第29期特別昇級リーグ決勝レポート
2021年02月01日
【第29期、特別昇級リーグ、優勝は・・・】
特別昇級リーグも今期で29期目となった。
本日(※1/23(土))鳳凰位決定戦を戦っている佐々木寿人は、第3期(2007年後期)に優勝しB2へ昇級している。
A1リーグの吉田直や西川淳も優勝しており、実力のあるものが早く上位リーグに上がれるシステムとなっている。
今期は18名の参加。4節以降途中敗退があり、決勝(8節)のメンバーは、写真の左から、戸田、石森、東谷、古谷、立田となった。
第7節終了時の成績は以下となっている。
1位はB2リーグ、2位はC1リーグ、3位はC2リーグへの特別昇級権利が与えられる。
※ ただし、プロリーグ(鳳凰戦)でプラスの成績であること。(マイナスの場合は昇級できない)
東谷はC1リーグ所属のため、優勝しか価値がなく、他の4人は一つでも上を目指したいところ。
特にDリーグの戸田や立田は、C2リーグでも特別昇級をしたいだろう。
それでは、各対局者に視点をあて、振り返っていきたい。
第5位、立田 祥平(D2)
前期にD3リーグを優勝して出場権利を得る。しかも最終節に+86.4Pと大勝し、大逆転優勝。
※D3リーグは優勝と準優勝の2人しか権利が貰えない
この特別昇級リーグを振り返ると、“もっている男”であった。
6節には、人生初の天和。
7節も先に終わって結果待ちの中、5位の鈴木(宏明)が最終戦に沈んだため、滑り込みで決勝進出。
そもそも、例年は首位が200ポイント、決勝進出にも100ポイント以上必要なことが多いのだが、近年稀にみる接戦になったのも幸運だった。
優勝まではやや遠いが、勢いがつけば大逆転もあるかと見ていた。
1回戦東4局の親番、3巡目に戸田からリーチを受ける。
ドラ
「を仕掛けて、を勝負しますか?」
いや、さすがに勝負できないし、しない人がほとんどだろう。
戸田の手も見ている僕としては、もしかしたら立田なら仕掛けて…と少しだけ期待していたのだが。
ツモと開かれる戸田の手。4,000・8,000。
ツモ
今日は、ここを仕掛けてアガリきるという細い糸しかなかったように思う。
最終戦を失意の表情で観戦していたのが、とても印象的であった。
第4位、石森 隆雄(C3)
戸田が倍満をアガった次局の南1局、石森の4,000・8,000。
リーチ ツモ ドラ
高めがジュンチャンとはいえ切りのフリテンリーチだ。石森も優勝を狙ってきている。
彼の麻雀は初めて見たのだが、守備意識が高い。
これは第5節の話だが、ステキな一打だった。
最終戦、やや上位とは離れてしまったが、それでも最後まで最善を尽くしていた。
親の古谷がドラのまで切って、マンズのホンイツ模様。
自身はがトイツでこれをオリるわけにはいかない。
打 ドラ
をツモって、切りリーチ。
待ちはだいぶの方がよいのだが、はかなり放銃すると思ったのだろう。
しかし、待ちが広い古谷に軍配。9,600。
ロン 加カン ポン
第3位、東谷 達矢(C1)
3回戦終了時
東谷+126.6、戸田+105.0、古谷+92.7、石森+87.2、立田+2.9
そして4回戦、1,000、2,600、1,600、12,000と4局連続でアガリ、優勝が決まったかと思えた。
暗カン ロン
気を緩めることはないとは思うが、ここから2人に逆転されるのだから麻雀は難しい。
戻って3回戦、
ドラ
親の2巡目にここからを仕掛ける。
この局だけであれば仕掛けない方が得かもしれないが、他の局への布石も兼ねている。
多彩な仕掛けに若手、特に守備寄りの石森は苦しめられたと思う。
ロン ポン チー ドラ
テンパイの入った立田から5,800。
C1リーグは、昇級枠が少なく昇級しづらい。
チャンスだっただけに、とても悔しいだろう。
反省があるとしたら7節以前かもしれない。ダントツで最終節を迎える展開もあったように思われる。
第2位、戸田 誠輝(D1)
3節が終わった時点で、▲73.2pの17位だった。
特に3節はよくなかったのか、見合わない押し引き、中途半端なヤミテンがあったりと、これでは勝ち切ることはできないな、と思った記憶がある。
しかし、後がない4節、泥臭く攻めて親番で8本場の大連荘。10万点超えのトップを取り、トータルスコアをプラスに戻したことで、今日の決勝まで来ることができた。
最終5回戦のオーラス。
優勝の条件は厳しく、現実的には2,000・3,900以上のツモでの2位狙い。
リーチ ツモ ドラ
力強くを引きアガった。
とても素敵なツイートだったので紹介しておく。
優勝、古谷 知美(C3)
「みんな特昇で対局してきたので、なんとなく誰がこう打つだろうなというのは想像して対局に入りました。接戦だったのもあり勝負所が多かったですが、そこでアガれたのが勝因だと思います!優勝できて嬉しいです!」
東谷がリードしていた4回戦に戻ろう。南3局の古谷の親。
東谷からすればこの古谷の親は早く終わらせたかったが、高めのをツモって、リーチ、ツモ、南、ドラの3,900オール。
1本場もペンをツモって、ツモ、三色、ドラの3,900オール。
この半荘のトップを逆転し、最終戦勝負に持ち込む。
5回戦、東3局、2万点まで点数は減らされていたのだが、
ツモ ドラ
3,000・6,000で逆転。
古谷のアガリは打点が高い。
たまに狙いすぎでは?と思うときもあるが、打点をとことん追求する打ち筋は見ていて面白い。
東谷のような多彩な仕掛けをする相手に対して、速度を合わせるのではなく、打点を作って中終盤で勝負するというやり方は、一つの回答だったように思える。
優勝を手に入れた古谷だったが、翌日のリーグ戦でトータルをプラスにすることは出来なかった。
特別昇級リーグで上位に入れることも意識して、リーグ戦の序盤からプランを立てていると思うが、それでもマイナスで終えてしまった。やはり、麻雀は難しい。
(文:福光聖雄)
カテゴリ:特別昇級リーグ 決勝観戦記