第69回『対人』

勉強会の会場である連盟道場に到着すると、喫煙所で猿川真寿が一服していた。
現在、猿川はA2リーグでトップに立っている。

__プロリーグ第6節は70ポイントくらい勝っていたけど、全半荘浮き?
猿川「いや、マイナススタートでトップは2回だけだよ」
__着順は?
猿川「1回戦から3、2、1、1」
__1回戦から1、1、2、3みたいな着順だったらどうかな?同じ順位率だけど。
猿川「それだと20~30ポイントくらいしか勝っていないと思う」

意味不明な会話に聞こえるかもしれない。
同じ順位率ならば、どんな順番でも同じポイントになると考えるのが普通だからである。
ところが、この内容はオカルトでもなんでもなく、対人の競技の基本とも言える部分なのである。

69_01_smpwidth280_ktaiwidth240

東2局の親番、前巡に中を引き入れてテンパイが入る。残りツモ1回のこの場面で九索を勝負するべきか否か。
親番だから勝負、2者に対して厳しい牌だから丁寧にヤメ、オリるにしても何から打つか。
きっと答えは人それぞれであろう。

このように平面で与えられれば冷静に選択できるが、ある程度の回数をこなすとそこには別の判断基準が加わってくる。
人間同士が何かを賭けて打てばそこには感情の動きが生じるからである。それが判断を左右させ、不思議な波を作りあげるのである。

その波に打牌を壊されないように努力する打ち手もいれば、それを見つけようと努力する打ち手もいる。
波に抗うのか、従うのか、どちらを選択するのも自由だ。

自分の調子が良ければ、相対的に悪い者がいる。
”調子”というのはその日の体調や精神状態など、スタートからのコンディションもあるだろうし、勝負の最中に変化するものもある。

波に抗うということは、常に同じテンションで、1局単位で作業を続けるということ。
例え1パーセントを切る差であろうとも、必ず最善の打牌というものを追い続けなければならないということである。

しかし、本当の意味で機械的に打てる打ち手に、私は出会ったことがない。少なくとも、その努力をしている打ち手と出会ったことがない。

たとえばこのような場面、

ドラの白を打つべきかマンズに手をかけるべきか?

白が鳴かれる確率、鳴かれたときの失点確率、白が重なる確率、重なったときの期待値。
流れを否定する打ち手はこのような局面でどうするのか、正確な答えを用意しておかなければならないと思う。

自分の手牌と相手の捨て牌だけを使って、打牌をシステム化している戦術は見かける。
平均的に雀力が低い不特定多数を相手にして、その方法論を取り続ければある程度の数字は残せるだろう。
しかし、対戦相手を画一化することができない以上、その計算はかなり大雑把なものになってしまう。

意味がないとは言わないが、細かすぎる計算が勝負の決め手とはならない。
麻雀には不確定な要素が多いからである。

何らかのプレッシャーや責任がある勝負なら時間が経つにつれ、自分も相手も必ず精神状態が変化する。
プラスしている者は開始時よりも視界がクリアになっていることがあるし、マイナスしている者は焦ったり、悲観したり、
負けを取り返すために不利な勝負に出てみたりと、判断力が鈍ってくることが多い。

冒頭の猿川との会話にはそういった意味が含まれている。
プラスしている者とマイナスしている者、両者の精神状態には差がついているため、序盤と終盤では得点の仕方も違うということ。

目に見えない非科学的なものを否定する前にそういった解釈をしてみるのも悪くはないと思う。
否定するならとことん否定して、確率を追求し続けてほしい。
そして決して精神がブレないように日常からトレーニングするべきだと思う。

最近、猿川真寿は走りこみに精を出しているという。
もちろん麻雀のためにだ。

兄貴分の瀬戸熊直樹に影響されてかどうかはわからないが、体を鍛えることは精神にも脳にも良いことである。

反射神経は年齢とともに衰えていくのは間違いないが、脳はいつまでたっても学習し続け、精神のバランス感覚は進化し続けるものだ。

人間同士の勝負には、まだまだ未開拓な部分が多い。
完成形がないからこそ、麻雀は奥が深い。

中級/第69回『対人』

勉強会の会場である連盟道場に到着すると、喫煙所で猿川真寿が一服していた。
現在、猿川はA2リーグでトップに立っている。
__プロリーグ第6節は70ポイントくらい勝っていたけど、全半荘浮き?
猿川「いや、マイナススタートでトップは2回だけだよ」
__着順は?
猿川「1回戦から3、2、1、1」
__1回戦から1、1、2、3みたいな着順だったらどうかな?同じ順位率だけど。
猿川「それだと20~30ポイントくらいしか勝っていないと思う」
意味不明な会話に聞こえるかもしれない。
同じ順位率ならば、どんな順番でも同じポイントになると考えるのが普通だからである。
ところが、この内容はオカルトでもなんでもなく、対人の競技の基本とも言える部分なのである。
69_01_smpwidth280_ktaiwidth240
東2局の親番、前巡に中を引き入れてテンパイが入る。残りツモ1回のこの場面で九索を勝負するべきか否か。
親番だから勝負、2者に対して厳しい牌だから丁寧にヤメ、オリるにしても何から打つか。
きっと答えは人それぞれであろう。
このように平面で与えられれば冷静に選択できるが、ある程度の回数をこなすとそこには別の判断基準が加わってくる。
人間同士が何かを賭けて打てばそこには感情の動きが生じるからである。それが判断を左右させ、不思議な波を作りあげるのである。
その波に打牌を壊されないように努力する打ち手もいれば、それを見つけようと努力する打ち手もいる。
波に抗うのか、従うのか、どちらを選択するのも自由だ。
自分の調子が良ければ、相対的に悪い者がいる。
”調子”というのはその日の体調や精神状態など、スタートからのコンディションもあるだろうし、勝負の最中に変化するものもある。
波に抗うということは、常に同じテンションで、1局単位で作業を続けるということ。
例え1パーセントを切る差であろうとも、必ず最善の打牌というものを追い続けなければならないということである。
しかし、本当の意味で機械的に打てる打ち手に、私は出会ったことがない。少なくとも、その努力をしている打ち手と出会ったことがない。
たとえばこのような場面、

ドラの白を打つべきかマンズに手をかけるべきか?
白が鳴かれる確率、鳴かれたときの失点確率、白が重なる確率、重なったときの期待値。
流れを否定する打ち手はこのような局面でどうするのか、正確な答えを用意しておかなければならないと思う。
自分の手牌と相手の捨て牌だけを使って、打牌をシステム化している戦術は見かける。
平均的に雀力が低い不特定多数を相手にして、その方法論を取り続ければある程度の数字は残せるだろう。
しかし、対戦相手を画一化することができない以上、その計算はかなり大雑把なものになってしまう。
意味がないとは言わないが、細かすぎる計算が勝負の決め手とはならない。
麻雀には不確定な要素が多いからである。
何らかのプレッシャーや責任がある勝負なら時間が経つにつれ、自分も相手も必ず精神状態が変化する。
プラスしている者は開始時よりも視界がクリアになっていることがあるし、マイナスしている者は焦ったり、悲観したり、
負けを取り返すために不利な勝負に出てみたりと、判断力が鈍ってくることが多い。
冒頭の猿川との会話にはそういった意味が含まれている。
プラスしている者とマイナスしている者、両者の精神状態には差がついているため、序盤と終盤では得点の仕方も違うということ。
目に見えない非科学的なものを否定する前にそういった解釈をしてみるのも悪くはないと思う。
否定するならとことん否定して、確率を追求し続けてほしい。
そして決して精神がブレないように日常からトレーニングするべきだと思う。
最近、猿川真寿は走りこみに精を出しているという。
もちろん麻雀のためにだ。
兄貴分の瀬戸熊直樹に影響されてかどうかはわからないが、体を鍛えることは精神にも脳にも良いことである。
反射神経は年齢とともに衰えていくのは間違いないが、脳はいつまでたっても学習し続け、精神のバランス感覚は進化し続けるものだ。
人間同士の勝負には、まだまだ未開拓な部分が多い。
完成形がないからこそ、麻雀は奥が深い。

第26期 決勝観戦記

予選を堂々の1位と2位で通過した嶋村と東谷。
最後の一戦で一気に決勝の席に滑り込んだ童瞳と菅原。
本日絶好調の2人と、追い風が吹いている2人。どんな決勝になるのだろうか。
そして全2回戦のうち、第1回戦が始まった。

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1回戦(起家から、嶋村・菅原・東谷・童瞳)

東1局、最初に仕掛けたのは南家の菅原。五万をカンチャンでチー。

七万七万八万八万八万西西北北北 チー四万五万六万 ドラ八万

ドラが暗刻のホンイツのテンパイである。

東谷の手に、七万西、両方浮いているが、ここは丁寧に対応。

次に仕掛けたのは親の嶋村。

一索二索二索三索四索四索五索五索七索八索九索中中

ここから、菅原がツモ切った中をポン。そして打二索

なんと一索を切って三索六索に受けずに、二索を切って四索五索のシャンポンに受ける。
そして直後に菅原が六索がツモ切られ、5,800のアガリ逃しとなる。
流石に流局か、と思われたが意外な形でこの局は終わる。

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ハイテイにいたのは、嶋村の当たり牌のラス五索

二索八索が通り、六索も3枚見えているので、比較的通りそうには見える。
嶋村の捨て牌は確かに染め手にはみえるが、致し方ない放銃である。
逆に嶋村は、5,800のアガリを逃して、11,600でアガれるだなんて、この日の運気の高さが伺える。
開局からいきなり満貫クラスの手が炸裂。ここから試合はどう展開していくのか。

東1局1本場、一番にテンパイを入れたのが前局放銃した菅原。
ドラトイツの七対子のテンパイ。

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菅原はこれをノータイムで、七索単騎のリーチを打つ。
本人は「六索が自分から3枚見えているし、七索はまず山にいると思ったので、跳満をアガリに行きました」
と語っていた。菅原の読みは当たっていて、山に3枚生きていた。

そして、2巡後にあっさり七索をツモアガって3,000・6,000。
このリーチが功を奏し、前局の放銃した点棒を見事取り返した。

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菅原 直哉

もう少し待ち頃な牌を探しつつ、ヤミで6,400をアガろうとは考えずに、
すぐリーチを打って3,000・6,000を狙いにいったのは菅原の感性なのだろう。素晴らしいと思った。

東2局、嶋村が7巡目にタンヤオ、ドラ2の5,200のテンパイを入れる。
そしてもう1人手が入っているのは、西家の童瞳。ホンイツの1シャンテンである。

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しかし、ここで東谷からツモ切られた八索をチーしてしまう。

本人は「普段は絶対に鳴かない。声が出てしまった」と語っている。鳴いて流れた牌は四索
鳴かなければ菅原が掴む二索でアガれていたかもしれない。

結局、八索西のシャンポンに待ちになったが、高目の西は東谷の手の中。厳しい待ちとなった。
菅原も、入り目が役のつかない牌だったので、もつれるかと思ったが「ツモ」と発声したのは、嶋村。

最後のドラの八筒をツモって、2,000・4,000のアガリとなった。
3局連続満貫クラスのアガリで、大荒れの半荘となっている。

東3局、全員の手が落ちつき始めたと思ったが、勝負手になりそうなのは菅原。

一万二万三万三万五万七索八索四筒白白発中中 ドラ四筒

5巡目に白をポンして、打四筒。その四筒を童瞳が、すかさずポン、打六筒

四万八万九万四索四索五索一筒三筒東東 ポン四筒 上向き四筒 左向き四筒 上向き

苦しい仕掛けだが、本人は「菅原さんに好き勝手やらせないために牽制した」と語っていた。
菅原もその仕掛けを見て、嫌な牌を引いたら回るつもりでいたらしい。

しかし、あっさり六索を引いてテンパイ、打発。そして童瞳から四万が出て1,000のアガリとなった。
軽く親を流された東谷は、少し苦しい展開となってしまっている。

東4局、手が入ったのは東谷。10巡目。

一万三万三万五万五万六万六万七万八万八万三筒四筒四筒 ツモ二万 ドラ六万

トイツ手、面子手の1シャンテンである。
何を切るか難しい所だが、自分は一色手への移行を考えつつ打四筒とすると思う。
東谷の選択は打三万。確かに四筒より三万のほうがテンパイの受け入れは広いが、少しもったいないような気がした。

しかしこの手が異様な伸び方をする。ツモ六万、ツモ八万でツモリ三暗刻の形になった。
残りのツモは1回しかないがヤミでは出アガリできないのでリーチ。

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さすがにアガれないかな、と思っていたが、テンパイを入れていた嶋村が四筒をツモ切ってしまう。
1人浮きのトップ目なのでここは丁寧にオリるべきである。さらに流局直前なのでまず高いと想定する。
嶋村ここはもったいない満貫の放銃となってしまった。
逆に、原点復帰した東谷は、南場で一気に勢いに乗りたいところである。

南1局、先制リーチは南家の菅原。10巡目。

七万八万二索二索五索六索七索二筒二筒二筒三筒四筒五筒 リーチ ドラ二筒

菅原は再びドラ暗刻。六万をツモれば跳満の勝負手である。
15巡目に菅原は、暗カンできる二筒を引く。しかし菅原はツモ切る!
これは打点を隠すためである。二筒で放銃するリスクを承知しての、出アガリを重点に置いた暗カンスルーである。
そしてその作戦が上手く行き、嶋村のテンパイ打牌の六万をおびき出す事に成功。暗カンしていたらまず出なかった六万である。
嶋村は痛い2連続満貫放銃となってしまい、ついに原点を割ってしまった。

南2局、先制リーチは西家の童瞳。9巡目。

六万七万八万七索七索七索三筒四筒五筒九筒九筒白白 リーチ ドラ白

白をツモれば跳満の勝負手である。
真っ向勝負と出たのは、南家の東谷。

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東谷 達矢

ダブ南をポンしてホンイツに向かって満貫のテンパイを目指す。危険牌を数枚押してついに追いついた。
待ちは一万東のシャンポン。そして直後に童瞳が一万を掴んでしまう。

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東谷はここでよく押し切ったと思う。いくべき所でしっかり押しきるというのが東谷の持ち味なのだろう。
今度は、童瞳が苦しい展開となってきていた。

南3局、トップに立った東谷はここでさらに加点をしたいところである。
ドラは中。菅原と嶋村と童瞳に1枚づつ散らばった所に、菅原が重ねなんとかテンパイ。
そして、この半荘初めての流局。東谷と菅原の2人テンパイとなった。

南3局1本場、4巡目に菅原が白をポンして1シャンテン。

五万六万二筒三筒五筒六筒七筒東東中 ポン白白白 ドラ二筒

7巡目に東谷も南をポンして1シャンテン。

二筒三筒三筒四筒四筒六筒八筒九筒九筒中 ポン南南南

かわし手と勝負手がぶつかることとなった。さきにテンパイを入れたのは菅原。七万をチーして、一筒四筒待ちテンパイ。
その後、ドラを引いて二筒東のテンパイに変わる。そして、東谷も七筒をチーして二筒五筒待ちの満貫クラスのテンパイ。

しかし、アガったのは先にテンパイを入れていた菅原。東をツモって1,300・2,600のアガリとなった。
そして菅原と東谷が競った状態で、オーラスを迎える。

南4局、3,000点以上アガればトップになれる東谷は、

三万五万六万九万六索七索八索七筒北北白白中

1枚目の白をポンして打七筒とする。この手はここから驚異的な伸びを見せ11巡目テンパイ。

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あの手がソーズに染まって、跳満のテンパイ!!
待ちを五索七索か選べるが、親が七索を直前に切っているということもあり、四索を切って七索待ちを選択。
これについて瀬戸熊プロは「状態がいいので素直に、変化が効く打八索とするべきじゃないかな」とコメントしている。

そして次巡のツモはアガリ逃がしとなる五索
九索を切って二索八索のシャンポンに受け変えるが、1度アガり逃しすると他の人がアガるというのもよくある話で、
テンパイを入れていた嶋村が七索をツモって500・1,000で1回戦が終了した。

1回戦終了時
菅原+21.2P  東谷+13.2P  嶋村▲6.4P  童瞳▲28.0P

全2回勝負なので、1回戦目でトップを取った菅原は、かなりのアドバンテージとなる。
他の3人は、菅原より順位が上になることが絶対条件となる。是が非でも菅原を沈めたい所である。
今日初めて追われる立場となった菅原。このまま逃げ切ることが出来るのか。

2回戦(起家から、東谷・嶋村・童瞳・菅原)

東1局、早6巡目で南家の嶋村のリーチ。

四万五万七万七万七万一索二索三索三筒四筒五筒白白 リーチ ドラ五筒

東谷は大事な親番なので、連荘するために勝負。しかし東谷がテンパイする前に嶋村のツモ。
六万をツモって1,000・2,000のアガリとなった。

東2局、3巡目に嶋村が切った2枚目の中を西家の菅原がポン。そしてチャンタに見える捨て牌。
それを受けて10巡目、童瞳の手牌。

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なんとこの四筒をツモ切る。下家の菅原に対して絶対鳴かせないよう徹底しているのだ。
トータルトップの菅原にアガらせてしまっては、全員の条件が厳しくなってしまう。
実はその時、菅原の手は以下のとおりであった。

一万二万三万一索二索一筒三筒九筒西西 ポン中中中

菅原からしたら、喉から手が出るほど欲しい二筒だったのだ。
ここで二筒を鳴かせなかった童瞳の活躍は大きい。

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童瞳

童瞳が丁寧に受けに回っただけあり、この局は流局。
嶋村と菅原の2人テンパイとなった。

東2局1本場、5巡目の嶋村の手。

三万三万五万三索四索七索九索白白発発中中

大物手が炸裂するか?と思われたが、1つも鳴けずに南家の童瞳からリーチが入る。
七対子の1シャンテンとなった嶋村が切った牌で3,900のアガリ。
このアガリで童瞳が31,700点持ちとなり、微差ながらトップに立った。

