第21期東北プロリーグ 第2節レポート

Aリーグ

第1節でマイナスした者は当然少しでもマイナスを減らしたいし、出来ればプラスに転じたい。連続マイナスすると少し嫌な感じになるところ。

1卓は、東・皆川・渡部・泉・高橋

注目は1節で好調だった渡部と皆川。結果は明暗が分かれた。
皆川は3、3、4、3の▲34.2P。渡部は1、1、4,1の+25.6P。
渡部はトータル2位をキープした。

東・泉もプラスにまとめた。

2卓は、杜・遠藤・吉田・今・菅原

1節目で+94.6Pの大爆発した遠藤。今回はというと……またまた大爆発。+73.8P。
被害を食らったのは吉田で▲63.7P。
誰が遠藤を止めるのか。そこにも興味が出てきた。

3卓 平田 青木 粕谷 佐藤 工藤

ベテラン平田が調子悪い。1人マイナスなどあり▲35.7P。
佐藤も不調っぽい感じだったが最期は1人浮きの大きなトップでプラスにした。
私はというと連続マイナス…。
このままズルズルいかないよう頑張ります。

順位 名前 1節 2節 3節 4節 5節 6節 7節 8節 9節 10節 合計 順位
1 遠藤昭太 94.6 73.8 168.4 1
2 渡辺稔 55.1 25.6 80.7 2
3 東幸一郎 12.7 19.6 32.3 3
4 佐藤大介 ▲ 5.8 17.1 11.3 4
5 皆川直毅 42.8 ▲ 34.2 8.6 5
6 粕谷勇吉 ▲ 11.2 18.4 7.2 6
7 泉亮多 ▲ 4.6 9.9 5.3 7
8 工藤宏紀 1.8 1.7 3.5 8
9 今貴聡 ▲ 20.4 12.6 ▲ 7.8 9
10 菅原直哉 ▲ 1.9 ▲ 9.1 ▲ 11.0 10
11 平田孝章 9.1 ▲ 35.7 ▲ 26.6 11
12 青木武 ▲ 31.5 ▲ 6.5 ▲ 38.0 12
13 吉田勝弥 0.6 ▲ 63.7 ▲ 63.1 13
14 杜麻沙也 ▲ 57.5 ▲ 14.6 ▲ 72.1 14
15 高橋清隆 ▲ 58.6 ▲ 20.9 ▲ 79.5 15
16 藤本修二 ▲ 31.2 ▲ 100.0 ▲ 131.2 16

Bリーグ

1節目は、新田が+37.2Pで暫定1位だが、他の面々も±20以内でうまくまとめている感のあるBリーグ。まだ誰が抜け出てもおかしくない、この第2節ではどうなったか。

1卓(新田、安ヶ平、早坂、斎藤)
今回は各自戦い方がはっきり分かれた。新田は打点重視、安ヶ平は喰い仕掛け、早坂はヤミ、斎藤はリーチで攻める。4回戦でそれぞれ1回ずつトップをとる均衡した展開を見せた。卓内1位は鳴きがハマっていた安ヶ平で+24.3P。新田も最終戦でポイントを落としたものの+0.2Pでギリギリプラスの2着目につけた。

2卓(大里、佐藤、三井、佐々木)
こちらの卓でも各自1回ずつ1位を分け合っているが、点数のたたきあい、シーソーゲームといった感じとなった。2回戦では細かくアガリ先行した大里に三井が倍満ツモで親カブりさせ、その後大里と三井が小さなアガリでのトップ争い。3回戦は3,000・6,000でペースをつかんで連続のアガリをした三井に、佐々木が親満ツモからのテンパイ連荘で追いつく等見所の多い戦いとなった。

結果は、4回戦目でアガリを重ね独走となった三井が+36.9Pで卓内トップ。
終盤に勝負強さを見せた佐藤がマイナスを抑え+18.0Pの2位と続いた。

順位 名前 1節 2節 3節 4節 5節 6節 7節 8節 9節 10節 合計 順位
1 新田大輔 37.2 0.2 37.4 1
2 三井光一 ▲ 13.8 36.9 23.1 2
3 佐藤晃大 3.3 18.0 21.3 3
4 安ヶ平浩希 ▲ 14.5 24.3 9.8 4
5 斎藤智大 ▲ 7.9 ▲ 1.8 ▲ 9.7 5
6 早坂和人 ▲ 17.6 ▲ 22.7 ▲ 40.3 6
7 大里奈美 18.1 ▲ 60.9 ▲ 42.8 7
8 佐々木啓文 ▲ 15.0 ▲ 49.0 ▲ 64.0 8

東北プロリーグ レポート/第21期東北プロリーグ 第2節レポート

Aリーグ
第1節でマイナスした者は当然少しでもマイナスを減らしたいし、出来ればプラスに転じたい。連続マイナスすると少し嫌な感じになるところ。
1卓は、東・皆川・渡部・泉・高橋
注目は1節で好調だった渡部と皆川。結果は明暗が分かれた。
皆川は3、3、4、3の▲34.2P。渡部は1、1、4,1の+25.6P。
渡部はトータル2位をキープした。
東・泉もプラスにまとめた。
2卓は、杜・遠藤・吉田・今・菅原
1節目で+94.6Pの大爆発した遠藤。今回はというと……またまた大爆発。+73.8P。
被害を食らったのは吉田で▲63.7P。
誰が遠藤を止めるのか。そこにも興味が出てきた。
3卓 平田 青木 粕谷 佐藤 工藤
ベテラン平田が調子悪い。1人マイナスなどあり▲35.7P。
佐藤も不調っぽい感じだったが最期は1人浮きの大きなトップでプラスにした。
私はというと連続マイナス…。
このままズルズルいかないよう頑張ります。

