麻雀マスターズ 決勝観戦記

麻雀マスターズ 決勝観戦記/第22期マスターズ 決勝観戦記 滝沢 和典

第22期マスターズ、決勝進出者は以下4名。

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四柳弘樹プロ
A2 38才 富山県出身 血液型A型

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勝又健志プロ
A2 32才 東京都出身 血液型B型

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西岡慎泰プロ
B2 34才 岐阜県出身 血液型O型

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小車祥プロ
D3 33才 福岡県出身 血液型B型

 
1回戦(起家から 四柳・勝又・小車・西岡)
東1局1本場

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東1局は四柳、勝又の2人テンパイで流局。
続く1本場で、西岡が小車から6,400の出アガリ。
西岡の序盤の捨て牌を見ればわかるように、ほぼ手なりで七対子のテンパイが入った。
二索三索の単騎選択はあったが、仮に三索待ちにしていたら、勝又が同巡に打った三索はどうなっていただろうか。
きっと三索を放銃してしまう打ち手も多いと思うが、勝又の観察力なら三索を止める可能性があると、私は思う。
西岡の捨て牌を七対子と断定できるわけではないが、東の打ち出しが早いこと、四筒三筒四索二索という切り順の違和感。そして何より、自分の手牌が急所だらけでアガリに遠いこと。総合的に判断して打牌を選択すれば、三索が止まっても不思議はないのである。
勝又は9巡目の打五筒から、3巡連続で安全牌を打っているが、それが偶然であったのかどうかは牌譜だけで判断することはできない。
ともかく、西岡の待ち選択が、小車の出ばなをくじいたことは事実だ。
東3局

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西岡が14巡目の七索をチーテンにかけると、小車からドラ八万を喰い取り500、1,000のツモアガリ。
西岡好調、小車不調、といった印象を受ける。
東4局

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西岡が懇意にしている人物に、A1リーグ在籍の朝武雅晴がいる。朝武は高打点を追う雀風で、恐らく西岡も影響を受けているはずだが、その朝武を彷彿とさせる、第一打の六索

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西岡が八筒を引き入れ、ヤミテンに構えると、同巡勝又がリーチ。
仮に、西岡が他家を押さえつける意味でリーチをかけていれば、勝又がヤミテンに構えることが予想されるだけに、この局の結末は興味深い。
西岡が1発目に五筒を掴み、一索二索を落として迂回すると、12巡目に四筒を引きリーチ。

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すると、今度は勝又が西岡の高目のアガリ牌六筒を掴み、12,000の放銃。
勝又、西岡、両者のリーチ判断が明暗を分ける1局となった。
ちなみに西岡が、シンプルに第一打九索としても、恐らく同じ手格好になっている。
小車の3巡目のドラ白打ちなども踏まえ、両者の立場で自分ならどういった判断をするか、考えて見るのも面白い。
次局、東4局1本場 9巡目
西岡はこの手を即リーチ。
二万二万二万三万四万五万六万八万二索三索四索八筒八筒  リーチ  ドラ一筒
16巡目にツモアガリ、2,000は2,100オール。

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2本場、仕掛けた小車が勝又のリーチに8,000放銃となり、西岡の親が落ちた。
南1局
これまで息を潜めていた四柳が親番で、3巡目にリーチで一発ツモ。4,000オールのアガリ。
五万六万七万六索七索二筒三筒四筒四筒四筒七筒八筒九筒  ツモ八索  ドラ七筒
近年の日本プロ麻雀連盟では、瀬戸熊直樹、前原雄大がビッグタイトルを取りまくっているが、口を揃えて「親番でどれだけ点数を叩き出せるかが重要、そのために良い形で親番を迎えるべきである」と言う。
絶対的な根拠があるわけではないが、きっと2名なら、この四柳の親番はチャンスだと言うだろう。逆に四柳以外の3名の立場であれば、この親を警戒すべきだ、と言うはず。
南1局1本場
親番の四柳は2巡目
三万七万七万二索三索六索六索八索三筒六筒七筒北北  ツモ四万  ドラ二万
メンツ候補は足りているが、四柳は234の三色まで見据えて、打北とした。
七索四筒と引き入れ、この形。
三万四万七万七万二索三索六索七索八索二筒三筒四筒六筒七筒
あくまで高打点を追求する打六筒を選択。
四索を引き、10巡目にリーチをかける。

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流局間際、形式テンパイを入れた勝又が高目二万を食い取り流局となった。
南1局2本場