東3局、先制リーチは嶋村。フリテンの五万八万待ちである。高目の五万をツモれば満貫になる。
しかし東谷に追いつかれる。

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四万を切って、高目5,200のテンパイである。やっと実ったテンパイなのでもちろん勝負の打四万

すぐ東谷が六索をツモ。安めではあるが500・1,000のアガリとなった。
このアガリで、トップの童瞳が30,700点持ち。ラスの東谷が29,500点持ちと、かなり平らな状況となった。

東4局、菅原が7巡目にリーチ。

二万三万三万四万四万五万三索三索六索七索八索三筒四筒 リーチ ドラ一筒

出アガリ5,800のリーチである。トータルトップのリーチなので、まずアガらせたくないのだが、誰も戦える手ではない。
さらに現物がなくなった嶋村から二筒が打たれてしまう。
このアガリで、菅原の優勝が一気に近づき、トータル3位の嶋村の優勝が一気に遠のいた。

東4局1本場、またもテンパイ一番乗りは菅原。6巡目。

六万七万八万一筒二筒三筒四筒六筒七筒八筒九筒北北 ドラ南

リーチするか難しい所だが、当面のライバルである東谷の捨て牌にピンズが物凄く安い。それを見てヤミテンを選択。
そして、うまい具合に初めから持っていた五筒が8巡目に東谷の河に打たれる。
一番点棒が欲しい所から、3,900のアガリとなった。出場所最高である。完全に菅原ペースとなった。

東4局2本場、先制リーチは東谷。早3巡目でのリーチである。

三万四万一索一索二索三索四索五索六索七索六筒七筒八筒 リーチ ドラ六筒

まっすぐ向かっていった童瞳の3,900の放銃となった。
一番連荘されたくない菅原の親が流れるので、この放銃は特に悪くない。
菅原の1人浮きでついに2回戦も南入する。

南1局、現在トータル2位の東谷の親である。
なんとしても連荘したい東谷だが、トータルトップの菅原の手に、発発>中中と、かわす材料がそろっている。
菅原は1枚目の発をすかさずポン。そしてサクッと2,600でこの局をアガる。
最後の親番を菅原に軽く流された東谷は、条件が厳しくなってしまった。

南2局、現在トータル3位の嶋村の親である。
東谷と同じく、どうしても連荘したい親番である。配牌は、

六万六万七万八万四索六索七索七索三筒四筒五筒八筒東中 ドラ二万

悪くない配牌である。さらに2巡目にはツモ五索。一気に手が引きしまった。
六万六万七万八万のマンズのくっつきテンパイとなり、八万引きテンパイ。
入り目こそ微妙だが、リーチしてツモれば3,900オールとなるので、打点的には十分である。

もちろん嶋村はリーチ。そして終局近くなった17巡目に待望のツモ七万

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嶋村 泰之

これで3,900オールのアガりとなった。
これで点差は一気に縮まり、菅原とは3,000点差となった。
しかしトータルではまだ全然足りていないので、更なる加点が必要である。

南2局1本場、連荘に成功した嶋村。次も是非アガって菅原を逆転したいところである。
配牌は、

二万四万四万五万六万二索三索五索五索五筒七筒七筒八筒南 ドラ五索

またまた悪くない配牌で、今度はドラがトイツとなっている。
しかしこの手が中々伸びず、テンパイしたのは15巡目。

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待望の11,600点のリーチだが、前巡に4枚目の六筒を切られてしまい、待ちは九筒のみとなったのだが、
この九筒が実は七対子をテンパイしている菅原と、チャンタの1シャンテンの東谷にトイツ。
純カラのリーチとなってしまっていた。

アガる事が出来れば一気に優勝が見えたが、童瞳が二索で1,000点をアガリ、嶋村の親は流れた。
現状2位の嶋村も大分立場が苦しくなった。そしてラス前を迎える。

南3局、配牌は全員まずまず。嶋村の手にトイツが4組あり、そのうち2組のトイツが役牌である。
2巡目に役牌の南を暗刻にして、4巡目に4枚目の南を持ってきて即暗カン。点数が見込める手になってきた。
菅原も中をポンして1シャンテン。そして11巡目、嶋村のツモは四万

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ツモリ四暗刻の1シャンテンである。
去年のラス前に四暗刻をツモった姿を思い出し、まさか・・・と息をのんだ。
しかし入り目はドラの三万

それでも出アガリ8,000。ツモれば3,000・6,000なのでリーチと出る。
待ちは五索発のシャンポン待ち。発は山に1枚、五索は純カラ。
遅い巡目でのリーチなので、アガリは流石に厳しいか、と思われたが、まさかの出来事でこの局は終わる。

童瞳が切った七万に菅原のチーの声。チーしてテンパイできる打牌は、五索だけである。
これは、と思ったが、まさかの打五索

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一番打ってはいけない相手への放銃となってしまった。
本人は「絶対振り込んではいけない場面と分かっていたのですが・・・」と言葉を詰まらせていた。

たしかにこの満貫をアガれば、もう99%優勝である。
優勝が目前まで来て、冷静な判断が出来なくなってしまったのだろう。
しかし、現在もトータルトップは菅原。ここで条件確認の時間が取られた。

~条件確認~

現在持ち点。
嶋村42,700点 菅原30,700点 東谷24,600点 童瞳22,000点

このまま終わったら、
嶋村+20.7P  菅原+4.7P  東谷▲9.4P  童瞳▲16.0P
となる。

1回戦のポイントと合計してみると
菅原+25.9P  嶋村+14.3P  東谷+3.8P  童瞳▲44.0P

童瞳は、役満をツモるとトータル+4.0Pでギリギリ優勝。
東谷は、2,000・3,900のツモで優勝。菅原からなら6,400以上の直撃で優勝。
そして、僅差なのが菅原と嶋村。現在、差は11.6P。

一見僅差に見えないが、菅原が沈むと順位点の+4.0Pが▲1.0Pになり、嶋村の+8.0Pが+12.0Pとなる。
その順位点だけで9.0P縮まるので、菅原が沈めば、それだけで2.6P差となる。

つまり、菅原がノーテンで伏せて嶋村がテンパイしていると、それで逆転し終了となってしまうのである。
なので、菅原は連荘出来ないとほぼ負けてしまうという立場でオーラスを迎えた。

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南4局、嶋村より菅原のほうが配牌はまとまっている。
しかし伸びが良いのはやはり嶋村。
東谷が9巡目に、

一万二万三万三万四万四万四万五万九万九万南発発

こうなり、優勝条件を満たす手の1シャンテンとなるが、もっと早かったのは嶋村であった。

二索二索三索四索五索六索七索三筒三筒四筒四筒五筒五筒 ツモ二索

条件を大幅に超える2,000・4,000のツモで、見事逆転優勝した。

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調子の良い4人が集まっただけあって、全体的に打点が高く、見ごたえある決勝だった。
最後の最後まで誰が優勝するかわからない面白い決勝だった。
皆、いい戦いを見せてくれたと思っている。心から拍手を送りたい。

優勝した嶋村泰之プロ。終始ヒヤヒヤさせる展開だったが、最後の逆転は素晴らしかった。
去年準優勝、そして今年優勝だなんて本当にかっこいいと思った。
これで彼は、チャンピオンズリーグ・新人王の2冠となった。これからもっと有名になっていくに違いない。
いまだにD3リーグであるが、是非、特別昇級リーグを生かして上のリーグに行ってもらい、今後の活躍に期待したいと思った。
本当におめでとう。

若手の登竜門となる新人王戦。今年は嶋村プロが優勝して幕を閉じた。
新人王戦は本当に良い大会である。だから、参加資格がある方は積極的に参加すべきであると思う。
そして勝って、登竜門をかけのぼってくれたら幸いである。

新人王 決勝観戦記/第26期 決勝観戦記

予選を堂々の1位と2位で通過した嶋村と東谷。
最後の一戦で一気に決勝の席に滑り込んだ童瞳と菅原。
本日絶好調の2人と、追い風が吹いている2人。どんな決勝になるのだろうか。
そして全2回戦のうち、第1回戦が始まった。
sinjinoh_26_14
1回戦(起家から、嶋村・菅原・東谷・童瞳)
東1局、最初に仕掛けたのは南家の菅原。五万をカンチャンでチー。
七万七万八万八万八万西西北北北 チー四万五万六万 ドラ八万
ドラが暗刻のホンイツのテンパイである。
東谷の手に、七万西、両方浮いているが、ここは丁寧に対応。
次に仕掛けたのは親の嶋村。
一索二索二索三索四索四索五索五索七索八索九索中中
ここから、菅原がツモ切った中をポン。そして打二索
なんと一索を切って三索六索に受けずに、二索を切って四索五索のシャンポンに受ける。
そして直後に菅原が六索がツモ切られ、5,800のアガリ逃しとなる。
流石に流局か、と思われたが意外な形でこの局は終わる。
sinjinoh_26_15
ハイテイにいたのは、嶋村の当たり牌のラス五索
二索八索が通り、六索も3枚見えているので、比較的通りそうには見える。
嶋村の捨て牌は確かに染め手にはみえるが、致し方ない放銃である。
逆に嶋村は、5,800のアガリを逃して、11,600でアガれるだなんて、この日の運気の高さが伺える。
開局からいきなり満貫クラスの手が炸裂。ここから試合はどう展開していくのか。
東1局1本場、一番にテンパイを入れたのが前局放銃した菅原。
ドラトイツの七対子のテンパイ。
sinjinoh_26_16
菅原はこれをノータイムで、七索単騎のリーチを打つ。
本人は「六索が自分から3枚見えているし、七索はまず山にいると思ったので、跳満をアガリに行きました」
と語っていた。菅原の読みは当たっていて、山に3枚生きていた。
そして、2巡後にあっさり七索をツモアガって3,000・6,000。
このリーチが功を奏し、前局の放銃した点棒を見事取り返した。

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菅原 直哉

もう少し待ち頃な牌を探しつつ、ヤミで6,400をアガろうとは考えずに、
すぐリーチを打って3,000・6,000を狙いにいったのは菅原の感性なのだろう。素晴らしいと思った。
東2局、嶋村が7巡目にタンヤオ、ドラ2の5,200のテンパイを入れる。
そしてもう1人手が入っているのは、西家の童瞳。ホンイツの1シャンテンである。
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しかし、ここで東谷からツモ切られた八索をチーしてしまう。
本人は「普段は絶対に鳴かない。声が出てしまった」と語っている。鳴いて流れた牌は四索
鳴かなければ菅原が掴む二索でアガれていたかもしれない。
結局、八索西のシャンポンに待ちになったが、高目の西は東谷の手の中。厳しい待ちとなった。
菅原も、入り目が役のつかない牌だったので、もつれるかと思ったが「ツモ」と発声したのは、嶋村。
最後のドラの八筒をツモって、2,000・4,000のアガリとなった。
3局連続満貫クラスのアガリで、大荒れの半荘となっている。
東3局、全員の手が落ちつき始めたと思ったが、勝負手になりそうなのは菅原。
一万二万三万三万五万七索八索四筒白白発中中 ドラ四筒
5巡目に白をポンして、打四筒。その四筒を童瞳が、すかさずポン、打六筒
四万八万九万四索四索五索一筒三筒東東 ポン四筒 上向き四筒 左向き四筒 上向き
苦しい仕掛けだが、本人は「菅原さんに好き勝手やらせないために牽制した」と語っていた。
菅原もその仕掛けを見て、嫌な牌を引いたら回るつもりでいたらしい。
しかし、あっさり六索を引いてテンパイ、打発。そして童瞳から四万が出て1,000のアガリとなった。
軽く親を流された東谷は、少し苦しい展開となってしまっている。
東4局、手が入ったのは東谷。10巡目。
一万三万三万五万五万六万六万七万八万八万三筒四筒四筒 ツモ二万 ドラ六万
トイツ手、面子手の1シャンテンである。
何を切るか難しい所だが、自分は一色手への移行を考えつつ打四筒とすると思う。
東谷の選択は打三万。確かに四筒より三万のほうがテンパイの受け入れは広いが、少しもったいないような気がした。
しかしこの手が異様な伸び方をする。ツモ六万、ツモ八万でツモリ三暗刻の形になった。
残りのツモは1回しかないがヤミでは出アガリできないのでリーチ。
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さすがにアガれないかな、と思っていたが、テンパイを入れていた嶋村が四筒をツモ切ってしまう。
1人浮きのトップ目なのでここは丁寧にオリるべきである。さらに流局直前なのでまず高いと想定する。
嶋村ここはもったいない満貫の放銃となってしまった。
逆に、原点復帰した東谷は、南場で一気に勢いに乗りたいところである。
南1局、先制リーチは南家の菅原。10巡目。
七万八万二索二索五索六索七索二筒二筒二筒三筒四筒五筒 リーチ ドラ二筒
菅原は再びドラ暗刻。六万をツモれば跳満の勝負手である。
15巡目に菅原は、暗カンできる二筒を引く。しかし菅原はツモ切る!
これは打点を隠すためである。二筒で放銃するリスクを承知しての、出アガリを重点に置いた暗カンスルーである。
そしてその作戦が上手く行き、嶋村のテンパイ打牌の六万をおびき出す事に成功。暗カンしていたらまず出なかった六万である。
嶋村は痛い2連続満貫放銃となってしまい、ついに原点を割ってしまった。
南2局、先制リーチは西家の童瞳。9巡目。
六万七万八万七索七索七索三筒四筒五筒九筒九筒白白 リーチ ドラ白
白をツモれば跳満の勝負手である。
真っ向勝負と出たのは、南家の東谷。

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東谷 達矢

ダブ南をポンしてホンイツに向かって満貫のテンパイを目指す。危険牌を数枚押してついに追いついた。
待ちは一万東のシャンポン。そして直後に童瞳が一万を掴んでしまう。
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東谷はここでよく押し切ったと思う。いくべき所でしっかり押しきるというのが東谷の持ち味なのだろう。
今度は、童瞳が苦しい展開となってきていた。
南3局、トップに立った東谷はここでさらに加点をしたいところである。
ドラは中。菅原と嶋村と童瞳に1枚づつ散らばった所に、菅原が重ねなんとかテンパイ。
そして、この半荘初めての流局。東谷と菅原の2人テンパイとなった。
南3局1本場、4巡目に菅原が白をポンして1シャンテン。
五万六万二筒三筒五筒六筒七筒東東中 ポン白白白 ドラ二筒
7巡目に東谷も南をポンして1シャンテン。
二筒三筒三筒四筒四筒六筒八筒九筒九筒中 ポン南南南
かわし手と勝負手がぶつかることとなった。さきにテンパイを入れたのは菅原。七万をチーして、一筒四筒待ちテンパイ。
その後、ドラを引いて二筒東のテンパイに変わる。そして、東谷も七筒をチーして二筒五筒待ちの満貫クラスのテンパイ。
しかし、アガったのは先にテンパイを入れていた菅原。東をツモって1,300・2,600のアガリとなった。
そして菅原と東谷が競った状態で、オーラスを迎える。
南4局、3,000点以上アガればトップになれる東谷は、
三万五万六万九万六索七索八索七筒北北白白中
1枚目の白をポンして打七筒とする。この手はここから驚異的な伸びを見せ11巡目テンパイ。
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あの手がソーズに染まって、跳満のテンパイ!!
待ちを五索七索か選べるが、親が七索を直前に切っているということもあり、四索を切って七索待ちを選択。
これについて瀬戸熊プロは「状態がいいので素直に、変化が効く打八索とするべきじゃないかな」とコメントしている。
そして次巡のツモはアガリ逃がしとなる五索
九索を切って二索八索のシャンポンに受け変えるが、1度アガり逃しすると他の人がアガるというのもよくある話で、
テンパイを入れていた嶋村が七索をツモって500・1,000で1回戦が終了した。
1回戦終了時
菅原+21.2P  東谷+13.2P  嶋村▲6.4P  童瞳▲28.0P
全2回勝負なので、1回戦目でトップを取った菅原は、かなりのアドバンテージとなる。
他の3人は、菅原より順位が上になることが絶対条件となる。是が非でも菅原を沈めたい所である。
今日初めて追われる立場となった菅原。このまま逃げ切ることが出来るのか。
2回戦(起家から、東谷・嶋村・童瞳・菅原)
東1局、早6巡目で南家の嶋村のリーチ。
四万五万七万七万七万一索二索三索三筒四筒五筒白白 リーチ ドラ五筒
東谷は大事な親番なので、連荘するために勝負。しかし東谷がテンパイする前に嶋村のツモ。
六万をツモって1,000・2,000のアガリとなった。
東2局、3巡目に嶋村が切った2枚目の中を西家の菅原がポン。そしてチャンタに見える捨て牌。
それを受けて10巡目、童瞳の手牌。
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なんとこの四筒をツモ切る。下家の菅原に対して絶対鳴かせないよう徹底しているのだ。
トータルトップの菅原にアガらせてしまっては、全員の条件が厳しくなってしまう。
実はその時、菅原の手は以下のとおりであった。
一万二万三万一索二索一筒三筒九筒西西 ポン中中中
菅原からしたら、喉から手が出るほど欲しい二筒だったのだ。
ここで二筒を鳴かせなかった童瞳の活躍は大きい。