順位 名前 1節 2節 3節 4節 5節 6節 7節 8節 9節 10節 合計 順位
1 遠藤昭太 94.6 73.8 168.4 1
2 渡辺稔 55.1 25.6 80.7 2
3 東幸一郎 12.7 19.6 32.3 3
4 佐藤大介 ▲ 5.8 17.1 11.3 4
5 皆川直毅 42.8 ▲ 34.2 8.6 5
6 粕谷勇吉 ▲ 11.2 18.4 7.2 6
7 泉亮多 ▲ 4.6 9.9 5.3 7
8 工藤宏紀 1.8 1.7 3.5 8
9 今貴聡 ▲ 20.4 12.6 ▲ 7.8 9
10 菅原直哉 ▲ 1.9 ▲ 9.1 ▲ 11.0 10
11 平田孝章 9.1 ▲ 35.7 ▲ 26.6 11
12 青木武 ▲ 31.5 ▲ 6.5 ▲ 38.0 12
13 吉田勝弥 0.6 ▲ 63.7 ▲ 63.1 13
14 杜麻沙也 ▲ 57.5 ▲ 14.6 ▲ 72.1 14
15 高橋清隆 ▲ 58.6 ▲ 20.9 ▲ 79.5 15
16 藤本修二 ▲ 31.2 ▲ 100.0 ▲ 131.2 16

Bリーグ
1節目は、新田が+37.2Pで暫定1位だが、他の面々も±20以内でうまくまとめている感のあるBリーグ。まだ誰が抜け出てもおかしくない、この第2節ではどうなったか。
1卓(新田、安ヶ平、早坂、斎藤)
今回は各自戦い方がはっきり分かれた。新田は打点重視、安ヶ平は喰い仕掛け、早坂はヤミ、斎藤はリーチで攻める。4回戦でそれぞれ1回ずつトップをとる均衡した展開を見せた。卓内1位は鳴きがハマっていた安ヶ平で+24.3P。新田も最終戦でポイントを落としたものの+0.2Pでギリギリプラスの2着目につけた。
2卓(大里、佐藤、三井、佐々木)
こちらの卓でも各自1回ずつ1位を分け合っているが、点数のたたきあい、シーソーゲームといった感じとなった。2回戦では細かくアガリ先行した大里に三井が倍満ツモで親カブりさせ、その後大里と三井が小さなアガリでのトップ争い。3回戦は3,000・6,000でペースをつかんで連続のアガリをした三井に、佐々木が親満ツモからのテンパイ連荘で追いつく等見所の多い戦いとなった。
結果は、4回戦目でアガリを重ね独走となった三井が+36.9Pで卓内トップ。
終盤に勝負強さを見せた佐藤がマイナスを抑え+18.0Pの2位と続いた。

順位 名前 1節 2節 3節 4節 5節 6節 7節 8節 9節 10節 合計 順位
1 新田大輔 37.2 0.2 37.4 1
2 三井光一 ▲ 13.8 36.9 23.1 2
3 佐藤晃大 3.3 18.0 21.3 3
4 安ヶ平浩希 ▲ 14.5 24.3 9.8 4
5 斎藤智大 ▲ 7.9 ▲ 1.8 ▲ 9.7 5
6 早坂和人 ▲ 17.6 ▲ 22.7 ▲ 40.3 6
7 大里奈美 18.1 ▲ 60.9 ▲ 42.8 7
8 佐々木啓文 ▲ 15.0 ▲ 49.0 ▲ 64.0 8

ロン2女流プロNo.1決定戦 番組紹介

ここでしか見られないオリジナル番組!

ロン2女流プロNo.1決定戦 6月3日公開!

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ニコニコ動画『日本プロ麻雀連盟チャンネル』開設記念番組が放送決定!!
公式オンライン麻雀サイト『ロン2』に登場するトップ女流プロが熱い闘いを繰り広げます!

システムはプロ8名が各2回戦ずつの予選を戦い、予選の上位4名が決勝戦に進出します。
1回戦終了時の順位によって2回戦の組み合わせが決定され、決勝戦は予選ポイントをリセットし、半荘2回戦を行います。

 

no1_l
出演者

 

no1_l

予選1回戦A卓
左から 和泉由希子プロ、宮内こずえプロ、
和久津晶プロ、二階堂亜樹プロ

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予選1回戦B卓
左から 二階堂瑠美プロ、長内真実プロ、
清水香織プロ、魚谷侑未プロ

 

対局終了後は日本プロ麻雀連盟のオリジナルコンテンツ『牌譜再生システム』で、
その対局の勝負所となる『明暗を分けた一手』をクローズアップ、
対局者を交え、心情や状況などを加味し徹底分析する。

 

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『日本プロ麻雀連盟チャンネル』 6月3日オープン!

