第12期女流桜花決定戦 最終日観戦記 吾妻 さおり
2018年03月07日
「束の間の空位」
女流桜花はディフェンディング制のため、現桜花は1年間リーグ戦がない。連盟チャンネルで熱い闘牌を観ていると戦いの外に居るような寂しさすら感じる事がある。同時に、この中で最も充実した3名が自分に挑んでくると気合いも入る。
だが優勝カップを持って初日の会場に来た瞬間、現女流桜花としての日々は過去になる。今も現桜花といえど気持ちはカップを返却した瞬間からチャレンジャーだ。
果たして、物言わず佇むこの優勝カップ。今年は誰を待っているのか?
9回戦(起家から、仲田・魚谷・石田・内田)
東1局 親 仲田 ドラ
「守備型に必要なもの」
親の仲田が先制リーチ
引きテンパイ。チャンタ三色までは伸びなかったが、親なら良し。
先にでピンフテンパイの石田。
ツモ
親リーチにを切れずで回るが、押せれば仲田がを掴んでいた。このアガリ逃しに暗雲低迷の予感がしてしまう。
一方、真っ向勝負を挑んだのは内田。タンヤオドラドラのテンパイから3,900の放銃。
結果は振りだが、これは良いと感じた。親リーチしただけで全員オリてくれるほど楽な事はない。後手でも反撃するぞという姿勢を見せてくれた。
東1局2本場 親仲田 ドラ
仲田親番継続中。2枚目とはいえの後付けでからポン。
ポン ポン ポン ドラ
3フーロでドラ表示牌で2枚見えのカン。苦しい形は十分承知。引きはトイトイに受け変えられる。ポンのドラの裸単騎もあるか!?
ここでツモ切ったが内田の5,200に掴まる。先程の失点以上は戻って来た。
ポン ドラ
「苦難の道」
東3局 親石田 ドラ
石田がダブポンで愚形残りの1シャンテン。
ここで上家魚谷のリーチを受ける。
宣言牌のをチーすればテンパイ。打でドラの単騎が打点的には魅力か。
しかし石田はを鳴かず。数巡後に生牌のをツモ切り5,200を放銃。打牌選択はツモに委ねたいか、オリる気は無かったようだ。
アガリ逃し、テンパイ取らずで放銃と苦しい石田。次は仲田の二副露にピンズをぶつけて切り。いざポンされるとが打ち切れなくなり、でオリ打ち。揺れがはっきり見て取れる。
早めに立て直さないと優勝争いに絡めなくなってしまう。この回はラスでも、気持ちを整えて10回戦には平常心で戦う石田を観たい。
「魚谷、内田のトップ争い」
石田からの5,200を機に着実にアガリを重ねる魚谷。
南1局 親仲田 ドラ
リーチ ツモ
安めながらツモって42,100点に。
南3局2本場 親石田 ドラ
内田は南家。現在32,300持ち。オーラスの親が残っているが、このままでは魚谷はアガリトップ。トータル首位の仲田も32,600と浮きをキープしている。ラス目の石田も今回は終わらせに来るだろう。オーラス親は伸び伸びやらせてもらえそうにない。
ならばこの局はスピードも打点も必要。仕掛けてドラ単騎に受け1,300-2,600をツモアガリ。供託も入ってトップが見えてきた。
チー ツモ
南4局 親 内田 ドラ
魚谷が仕掛けて終わらせに来ている。この局内田は最速でリーチを打つ手順を踏みたかったのだろう。好形変化を見込めるを全て切り、直線的な手組でカンチャンのドラ待ちリーチ。
流局で1人テンパイ。
持ち点は41,100点、これで魚谷と同点だ。
南4局1本場 親 内田 ドラ
再びアガリ競争。
内田にとってオリる局ではない。手牌をパンパンに膨らませアガリ一直線、で魚谷に放銃となった。
ポン
9回戦のトップはオーラスに競り勝った魚谷。2着に内田。30,100で3着の仲田までが浮き。
10回戦(起家から、石田・魚谷・内田・仲田)
「皆で引き出した」
東1局1本場 親 石田 ドラ
ドラ
内田がメンタンピンドラで先制リーチ。仲田とは僅か11.2ポイント差。アガれば瞬間逆転の手だ。
追いついたのは魚谷。三色ドラ2。
上目の三色を決め打って2巡目にを切っている。絶好の待ちで場もマンズが安いが、は内田の現物。オリ打ちの可能性を下げないためにヤミテン。
しかし親の石田がポンで攻め返す。魚谷にとっては内田の河を凝視して通る牌を選んでほしい局なのに、無スジをゴリ押されて安牌が増えては不都合。ツモ切りリーチに踏み切った。
さて、困ったのは仲田だ。誰が本手なのか非常にわかりにくい。