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童瞳

童瞳が丁寧に受けに回っただけあり、この局は流局。
嶋村と菅原の2人テンパイとなった。
東2局1本場、5巡目の嶋村の手。
三万三万五万三索四索七索九索白白発発中中
大物手が炸裂するか?と思われたが、1つも鳴けずに南家の童瞳からリーチが入る。
七対子の1シャンテンとなった嶋村が切った牌で3,900のアガリ。
このアガリで童瞳が31,700点持ちとなり、微差ながらトップに立った。
東3局、先制リーチは嶋村。フリテンの五万八万待ちである。高目の五万をツモれば満貫になる。
しかし東谷に追いつかれる。
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四万を切って、高目5,200のテンパイである。やっと実ったテンパイなのでもちろん勝負の打四万
すぐ東谷が六索をツモ。安めではあるが500・1,000のアガリとなった。
このアガリで、トップの童瞳が30,700点持ち。ラスの東谷が29,500点持ちと、かなり平らな状況となった。
東4局、菅原が7巡目にリーチ。
二万三万三万四万四万五万三索三索六索七索八索三筒四筒 リーチ ドラ一筒
出アガリ5,800のリーチである。トータルトップのリーチなので、まずアガらせたくないのだが、誰も戦える手ではない。
さらに現物がなくなった嶋村から二筒が打たれてしまう。
このアガリで、菅原の優勝が一気に近づき、トータル3位の嶋村の優勝が一気に遠のいた。
東4局1本場、またもテンパイ一番乗りは菅原。6巡目。
六万七万八万一筒二筒三筒四筒六筒七筒八筒九筒北北 ドラ南
リーチするか難しい所だが、当面のライバルである東谷の捨て牌にピンズが物凄く安い。それを見てヤミテンを選択。
そして、うまい具合に初めから持っていた五筒が8巡目に東谷の河に打たれる。
一番点棒が欲しい所から、3,900のアガリとなった。出場所最高である。完全に菅原ペースとなった。
東4局2本場、先制リーチは東谷。早3巡目でのリーチである。
三万四万一索一索二索三索四索五索六索七索六筒七筒八筒 リーチ ドラ六筒
まっすぐ向かっていった童瞳の3,900の放銃となった。
一番連荘されたくない菅原の親が流れるので、この放銃は特に悪くない。
菅原の1人浮きでついに2回戦も南入する。
南1局、現在トータル2位の東谷の親である。
なんとしても連荘したい東谷だが、トータルトップの菅原の手に、発発>中中と、かわす材料がそろっている。
菅原は1枚目の発をすかさずポン。そしてサクッと2,600でこの局をアガる。
最後の親番を菅原に軽く流された東谷は、条件が厳しくなってしまった。
南2局、現在トータル3位の嶋村の親である。
東谷と同じく、どうしても連荘したい親番である。配牌は、
六万六万七万八万四索六索七索七索三筒四筒五筒八筒東中 ドラ二万
悪くない配牌である。さらに2巡目にはツモ五索。一気に手が引きしまった。
六万六万七万八万のマンズのくっつきテンパイとなり、八万引きテンパイ。
入り目こそ微妙だが、リーチしてツモれば3,900オールとなるので、打点的には十分である。
もちろん嶋村はリーチ。そして終局近くなった17巡目に待望のツモ七万

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嶋村 泰之

これで3,900オールのアガりとなった。
これで点差は一気に縮まり、菅原とは3,000点差となった。
しかしトータルではまだ全然足りていないので、更なる加点が必要である。
南2局1本場、連荘に成功した嶋村。次も是非アガって菅原を逆転したいところである。
配牌は、
二万四万四万五万六万二索三索五索五索五筒七筒七筒八筒南 ドラ五索
またまた悪くない配牌で、今度はドラがトイツとなっている。
しかしこの手が中々伸びず、テンパイしたのは15巡目。
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待望の11,600点のリーチだが、前巡に4枚目の六筒を切られてしまい、待ちは九筒のみとなったのだが、
この九筒が実は七対子をテンパイしている菅原と、チャンタの1シャンテンの東谷にトイツ。
純カラのリーチとなってしまっていた。
アガる事が出来れば一気に優勝が見えたが、童瞳が二索で1,000点をアガリ、嶋村の親は流れた。
現状2位の嶋村も大分立場が苦しくなった。そしてラス前を迎える。
南3局、配牌は全員まずまず。嶋村の手にトイツが4組あり、そのうち2組のトイツが役牌である。
2巡目に役牌の南を暗刻にして、4巡目に4枚目の南を持ってきて即暗カン。点数が見込める手になってきた。
菅原も中をポンして1シャンテン。そして11巡目、嶋村のツモは四万
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ツモリ四暗刻の1シャンテンである。
去年のラス前に四暗刻をツモった姿を思い出し、まさか・・・と息をのんだ。
しかし入り目はドラの三万
それでも出アガリ8,000。ツモれば3,000・6,000なのでリーチと出る。
待ちは五索発のシャンポン待ち。発は山に1枚、五索は純カラ。
遅い巡目でのリーチなので、アガリは流石に厳しいか、と思われたが、まさかの出来事でこの局は終わる。
童瞳が切った七万に菅原のチーの声。チーしてテンパイできる打牌は、五索だけである。
これは、と思ったが、まさかの打五索
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一番打ってはいけない相手への放銃となってしまった。
本人は「絶対振り込んではいけない場面と分かっていたのですが・・・」と言葉を詰まらせていた。
たしかにこの満貫をアガれば、もう99%優勝である。
優勝が目前まで来て、冷静な判断が出来なくなってしまったのだろう。
しかし、現在もトータルトップは菅原。ここで条件確認の時間が取られた。
~条件確認~
現在持ち点。
嶋村42,700点 菅原30,700点 東谷24,600点 童瞳22,000点
このまま終わったら、
嶋村+20.7P  菅原+4.7P  東谷▲9.4P  童瞳▲16.0P
となる。
1回戦のポイントと合計してみると
菅原+25.9P  嶋村+14.3P  東谷+3.8P  童瞳▲44.0P
童瞳は、役満をツモるとトータル+4.0Pでギリギリ優勝。
東谷は、2,000・3,900のツモで優勝。菅原からなら6,400以上の直撃で優勝。
そして、僅差なのが菅原と嶋村。現在、差は11.6P。
一見僅差に見えないが、菅原が沈むと順位点の+4.0Pが▲1.0Pになり、嶋村の+8.0Pが+12.0Pとなる。
その順位点だけで9.0P縮まるので、菅原が沈めば、それだけで2.6P差となる。
つまり、菅原がノーテンで伏せて嶋村がテンパイしていると、それで逆転し終了となってしまうのである。
なので、菅原は連荘出来ないとほぼ負けてしまうという立場でオーラスを迎えた。
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南4局、嶋村より菅原のほうが配牌はまとまっている。
しかし伸びが良いのはやはり嶋村。
東谷が9巡目に、
一万二万三万三万四万四万四万五万九万九万南発発
こうなり、優勝条件を満たす手の1シャンテンとなるが、もっと早かったのは嶋村であった。
二索二索三索四索五索六索七索三筒三筒四筒四筒五筒五筒 ツモ二索
条件を大幅に超える2,000・4,000のツモで、見事逆転優勝した。
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調子の良い4人が集まっただけあって、全体的に打点が高く、見ごたえある決勝だった。
最後の最後まで誰が優勝するかわからない面白い決勝だった。
皆、いい戦いを見せてくれたと思っている。心から拍手を送りたい。
優勝した嶋村泰之プロ。終始ヒヤヒヤさせる展開だったが、最後の逆転は素晴らしかった。
去年準優勝、そして今年優勝だなんて本当にかっこいいと思った。
これで彼は、チャンピオンズリーグ・新人王の2冠となった。これからもっと有名になっていくに違いない。
いまだにD3リーグであるが、是非、特別昇級リーグを生かして上のリーグに行ってもらい、今後の活躍に期待したいと思った。
本当におめでとう。
若手の登竜門となる新人王戦。今年は嶋村プロが優勝して幕を閉じた。
新人王戦は本当に良い大会である。だから、参加資格がある方は積極的に参加すべきであると思う。
そして勝って、登竜門をかけのぼってくれたら幸いである。

第22期 ベスト8レポート

「際どいゲームだねぇ。」ベスト16を勝ちあがった羽山の言葉だ。
すでに、6半荘戦った選手達には疲労の色が見え隠れしている。
しかし、チャンピオンの頂きに向け、目の輝きは増すばかりだ。

1卓:柴田弘幸 vs 松岡千晶 vs 羽山真生 vs 越野智紀

左から 越野智紀、羽山真生、柴田弘幸、松岡千晶
左から 越野智紀、羽山真生、柴田弘幸、松岡千晶

紅一点の松岡が、この強力な3者を相手に、またまた波乱を起こすことができるか?

1回戦東1局、親・羽山リーチ。

一万二万三万七万八万九万四筒四筒四索五索六索七索九索 リーチ ロン八索 ドラ四筒

この7,700で先制。東1局1本場、南家・越野、

一索二索三索四索五索六索七索八索九索南 ポン発発発 ロン南 ドラ六万

この7,700は8,000を松岡から出アガリ。南場に入り、羽山がさらに加速する。
南2局に5,200。南4局には8,000をアガリ、5万点超えのトップをものにする。

1回戦成績
羽山+30.4P  越野+4.9P  柴田▲15.0P  松岡▲20.3P

2回戦、終始、小場で局は進む。
1回戦でマイナスの柴田、松岡がプラスで終え、決勝進出争いは混沌としてきた。

2回戦成績
柴田+18.1P  松岡+5.6P  羽山▲7.1P  越野▲16.6P

トータル成績
羽山+23.3P  柴田+3.1P  越野▲11.7P  松岡▲14.7P

3回戦東1局、現状3着目の越野がリーチ。

四万五万六万四筒五筒六筒二索二索三索四索四索六索六索 リーチ ロン三索 ドラ一筒

この5,200を当面の敵である柴田から出アガる。
しかし、ここから柴田がじわじわと失点を回復し、気付けば3万点超えのトップ目に立つ。

南2局、松岡がドラ単騎の七対子をリーチ。これにメンチンテンパイの越野が飛び込む。
南3局は、柴田が、羽山から2,600をアガる。
オーラス持ち点、松岡 35,900 柴田 34,100 羽山27,900 越野22,100。

羽山はほぼ当確。松岡は満貫ツモ。越野は跳満ツモ条件。
親の柴田は、ノーテンでも伏せることが出来る。
オーラス、親、柴田5巡目リーチ。

三万四万五万七筒八筒一索一索二索三索四索七索八索九索 ロン九筒 ドラ七筒

これに松岡が放銃してしまい、勝負は決着した。

トータル成績
柴田+21.0P  羽山+17.2P  松岡▲10.6P  越野▲27.6P

1位通過:柴田弘幸   2位通過:羽山真生

2卓:石橋薫 vs 福光聖雄 vs 西川淳 vs 中村毅

左から 福光聖雄、石橋薫、西川淳、中村毅
左から 福光聖雄、石橋薫、西川淳、中村毅

試合が大きく動いたのが東3局、西川が、

一万一万七万八万九万七筒八筒九筒東東東白白 ロン白

石橋から8,000点の出アガリ。

南2局、徐々に点棒を減らしつつあった西川の親番、

四筒五筒七筒七筒七筒中中 ポン二万二万二万 暗カン牌の背一万一万牌の背 リンシャンツモ六筒 ドラ一万

この4,000オール。役なし、しかもフリテンである。
本日の西川の好調さを象徴するようなアガリであった。
しかし、1回戦は、親番で加点した福光がトップで終了する。

1回戦成績
福光+22.3P   西川+9.5P  石橋▲13.0P  中村▲18.8

2回戦は一転して、西川の1,300・2,600が最高打点という小場の展開となった。

2回戦終了時
西川+27.2P  福光+13.1P  石橋▲7.7P  中村▲32.6P

Aリーガー中村は窮地に追い込まれた。
石橋は福光のポイントを目標に残り1半荘を戦うことになる。

3回戦、石橋、中村の期待とは裏腹に福光がゲームを支配する。
東1局、1,000、2,000ツモ。
東3局、2,600を石橋から出アガると、迎えた東4局の親番、

四筒五筒六筒二索四索五索六索八索八索八索 ポン五万五万五万 ロン二索 ドラ八索

この11,600をオリ気味の中村が放銃。中村は戦線から脱落してしまう。
さらに1本場、親・福光。

七万七万七万五筒五筒六筒六筒一索二索三索中中中 ロン六筒 ドラ中

石橋のリーチを掻い潜り、中村から12,000のアガリ。
このアガリで勝負の大勢は決した。

トータル成績
福光+74.6P  西川+19.5P  石橋▲21.2P  中村▲72.9P

1位通過:福光聖雄  2位通過:西川淳

こうして、ファイナリスト4名が出揃った。どんな決勝になるのだろうか。
どう転んでも熱い戦いになること間違いなしである。

完全に余談だが……

人生には流れがあり、どのタイミングで自分にチャンスが巡ってくるかはわからない。
他人や時期のせいにせず、いつ自分にチャンスが到来しても大丈夫なように準備しておける者が、
よい結果を掴み取るのではないだろうか。……

(文中敬称略)

JPML WRCリーグ レポート/第22期 ベスト8レポート

「際どいゲームだねぇ。」ベスト16を勝ちあがった羽山の言葉だ。
すでに、6半荘戦った選手達には疲労の色が見え隠れしている。
しかし、チャンピオンの頂きに向け、目の輝きは増すばかりだ。
1卓:柴田弘幸 vs 松岡千晶 vs 羽山真生 vs 越野智紀

左から 越野智紀、羽山真生、柴田弘幸、松岡千晶
左から 越野智紀、羽山真生、柴田弘幸、松岡千晶

紅一点の松岡が、この強力な3者を相手に、またまた波乱を起こすことができるか?
1回戦東1局、親・羽山リーチ。
一万二万三万七万八万九万四筒四筒四索五索六索七索九索 リーチ ロン八索 ドラ四筒
この7,700で先制。東1局1本場、南家・越野、
一索二索三索四索五索六索七索八索九索南 ポン発発発 ロン南 ドラ六万
この7,700は8,000を松岡から出アガリ。南場に入り、羽山がさらに加速する。
南2局に5,200。南4局には8,000をアガリ、5万点超えのトップをものにする。
1回戦成績
羽山+30.4P  越野+4.9P  柴田▲15.0P  松岡▲20.3P
2回戦、終始、小場で局は進む。
1回戦でマイナスの柴田、松岡がプラスで終え、決勝進出争いは混沌としてきた。
2回戦成績
柴田+18.1P  松岡+5.6P  羽山▲7.1P  越野▲16.6P
トータル成績
羽山+23.3P  柴田+3.1P  越野▲11.7P  松岡▲14.7P
3回戦東1局、現状3着目の越野がリーチ。
四万五万六万四筒五筒六筒二索二索三索四索四索六索六索 リーチ ロン三索 ドラ一筒
この5,200を当面の敵である柴田から出アガる。
しかし、ここから柴田がじわじわと失点を回復し、気付けば3万点超えのトップ目に立つ。
南2局、松岡がドラ単騎の七対子をリーチ。これにメンチンテンパイの越野が飛び込む。
南3局は、柴田が、羽山から2,600をアガる。
オーラス持ち点、松岡 35,900 柴田 34,100 羽山27,900 越野22,100。
羽山はほぼ当確。松岡は満貫ツモ。越野は跳満ツモ条件。
親の柴田は、ノーテンでも伏せることが出来る。
オーラス、親、柴田5巡目リーチ。
三万四万五万七筒八筒一索一索二索三索四索七索八索九索 ロン九筒 ドラ七筒
これに松岡が放銃してしまい、勝負は決着した。
トータル成績
柴田+21.0P  羽山+17.2P  松岡▲10.6P  越野▲27.6P

1位通過:柴田弘幸   2位通過:羽山真生

2卓:石橋薫 vs 福光聖雄 vs 西川淳 vs 中村毅

左から 福光聖雄、石橋薫、西川淳、中村毅
左から 福光聖雄、石橋薫、西川淳、中村毅

試合が大きく動いたのが東3局、西川が、
一万一万七万八万九万七筒八筒九筒東東東白白 ロン白
石橋から8,000点の出アガリ。
南2局、徐々に点棒を減らしつつあった西川の親番、
四筒五筒七筒七筒七筒中中 ポン二万二万二万 暗カン牌の背一万一万牌の背 リンシャンツモ六筒 ドラ一万
この4,000オール。役なし、しかもフリテンである。
本日の西川の好調さを象徴するようなアガリであった。
しかし、1回戦は、親番で加点した福光がトップで終了する。
1回戦成績
福光+22.3P   西川+9.5P  石橋▲13.0P  中村▲18.8
2回戦は一転して、西川の1,300・2,600が最高打点という小場の展開となった。
2回戦終了時
西川+27.2P  福光+13.1P  石橋▲7.7P  中村▲32.6P
Aリーガー中村は窮地に追い込まれた。
石橋は福光のポイントを目標に残り1半荘を戦うことになる。
3回戦、石橋、中村の期待とは裏腹に福光がゲームを支配する。
東1局、1,000、2,000ツモ。
東3局、2,600を石橋から出アガると、迎えた東4局の親番、
四筒五筒六筒二索四索五索六索八索八索八索 ポン五万五万五万 ロン二索 ドラ八索
この11,600をオリ気味の中村が放銃。中村は戦線から脱落してしまう。
さらに1本場、親・福光。
七万七万七万五筒五筒六筒六筒一索二索三索中中中 ロン六筒 ドラ中
石橋のリーチを掻い潜り、中村から12,000のアガリ。
このアガリで勝負の大勢は決した。
トータル成績
福光+74.6P  西川+19.5P  石橋▲21.2P  中村▲72.9P

1位通過:福光聖雄  2位通過:西川淳

こうして、ファイナリスト4名が出揃った。どんな決勝になるのだろうか。
どう転んでも熱い戦いになること間違いなしである。
完全に余談だが……
人生には流れがあり、どのタイミングで自分にチャンスが巡ってくるかはわからない。
他人や時期のせいにせず、いつ自分にチャンスが到来しても大丈夫なように準備しておける者が、
よい結果を掴み取るのではないだろうか。……
(文中敬称略)