 

 

ロン2女流プロNo.1決定戦 放送スケジュール

・日本プロ麻雀連盟チャンネル放送スケジュール

6月3日 (月)ロン2女流プロNo1決定戦予選1回戦A卓
6月21日(金)ロン2女流プロNo1決定戦予選1回戦B卓
7月5日 (金)ロン2女流プロNo1決定戦予選2回戦A卓
7月19日(金)ロン2女流プロNo1決定戦予選2回戦B卓
8月2日 (金)ロン2女流プロNo1決定戦決勝1回戦
8月16日(金)ロン2女流プロNo1決定戦決勝2回戦

ロン2ネットTVでもご覧になれます!

・ロン2ネットTV放送スケジュール

6月7日 (金)ロン2女流プロNo1決定戦予選1回戦A卓
6月21日(金)ロン2女流プロNo1決定戦予選1回戦B卓
7月5日 (金)ロン2女流プロNo1決定戦予選2回戦A卓
7月19日(金)ロン2女流プロNo1決定戦予選2回戦B卓
8月2日 (金)ロン2女流プロNo1決定戦決勝1回戦
8月16日(金)ロン2女流プロNo1決定戦決勝2回戦

特集企画/ロン2女流プロNo.1決定戦 番組紹介

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1回戦終了時の順位によって2回戦の組み合わせが決定され、決勝戦は予選ポイントをリセットし、半荘2回戦を行います。
 

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出演者

 

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予選1回戦A卓
左から 和泉由希子プロ、宮内こずえプロ、
和久津晶プロ、二階堂亜樹プロ
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予選1回戦B卓
左から 二階堂瑠美プロ、長内真実プロ、
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ロン2女流プロNo.1決定戦 放送スケジュール
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6月3日 (月)ロン2女流プロNo1決定戦予選1回戦A卓
6月21日(金)ロン2女流プロNo1決定戦予選1回戦B卓
7月5日 (金)ロン2女流プロNo1決定戦予選2回戦A卓
7月19日(金)ロン2女流プロNo1決定戦予選2回戦B卓
8月2日 (金)ロン2女流プロNo1決定戦決勝1回戦
8月16日(金)ロン2女流プロNo1決定戦決勝2回戦
ロン2ネットTVでもご覧になれます!
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6月7日 (金)ロン2女流プロNo1決定戦予選1回戦A卓
6月21日(金)ロン2女流プロNo1決定戦予選1回戦B卓
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8月16日(金)ロン2女流プロNo1決定戦決勝2回戦

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1回戦終了時の順位によって2回戦の組み合わせが決定され、決勝戦は予選ポイントをリセットし、半荘2回戦を行います。

 

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出演者

 

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予選1回戦A卓
左から 前原雄大プロ、小島武夫プロ、
滝沢和典プロ、荒正義プロ

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予選1回戦B卓
左から 森山茂和プロ、瀬戸熊直樹プロ、
佐々木寿人プロ、灘麻太郎プロ

 

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ロン2プロNo.1決定戦 放送スケジュール

・ロン2ネットTV放送スケジュール

6月3日 (月)ロン2プロNo1決定戦予選1回戦A卓
6月14日(金)ロン2プロNo1決定戦予選1回戦B卓
6月28日(金)ロン2プロNo1決定戦予選2回戦A卓
7月12日(金)ロン2プロNo1決定戦予選2回戦B卓
7月26日(金)ロン2プロNo1決定戦決勝1回戦
8月9日 (金)ロン2プロNo1決定戦決勝2回戦

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6月14日(金)ロン2プロNo1決定戦予選1回戦A卓
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7月26日(金)ロン2プロNo1決定戦予選2回戦B卓
8月9日 (金)ロン2プロNo1決定戦決勝1回戦
8月23日(金)ロン2プロNo1決定戦決勝2回戦

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1回戦終了時の順位によって2回戦の組み合わせが決定され、決勝戦は予選ポイントをリセットし、半荘2回戦を行います。
 

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出演者

 

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予選1回戦A卓
左から 前原雄大プロ、小島武夫プロ、
滝沢和典プロ、荒正義プロ
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予選1回戦B卓
左から 森山茂和プロ、瀬戸熊直樹プロ、
佐々木寿人プロ、灘麻太郎プロ

 
対局終了後は日本プロ麻雀連盟のオリジナルコンテンツ『牌譜再生システム』で、
その対局の勝負所となる『明暗を分けた一手』をクローズアップ、
対局者を交え、心情や状況などを加味し徹底分析する。
 
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ロン2プロNo.1決定戦 放送スケジュール
・ロン2ネットTV放送スケジュール
6月3日 (月)ロン2プロNo1決定戦予選1回戦A卓
6月14日(金)ロン2プロNo1決定戦予選1回戦B卓
6月28日(金)ロン2プロNo1決定戦予選2回戦A卓
7月12日(金)ロン2プロNo1決定戦予選2回戦B卓
7月26日(金)ロン2プロNo1決定戦決勝1回戦
8月9日 (金)ロン2プロNo1決定戦決勝2回戦
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6月14日(金)ロン2プロNo1決定戦予選1回戦A卓
6月28日(金)ロン2プロNo1決定戦予選1回戦B卓
7月12日(金)ロン2プロNo1決定戦予選2回戦A卓
7月26日(金)ロン2プロNo1決定戦予選2回戦B卓
8月9日 (金)ロン2プロNo1決定戦決勝1回戦
8月23日(金)ロン2プロNo1決定戦決勝2回戦