内田は先制リーチ。一番素直に河を読んで良さそうだ。マンズは通りそう、ピンズは切りづらい。ソーズならドラ跨ぎの、宣言牌跨ぎのか。
石田はポンしてトイツ落とし。テンパイかは微妙。親権維持の安手もあるが、リーチに向かった以上ドラを固めた可能性も考慮しなければ。
魚谷はツモ切りリーチ。役あり?本手?狙い目の待ち?安手?最終手出しは関連牌か?河は変則的だが後出しの牌を見ると七対子ではなさそう。となると安手ではなく手役絡みが濃厚か。
仲田の切り番はあと2回。2人にスジで1人に現物のは自身が対子でシャンポン待ちはない。もしこれが通れば流局まで凌げる。しかないか。
仲田から皆で引き出したは魚谷に満貫。仲田はラス目に転落。ここから伝説の大接戦が始まる。
10回戦東1局1本場終了時(※10回戦の順位点込み)
仲田+7.1P 魚谷+5.1P 内田+3.2P 石田▲15.4P
(※注意)上記にはまだ未確定な順位点も計上されている。仲田は10回戦終了時に30,000点以上に復帰出来るかは、今決定戦の大きな見所だ。
「魚谷、首位に立つ!」
東2局 親魚谷 ドラ
石田が高め三色ドラのリーチ。
リーチ ツモ ドラ
安めだが1,000・2,000のツモアガリ。少ないインターバルできっちり気持ちを切り替えて来た!
東3局 親内田 ドラ
しかし石田の試練はまだ終わらない。早い魚谷のヤミテンタンヤオドラ3に飛び込む!
ドラ
10回戦東3局終了時(順位点込み)
魚谷+15.1P 仲田+6.1P 内田+3.2P 石田▲24.4P
魚谷が遂にトータル首位に立つ!全員ごぼう抜きの首位浮上は想像以上に難しい。しかし、細く狭い針の穴を貫くかの如く、ここ一番でやってみせた。このまま振り切っての優勝も十分ありえる。
「気迫のぶつかり合い」
東4局、親の仲田は1,000オールツモで食らいつく。微差ながら3着浮上。
東4局1本場 親 仲田 ドラ
今度は仲田が先制リーチ!
メンタンピンドラ。出アガリ11,600、ツモれば親満。超ド級の勝負手だ。
石田もテンパイを入れている。ドラの3,900、ツモれば1,300・2,600。ここは全面対決か。
さらに追いついたのは内田。ここは勝負所。無スジを叩き切って追っかけリーチ!
気迫のぶつかり合い。観ていて心躍る素晴らしい対局だ。
内田の決意に牌が応えた。仲田がを掴んでしまう。
内田、トータル2位に浮上。
東4局1本場終了時(順位点込み)
魚谷+14.1P 内田+8.1P 仲田+5.2P 石田▲27.4P
「歴史的大接戦」
史上類を見ない接戦。石田は少し引き離されてしまっている。何とか加点したい南場の親番。
南1局 親石田 ドラ
配牌1シャンテン。チャンタ・三元役が見える大物手だが、受け入れは狭い。役牌はポンせざるを得ないか。がトイツだと安くなる可能性があるので1枚外すか、三元役を見切って5.800アガリ率を上げる切りも面白いが、石田は素直に切り。1枚目のが出るが、2,900ポンテンは見送り。石田もこの手格好なら最低3ハンは欲しいと考えたようだ。を引き入れとのシャンポンでリーチを打った。
魚谷はツモり三暗刻のテンパイ。石田の明らかな変則手を警戒してか、ヤミテンにしていた。そして持ってきたのは自身で切っている。が石田の河にあるがどうみても平凡なリャンメン待ちではない。スジのは危険牌だが、止めれば今局はほぼオリ。勝負を選んで9,600を放銃した。
魚谷が石田に放銃し、仲田が首位に再浮上。上下の差はさらに詰まっていく。
南1局終了時(順位点込み)
仲田+5.2P 内田+5.1P 魚谷+0.5P 石田▲10.8P
南1局1本場も、親の石田が1,100オールをツモり連荘。
続く2本場が大きな分岐点となった。
「幻の6,200オール」
加速した石田をさすがに止めたい。そんな思いもあったのか。子の3者が動き出す。
まずは内田がペンをチー。
チー
一気通貫、ピンズのホンイツ、の後付けと役は何とか付きそうだが、内田にしては珍しい遠い仕掛けだ。
続いて、魚谷がポン。
ポン
1ハン確定。トイトイも見える。魚谷なら当然のポンか。
立て続けにともポン出来た。
そして仲田。
チー
ピンズのホンイツで一気通貫含みだが、字牌は4種バラバラ。仲田ならこのくらい遠くても鳴くか。
内田と仲田は動いたものの、各者の仕掛けを警戒してオリ気味、4センチの魚谷はまだ1シャンテン。
3者が牽制し合えば、必ず親石田の反撃リーチが来る!
