第64回『勝ちに向かう打法16』
2012年04月25日
1. 「手の伸ばし方の急所を知れ」
図A
ドラ
図Aの手で第一ツモが。この瞬間、どんな最終手を思い浮かべることができるか。
それによって打ち手の力を測ることができる。
第一打で。次にカンを引いて打、をツモってを切る。
これだけの手順で図Aの手は、タンピンの–待ちの形になる。
だが、もしあなたがこのような手順を思うとすれば、あまりにもストレート過ぎる。
手の伸びを考慮しない、融通性に欠ける人だとわかる。この手順だけで勝ち抜くことは難しい。
そのクセを直すには、実はたった1つのことに注意すればよいのである。
それは、第一ツモがマンズのなら、ピンズもソーズも同じを生かしてみようと考える。
、をうまく使い切ろうとすることだ。マンズは、とある。
ならば、ピンズもソーズも、と連携させて使おうと試みる。
と、今まで孤立牌に見えたがカンチャンに見え、もがくれば、複合させようという考えが生まれる。
先の手順ではともに捨てられた、が逆に手の内で生かされ、図Bのような素晴らしい手に変化する。
図B
この発想さえ身につければ、次々に大きな手役を完成させることが可能になってくるのである。
2.「知恵出づるの打法が勝ちへの第一歩」
「あのときを切っていなければテンパイしていたのに・・・」
こくなボヤキをよく耳にする。
麻雀ではこの一牌の切り違いによって起きる明暗はずいぶんと大きい。
その場の戦局だけでなく、後々まで尾を引いてくるだけに始末に悪い。
図C
ドラ
図Cの手のところへを引いてきたケース。
この人はピンズの受け入れを–だけと決めたようである。
好牌先打とばかり、いきなり切りと出て図Dの構えに持っていったが、この一牌が問題だった。
図D
これは初級者の人がよく犯すミスであるが、とある場合、は粗末にできない牌なのである。
これを置いておくと、ツモの切りというように待ちが広くなるのである。
葉隠の教えの中に「生附によりて、即座に知恵の一出づる人もあり、退いて枕をわりて、案じて出す人もあり」との一説がある。
天才的に才能を発揮する人もおれば、訓練によって才能を発揮する人もいるという意味であるが、
麻雀の場合は経験と訓練によって実力はついてくるものなのである。
一牌の切り違いで、せっかくの手を逃さぬよう考えた麻雀を打つことなのだ。
3.「顔をあげさせず打つ戦法に勝負のコツ」
図E
ドラ
図Eの手は南場2局、東家の手だが、この手、5,800点から倍満までの間の可能性を秘めた手である。
できればメンゼン手のタンピン三色手で完成させたいところであるが、そう思うようにいかないのが麻雀である。
うまくカンを引けるかどうかわからないし、首尾よく三色になるかどうかもわからないが、
序盤である程度得点をたたき出していると、下手に食いを入れてリーチをかけられては・・・
と、消極打法に出てダラダラとメンゼンを続ける人が意外と多いが、これは間違った戦法である。
例えば、上家がを切り出してくるようなら、ここは積極的に食いを入れる。そしてアガる。
実践での親はこう打ち、図Fのテンパイに取っている。
図F
チー
柳生新陰流の教えの中に「顔をあげさせずに打ちに打て」という教えがある。
一太刀打ったならば、それで相手をきることができようとできまいと、二の太刀、三の太刀と連続して打込み、相手に顔をあげさせるな。
これなら初太刀で勝負は決する、という教えである。
つまり、剣にかぎらず勝負ごとは、いったんつかんだ勝機はあくまでもこれを放さず、
積極的に攻めまくる、これが勝負に勝つコツでもある。
4.「我欲を抑えたリーチで常に平常心を保て」
図G
ドラ
図Gは東場1局、南家の手。三暗刻狙いで進めていたところへ、8巡目、ツモときた。
さて、この場面、あなたならどう打って、ここでの打法は2つに大別される。
一応、を切り出すが、ヤミテンでまわし、かを引いての三暗刻狙いの人と、を切り出し即リーチに出るというタイプの人とだ。
まずほとんどの人は東1局南家という立場を考え、後者の道を選ぶはずである。
南家は親落としの先兵でなければいけないのであるから、この戦法は間違いではない。
問題はリーチ後に1をもう一枚引いてきたときである。
ヤミなら図Hの形への変化を望めたわけだけに「しまった」と顔色を変える人がいるが、これは損だ。
図H
宮本武蔵の兵法の教えの1つに゛兵法の道において、心の持ちようは、常の心に替わる事なかれ。
常にも、兵法の時にも少しもかわらずして・・・゛という一節がある。
勝負のときでも平常心を保てという意味なのだが、まさにそうだ。
図Gの場面でリーチと行くからには、そのときすでに役への、“我欲”を抑えているのだから、
リーチ後何を引こうと悔やまないことである。
(文中敬称略)
カテゴリ:上級
上級/第64回『勝ちに向かう打法16』
2012年04月25日
1. 「手の伸ばし方の急所を知れ」
図A
ドラ
図Aの手で第一ツモが。この瞬間、どんな最終手を思い浮かべることができるか。
それによって打ち手の力を測ることができる。
第一打で。次にカンを引いて打、をツモってを切る。
これだけの手順で図Aの手は、タンピンの–待ちの形になる。
だが、もしあなたがこのような手順を思うとすれば、あまりにもストレート過ぎる。
手の伸びを考慮しない、融通性に欠ける人だとわかる。この手順だけで勝ち抜くことは難しい。
そのクセを直すには、実はたった1つのことに注意すればよいのである。
それは、第一ツモがマンズのなら、ピンズもソーズも同じを生かしてみようと考える。
、をうまく使い切ろうとすることだ。マンズは、とある。
ならば、ピンズもソーズも、と連携させて使おうと試みる。
と、今まで孤立牌に見えたがカンチャンに見え、もがくれば、複合させようという考えが生まれる。
先の手順ではともに捨てられた、が逆に手の内で生かされ、図Bのような素晴らしい手に変化する。
図B
この発想さえ身につければ、次々に大きな手役を完成させることが可能になってくるのである。
2.「知恵出づるの打法が勝ちへの第一歩」
「あのときを切っていなければテンパイしていたのに・・・」
こくなボヤキをよく耳にする。
麻雀ではこの一牌の切り違いによって起きる明暗はずいぶんと大きい。
その場の戦局だけでなく、後々まで尾を引いてくるだけに始末に悪い。
図C
ドラ
図Cの手のところへを引いてきたケース。
この人はピンズの受け入れを–だけと決めたようである。
好牌先打とばかり、いきなり切りと出て図Dの構えに持っていったが、この一牌が問題だった。
図D
これは初級者の人がよく犯すミスであるが、とある場合、は粗末にできない牌なのである。
これを置いておくと、ツモの切りというように待ちが広くなるのである。
葉隠の教えの中に「生附によりて、即座に知恵の一出づる人もあり、退いて枕をわりて、案じて出す人もあり」との一説がある。
天才的に才能を発揮する人もおれば、訓練によって才能を発揮する人もいるという意味であるが、
麻雀の場合は経験と訓練によって実力はついてくるものなのである。
一牌の切り違いで、せっかくの手を逃さぬよう考えた麻雀を打つことなのだ。
3.「顔をあげさせず打つ戦法に勝負のコツ」
図E
ドラ
図Eの手は南場2局、東家の手だが、この手、5,800点から倍満までの間の可能性を秘めた手である。
できればメンゼン手のタンピン三色手で完成させたいところであるが、そう思うようにいかないのが麻雀である。
うまくカンを引けるかどうかわからないし、首尾よく三色になるかどうかもわからないが、
序盤である程度得点をたたき出していると、下手に食いを入れてリーチをかけられては・・・
と、消極打法に出てダラダラとメンゼンを続ける人が意外と多いが、これは間違った戦法である。
例えば、上家がを切り出してくるようなら、ここは積極的に食いを入れる。そしてアガる。
実践での親はこう打ち、図Fのテンパイに取っている。
図F
チー
柳生新陰流の教えの中に「顔をあげさせずに打ちに打て」という教えがある。
一太刀打ったならば、それで相手をきることができようとできまいと、二の太刀、三の太刀と連続して打込み、相手に顔をあげさせるな。
これなら初太刀で勝負は決する、という教えである。
つまり、剣にかぎらず勝負ごとは、いったんつかんだ勝機はあくまでもこれを放さず、
積極的に攻めまくる、これが勝負に勝つコツでもある。
4.「我欲を抑えたリーチで常に平常心を保て」
図G
ドラ
図Gは東場1局、南家の手。三暗刻狙いで進めていたところへ、8巡目、ツモときた。
さて、この場面、あなたならどう打って、ここでの打法は2つに大別される。
一応、を切り出すが、ヤミテンでまわし、かを引いての三暗刻狙いの人と、を切り出し即リーチに出るというタイプの人とだ。
まずほとんどの人は東1局南家という立場を考え、後者の道を選ぶはずである。
南家は親落としの先兵でなければいけないのであるから、この戦法は間違いではない。
問題はリーチ後に1をもう一枚引いてきたときである。
ヤミなら図Hの形への変化を望めたわけだけに「しまった」と顔色を変える人がいるが、これは損だ。
図H
宮本武蔵の兵法の教えの1つに゛兵法の道において、心の持ちようは、常の心に替わる事なかれ。
常にも、兵法の時にも少しもかわらずして・・・゛という一節がある。
勝負のときでも平常心を保てという意味なのだが、まさにそうだ。
図Gの場面でリーチと行くからには、そのときすでに役への、“我欲”を抑えているのだから、
リーチ後何を引こうと悔やまないことである。
(文中敬称略)
カテゴリ:上級
『決断の瞬間(とき)』
2012年04月24日
瀬戸熊直樹はプロ連盟に入り、2年でA2に駆け上がりました。
当時は今ほど人数が多くなく、半分弱の200名位のものか。現在は地方を含め連盟員は600名に及びます。
それでも2年でAリーグに入るのは、実力の証明といえるでしょう。
昇降級はB1までは半年単位ですが、A2からは1年単位となります。
この時、彼が逃げ道を絶ち、麻雀の道に入った覚悟を聞いたのです。
おそらく、この話は伊藤優孝さんから聞いたと思います。
保険をかけずにこの道一本に絞る、なかなかできる決断ではありません。
普通なら二足のわらじを履き、プロの道で食べて行ける目途ができてから麻雀の道一本に絞る。
それが賢明で、普通の選択の方法でしょう。注目したのはそれからです。
もちろん、そのことを瀬戸熊は知る由もなくボクとの会話さえもありませんでした。
ボクは何も、気取っていたわけではありません。ボクは田舎者で、シャイなだけなのです。
ボクは北海道留辺蘂町(今は北見市留辺蘂町)の田舎町の出身です。道東の山に囲まれた小さな町で、留辺蘂は(るべしべ)と読みます。
1970年19歳の時に上京し、フランス料理のレストランの厨房に入ります。コック就業です。
それが目的で上京したわけではありません。志を高く持とうと決めていた割に、どの道に進むか手探りの状態でした。
仕事に就かずブラブラしていると、先輩にその店の職場を薦められたのです。
高校の2年先輩には、洋食のコックが多かったからです。
この時期は、東京オリンピックから大阪万博と続き、洋食の店が全国的に増えた時期でもありました。
決めた理由は、取りあえずレストランならば食うには困らん、と思っただけのことです。
しかし、3か月後、人手不足でボクがホールのほうに駆り出されてしまいました。
今度はウエイター修業です。この時代は、日本は激動の時でした。
1年前の高校の時は、三島由紀夫が割腹自殺を図り世間に大きな衝撃を与えました。
ボクも意味わからずとも三島の本の愛読者だったため、少なからずうろたえました。
学生運動も激しく大学は休校に追い込まれます。
オイルショック・浅間山荘・シージャック。よど号ハイジャック事件が起きたのもこの頃です。
ウエイターは能力の世界です。仕事ができるかできないかで、給料が決まります。
ボクは赤坂のフレンチの高級店で仕事を覚えたので、賃金は通常の3割増しでした。
銀座の店ではそのビルのオーナーが囲碁をたしなみ、週に1、2度その相手をするだけで謝礼を頂きました。
なんとそれが給料分に匹敵したのです。そのレストランは、オーナーの直営だったのです。
ボクは小学2年の時、麻雀と囲碁を父から教わっていました。
碁は高校2年の時、北海道代表にもなることができましたから自信があります。
が、しかし翌年に竹書房から「近代麻雀が」創刊されたのです。
「近代麻雀」は今の劇画誌ではなく、麻雀専門誌(今は廃刊)の方です。その編集後記にプロ募集とあったのです。
この時、ピーンと来ました。(ボクの目指したものがここにある!)と思ったのです。
ボクがこの世で一番好きだったのが、実は麻雀だったのです。
これと一生過ごせるなら無上の喜びです。すぐに決断しました。
会社は、体調を崩したことを理由に辞めました。
オーナーには、恩を仇で返す形となったため、今でも心が痛みます。
若さには安全な2本のレールの上を走るより、熱き志と希望の方が勝る時があると思います。
(この稼ぎを捨てたのだ。ただのプロでは終れんぞ!)と、心に誓ったのです。
これがボクの23歳の時でした。
どうです、似ていると思いませんか。瀬戸熊とボクの麻雀にかける腹のくくり方が、です。
時代と背景の差こそあれ、同じ一線上にあるとボクは感じたのです。だからボクは彼に注目し、ずっと下の弟のように見ていたのです。
プロリーグA2では16名で半荘40回、1年間の戦いとなります。ここでは上位2名だけが黄金の椅子である、A1に進むことができます。
しかし、A2は強者、魔物が潜む激戦地区でもあります。そう易々と勝たせてなどくれません。
彼らだって、A1の椅子に座ることを夢見て長年頑張ってきているからです。
新参者など、自分がのし上がるための踏み台としか思っていないのが普通です。
彼も4年間、ここで足踏みします。連盟はそれだけ人材が豊富で、層が厚いといえます。