第76回:黒木真生

自己紹介するために自分が何期生か調べてみて、バトンを渡してくれた小笠原奈央プロとの差から計算すると…オイ! 俺はもう15年もプロやってるのか!? …とビックリしてしまった13期生の黒木真生です。

よろしくお願いいたします。

 

しかし、15年もやってればそら10キロ以上太りもするし二階堂亜樹ちゃんが結婚して子供も生まれるわ。
まさに光陰矢のごとしで、この15年間は私にとって一瞬のあわただしい出来事のようだった。

 

ただ、その「一瞬」で、私から見える風景は大きく様変わりした。
靴下を履くとき腹が邪魔になって…というしょうもない景色じゃなくて、たとえば右のバナー。いま15、6個はりついているが、もし日本プロ麻雀連盟ホームページが15年前にあったとしたら、せいぜい3つぐらいだったであろう。
近代麻雀」と「モンド21」(現MONDOTV)と麻雀教室。そんなところだった。
ほんのちょっと前までは、なーんもない世界に見えた。

 

麻雀界の歴史を後から聞けば、20年ほど前は麻雀雑誌が多数発行されていたり、ファミコンの麻雀ゲームソフトのブームがあったりと、麻雀業界も浮き沈みがあったようなのだが、私が入った当時は、いまと比べるとやはり地味な印象だった。

化け物みたいに強い麻雀のプロたちが死闘を繰り広げる様をテレビで見たい! と学生時代から思っていた私にとってはかなり物足りない業界だったのである。

ところが、私が入ってすぐ、ナイタイから「ビクトリー麻雀」という雑誌が創刊された。ピーク時は13誌ほどあったという麻雀雑誌が淘汰され、元祖である「近代麻雀」系と「月刊プロ麻雀」だけが生き残ってひと段落した頃、久しぶりに創刊された麻雀劇画誌であった。

 

当時はいまのように若手プロが多くなかったから、私にも声がかかった。アルバイト的なことをやったり、雀荘紹介のレポートを書かせてもらったりした。編集長や荒正義プロから色々と教えてもらいながらやっていた。
私は人生の中でものを書く仕事をやってみたいと思ったことが一度もなかったので、変に気負わなかったのが良かったのか。「まったく工夫はないがナチュラルで良い文章だ」とほめていただいた。正確にいえばほめられたのかどうか微妙なのだが、ほめられたと受け取っておいた。
何も分からずただ書いていただけだったが、それなりに嬉しく、ヤル気が出たのをいまでも覚えている。

 

その内、編集長の思いつきで東北から北海道にかけて旅打ちに出ることとなった。
お前どうせサウナで暮らしてるんならそのデカいバッグだけ持って日本の一番北の雀荘ってとこまで行ってこいよ。と。
単なるバカ話のノリだったが、よし! もういますぐに行こうぜと、その企画は実行されることになってしまった。
麻雀雑誌にそんな予算はなく、完全にガチだったので、お金がなくなったら本当に野宿していた。
まだ5月から6月ぐらいの東北地方は夜になると寒く、野良犬に眼鏡を盗まれそうになったこともあった。
銭湯の乾燥機の性能が悪く、1時間以上全裸で待たされるという経験もした。
確か、毛布を持ってきてくれたのは麻雀忍者・藤崎智プロだったと思う。

 

そういうおバカなことをやっていたのだが、それを見つけて「モンド21」の「モンド21杯」という番組に企画を売り込んでくださったのが、フリープロの馬場裕一さんだった。
若手プロがおバカなことをやっているからネタにしてあげてくれませんかと。
その働きかけのおかげで、旅打ちが「モンド21杯」の後ろのコーナーで放送されることになった。
まだクソガキだった私はその意味や影響力なども分からず、おお、あのメンチンのバビィが!? へぇ~、すごいっすね。クチビルツモの人ですよね? と、ありがたいにはありがたいが、本当のありがたさは分かっていない状態だった。

 

旅打ちから帰ってくると、東京では「モンド21」で若手の企画をやるという話になっていた。
当時はまだ「第3回モンド21杯」が終わったばかりで、いまのように麻雀番組が大きな支持を得ておらず(もしくは得ていたことがはっきり分かっていなかった)、手探り状態だったという。
後から聞いた話では、そのまま打ち切りという可能性もあったそうだ。
実際、その若手プロの番組は隔週で60分の放送だった。「モンド21杯」の毎週で90分放送と比べかなり縮小された。

 

私はここに出させていただいた。特徴がなくキャラも立たない私だが、「旅打ち」の企画に出ていたことで選んでいただいたのである。
だが、ロクなものを残すことができず、応援してくださった方々を落胆させる結果となった。
いま思うと「これでプロを名乗るのは恥ずかしくないか?」という内容だったと思う。
この時の経験はいまの私の財産にはなっているが、何十万、何百万という視聴者が見る番組である。いち個人の糧にするにはあまりにも釣り合いが取れなかった。
テレビ対局に出るプロ雀士は、ひとつの番組を作るためにかかる莫大な費用や働く方々の苦労、視聴者の数、麻雀業界全体に与える影響。それらすべてを背負って出演しなければならない。
これは麻雀プロにかぎらず、どの業界でも同じだと思う。サラリーマンでも商売人でも一緒だと思う。
各自が自分の持ち場でプロの仕事をしなければ他の人たちに迷惑をかける。その仕事をする力量が足りていない人間はプロを名乗る資格もお金をもらう権利もない。
そういう当たり前のことが分かるようになったのは、ヘタを打ってから数年経ってからであった。