ツモ
…はずだったが、何と石田はを打たず切り。次巡は最もツモりたくない。そして。
ツモ ドラ
この6,200オールをアガリ逃してしまう。
結果、魚谷の1人テンパイで流局。
次局、石田はピンフツモドラをアガリトップ目をキープするが、悪い予感がする。石田にとって悪い事と言えば、
①トップを他家に取られる事
②仲田が浮きに回る事である。
南2局3本場終了時(順位点込み)
仲田+2.1P 内田+2.0P 石田▲0.9P 魚谷▲3.2P
「10回戦の行方」
南4局 親 仲田 ドラ
オーラス、内田は24,800持ち。5,200をアガれば浮きにまわり、仲田が1人沈み。その条件を満たした手組でリーチを打つ。
リーチ
仲田はノーテンでもラス。さらに魚谷もアガリに来ている。
絶体絶命の状況でも丁寧に回る。安全にテンパイ取りは無理だと判断すると終局間際にチーして形式テンパイ、1牌だけ無スジを押して親権を維持した。
のみ600オールをアガって繋いだ2本場。
ロン ドラ
イーペーコードラ2で浮きに。
南4局2本場終了時(順位点込み)
仲田+25.2P 魚谷+4.1P 石田▲11.5P 内田▲17.8P
首位と最下位のポイントが5.3Pまで縮まった10回戦も仲田が30,000を超えただけでこんなに開いた。
3本場は魚谷がテンパイを維持しながらピンフドラの3メンチャンに手変わり。ツモれば仲田を沈める手になったのでリーチ選択もあったが、着実にヤミテンでアガった。2着に石田。浮きの3着に仲田となった。
11回戦(起家から、内田・魚谷・仲田・石田)
東1局 親 内田 ドラ
「私に行かせてください」
残り2回。ここでトップを取って最終戦に繋げたい。皆そう思っていたはずだ。親の内田はホンイツで仕掛けて加点・連荘を狙う。6巡目に石田からリーチが飛んで来たが、怯む事など出来ない。3フーロして何とか追いつくが、石田は軽々とをツモりあげる。リーチツモ三暗刻ドラドラの3,000・6,000。
東2局 親 魚谷 ドラ
東2局も石田が先制リーチ。親は絶対手放したくない魚谷もポンで追いつくが、ここもツモるのは石田。リーチタンヤオツモドラ。2,000・4,000。
暗カン リーチ ツモ
「仲田さんを追う役目は私に行かせてください!」と言わんばかりの力強い攻め。たった2局で持ち点は50,000点になり、石田が首位に立った。
11回戦 東2局終了時(順位点込み)
石田+20.5P 仲田+19.2P 魚谷▲5.9P 内田▲33.8P
「攻撃と守備のバランス」
親番を迎えた仲田、まずはリーチのみの2,000をアガリ弾みをつける。
東3局 1本場 親 仲田 ドラ
ペンをチーした石田の手は2,000の待ち。仲田にもメンゼンで大きな手を被せる姿が見たかったが、鳴くのがマジョリティとも思う。石田も打点よりこの親を蹴る事を優先した。
しかし仲田のリーチが来る。無スジのを勝負し、高め123三色を放銃してしまう。
攻撃型なら真っ直ぐに切り、守備型ならの暗刻落としの局面。終始守備寄りに見受けられた石田が、親の仲田に2,000点で勝負を挑んだのは意外だった。
石田は南3局3本場にも満貫をアガリ再び仲田に迫ったが、後一歩届かなかった。
11回戦は仲田がトップ、2着に石田。内田と魚谷はかなり厳しい条件戦となってしまった。
12回戦(起家から、石田・魚谷・内田・仲田)
いよいよ最終戦。
仲田との差は
石田▲44.2P
魚谷▲70.5P
内田▲81.3P
10回戦途中ではあんなに僅差だったのに、今は仲田が遠い。優勝するにはとにかく仲田を沈めなければならない。公式ルールの順位点は最大で20P。仲田が30,000を超えたら2番手の石田でも役満以上の点棒差が必要になる。