そして5年目の最終節、彼は得点表を爽やかな風に乗って提出に来ました。
その雰囲気で念願の夢が叶ったのだと知りました。
「おめでとう!」
「ありがとうございます!」
彼と話した会話は8年間で、たったこれだけでした。
でもそこには、同じ夢と情熱を持った匂いが確かにあったのです。
A1では12名の戦いとなります。
その内、上位3名が決定戦に駒を進め前期鳳凰との戦いとなります。
瀬戸熊はA1に上がったその年に挑戦権を得ますが、敗れます。そして4年後、再度挑戦権を得ます。この年は見事、優勝。
この間、彼が麻雀の道を志してから12年の歳月が流れています。12年は長い。
(石の上にも3年…)と云う父上の言葉がなかったら、修業の辛さと重みで続けられなかったのかも知れません。
翌年は、挑戦者を退け2連覇を果たし、2番目の星である「十段」戦も手中に収めます。
これで彼はプロの地位を不動のものとし、瀬戸熊直樹の名を麻雀史に刻んだのです。
彼は今、41才で体力と気力も充実した打ち盛りの年頃です。人生運の後押しもある。
それに比べ、ボクが彼に勝るものは経験値だけ。経験値は技であり、引出しの数と捉えても結構です。
本当にこれだけで戦えるのか、という不安はありました。
予選は相手が変わる、自分との戦いです。しかし決定戦は、相手が固定されているので対相手で人との戦いとなります。
そこで、最終日に戦う相手をイメージしました。
そこには、何度やっても瀬戸熊、彼の顔しか湧いて来なかったのです。
望月は、打撃の高さには定評がありますから油断はできません。
右田には若さと勢いがあるので侮れません。それは十分わかっています。
しかしボクには、出したイメージを信じるしか戦いの術がないのです。
若い時ならいざ知らす、あっちもこっちもマークすることなど、もう年のボクには荷が重すぎるはず。
第一疲れます。疲れは思考の妨げとなる。
なので、マークは瀬戸熊1本に絞ることになったのです。
カテゴリ:鳳凰の部屋
鳳凰の部屋/『決断の瞬間(とき)』
2012年04月24日
瀬戸熊直樹はプロ連盟に入り、2年でA2に駆け上がりました。
当時は今ほど人数が多くなく、半分弱の200名位のものか。現在は地方を含め連盟員は600名に及びます。
それでも2年でAリーグに入るのは、実力の証明といえるでしょう。
昇降級はB1までは半年単位ですが、A2からは1年単位となります。
この時、彼が逃げ道を絶ち、麻雀の道に入った覚悟を聞いたのです。
おそらく、この話は伊藤優孝さんから聞いたと思います。
保険をかけずにこの道一本に絞る、なかなかできる決断ではありません。
普通なら二足のわらじを履き、プロの道で食べて行ける目途ができてから麻雀の道一本に絞る。
それが賢明で、普通の選択の方法でしょう。注目したのはそれからです。
もちろん、そのことを瀬戸熊は知る由もなくボクとの会話さえもありませんでした。
ボクは何も、気取っていたわけではありません。ボクは田舎者で、シャイなだけなのです。
ボクは北海道留辺蘂町(今は北見市留辺蘂町)の田舎町の出身です。道東の山に囲まれた小さな町で、留辺蘂は(るべしべ)と読みます。
1970年19歳の時に上京し、フランス料理のレストランの厨房に入ります。コック就業です。
それが目的で上京したわけではありません。志を高く持とうと決めていた割に、どの道に進むか手探りの状態でした。
仕事に就かずブラブラしていると、先輩にその店の職場を薦められたのです。
高校の2年先輩には、洋食のコックが多かったからです。
この時期は、東京オリンピックから大阪万博と続き、洋食の店が全国的に増えた時期でもありました。
決めた理由は、取りあえずレストランならば食うには困らん、と思っただけのことです。
しかし、3か月後、人手不足でボクがホールのほうに駆り出されてしまいました。
今度はウエイター修業です。この時代は、日本は激動の時でした。
1年前の高校の時は、三島由紀夫が割腹自殺を図り世間に大きな衝撃を与えました。
ボクも意味わからずとも三島の本の愛読者だったため、少なからずうろたえました。
学生運動も激しく大学は休校に追い込まれます。
オイルショック・浅間山荘・シージャック。よど号ハイジャック事件が起きたのもこの頃です。
ウエイターは能力の世界です。仕事ができるかできないかで、給料が決まります。
ボクは赤坂のフレンチの高級店で仕事を覚えたので、賃金は通常の3割増しでした。
銀座の店ではそのビルのオーナーが囲碁をたしなみ、週に1、2度その相手をするだけで謝礼を頂きました。
なんとそれが給料分に匹敵したのです。そのレストランは、オーナーの直営だったのです。
ボクは小学2年の時、麻雀と囲碁を父から教わっていました。
碁は高校2年の時、北海道代表にもなることができましたから自信があります。
が、しかし翌年に竹書房から「近代麻雀が」創刊されたのです。
「近代麻雀」は今の劇画誌ではなく、麻雀専門誌(今は廃刊)の方です。その編集後記にプロ募集とあったのです。
この時、ピーンと来ました。(ボクの目指したものがここにある!)と思ったのです。
ボクがこの世で一番好きだったのが、実は麻雀だったのです。
これと一生過ごせるなら無上の喜びです。すぐに決断しました。
会社は、体調を崩したことを理由に辞めました。
オーナーには、恩を仇で返す形となったため、今でも心が痛みます。
若さには安全な2本のレールの上を走るより、熱き志と希望の方が勝る時があると思います。
(この稼ぎを捨てたのだ。ただのプロでは終れんぞ!)と、心に誓ったのです。
これがボクの23歳の時でした。
どうです、似ていると思いませんか。瀬戸熊とボクの麻雀にかける腹のくくり方が、です。
時代と背景の差こそあれ、同じ一線上にあるとボクは感じたのです。だからボクは彼に注目し、ずっと下の弟のように見ていたのです。
プロリーグA2では16名で半荘40回、1年間の戦いとなります。ここでは上位2名だけが黄金の椅子である、A1に進むことができます。
しかし、A2は強者、魔物が潜む激戦地区でもあります。そう易々と勝たせてなどくれません。
彼らだって、A1の椅子に座ることを夢見て長年頑張ってきているからです。
新参者など、自分がのし上がるための踏み台としか思っていないのが普通です。
彼も4年間、ここで足踏みします。連盟はそれだけ人材が豊富で、層が厚いといえます。
そして5年目の最終節、彼は得点表を爽やかな風に乗って提出に来ました。
その雰囲気で念願の夢が叶ったのだと知りました。
「おめでとう!」
「ありがとうございます!」
彼と話した会話は8年間で、たったこれだけでした。
でもそこには、同じ夢と情熱を持った匂いが確かにあったのです。
A1では12名の戦いとなります。
その内、上位3名が決定戦に駒を進め前期鳳凰との戦いとなります。
瀬戸熊はA1に上がったその年に挑戦権を得ますが、敗れます。そして4年後、再度挑戦権を得ます。この年は見事、優勝。
この間、彼が麻雀の道を志してから12年の歳月が流れています。12年は長い。
(石の上にも3年…)と云う父上の言葉がなかったら、修業の辛さと重みで続けられなかったのかも知れません。
翌年は、挑戦者を退け2連覇を果たし、2番目の星である「十段」戦も手中に収めます。
これで彼はプロの地位を不動のものとし、瀬戸熊直樹の名を麻雀史に刻んだのです。
彼は今、41才で体力と気力も充実した打ち盛りの年頃です。人生運の後押しもある。
それに比べ、ボクが彼に勝るものは経験値だけ。経験値は技であり、引出しの数と捉えても結構です。
本当にこれだけで戦えるのか、という不安はありました。
予選は相手が変わる、自分との戦いです。しかし決定戦は、相手が固定されているので対相手で人との戦いとなります。
そこで、最終日に戦う相手をイメージしました。
そこには、何度やっても瀬戸熊、彼の顔しか湧いて来なかったのです。
望月は、打撃の高さには定評がありますから油断はできません。
右田には若さと勢いがあるので侮れません。それは十分わかっています。
しかしボクには、出したイメージを信じるしか戦いの術がないのです。
若い時ならいざ知らす、あっちもこっちもマークすることなど、もう年のボクには荷が重すぎるはず。
第一疲れます。疲れは思考の妨げとなる。
なので、マークは瀬戸熊1本に絞ることになったのです。
カテゴリ:鳳凰の部屋
第63回:勝又 健志
2012年04月20日
北野プロからバトンを受け取った、17期生の勝又健志です。
バトンは受け取ったものの何を書いてよいか迷いに迷っています。
しかし、どんなに考えたところで、僕に書けることといっても麻雀についてしかありませんので…
3月上旬、第2期麻雀グランプリMAXが行われた。
私は幸運にも優勝することができた。
しかし、その内容はと言うと反省しなければならない局面がとても多くある。
決勝進出が決まってから、対局までの間に私は1つのことを決めた。「自分の麻雀を打ち切る」と。
そんな思いで臨んだにもかかわらず、勝ちたいという欲に負けてしまった局の話からさせて頂きたい。
4回戦。
3回戦で大きなトップを取ることができ、トータルポイントで有利な立場になった。
4回戦においても、東2局の親番で3,900オールをツモアガることができ、さらにリードを広げる展開となった。
しかし、東4局1本場に悪手を打ってしまう。
7巡目、以下の手牌からをチーと出る。
ドラ
そして結果は、
チー
このテンパイとなるも、奈良プロの一色手に対してをツモ切り満貫の放銃となった。
実はこの時、東3局での放銃を引きずっていた。
東3局11巡目、上家よりが打たれる。
ドラ
子方であることや、上家の藤崎プロに2フーロ入っていること、さらにリードしているポイントを考えるとチーテンに取ることも十分に考えられる。
しかし、私は大きく狙ってこれをスル―。すると、その後小島プロからリーチが入り、テンパイを果たした私は、2,600を放銃した。
今となって冷静に考えれば、いくら好調時とはいえ全ての局をアガれるわけではない。
メンゼンでしっかりと攻め、その結果が2,600の放銃ならば何の問題もない。次も手牌に押し出されるように自然に攻めればいいのだ。
私が勉強会で、小島プロ、森山プロに教わってきたことであった。
だが、私の思考は「ミスをしてしまった。次局以降苦しくなるかもしれない。」とピントがずれている。
そこから招いたのが、前述したのチーであった。それは、自ら苦しくしてしまう仕掛けであった。
この仕掛けに対して、対局終了後に何人かの方に「優勝のプレッシャーがそうさせたんだな。」という言葉を頂いた。
しかし、プレッシャーに負けたにしろ、局面が読めていなかったにしろ、それが自分の力であり弱さであることを認めなければならない。
今回の麻雀グランプリMAXで優勝できたことは本当にうれしく思っている。
しかし、後半の2回戦の内容は全く満足できるものではない。さらに、この麻雀グランプリMAXの観戦記を読むと、滝沢プロがこう書いている。
『プロと名乗る者通しの対局には、結果だけでなく内容が求められる。
麻雀の「内容」というのは漠然としたものとして捉えられることが多いが、これには私なりの答えがある。
第三者に伝える意志を持って打つこと。または言わずとも伝わるものがあること。それは本人なりにでも良いと思う。』
私の打牌には観戦してくださったファンのみなさんに伝わるものがあったのだろうか。
第三者に伝える意志ではなく、勝ちたいという欲ばかりが先にでてしまった内容だと思う。
今後、麻雀プロとして戦っていくならば、一刻も早く改善しなければ、実力をあげなければならないと思っている。
そして、優勝から1カ月。第29期プロリーグが先日開幕した。
目標は当然、A1リーグに昇級することなのだが、私にはもう1つの想いもあった。
麻雀グランプリMAXと同じミスは繰り返さない。そして、意志のある一打を打つことである。
1回戦目南3局。
25,000点程持って迎えた親番だった。9巡目以下のテンパイが入る。
ドラ
関連牌はが1枚切れ、が3枚切れといったところである。
マンズの連続形を活かしたいこと、待ちがあまりに弱いことからを切ってテンパイ取らずとした。
そして2巡ツモ切りを挟んで12巡目。ツモ。
ここで9巡目との違いは、1つは他家3人に気配が出始めたこと。
ツモが利かずにてじまいというわけではなく、おそらく1シャンテンは入っているであろうという雰囲気であった。
もう1つは、先ほどののシャンポン待ちよりもカンは待ちが強いこと、この2つがあげられる。
ここでは、点棒状況、親番ということ等も加味して考えるとリーチを打つ手があると思う。
しかし、私はをツモ切りとした。決め手となるアガリを、さらには次につながるアガリを目指したのだ。
その後、ツモときて–待ちのテンパイが入るも、狙いは決め手をアガることなのでヤミテンに受ける。
その後テンパイの入った、老月プロに放銃となった。
2回戦目東2局。
東1局に2,900を放銃して迎えた親番であった。
8巡目、以下の牌姿になっていた。
ドラ
ここで、対面の山井プロからリーチが入る。同巡、上家の老月プロからが切られる。
これをスルーすると、ツモときてリーチに出る。数巡後、を引き3,900オールのアガリとなった。
そしてこの後は、勢いに乗り4回戦で+45.6Pとなった。
1局単位で見たならば、1回戦目ではカンでリーチを、2回戦目ではチーテンを取った方がアガリには近いと思う。
しかし、この2局は、まだまだ甘さはあるものの、ほんの少しは意志を込めた一打が打てたのかもしれないなと思うことができた。
私に課題はまだまだ山のように残っている。
次なる目標であるA1リーグ昇級に向け、自分の全てを懸けて努力していくことを誓う。
かなりの乱文になってしまいましたが、最後までお付き合いくださった皆様ありがとうございました。
次回は、ジェンプロにバトンを渡したいと思います。ジェンプロよろしく!