 

個人的にはヘコんでいたのだが、その後「モンド21」の麻雀番組は続けられ、どんどん視聴者が増えて、いまでは1300万人が視聴できる超人気番組となった。
また、モンド以外にもエンタメ~テレの「天空麻雀」など、複数の麻雀番組が放送されるようになった。
ニコニコ生放送ではパソコンで手軽に麻雀対局を見ることもできる。
自分が麻雀ファンだった頃に見たかった「化け物たちによる麻雀の死闘」が映像でジャンジャン見られるようになったのだ。
先日の鳳凰位決定戦などはまさにそれだった。
ああいうすさまじい「戦い」を常時ファンの皆さんに見せられるようになることが、いまの、映像時代の麻雀業界の目標であろう。
いや、私が決めることじゃないけれど。

 

映像だけではない。雀荘のゲストのお仕事も飛躍的に増えた。特に女流プロは、デビューしてすぐ、お仕事がもらえるというありがたい状況だ。
そして、何といってもコナミの麻雀格闘倶楽部である。出現した当時、人気ラーメン店ばりの長蛇の列を作って社会現象となったが、それから10年たったいまも全国の麻雀ファンから絶大な人気を博し、日々、麻雀の「格闘」が繰り広げられている。
人気のあるプロは、雀荘だけでなくゲームセンターのイベントにもゲストとして呼ばれるようになった。

 

かつてはどれだけ良い麻雀を打っても、誰にも見つけてもらえず埋没した牌譜が山のようにあっただろう。だが、いまはテレビカメラが一打一打を追い、全国に放送してくれるようになった。
副業を持たずとも、麻雀のプロとしてファンに認められれば生活ができるようになった。
私が15年前「こうなったらええけどなぁ」と思っていたことが現実となったのだ。

 

ここまできたら、プロ雀士としてあとはもう、やることは決まったも同然だ。
ファンの皆さんに「お前らの勝負、面白いなぁ!」「いいぞ、もっとやれ!」「あいつだけには負けるなよお前!」と、私たちの真剣勝負を面白がってもらうことである。
そのためにはただ、自分たちの技を磨き、必死で戦えばいい。

 

しかしここで、森山茂和会長の言葉が思い出される。

「映像の時代はごまかしがきかないから、誰が本物で誰が未熟か全部バレるよ」

雑誌の時代なら悪いプレーはあえて掲載されなかったが、映像はすべてを放送してしまうので、実力がハッキリクッキリと出るという意味である。
実は我々は浮かれている場合ではなく、厳しい世界になりつつあることも自覚しなければならないのである。
プロ野球の世界なら、ボコボコに打たれて試合を壊した投手は「引っ込め!」と罵倒され、秋にはクビになる。
これまでは他人事と思っていただろうが、これからはその現象が自分の身にふりかかるかもしれない。
ここで急に「真弓監督、あの時は言いすぎました!スマンかった!」と謝ってももう遅いのである。

 

6月には連盟とロン2で動画のサイトを運営することになっているから、これからはもっと多くの楽しい麻雀勝負の映像をご覧いただけるようになると思う。
ファンの皆さんは気楽に、あーでもない、こーでもないと言いながら「化け物たちによる麻雀の死闘」を楽しんでいただきたい。

そしてこれからも麻雀業界を応援していただければ幸いです。

 

…と、気が付けばすっげー長い文章を書いてしまった。ネットは字数制限がないのでやりたい放題になってしまう。しかも説教くさい内容になってしまったので、次にバトンを渡す相手は、あまり物事を深く考えなさそうなライト感覚の人生観を持ったヤツ。そう…ガース! あれ? もうやってる。じゃあダンプ! …もやってる。山井さんもやってるし(白河)雪菜も、魚谷も? あと他にB型いないのB型!? っていうか、私にバトンが来たのって本当、他に誰もいなかったということね!?

しょうがない。あんまり面識はないのだけれども、つい先日マスターズで優勝し初タイトルを手に入れた気鋭のプロ、小車祥プロにバトンを渡してみましょう。よろしく!

リレーエッセィ/第76回:黒木真生

自己紹介するために自分が何期生か調べてみて、バトンを渡してくれた小笠原奈央プロとの差から計算すると…オイ! 俺はもう15年もプロやってるのか!? …とビックリしてしまった13期生の黒木真生です。
よろしくお願いいたします。
 
しかし、15年もやってればそら10キロ以上太りもするし二階堂亜樹ちゃんが結婚して子供も生まれるわ。
まさに光陰矢のごとしで、この15年間は私にとって一瞬のあわただしい出来事のようだった。
 
ただ、その「一瞬」で、私から見える風景は大きく様変わりした。
靴下を履くとき腹が邪魔になって…というしょうもない景色じゃなくて、たとえば右のバナー。いま15、6個はりついているが、もし日本プロ麻雀連盟ホームページが15年前にあったとしたら、せいぜい3つぐらいだったであろう。
近代麻雀」と「モンド21」(現MONDOTV)と麻雀教室。そんなところだった。
ほんのちょっと前までは、なーんもない世界に見えた。
 