第29期プロリーグ A1 第6節レポート

29_a_06_01_per100_ktaiwidth110 29_a_06_02_per100_ktaiwidth110
29_a_06_03_per100_ktaiwidth110  

まず最初に、前回のレポートで、来節の見所は私がA1レポートを書いているかどうか?
と書いた件について説明させていただきます。

私は前期のB2リーグを、ギリギリの残留ポジションで終えていましたが、その1週間後に特昇リーグの決勝が控えていました。
前期のB2は3人しか降級しないので、特昇から1人加入して17名となる場合、下から4番目も降級にして16名にする規定があります。
従って、私の残留は特昇の決果待ちだったのですが、
プロリーグをマイナスの成績で終えたために昇級権利を失った魚谷プロが優勝し、幸運にも私の残留が確定しました。

もしC1リーグに落ちていたら、対局がA1と同じ時間に別の会場となるため、
A1の試合を観ることが出来なくなるので、A1レポートを誰かに代わって貰わなければならなかったのです。
これで無事、後期もレポートを書かせて頂く事になりましたので、残り半年お付き合いの程宜しくお願いします。

いやーそれにしてもA1が通算8年、A2が11年と長い間そこそこの位置にいた私が(荒さんの足元にも及びませんが・・・)、
まさかCリーグの心配をすることになるなんて、我ながら情けないが後期は6人も落ちるからもっとヤバイ・・・
いやそうではなくて早くA1に戻れるように頑張らねばでした(汗)。
ではそろそろ本題に入ります。

Aリーグは今節から後半戦に入りました。
前期をダントツで折り返した藤崎は、余裕のカウントダウンに入ります。
上位の瀬戸熊と、伊藤は最後までペースを緩めぬようにこのまま手堅くゴールする事。
中位に位置する者は、まず下位争いに巻き込まれないように気をつけながら、最後に3位に食い込むチャンスを狙います。
降級ポジションの右田とダンプは、少しずつでもマイナスを減らし、下に降りて来た者を捕まえての残留を狙います。
彼らに近い者は、引きずり降ろされないよう気をつける戦いが優先されます。

さて、最初はダントツ独走の藤崎の卓を観てみました。
中盤戦に入って調子を上げ、決定戦が狙える位置に浮上してきた実力者、前原が初戦から東場をリードし、持ち点45,000程のトップ目。
このままブレイクして、3位に迫りかけるかと思ったのだが、南入の15,000しかないラス目、藤崎の親の上家でいきなりマンズに寄せるポン。
少し早くて遠いかと思えたが、チームガラクタ総帥はこんなガラクタポンからアガリを引き寄せる豪腕も時折魅せる。
しかし、この場面は親の藤崎の6巡目リーチを呼び込んだ、

五万六万七万三索四索五索五索六索七索八索八索六筒七筒 リーチ ドラ八筒

皆オリに回るが、高目五筒が3枚ドラ八筒が2枚山。
程なく高目を引き当て一撃で浮きの2着、やっぱり今期の藤崎は沈まない。
オーラスは、前原トップ目のまま親番を迎えたが、3番手柴田が7巡目リーチ。
親の前原も追いつきこのテンパイ、

四万五万六万八索八索二筒三筒四筒四筒五筒六筒七筒八筒 ドラ八筒

3面張とは言え、残り枚数が少なく、リーチの柴田が六筒を切っているのでヤミテンで押すが、
テンパイ気配が濃厚に出ているため、オリている藤崎と右田からは出そうにない。

前原が持って来たのはドラの八筒四筒七筒を勝負してのシャンポンは片割れの八索が2枚出きっている、

小考した前原は八筒をツモ切りし、柴田のドラ単騎七対子に放銃、沈みの3着となってしまった。

こういう場面で前原はまずオリない、リーチや仕掛けに怯まず押し切って連荘し、デカトップに仕上げるのを何度も目にしているが、
今回はトップ目の親とは言え、南場に入ってからはアガリが無く体勢が仕上がってなかったようだ。

観戦していた荒鳳凰位曰く「アレは八索(現物)切って回らなくちゃダメだから・・・」
私も同感であった。

ブレイクチャンスを逃した前原は、この日少しマイナスし、トータルも僅かにマイナスとなった。
逆転トップをプレゼントされて勢いがついた柴田は、3回のトップを決めてプラス50Pで今節A1の勝頭、負債を殆ど返済し決定戦が狙える位置に戻した。

週2回連盟道場で勤務する柴田、8月は50荘程打って順位率が2.00で+440P(プロリーグとほぼ同じシステム)と、
素晴らしい好調状態を見せていたので、今節の勝ちは私は予想していました。
この調子を最後まで維持することが出来れば、決定戦進出も可能でしょう。

最初のラスでどうなるかと心配された右田も、終わってみればプラス。
と言うことは、何とあの鉄より固い藤崎が、2回戦から当たり牌を掴みまくりで、3ラスを喰い大幅に貯金を減らしてしまったのです。
266Pあった貯金が178Pに減っただけなので、まだ笑っていられますが、もう一度こんな事があると史上最大の事件となります。

さて、2位に着ける瀬戸熊の卓はどうだったのでしょうか!?
1回戦の南2局、20,000点持ちでラス目の親の瀬戸熊にチャンス手。
5巡目でこの形、

一索一索四索五索六索六索二筒二筒三筒三筒四筒四筒八筒九筒 ドラ四筒

僕ならまだ5巡目だし、大事にアガリたいからピンフリャンペーコーになれば最高と思いつつテンパイを壊しますが、瀬戸熊は即リーチ!
彼が時折見せる、親の先手で高くて愚形で河に迷彩もない、一見運否天賦のようにも思えるリーチですが、時折使うということは、
瀬戸熊の経験則の中では勝算があるに違いない、この理由については、彼に直接尋ねるか彼の本を読んで研究して下さい。(書いてあったかな?)

これを空振りしたらラススタート濃厚だったが、瀬戸熊にとって幸運だったのはリーチ後に四筒を引いてきた事(これも想定内だろうが)
ダンプにとって不幸だったのは、あと数巡で流れるときに手詰まってしまった事(これも瀬戸熊の想定内か?)、

安全牌に窮したダンプは、後スジの七筒のトイツに手を掛け轟沈した。

息を吹き返した瀬戸熊は、この日40Pほど上積みしA1でただ1人6節オールプラス。
トータル140Pで首位・藤崎に迫りかけた。
その安定感と踏み込みの鋭い闘いぶりは、A1でもピカイチ!僕の推メンである。

1回戦の親満オリ打ちで、今度こそ御臨終かと思われたダンプだが、最終戦で突然噴いて特大トップ。
またマイナスを少し減らして、奇跡の残留へ希望を残した。

もう1つの卓では、3位の伊藤が朝武に捕まりかけていたのだが、最終戦で気合いを入れ直して挽回し何とか帳尻を合わせた。
藤崎のまさかの大コケで、少し面白くなってきた上位争い。
まだ早いかも知れないが、ポイント的にもここまでの闘いぶりから見ても、上の2人はほぼ当確と言っても良いのではなかろうか?

現実的には中位の者の標的は伊藤となる。
伊藤は、残り4節最後まで気を抜かず追って来る者にスキを見せない戦いをしなければならない。

朝武、前原、望月と、一発で噴き上がる力を持った鳳凰位経験者が好位置に着けているので、終盤戦にかけてまだ一波乱ありそうですね。

第7節組み合わせ

A卓 右田 勇一郎 vs 朝武 雅晴 vs 沢崎 誠 vs 前原 雄大
B卓 望月 雅継 vs ダンプ 大橋 vs 伊藤 優孝 vs 藤崎 智
C卓 近藤 久春 vs 瀬戸熊 直樹 vs 石渡 正志vs 柴田 弘幸

簡単な見所と予想

A卓 早く降級ポジションを抜け出したい右田だが、相手がベテランの強豪3人でキツイ面子。下手をしたら最下位に落ちるかも・・・
B卓 伊藤を狙う望月が、直接対決のチャンスにチャージをかけてくるだろう。ダンプが浮いて藤崎がまたも沈むようなことになると・・・
C卓 瀬戸熊が首位に立ち、決定戦を確定させる節になるような気がする。近藤と石渡はここで負け頭となってしまうと・・・

ではまた来月お楽しみに!

プロリーグ(鳳凰戦)レポート/第29期プロリーグ A1 第6節レポート

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まず最初に、前回のレポートで、来節の見所は私がA1レポートを書いているかどうか?
と書いた件について説明させていただきます。
私は前期のB2リーグを、ギリギリの残留ポジションで終えていましたが、その1週間後に特昇リーグの決勝が控えていました。
前期のB2は3人しか降級しないので、特昇から1人加入して17名となる場合、下から4番目も降級にして16名にする規定があります。
従って、私の残留は特昇の決果待ちだったのですが、
プロリーグをマイナスの成績で終えたために昇級権利を失った魚谷プロが優勝し、幸運にも私の残留が確定しました。
もしC1リーグに落ちていたら、対局がA1と同じ時間に別の会場となるため、
A1の試合を観ることが出来なくなるので、A1レポートを誰かに代わって貰わなければならなかったのです。
これで無事、後期もレポートを書かせて頂く事になりましたので、残り半年お付き合いの程宜しくお願いします。
いやーそれにしてもA1が通算8年、A2が11年と長い間そこそこの位置にいた私が(荒さんの足元にも及びませんが・・・)、
まさかCリーグの心配をすることになるなんて、我ながら情けないが後期は6人も落ちるからもっとヤバイ・・・
いやそうではなくて早くA1に戻れるように頑張らねばでした(汗)。
ではそろそろ本題に入ります。
Aリーグは今節から後半戦に入りました。
前期をダントツで折り返した藤崎は、余裕のカウントダウンに入ります。
上位の瀬戸熊と、伊藤は最後までペースを緩めぬようにこのまま手堅くゴールする事。
中位に位置する者は、まず下位争いに巻き込まれないように気をつけながら、最後に3位に食い込むチャンスを狙います。
降級ポジションの右田とダンプは、少しずつでもマイナスを減らし、下に降りて来た者を捕まえての残留を狙います。
彼らに近い者は、引きずり降ろされないよう気をつける戦いが優先されます。
さて、最初はダントツ独走の藤崎の卓を観てみました。
中盤戦に入って調子を上げ、決定戦が狙える位置に浮上してきた実力者、前原が初戦から東場をリードし、持ち点45,000程のトップ目。
このままブレイクして、3位に迫りかけるかと思ったのだが、南入の15,000しかないラス目、藤崎の親の上家でいきなりマンズに寄せるポン。
少し早くて遠いかと思えたが、チームガラクタ総帥はこんなガラクタポンからアガリを引き寄せる豪腕も時折魅せる。
しかし、この場面は親の藤崎の6巡目リーチを呼び込んだ、
五万六万七万三索四索五索五索六索七索八索八索六筒七筒 リーチ ドラ八筒
皆オリに回るが、高目五筒が3枚ドラ八筒が2枚山。
程なく高目を引き当て一撃で浮きの2着、やっぱり今期の藤崎は沈まない。
オーラスは、前原トップ目のまま親番を迎えたが、3番手柴田が7巡目リーチ。
親の前原も追いつきこのテンパイ、
四万五万六万八索八索二筒三筒四筒四筒五筒六筒七筒八筒 ドラ八筒
3面張とは言え、残り枚数が少なく、リーチの柴田が六筒を切っているのでヤミテンで押すが、
テンパイ気配が濃厚に出ているため、オリている藤崎と右田からは出そうにない。
前原が持って来たのはドラの八筒四筒七筒を勝負してのシャンポンは片割れの八索が2枚出きっている、
小考した前原は八筒をツモ切りし、柴田のドラ単騎七対子に放銃、沈みの3着となってしまった。
こういう場面で前原はまずオリない、リーチや仕掛けに怯まず押し切って連荘し、デカトップに仕上げるのを何度も目にしているが、
今回はトップ目の親とは言え、南場に入ってからはアガリが無く体勢が仕上がってなかったようだ。
観戦していた荒鳳凰位曰く「アレは八索(現物)切って回らなくちゃダメだから・・・」
私も同感であった。
ブレイクチャンスを逃した前原は、この日少しマイナスし、トータルも僅かにマイナスとなった。
逆転トップをプレゼントされて勢いがついた柴田は、3回のトップを決めてプラス50Pで今節A1の勝頭、負債を殆ど返済し決定戦が狙える位置に戻した。
週2回連盟道場で勤務する柴田、8月は50荘程打って順位率が2.00で+440P(プロリーグとほぼ同じシステム)と、
素晴らしい好調状態を見せていたので、今節の勝ちは私は予想していました。
この調子を最後まで維持することが出来れば、決定戦進出も可能でしょう。
最初のラスでどうなるかと心配された右田も、終わってみればプラス。
と言うことは、何とあの鉄より固い藤崎が、2回戦から当たり牌を掴みまくりで、3ラスを喰い大幅に貯金を減らしてしまったのです。
266Pあった貯金が178Pに減っただけなので、まだ笑っていられますが、もう一度こんな事があると史上最大の事件となります。
さて、2位に着ける瀬戸熊の卓はどうだったのでしょうか!?
1回戦の南2局、20,000点持ちでラス目の親の瀬戸熊にチャンス手。
5巡目でこの形、
一索一索四索五索六索六索二筒二筒三筒三筒四筒四筒八筒九筒 ドラ四筒
僕ならまだ5巡目だし、大事にアガリたいからピンフリャンペーコーになれば最高と思いつつテンパイを壊しますが、瀬戸熊は即リーチ!
彼が時折見せる、親の先手で高くて愚形で河に迷彩もない、一見運否天賦のようにも思えるリーチですが、時折使うということは、
瀬戸熊の経験則の中では勝算があるに違いない、この理由については、彼に直接尋ねるか彼の本を読んで研究して下さい。(書いてあったかな?)
これを空振りしたらラススタート濃厚だったが、瀬戸熊にとって幸運だったのはリーチ後に四筒を引いてきた事(これも想定内だろうが)
ダンプにとって不幸だったのは、あと数巡で流れるときに手詰まってしまった事(これも瀬戸熊の想定内か?)、
安全牌に窮したダンプは、後スジの七筒のトイツに手を掛け轟沈した。
息を吹き返した瀬戸熊は、この日40Pほど上積みしA1でただ1人6節オールプラス。
トータル140Pで首位・藤崎に迫りかけた。
その安定感と踏み込みの鋭い闘いぶりは、A1でもピカイチ!僕の推メンである。
1回戦の親満オリ打ちで、今度こそ御臨終かと思われたダンプだが、最終戦で突然噴いて特大トップ。
またマイナスを少し減らして、奇跡の残留へ希望を残した。
もう1つの卓では、3位の伊藤が朝武に捕まりかけていたのだが、最終戦で気合いを入れ直して挽回し何とか帳尻を合わせた。
藤崎のまさかの大コケで、少し面白くなってきた上位争い。
まだ早いかも知れないが、ポイント的にもここまでの闘いぶりから見ても、上の2人はほぼ当確と言っても良いのではなかろうか?
現実的には中位の者の標的は伊藤となる。
伊藤は、残り4節最後まで気を抜かず追って来る者にスキを見せない戦いをしなければならない。
朝武、前原、望月と、一発で噴き上がる力を持った鳳凰位経験者が好位置に着けているので、終盤戦にかけてまだ一波乱ありそうですね。
第7節組み合わせ
A卓 右田 勇一郎 vs 朝武 雅晴 vs 沢崎 誠 vs 前原 雄大
B卓 望月 雅継 vs ダンプ 大橋 vs 伊藤 優孝 vs 藤崎 智
C卓 近藤 久春 vs 瀬戸熊 直樹 vs 石渡 正志vs 柴田 弘幸
簡単な見所と予想
A卓 早く降級ポジションを抜け出したい右田だが、相手がベテランの強豪3人でキツイ面子。下手をしたら最下位に落ちるかも・・・
B卓 伊藤を狙う望月が、直接対決のチャンスにチャージをかけてくるだろう。ダンプが浮いて藤崎がまたも沈むようなことになると・・・
C卓 瀬戸熊が首位に立ち、決定戦を確定させる節になるような気がする。近藤と石渡はここで負け頭となってしまうと・・・
ではまた来月お楽しみに!

