プロ雀士インタビュー

第219回:プロ雀士インタビュー 伊達朱里紗  インタビュアー:襟川麻衣子

2021年、季節は春。
今年初めて開催となった≪桜蕾戦≫
これは、麻雀界ニューヒロインの誕生を願うべく作られた連盟の新タイトル。
参加資格は30歳未満の女流連盟員であること。

その決勝戦が行なわれた3月29日。
この日、芯が強くて、負けず嫌いで、努力家で、気になったことは追求しないと気がすまない、
ちょっと人見知りで、好きなことにはド真っすぐな、とても可愛い声のニューヒロインが誕生した。

伊達朱里紗。
声優であり、麻雀プロ。
第1期 桜蕾戦の優勝者である。

 

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今回インタビューを担当させていただく第32期生の襟川麻衣子です、インタビューは初挑戦!
伝わりづらい部分もあると思いますが、どうぞよろしくお願いします。

伊達、改めて桜蕾戦優勝おめでとう!!
放送卓じゃない時も、チラッと映る伊達の姿を観てドキドキしてたよー。
私と伊達プロは「えりかわ」「だて」とお互いの名前を中学生男子のように名字で呼び合っている。

伊達『ありがとうー!ほんと嬉しい!!』

 

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プロになって2年目の終わりに勝ち獲ったこのタイトル。
2年目でタイトル獲得ってホントすごいことだ。
伊達との出会いは、アニメやゲーム業界の人が集まる麻雀大会で会ったのが最初だった。

伊達『あの時は私まだプロじゃなかったもんね』

そのあとも、声優の仕事が終わった後や休みの日に麻雀を1日中打っている伊達の姿を見かけることがあった。
麻雀に出会ったのは、高校3年生くらいの時に放送されていたアニメの『咲‐Saki‐』の影響だそうだ。

伊達『まだその時は麻雀よくわからなかったんだけど、私のおじいちゃんも麻雀する人だったからぼんやり教えてもらったりしてたんだ。でもガッツリやるようになったのは、大阪から上京してきて声優の養成所仲間みんなとハマってからなんだよね。そのタイミングでアニメ『咲』の全国編のオーディションがきたんだけど、あまりに麻雀が好き過ぎてオーディションの時も麻雀大好きトークしてた(笑)』

そこからプロになるぞ!ってどうして思ったの?

伊達『まだプロになる前に麻雀店に打ちに行ってたんだけど、その時待ち席にいた人たちがずーーーーっと麻雀の話しをしてて、放っておくと永久に語ってるなってくらい。え、、麻雀てそんなに喋ることあるんだ…議論を重ねるものなんだ…って衝撃を受けたんだよね。私多少なり麻雀知ってるつもりだったけど、実際なんにもわかってないんだって思ったら俄然興味が沸いて!どんどんのめりこんでいっちゃって。それと同時に、真剣に麻雀に向き合ってるっていう気持ちを「プロ」になることで示したかったんだよね。といっても結果を出さなきゃなんだけど!』

その結果を出すチャンスが巡ってきた今回の≪桜蕾戦≫
この発表がされたときはみんな衝撃だったよね。

伊達『電車の中でうおぉおおおおおお!ってなってた(笑)
20代の女流プロは人数が少なくてすごくチャンスだなって思ったけど、自分も29歳でラストチャンスだったから、その1回を絶対にものにしたいなーってフツフツしてたよ』

わ、私もフツフツしたかったなぁ…
審査員推薦枠でベスト16の切符を手にした伊達は、オーラスアガリ勝負を何とか制し、ベスト8に駒を進めた。
ベスト8の1回戦目でいきなり箱下(▲48.1P)スタートになっちゃったよね…その時は焦りとかあった?

伊達『うーん、でもそんな大変じゃないっしょ!って思ってて、思ったより落ち着いてたかな』

1回戦目とはいえハートが強い!
そして3回戦目の南4局2本場 親番。

 

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ドラの三筒をポンしていったん役なしテンパイからの・・・

 

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嶺上ドラ4ツモアガリ!!!
コメントも、駅のホームにいた私も沸いた!!!

伊達『私カッコよー!(笑)嬉しかったなぁ~…嬉しかったなぁ~(2回目)あそこは自分でも3.40回観直したね。まゆちゃんがチー出し六万で、五万八万四万七万の危険性が高いなと思ってたんだけど、そのあと自分で七万を通しちゃったから、五万八万だけは打たない構えにしようと思ってたんだよね。だからもし三万四万出た時はポンするつもりはなくて、発のポンして打四万三万六万にとろうと思ってた』

これによって最終戦に入るころにはポイントを+16.5Pにまで追い上げ、無事にベスト8を通過。
そしてとうとう迎えた決勝戦。

 

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自分なりにはこの日までどんな準備してたの?