カテゴリ:リレーエッセィ
リレーエッセィ/第63回:勝又 健志
2012年04月20日
北野プロからバトンを受け取った、17期生の勝又健志です。
バトンは受け取ったものの何を書いてよいか迷いに迷っています。
しかし、どんなに考えたところで、僕に書けることといっても麻雀についてしかありませんので…
3月上旬、第2期麻雀グランプリMAXが行われた。
私は幸運にも優勝することができた。
しかし、その内容はと言うと反省しなければならない局面がとても多くある。
決勝進出が決まってから、対局までの間に私は1つのことを決めた。「自分の麻雀を打ち切る」と。
そんな思いで臨んだにもかかわらず、勝ちたいという欲に負けてしまった局の話からさせて頂きたい。
4回戦。
3回戦で大きなトップを取ることができ、トータルポイントで有利な立場になった。
4回戦においても、東2局の親番で3,900オールをツモアガることができ、さらにリードを広げる展開となった。
しかし、東4局1本場に悪手を打ってしまう。
7巡目、以下の手牌からをチーと出る。
ドラ
そして結果は、
チー
このテンパイとなるも、奈良プロの一色手に対してをツモ切り満貫の放銃となった。
実はこの時、東3局での放銃を引きずっていた。
東3局11巡目、上家よりが打たれる。
ドラ
子方であることや、上家の藤崎プロに2フーロ入っていること、さらにリードしているポイントを考えるとチーテンに取ることも十分に考えられる。
しかし、私は大きく狙ってこれをスル―。すると、その後小島プロからリーチが入り、テンパイを果たした私は、2,600を放銃した。
今となって冷静に考えれば、いくら好調時とはいえ全ての局をアガれるわけではない。
メンゼンでしっかりと攻め、その結果が2,600の放銃ならば何の問題もない。次も手牌に押し出されるように自然に攻めればいいのだ。
私が勉強会で、小島プロ、森山プロに教わってきたことであった。
だが、私の思考は「ミスをしてしまった。次局以降苦しくなるかもしれない。」とピントがずれている。
そこから招いたのが、前述したのチーであった。それは、自ら苦しくしてしまう仕掛けであった。
この仕掛けに対して、対局終了後に何人かの方に「優勝のプレッシャーがそうさせたんだな。」という言葉を頂いた。
しかし、プレッシャーに負けたにしろ、局面が読めていなかったにしろ、それが自分の力であり弱さであることを認めなければならない。
今回の麻雀グランプリMAXで優勝できたことは本当にうれしく思っている。
しかし、後半の2回戦の内容は全く満足できるものではない。さらに、この麻雀グランプリMAXの観戦記を読むと、滝沢プロがこう書いている。
『プロと名乗る者通しの対局には、結果だけでなく内容が求められる。
麻雀の「内容」というのは漠然としたものとして捉えられることが多いが、これには私なりの答えがある。
第三者に伝える意志を持って打つこと。または言わずとも伝わるものがあること。それは本人なりにでも良いと思う。』
私の打牌には観戦してくださったファンのみなさんに伝わるものがあったのだろうか。
第三者に伝える意志ではなく、勝ちたいという欲ばかりが先にでてしまった内容だと思う。
今後、麻雀プロとして戦っていくならば、一刻も早く改善しなければ、実力をあげなければならないと思っている。
そして、優勝から1カ月。第29期プロリーグが先日開幕した。
目標は当然、A1リーグに昇級することなのだが、私にはもう1つの想いもあった。
麻雀グランプリMAXと同じミスは繰り返さない。そして、意志のある一打を打つことである。
1回戦目南3局。
25,000点程持って迎えた親番だった。9巡目以下のテンパイが入る。
ドラ
関連牌はが1枚切れ、が3枚切れといったところである。
マンズの連続形を活かしたいこと、待ちがあまりに弱いことからを切ってテンパイ取らずとした。
そして2巡ツモ切りを挟んで12巡目。ツモ。
ここで9巡目との違いは、1つは他家3人に気配が出始めたこと。
ツモが利かずにてじまいというわけではなく、おそらく1シャンテンは入っているであろうという雰囲気であった。
もう1つは、先ほどののシャンポン待ちよりもカンは待ちが強いこと、この2つがあげられる。
ここでは、点棒状況、親番ということ等も加味して考えるとリーチを打つ手があると思う。
しかし、私はをツモ切りとした。決め手となるアガリを、さらには次につながるアガリを目指したのだ。
その後、ツモときて–待ちのテンパイが入るも、狙いは決め手をアガることなのでヤミテンに受ける。
その後テンパイの入った、老月プロに放銃となった。
2回戦目東2局。
東1局に2,900を放銃して迎えた親番であった。
8巡目、以下の牌姿になっていた。
ドラ
ここで、対面の山井プロからリーチが入る。同巡、上家の老月プロからが切られる。
これをスルーすると、ツモときてリーチに出る。数巡後、を引き3,900オールのアガリとなった。
そしてこの後は、勢いに乗り4回戦で+45.6Pとなった。
1局単位で見たならば、1回戦目ではカンでリーチを、2回戦目ではチーテンを取った方がアガリには近いと思う。
しかし、この2局は、まだまだ甘さはあるものの、ほんの少しは意志を込めた一打が打てたのかもしれないなと思うことができた。
私に課題はまだまだ山のように残っている。
次なる目標であるA1リーグ昇級に向け、自分の全てを懸けて努力していくことを誓う。
かなりの乱文になってしまいましたが、最後までお付き合いくださった皆様ありがとうございました。
次回は、ジェンプロにバトンを渡したいと思います。ジェンプロよろしく!
カテゴリ:リレーエッセィ
ロン2で三人麻雀が打てるようになりました!
2012年04月19日
「ロン2で三人麻雀が打てるようになりました!」
2003年の夏、オンライン麻雀がちらほらと増え始めた頃、
連盟が運営するオンライン麻雀サイトの立ち上げ話があり、約1年の月日を経てロン2が産声をあげました。
それが2004年8月1日、通称「牌の日」でした。
最初の頃は、サーバーが落ちたりWEBサイトにアクセスが出来なかったりといった不具合も少なくありませんでした。
麻雀を楽しんでもらおうと色々な機能を追加したり、イベントを企画、実施すると、思うように事が進まなかったりトラブルが起きたりもしていましたが、
8年目に入った今では随分、落ち着いたように思えます。
その間、携帯版ロン2やFlash版ロン2など色々な話が出てきましたが、技術的な問題や世の中のIT事情の移り変わりを見据え、三人麻雀を優先することになりました。
そして、この4月に無事に三人麻雀がロン2に実装されました!
無事に、とは書きましたが、まだまだ微調整が必要なところがあったり、未だに気づかない何かが見つかることもあるでしょう。
四人麻雀では7年やって初めて見つかった不具合、なんてものもありましたから。
そんな三人麻雀ですが、私はほとんど三人麻雀をやらない人でした。
なので、三人麻雀の実装には麻雀格闘倶楽部で三人麻雀を打ち慣れている多くのプロに助言をいただき、とても助かりました。
助けていただいたみなさん、本当にありがとうございました。
特に滝沢和典プロ、山井弘プロ、ダンプ大橋プロには感謝感激雨アラレです。
このままではよろしくない、ということで最近はロン2で三人麻雀を出来るだけ打つようにしています。
私のように三人麻雀を打ったことがない人や、「麻雀は4人でやるものだぜっ!」くらい思っている人もいると思います。
私もそういう感じでしたから。
また、日本プロ麻雀連盟でも麻雀トライアスロンが行われるようになりましたし、関西と言えば三麻、という雰囲気もあります。
麻雀プロですからね、三人麻雀だってしっかり打てて強くなっておかないと、と言ったところでしょうか。
そんなこんなで打つようになった三人麻雀ですが、なるほど、四人麻雀とはまた違った面白さがありますね。
私が感じた三人麻雀の面白さですが・・・
1:大きいアガリが出易い!
この原稿を書いている時点で、私のロン2での三人麻雀対戦数はおよそ100対戦。
アガったうちの約70%が満貫以上で、役満は既に3回もあります!
もちろん、相手もそれなりの頻度で大きい手をアガるので、2万点くらいのリードがあっても安心できません。
ちなみに四人麻雀のデータを見てみると・・・満貫以上は約40%でした。
国士無双も簡単にあがれました。
そして役満の出易さも調べてみました。
1対戦中、どれくらいの確立でその役満が出ているか、というロン2の中での実測値です。
左側が四人麻雀、右側が三人麻雀の値です。
国士無双 0.25% : 3.02% ← 12.08倍
四暗刻 0.37% : 1.94% ← 5.24倍
大三元 0.21% : 0.85% ← 4.05倍
大三元で4倍以上、国士無双にいたっては12倍以上とスゴイことになっています!
国士無双が1対戦で3%の確立ということは33対戦で1回は国士無双が出るということになります。
四人麻雀では、ちょっと考えられない確率ですね!
2:ガンガン攻めてバンバンアガれる!
四人麻雀だと、1対3という構図。攻めてくる相手が3人もいるので攻守のバランスをとるのがとても重要ですが、三人麻雀だと1対2です。
マークする相手が1人少ないということは、それだけ攻撃に重点を置くことができるので自然と攻撃に力が入りますね。
守っているだけでは点数は増えませんから、ガンガン攻めてバンバンアガれるという流れができると非常に気分が良くなります。
対戦者がかわいそうになるくらいに(笑)
3:スピーディーなゲーム展開
3人でやっているということで、すぐにツモ番が回ってきます。四人麻雀より流局が少ないのでゲームがさくさく進みますね。
また先に書いたように大きいアガリが出やすいこともあり、誰かがトビで終了ということも四人麻雀より多い気がします。
赤牌が2枚のルールと4枚のルールがあり、4枚の時は特に打点が高くなり易いですからね。
対戦時間で言うと、東風戦と同じかちょっと長く、東南戦よりかなり短いといったところです。
なので、ちょっと時間があると、「三麻、ちょっと打とうかな。」という気分になりがちです。
派手にトバされて親番を迎える前に終了。箱下1万点以上ということも。
4:登頂ランキングが熱いっ!
これは三人麻雀の面白さというより、ロン2の面白さになりますが・・・。
ロン2では段位が取得できる「ロン2道場」というものがあります。ここで段位を取得すると連盟が発行する段位免状を得ることもできます。
また、「リーチバトル」というフロアでは称号制度というものがあり、
勝ったり負けたりすることでレベルが上下し、一定レベルに到達すると上の称号に昇格していきます。
上位の称号には、「バトル王位」、「バトル十段」、「バトル鳳凰」という称号が用意されており、ここに辿り着けるのは本当の強者のみではないかと思います。
私ですか?
東風戦では上位7%に入っていますが、東南戦では上位34%というところですね。
「俺はこごっちプロより強いに決まってる!」という人の挑戦をお待ちしています(笑)
東南戦リーチバトルのランキング。バトル十段以上は執筆時でたったの7名。
おっと、まだ三人麻雀のランキングについて書いていませんでしたね。
今までのランキングって、勝てる人はどんどん上がっていきますが勝ったり負けたりがトントンくらいの場合は下がっていくか行き詰ってしまい、
限界を感じる人も出てくるのでは?と感じていました。
そうすると、麻雀が楽しめなくなるかもしれないので、三人麻雀では「遊べば遊ぶほど上がっていく。」という仕組みを考えました。
それが、「登頂ランキング」です。
今年は世界一の高さを誇る自立式電波塔、「東京スカイツリー」が完成しました。
その高さ、634mに敬意を表して麻雀タワーの頂を634mに定め、1位で2m登頂、2位で1m登頂、3位だと現状維持、というシステムにしました。
ちなみにプロと対戦して1位を取ると、プラス1mされて3m登頂となるのですが、既に遊んでいる方、知っていましたか?
スピードの差はあれど、勝てる人もなかなか勝てない人も、遊べば遊ぶほど記録が伸びていくっていいですよね。
ロビー画面では、頂まで到達した人にはタワーのアイコンが表示されています。
さて、こんな感じで紹介してきた三人麻雀ですが、面白さや楽しさは伝わったでしょうか。
このコラムを読んでいる人の多くは、既にロン2の会員だと思っていますがそうでない人もまだまだ大勢いるとも思っています。
他にもロン2の特徴をいくつか紹介すると・・・
月額固定料金なので何十、何百対戦しようとかかる金額は一緒。
四人麻雀と三人麻雀を好きなだけ打ち放題のプランでも月額980円です。
これはちょっとスゴイと思いませんか?
時々、会員の方に、「安すぎるので心配しちゃいますよ。」なんて言われることもあります(笑)
生でプロと打てるチャンスが多い!