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7巡目、南家・勝又はここで打一筒としてテンパイ取らず。
次巡、ツモ二索でドラ二筒打ちでこの形。
二万二万三万四万六万六万二索四索五索六索六索七索八索
ペン三筒のテンパイを外す、外さない。この手順には賛否両論あるだろうが、私はどんな打ち方をしても構わないと思う。
この後、ドラが捨て牌に並んでしまうことになるのだが、一瞬の結果はどちらでも良くて、勝又自身がこの局面をどう捉えているか、腰を据えて打つことができているかということが大きな問題であろう。
このドラ打ちが場面に作用する。
11巡目、小車が打った八筒を西岡がチー。

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勝又が打ったドラ二筒は、手牌のスピードを知らせる牌である。
それを受けて、場に1枚切れの發単騎に受けた西岡だが、これも同じように、捨て牌とリャンメンチーは、他者に対して打点とスピードを知らせることになってしまう。手牌の情報を出せば、アガリ確率もグッと低くなる。
二筒三筒四筒四筒五筒六筒六筒六筒七筒北北北發
北三筒とツモり、この手格好になったばかり。局のスピードを知り、それに対応して打つことが間違いとは思わないが、先ほど、東4局の親番で、第一打六索を選択した打ち手が仕掛けて良いのは、急所である三筒、または六筒だけではないだろうか。
トップ目を走っているのにどうもバタついた感じを受けてしまう。いや、トップ目を走っているからこそ、プレッシャーを感じるものか…
その同巡、勝又がテンパイで即リーチ。
二万二万三万四万六万六万六万四索五索六索六索七索八索
この仕掛けとリーチに対して、一歩も引かない姿勢の四柳が追いつく。

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勝又の三万が山越しとなったが躊躇なく追いかけリーチをかける。

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四柳の捨て牌には三筒五筒と並んでおり、西岡の目からは3,000・6,000のアガリ逃しが確認できる。
その直後、2,000オールのツモアガリ。
西岡は精神の均衡を保つことができるか?
南1局3本場

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6巡目の打二筒でテンパイ、次巡の打三索八筒に待ちかえ、九索を空切りしてのリーチである。
八筒には自信があった」と打ち上げの席で話していた勝又だが、2枚の九筒と、西岡の六筒の後押し、それだけの理由では、現在の四柳の親に対して勝負するには無謀に映る。
もちろん、先手を取って相手の手順ミスを誘う、ということが隠された理由のひとつであろう。しかし、前局の四柳の腹をくくった攻めを見れば、少々リスクが高いように感じる。

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またしても捨て牌にドラが2枚並んでしまった。四柳の捨て牌のトーンにも肝を冷やしたことであろうが、直後に八筒の引きアガリとなった。
決勝メンバー4名の中で、唯一タイトル戦優勝の実績を持ち、舞台慣れもしている。場面を読む能力が最も高いのも勝又で間違いないであろう。
しかし、麻雀を勝負事として捉えたとき、四柳に優位に立たれている感はある。
1回戦終了時
四柳+36.9P 西岡+15.5P 勝又▲10.9P 小車▲43.5P
 
2回戦 (起家から 西岡・小車・四柳・勝又)

東1局は小車が2,000・4,000をツモアガリ。
一万一万一万四万五万五万六万六万八万八万  ポン東東東  ツモ七万  ドラ四万
東2局も小車。2,600オール
四万五万七万八万九万二索二索七索八索九索四筒五筒  ツモ三筒  ドラ五筒  裏ドラ一万
決勝戦終了後「最初のラスで開き直ることができたかもしれない」
と語っていた小車。確かに2回戦目以降、顔つきが晴れ晴れとしており、力んでいる様子もなくなっている。
南3局1本場
小車がドラ八索をツモ切ると、西家の西岡がポン。

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西岡が13巡目にツモアガリとなる。
三万三万三索三索三索四索五索六索五筒六筒  ポン八索 上向き八索 上向き八索 左向き  ツモ七筒  ドラ八索

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八索を打つのは問題ない、しかしこの五筒で簡単に撤退してしまうのであれば、やはり問題がある。
トップを守り切りたいという考えがあるのなら、八索を打ち出さなければ良い。得点を伸ばそうとするならば、この瞬間に五筒は打ち出さなければならない。
ここで小車が打五筒とすると、おそらく西岡がポン。すると、西岡のアガリはなかった。
結果論ではあるが、こういった打ち手の姿勢がポイントとなって、勝負の流れが出来上がるものではないか。
南4局

