麻雀日本シリーズ、麻雀日本シリーズ レポート

麻雀日本シリーズ2017 プレーオフレポート 黒木 真生

100

 

藤崎智:56,400点のトップ
佐々木寿人:42,000点のトップ

最後にやることがハッキリしていたのはこの2人。
このミッションがクリアできれば、ボーダーラインの多井隆晴プロを逆転し、プレーオフに望みがつながる。

藤田晋:ハコ下4.2のラス
白鳥翔:ハコ下26.3のラス

逆に、絶対こうなってはいけなかったのは藤田さんと白鳥だ。
こうなったら、多井プロより下にいってしまう。

とはいえ、藤田さんと白鳥は、そうはならないように打つことができる。手堅く対処すれば、とんでもない不運に見舞われたとしても、大怪我は回避できるからだ。

普通に考えたら藤崎、佐々木のどちらかが大トップをとり、どちらかがラスを引く。そして藤田さんと白鳥は2着、3着でまとまるというのが大方の予想であった。

しかし、現実は違った。
白鳥が5万点超えの大トップをせしめたわけである。

このあたりが、白鳥が一皮も二皮もむけたと言われる所以であろう。

この男は、供託棒が落ちていたら急降下してかっさらうだけのセコいハトではなく、獲物が弱っていたりチャンスだと判断すれば、正面切って戦う猛禽類になったのである。

中2病みたいな言動に騙されてはいけない。
鋭い爪と嘴を隠した凶暴なイーグルだと思った方がいい。

しかし考えてみれば私が浅はかなだけで、白鳥と藤田さんの立場であれば、スキあらばトップをうかがうのは当然だったのである。

プレーオフ進出はあくまでも通過点であって、目標は決勝進出だ。

決勝までいけばポイントはリセットされるが、道中はポイント累積を引き継いでいくのである。

上位の両者は、最初はある程度強く出て、難しそうであれば守りを固めるような大局観をもってのぞんだのだろう。

そして明と出たのが白鳥で、暗と出たのが藤田さんだった。

なんと、オーラスに中堅手への放銃があったら予選落ちというところまで追いつめられた。

最終的には死線を潜り抜け、プレーオフ進出を果たしたが、見ていたファンは冷や汗をかいたことだろう。

結果、3連覇がかかる多井プロはプレーオフ進出。
ホっと胸をなでおろしたに違いない。

あとはプレーオフの2戦で何とか、という多井プロをはじめとする下位陣だったが、結果は芳しくなかった。

結局、上位4名がスコアをまとめ、大きな順位変動はなく決勝進出者が決まった。

白鳥翔、勝又健志、鈴木達也、沢崎誠。

こうして名前を並べてみると、全員がオールラウンドプレーヤーである。

白鳥と沢崎が若干、喰い仕掛けが多く、鈴木が手役狙いの手順が多いという程度で、極端な攻撃型や守備型はいない。
攻撃も守備も、メンゼンと鳴きも、状況によって器用に使い分けるタイプばかりだ。
いわゆる「引き出しの多い」タイプ同士の戦いであり、プロ野球の日本シリーズなんかよりも、全然こっちの方が面白そうである。

個人的感情は抜きにして、本当に。こっち見ましょう。

システム

■予選全21回戦(各自6回対局)を行いポイント上位8名がプレーオフ進出
■プレーオフ全4回戦(各自2回対局)ポイント持ち越し上位4名が決勝進出
■決勝全4回戦

プレーオフ成績

順位 名前 予選合計 プレーオフ1回戦 プレーオフ2回戦 合計
1 白鳥翔(連盟会長推薦) 133.3 13.5 ▲ 5.6 141.2
2 勝又健志(連盟会長推薦) 60.7 26.0 4.5 91.2
3 鈴木達也(連盟会長推薦) 69.1 24.1 ▲ 5.2 88.0
4 沢崎誠(連盟会長推薦) 86.5 12.0 ▲ 41.0 57.5
5 前原雄大(鳳凰位) 28.3 ▲ 39.0 39.7 29.0
6 藤田晋(連盟会長推薦) 2.4 ▲ 1.3 19.4 20.5
7 多井隆晴(麻雀日本シリーズ2016優勝) ▲ 3.6 ▲ 1.5 6.5 1.4
8 忍田幸夫(将王) 1.8 ▲ 34.8 ▲ 19.3 ▲ 52.3

予選成績

順位 名前 1回戦 2回戦 3回戦 4回戦 5回戦 6回戦 合計
1 白鳥翔(連盟会長推薦) 12.0 29.7 ▲ 10.2 27.1 9.0 65.7 133.3
2 沢崎誠(連盟会長推薦) 34.7 22.4 3.8 9.6 27.0 ▲ 11.0 86.5
3 鈴木達也(連盟会長推薦) 16.4 ▲ 3.3 5.9 ▲ 37.3 72.0 15.4 69.1
4 勝又健志(連盟会長推薦) ▲ 31.5 21.7 39.2 ▲ 6.9 10.6 27.6 60.7
5 前原雄大(鳳凰位) ▲ 23.9 ▲ 25.0 6.6 11.4 ▲ 4.4 63.6 28.3
6 藤田晋(連盟会長推薦) ▲ 2.9 14.0 11.2 28.0 ▲ 4.7 ▲ 43.2 2.4
7 忍田幸夫(将王) ▲ 31.4 ▲ 6.0 22.4 21.5 10.1 ▲ 14.8 1.8
8 多井隆晴(麻雀日本シリーズ2016優勝) ▲ 9.7 ▲ 8.2 27.0 ▲ 23.6 39.1 ▲ 28.2 ▲ 3.6
9 近藤誠一(最高位) 33.5 12.1 17.8 ▲ 27.4 ▲ 9.6 ▲ 30.3 ▲ 3.9
10 藤崎 智(十段位) ▲ 41.1 26.7 ▲ 31.9 ▲ 13.4 14.7 0.8 ▲ 44.2
11 佐々木寿人(麻雀グランプリMAX優勝) ▲ 18.4 ▲ 7.4 ▲ 10.6 33.9 ▲ 28.1 ▲ 23.3 ▲ 53.9
12 前田直哉(連盟会長推薦) 30.4 12.6 ▲ 29.4 ▲ 22.2 ▲ 27.0 ▲ 24.5 ▲ 60.1
13 萩原聖人(連盟会長推薦) 8.9 ▲ 7.9 ▲ 24.2 ▲ 71.4 30.7 ▲ 5.8 ▲ 69.7
14 近藤千雄(最強位) ▲ 43.8 ▲ 0.8 ▲ 45.7 ▲ 16.9 ▲ 11.2 ▲ 35.3 ▲ 153.7