実際に麻雀卓を囲んでプロと対戦するリアル麻雀大会やファン感謝祭というイベント、
ニコニコ生放送などで生中継される番組内でプロと対戦できるロン2カップなど、ほぼ月1回のペースで行われています。
遠くは北海道や九州・沖縄から参加してくれる方もいて、私たちも嬉しく思っています。
他にもたくさんの特徴がありますが、百聞は一見に如かず、まずはお金のかからない無料会員でロン2をちょっと味わってみて、
気に入ったら、いや、気に入るに違いありません。どっぷりはまってください!
大勢のプロがあなたの挑戦を待っていますっ!!!
カテゴリ:プロ雀士コラム
プロ雀士コラム/ロン2で三人麻雀が打てるようになりました!
2012年04月19日
「ロン2で三人麻雀が打てるようになりました!」
2003年の夏、オンライン麻雀がちらほらと増え始めた頃、
連盟が運営するオンライン麻雀サイトの立ち上げ話があり、約1年の月日を経てロン2が産声をあげました。
それが2004年8月1日、通称「牌の日」でした。
最初の頃は、サーバーが落ちたりWEBサイトにアクセスが出来なかったりといった不具合も少なくありませんでした。
麻雀を楽しんでもらおうと色々な機能を追加したり、イベントを企画、実施すると、思うように事が進まなかったりトラブルが起きたりもしていましたが、
8年目に入った今では随分、落ち着いたように思えます。
その間、携帯版ロン2やFlash版ロン2など色々な話が出てきましたが、技術的な問題や世の中のIT事情の移り変わりを見据え、三人麻雀を優先することになりました。
そして、この4月に無事に三人麻雀がロン2に実装されました!
無事に、とは書きましたが、まだまだ微調整が必要なところがあったり、未だに気づかない何かが見つかることもあるでしょう。
四人麻雀では7年やって初めて見つかった不具合、なんてものもありましたから。
そんな三人麻雀ですが、私はほとんど三人麻雀をやらない人でした。
なので、三人麻雀の実装には麻雀格闘倶楽部で三人麻雀を打ち慣れている多くのプロに助言をいただき、とても助かりました。
助けていただいたみなさん、本当にありがとうございました。
特に滝沢和典プロ、山井弘プロ、ダンプ大橋プロには感謝感激雨アラレです。
このままではよろしくない、ということで最近はロン2で三人麻雀を出来るだけ打つようにしています。
私のように三人麻雀を打ったことがない人や、「麻雀は4人でやるものだぜっ!」くらい思っている人もいると思います。
私もそういう感じでしたから。
また、日本プロ麻雀連盟でも麻雀トライアスロンが行われるようになりましたし、関西と言えば三麻、という雰囲気もあります。
麻雀プロですからね、三人麻雀だってしっかり打てて強くなっておかないと、と言ったところでしょうか。
そんなこんなで打つようになった三人麻雀ですが、なるほど、四人麻雀とはまた違った面白さがありますね。
私が感じた三人麻雀の面白さですが・・・
1:大きいアガリが出易い!
この原稿を書いている時点で、私のロン2での三人麻雀対戦数はおよそ100対戦。
アガったうちの約70%が満貫以上で、役満は既に3回もあります!
もちろん、相手もそれなりの頻度で大きい手をアガるので、2万点くらいのリードがあっても安心できません。
ちなみに四人麻雀のデータを見てみると・・・満貫以上は約40%でした。
国士無双も簡単にあがれました。
そして役満の出易さも調べてみました。
1対戦中、どれくらいの確立でその役満が出ているか、というロン2の中での実測値です。
左側が四人麻雀、右側が三人麻雀の値です。
国士無双 0.25% : 3.02% ← 12.08倍
四暗刻 0.37% : 1.94% ← 5.24倍
大三元 0.21% : 0.85% ← 4.05倍
大三元で4倍以上、国士無双にいたっては12倍以上とスゴイことになっています!
国士無双が1対戦で3%の確立ということは33対戦で1回は国士無双が出るということになります。
四人麻雀では、ちょっと考えられない確率ですね!
2:ガンガン攻めてバンバンアガれる!
四人麻雀だと、1対3という構図。攻めてくる相手が3人もいるので攻守のバランスをとるのがとても重要ですが、三人麻雀だと1対2です。
マークする相手が1人少ないということは、それだけ攻撃に重点を置くことができるので自然と攻撃に力が入りますね。
守っているだけでは点数は増えませんから、ガンガン攻めてバンバンアガれるという流れができると非常に気分が良くなります。
対戦者がかわいそうになるくらいに(笑)
3:スピーディーなゲーム展開
3人でやっているということで、すぐにツモ番が回ってきます。四人麻雀より流局が少ないのでゲームがさくさく進みますね。
また先に書いたように大きいアガリが出やすいこともあり、誰かがトビで終了ということも四人麻雀より多い気がします。
赤牌が2枚のルールと4枚のルールがあり、4枚の時は特に打点が高くなり易いですからね。
対戦時間で言うと、東風戦と同じかちょっと長く、東南戦よりかなり短いといったところです。
なので、ちょっと時間があると、「三麻、ちょっと打とうかな。」という気分になりがちです。
派手にトバされて親番を迎える前に終了。箱下1万点以上ということも。
4:登頂ランキングが熱いっ!
これは三人麻雀の面白さというより、ロン2の面白さになりますが・・・。
ロン2では段位が取得できる「ロン2道場」というものがあります。ここで段位を取得すると連盟が発行する段位免状を得ることもできます。
また、「リーチバトル」というフロアでは称号制度というものがあり、
勝ったり負けたりすることでレベルが上下し、一定レベルに到達すると上の称号に昇格していきます。
上位の称号には、「バトル王位」、「バトル十段」、「バトル鳳凰」という称号が用意されており、ここに辿り着けるのは本当の強者のみではないかと思います。
私ですか?
東風戦では上位7%に入っていますが、東南戦では上位34%というところですね。
「俺はこごっちプロより強いに決まってる!」という人の挑戦をお待ちしています(笑)
東南戦リーチバトルのランキング。バトル十段以上は執筆時でたったの7名。
おっと、まだ三人麻雀のランキングについて書いていませんでしたね。
今までのランキングって、勝てる人はどんどん上がっていきますが勝ったり負けたりがトントンくらいの場合は下がっていくか行き詰ってしまい、
限界を感じる人も出てくるのでは?と感じていました。
そうすると、麻雀が楽しめなくなるかもしれないので、三人麻雀では「遊べば遊ぶほど上がっていく。」という仕組みを考えました。
それが、「登頂ランキング」です。
今年は世界一の高さを誇る自立式電波塔、「東京スカイツリー」が完成しました。
その高さ、634mに敬意を表して麻雀タワーの頂を634mに定め、1位で2m登頂、2位で1m登頂、3位だと現状維持、というシステムにしました。
ちなみにプロと対戦して1位を取ると、プラス1mされて3m登頂となるのですが、既に遊んでいる方、知っていましたか?
スピードの差はあれど、勝てる人もなかなか勝てない人も、遊べば遊ぶほど記録が伸びていくっていいですよね。
ロビー画面では、頂まで到達した人にはタワーのアイコンが表示されています。
さて、こんな感じで紹介してきた三人麻雀ですが、面白さや楽しさは伝わったでしょうか。
このコラムを読んでいる人の多くは、既にロン2の会員だと思っていますがそうでない人もまだまだ大勢いるとも思っています。
他にもロン2の特徴をいくつか紹介すると・・・
月額固定料金なので何十、何百対戦しようとかかる金額は一緒。
四人麻雀と三人麻雀を好きなだけ打ち放題のプランでも月額980円です。
これはちょっとスゴイと思いませんか?
時々、会員の方に、「安すぎるので心配しちゃいますよ。」なんて言われることもあります(笑)
生でプロと打てるチャンスが多い!
実際に麻雀卓を囲んでプロと対戦するリアル麻雀大会やファン感謝祭というイベント、
ニコニコ生放送などで生中継される番組内でプロと対戦できるロン2カップなど、ほぼ月1回のペースで行われています。
遠くは北海道や九州・沖縄から参加してくれる方もいて、私たちも嬉しく思っています。
他にもたくさんの特徴がありますが、百聞は一見に如かず、まずはお金のかからない無料会員でロン2をちょっと味わってみて、
気に入ったら、いや、気に入るに違いありません。どっぷりはまってください!
大勢のプロがあなたの挑戦を待っていますっ!!!
日本プロ麻雀連盟公式オンライン麻雀サイト ロン2
カテゴリ:プロ雀士コラム
第64回『石橋を叩いて渡る』
2012年04月18日
【石橋を叩いて渡る】
ポン
上の手牌から–をチーすれば「チーテンに側テンあり」、をポンすれば「ポンテンに側テンなし」それぞれ最も有名なパターンに当てはまる。
このパターンに出くわすことは良くあることと思うが、もちろんこれが仕掛けのパターンの全てではない。
実戦では手役やドラも踏まえた上で考えるべきであり、様々なパターンに対応できるよう、もう一歩前から手牌読みをする必要がある。
≪例≫
南家が7巡目のを仕掛けて打。
『捨て牌にはソーズが高く、一色手の可能性もあるが、三色も十分あり得る。
序盤の打ち出しから、チャンタは消去して良さそうだ。ドラ側のが打たれているのでドラが固まっている可能性もある』
と、まずはこの段階で考えられることを大雑把に並べておく。
なぜ大雑把にするかというと、全てのマイナス要素について真面目に考えてすぎてしまうと、自分の打牌を制限してしまうことになるから。
相手の動向に左右されやすい、弱々しい打ち手になってしまうことを防止するために“敢えて”大雑把に考えるということである。
5巡のツモ切りが続き、手からが打たれる。
このとき、2シャンテンの東家の手牌にはとが余っている状態。
とは場に1枚づつ打たれており、仕掛けることができるかもしれない。
しかし、それは相手3人がアガリに向かっているならば、という条件があって成り立つことだ。
しかもこの深い巡目では、1種類は仕掛けることができても、その次の牌は期待が薄い。
親番をキープすることに意味はあるが、余っているのがとではリスクが高すぎる。
つまり、この手牌ではもうアガリを期待してはいけないのである。
さて、ここで南家の仕掛けについてもう一度考えてみる。
2枚以上見えていない字牌は、、、の3種類。4人の河にソーズが高く、手牌の中にはソーズが組み込まれている可能性が高い。
ソーズの枚数的に、南家の仕掛けが一色手かどうかは微妙なところ。南家が一色手なら、字牌が絡んでいそうだ。
(とはいえ、元々字牌は打たないのだから、今局では考えても仕方がないことではある)
7巡目、をチーした瞬間の打についてはどうか。はの前に新しい手出し牌である。
最後のと合わせて、が手牌に関連する牌だったら?と仮定して、南家の手牌が打点が高いパターンを考えてみる。
→の切り順から、がトイツ以上であることがわかる。もちろん、単にのターツ落としだった可能性もあるが、ソーズの部分はほぼと考えて良さそうだ。
【ある程度打点が高く、カンをチーして打たれた(7巡目)が関連牌となるパターン】
a・ チー
b・ チー
c・ チー
d・ チー
(3打目にが打たれているため、リャンカンのパターンはのみ)
–のスジで5枚目となるが上家から打たれているため、bは消去して良さそうだ。
また、ソーズの一色手の可能性がある南家に対してを打ち出した北家にも注意が必要だ。
11巡目という深い巡目に、ドラ側のを打った西家も気になる。
先ほど、「あれこれ考えすぎると弱々しくなる、だから敢えて大雑把に読む」と書いたが、
それはまだ情報が少なく、自分の押し引きの判断も微妙だった頃の話しで、この状況になれば話しは別。
東家の打ち手は、潜んでいる敵をくまなく探し、細心の注意を払ってオリる必要があるのである。
ここで答え合わせをしてみる。
南家はツモで打としてテンパイが入ったところ。
1シャンテンの形は、
チー
cの形であった。もちろんとはどちらが暗刻でも同じである。
を打った北家は、トイトイの1シャンテン、西家は三色に手変わる可能性があるテンパイが入っていた。
答え合わせをしてわかるように、南家の仕掛けを一色手と判断するのはまだ早い。
東家の立場では、安易になどに手をかけることはもっての他で、むしろは本線の1つと考えるべきなのである。
このように、手牌と捨て牌を見比べて答え合わせをするのが、捨て牌読みの練習方法の1つである。
実戦では、手が開く前に相手の進行具合を読む。
仕掛けについては、場合によっては手牌を正確に読むことができる場合もあるので、必ず手出しツモ切りを見落とさないようにするのが大切なことだ。
カテゴリ:中級
中級/第64回『石橋を叩いて渡る』
2012年04月18日
【石橋を叩いて渡る】
ポン
上の手牌から–をチーすれば「チーテンに側テンあり」、をポンすれば「ポンテンに側テンなし」それぞれ最も有名なパターンに当てはまる。
このパターンに出くわすことは良くあることと思うが、もちろんこれが仕掛けのパターンの全てではない。
実戦では手役やドラも踏まえた上で考えるべきであり、様々なパターンに対応できるよう、もう一歩前から手牌読みをする必要がある。