麻雀界の歴史を後から聞けば、20年ほど前は麻雀雑誌が多数発行されていたり、ファミコンの麻雀ゲームソフトのブームがあったりと、麻雀業界も浮き沈みがあったようなのだが、私が入った当時は、いまと比べるとやはり地味な印象だった。
化け物みたいに強い麻雀のプロたちが死闘を繰り広げる様をテレビで見たい! と学生時代から思っていた私にとってはかなり物足りない業界だったのである。
ところが、私が入ってすぐ、ナイタイから「ビクトリー麻雀」という雑誌が創刊された。ピーク時は13誌ほどあったという麻雀雑誌が淘汰され、元祖である「近代麻雀」系と「月刊プロ麻雀」だけが生き残ってひと段落した頃、久しぶりに創刊された麻雀劇画誌であった。
 
当時はいまのように若手プロが多くなかったから、私にも声がかかった。アルバイト的なことをやったり、雀荘紹介のレポートを書かせてもらったりした。編集長や荒正義プロから色々と教えてもらいながらやっていた。
私は人生の中でものを書く仕事をやってみたいと思ったことが一度もなかったので、変に気負わなかったのが良かったのか。「まったく工夫はないがナチュラルで良い文章だ」とほめていただいた。正確にいえばほめられたのかどうか微妙なのだが、ほめられたと受け取っておいた。
何も分からずただ書いていただけだったが、それなりに嬉しく、ヤル気が出たのをいまでも覚えている。
 
その内、編集長の思いつきで東北から北海道にかけて旅打ちに出ることとなった。
お前どうせサウナで暮らしてるんならそのデカいバッグだけ持って日本の一番北の雀荘ってとこまで行ってこいよ。と。
単なるバカ話のノリだったが、よし! もういますぐに行こうぜと、その企画は実行されることになってしまった。
麻雀雑誌にそんな予算はなく、完全にガチだったので、お金がなくなったら本当に野宿していた。
まだ5月から6月ぐらいの東北地方は夜になると寒く、野良犬に眼鏡を盗まれそうになったこともあった。
銭湯の乾燥機の性能が悪く、1時間以上全裸で待たされるという経験もした。
確か、毛布を持ってきてくれたのは麻雀忍者・藤崎智プロだったと思う。
 
そういうおバカなことをやっていたのだが、それを見つけて「モンド21」の「モンド21杯」という番組に企画を売り込んでくださったのが、フリープロの馬場裕一さんだった。
若手プロがおバカなことをやっているからネタにしてあげてくれませんかと。
その働きかけのおかげで、旅打ちが「モンド21杯」の後ろのコーナーで放送されることになった。
まだクソガキだった私はその意味や影響力なども分からず、おお、あのメンチンのバビィが!? へぇ~、すごいっすね。クチビルツモの人ですよね? と、ありがたいにはありがたいが、本当のありがたさは分かっていない状態だった。

 
旅打ちから帰ってくると、東京では「モンド21」で若手の企画をやるという話になっていた。
当時はまだ「第3回モンド21杯」が終わったばかりで、いまのように麻雀番組が大きな支持を得ておらず(もしくは得ていたことがはっきり分かっていなかった)、手探り状態だったという。
後から聞いた話では、そのまま打ち切りという可能性もあったそうだ。
実際、その若手プロの番組は隔週で60分の放送だった。「モンド21杯」の毎週で90分放送と比べかなり縮小された。

 
私はここに出させていただいた。特徴がなくキャラも立たない私だが、「旅打ち」の企画に出ていたことで選んでいただいたのである。
だが、ロクなものを残すことができず、応援してくださった方々を落胆させる結果となった。
いま思うと「これでプロを名乗るのは恥ずかしくないか?」という内容だったと思う。
この時の経験はいまの私の財産にはなっているが、何十万、何百万という視聴者が見る番組である。いち個人の糧にするにはあまりにも釣り合いが取れなかった。
テレビ対局に出るプロ雀士は、ひとつの番組を作るためにかかる莫大な費用や働く方々の苦労、視聴者の数、麻雀業界全体に与える影響。それらすべてを背負って出演しなければならない。
これは麻雀プロにかぎらず、どの業界でも同じだと思う。サラリーマンでも商売人でも一緒だと思う。
各自が自分の持ち場でプロの仕事をしなければ他の人たちに迷惑をかける。その仕事をする力量が足りていない人間はプロを名乗る資格もお金をもらう権利もない。
そういう当たり前のことが分かるようになったのは、ヘタを打ってから数年経ってからであった。
 
個人的にはヘコんでいたのだが、その後「モンド21」の麻雀番組は続けられ、どんどん視聴者が増えて、いまでは1300万人が視聴できる超人気番組となった。
また、モンド以外にもエンタメ~テレの「天空麻雀」など、複数の麻雀番組が放送されるようになった。
ニコニコ生放送ではパソコンで手軽に麻雀対局を見ることもできる。
自分が麻雀ファンだった頃に見たかった「化け物たちによる麻雀の死闘」が映像でジャンジャン見られるようになったのだ。
先日の鳳凰位決定戦などはまさにそれだった。
ああいうすさまじい「戦い」を常時ファンの皆さんに見せられるようになることが、いまの、映像時代の麻雀業界の目標であろう。
いや、私が決めることじゃないけれど。