何を切る?2012年9月

Aリーグと各リーグのプロに出題して、解答を比較し、
各リーグのプロがその一打を深く解説し、掘り下げていくコーナーである。

問題作成者:山田 浩之(六段)
nanikiru_201209_smpwidth290_ktaiwidth240

天空麻雀ルール(一発、赤、裏ドラ、カンドラ有り)
南1局西家ドラ三。色の濃くなった牌はツモ切りです。

Aリーグ
nanikiru_201209_a_smpwidth290_ktaiwidth240

Dリーグ
nanikiru_201209_d_smpwidth290_ktaiwidth240

Aリーググラフ
八索切り 10人、赤五筒切り 7人、四万切り 4人、七索切り 3人

Dリーググラフ
八索切り 25人、七索切り 11人、赤五筒切り 11人、四万切り 3人

Aリーグ回答

八索切り
荒正義 遠藤啓太 近藤久春 中村毅 二階堂亜樹 仁平宣明 藤崎智 右田勇一郎 山井弘 吉田直

・仁平宣明(AⅡ)
場況的に六索九索がうすいので、ソーズは形を決めてピンズかマンズを横にのばします。
赤五筒にくっついたら、場に四万がまだ切れそうなら四万を切りますが間に合わなそうなら七索をはずします。
ピンズが横に伸びる前に五万八万を引くようなら、素直にテンパイを取ってマンズを横にのばすことを考えます。

赤五筒切り
老月貴紀 沢崎誠 柴田弘幸 白鳥翔 瀬戸熊直樹 ダンプ大橋 前原雄大

・柴田弘幸(AⅡ)
自然にマンズとソーズで3メンツ作りにいく。
まだ南1局なので他家からリーチが入っても仕掛けず、じっくり打ちたい。
五万八万がうまったらヤミテンで手変わりを待ち、六索九索四万七索引きはリーチを打つ。

四万切り
板川和俊 勝又健志 黒沢咲 山田浩之

七索切り
伊藤優孝 猿川真寿 望月雅継

Dリーグ回答

八索切り
赤荻めぐみ 飯島翔 泉亮多 今岡英虎 小川淳 上条由羽里 京平遥 清原継光 小林康平 小針貴司 佐藤芽依 嶋村泰之 高沢智 高沢雅 徳永翔 戸嶋祥太 冨田久志 富村つぐみ 中袖宏文 中村慎吾 長山雅幸 丹羽卓哉 平岡理恵 前田洋佑 矢野和憲

・赤荻めぐみ(DⅠ)
すでに場にうすい九索の受け入れを嫌って、マンズの変化と赤五筒のくっつきを狙っていきたいです。
トップ争いをしているけど、かわすのではなく、大きくアガってつきはなしたいです。

七索切り
會津卓哉 綾瀬モモ 伊井功雅 井田憲孝 犬見武史 川原舞子 齋藤麻衣子 澤村明日華 中山奈々美 吉野敦志 吉水公紀

・綾瀬モモ(DⅢ)
南1局で2着目なので、高目(ドラや赤五筒)を使って勝ちにいきたいが、そんな無理をする場面でもないので七索切り。
九索が3枚きれているのでタンヤオ方向に持っていきながら様子をみる。

赤五筒切り
磯部慎吾 梶谷誠次 齋藤豪 佐倉麻由 下田孔明 鈴木翔梧 西山あみ 福島清子 松岡昭彦 三浦智博 山下忍

四万切り
重原聡 高宮まり 牧野和弘

何を切る?/何を切る?2012年9月

Aリーグと各リーグのプロに出題して、解答を比較し、
各リーグのプロがその一打を深く解説し、掘り下げていくコーナーである。

問題作成者:山田 浩之(六段)
nanikiru_201209_smpwidth290_ktaiwidth240

天空麻雀ルール(一発、赤、裏ドラ、カンドラ有り)
南1局西家ドラ三。色の濃くなった牌はツモ切りです。
Aリーグ
nanikiru_201209_a_smpwidth290_ktaiwidth240
Dリーグ
nanikiru_201209_d_smpwidth290_ktaiwidth240
Aリーググラフ
八索切り 10人、赤五筒切り 7人、四万切り 4人、七索切り 3人
Dリーググラフ
八索切り 25人、七索切り 11人、赤五筒切り 11人、四万切り 3人

Aリーグ回答

八索切り
荒正義 遠藤啓太 近藤久春 中村毅 二階堂亜樹 仁平宣明 藤崎智 右田勇一郎 山井弘 吉田直
・仁平宣明(AⅡ)
場況的に六索九索がうすいので、ソーズは形を決めてピンズかマンズを横にのばします。
赤五筒にくっついたら、場に四万がまだ切れそうなら四万を切りますが間に合わなそうなら七索をはずします。
ピンズが横に伸びる前に五万八万を引くようなら、素直にテンパイを取ってマンズを横にのばすことを考えます。
赤五筒切り
老月貴紀 沢崎誠 柴田弘幸 白鳥翔 瀬戸熊直樹 ダンプ大橋 前原雄大
・柴田弘幸(AⅡ)
自然にマンズとソーズで3メンツ作りにいく。
まだ南1局なので他家からリーチが入っても仕掛けず、じっくり打ちたい。
五万八万がうまったらヤミテンで手変わりを待ち、六索九索四万七索引きはリーチを打つ。
四万切り
板川和俊 勝又健志 黒沢咲 山田浩之
七索切り
伊藤優孝 猿川真寿 望月雅継

Dリーグ回答

八索切り
赤荻めぐみ 飯島翔 泉亮多 今岡英虎 小川淳 上条由羽里 京平遥 清原継光 小林康平 小針貴司 佐藤芽依 嶋村泰之 高沢智 高沢雅 徳永翔 戸嶋祥太 冨田久志 富村つぐみ 中袖宏文 中村慎吾 長山雅幸 丹羽卓哉 平岡理恵 前田洋佑 矢野和憲
・赤荻めぐみ(DⅠ)
すでに場にうすい九索の受け入れを嫌って、マンズの変化と赤五筒のくっつきを狙っていきたいです。
トップ争いをしているけど、かわすのではなく、大きくアガってつきはなしたいです。
七索切り
會津卓哉 綾瀬モモ 伊井功雅 井田憲孝 犬見武史 川原舞子 齋藤麻衣子 澤村明日華 中山奈々美 吉野敦志 吉水公紀
・綾瀬モモ(DⅢ)
南1局で2着目なので、高目(ドラや赤五筒)を使って勝ちにいきたいが、そんな無理をする場面でもないので七索切り。
九索が3枚きれているのでタンヤオ方向に持っていきながら様子をみる。
赤五筒切り
磯部慎吾 梶谷誠次 齋藤豪 佐倉麻由 下田孔明 鈴木翔梧 西山あみ 福島清子 松岡昭彦 三浦智博 山下忍
四万切り
重原聡 高宮まり 牧野和弘

第29期プロリーグ A2 第6節レポート

第6節は、A1、A2リーグ共に折り返し地点を過ぎ、
それぞれのプレイヤーが各々の持ち点、置かれている状態、ポジションに合わせ何をすべきか考え、
すべきことを確実にやらねば昇降級に関わる大切な節である。

今節、私が選んだ卓は1、2位に位置する古川孝次、勝又健志、そして最下位を争っている山田浩之、中村毅の卓である。
古川、勝又の立場からすれば今節、ポイントを叩き出し突き抜けたいところであるだろうし、
山田、中村の立場であれば、これ以上のマイナスポイントは御免蒙りたいところである。

麻雀を多少知っている者であれば、古川、勝又がポイントを伸ばし、山田、中村のどちらかが、
もしくは、両者がポイントをさらに削られることは、戦いが始まる前から予想の範囲内である。
問題は何処までポイントを伸ばせるか、そして何処までポイントを削られるのを堪えられるか、の問題である。

東1局、親番・中村が4巡目に、

一万一万二万三万三索三索三索七索八索九索中 ポン東東東 ドラ中

圧倒的な速さのテンパイが入る。問題は一万四万に受けるか、ドラである中で受けるかだけである。

私ならば、何の躊躇いも覚えず中単騎に受け何処までも押す。中村も打一万と構えた。
ところが、後述するが中村はこのことを後悔していたようである。

中村に遅れること4巡、古川にテンパイが入る。

四万六万四索五索六索七索八索一筒二筒三筒七筒七筒 ドラ中

当然のことであるが、古川はヤミテンに構えた。
さすがに古川のアガリだなと私は視ていた。
観戦子の私からは古川の手牌は見えるが、中村の手牌は見えない。それでも中村のテンパイ気配はハッキリと感じられた。
対局者である勝又、山田も当然感じていたことだと思う。

勝又は我関せずとばかりに、慎重に手が詰まらないように安全牌を河に並べて行く。

山田はと言うと、8巡目に古川のツモ切りの八索をチーと仕掛ける!
場面を読むちからに秀でている山田が仕掛ける以上、ここは単なる割り込みではなく、間違いなく高打点であり、チーテンは間違いないところ。
それでも古川に分があると視ていた。

ところが次巡、古川が打一索とすると山田からロンの声がかかる。

二索三索五索五索六筒七筒八筒中中中 チー六索七索八索

古川は「ハイ」と山田のアガリ形を確認した後、軽く首を傾げた。
その所作は何を意味したのかは解らないことだが、普段所作を表に出さない古川だけに印象的ではあった。
前局の結果を引きずったわけではないだろうが、古川が今度は勝又に5,800点を放銃する。

二万二万二万八索八索八索九索二筒三筒四筒 ポン東東東 ロン七索 ドラ九索

勝又は今まで二筒五筒待ちだったのだが、ドラである九索を引き込み待ち変えしたばかりである。

古川の手牌には、たった今、勝又が打ち出した二筒が単独で残っていた。

古川とは私が19歳で古川が27歳からの付き合いですでに35年になるが、今局のような愚形残りの放銃はほとんど見た記憶がない。
さすがにこの半荘はダメだろうと私は考えていた。

理由の1つには競技麻雀における東場の東の扱いはかなり難しく、
東を打ち出すにはそれなりの形が整っていなければ、戦える形になっていなければならないように私個人は考えている。
もしくは、東を動かれないだけの背景を作っていなければならない。

東1局2局、両局とも古川が東を打ち出し、親に仕掛けられるようではデキは悪いと思わざるを得ない。
山田の1人テンパイで流局し、迎えた古川の親番。テンパイ1番乗りは勝又。

三万四万四万五万五万六万三索四索六索七索八索三筒九筒九筒 ドラ八万

テンパイが入るまで三筒が残ったのは下家であり、親番の古川がダブ東をポンしてピンズ模様が濃くその部分をケアしたためである。
打ち出された三筒を仕掛け古川にもテンパイが入る。

三筒三筒六筒七筒八筒発発 チー二筒三筒四筒 ポン東東東

明確な2人テンパイで両者の争いに思われたが、次巡ドラである八万を古川がツモ切ると中村がポンし仕掛け返す。

中村の手牌は、勝又、古川の間で観戦していた私からは見えないが、割り込みのように映った。

次巡、古川ツモ四筒で少考に入る。

確かに場面には5枚二筒五筒が見えており難しい選択である。

しかし、次巡しっかり五筒をツモリ上げる所はさすがである。
ちなみに中村の手牌は、

三筒三筒六筒七筒八筒発発 チー二筒三筒四筒 ポン東東東

つまり古川は、ラス牌の五筒をツモリ上げたのである。
続く1本場もピンフドラ1を慎重にヤミテンに構え中村から出アガリラス目を脱出。
次局は6巡目に古川がリーチを打つも、5巡目にテンパイが入っていた勝又に軍配があがる。
この勝又のアガリを見るや、古川は戦略を変更し勝又に歩調を合わせ、役アリテンパイが入ると全てヤミテンに構える。

こうなると追う側の山田、中村は苦しい。
中村のチャンスは南2局。

一万二万三万三万三万一索二索三索五索六索七索二筒三筒 リーチ ツモ四筒 ドラ五索

安目ではあるが、このツモアガリの点数は大きい。これで26,200点まで復活したのだから。
だが観戦子と対局者の感覚は違うものである。結局、この半荘は勝又、古川、山田、中村の着順で終わる。
私の見立てでは古川、勝又、中村、山田の着順で終わるべき半荘だったように思えてならない。

「今日の対局を振り返ってみて自分なりに考えてみた。

開局ドラ中、私は親で2巡目にダブ東をポンして4巡目に中タンキのテンパイに取った。
結果は、山田プロが終盤に7,700のアガリとなり中は暗刻だった。
次局、勝又プロのアガリ型を見て、今日は我慢しないと駄目だなぁと思った。
理由は、前局に欲張りアガリを逃し、今回は真っ直ぐ行くと放銃する形だったことから自分の中でそう思った。
その後は暫く大人しくしていたが、ツモられたりノーテン罰符等でラス目となり、ラス前に高め跳満のリーチを打つが安目のツモ。
結局、1回戦目はラスのまま終了した。第6節の成績は4、4、4、1で結局▲50P程沈んだ。
以前、前原さんがレポートに書いていましたけど、確かに今期は麻雀のバランスを崩していると自分自身感じています。
私事や麻雀に疑問を抱き、精神的に参っている状態で打っているから今の結果に繋がっているのだと思いますが、
残り4節、最後まで諦めず頑張りたいと思います。」

中村毅

今回、対局者全員に向けて対局開始前に、送られたメールは全文掲載を約束した。
中村は真面目な男である。
中村から送られたメールを改めて読んで中村に対する、そういった思いは強くなった。
ただ言えるのは、大人の男は皆それぞれ事情を抱えているということである。
その中で、何処まで麻雀に対峙していけるかということが大切なことのように思えてならない。
ただ、ひたすらツモってくる牌の意味を考え、自分が選択した牌に全責任を負うだけのことだと思う。

「A2リーグ戦も残り半分となりました。今現在の上位は安泰とは思っていません。
私の麻雀は、場をリードして手作りするタイプ。
1節から5節までは、自分のペースで麻雀を作れましたが、残り4節は、他のプレイヤーの人達も上位に合わせて手作りをしてきます。
以前は、そんな術中にはまって放銃を繰り返していましたが、今節は、自分の頭の上から私をコントロールできている感じ。
残り4節、点棒を守ろうとはせず、前を向いて麻雀を打ちます。」

古川孝次

全対局終了後、私は古川に伝えた。
「麻雀というゲームは、積み重ねのゲームであるということを、今日は学ばさせていただきました。」
私が古川の立場なら、初戦の東1局、2局の放銃で、今日はどこまでマイナスポイントで纏めるか考えるだろう。
古川の年齢になったならば、あれほどアグレッシブな仕掛けの麻雀は打てないように思えてならない。
良く仕掛け、良く廻る。大したものである。

「5節終わって▲100ということは何かを修正していかないといけないと思いました。
なので、今節はとりあえず初心にかえって、一打一打を丁寧に打つことを心掛けました。
満足はしてないですが今節はそれなりには打てた気がします。」

山田浩之

3節ほど前の山田のポイントを考えれば大振りをしたくなる。
特に、山田のような大役狙いを好む打ち手はそういった方向性に行きやすい。言葉を変えるならば楽な麻雀である。
大幅なマイナスポイントを背負い戦うには、風が吹いてくるのをじっと待ち続け、一打一打丁寧に打ち続けるしか道はないように思える。

今節の勝ち頭は黒沢咲。
3桁のプラスポイントはお見事の一言に尽きる。

「5節目の内容を振り返り、自分はここ(A2リーグ)に居ていいのか…と本気で思い悩んだ1ヶ月間でした。
その一方で、たくさんのことに気づけた貴重な1ヶ月でもありました。あれこれ考えましたが、結局原点に戻って、
「数字は気にせず、とにかくまっすぐな麻雀を打とう」
その気持ちだけで臨んだ今節。ツキにも恵まれ、最高の結果が出て本当に嬉しいです。
まだまだ険しい道が続きますが、謙虚な気持ちを忘れずに、最後まで精一杯頑張ります。」

黒沢咲

どうもこの方とは採譜の相性が良くないようで、私が採譜卓に彼女を選んだ時は忍耐の麻雀しか見ていない。
最終節は最上位卓をじっくり観戦する予定なので、その時を期待するしかないようである。

トータル首位に立ったのは猿川。
一番進行の遅い卓だったので、オーラスの猿川の連荘だけみることが叶った。
この男のどこが良いか?なんと言っても麻雀を打っている時の顔が良い。
放銃しても、アガっても同じ顔をしている。しかも危険牌を打つ時のまるで完全安全牌を切るような風情が良い。
闘志をいつも内に秘めながら、能面に近い野生さも絶やさない顔である。
最近は、兄貴格の瀬戸熊の影響か、朝晩にかなりの量のウォーキングもこなしているようである。
麻雀を打つだけで麻雀が強くなるわけではないことを気づいたようである。

さて、100ポイントアップが4人いる以上、実質的昇級の可能性があるのは現段階でプラス組までと見る。
降級の方はマイナス者は全員、可能性があると見るのが筋だろう。
来月の注目卓はD卓である。

D卓
板川 和俊 vs 黒沢 咲 vs 二階堂 亜樹 vs 中村 毅

第7節組み合わせ
A卓  古川 孝次 vs 吉田 直 vs 老月 貴紀 vs 山井 弘
B卓  猿川 真寿 vs 金子 貴行 vs 遠藤 啓太 vs 山田 浩之
C卓  勝又 健志 vs 四柳 弘樹 vs 白鳥 翔 vs 仁平 宣明
D卓  板川 和俊 vs 黒沢 咲 vs 二階堂 亜樹 vs 中村 毅