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ラス目の勝又が親番をキープするため仕掛けると、西岡に2,000・4,000のアガリが生まれる。
2回戦成績
西岡+32.2P 小車+15.2P 四柳▲16.6P 勝又▲30.8P
2回戦終了時
西岡+47.7P 四柳+20.3P 小車▲28.3P 勝又▲41.7P
 
3回戦 (起家から 勝又・西岡・小車・四柳)
東1局

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まず、先手をとったのはトータルトップ目に立っている西岡。場に1枚切れの九筒単騎。
西岡の捨て牌8巡目にある五索を、西家小車が合わせ打つと、四柳がチー。
四柳手牌
三万四万五万六万七万七万八万八万六筒六筒  チー五索 左向き四索 上向き六索 上向き
11巡目、勝又がツモ四万南をカンすると、リンシャン牌が北。上のテンパイ形で即リーチ。
いきなり大荒れの東1局となった。
1回戦目と比較すると、場面の空気がまったく違う。皆、獣のように勝ちに向かって戦っている。
2者に攻め返された西岡は、そのとき冷静になってもリーチをかけているため、時すでに遅し。果たしてトータルトップ目のかけるリーチだったか?自問自答。
一方、リーチに対して仕掛けた四柳はどこまで攻めていいのやら、無我夢中の状態。
勝又はこれまでに背負っているマイナスを挽回するため、8,000オールを目指してリーチをかけたが、直後に五万六万とツモり、アガリ形を河に並べてしまう。
東2局は、南家・小車が2巡目にこの形から動いて打六筒
一万三万七万四索六筒南北北白發發  ポン西西西  ドラ一万
ドラが一万なので、てっきりマンズのホンイツが本線かと思いきや、次巡ツモ三索で打七万として、なぜかソーズのホンイツをアガる。
三索四索五索南南發發  ポン北北北  ポン西西西  ロン發
放銃した勝又の手牌がこれ。
六万七万八万三筒三筒五筒六筒七筒二索三索三索六索七索
この結果は、勝又が不運なのか、それとも自らが招いたものなのか、小車が作り出したものなのか。とにかく混沌とした2局だ。
それぞれが取った手段はさておき、これが人間同士の戦いであると思うし、また人間が未熟な部分が表れているとも思う。美しいとも思うし、醜いとも思う。
最終戦が近付くにつれ、人間の芯の強さが試される場面が増えてくるのである。
東3局1本場

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小車の8,000オールが炸裂。
南1局

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6巡目にホンイツのテンパイを入れた小車だが、勝又のリーチに対してツモ六索で長考して打發
後に勝又から打たれた東をポン。

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このアガリとなった。
次に危険牌を引いたら、白を打ってオリるつもりであろうか?
これに似たような局が東3局。

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8,000オールを引いた小車の親番を捌きにかけた西岡だが、四柳のリーチに対して七索を中抜き。
この一連の流れを見た、立会人の瀬戸熊はさすがに失笑を浮かべる。(当然対局者には見えない位置で)
小車はこの半荘の点数。西岡はトータルの点数。本来はリードを強みにしなければならないのに、それが逆に弱みになってしまっている。
すでに死に体に近い勝又にチャンスを与えず、この半荘は完全勝利で終えるべきだ。
3回戦成績
小車+46.8P 四柳+6.4P 西岡▲17.8P 勝又▲35.4P
3回戦終了時
西岡+29.9P 小車+28.5P 四柳+26.7P 勝又▲77.1P
 
4回戦 (起家から 小車・西岡・四柳・勝又)

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東1局は勝又のメンピンツモからスタート
三万四万一索二索三索五索五索六索七索八索七筒八筒九筒  ツモ五万  ドラ中
東2局
6巡目、勝又が場に2枚目の北を仕掛ける。
二万一筒四筒五筒六筒八筒九筒白白發發  ポン北北北
このとき發はすでに2枚切れている。苦しい仕掛けなのは承知だが、残された時間は少ないため、多少の無理は仕方なしか。
すると、親番の西岡が6,000オールツモアガリ。

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勝又の仕掛けが無ければ、西岡は先に六筒を引き入れ、二万五万八万のテンパイが入っていた。
南2局