≪例≫
南家が7巡目のを仕掛けて打。
『捨て牌にはソーズが高く、一色手の可能性もあるが、三色も十分あり得る。
序盤の打ち出しから、チャンタは消去して良さそうだ。ドラ側のが打たれているのでドラが固まっている可能性もある』
と、まずはこの段階で考えられることを大雑把に並べておく。
なぜ大雑把にするかというと、全てのマイナス要素について真面目に考えてすぎてしまうと、自分の打牌を制限してしまうことになるから。
相手の動向に左右されやすい、弱々しい打ち手になってしまうことを防止するために“敢えて”大雑把に考えるということである。
5巡のツモ切りが続き、手からが打たれる。
このとき、2シャンテンの東家の手牌にはとが余っている状態。
とは場に1枚づつ打たれており、仕掛けることができるかもしれない。
しかし、それは相手3人がアガリに向かっているならば、という条件があって成り立つことだ。
しかもこの深い巡目では、1種類は仕掛けることができても、その次の牌は期待が薄い。
親番をキープすることに意味はあるが、余っているのがとではリスクが高すぎる。
つまり、この手牌ではもうアガリを期待してはいけないのである。
さて、ここで南家の仕掛けについてもう一度考えてみる。
2枚以上見えていない字牌は、、、の3種類。4人の河にソーズが高く、手牌の中にはソーズが組み込まれている可能性が高い。
ソーズの枚数的に、南家の仕掛けが一色手かどうかは微妙なところ。南家が一色手なら、字牌が絡んでいそうだ。
(とはいえ、元々字牌は打たないのだから、今局では考えても仕方がないことではある)
7巡目、をチーした瞬間の打についてはどうか。はの前に新しい手出し牌である。
最後のと合わせて、が手牌に関連する牌だったら?と仮定して、南家の手牌が打点が高いパターンを考えてみる。
→の切り順から、がトイツ以上であることがわかる。もちろん、単にのターツ落としだった可能性もあるが、ソーズの部分はほぼと考えて良さそうだ。
【ある程度打点が高く、カンをチーして打たれた(7巡目)が関連牌となるパターン】
a・ チー
b・ チー
c・ チー
d・ チー
(3打目にが打たれているため、リャンカンのパターンはのみ)
–のスジで5枚目となるが上家から打たれているため、bは消去して良さそうだ。
また、ソーズの一色手の可能性がある南家に対してを打ち出した北家にも注意が必要だ。
11巡目という深い巡目に、ドラ側のを打った西家も気になる。
先ほど、「あれこれ考えすぎると弱々しくなる、だから敢えて大雑把に読む」と書いたが、
それはまだ情報が少なく、自分の押し引きの判断も微妙だった頃の話しで、この状況になれば話しは別。
東家の打ち手は、潜んでいる敵をくまなく探し、細心の注意を払ってオリる必要があるのである。
ここで答え合わせをしてみる。
南家はツモで打としてテンパイが入ったところ。
1シャンテンの形は、
チー
cの形であった。もちろんとはどちらが暗刻でも同じである。
を打った北家は、トイトイの1シャンテン、西家は三色に手変わる可能性があるテンパイが入っていた。
答え合わせをしてわかるように、南家の仕掛けを一色手と判断するのはまだ早い。
東家の立場では、安易になどに手をかけることはもっての他で、むしろは本線の1つと考えるべきなのである。
このように、手牌と捨て牌を見比べて答え合わせをするのが、捨て牌読みの練習方法の1つである。
実戦では、手が開く前に相手の進行具合を読む。
仕掛けについては、場合によっては手牌を正確に読むことができる場合もあるので、必ず手出しツモ切りを見落とさないようにするのが大切なことだ。
カテゴリ:中級
第2期グランプリMAX ベスト8レポート
2012年04月18日
【A卓】藤崎智 勝又健志 堀内正人 白鳥翔
左から 堀内正人、白鳥翔、藤崎智、勝又健志
藤崎 智 |
勝又 健志 |
堀内 正人 |
白鳥 翔 |
1、2回戦が終了し、得点状況は以下のようになっている。
堀内+35,0P 藤崎+26,2P 勝又▲18,6P 白鳥▲42,6P
3回戦東4局、南家の堀内が3巡目にを仕掛けると、
ドラ
チー
瞬間、下家の白鳥にが食い下がる。
度々見かける、堀内流の仕掛けであるが、対局者もそれに対応した打法を取る。
同巡、40ポイントのマイナスを背負っている白鳥が、場に見えていないを打ち出すと、堀内はポン。
間もなくを引いてこの形。
堀内
ポン チー
さらに親の勝又がこの形でリーチをかける。
リーチ
お互いに先手の取り合いを重視した打ち方が見られる。
ドラも役もなく、さらに待ちも悪いが、先手を取られたときにベタオリしているばかりでは相手の思う壺なのだ。
先手を取られた方は、相手が「本物」か「偽者」か見極める作業に入る。
ポン チー
この手牌同士の争いは、一見単なるテンパイ競争に見えるが、卓上ではそのような無言のやりとりが会話されている。
リーチを受けた堀内は、ドラを引き入れ待ちこそ悪いが勝負できる形になった。
そこに追いついたのが西家の白鳥。
ツモ
長考した白鳥の選択は、三色取らずの打として堀内への放銃を回避。
は堀内に対する安全牌であるが、勝又には通っていない。
そしてを引き入れた白鳥は、カンに待ち替えでリーチ。
西家・白鳥
リーチ
東家・勝又
南家・堀内
加カン チー
この局を制したのはトータル3着目の勝又。
ハイテイでをツモり、2,000オールのアガリとなった。
次局、堀内が再び仕掛ける。
チー ポン ドラ
すると、北家の藤崎がをポン。
相手が起こしたアクションに対して、攻め返した藤崎の手牌の信頼度は抜群だ。
場に緊張感が走った瞬間、堀内の7,700放銃となった。
藤崎
ポン
南2局、トータル最下位の白鳥は、3,900オールをものにする。
ツモ
続く2本場、再び白鳥が先制リーチ。
リーチ
勝負に出た勝又から出アガリ3,900。
続く南3局、親番の藤崎の配牌が凄い。
ドラ
南家・勝又の手牌もドラがトイツの好手牌だ。
すると、なんと西家の堀内が第一打をツモ切ってリーチ!
数巡後に、堀内がツモアガリ1300・2600。
ツモ
これでもラス抜けはすることはできないが、
ここまでのポイントを全て失ってしまう可能性があっただけに、非常に大きなアガリとなった。
最終戦のポイントは以下。
藤崎+37,9P 堀内+11,9P 勝又▲11,0P 白鳥▲38,8P
藤崎が頭1つ抜けており、白鳥は大きなトップが必要。
実質、勝又、堀内2人の勝負といって良いだろう。
南2局となり、点数は北家・勝又36,000点持ち、西家・堀内は24,300持ち。
順位点を加えて、勝又が4,8ポイントリードしている。
勝又手牌
ポン
が場に1枚切れ。トータルの点数状況がなければを仕掛けていたかどうか?
この勝又の仕掛けに対して堀内。
堀内手牌
下家のライバル勝又がソーズ模様であったため、の打ち出しが遅れてしまっているが、
堀内が信条とする麻雀スタイルなら先打ちしても良いではないか?と思う。
この後、勝又が2ポンでシャンポンに待ち替え。瞬間、堀内にテンパイが入ってしまい。で放銃となった。
ベスト8、A卓最終戦オーラス、親番は堀内。このとき11,6ポイント差で勝又がリードしている。
南4局1本場、堀内に勝負手が入る。
ツモ ドラ
打としてテンパイをとる。
同巡、勝又はこの手牌から、を抜き打ち。
絶対にテンパイをとらなければならない、堀内の変則的な捨て牌。
そして余ったピンズを見て、ピンズ受けが残った自分にアガリはないと踏んで、完全にベタオリをはじめる。
勝又の冷静判断が光り、流局となった。
2本場、堀内が先制リーチ。
ドラ
勝又はここで勝負に出る。リーチに対して危険牌を連打。
すでに何が危険かなど考えていないようにも見える打牌モーションだ。
ようやくテンパイが入ると、流局間際にをツモ。
ツモ
A卓からは藤崎、勝又が決勝進出となった。
A卓:1位通過・藤崎智+29,3P 2位通過・勝又健志+15,6P
【B卓】小島武夫 ダンプ大橋 和久津晶 奈良圭純
左から 奈良圭純、ダンプ大橋、小島武夫、和久津晶
小島 武夫 |
ダンプ大橋 |
和久津 晶 |
奈良 圭純 |
ロースコアで進んだA卓とは対称的に、B卓は激しくポイントが上下している。
3回戦を終了して、奈良+41,3P、小島+21,1P、和久津▲3,6P、ダンプ▲58,8Pとなっている。
4回戦南2局2本場、供託×2。
北家・和久津は25,900点持ちでこのテンパイ。
ドラ
ここから和久津は打のテンパイ取らずとした。供託が2本あり、親番がない状況で持ち点が25,900。
以上の条件があるため、絶対にアガリ損ないたくない場面である。
打としたときのリャンメン変化は6種類。テンパイをとったときリャンメンに変化するとの2種類。
カンのテンパイに価値がないと判断したのであろうが、この苦しい場面で落ち着いた判断を下せるのはさすがである。
今局は、ツモでリーチとなり流局となったが、次局にこのリーチ。
ドラ
ツモでテンパイ打リーチ。1発目にをつもり1,300・2,600。
ライバルの小島をラスに落として半荘が終了し、最終戦のポイント差がぐっと縮まった。
B卓最終戦。
ポイントは、奈良+34,1P、小島+8,4P、和久津+2,4P、ダンプ▲64,9Pとなっている。
A卓の最終局を観戦していると、小島の「5,200」という声が響いた。これに放銃したのは和久津。
坦々と局が進み、和久津最後の親番。
南1局、西家・小島と東家・和久津の点差は15.000。
和久津はこの親番を簡単には落とせないため、必然的に打牌が粗くなる。
その打牌を小島が活かし、あっと言う間に3フーロ。
小島手牌
ポン ポン ポン
数巡後、小島がを加カンすると、リンシャンツモにで2,000・4,000。
ポン ポン ポン ツモ
小島の積極策にのみ込まれ、和久津はほぼ逆転不可能な位置まで落ちこんでしまった。
そのまま小島は手を緩めず、トータル首位の奈良まで大きくまくる大爆発。
B卓からの決勝卓勝ち上がりは小島、奈良で確定となった。
B卓:1位通過・小島+41,3P 2位通過・奈良+12,7P
(文中敬称略)
カテゴリ:グランプリ レポート
グランプリ レポート/第2期グランプリMAX ベスト8レポート
2012年04月18日
【A卓】藤崎智 勝又健志 堀内正人 白鳥翔
左から 堀内正人、白鳥翔、藤崎智、勝又健志
藤崎 智 |
勝又 健志 |
堀内 正人 |
白鳥 翔 |
1、2回戦が終了し、得点状況は以下のようになっている。
堀内+35,0P 藤崎+26,2P 勝又▲18,6P 白鳥▲42,6P
3回戦東4局、南家の堀内が3巡目にを仕掛けると、
ドラ
チー
瞬間、下家の白鳥にが食い下がる。
度々見かける、堀内流の仕掛けであるが、対局者もそれに対応した打法を取る。
同巡、40ポイントのマイナスを背負っている白鳥が、場に見えていないを打ち出すと、堀内はポン。
間もなくを引いてこの形。
堀内
ポン チー
さらに親の勝又がこの形でリーチをかける。
リーチ
お互いに先手の取り合いを重視した打ち方が見られる。
ドラも役もなく、さらに待ちも悪いが、先手を取られたときにベタオリしているばかりでは相手の思う壺なのだ。
先手を取られた方は、相手が「本物」か「偽者」か見極める作業に入る。
ポン チー
この手牌同士の争いは、一見単なるテンパイ競争に見えるが、卓上ではそのような無言のやりとりが会話されている。
リーチを受けた堀内は、ドラを引き入れ待ちこそ悪いが勝負できる形になった。
そこに追いついたのが西家の白鳥。
ツモ
長考した白鳥の選択は、三色取らずの打として堀内への放銃を回避。
は堀内に対する安全牌であるが、勝又には通っていない。
そしてを引き入れた白鳥は、カンに待ち替えでリーチ。
西家・白鳥
リーチ
東家・勝又
南家・堀内
加カン チー
この局を制したのはトータル3着目の勝又。
ハイテイでをツモり、2,000オールのアガリとなった。
次局、堀内が再び仕掛ける。
チー ポン ドラ
すると、北家の藤崎がをポン。
相手が起こしたアクションに対して、攻め返した藤崎の手牌の信頼度は抜群だ。
場に緊張感が走った瞬間、堀内の7,700放銃となった。
藤崎
ポン
南2局、トータル最下位の白鳥は、3,900オールをものにする。
ツモ
続く2本場、再び白鳥が先制リーチ。
リーチ
勝負に出た勝又から出アガリ3,900。
続く南3局、親番の藤崎の配牌が凄い。
ドラ
南家・勝又の手牌もドラがトイツの好手牌だ。
すると、なんと西家の堀内が第一打をツモ切ってリーチ!
数巡後に、堀内がツモアガリ1300・2600。
ツモ
これでもラス抜けはすることはできないが、
ここまでのポイントを全て失ってしまう可能性があっただけに、非常に大きなアガリとなった。
最終戦のポイントは以下。
藤崎+37,9P 堀内+11,9P 勝又▲11,0P 白鳥▲38,8P
藤崎が頭1つ抜けており、白鳥は大きなトップが必要。
実質、勝又、堀内2人の勝負といって良いだろう。
南2局となり、点数は北家・勝又36,000点持ち、西家・堀内は24,300持ち。
順位点を加えて、勝又が4,8ポイントリードしている。
勝又手牌
ポン
が場に1枚切れ。トータルの点数状況がなければを仕掛けていたかどうか?