プロリーグ(鳳凰戦)レポート/第29期プロリーグ A2 第6節レポート

第6節は、A1、A2リーグ共に折り返し地点を過ぎ、
それぞれのプレイヤーが各々の持ち点、置かれている状態、ポジションに合わせ何をすべきか考え、
すべきことを確実にやらねば昇降級に関わる大切な節である。
今節、私が選んだ卓は1、2位に位置する古川孝次、勝又健志、そして最下位を争っている山田浩之、中村毅の卓である。
古川、勝又の立場からすれば今節、ポイントを叩き出し突き抜けたいところであるだろうし、
山田、中村の立場であれば、これ以上のマイナスポイントは御免蒙りたいところである。
麻雀を多少知っている者であれば、古川、勝又がポイントを伸ばし、山田、中村のどちらかが、
もしくは、両者がポイントをさらに削られることは、戦いが始まる前から予想の範囲内である。
問題は何処までポイントを伸ばせるか、そして何処までポイントを削られるのを堪えられるか、の問題である。
東1局、親番・中村が4巡目に、
一万一万二万三万三索三索三索七索八索九索中 ポン東東東 ドラ中
圧倒的な速さのテンパイが入る。問題は一万四万に受けるか、ドラである中で受けるかだけである。
私ならば、何の躊躇いも覚えず中単騎に受け何処までも押す。中村も打一万と構えた。
ところが、後述するが中村はこのことを後悔していたようである。
中村に遅れること4巡、古川にテンパイが入る。
四万六万四索五索六索七索八索一筒二筒三筒七筒七筒 ドラ中
当然のことであるが、古川はヤミテンに構えた。
さすがに古川のアガリだなと私は視ていた。
観戦子の私からは古川の手牌は見えるが、中村の手牌は見えない。それでも中村のテンパイ気配はハッキリと感じられた。
対局者である勝又、山田も当然感じていたことだと思う。
勝又は我関せずとばかりに、慎重に手が詰まらないように安全牌を河に並べて行く。
山田はと言うと、8巡目に古川のツモ切りの八索をチーと仕掛ける!
場面を読むちからに秀でている山田が仕掛ける以上、ここは単なる割り込みではなく、間違いなく高打点であり、チーテンは間違いないところ。
それでも古川に分があると視ていた。
ところが次巡、古川が打一索とすると山田からロンの声がかかる。
二索三索五索五索六筒七筒八筒中中中 チー六索七索八索
古川は「ハイ」と山田のアガリ形を確認した後、軽く首を傾げた。
その所作は何を意味したのかは解らないことだが、普段所作を表に出さない古川だけに印象的ではあった。
前局の結果を引きずったわけではないだろうが、古川が今度は勝又に5,800点を放銃する。
二万二万二万八索八索八索九索二筒三筒四筒 ポン東東東 ロン七索 ドラ九索
勝又は今まで二筒五筒待ちだったのだが、ドラである九索を引き込み待ち変えしたばかりである。
古川の手牌には、たった今、勝又が打ち出した二筒が単独で残っていた。
古川とは私が19歳で古川が27歳からの付き合いですでに35年になるが、今局のような愚形残りの放銃はほとんど見た記憶がない。
さすがにこの半荘はダメだろうと私は考えていた。
理由の1つには競技麻雀における東場の東の扱いはかなり難しく、
東を打ち出すにはそれなりの形が整っていなければ、戦える形になっていなければならないように私個人は考えている。
もしくは、東を動かれないだけの背景を作っていなければならない。
東1局2局、両局とも古川が東を打ち出し、親に仕掛けられるようではデキは悪いと思わざるを得ない。
山田の1人テンパイで流局し、迎えた古川の親番。テンパイ1番乗りは勝又。
三万四万四万五万五万六万三索四索六索七索八索三筒九筒九筒 ドラ八万
テンパイが入るまで三筒が残ったのは下家であり、親番の古川がダブ東をポンしてピンズ模様が濃くその部分をケアしたためである。
打ち出された三筒を仕掛け古川にもテンパイが入る。
三筒三筒六筒七筒八筒発発 チー二筒三筒四筒 ポン東東東
明確な2人テンパイで両者の争いに思われたが、次巡ドラである八万を古川がツモ切ると中村がポンし仕掛け返す。
中村の手牌は、勝又、古川の間で観戦していた私からは見えないが、割り込みのように映った。
次巡、古川ツモ四筒で少考に入る。
確かに場面には5枚二筒五筒が見えており難しい選択である。
しかし、次巡しっかり五筒をツモリ上げる所はさすがである。
ちなみに中村の手牌は、
三筒三筒六筒七筒八筒発発 チー二筒三筒四筒 ポン東東東
つまり古川は、ラス牌の五筒をツモリ上げたのである。
続く1本場もピンフドラ1を慎重にヤミテンに構え中村から出アガリラス目を脱出。
次局は6巡目に古川がリーチを打つも、5巡目にテンパイが入っていた勝又に軍配があがる。
この勝又のアガリを見るや、古川は戦略を変更し勝又に歩調を合わせ、役アリテンパイが入ると全てヤミテンに構える。
こうなると追う側の山田、中村は苦しい。
中村のチャンスは南2局。
一万二万三万三万三万一索二索三索五索六索七索二筒三筒 リーチ ツモ四筒 ドラ五索
安目ではあるが、このツモアガリの点数は大きい。これで26,200点まで復活したのだから。
だが観戦子と対局者の感覚は違うものである。結局、この半荘は勝又、古川、山田、中村の着順で終わる。
私の見立てでは古川、勝又、中村、山田の着順で終わるべき半荘だったように思えてならない。
「今日の対局を振り返ってみて自分なりに考えてみた。
開局ドラ中、私は親で2巡目にダブ東をポンして4巡目に中タンキのテンパイに取った。
結果は、山田プロが終盤に7,700のアガリとなり中は暗刻だった。
次局、勝又プロのアガリ型を見て、今日は我慢しないと駄目だなぁと思った。
理由は、前局に欲張りアガリを逃し、今回は真っ直ぐ行くと放銃する形だったことから自分の中でそう思った。
その後は暫く大人しくしていたが、ツモられたりノーテン罰符等でラス目となり、ラス前に高め跳満のリーチを打つが安目のツモ。
結局、1回戦目はラスのまま終了した。第6節の成績は4、4、4、1で結局▲50P程沈んだ。
以前、前原さんがレポートに書いていましたけど、確かに今期は麻雀のバランスを崩していると自分自身感じています。
私事や麻雀に疑問を抱き、精神的に参っている状態で打っているから今の結果に繋がっているのだと思いますが、
残り4節、最後まで諦めず頑張りたいと思います。」
中村毅
今回、対局者全員に向けて対局開始前に、送られたメールは全文掲載を約束した。
中村は真面目な男である。
中村から送られたメールを改めて読んで中村に対する、そういった思いは強くなった。
ただ言えるのは、大人の男は皆それぞれ事情を抱えているということである。
その中で、何処まで麻雀に対峙していけるかということが大切なことのように思えてならない。
ただ、ひたすらツモってくる牌の意味を考え、自分が選択した牌に全責任を負うだけのことだと思う。
「A2リーグ戦も残り半分となりました。今現在の上位は安泰とは思っていません。
私の麻雀は、場をリードして手作りするタイプ。
1節から5節までは、自分のペースで麻雀を作れましたが、残り4節は、他のプレイヤーの人達も上位に合わせて手作りをしてきます。
以前は、そんな術中にはまって放銃を繰り返していましたが、今節は、自分の頭の上から私をコントロールできている感じ。
残り4節、点棒を守ろうとはせず、前を向いて麻雀を打ちます。」
古川孝次
全対局終了後、私は古川に伝えた。
「麻雀というゲームは、積み重ねのゲームであるということを、今日は学ばさせていただきました。」
私が古川の立場なら、初戦の東1局、2局の放銃で、今日はどこまでマイナスポイントで纏めるか考えるだろう。
古川の年齢になったならば、あれほどアグレッシブな仕掛けの麻雀は打てないように思えてならない。
良く仕掛け、良く廻る。大したものである。
「5節終わって▲100ということは何かを修正していかないといけないと思いました。
なので、今節はとりあえず初心にかえって、一打一打を丁寧に打つことを心掛けました。
満足はしてないですが今節はそれなりには打てた気がします。」
山田浩之
3節ほど前の山田のポイントを考えれば大振りをしたくなる。
特に、山田のような大役狙いを好む打ち手はそういった方向性に行きやすい。言葉を変えるならば楽な麻雀である。
大幅なマイナスポイントを背負い戦うには、風が吹いてくるのをじっと待ち続け、一打一打丁寧に打ち続けるしか道はないように思える。
今節の勝ち頭は黒沢咲。
3桁のプラスポイントはお見事の一言に尽きる。
「5節目の内容を振り返り、自分はここ(A2リーグ)に居ていいのか…と本気で思い悩んだ1ヶ月間でした。
その一方で、たくさんのことに気づけた貴重な1ヶ月でもありました。あれこれ考えましたが、結局原点に戻って、
「数字は気にせず、とにかくまっすぐな麻雀を打とう」
その気持ちだけで臨んだ今節。ツキにも恵まれ、最高の結果が出て本当に嬉しいです。
まだまだ険しい道が続きますが、謙虚な気持ちを忘れずに、最後まで精一杯頑張ります。」
黒沢咲
どうもこの方とは採譜の相性が良くないようで、私が採譜卓に彼女を選んだ時は忍耐の麻雀しか見ていない。
最終節は最上位卓をじっくり観戦する予定なので、その時を期待するしかないようである。
トータル首位に立ったのは猿川。
一番進行の遅い卓だったので、オーラスの猿川の連荘だけみることが叶った。
この男のどこが良いか?なんと言っても麻雀を打っている時の顔が良い。
放銃しても、アガっても同じ顔をしている。しかも危険牌を打つ時のまるで完全安全牌を切るような風情が良い。
闘志をいつも内に秘めながら、能面に近い野生さも絶やさない顔である。
最近は、兄貴格の瀬戸熊の影響か、朝晩にかなりの量のウォーキングもこなしているようである。
麻雀を打つだけで麻雀が強くなるわけではないことを気づいたようである。
さて、100ポイントアップが4人いる以上、実質的昇級の可能性があるのは現段階でプラス組までと見る。
降級の方はマイナス者は全員、可能性があると見るのが筋だろう。
来月の注目卓はD卓である。
D卓
板川 和俊 vs 黒沢 咲 vs 二階堂 亜樹 vs 中村 毅
第7節組み合わせ
A卓  古川 孝次 vs 吉田 直 vs 老月 貴紀 vs 山井 弘
B卓  猿川 真寿 vs 金子 貴行 vs 遠藤 啓太 vs 山田 浩之
C卓  勝又 健志 vs 四柳 弘樹 vs 白鳥 翔 vs 仁平 宣明
D卓  板川 和俊 vs 黒沢 咲 vs 二階堂 亜樹 vs 中村 毅

第26期 予選レポート

【新人王戦とは】

連盟に入って3年以内なら誰でも出られる大会。
予選は7回戦。4回戦終了時に人数を半分に減らし、その後5、6、7回戦と毎回人数を減らし、7回戦終了時にポイント上位4名が決勝進出となる。
決勝はポイントを持ちこさず2回勝負。
他の大会に比べて参加者も少なく、ベテランの方々が出ていないので、誰にでも獲れる可能性がある、お手頃な大会である。
さらに優勝すると、特別昇級リーグに出られたり、全てのタイトル戦のシードが貰えたり、色んな人に知ってもらえたりと、良いことばかりである。

2012.8/26
そんな若手の登竜門となる新人王戦が今年も始まった。
予選のレポートは、この日に22歳の誕生日を迎えた去年の新人王、大庭三四郎が書かせて頂きます。
今年の参加者は88人。例年より少ない人数の大会となった。
少ないとはいっても1つの会場では収まりきらないので、会場は2箇所設けられている。
まずはプロ2年目、3年目の人が集まる「新雀荘」のほうに顔を出してみた。

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知名度がある有名な方々もちらほら見える。
麻雀格闘倶楽部に参戦している白河雪菜プロ。

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中山奈々美プロ。

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26期生の2人は、最後の新人王戦となる。

第22期チャンピオンズリーグで決勝進出して、3位に敗れた羽山プロ。

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同期なので頑張ってもらいたい。

そして、2012年夏から麻雀格闘倶楽部に参戦している高宮まりプロ。

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童瞳プロ。

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童瞳プロは、先月行われた野口賞の決勝に残ったりと、今勢いに乗っている。

そんな中、競技委員長の藤原さんの合図により第1回戦が始まった。
始まってから数分後、カメラを持っていた内川さんが偶然、役満をアガった現場を捉えていた。
アガったのは27期生の上條由羽里プロ。

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このまま勢いに乗っていきたいところである。
逆に苦しいのは親っ被りした山口大和プロ。この後の巻き返しに期待したい。

1回戦終了時、去年2位だった嶋村泰之プロの成績表を見に行くと、3人浮きの3着。「まだまだこれからだよな~」と思うと同時に、
去年、自分も3人浮きの3着スタートだったなぁと思いだしたりもした。
2回戦目、自分はもう1つの会場に向かったのだが、聞いた話によると、山口大和プロが四暗刻をアガったらしい。
さらに驚きなのが、その山口プロの上家の人が高目大三元の手をテンパイしていたらしい。
紙一重を制して復活した山口プロは、上がってこられるのだろうか。

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そしてもう1つの会場「じゃん亭」に辿り着いた。

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少しだけ紹介をさせて頂く。
フレッシュレディースカップを優勝し、麻雀格闘倶楽部にも参戦し始めた小笠原奈央プロ。

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第17回ファン感謝祭で見事優勝した、いつも笑顔の松岡千晶プロ。

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第1期広島リーグの決勝を控えている、蒼山秀佑プロ。

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第7期北関東プロリーグの決勝で惜しくも敗れた澤村明日華プロ。

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全員28期生の新人なので、是非頑張ってもらいたい。

そして時間が過ぎ、4回戦が終了した。ここで約半分に人数が絞られる。
4回戦を終えて、トップに立っているのが、九州の東谷達矢プロ。
+139Pという素晴らしい数字を叩き出した。

役満こそアガっていないものの、70,000点オーバーで終えた半荘が2回もあった。
そして+70Pで2位なのは、去年の準優勝の嶋村プロ。今年も来るのか、と思った。
そして3位に北海道の石田雅人プロ、4位に静岡の岡本和也プロ、と続いている。

段々決勝のボーダーを意識しながら打ち始める第5回戦が始まった。
ここからは、新雀荘にいた人達もじゃん亭に集まり、会場は1つになった。
部屋の隅で座っている自分の目に飛び込んできたのは、一万九万と字牌しかない手だった。
その手の持ち主は、同期の前田洋佑プロ。

西九索待ちの国士無双の1シャンテンか・・・どうなるかな・・・」と思い期待していたらあっさり九索をツモってきてテンパイ。
早い巡目だし誰も止まらなそう・・・、と思うやいなや下家の方から出てしまった。
振り込んでしまったのはなんと1回戦で四暗刻をアガった上条プロ。
32,000和了って32,000振り込むという大忙しの1日になってしまった。
しかし、まだ4回戦までに貯めたポイントはたくさんあるので、十分に決勝に残る可能性はある。
逆に、4回戦をギリギリで通過した前田プロは、一気に希望が見えてきた。

現在2位の嶋村プロのところを少し見に行った。
相変わらず好調のようで、ぶっちぎっていた。
いつも手が入る、というよりは、たまに入る勝負手をほぼ確実にアガっていた。
物凄い勢いを感じた。

そんなこんなで5回戦も終わり、嶋村プロはここで+40Pを叩きだし、合計+110Pになった。
トップだった東谷プロも+13Pで、合計+152Pとなった。決勝1つ目のイスはほぼ確定となった。

人数がさらに絞られ、6回戦が始まった。
注目した卓は、童瞳プロと塚越祐次郎プロの卓。2人とも+50Pを越えていて、大事な一戦となった。
制したのは、塚越プロ。1人浮きの+27Pで、決勝に大きく近づいた。

あとがない蒼山プロと同卓しているのは現在2位の嶋村プロ。
やはり好調なのは嶋村プロ。どうしてもアガらなくてはいけない、南場で南家の蒼山プロの、

三万四万五万六万六万七万八万 ポン南南南 ポン中中中

これもアガれず、やはり嶋村プロが+25Pのトップを取り、蒼山プロは惜しくも敗退となった。

4位で折り返した岡本プロと同卓したのは、北関東の重原聡プロ。
終始、重原プロがリードして+19Pを叩き、合計+67Pとなった。

そして6回戦が終了し、ついに16人に絞られた。
1卓:東谷、三谷、佐倉、矢野
2卓:原田、嶋村、石田、飯島
3卓:岡本、童瞳、塚越、前田
4卓:松尾、重原、菅原、犬見

(ここから暫く敬称略させて頂く)

1位は+140Pで東谷。2位が+136Pで嶋村。
3位が少し飛んで塚越で+82P。4位が重原で+67P。5位が松尾で+64Pとなっている。

[1卓] +54Pの三谷、+38Pの佐倉、+48Pの矢野は1位の東谷を抜くのは困難なので、とりあえず大きなトップが必要である。
[2卓] +39Pの原田、+48Pの飯島、+59Pの石田も1卓と同様、2位の嶋村を抜くのは難しいので、大きなトップが欲しい所である。
[3卓] +82Pの塚越、+59Pの岡本、+47Pの童瞳、39Pの前田。
塚越を追う立場の3人は、目の前に3位のイスが見えているだけとあって、標準を塚越にして打てるので比較的やり易い位置である。

[4卓] +67Pの重原、+64Pの松尾、+49Pの菅原、+41Pの犬見。
現在4位と重原と、現在5位の松尾が同卓という卓組になった。
犬見、菅原も2人を抜いてトップで終えれば、一気に決勝が見えてくる。

そして最終戦、第7回戦が始まった。
全4卓の中で一番初めに動きがあったのが、嶋村のいる卓。

【2卓】飯島プロの立直、そしてツモ。

五万六万七万二索二索三索四索四索五索五索五筒六筒七筒 リーチ ツモ三索 ドラ五筒

高目の三索をツモって3,000・6,000!このアガリで一気に決勝圏内に入った。
このまま1人浮きの状態で終わることは少ないが、とりあえず計算してみると、
1.東谷(+140P) 2.嶋村(+131P) 3.塚越(+82P) 4.飯島(+70P) 5.重原(+67P)
10位通過の飯島でも1回のアガリで決勝圏内に入れることから、誰にでも決勝に残れる可能性が十分あることが分かった。
そして80P持っている塚越のポジションも、うかうかしてられないというのがよく分かる。

次に動きがあったのが、塚越のいる卓。

【3卓】東2局。親番の童瞳プロの立直、そしてツモ。
立直、ツモ、タンヤオ、ドラ1 で3,900オール。このアガリで3位の塚越とほぼ並んだ。
1.東谷(+140P) 2.嶋村(+127P) 3.塚越(+72P) 4.童瞳(+71P) 5.飯島(+70P)
決勝のイスを巡って、東谷と嶋村以外は、大混戦になってきた。

~13分経過~
【2卓】原田が35,400点まで復活。飯島の1人浮きが無くなり、一歩後退。
【1卓】佐倉がポイントを積み重ね、40,000点越え。
【4卓】犬見が満貫をツモリ38,000点持ちの1人浮き。
同卓の重原、松尾とポイントで並び、決勝のイスが見えてきた。
+71P持っている4位の童瞳に続き、5位の飯島から、犬見、重原、佐倉、松尾 とほぼ団子の状態。