伊達『仲間内にセットの協力してもらって、トーナメント・2着抜け・決勝それぞれの練習をしてきたよ。プロになってすぐにWRCの決勝で全然戦えなかった自覚があって悔しくて、とにかく弱気だったんだよね、ほんと。1位しか意味ないってわかっていたけどわかってなくて。次決勝あったときはもっとしっかり腕振りたいし、状況にあった戦いをしたいってすごく思ってた!』

はじまった決勝戦。東1局からみこちゃんの…

伊達『8,000オール!開幕から衝撃だったなー今日は辛い日なんだなって思った(笑)』

東3局でまず最初のアガリが生まれたね。

伊達『うん、内田さんから直撃で最初のアガリを決められて、ほんとあれは目を覚まさせてもらえるような、ホっとしたし、気持ちを繋ぐ意味でも嬉しいアガリだった』

2回戦目のオーラス怒涛の連荘で3着目からトップまでのぼりつめ、3回戦目東1局1本場跳満のツモアガリ。
ここで僅差の早川を一度かわす。
そこで迎えた南2局ライバル早川の親番。

 

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ドラの白を重ねて1シャンテン。
と、ここで8巡目早川から先制リーチが入る。

 

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一瞬ポイントを見てオリる判断をしたけど、もし直後三万入って三筒六筒九筒のテンパイが入ってたらどうしてた?

伊達『うーーーーん、わかんないよね正直。。でも、今までの決勝での経験とか仲間内の練習で重点的にやったのは、この局面でこの人には絶対打っちゃダメとか、この局面は絶対いくべきとか、ポイント状況と局面把握の練習をしてもらったの。だから、対ライバルの親リーチ1発目っていうのが大きかったから、多分あの日の私はいかないと思う。押さない練習もしてたから、テンパイしててもいってなかったら…いぃなぁ…いぃなぁ…(笑)』

 

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色々な決勝卓を経験してきたからこそ、そういうグッと我慢する鍛錬も積んできたんだね。
5万点オーバーのトップで3回戦目を終えてとうとう最終戦。
ここからがまた長かったね。

伊達『長かった…始まってから何時間経ってるのか自分でもわからなくって、集中を切らしたくないけど頭が回らなくなってるなって感じた時もあったよ。中田さんの連荘もかなり精神的にきてたし』

自分の中で決め手になったのはやっぱり…

伊達『ふふふ、間二索ね』

 

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最終戦東4局 伊達の親番。ライバル早川から先制リーチが入っていた。

伊達『もうね、オリる気満々だったのよ、やっぱり早川さんのリーチだから。なのに三色確定のテンパイが入っちゃって、しかもテンパイ打牌が現物で相当ヤミテンかなって思ったんだけど、もう正直当時の心境を振り返ると、もう最後は気合い!みたいなところがあった(笑)オーラス親番あったっていうのも勇気になって、これ決まったら決め手だし、ダメだったら南場頑張るーって思って、決勝だ戦うぞ‼ってマジ気合いだった』

その気合いが実り、ここで内田から12,000点をアガリ、文字通りこれが決定打となる。
オーラスは全員ノーテンで手牌が伏せられ、ここで第1期桜蕾戦の幕が閉じた。
この時画面に映し出された伊達は一口水を飲んだ後、唇をグッと噛み締めつつホッとしたような笑顔がこぼれていた。
それは私が初めて見る伊達の表情だった。

 

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めっちゃ良い顔してる。
タイトル獲得は正直悔しいけど、この表情見たらこっちまで胸がギュっとなるよ!!おめでとう!!!

第1期 桜蕾戦優勝。
きっとみんなの心に強く印象に残る第1期の優勝。
プロになって2年であっという間に駆け上がってきたニューヒロイン。
でもそこには、たくさんの努力と麻雀への熱い気持ちがこめられていることを私は知っている。
桜の蕾はまだ開きはじめたばかりである。
芯が強くて、負けず嫌いで、努力家で、気になったことは追求しないと気がすまない、ちょっと人見知りで、好きなことにはド真っすぐな、とても可愛い声のこのヒロインがこれから一体どんなストーリーを歩んでいくのか…
それはまた別のお話で。