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八万は2巡目にツモ切られているが、西岡は手出し牌が少ないため、配牌がある程度整っていたことが予想される。
残り巡目も少なく、自分にアガリがないと見るや、すっと引く。場面の情報を的確に集め、見切りが早いのが勝又の強さのひとつだ。
だから、勝又にしてはかなり珍しい放銃と言える。
まあ、もちろん勝又はすべて認識した上で打っていることだろう。現在の点数状況が無理な打牌を繰り返させているのだ。
しかし、その無理な打牌が西岡に利するパターンが多い。四柳、小車からすれば、西岡が他力で遠くへ行ってしまう感覚であったことだろう。なんて理不尽なんだと思うかもしれないが、それによって打牌を左右されることは、本質からずれることと同じ。きっと優勝も遠ざかってしまう。
4回戦成績
西岡+33.8P 小車+8.1P 勝又▲12.9P 四柳▲29.0P
4回戦終了時
西岡+63.7P 小車+26.6P 四柳▲2.3P 勝又▲90.0P
 
5回戦 (起家から 小車・四柳・勝又・西岡)
東1局

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四柳は4巡目に純チャンの1シャンテンとなった。親番の小車が4巡目に打った九筒、5巡目の七筒、9巡目の九索、すべてに見向きもせず、ドラ發をツモった場面だ。
このドラもほぼノータイムでツモ切り。
4回戦目のバタバタ感は消え失せ、どっしりと構えて打牌に迷いもない。一本筋が通った印象を受ける。
北家の西岡がドラ發をポンすると、四柳の次のツモが九万で打九筒、さらに九万を暗刻にすると、これも即決でリーチ。

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当然ドラをポンした西岡も直線的に打つ。
四柳に軍配が上がり、12,000
その後も四柳が加点
東4局 リーチ→一人テンパイ
二万二万三万四万五万一索二索三索二筒三筒四筒八筒九筒  ドラ八筒
南1局 勝又→四柳 1,300
四万四万四索五索六索一筒二筒三筒六筒六筒白白白  ロン四万  ドラ發
南2局 1,000オール
一索二索三索四索五索六索七索八索五筒六筒七筒南南  ツモ六索  ドラ發
四柳の親を落としたのは西岡。
七索八索九索二筒二筒北北  ポン南南南  ポン白白白  ツモ二筒  ドラ二筒
南3局
南家・西岡は6巡目に南を暗カン。
三万三万四索五索六索四筒四筒五筒北北   暗カン牌の背南南牌の背   ドラ東 カンドラ發
親の勝又がリーチで先手を取る。
四索五索六索七索八索九索六筒六筒七筒七筒八筒西西  リーチ
14巡目にようやく追いついた西岡は追いかけリーチ。

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西岡が一発目に持ってきた四筒を恐る恐る河に置く。
そして次巡、持ってきた待望のアガリ牌三筒
が、河にそっと置かれた。
流局後、対局者に対して「すみません」と一言。
さすがに顔は青ざめて、額からは汗が流れていた。
対局終了後に聞いたところ、「勝又のリーチに対して四筒が当たると思いこんでしまっていた、それが通ったあと頭が真っ白になった」
とのこと。
人間なので、間違いはある。点数や待ちがわからないより100倍マシだよ、と声をかけたが、頭はふらふらになってしまったことだろう。
優勝というゴールが近付くにつれて、激しいプレッシャーに襲われる。
え!?そんなにメンタル弱いの?と言う方も多いかと思うが、その舞台に立って、同じ状況にならなければ、わかならいものだ。タイトルに重みを感じているほどその圧力は大きくなる。
ただ、プロとしては批判されても仕方ない。むしろ、批判されるべきである。
最高のパフォーマンスができる状態で対局に臨み、観戦者に、視聴者に至高の対局を届けることが、麻雀プロを名乗るものの義務だからである。
本来、対局者に声をかけることは禁止されているが、私が西岡に声をかけたのも次の最終戦の譜を汚してほしくないから、というのが理由で、西岡に対する慰め、というより、麻雀界のためという意味合いで声をかけたつもりだ。
現在、プロと名乗るものが対局を発信する場面が増えてきている。正直、いい加減な対局も多く目にするが、もし関係者の方がこれを読んでいたらもう一度考えてみてほしい。
南4局2本場

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オーラスは、四柳の3,000・6,000で終局となった。
これは小車にとっても嬉しいアガリ。
トータル首位を走る西岡をラスにしたまま、最終戦を迎えることができた。
5回戦成績
四柳+39.9P 小車+2.8P 勝又▲14.9P 西岡▲27.8P
5回戦終了時
四柳+37.6P 西岡+35.9P 小車+30.4P 勝又▲104.9P
 