「高打点の打ち合い」
東1局 1本場 親 石田 ドラ
1,500をアガって連荘した石田は、待ち七対子テンパイ。魚谷は123三色確定リーチ。西家内田は自風でドラのをポンして。3者激突の結果は内田のアガリ。石田は痛い放銃で1回目の親を落とす。
東2局 1本場 親 魚谷 ドラ
内田から5,800をアガった魚谷。今局もピンフドラので先制リーチ。優勝するには直撃かツモアガリが欲しいところだが…。
ロン
魚谷が持って来たは石田のメンホン七対子のアタリ牌。石田同様痛い親落ちとなってしまう。
東3局 親 内田 ドラ
ツモれば2,600オールのカンで内田が先制。石田は高め234ので追いつくもは内田の現物かつ残り1牌しかない。リーチ宣言は出来ずツモで1,000・2,000。素点をとにかく伸ばす方針なのか、直撃を狙う作戦なのか。石田の中で戦略がまとまってないのかも知れない。
仲田は29,000持ち。3者が手役を作って攻めてもなかなかダメージを与えられない。
「まさかの直撃でチャンス」
東4局 親 仲田 ドラ
親の仲田が好配牌だったが、6巡目に先にテンパイを果たしていたのは魚谷。
ドラが雀頭で一手変わり234のピンフ形。ヤミテンにしてとが振り変われば跳満、その後をツモアガリなら倍満まである。仮に先にツモなら切りフリテンリーチもある。ただ、仲田の親で手を捏ねるのは隙にもなり得る。自分の親番も1回残っている。タンヤオは不確定。先に欲しいはよりによってドラ表示牌。より待ち牌のの方が多い。悩んだ結果、魚谷はピンフドラドラでリーチ宣言。ツモれば4,000を仲田に被せられる。もし脇から出てもアガって南場勝負だ。
仲田はオリ。そう思った観戦者は少なくないと思う。しかし、跳満まで見える好形1シャンテンの仲田は無スジを勝負。次に裏スジのまで押して魚谷に7,700を放銃した。
「行くか?オリるか?」
最終戦の仲田はここまで失点こそないが戦いの外だった。親番を迎え、やっとドラ含みタンピン形の綺麗な配牌をもらう。そこに魚谷からの小考リーチ。ポイントを考えれば安手愚形はないだろう。本手リャンメン以上ならあんなに悩まない。そうなると、本手愚形か。ヤミテン手変わりを考えたか。
手には2つ現物がある。しかし、愚形までケアするならスジも打ちたくない。最短3巡後には手詰まる。
ならばまっすぐ、は理に適っているとも言える。
さらに仲田には、この手でオリたらダメだという意図もあったらしい。オリたら手が落ちると思うか思わないは人それぞれだ。ただ、打つべき牌を打てない人間には次も打てない。逃げ回る麻雀は手を崩しアガリから遠ざかる。だいたいその先にあるのは他家のアガリだ。
仲田は逃げを嫌い戦う事を選んだが、結果は最悪。かくして3者のチャンスは広がり、仲田にはピンチが訪れた。この選択が正しいかどうかは、12回戦の結果が出ればわかる。
南1局。石田最後の親番。形式テンパイで連荘し、1本場には1,100オールをツモ。仲田にあと4.3ポイントと肉迫する。
南2局 2本場 親 石田 ドラ
仲田の放銃で着順の並びが出来て一番恩恵を受けたのは石田。一気に畳み掛けて、仲田が苦しむ条件を押し付けたい所だ。
8巡目。厳しい配牌だったがツモが効いて1シャンテン。
ツモ
最も広いのは切りだがドラである。石田は切りとした。一気通貫を見ながらテンパイすればドラを放つか。
13巡目にをツモってテンパイ。石田の手が止まる。目立つドラ切りテンパイだからリーチか?役あり愚形だから丁寧にヤミテンか?
