何を切る? 2021年8月
2021年08月26日
第9期JPML WRCリーグ 決勝戦 2回戦 南4局 西家 小林正和プロ
■Twitterで実施したアンケートの結果
■OPENRECで実施したアンケートの結果
■ニコニコ生放送で実施したアンケートの結果
■プロ解答
★切り
★切り
★切り
■実況・解説陣 (アンケート時)
楠原「ただいまアンケートが締め切られました。それでは満を持して白鳥プロに解説していただきましょう!」
白鳥「を切るかを切るかの二択ですね。を切ったときのメリットは、七対子の1シャンテンに構えられること。ただ、が暗刻になったり、ポンできたときの形が少し弱くなってしまう。切りはメンツ手で良い形が残るけど、七対子がなくなっちゃうのがデメリット。僕は七対子好きなので、切りたいんですけど、上家の捨て牌にソーズが高いこの場況だとを切りそうです。
楠原「ここはメンツ手に舵を切るということですね。」
白鳥「ピンズの形がじゃなくてとかならを切ってメンツ手との両天秤にするんですけど、残った形にリャンメン形が2つあるので、この手はじゅうぶんメンツ手でいけるかなと。」
■プロの視点
小林正和プロ
「リーチで攻め立て、時には忍んで供託を拾ったり波に乗るイメージでフーロを入れたりと。今まで教えて頂いたアドバイスや自分なりに見て学んできたものを卓上に書き下ろすような気持ちで挑んだ決勝戦。
局面の焦点は“最速でのアガリ”でした。
ポイントは辻本プロとの間合い。1,300・2,600で着が入れ替わるという状況、自身にドラが2枚ある点と切り出しがであるという2点から、ある程度は手牌構成が絞れそうだなという印象を持ちました。
また、この並びでは終わらせたくない森下プロからはこの後の展開で役牌が打ち出されるか不安であるのと、ホンイツやトイトイなどのタネの芽を摘む意味合いで→という切り出しになりました。
そして次巡、ポン材になり得るを処理しようと考えていた所にブレーキをかけるツモが今回の牌姿。
最初にも挙げたようにテーマは“最速でのアガリ”であるのでシャンテン数が進むこのツモは本来なら嬉しいはず。以前の自分なら1シャンテンキープとメンツ手とトイツ手の両天秤でを切っていたと思います。
しかし、ここで勝又プロからの助言が降臨してきました。
初めて戴冠した『第3期JPML WRCリーグ ベスト8』で同じような手牌をもらった時に両方の可能性を残す打牌をした事があったのですが、その際の勝又プロの解説席での一言が『両方を追ってしまったが為に苦しくしてしまっている。』でした。
ふと舞い降りたそのアドバイスを受けて再び【何を切る】へ。
親番の中プロは着落ちの可能性が極めて低いので攻め得な状況。リーチに向かって真っ直ぐ進めてくるはず。つまりそれは何を意味しているかと言うと、第一打のからの、の順番から、は少なくとも持っていないと読めます。また、森下プロは分かりませんが辻本プロがソーズのホンイツであると仮定すると…“引き算打法”では山にはマンズの下目がかなり残っている事に。
ここまでは場や相手の心理状況を整理したもの。
次に自身の手牌へ視線を向けると、現状は七対子の1シャンテンではあるがリャンメンターツを2組含むメンツ手の2シャンテンでもあります。
仮にトイツ手を見るなら場に1枚切れのが自然。これならばメンツ手の可能性も残ります。
逆にメンツ手に進行した場合の打牌候補は、、、あるいはなどもあるでしょう。
もしかしたらテンパイが一番早いのは打かもしれません。しかし、今やるべき事はしっかりアガる事。キーとなるのは最終形をどのように想定するかでした。
自身が選択したのはととのシャンポン待ちを想定とした打。多少ドラのが打ち出されやすい状況とはいえ、確率的にはそこが残りやすい。
そして、その選択肢を選んだ大きな理由が雀頭候補のという尖張牌。横に伸びやすい性質であるのと、先程も整理したように山にはそれを促す牌がかなり残っているのが決め手となりました。
また、→の切り順となったのは、巡目は早いが辻本プロが自身の上家にいるので仮にポンされた後にロンになりにくい方であるのと安全度を考慮してそうなりました。(※下家にいた場合は→)
想定していた形ではありませんでしたが、風が吹きこの選択が優勝に近づく大きなアガリへと繋がりました。
もしを切っていたら勝又プロが大きく手をバツとしていたのかが気になりますが…。
そして、このリードを逃げる為のポイントではなく踏み込む為のポイントとして強い気持ちで攻め切れたのが最終戦の瀬戸熊プロの代名詞“KKT”を意識した連荘となり優勝を決める事ができたと思います。」
■終局図
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