この勝又の仕掛けに対して堀内。
堀内手牌
下家のライバル勝又がソーズ模様であったため、の打ち出しが遅れてしまっているが、
堀内が信条とする麻雀スタイルなら先打ちしても良いではないか?と思う。
この後、勝又が2ポンでシャンポンに待ち替え。瞬間、堀内にテンパイが入ってしまい。で放銃となった。
ベスト8、A卓最終戦オーラス、親番は堀内。このとき11,6ポイント差で勝又がリードしている。
南4局1本場、堀内に勝負手が入る。
ツモ ドラ
打としてテンパイをとる。
同巡、勝又はこの手牌から、を抜き打ち。
絶対にテンパイをとらなければならない、堀内の変則的な捨て牌。
そして余ったピンズを見て、ピンズ受けが残った自分にアガリはないと踏んで、完全にベタオリをはじめる。
勝又の冷静判断が光り、流局となった。
2本場、堀内が先制リーチ。
ドラ
勝又はここで勝負に出る。リーチに対して危険牌を連打。
すでに何が危険かなど考えていないようにも見える打牌モーションだ。
ようやくテンパイが入ると、流局間際にをツモ。
ツモ
A卓からは藤崎、勝又が決勝進出となった。
A卓:1位通過・藤崎智+29,3P 2位通過・勝又健志+15,6P
【B卓】小島武夫 ダンプ大橋 和久津晶 奈良圭純
左から 奈良圭純、ダンプ大橋、小島武夫、和久津晶
小島 武夫 |
ダンプ大橋 |
和久津 晶 |
奈良 圭純 |
ロースコアで進んだA卓とは対称的に、B卓は激しくポイントが上下している。
3回戦を終了して、奈良+41,3P、小島+21,1P、和久津▲3,6P、ダンプ▲58,8Pとなっている。
4回戦南2局2本場、供託×2。
北家・和久津は25,900点持ちでこのテンパイ。
ドラ
ここから和久津は打のテンパイ取らずとした。供託が2本あり、親番がない状況で持ち点が25,900。
以上の条件があるため、絶対にアガリ損ないたくない場面である。
打としたときのリャンメン変化は6種類。テンパイをとったときリャンメンに変化するとの2種類。
カンのテンパイに価値がないと判断したのであろうが、この苦しい場面で落ち着いた判断を下せるのはさすがである。
今局は、ツモでリーチとなり流局となったが、次局にこのリーチ。
ドラ
ツモでテンパイ打リーチ。1発目にをつもり1,300・2,600。
ライバルの小島をラスに落として半荘が終了し、最終戦のポイント差がぐっと縮まった。
B卓最終戦。
ポイントは、奈良+34,1P、小島+8,4P、和久津+2,4P、ダンプ▲64,9Pとなっている。
A卓の最終局を観戦していると、小島の「5,200」という声が響いた。これに放銃したのは和久津。
坦々と局が進み、和久津最後の親番。
南1局、西家・小島と東家・和久津の点差は15.000。
和久津はこの親番を簡単には落とせないため、必然的に打牌が粗くなる。
その打牌を小島が活かし、あっと言う間に3フーロ。
小島手牌
ポン ポン ポン
数巡後、小島がを加カンすると、リンシャンツモにで2,000・4,000。
ポン ポン ポン ツモ
小島の積極策にのみ込まれ、和久津はほぼ逆転不可能な位置まで落ちこんでしまった。
そのまま小島は手を緩めず、トータル首位の奈良まで大きくまくる大爆発。
B卓からの決勝卓勝ち上がりは小島、奈良で確定となった。
B卓:1位通過・小島+41,3P 2位通過・奈良+12,7P
(文中敬称略)
カテゴリ:グランプリ レポート
第81回:勝又 健志
2012年04月16日
第2期麻雀グランプリMAXを優勝した勝又 健志プロ
2012年3月3日、第2期グランプリMAXの準決勝が行われていた。
予選を勝ちあがりし8名が2卓に分かれて闘い、各卓2名ずつが決勝へ進む事ができる。
そのたった8つの席に私は座っていたのだが・・・。
17時を少し過ぎた頃だったと思う。最終戦オーラスを迎えて、私にはすでに決勝通過の可能性はなかった。
対局開始前からの燃え滾っていた胸の内から一転、悔しさや不甲斐なさよりも妙に納得した気持ちになっていた。
負けが悔しくないはずがない。
ただ、この時は現時点での力の差を、闘って肌で感じたのだと思う。
対戦相手は、藤崎智、堀内正人、そして勝又健志。
藤崎は当確。堀内と勝又の競り勝負となっていた。
こうなったら潔く、勝負の行方を見届けてやろうじゃないか。
悔しいが、一番近い席で。
最終戦オーラス、堀内が攻める。勝又は冷静に受ける。堀内の1人テンパイ。
1本場、堀内が攻める。勝又、受ける。また堀内の1人テンパイ。
2本場、今度も堀内が攻める。先制のリーチ。勝又、受け・・・ない!!
別人の様に闘志剥き出しで危険牌を連打し、終局間際に手繰り寄せたツモ牌をそのまま手牌の横に開示し、アガリ形を披露した。
『なんてかっこよくて美しい幕切れなんだ・・・』と、しばらく呆然としていたのを覚えている。
こうして、決勝の切符を手にいれた勝又は、次の日の決勝に駒を進め、見事優勝した。
それから2日後、私にインタビューの依頼が来た。
『勝又さんの強さがどこからきているか直接聞けるチャンスなんじゃないか?』
と思った私はすぐ返事を送っていた。
と、前置きが長くなりましたが、そろそろ本題に入りたいと思います。
私、白鳥が勝又建志プロのインタビューをして参りました。勝又プロの魅力がご覧の皆様に伝われば幸いです。
都内の居酒屋にて。
白鳥「グランプリMAX、優勝おめでとうございます。」
勝又「ありがとう。」
白鳥「なんかこうやって2人で改まって話すのって、初めてですよね?」
勝又「確かにそうだね(笑)」
白鳥「じゃあ早速なんですけど、どんどん質問しちゃっていいですか?」
勝又「いきなりかよ!・・・まぁ大丈夫だけど!」
白鳥「じゃあまず麻雀を始めたきっかけから教えてください。」
勝又「中学から剣道部だったんだけど、部活の先輩から教えてもらったのがきっかけで・・・ってこの話いる(照)!?」
白鳥「いやいや、剣道やっていたなんて初めて知りましたよ!あ、料理来たんで食べちゃって下さい。」
勝又「全くもう・・・(ぶつぶつ)。」
焼き鳥を食べている勝又プロ。
皆様、勝又プロは僕が思っていた以上にシャイな方でしたよー。
じゃあ勝又プロがしっかり話せる様に、麻雀の内容の話に行きますか!
白鳥「そういえば勝又さん、2010年(第36期)の王位戦以来の決勝でしたよね??
あの時は5位で途中敗退だったんですけど・・・。
王位戦の時と、今回のグランプリMAXで何か自分の中で変化はありましたか?」
勝又「そうだね・・・。
王位戦の時は攻め倒す!って思っていたけど、実際闘ってみたら大事に行ってしまったり、行こうとした時に無謀な攻めになっていたと思う。
あの時はそれで失敗したけど、それはよかったのかもしれないなぁ。それを経験して確実に今に繋がったよ。
でも、今回も優勝を意識してから『決めたい』って思いが強くてちょっと行き過ぎたかな。」
白鳥「実際に優勝を意識した瞬間とかってあります?」
勝又「4回戦目でをツモって3,900オールってアガった時。完全に意識しちゃった。」
白鳥「でもポイント的には相当有利な立場ですよね、これ。」
勝又「いや、4回戦目で焦って自分で相当悪くしちゃったの分かったから、このまま楽に勝つことはないなって思っていた。
必ずもう一山あるぞって。」
白鳥「最終戦に向けて心の準備はできていたと。東2局、ピタっと当たり牌とまりましたもんね。最後まで打たなかった。
結局、小島先生に4,000オール引かれましたけど、焦りそうな局面なのに、精神的に強いなと思いましたよ。」
勝又「苦しかったけどね。今回経験してみて、決勝って舞台って本当にいつもやっている麻雀とは違うなと思ったよ。何ていうか、別世界みたいな。
例えば平面で見せられたら『これ通るよね』って牌が切れなくなったり、リスクとリターンが見合っていない様な2,000点に欲がでたりとか。
そういうプレッシャーが沢山ある。」
やっぱり優勝した人が言うと、説得力がありますよね!!
白鳥「じゃあ、勝又さんの自分の麻雀の長所とか短所を教えて下さいよ。」
勝又「え!うーん・・・長所はよく分かんないけど、悪いとこはいっぱいあるよ。すぐ局面を読み間違えたりとか。だからあんな放銃を・・・(ぶつぶつ)」
いやいや、判断が常に早くてしかも正確ってイメージがありますけど・・・。謙虚すぎないかこの人・・・。
白鳥「個人的に一番聞きたかったことなんですけど、勝又さんの麻雀のトレーニング法ってどんなのですか?」
勝又「うーん、なんだろうなぁ。あ、牌譜はもの凄く読んでいるよ。これは同年代の人達より絶対読んでいると思う。これは自信あるかな。
今は牌譜データサービスとか、パソコンで見られるから便利だけど、昔は紙だった。それでも手にいれられる牌譜は全部読んでたよ。」
白鳥「あ、本当にイメージなんですけどそんな感じします!だから牌理とかやたら強いんですね!」
勝又「牌譜の見方もいろいろ変えたりしたよ。」
白鳥「というと??」
勝又「僕も昔は、牌の組合せとか、そうゆう所に比重をおいて麻雀をしていた。
でも、いわゆる『ボスキャラ』みたいな人達、荒さんとか前原さんとかに勝てなかった。
そうゆう人達がみんな『状態』とかそういうのを意識して打っているって言うんだよ!じゃあそれを勉強してやろうって思うじゃん!
そしたら牌譜の見方もちょっと変わった。理では絶対押さない様な所でその人が押していたりしたら、その数局前に遡って理由を探したり。
そこで学んだことを実戦で生かしていったりしたよ。」
白鳥「なるほど・・・。本当にものすごく真面目なんですね。」
勝又「真面目だよ!麻雀に関しては。」
白鳥「他に何かあります?」
勝又「後は3人麻雀とかかな。基本的な牌理の勉強にもなるしね。」
白鳥「勝又さんめちゃめちゃ強そうですもんね。」
勝又「ふっふっふ・・・。」
白鳥「・・・(これはやばいな)
では最後に、今後の目標など教えて下さい。」
勝又「月並みだけど、リーグ戦昇級!後は、グランプリの4回戦目がホントに悪すぎるから、
また決勝に残ってそういう部分を修正した麻雀を見せたいな、と思っているよ。」
白鳥「僕も昇級したいですよ!」
勝又「お互い頑張ろうね。」
白鳥「今日はわざわざありがとうございました」
勝又「こちらこそ。あ、今度は3人麻雀を教えてあげよう。」
白鳥「・・・お疲れさまでしたー!!!」
帰り道を1人で歩きながら、先ほどまでの勝又プロとの会話を思いおこしていた。
本当に麻雀が大好きで、麻雀に対してまっすぐで、誠実な人。
そんな人が私は大好きだ。
私は、麻雀プロになってから今までずっと、競技者として『最強』を目指している。
麻雀に対する想いは誰にも負けないつもりである。
しかし、やはりこうして実際にタイトルをとった先輩の話を聞くと、その『想い』の強さに感心させられる。
戴冠し、自分よりも先を走っている先輩が、自分よりも努力をしているのではないかと思わせられる瞬間、
自分の気も引き締まり、いっそう努力をしようと心に誓う。
「努力しているものが必ず成功するとは限らないが、成功しているものはすべからくみな努力している」
ある漫画にてきた私の好きな言葉の1だが、まさしくその通りだと思いながら家路についた。
グランプリMAX優勝者との1対1での対話は、多くの事を感じさせて貰えた貴重な時間になった。
(このインタビューは2012年4月現在のものです)
カテゴリ:プロ雀士インタビュー
プロ雀士インタビュー/第81回:勝又 健志
2012年04月16日
第2期麻雀グランプリMAXを優勝した勝又 健志プロ
2012年3月3日、第2期グランプリMAXの準決勝が行われていた。
予選を勝ちあがりし8名が2卓に分かれて闘い、各卓2名ずつが決勝へ進む事ができる。
そのたった8つの席に私は座っていたのだが・・・。
17時を少し過ぎた頃だったと思う。最終戦オーラスを迎えて、私にはすでに決勝通過の可能性はなかった。
対局開始前からの燃え滾っていた胸の内から一転、悔しさや不甲斐なさよりも妙に納得した気持ちになっていた。
負けが悔しくないはずがない。
ただ、この時は現時点での力の差を、闘って肌で感じたのだと思う。
対戦相手は、藤崎智、堀内正人、そして勝又健志。
藤崎は当確。堀内と勝又の競り勝負となっていた。
こうなったら潔く、勝負の行方を見届けてやろうじゃないか。
悔しいが、一番近い席で。
最終戦オーラス、堀内が攻める。勝又は冷静に受ける。堀内の1人テンパイ。
1本場、堀内が攻める。勝又、受ける。また堀内の1人テンパイ。
2本場、今度も堀内が攻める。先制のリーチ。勝又、受け・・・ない!!