6回戦
※規定により、トータルトップが北家、2着が東家、3着が南家、4着が西家でスタート
(起家から 西岡・小車・勝又・四柳)

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3者は10ポイント差以内にいるため、着順勝負で優勝者が決まる。オーラスまで、特殊な局面は少なく、坦々と進んでいった。
東1局 ドラ三万
北家・四柳が、中のポンテンでカン五筒テンパイ。後に雀頭の八索をポンして六筒九筒に待ちかえ。勝又から8,000出アガリ。
勝又→四柳 8,000
三万三万三万六筒七筒八筒九筒  ポン八索 左向き八索 上向き八索 上向き  ポン中中中  ロン九筒  ドラ三万
東2局 ドラ八筒
4巡目、勝又リーチ
三万四万五万七万八万五索六索七索四筒四筒南南南
親番の小車が追いかけ、5巡目リーチ一発ツモ。4,000オール。
四万五万六万一索一索九索九索九索一筒二筒三筒八筒九筒  ツモ七筒  ドラ八筒
東2局1本場 3巡目、西岡リーチ
四万五万六万四索五索六索七索七索一筒二筒三筒白白  ドラ四万
11巡目、勝又リーチに西岡が一発で放銃 2,600は2,900。
七万八万九万三索三索三索五索六索七索五筒六筒發發
東3局 流局
勝又、四柳テンパイ
東3局1本場 流局
全員ノーテン
東4局2本場 ドラ三索
勝又6巡目リーチに四柳テンパイ打牌で放銃。2,600は3,200
勝又
二万二万二万四万五万五万六万六万六索七索八索八筒八筒  ロン七万
四柳
三索四索五索五索六索七索九索九索九索二筒三筒四筒白
南1局 ドラ東
勝又→西岡1,500
二索三索四索北北發發  チー七万 左向き五万 上向き六万 上向き  チー六筒 左向き四筒 上向き五筒 上向き  ロン發
南1局1本場
西岡→小車 8,000は8,300

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南2局 流局
西岡、勝又テンパイ
南3局 1本場
西岡→四柳6,400は6,700

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南4局
いよいよオーラスになった。
小車と四柳の差は8,800。西岡は小車から役満の直撃が条件となっている。

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息詰まるような雰囲気で、打牌が続き、流局となった。
四柳の1人テンパイ。これで西岡の役満条件も消えて、実質小車と四柳の一騎打ちとなった。
南4局1本場

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9巡目、勝又の三索を四柳がチーして打六索、次巡の一万をツモ切ったのだが、小車の捨て牌に注目すると、この選択はどうか?
しかし、絶対にテンパイを取らなければならない場面で七索引きに備えるのも正しい。実際小車の手牌には六索九索の受けが残っており、究極の選択だ。
次巡、四柳は七索を引き入れ、手広い1シャンテンとなった。
六万七万二索三索七索八索九索中中中  チー三索 左向き一索 上向き二索 上向き
その瞬間、小車は四万をツモり、ピンフのテンパイが入る。
三万四万四万五万五万六万八万八万七索八索一筒二筒三筒
残りツモ2回で四柳が六索を掴み、放銃。

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第22期麻雀マスターズは、九州の小車祥の優勝で幕を閉じた。

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打ち上げの席で小車の挨拶。
「マスターズ………簡単でした!」
めでたい酒の席だし、まあいいかなと思ったが、決勝戦で審判を務めた紺野真太郎が一喝。
小車本人に向けてというより、それを言わせた小車の周囲の人間に対して発したものであろう。
遊びじゃねえんだぞ、と。
今回の観戦記で、一体小車のどこに強さがあるのだろう。全然小車について書いていないじゃないか、と思われる方も多いだろう。
4名とも、厳しい予選を勝ち上がってきたのだから、強いのは当たり前。
本来、勝者は称えるべきなのであろうが、今回は麻雀を見て素直に思ったことを書こうと思った。キレイごとを並べて、強引に勝者を称えるより、正しい麻雀の見方を書こうと。第22期マスターズ優勝者小車祥に、今後の期待もこめて。
もっと厳しい麻雀を打って、鳳凰戦のような対局を作り上げよう。
勝因より敗因が目立つ対局が多いが、これが逆転したとき、麻雀界は良くなると思う。