て牌のリーチ、それに対して上田がの後づけで押し切ってアガる。
古川
リーチ ドラ
4回戦成績
瀬戸熊+25.2P 上田+16.9P 武藤▲11.3P 古川▲30.8P
4回戦終了時成績
瀬戸熊+54.2P 上田+18.4P 武藤▲44.5P 古川▲49.1P(ペナルティ▲20P)
この半荘の結果を持って勝負ありとなり5回戦は静かに終局した。
5回戦成績
古川+22.9P 上田+10.3P 武藤▲12.7P 瀬戸熊▲20.5P
5回戦終了時成績
瀬戸熊+33.7P 上田+28.7P 古川▲26.2P(ペナルティ▲20P) 武藤▲57.2P
勝ち上がり 1位通過:瀬戸熊 2位通過:上田
昨年のベスト8では瀬戸熊・上田の「直樹」対決は上田が勝ったが、今回は引き分け。
もしかしたら決勝でまた見られるのかもしれない。
カテゴリ:十段戦 レポート