別人の様に闘志剥き出しで危険牌を連打し、終局間際に手繰り寄せたツモ牌をそのまま手牌の横に開示し、アガリ形を披露した。
『なんてかっこよくて美しい幕切れなんだ・・・』と、しばらく呆然としていたのを覚えている。
こうして、決勝の切符を手にいれた勝又は、次の日の決勝に駒を進め、見事優勝した。
それから2日後、私にインタビューの依頼が来た。
『勝又さんの強さがどこからきているか直接聞けるチャンスなんじゃないか?』
と思った私はすぐ返事を送っていた。
と、前置きが長くなりましたが、そろそろ本題に入りたいと思います。
私、白鳥が勝又建志プロのインタビューをして参りました。勝又プロの魅力がご覧の皆様に伝われば幸いです。
都内の居酒屋にて。
白鳥「グランプリMAX、優勝おめでとうございます。」
勝又「ありがとう。」
白鳥「なんかこうやって2人で改まって話すのって、初めてですよね?」
勝又「確かにそうだね(笑)」
白鳥「じゃあ早速なんですけど、どんどん質問しちゃっていいですか?」
勝又「いきなりかよ!・・・まぁ大丈夫だけど!」
白鳥「じゃあまず麻雀を始めたきっかけから教えてください。」
勝又「中学から剣道部だったんだけど、部活の先輩から教えてもらったのがきっかけで・・・ってこの話いる(照)!?」
白鳥「いやいや、剣道やっていたなんて初めて知りましたよ!あ、料理来たんで食べちゃって下さい。」
勝又「全くもう・・・(ぶつぶつ)。」
焼き鳥を食べている勝又プロ。
皆様、勝又プロは僕が思っていた以上にシャイな方でしたよー。
じゃあ勝又プロがしっかり話せる様に、麻雀の内容の話に行きますか!
白鳥「そういえば勝又さん、2010年(第36期)の王位戦以来の決勝でしたよね??
あの時は5位で途中敗退だったんですけど・・・。
王位戦の時と、今回のグランプリMAXで何か自分の中で変化はありましたか?」
勝又「そうだね・・・。
王位戦の時は攻め倒す!って思っていたけど、実際闘ってみたら大事に行ってしまったり、行こうとした時に無謀な攻めになっていたと思う。
あの時はそれで失敗したけど、それはよかったのかもしれないなぁ。それを経験して確実に今に繋がったよ。
でも、今回も優勝を意識してから『決めたい』って思いが強くてちょっと行き過ぎたかな。」
白鳥「実際に優勝を意識した瞬間とかってあります?」
勝又「4回戦目でをツモって3,900オールってアガった時。完全に意識しちゃった。」
白鳥「でもポイント的には相当有利な立場ですよね、これ。」
勝又「いや、4回戦目で焦って自分で相当悪くしちゃったの分かったから、このまま楽に勝つことはないなって思っていた。
必ずもう一山あるぞって。」
白鳥「最終戦に向けて心の準備はできていたと。東2局、ピタっと当たり牌とまりましたもんね。最後まで打たなかった。
結局、小島先生に4,000オール引かれましたけど、焦りそうな局面なのに、精神的に強いなと思いましたよ。」
勝又「苦しかったけどね。今回経験してみて、決勝って舞台って本当にいつもやっている麻雀とは違うなと思ったよ。何ていうか、別世界みたいな。
例えば平面で見せられたら『これ通るよね』って牌が切れなくなったり、リスクとリターンが見合っていない様な2,000点に欲がでたりとか。
そういうプレッシャーが沢山ある。」
やっぱり優勝した人が言うと、説得力がありますよね!!
白鳥「じゃあ、勝又さんの自分の麻雀の長所とか短所を教えて下さいよ。」
勝又「え!うーん・・・長所はよく分かんないけど、悪いとこはいっぱいあるよ。すぐ局面を読み間違えたりとか。だからあんな放銃を・・・(ぶつぶつ)」
いやいや、判断が常に早くてしかも正確ってイメージがありますけど・・・。謙虚すぎないかこの人・・・。
白鳥「個人的に一番聞きたかったことなんですけど、勝又さんの麻雀のトレーニング法ってどんなのですか?」
勝又「うーん、なんだろうなぁ。あ、牌譜はもの凄く読んでいるよ。これは同年代の人達より絶対読んでいると思う。これは自信あるかな。
今は牌譜データサービスとか、パソコンで見られるから便利だけど、昔は紙だった。それでも手にいれられる牌譜は全部読んでたよ。」
白鳥「あ、本当にイメージなんですけどそんな感じします!だから牌理とかやたら強いんですね!」
勝又「牌譜の見方もいろいろ変えたりしたよ。」
白鳥「というと??」
勝又「僕も昔は、牌の組合せとか、そうゆう所に比重をおいて麻雀をしていた。
でも、いわゆる『ボスキャラ』みたいな人達、荒さんとか前原さんとかに勝てなかった。
そうゆう人達がみんな『状態』とかそういうのを意識して打っているって言うんだよ!じゃあそれを勉強してやろうって思うじゃん!
そしたら牌譜の見方もちょっと変わった。理では絶対押さない様な所でその人が押していたりしたら、その数局前に遡って理由を探したり。
そこで学んだことを実戦で生かしていったりしたよ。」
白鳥「なるほど・・・。本当にものすごく真面目なんですね。」
勝又「真面目だよ!麻雀に関しては。」
白鳥「他に何かあります?」
勝又「後は3人麻雀とかかな。基本的な牌理の勉強にもなるしね。」
白鳥「勝又さんめちゃめちゃ強そうですもんね。」
勝又「ふっふっふ・・・。」
白鳥「・・・(これはやばいな)
では最後に、今後の目標など教えて下さい。」
勝又「月並みだけど、リーグ戦昇級!後は、グランプリの4回戦目がホントに悪すぎるから、
また決勝に残ってそういう部分を修正した麻雀を見せたいな、と思っているよ。」
白鳥「僕も昇級したいですよ!」
勝又「お互い頑張ろうね。」
白鳥「今日はわざわざありがとうございました」
勝又「こちらこそ。あ、今度は3人麻雀を教えてあげよう。」
白鳥「・・・お疲れさまでしたー!!!」
帰り道を1人で歩きながら、先ほどまでの勝又プロとの会話を思いおこしていた。
本当に麻雀が大好きで、麻雀に対してまっすぐで、誠実な人。
そんな人が私は大好きだ。
私は、麻雀プロになってから今までずっと、競技者として『最強』を目指している。
麻雀に対する想いは誰にも負けないつもりである。
しかし、やはりこうして実際にタイトルをとった先輩の話を聞くと、その『想い』の強さに感心させられる。
戴冠し、自分よりも先を走っている先輩が、自分よりも努力をしているのではないかと思わせられる瞬間、
自分の気も引き締まり、いっそう努力をしようと心に誓う。
「努力しているものが必ず成功するとは限らないが、成功しているものはすべからくみな努力している」
ある漫画にてきた私の好きな言葉の1だが、まさしくその通りだと思いながら家路についた。
グランプリMAX優勝者との1対1での対話は、多くの事を感じさせて貰えた貴重な時間になった。
(このインタビューは2012年4月現在のものです)
カテゴリ:プロ雀士インタビュー
第29期プロリーグ A1 第1節レポート
2012年04月13日
桜の花満開の4月7日、第29期のプロリーグが開幕した。
今期は19年ぶり2度目の鳳凰位となった荒正義が1年間立会人を務め、次期挑戦者となるA1の猛者達の戦いを見届ける。
私は当然、荒さんがA1リーグレポートを書いてくれると思っていたし、荒さんのブログなどをご覧の方々は既に御承知のように、
荒さんの文章は上手くて面白いので期待もしていた。
ところが、開幕直前にホームページ編集者から「A1リーグのレポートをお願いします。」とのメールが来た。
私 「えっ荒さんじゃないの?」
編集者「荒さんが藤原さんでと言っています。」
3年前にA2に落ちたときはすぐに戻るツモリだったから、A1レポートを上から目線で書かせてもらったが、
B2まで落ちてA1が遠のいた今の私がA1を斬るなんておこがましい話なので、本心では辞退させて頂きたかったのだが、
「他になかなか適任者が居ないので宜しくお願いしますよ。」と押され、ついつい引き受けてしまったのでした。
まあ引き受けた以上は責任持って頑張らせていただきます。
今回は斜め上から目線くらいで書いてみますので皆さんお付き合い下さい。
さて、今期A2から昇って来たのは朝武と近藤。
朝武は昨年何故かA1から落ちてしまったが、元鳳凰位で決定戦出場7回の実績を誇るA1の顔の1人で、
当然のようにA2をブッチギリで優勝し、1年で戻って来た強者。今更詳しい紹介は不要だろう。
プロ入り12年目でようやくA1初昇級の近藤久晴は、これまで目立った戦績も無く新顔と言うよりもう48歳のベテランに近い。
連盟入会前からずっとフリー雀荘の店長を続けながらコツコツとここまで上がって来た。
キレ味鋭いとか華麗とか言うものとは縁遠い雀風で(失礼)、飄々とした粘っこい麻雀でメンタルも強そうなタイプ。
シャイで無口(のように見える)な近藤から短いコメントを貰った。
「A1は、これまで一度も勝った事が無い沢崎さんをはじめ、化け物みたいに強い人ばかりなので、1年で落とされないように必死に頑張ります。」
謙虚な大人のコメントだが半分は本音だろう、私にも経験があるが、A1での最初の半荘のプレッシャーや緊張感は独特のものがあり、
中には指が震えて牌をこぼすものさえ居る。
近藤もそのせいだったのかは解らないが、初戦からマイナス3着、1人沈みのラスとA1の洗礼を浴びつつあった。
相手は伊藤、前原、石渡のベテラン3人。
このまま終われば、開幕からいきなり辛い1年の始まりになるところだったが、
3回戦の南1局、北家の近藤は5,000点程プラスして石渡とのトップ争い、ツモが残り1回でこのテンパイ。
ドラ
このとき親の前原が、
チー チー
2つ仕掛けており、ドラ筋のはかなりの危険牌だったが、近藤はこれまでA2でやってきたように果敢に切りリーチを決行。
オリる気の無い前原が、ラス牌のをツモ切り5,200点放銃。このアガリが決めてとなり近藤は嬉しいA1初トップを1人浮きで飾った。
これで落ち着いたのか、最後の半荘も大きめの2着を取り、この日のトータルをプラスで終わらせる事が出来た。
近藤自身、本当にホッとしたことだろう。
これで、今後マークのかからない前半戦のうちに、落ち着いて自分の麻雀が打ち切れればもしかしてA1の台風の目となるかも知れない。
1人だけ最悪のスタートをやってしまったのは、A1唯一の20代ダンプ大橋(29)。
昨期初めてA1に昇ってきたのだが、夏場から逆噴射が始まりほぼ降級確定のところだった。
しかし、最終節で奇跡の残留を果たし、今期こそ同じ轍は踏まないつもりだった筈。
ところが、何と開幕戦4ラスで3桁オーバーの大マイナス!
いくら不調でも、A級プロなら1節でここまで負けてはいけないし、他のA1リーガー達にナメられる。(A1で降級候補と見下ろされたら辛いよ)
あまりの展開の悪さや、ツキの無さにキレそうになる事は誰にもあることだが、
それでも顔を上げずに辛抱し踏ん張り、最小限のマイナスに抑えられる膂力がなければ鳳凰位は程遠いと思う。
20代で王位を取り、A1リーガーにもなったダンプ大橋は、本物のA級プロになれる資質は十分に持っているはず。
今期は辛いシーズンになるだろうが、まだ若い(俺がプロ連盟に入ったのと同じ歳じゃん)のだから、
一度自分の麻雀をブッ壊して、ダンプの身体のように、もっと幹が太い強靭なものに作り直すのもいいんじゃないか?
来節、藤原の注目卓は{藤崎、近藤、瀬戸熊、右田}の組合せ。
開幕戦で壊れたダンプカー(大橋)を美味しく食べて、立ち慣れないA1の首位に立った藤崎と、
壊れなくてすんで一安心している近藤の、雀荘で働くオジサン2人組。
そして、鳳凰位3連覇は逃したが、まだ十段位を持つ、夏にこれも無くしたら是が非でも鳳凰位を取り返しに行かなくてはならない決定戦候補筆頭の瀬戸熊。
もう少しのところで鳳凰位を取り逃がし、今期は降級候補になるやも知れぬ右田。この決定戦敗退コンビがどんな闘いを魅せてくれますか?
ではまた来月!