~20分経過~
【2卓】早くも南入。原田が飯島を捲り40,500点持ちの親番。
原田の決勝が少し見えてきたかという時に、嶋村が、

二万二万六万六万七万七万八万 チー二万三万四万 ポン白白白 ツモ八万 ドラ九筒

力強くドラを打って、八万をツモり、1,000・2,000のアガリ。
原田は最後の親を流され、痛い親っかぶりとなった。

【1卓】佐倉が丁寧にアガリを重ね、49,000点持ちのトップになっていた。
現在はまだ2人浮きのトップなので合計65Pで5位だが、勢いを感じるので決勝に行けそうな気がした。

~28分経過~
【4卓】いつのまにか松尾が1人沈みの状態に。重原の決勝進出も見えてきた。
【3卓】童瞳がさらにアガリを重ね、44,900点の1人浮き。逆に塚越は23,800点と、決勝圏内から外れてしまった。
【1卓】攻める姿勢を一切緩めない佐倉がついに50,000点を超え、1人浮きに!
1.嶋村(131P) 2.東谷(125P) 3.童瞳(74P) 4.佐倉(71P) 5.重原(70P)

~33分経過~
【2卓】早くもオーラスを迎える。
ラス親は飯島。現在39.200点持ちのトップだが、このポイントでは決勝に残るのは厳しいというのは本人も分かっているので、ずっと連荘し続けるしかない。
白を暗カンし、戦う気満々の飯島だったが、させるまいと行く手を阻んだのは、現在ポイントトップの嶋村。
1つ鳴いて、サクッと3,900点を飯島からアガリ、終局となった。
飯島プロの追い上げは凄かったが、やはり絶好調の嶋村がいる卓だと、勝負手を軽く流されたり、すぐツモられたりと、思い通りにいかない事が多いようだ。
そんな中、飯島プロはいい戦いを見せてくれた。

~40分経過~

【3卓】南2局。童瞳も50.000点を超えたが、前田も36,600点まで復帰していた。
塚越プロは相当厳しいところまできてしまっていた。
【4卓】南1局。影を潜めていた菅原が満貫を2回連続でツモリ、49,000点持ちのトップに!
親で本場を積み重ね、次の手は・・・

一筒二筒七筒七筒七筒中中中発発 暗カン牌の背四筒四筒牌の背 ドラ一筒

2役牌、ホンイツ、三暗刻、ドラ1の、出アガリ18,000、ツモれば8,000オールの、アガればほぼ決勝のイスに座れるテンパイ!
しかし、この三筒が対面の松尾が暗刻で、結局アガれず流局となった。

【1卓】ついにオーラスを迎えた。佐倉が48,100で1人浮きの状態で、このまま終われば決勝も見えてくる。
しかしそこで、28,200点持ちの西家の三谷からリーチがかかる。手は、

三筒四筒五筒六筒七筒八筒九筒四万五万六万七万八万九万 ドラ八筒

後がない親番の矢野はいくしかないので、勝負。佐倉は行く場面ではないのでオリを選択。
そしてアガったのは、三谷。浮いて終局となった。
佐倉プロは、トップで終えたものの、決勝に行くには厳しい位置になってしまった。
しかし16位でギリギリ7回戦まで進んで、ここまで決勝に近づけたのは、凄い事だと思った。
最終戦の内容も素晴らしかったし、是非来年リベンジしてもらいたいと思った。
1.嶋村(130P) 2.東谷(124P) 3.菅原(76P) 4.童瞳(75P) 5.佐倉(66P)

~47分経過~
【3卓】南2局。52,600点持ちの童瞳の連荘中のところを、前田が塚越から3,900点をアガリ、童瞳の連荘を止めた。
前田も41,800点と、童瞳を抜けば決勝が見えてくる位置につけていた。
後が無くなった南3局の親番の塚越だが、岡本の、役牌、トイトイ、ドラ3の12,000点に放銃してしまった。
事実上、塚越の今年の新人王戦は終わった。
最終戦の前は82Pで3位だったが、立ち位置が一番嫌なポジションだったのかもしれない。
嶋村や東谷ほどポイントがあれば誰も狙いを定めはしないのだが、82Pという位置ではトップとラスにすれば大体順位が変わるので、
他の3人のターゲットとなってしまう。追われる立場の戦い方は本当に難しいものだと思う。塚越プロには是非来年リベンジしてもらいたいと思った。

【4卓】こちらはまだ南1局で、菅原の連荘中。なんと、62,600まで点棒を増やしていて、さらに犬見を沈め、1人浮きになっていた。
総合ポイントは95Pを超えて、3人目の席がほぼ確定した。

~打ちかけ終了(最終局)~
【4卓】菅原は、あとは流局で大丈夫。本人もおそらく決勝圏内にいると思っているのではないか。
そして最後の1席を争う最後の卓。

【3卓】やっと来た前田の親番だが、最終局となってしまい、1局勝負となってしまった。
童瞳52,000点持ち、前田41,200点持ち。
前田は、童瞳を抜かないと決勝は厳しい事は分かっている。そして前田に逆転の手が実った。

三筒四筒五筒南南白白 チー七筒八筒九筒 ポン発発発 ドラ南

親の跳満のテンパイである。
童瞳は現在4人目のイスにいる状態なのだが、それを知る由もないので、最後までポイントを叩くために、ソーズを2つ仕掛け、真っ向勝負と出た。
しかし何かを掴み悩んだ末、オリたようだ。
自分の今のポイントが決勝に残れるのか分からない場面での押し引きというのは、とても難しいものである。
しかし、ここで危険な何かを勝負しないでオリたのは正解だった。
そして結果は流局。前田の1人テンパイで、童瞳がトップとなり終局となった。
前田プロは惜しくも手が届かなかった。最後の手がアガれていれば決勝に残れていたというのは、本人も知っているはずだ。
来年が新人王戦に出られる最後の年なので、是非頑張ってもらいたい。

こうして、決勝に残ったメンバーが決定した。
予選1位通過:嶋村泰之プロ(東京本部)
予選2位通過:東谷達矢プロ(九州本部)
予選3位通過:菅原直哉プロ(東北支部)
予選4位通過:童瞳プロ(東京本部)

惜しくも敗れたのは、
予選5位、佐倉麻由プロ(東京本部)
予選6位、岡本和也プロ(静岡支部)
予選7位、三谷卓也プロ(中部本部)
予選8位、飯島翔プロ(東京本部)

決勝前に全員にコメントをもらった。

嶋村プロ「去年悔しい思いをしたので、今年は3人に悔しい思いをしてもらおうと思います」
東谷プロ「自分の麻雀を貫きたいと思います」
菅原プロ「初めてなので緊張しましたが、精一杯打ちます」
童瞳プロ「平常心で打ちます。プロテストで講師をしていただいた、紺野プロと名前を並べられるよう頑張ります」

絶好調の4人がぶつかる決勝。派手な試合が期待できそうだ。

新人王 レポート/第26期 予選レポート

【新人王戦とは】

連盟に入って3年以内なら誰でも出られる大会。
予選は7回戦。4回戦終了時に人数を半分に減らし、その後5、6、7回戦と毎回人数を減らし、7回戦終了時にポイント上位4名が決勝進出となる。
決勝はポイントを持ちこさず2回勝負。
他の大会に比べて参加者も少なく、ベテランの方々が出ていないので、誰にでも獲れる可能性がある、お手頃な大会である。
さらに優勝すると、特別昇級リーグに出られたり、全てのタイトル戦のシードが貰えたり、色んな人に知ってもらえたりと、良いことばかりである。
2012.8/26
そんな若手の登竜門となる新人王戦が今年も始まった。
予選のレポートは、この日に22歳の誕生日を迎えた去年の新人王、大庭三四郎が書かせて頂きます。
今年の参加者は88人。例年より少ない人数の大会となった。
少ないとはいっても1つの会場では収まりきらないので、会場は2箇所設けられている。
まずはプロ2年目、3年目の人が集まる「新雀荘」のほうに顔を出してみた。
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知名度がある有名な方々もちらほら見える。
麻雀格闘倶楽部に参戦している白河雪菜プロ。
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中山奈々美プロ。
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26期生の2人は、最後の新人王戦となる。
第22期チャンピオンズリーグで決勝進出して、3位に敗れた羽山プロ。
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同期なので頑張ってもらいたい。
そして、2012年夏から麻雀格闘倶楽部に参戦している高宮まりプロ。
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童瞳プロ。
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童瞳プロは、先月行われた野口賞の決勝に残ったりと、今勢いに乗っている。
そんな中、競技委員長の藤原さんの合図により第1回戦が始まった。
始まってから数分後、カメラを持っていた内川さんが偶然、役満をアガった現場を捉えていた。
アガったのは27期生の上條由羽里プロ。
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このまま勢いに乗っていきたいところである。
逆に苦しいのは親っ被りした山口大和プロ。この後の巻き返しに期待したい。
1回戦終了時、去年2位だった嶋村泰之プロの成績表を見に行くと、3人浮きの3着。「まだまだこれからだよな~」と思うと同時に、
去年、自分も3人浮きの3着スタートだったなぁと思いだしたりもした。
2回戦目、自分はもう1つの会場に向かったのだが、聞いた話によると、山口大和プロが四暗刻をアガったらしい。
さらに驚きなのが、その山口プロの上家の人が高目大三元の手をテンパイしていたらしい。
紙一重を制して復活した山口プロは、上がってこられるのだろうか。
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そしてもう1つの会場「じゃん亭」に辿り着いた。
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少しだけ紹介をさせて頂く。
フレッシュレディースカップを優勝し、麻雀格闘倶楽部にも参戦し始めた小笠原奈央プロ。
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第17回ファン感謝祭で見事優勝した、いつも笑顔の松岡千晶プロ。
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第1期広島リーグの決勝を控えている、蒼山秀佑プロ。
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第7期北関東プロリーグの決勝で惜しくも敗れた澤村明日華プロ。
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全員28期生の新人なので、是非頑張ってもらいたい。
そして時間が過ぎ、4回戦が終了した。ここで約半分に人数が絞られる。
4回戦を終えて、トップに立っているのが、九州の東谷達矢プロ。
+139Pという素晴らしい数字を叩き出した。
役満こそアガっていないものの、70,000点オーバーで終えた半荘が2回もあった。
そして+70Pで2位なのは、去年の準優勝の嶋村プロ。今年も来るのか、と思った。
そして3位に北海道の石田雅人プロ、4位に静岡の岡本和也プロ、と続いている。
段々決勝のボーダーを意識しながら打ち始める第5回戦が始まった。
ここからは、新雀荘にいた人達もじゃん亭に集まり、会場は1つになった。
部屋の隅で座っている自分の目に飛び込んできたのは、一万九万と字牌しかない手だった。
その手の持ち主は、同期の前田洋佑プロ。
西九索待ちの国士無双の1シャンテンか・・・どうなるかな・・・」と思い期待していたらあっさり九索をツモってきてテンパイ。
早い巡目だし誰も止まらなそう・・・、と思うやいなや下家の方から出てしまった。
振り込んでしまったのはなんと1回戦で四暗刻をアガった上条プロ。
32,000和了って32,000振り込むという大忙しの1日になってしまった。
しかし、まだ4回戦までに貯めたポイントはたくさんあるので、十分に決勝に残る可能性はある。
逆に、4回戦をギリギリで通過した前田プロは、一気に希望が見えてきた。
現在2位の嶋村プロのところを少し見に行った。
相変わらず好調のようで、ぶっちぎっていた。
いつも手が入る、というよりは、たまに入る勝負手をほぼ確実にアガっていた。
物凄い勢いを感じた。
そんなこんなで5回戦も終わり、嶋村プロはここで+40Pを叩きだし、合計+110Pになった。
トップだった東谷プロも+13Pで、合計+152Pとなった。決勝1つ目のイスはほぼ確定となった。
人数がさらに絞られ、6回戦が始まった。
注目した卓は、童瞳プロと塚越祐次郎プロの卓。2人とも+50Pを越えていて、大事な一戦となった。
制したのは、塚越プロ。1人浮きの+27Pで、決勝に大きく近づいた。
あとがない蒼山プロと同卓しているのは現在2位の嶋村プロ。
やはり好調なのは嶋村プロ。どうしてもアガらなくてはいけない、南場で南家の蒼山プロの、
三万四万五万六万六万七万八万 ポン南南南 ポン中中中
これもアガれず、やはり嶋村プロが+25Pのトップを取り、蒼山プロは惜しくも敗退となった。
4位で折り返した岡本プロと同卓したのは、北関東の重原聡プロ。
終始、重原プロがリードして+19Pを叩き、合計+67Pとなった。
そして6回戦が終了し、ついに16人に絞られた。
1卓:東谷、三谷、佐倉、矢野
2卓:原田、嶋村、石田、飯島
3卓:岡本、童瞳、塚越、前田
4卓:松尾、重原、菅原、犬見
(ここから暫く敬称略させて頂く)
1位は+140Pで東谷。2位が+136Pで嶋村。
3位が少し飛んで塚越で+82P。4位が重原で+67P。5位が松尾で+64Pとなっている。
[1卓] +54Pの三谷、+38Pの佐倉、+48Pの矢野は1位の東谷を抜くのは困難なので、とりあえず大きなトップが必要である。
[2卓] +39Pの原田、+48Pの飯島、+59Pの石田も1卓と同様、2位の嶋村を抜くのは難しいので、大きなトップが欲しい所である。
[3卓] +82Pの塚越、+59Pの岡本、+47Pの童瞳、39Pの前田。
塚越を追う立場の3人は、目の前に3位のイスが見えているだけとあって、標準を塚越にして打てるので比較的やり易い位置である。
[4卓] +67Pの重原、+64Pの松尾、+49Pの菅原、+41Pの犬見。
現在4位と重原と、現在5位の松尾が同卓という卓組になった。
犬見、菅原も2人を抜いてトップで終えれば、一気に決勝が見えてくる。
そして最終戦、第7回戦が始まった。
全4卓の中で一番初めに動きがあったのが、嶋村のいる卓。
【2卓】飯島プロの立直、そしてツモ。
五万六万七万二索二索三索四索四索五索五索五筒六筒七筒 リーチ ツモ三索 ドラ五筒
高目の三索をツモって3,000・6,000!このアガリで一気に決勝圏内に入った。
このまま1人浮きの状態で終わることは少ないが、とりあえず計算してみると、
1.東谷(+140P) 2.嶋村(+131P) 3.塚越(+82P) 4.飯島(+70P) 5.重原(+67P)
10位通過の飯島でも1回のアガリで決勝圏内に入れることから、誰にでも決勝に残れる可能性が十分あることが分かった。
そして80P持っている塚越のポジションも、うかうかしてられないというのがよく分かる。
次に動きがあったのが、塚越のいる卓。
【3卓】東2局。親番の童瞳プロの立直、そしてツモ。
立直、ツモ、タンヤオ、ドラ1 で3,900オール。このアガリで3位の塚越とほぼ並んだ。
1.東谷(+140P) 2.嶋村(+127P) 3.塚越(+72P) 4.童瞳(+71P) 5.飯島(+70P)
決勝のイスを巡って、東谷と嶋村以外は、大混戦になってきた。
~13分経過~
【2卓】原田が35,400点まで復活。飯島の1人浮きが無くなり、一歩後退。
【1卓】佐倉がポイントを積み重ね、40,000点越え。
【4卓】犬見が満貫をツモリ38,000点持ちの1人浮き。
同卓の重原、松尾とポイントで並び、決勝のイスが見えてきた。
+71P持っている4位の童瞳に続き、5位の飯島から、犬見、重原、佐倉、松尾 とほぼ団子の状態。
~20分経過~
【2卓】早くも南入。原田が飯島を捲り40,500点持ちの親番。
原田の決勝が少し見えてきたかという時に、嶋村が、
二万二万六万六万七万七万八万 チー二万三万四万 ポン白白白 ツモ八万 ドラ九筒
力強くドラを打って、八万をツモり、1,000・2,000のアガリ。
原田は最後の親を流され、痛い親っかぶりとなった。
【1卓】佐倉が丁寧にアガリを重ね、49,000点持ちのトップになっていた。
現在はまだ2人浮きのトップなので合計65Pで5位だが、勢いを感じるので決勝に行けそうな気がした。
~28分経過~
【4卓】いつのまにか松尾が1人沈みの状態に。重原の決勝進出も見えてきた。
【3卓】童瞳がさらにアガリを重ね、44,900点の1人浮き。逆に塚越は23,800点と、決勝圏内から外れてしまった。
【1卓】攻める姿勢を一切緩めない佐倉がついに50,000点を超え、1人浮きに!
1.嶋村(131P) 2.東谷(125P) 3.童瞳(74P) 4.佐倉(71P) 5.重原(70P)
~33分経過~
【2卓】早くもオーラスを迎える。
ラス親は飯島。現在39.200点持ちのトップだが、このポイントでは決勝に残るのは厳しいというのは本人も分かっているので、ずっと連荘し続けるしかない。
白を暗カンし、戦う気満々の飯島だったが、させるまいと行く手を阻んだのは、現在ポイントトップの嶋村。
1つ鳴いて、サクッと3,900点を飯島からアガリ、終局となった。
飯島プロの追い上げは凄かったが、やはり絶好調の嶋村がいる卓だと、勝負手を軽く流されたり、すぐツモられたりと、思い通りにいかない事が多いようだ。
そんな中、飯島プロはいい戦いを見せてくれた。
~40分経過~
【3卓】南2局。童瞳も50.000点を超えたが、前田も36,600点まで復帰していた。
塚越プロは相当厳しいところまできてしまっていた。
【4卓】南1局。影を潜めていた菅原が満貫を2回連続でツモリ、49,000点持ちのトップに!
親で本場を積み重ね、次の手は・・・
一筒二筒七筒七筒七筒中中中発発 暗カン牌の背四筒四筒牌の背 ドラ一筒
2役牌、ホンイツ、三暗刻、ドラ1の、出アガリ18,000、ツモれば8,000オールの、アガればほぼ決勝のイスに座れるテンパイ!
しかし、この三筒が対面の松尾が暗刻で、結局アガれず流局となった。
【1卓】ついにオーラスを迎えた。佐倉が48,100で1人浮きの状態で、このまま終われば決勝も見えてくる。
しかしそこで、28,200点持ちの西家の三谷からリーチがかかる。手は、
三筒四筒五筒六筒七筒八筒九筒四万五万六万七万八万九万 ドラ八筒
後がない親番の矢野はいくしかないので、勝負。佐倉は行く場面ではないのでオリを選択。
そしてアガったのは、三谷。浮いて終局となった。
佐倉プロは、トップで終えたものの、決勝に行くには厳しい位置になってしまった。
しかし16位でギリギリ7回戦まで進んで、ここまで決勝に近づけたのは、凄い事だと思った。
最終戦の内容も素晴らしかったし、是非来年リベンジしてもらいたいと思った。
1.嶋村(130P) 2.東谷(124P) 3.菅原(76P) 4.童瞳(75P) 5.佐倉(66P)
~47分経過~
【3卓】南2局。52,600点持ちの童瞳の連荘中のところを、前田が塚越から3,900点をアガリ、童瞳の連荘を止めた。
前田も41,800点と、童瞳を抜けば決勝が見えてくる位置につけていた。
後が無くなった南3局の親番の塚越だが、岡本の、役牌、トイトイ、ドラ3の12,000点に放銃してしまった。
事実上、塚越の今年の新人王戦は終わった。
最終戦の前は82Pで3位だったが、立ち位置が一番嫌なポジションだったのかもしれない。
嶋村や東谷ほどポイントがあれば誰も狙いを定めはしないのだが、82Pという位置ではトップとラスにすれば大体順位が変わるので、
他の3人のターゲットとなってしまう。追われる立場の戦い方は本当に難しいものだと思う。塚越プロには是非来年リベンジしてもらいたいと思った。
【4卓】こちらはまだ南1局で、菅原の連荘中。なんと、62,600まで点棒を増やしていて、さらに犬見を沈め、1人浮きになっていた。
総合ポイントは95Pを超えて、3人目の席がほぼ確定した。
~打ちかけ終了(最終局)~
【4卓】菅原は、あとは流局で大丈夫。本人もおそらく決勝圏内にいると思っているのではないか。
そして最後の1席を争う最後の卓。
【3卓】やっと来た前田の親番だが、最終局となってしまい、1局勝負となってしまった。
童瞳52,000点持ち、前田41,200点持ち。
前田は、童瞳を抜かないと決勝は厳しい事は分かっている。そして前田に逆転の手が実った。
三筒四筒五筒南南白白 チー七筒八筒九筒 ポン発発発 ドラ南
親の跳満のテンパイである。
童瞳は現在4人目のイスにいる状態なのだが、それを知る由もないので、最後までポイントを叩くために、ソーズを2つ仕掛け、真っ向勝負と出た。
しかし何かを掴み悩んだ末、オリたようだ。
自分の今のポイントが決勝に残れるのか分からない場面での押し引きというのは、とても難しいものである。
しかし、ここで危険な何かを勝負しないでオリたのは正解だった。
そして結果は流局。前田の1人テンパイで、童瞳がトップとなり終局となった。
前田プロは惜しくも手が届かなかった。最後の手がアガれていれば決勝に残れていたというのは、本人も知っているはずだ。
来年が新人王戦に出られる最後の年なので、是非頑張ってもらいたい。
こうして、決勝に残ったメンバーが決定した。
予選1位通過:嶋村泰之プロ(東京本部)
予選2位通過:東谷達矢プロ(九州本部)
予選3位通過:菅原直哉プロ(東北支部)
予選4位通過:童瞳プロ(東京本部)
惜しくも敗れたのは、
予選5位、佐倉麻由プロ(東京本部)
予選6位、岡本和也プロ(静岡支部)
予選7位、三谷卓也プロ(中部本部)
予選8位、飯島翔プロ(東京本部)
決勝前に全員にコメントをもらった。
嶋村プロ「去年悔しい思いをしたので、今年は3人に悔しい思いをしてもらおうと思います」
東谷プロ「自分の麻雀を貫きたいと思います」
菅原プロ「初めてなので緊張しましたが、精一杯打ちます」
童瞳プロ「平常心で打ちます。プロテストで講師をしていただいた、紺野プロと名前を並べられるよう頑張ります」
絶好調の4人がぶつかる決勝。派手な試合が期待できそうだ。