何と石田は切りのメンツ抜き。ドラを打たず、そして1シャンテンで粘りもしなかった。本人のツイッターに、
「(前略)親が落ちたとしてもこの点差なら大丈夫って思いがあった。ここでもしも役満に打ったら…(後略)」
とあった。おそらくこの局の事だろう。
公式ルールで高打点のアガリにはかなりの確率で字牌が絡む。役満を意識すればなおさらだ。魚谷、内田は共に変則的な河で国士無双、小四喜は石田から見て否定出来ない。常に丁寧な石田だからこそ打てなかった。何度も素晴らしいアガリと我慢強さを見せてくれた。いくつかの勝負所の押し引きがどれか1つ違えば、優勝は十分あったように思う。
結果は仲田の1人テンパイで流局。石田はおよそ満貫ツモアガリの条件を残して親を手放し、残り3局に託した。
1シャンテンで放銃した仲田。テンパイでオリた石田。あまりに対照的な麻雀が凄く印象に残った。
南2局。魚谷最後の親番だ。
前局より強く役満を意識させられる内田の仕掛け。安手はあり得ない。客風のからのポンも本物の気配がする。仮に小四喜まではなくてもドラの北を持っている可能性は極めて高い。しかし、魚谷は打った。やはりポンされる。死ぬほど怖いに違いない。だが、優勝するには行くしかない。
1,500をアガって次局。魚谷はをポンして全力。石田は高め満貫のリーチを打つ。
石田、仲田の2人テンパイで流局。仲田は3着目に浮上する。魚谷は親流れ、内田の連荘に期待しつつ役満手を狙う。
「の行方」
南3局。内田最後の親番。渾身の力を振り絞って美しいテンパイを組み、迷わずリーチを打つ。リーチタンヤオピンフ高め三色。ツモなら親の跳満だ。
リーチ ドラ
魚谷は連荘歓迎だが、自ら振っては条件がより厳しくなるのでこの局はオリだろう。来るなら条件を満たした石田だ。そして仲田の手牌はドラ暗刻でこの形。
ツモ ドラ
1シャンテンキープならかだが、とりあえずをトイツ落とし。
ドラ
相手は親だから妥当な判断だが、もしまっすぐならこの満貫をアガれていた。それでも再びテンパイ。無スジのを勝負して役なしカン。は山にはなくなったので内田と完全に同テン。ツモ山には2枚生きている。
仲田の手にが踊る!34,700点まで復帰。残るは1局、自身の親番を残すのみ。2番手の石田でも三倍満もしくは役満のツモか直撃が優勝条件。
オーラスは全員ノーテンで流局。
優勝は仲田加南。
2連覇、3度目の女流桜花に輝いた。
「平たい場を作り、出来たら自身がアガる」
観ていて感じた勝因は2つ。
①なるべく平たい場を作るための判断と実行力。
4人が素直に打つ場況を仲田は懸命に作り続けた。皆に優勝の条件があったからこそ途中での脇移動が多かった。昨年の桜花決勝に似た勝ち方だった。
②常に舞台の真ん中で戦い抜いた事。
時にはそのために自らが振りに回ることすらあった。昨年11回戦オーラスで振った満貫は結果論な側面もあったが、今年はより作為的に感じた。
誰もがなるべく平たい場を心掛けるが、それは他家が先行した時の話であって、第1希望は自身がぶっちぎる事だろう。仲田の麻雀はその優先順位が逆で、平たい場を作り、出来れば自身がアガる。だったように見えた。
首位を走りながら、時には交わされながら。常に冷静に戦う姿はとても格好良く、そして強かった。場況判断の正確さとメンタルの強靭さを見せ付けた。
仲田に話を聞くと「相手を見て麻雀打っているので、毎回打ち方は変わります。最終的には自分と戦う麻雀が強いと思いますが、私はまだそこまで行けてないです。」とのコメント。これが完成形ではなく、「自分の麻雀はこうです」とは言いたくないという。今後どう進化し、どんな麻雀を魅せてくれるのか注目だ。
カテゴリ:女流プロリーグ(女流桜花) 決勝観戦記