 
映像だけではない。雀荘のゲストのお仕事も飛躍的に増えた。特に女流プロは、デビューしてすぐ、お仕事がもらえるというありがたい状況だ。
そして、何といってもコナミの麻雀格闘倶楽部である。出現した当時、人気ラーメン店ばりの長蛇の列を作って社会現象となったが、それから10年たったいまも全国の麻雀ファンから絶大な人気を博し、日々、麻雀の「格闘」が繰り広げられている。
人気のあるプロは、雀荘だけでなくゲームセンターのイベントにもゲストとして呼ばれるようになった。

 
かつてはどれだけ良い麻雀を打っても、誰にも見つけてもらえず埋没した牌譜が山のようにあっただろう。だが、いまはテレビカメラが一打一打を追い、全国に放送してくれるようになった。
副業を持たずとも、麻雀のプロとしてファンに認められれば生活ができるようになった。
私が15年前「こうなったらええけどなぁ」と思っていたことが現実となったのだ。

 
ここまできたら、プロ雀士としてあとはもう、やることは決まったも同然だ。
ファンの皆さんに「お前らの勝負、面白いなぁ!」「いいぞ、もっとやれ!」「あいつだけには負けるなよお前!」と、私たちの真剣勝負を面白がってもらうことである。
そのためにはただ、自分たちの技を磨き、必死で戦えばいい。

 
しかしここで、森山茂和会長の言葉が思い出される。
「映像の時代はごまかしがきかないから、誰が本物で誰が未熟か全部バレるよ」
雑誌の時代なら悪いプレーはあえて掲載されなかったが、映像はすべてを放送してしまうので、実力がハッキリクッキリと出るという意味である。
実は我々は浮かれている場合ではなく、厳しい世界になりつつあることも自覚しなければならないのである。
プロ野球の世界なら、ボコボコに打たれて試合を壊した投手は「引っ込め!」と罵倒され、秋にはクビになる。
これまでは他人事と思っていただろうが、これからはその現象が自分の身にふりかかるかもしれない。
ここで急に「真弓監督、あの時は言いすぎました!スマンかった!」と謝ってももう遅いのである。
 
6月には連盟とロン2で動画のサイトを運営することになっているから、これからはもっと多くの楽しい麻雀勝負の映像をご覧いただけるようになると思う。
ファンの皆さんは気楽に、あーでもない、こーでもないと言いながら「化け物たちによる麻雀の死闘」を楽しんでいただきたい。
そしてこれからも麻雀業界を応援していただければ幸いです。
 
…と、気が付けばすっげー長い文章を書いてしまった。ネットは字数制限がないのでやりたい放題になってしまう。しかも説教くさい内容になってしまったので、次にバトンを渡す相手は、あまり物事を深く考えなさそうなライト感覚の人生観を持ったヤツ。そう…ガース! あれ? もうやってる。じゃあダンプ! …もやってる。山井さんもやってるし(白河)雪菜も、魚谷も? あと他にB型いないのB型!? っていうか、私にバトンが来たのって本当、他に誰もいなかったということね!?
しょうがない。あんまり面識はないのだけれども、つい先日マスターズで優勝し初タイトルを手に入れた気鋭のプロ、小車祥プロにバトンを渡してみましょう。よろしく!

第77回『そして僕らは』

 

ようやっと、4月が終わった。
正確に記すならば、ようやっと、鳳凰戦のニコ動の視聴期間が終わった。
鳳凰戦が終了してから、ほぼ毎日、起床と共にパソコンを起ち上げ数時間は観ていた。
あまりの自分の脆さに嫌気がさし、30分ほどで観るのをやめた日もあれば数十時間観続ける日もあった。
夜、眠りに就く前も、翌日のことを考え今晩は30分だけと決めておきながらもやはり数時間は観てしまう毎日だった。

結果として勝利をモノにした戦い、例えば、昨年度のモンド王座戦、インターネット麻雀選手権、グランプリMAXなどがあるが、一通りは目を通してはいるが、鳳凰戦に比べれば何十分の一か、もしくはそれ以下しか観ていないだろう。

理由の1つには勝ち牌譜、もしくは勝った映像には傷が少ないからなのかもしれない。
佐々木寿人は勉強会の帰りなどに車で送ってもらうのだが、車中に流れている映像は自分が勝利を収めたモノが延々と流れ続けている。

「飽きない?」
「僕は自分の勝った映像しか興味ありませんから!」

やはり、性格というか、気質の違いなのだろう。
話を戻すと、とりあえず視聴期間が終わったということは、しばらくは自分に嫌気がささなくて済むということである。実際は牌譜データサービスという面白くて厄介な代物が存在するのだが…。

反省材料はエベレスト級に山積みされているが、解りやすい部分だけ記してみたい。
人は間違う時は全く同じではないにしても、相似形に近い間違いを犯すものである。

三索四索五索一筒一筒八筒八筒  チー四万 左向き三万 上向き五万 上向き  チー五筒 左向き三筒 上向き四筒 上向き  ツモ一筒  ドラ一筒

1回戦の南2局に、一見トリッキーに映るかもしれないが好感触を得て迎えた親番。

class_3

ツモと決め事の狭間で

これは決め事というよりも私の中のセオリーと言った方が解りやすいかもしれない。
前述の通り、私は前局のアガリに感触を得、なおかつトップ目でもあり、入り目がカン八索ということもあり、ここでわずかな逡巡を覚えながらも即リーチを打っている。

その逡巡の中身とは、前巡に北家である瀬戸熊鳳凰、十段にアガリ牌である五筒を打たれている。
普通の状態であるならば私は親番とはいえ、ここは直前に五筒を打たれている以上、ヤミテンに構えるのが本手を打つということだと考える。