第22期 ベスト16レポート

ベスト28で敗退した井出との会話、
「小川さんの今日のイチオシは?」
この問いに、私は真っ先にというか、唯一、西川の名を挙げた。
それだけ圧倒的な存在感と運気を今日の西川には感じたのだ。

では、本題へ。

準々決勝、ここから、前チャンピオンの北野由実と、予選1位の内川幸太郎の登場である。

1卓:北野由実 vs 岡田直之 vs 石橋薫 vs 柴田弘幸

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1回戦、まずは、前チャンピオンの立ち上がり。
東3局、西家、北野リーチ。

二万三万四万七万八万九万九万九万七索九索七筒八筒九筒 リーチ ツモ八索 ドラ発

これを一発(一発はないが)でツモアガリ。
その後もしっかり加点し、トップをもぎ取る。

1回戦成績
北野+24.8P 石橋+5.0P 柴田▲12.9P 岡田▲17.9P

2回戦は柴田の独壇場となり、1人浮きのトップで終了。

2回戦終了時
柴田+26.3P 北野+19.8P 石橋▲3.4P 岡田▲44.7P

3回戦、柴田、北野が優位のまま終盤戦へ。
南3局、後のない石橋がリーチ。

一万一万五万六万五索六索七索二筒三筒四筒五筒六筒七筒 リーチ ツモ七万

この価千金の2,000・4,000で北野に急接近すると、オーラスも石橋がリーチ。

五万六万七索八索九索一筒二筒三筒五筒五筒五筒六筒七筒 リーチ ツモ四万

条件をきっちり満たすこのアガリで、北野を差しきった。

トータル成績
柴田+33.4P 石橋+15.5P 北野+14.0P 岡田▲64.9P

北野「2回戦目に安易なリーチ打っちゃった。もっと我慢強く打つべきでした。来期また頑張ります。」

1位通過:柴田弘幸  2位通過:石橋薫

2卓:羽山真生 vs 西川淳 vs 山口大和 vs 松岡昭彦

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1回戦、イチオシ西川がまたしてもトップをとる。
2回戦、1回戦ラスの羽山が、南1局の親番、

一筒二筒二筒三筒四筒六筒六筒七筒八筒九筒中中中 ロン三筒

この12,000をアガるなど、爆発し1人浮きの大トップをものにする。

2回戦終了時
羽山+22.3P 西川+15.5P 松岡▲18.2P 山口▲19.0P

3回戦、山口、松岡は2人の牙城を崩すことができるか?と思ってみていたが、
羽山と西川が得点を重ね、為すすべなく敗れ去ってしまった。

トータル成績
羽山+33.3P 西川+31.2P 松岡▲20.2P 山口▲26.1P

1位通過:羽山真生  2位通過:西川淳

3卓:越川清一 vs 中村毅 vs 白鳥翔 vs 越野智紀

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2回戦を終え、
中村+11.1P 白鳥+6.3P 越川±0P 越野▲17.4P

という大接戦となった。
3回戦東1局、西家・越野。

二万二万三万三万四万四万三筒三筒二索二索東東東 ロン三筒 ドラ二索

この8,000を白鳥からアガる。
東2局、白鳥が先制リーチ。

一万二万七万八万九万一筒二筒三筒一索二索三索北北 リーチ ドラ四万

親・越野、追いかけリーチ。

三万四万四万五万六万三筒四筒五筒七筒七筒五索六索七索 リーチ

この大物手対決は流局。
この後は、中村が上手く局を回し、ほぼ勝ち上がりを手中に納める。

オーラス持ち点
越野36,000
中村33,300
越川26,000
白鳥24,700

現状だと、中村、越野の勝ち上がり。越川は浮けばよし。
白鳥は最後の親なので、なにがなんでも連荘しなければならない。
しかし、勝負はあっさり、

七万八万九万一筒一筒一筒二筒三筒三筒四筒六筒七筒八筒  ロン二筒

越野がこの1,000点をアガリきり決着した。

トータル成績
中村+16.1P 越野▲1.1P 白鳥▲7.0P 越川▲8.0P

1位通過:中村毅  2位通過:越野智紀

4卓:内川幸太郎 vs 太田優介 vs 松岡千晶 vs 福光聖雄

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ここでは、格上的存在の内川だが、相手はベスト28で良い勝ち上がりで勢いに乗る3人だけに、波乱も十分ありえそうだ。
1回戦、南3局1本場、親・福光。

三万四万五万八万六索六索七索七索八索八索発発発 リーチ ツモ八万

この対局者も度肝を抜く4,000オール。
一瞬、内川の表情が固まったのが印象的だった。
2回戦でも、親で福光が、11,600をアガるなど、2連勝とし早々と勝ち上がりを決める。

2回戦終了時
福光+39.1P 太田▲0.9P 松岡▲12.2P 内川▲26.0P

残り1枠の争いとなる。
3回戦東2局、内川リーチ。

四万四万六万七万八万二筒三筒三筒四筒四筒二索三索四索 ドラ発

しかし、手牌を倒したのは、またしても親の福光、

三索四索五索五索五索八索八索八索東東 ポン発発発 ロン東

この24,000!放銃は内川で、ほぼジエンドか…。
その内川、東4局4本場、

二筒二筒七筒七筒北北北発発発 暗カン牌の背三万三万牌の背

意地のこのリーチも不発に終わり、2位争いは、太田、松岡の2人に絞られた。

オーラス
松岡37,200
太田34,600

現状では太田の勝ち上がり。
しかし、福光、内川の2人がアガリにいかないため、太田は松岡の親を自力で流さなければならない。
1本場は、2人テンパイで流局。
2本場、太田は早いテンパイをいれるも、松岡が終盤にリーチツモの1,000は1,200オールで、太田にぴったりと食らいつく。
3本場、まだアガれば勝ちの太田が、またしても早いテンパイをいれる。

六万七万八万二筒三筒四筒五筒六筒七筒五索六索八索八索

さすがに決まったと思ったが、アガリ発声は、またまた松岡。

四万四万五万六万七万八万九万六筒七筒八筒七索七索七索 ツモ七万

この500は800オール。
これで次局、松岡はノーテンで手を伏せることが可能となった。
4本場、逆に条件を押し付けられた太田は、テンパイをいれることができず、無念の敗退となった。

トータル成績
福光+56.6P 松岡11.6P 太田+4.2P 内川▲72.4P

太田「松岡さんの粘りにやられました。また、やり直しです。」
内川「1,000点と1,600点しかアガれなかった…。ポッ。皆強いよ。」

1位通過:福光聖雄  2位通過:松岡千晶

(文中敬称略)

JPML WRCリーグ レポート/第22期 ベスト16レポート

ベスト28で敗退した井出との会話、
「小川さんの今日のイチオシは?」
この問いに、私は真っ先にというか、唯一、西川の名を挙げた。
それだけ圧倒的な存在感と運気を今日の西川には感じたのだ。
では、本題へ。
準々決勝、ここから、前チャンピオンの北野由実と、予選1位の内川幸太郎の登場である。
1卓:北野由実 vs 岡田直之 vs 石橋薫 vs 柴田弘幸
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1回戦、まずは、前チャンピオンの立ち上がり。
東3局、西家、北野リーチ。
二万三万四万七万八万九万九万九万七索九索七筒八筒九筒 リーチ ツモ八索 ドラ発
これを一発(一発はないが)でツモアガリ。
その後もしっかり加点し、トップをもぎ取る。
1回戦成績
北野+24.8P 石橋+5.0P 柴田▲12.9P 岡田▲17.9P
2回戦は柴田の独壇場となり、1人浮きのトップで終了。
2回戦終了時
柴田+26.3P 北野+19.8P 石橋▲3.4P 岡田▲44.7P
3回戦、柴田、北野が優位のまま終盤戦へ。
南3局、後のない石橋がリーチ。
一万一万五万六万五索六索七索二筒三筒四筒五筒六筒七筒 リーチ ツモ七万
この価千金の2,000・4,000で北野に急接近すると、オーラスも石橋がリーチ。
五万六万七索八索九索一筒二筒三筒五筒五筒五筒六筒七筒 リーチ ツモ四万
条件をきっちり満たすこのアガリで、北野を差しきった。
トータル成績
柴田+33.4P 石橋+15.5P 北野+14.0P 岡田▲64.9P
北野「2回戦目に安易なリーチ打っちゃった。もっと我慢強く打つべきでした。来期また頑張ります。」

1位通過:柴田弘幸  2位通過:石橋薫

2卓:羽山真生 vs 西川淳 vs 山口大和 vs 松岡昭彦
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1回戦、イチオシ西川がまたしてもトップをとる。
2回戦、1回戦ラスの羽山が、南1局の親番、
一筒二筒二筒三筒四筒六筒六筒七筒八筒九筒中中中 ロン三筒
この12,000をアガるなど、爆発し1人浮きの大トップをものにする。
2回戦終了時
羽山+22.3P 西川+15.5P 松岡▲18.2P 山口▲19.0P
3回戦、山口、松岡は2人の牙城を崩すことができるか?と思ってみていたが、
羽山と西川が得点を重ね、為すすべなく敗れ去ってしまった。
トータル成績
羽山+33.3P 西川+31.2P 松岡▲20.2P 山口▲26.1P

1位通過:羽山真生  2位通過:西川淳

3卓:越川清一 vs 中村毅 vs 白鳥翔 vs 越野智紀
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2回戦を終え、
中村+11.1P 白鳥+6.3P 越川±0P 越野▲17.4P
という大接戦となった。
3回戦東1局、西家・越野。
二万二万三万三万四万四万三筒三筒二索二索東東東 ロン三筒 ドラ二索
この8,000を白鳥からアガる。
東2局、白鳥が先制リーチ。
一万二万七万八万九万一筒二筒三筒一索二索三索北北 リーチ ドラ四万
親・越野、追いかけリーチ。
三万四万四万五万六万三筒四筒五筒七筒七筒五索六索七索 リーチ
この大物手対決は流局。
この後は、中村が上手く局を回し、ほぼ勝ち上がりを手中に納める。
オーラス持ち点
越野36,000
中村33,300
越川26,000
白鳥24,700
現状だと、中村、越野の勝ち上がり。越川は浮けばよし。
白鳥は最後の親なので、なにがなんでも連荘しなければならない。
しかし、勝負はあっさり、
七万八万九万一筒一筒一筒二筒三筒三筒四筒六筒七筒八筒  ロン二筒
越野がこの1,000点をアガリきり決着した。
トータル成績
中村+16.1P 越野▲1.1P 白鳥▲7.0P 越川▲8.0P

1位通過:中村毅  2位通過:越野智紀

4卓:内川幸太郎 vs 太田優介 vs 松岡千晶 vs 福光聖雄
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ここでは、格上的存在の内川だが、相手はベスト28で良い勝ち上がりで勢いに乗る3人だけに、波乱も十分ありえそうだ。
1回戦、南3局1本場、親・福光。
三万四万五万八万六索六索七索七索八索八索発発発 リーチ ツモ八万
この対局者も度肝を抜く4,000オール。
一瞬、内川の表情が固まったのが印象的だった。
2回戦でも、親で福光が、11,600をアガるなど、2連勝とし早々と勝ち上がりを決める。
2回戦終了時
福光+39.1P 太田▲0.9P 松岡▲12.2P 内川▲26.0P
残り1枠の争いとなる。
3回戦東2局、内川リーチ。
四万四万六万七万八万二筒三筒三筒四筒四筒二索三索四索 ドラ発
しかし、手牌を倒したのは、またしても親の福光、
三索四索五索五索五索八索八索八索東東 ポン発発発 ロン東
この24,000!放銃は内川で、ほぼジエンドか…。
その内川、東4局4本場、
二筒二筒七筒七筒北北北発発発 暗カン牌の背三万三万牌の背
意地のこのリーチも不発に終わり、2位争いは、太田、松岡の2人に絞られた。
オーラス
松岡37,200
太田34,600
現状では太田の勝ち上がり。
しかし、福光、内川の2人がアガリにいかないため、太田は松岡の親を自力で流さなければならない。
1本場は、2人テンパイで流局。
2本場、太田は早いテンパイをいれるも、松岡が終盤にリーチツモの1,000は1,200オールで、太田にぴったりと食らいつく。
3本場、まだアガれば勝ちの太田が、またしても早いテンパイをいれる。
六万七万八万二筒三筒四筒五筒六筒七筒五索六索八索八索
さすがに決まったと思ったが、アガリ発声は、またまた松岡。
四万四万五万六万七万八万九万六筒七筒八筒七索七索七索 ツモ七万
この500は800オール。
これで次局、松岡はノーテンで手を伏せることが可能となった。
4本場、逆に条件を押し付けられた太田は、テンパイをいれることができず、無念の敗退となった。
トータル成績
福光+56.6P 松岡11.6P 太田+4.2P 内川▲72.4P
太田「松岡さんの粘りにやられました。また、やり直しです。」
内川「1,000点と1,600点しかアガれなかった…。ポッ。皆強いよ。」

1位通過:福光聖雄  2位通過:松岡千晶

(文中敬称略)