(注)A1の皆様、このレポートを読んでも、けっして怒ったり気を悪くしないようにくれぐれもお願い致します。
第2節組み合わせ
A卓 右田 勇一郎 vs 瀬戸熊 直樹 vs 藤崎 智 vs 近藤 久春
B卓 伊藤 優孝 vs 前原 雄大 vs 沢崎 誠 vs 朝武 雅晴
C卓 望月 雅継 vs 石渡 正志 vs 柴田 弘幸 vs ダンプ 大橋
カテゴリ:プロリーグ(鳳凰戦)レポート
プロリーグ(鳳凰戦)レポート/第29期プロリーグ A1 第1節レポート
2012年04月13日
桜の花満開の4月7日、第29期のプロリーグが開幕した。
今期は19年ぶり2度目の鳳凰位となった荒正義が1年間立会人を務め、次期挑戦者となるA1の猛者達の戦いを見届ける。
私は当然、荒さんがA1リーグレポートを書いてくれると思っていたし、荒さんのブログなどをご覧の方々は既に御承知のように、
荒さんの文章は上手くて面白いので期待もしていた。
ところが、開幕直前にホームページ編集者から「A1リーグのレポートをお願いします。」とのメールが来た。
私 「えっ荒さんじゃないの?」
編集者「荒さんが藤原さんでと言っています。」
3年前にA2に落ちたときはすぐに戻るツモリだったから、A1レポートを上から目線で書かせてもらったが、
B2まで落ちてA1が遠のいた今の私がA1を斬るなんておこがましい話なので、本心では辞退させて頂きたかったのだが、
「他になかなか適任者が居ないので宜しくお願いしますよ。」と押され、ついつい引き受けてしまったのでした。
まあ引き受けた以上は責任持って頑張らせていただきます。
今回は斜め上から目線くらいで書いてみますので皆さんお付き合い下さい。
さて、今期A2から昇って来たのは朝武と近藤。
朝武は昨年何故かA1から落ちてしまったが、元鳳凰位で決定戦出場7回の実績を誇るA1の顔の1人で、
当然のようにA2をブッチギリで優勝し、1年で戻って来た強者。今更詳しい紹介は不要だろう。
プロ入り12年目でようやくA1初昇級の近藤久晴は、これまで目立った戦績も無く新顔と言うよりもう48歳のベテランに近い。
連盟入会前からずっとフリー雀荘の店長を続けながらコツコツとここまで上がって来た。
キレ味鋭いとか華麗とか言うものとは縁遠い雀風で(失礼)、飄々とした粘っこい麻雀でメンタルも強そうなタイプ。
シャイで無口(のように見える)な近藤から短いコメントを貰った。
「A1は、これまで一度も勝った事が無い沢崎さんをはじめ、化け物みたいに強い人ばかりなので、1年で落とされないように必死に頑張ります。」
謙虚な大人のコメントだが半分は本音だろう、私にも経験があるが、A1での最初の半荘のプレッシャーや緊張感は独特のものがあり、
中には指が震えて牌をこぼすものさえ居る。
近藤もそのせいだったのかは解らないが、初戦からマイナス3着、1人沈みのラスとA1の洗礼を浴びつつあった。
相手は伊藤、前原、石渡のベテラン3人。
このまま終われば、開幕からいきなり辛い1年の始まりになるところだったが、
3回戦の南1局、北家の近藤は5,000点程プラスして石渡とのトップ争い、ツモが残り1回でこのテンパイ。
ドラ
このとき親の前原が、
チー チー
2つ仕掛けており、ドラ筋のはかなりの危険牌だったが、近藤はこれまでA2でやってきたように果敢に切りリーチを決行。
オリる気の無い前原が、ラス牌のをツモ切り5,200点放銃。このアガリが決めてとなり近藤は嬉しいA1初トップを1人浮きで飾った。
これで落ち着いたのか、最後の半荘も大きめの2着を取り、この日のトータルをプラスで終わらせる事が出来た。
近藤自身、本当にホッとしたことだろう。
これで、今後マークのかからない前半戦のうちに、落ち着いて自分の麻雀が打ち切れればもしかしてA1の台風の目となるかも知れない。
1人だけ最悪のスタートをやってしまったのは、A1唯一の20代ダンプ大橋(29)。
昨期初めてA1に昇ってきたのだが、夏場から逆噴射が始まりほぼ降級確定のところだった。
しかし、最終節で奇跡の残留を果たし、今期こそ同じ轍は踏まないつもりだった筈。
ところが、何と開幕戦4ラスで3桁オーバーの大マイナス!
いくら不調でも、A級プロなら1節でここまで負けてはいけないし、他のA1リーガー達にナメられる。(A1で降級候補と見下ろされたら辛いよ)
あまりの展開の悪さや、ツキの無さにキレそうになる事は誰にもあることだが、
それでも顔を上げずに辛抱し踏ん張り、最小限のマイナスに抑えられる膂力がなければ鳳凰位は程遠いと思う。
20代で王位を取り、A1リーガーにもなったダンプ大橋は、本物のA級プロになれる資質は十分に持っているはず。
今期は辛いシーズンになるだろうが、まだ若い(俺がプロ連盟に入ったのと同じ歳じゃん)のだから、
一度自分の麻雀をブッ壊して、ダンプの身体のように、もっと幹が太い強靭なものに作り直すのもいいんじゃないか?
来節、藤原の注目卓は{藤崎、近藤、瀬戸熊、右田}の組合せ。
開幕戦で壊れたダンプカー(大橋)を美味しく食べて、立ち慣れないA1の首位に立った藤崎と、
壊れなくてすんで一安心している近藤の、雀荘で働くオジサン2人組。
そして、鳳凰位3連覇は逃したが、まだ十段位を持つ、夏にこれも無くしたら是が非でも鳳凰位を取り返しに行かなくてはならない決定戦候補筆頭の瀬戸熊。
もう少しのところで鳳凰位を取り逃がし、今期は降級候補になるやも知れぬ右田。この決定戦敗退コンビがどんな闘いを魅せてくれますか?
ではまた来月!
(注)A1の皆様、このレポートを読んでも、けっして怒ったり気を悪くしないようにくれぐれもお願い致します。
第2節組み合わせ
A卓 右田 勇一郎 vs 瀬戸熊 直樹 vs 藤崎 智 vs 近藤 久春
B卓 伊藤 優孝 vs 前原 雄大 vs 沢崎 誠 vs 朝武 雅晴
C卓 望月 雅継 vs 石渡 正志 vs 柴田 弘幸 vs ダンプ 大橋
カテゴリ:プロリーグ(鳳凰戦)レポート
第29期プロリーグ A2 第1節レポート
2012年04月12日
「優勝劣敗」
私は色紙にサインなど頼まれると、時折この「優勝劣敗」と記すことがある。
言葉の意味はシンプルで、優れていれば勝ちは自ずとやって来るだろうし、劣っていれば敗れる。
ただ、それだけのことだと思い考えていた。麻雀も例にもれず、そういうゲーム、勝負と私は捉えていた。
目指すべきは強さであると。パーフェクトな打ち手は存在しないともおもっている。
誰もが皆、弱い部分、脆い部分を抱えながら生きているし、闘っている。
そして、向上して行こうと打ち手は皆考えているはず。
そういう思考を持っていないと、麻雀プロなぞやってられないと考えるのは私だけだろうか。
プロリーグ最終節の終わった夜、一通のメールが私の元に届いた。
「すみません、降級しました」
差出人は滝沢和典だった。
愚かな私は記してある文字の意味がよく理解できなかった。
彼が麻雀プロとしてデビューする前から戦って、既に十数年、おそらく今までに至るまでの生涯成績は私に優っていると思う。
先輩、後輩ということも全く関係ない。
昨年だったか、放銃にこそ至らなかったが、局面的に甘い打牌に滝沢が局後ハッキリとした口調で言った。
「前原さん、キチンと打って下さい」
要はそういう関係であり、それ以上でもそれ以下でもない関係である。
私はA2リーグというものが良く解らなくなった。
優勝劣敗という言葉もあやふやな脆いものに思えてならなかった。
翌日、私は編集長に電話を入れた。
「来期のA2リーグのレポートを書かせてもらえないだろうか?」
プロリーグ第1節は、一昨日までの寒さが嘘のように暖かな澄み渡った空だった。
昨日まで三分咲きの桜が、満開の花弁を誇らしげに胸を張っているようだった。
開幕に先立ち、日本プロ麻雀連盟会長である、灘麻太郎の短めの挨拶が印象的だった。
「皆、勝ちたいと思う気持ちはわかるけど、若い人には、できることなら目先の勝ちを獲りに行くのではなく、
もう少し長い期間の勝ちに拘って欲しい」
好い言葉だなと思った。
A1とA2の第1節は、同時刻開催の為、私は観戦が叶わずその変わりアンケートを各選手にお願いした。
内容は以下の通り
1 年齢
2 プロ連盟在籍年数(今年度を含む)
3 貴方以外に昇級すると思われる者を2名記してください。
4 貴方にとってA2リーグもしくはプロリーグとは何ですか。
1、2に関しては、平均年齢と在籍年数が知りたかったである。
平均年齢は36.7歳であり、在籍年数は15.3期である。
興味深かったのが3である。
板川和俊 10票
山田浩之 10票
猿川真寿 6票
勝又健志 4表
山井 弘 2票
この票数を公表するのはいかがなものかと思ったが、敢えて記した。
外側から感じるものと、闘い合う者同士が感じ合うものは別個のものだからである。
内側からの評価と外側からの評価は別もので、また、これを記すことは各選手にとっても良いことだと思ったからである。
票の入っている選手も入っていない選手も、この数字には得心いかぬところはあると思う。
その気持ちを、結果と内容で出してもらえればこれに優ることはない。
そして優勝劣敗、灘麻太郎会長が言っていた言葉は、強くなって欲しい、そうすれば自ずと結果はついてくるからだということなんだろう。
アンケートの4に関しては、来月以降掲載していく所存である。
協力してくださった各選手には、この場を借りて御礼を申し上げます。
第2節組み合わせ
A卓 老月 貴紀 vs 白鳥 翔 vs 板川 和俊 vs 二階堂 亜樹
B卓 中村 毅 vs 黒沢 咲 vs 吉田 直 vs 古川 孝次
C卓 猿川 真寿 vs 山井 弘 vs 仁平 宣明 vs 遠藤 啓太
D卓 金子 貴行 vs 山田 浩之 vs 勝又 健志 vs 四柳 弘樹
カテゴリ:プロリーグ(鳳凰戦)レポート
プロリーグ(鳳凰戦)レポート/第29期プロリーグ A2 第1節レポート
2012年04月12日
「優勝劣敗」
私は色紙にサインなど頼まれると、時折この「優勝劣敗」と記すことがある。
言葉の意味はシンプルで、優れていれば勝ちは自ずとやって来るだろうし、劣っていれば敗れる。
ただ、それだけのことだと思い考えていた。麻雀も例にもれず、そういうゲーム、勝負と私は捉えていた。
目指すべきは強さであると。パーフェクトな打ち手は存在しないともおもっている。
誰もが皆、弱い部分、脆い部分を抱えながら生きているし、闘っている。
そして、向上して行こうと打ち手は皆考えているはず。
そういう思考を持っていないと、麻雀プロなぞやってられないと考えるのは私だけだろうか。
プロリーグ最終節の終わった夜、一通のメールが私の元に届いた。
「すみません、降級しました」
差出人は滝沢和典だった。
愚かな私は記してある文字の意味がよく理解できなかった。
彼が麻雀プロとしてデビューする前から戦って、既に十数年、おそらく今までに至るまでの生涯成績は私に優っていると思う。
先輩、後輩ということも全く関係ない。
昨年だったか、放銃にこそ至らなかったが、局面的に甘い打牌に滝沢が局後ハッキリとした口調で言った。
「前原さん、キチンと打って下さい」
要はそういう関係であり、それ以上でもそれ以下でもない関係である。
私はA2リーグというものが良く解らなくなった。
優勝劣敗という言葉もあやふやな脆いものに思えてならなかった。
翌日、私は編集長に電話を入れた。
「来期のA2リーグのレポートを書かせてもらえないだろうか?」
プロリーグ第1節は、一昨日までの寒さが嘘のように暖かな澄み渡った空だった。
昨日まで三分咲きの桜が、満開の花弁を誇らしげに胸を張っているようだった。
開幕に先立ち、日本プロ麻雀連盟会長である、灘麻太郎の短めの挨拶が印象的だった。
「皆、勝ちたいと思う気持ちはわかるけど、若い人には、できることなら目先の勝ちを獲りに行くのではなく、
もう少し長い期間の勝ちに拘って欲しい」
好い言葉だなと思った。
A1とA2の第1節は、同時刻開催の為、私は観戦が叶わずその変わりアンケートを各選手にお願いした。
内容は以下の通り
1 年齢
2 プロ連盟在籍年数(今年度を含む)
3 貴方以外に昇級すると思われる者を2名記してください。
4 貴方にとってA2リーグもしくはプロリーグとは何ですか。
1、2に関しては、平均年齢と在籍年数が知りたかったである。
平均年齢は36.7歳であり、在籍年数は15.3期である。
興味深かったのが3である。
板川和俊 10票
山田浩之 10票
猿川真寿 6票
勝又健志 4表
山井 弘 2票
この票数を公表するのはいかがなものかと思ったが、敢えて記した。
外側から感じるものと、闘い合う者同士が感じ合うものは別個のものだからである。
内側からの評価と外側からの評価は別もので、また、これを記すことは各選手にとっても良いことだと思ったからである。
票の入っている選手も入っていない選手も、この数字には得心いかぬところはあると思う。
その気持ちを、結果と内容で出してもらえればこれに優ることはない。
そして優勝劣敗、灘麻太郎会長が言っていた言葉は、強くなって欲しい、そうすれば自ずと結果はついてくるからだということなんだろう。
アンケートの4に関しては、来月以降掲載していく所存である。
協力してくださった各選手には、この場を借りて御礼を申し上げます。
第2節組み合わせ
A卓 老月 貴紀 vs 白鳥 翔 vs 板川 和俊 vs 二階堂 亜樹
B卓 中村 毅 vs 黒沢 咲 vs 吉田 直 vs 古川 孝次
C卓 猿川 真寿 vs 山井 弘 vs 仁平 宣明 vs 遠藤 啓太
D卓 金子 貴行 vs 山田 浩之 vs 勝又 健志 vs 四柳 弘樹
カテゴリ:プロリーグ(鳳凰戦)レポート