十段戦 レポート

第38期十段戦 ベスト8A卓レポート

【第38期十段戦~ベスト8A卓~ 決勝進出は、藤原・荒】

最終戦を迎えて、以下のスコア。
4者ともに通過も敗退ある大接戦だった。

4回戦終了時
浜上+9.0P、伊藤+5.2P、荒▲5.3P、藤原▲8.9P

最終戦の条件は、浜上、伊藤は浮けばよく、逆に荒と藤原は、浜上か伊藤のどちらかを沈めて、自分が浮けばだいたい逆転できる。

ここまでの4半荘に約6時間。
トーナメントならではの神経を使う局が多く、選手の顔には疲労が色濃く見える。

最終戦東1局2本場

 

最初にリードを奪ったのは浜上。
三色同順、ドラ1の5,200+600を藤原から。
3万点キープが目標の中、このアドバンテージは大きい。

東4局1本場

 

 

親の浜上の二索切り、これはオリる方針に転じた一打だった。
全員に安全な二索だったからか、または気配なのか、荒のこの打点もない、待ちも悪いリーチは、まさにそれを感じとった一手。
思惑通り、1人テンパイで流局。
この手牌での最良の結果を得た。

 

南1局1本場

 

藤原がペン七筒、ドラの南と2つ仕掛けて満貫級のテンパイ。

 

 

当然、南を切った荒もテンパイ。

 

 

待ちはイマイチだが、伊藤にもテンパイが入っている。
供託は2本で、誰もがアガリたい局面。

 

 

同巡の出来事だった。
前に戻って藤原の河を確認してほしい。
この一索を止められる人はいないだろう。
振り返ると、序盤から藤原用の安牌としてとっておいた一索であった。
(南、チャンタ、ドラ3の12,000点)

南3局

 

最初のテンパイは伊藤。

白を鳴いて、カン二筒から一筒単騎に変化。

 

 

三筒を鳴いて、追いついた荒。

 

 

そして浜上も追いつく。
もう技術は関係ない。牌の女神が誰に微笑むか。

 

 

伊藤が七索を掴み、荒のアガリ!(タンヤオ、ドラ2)
これが決定打となり、藤原と荒が十段位決定戦に進出となった。

最後にインタビューの一部を抜粋して掲載する。

 

 

(ビタ止め連発について)
荒「感じるか、感じないか。自分がアガれないとか、これいったらいけない場面とか。それで、怪しい牌は全部止めちゃうのね。目線追ってるから。あ、これテンパったなとかはわかるから。もう最後のチャンスだと思って、もう二度と決勝に上がることはないと思うので、出来るだけ戴冠に向けて頑張ります。」
(荒は12年ぶりの十段位決定戦)

 

 

(藤原もかなり疲弊している表情)
勝又「五筒八筒で勝負リーチいって、(親の伊藤に)トイトイあたったときは、肝冷えたんじゃないですかね?」(4回戦南1局)
藤原「ちょっと早く楽になろうと思って、勝負処を焦りすぎました。あれはよくないんですよ。やっぱり優孝さんはダイハードだわ、怖いわ。今日負けたら、あそこが最大の反省点で、しばらく寝れないところでした。15年ぶり二度目の決勝になりました。前回は全然優勝争いに絡めなかったので、今回は最終日まで優勝争いができるように頑張りたいと思います。」

B卓は7/23(金)15時対局開始。お楽しみに。
沢崎誠vs森山茂和vs瀬戸熊直樹vs三浦智博
実況:楠原遊
解説:佐々木寿人

 

 

(文:福光聖雄)