正しいかどうかは別として、これが私の決め事であり、セオリーと呼ぶべきものである。

class_3

結果は正直なもので本手を打ってさえいれば、

一万二万三万七万九万二索三索四筒七筒八筒九筒東東   ツモ八筒

荒正義さんからリーチと同巡に、掴んだ八筒を捕えられることは論を待たないところである。
このことは、対局中も荒さんが五筒八筒を掴んだことは感覚として感じていた。

いくら前局のアガリに好感触を得、なおかつ入り目が良かったとしても、本手をひたすらに打ち続けるのがプロとしてのカタチであると思う。

そして9回戦南2局1本場もご覧いただきたい。
ここでの私は、精神状態もかなり揺らいでいて一時は箱を割っていた。
その時私は、常日頃から若い人たちに言っていた言葉を思い出していた。

「競技麻雀において、役満でも打たない限り、箱を割るということは若手であればあってはならないことだ」

私はその言葉を思い出しながら、謙虚な気持ちを持って、南1局の藤崎智の親番を500・1,000のツモアガリで自分の親番を迎えた。

そして南2局、藤崎の追撃リーチをかわし、幸運にも親満を引きアガることが出来た。

八万八万八万一索二索三索三筒三筒三筒六筒六筒南南  ツモ南

そして南2局1本場。

六万八万九万一索二索二索四索四索五索八索東西北北  ドラ北

私は配牌を見た瞬間、アガりを目指すにはかなり難しく感じられた。
ただ、それはそれでいいと考えていた。
それは、競技麻雀プロである以上、私の教示として箱を割ってはならないという思いがあったからである。
ところがツモの伸びが素晴らしいものであった。

class_3

あの配牌が、僅か7巡目に4,000オールもしくは6,000オールの手に育ったのである。
今鳳凰戦の第一戦の南3局と背景はかなり違えど、ある意味、同様の場面ではある。
それは、ご覧のとおり荒正義さんがテンパイの直前に高目でもある六索を河に放っている。
私はつい数分前までの謙虚な気持ちをどこかにおきざりにしてツモの伸び、好感触に酔ってしまっていた。
私の選択はノータイムの「リーチ」であった。

麻雀に限らず、あらゆる戦いに必要なものは「心・技・体」である。
私はこの中でも大切に思っている心の軸である。そして、その軸がぶれてしまったのである。
言葉を変えるならば、戦う姿勢が出来ていないと言っても良い。
相手と戦う以前に、自分自身に負けてしまったようなものである。

鳳凰戦という舞台は最高の檜舞台である。その中で、最高のプレイ、パフォーマンスを魅せるのが前述したとおり舞台に昇ったものの義務である。そういう意味合いでは、荒正義さんのプレイは素晴らしい。
リーチ同巡の荒さんは、一発で私のロン牌である六索をツモり僅かな少考の後、私の現物牌である二索を抜き打った。果たして私が荒さんの立場だったらどう打っただろうか。

class_3

結果はご覧のとおり、藤崎のツモアガリで収束を見た。
この藤崎のツモアガリも藤崎らしい受けのカタチである。

誤解しないでいただきたいのは、結果から答えを引き出しているわけではない。
テンパイ直前にロン牌を打ち出された場合はヤミテンに構える。
このことは私の中での信念と言ってもいい。

このことを今、若い人たちに解って欲しいという気持ちは持ってはいるが、押し付ける気は毛頭ない。
私が言いたいこと、伝えたいことは、何事であれ自分の信念を貫き通せなかったとき、自ずと負けはやってくるのだということである。

鳳凰戦全対局終了後、打ち上げの席で勝又健志君、猿川真寿君とテーブルを共にした。
「これからは君たちの時代だ。お互いのために麻雀に関して思っていることは、はっきりと言うべき時が訪れているように思えてならない。それが私と貴方達だけということではなく、将来の連盟のためにもなるはずだから。」

勝又君という男は、例えばその打ち上げの席上でもトイレに行く場合、私の後ろを通り過ぎる時、
「後ろを失礼いたします」
そういう人としての礼儀、品格を併せ持った男である。

そんな勝又君が、ためらいがちに重い口を開いた。
「前原さんがそうおっしゃってくださるならばハッキリ言わせてもらいますが、今回の鳳凰戦での前原さんの対局内容は私たちに普段言ってくださることとは違うように思えてなりません。」
「そうか、ありがとう」
横で2人の会話を聞いていた猿川君は、何も語ることはなかったが、静かに目を閉じ頷く様な風情で一気にグラスを空けた。

麻雀は所詮、所謂、遊びである。遊びにしか過ぎないのかもしれない。
その遊びを生業にしている以上、それでも僕らは今日もそして明日に向って真正面から、ただ、ひたすらに立ち向かっていくしかないのだろう。

猿川君は、グランプリMAXの観戦記の冒頭の部分で、私の鳳凰戦の戦い方を、一言「哀しかった」と記している。その言葉の裏側には、間違いなく私へのなんらかの想いがあったことは間違いない。

私は彼の文を読み、感謝の気持ちと奮い立つ気持ちに包まれた。
お互いに言いたいことを述べ、記し、お互いが向上して行く____そして僕らは・・・・。

上級/第77回『そして僕らは』

 
ようやっと、4月が終わった。
正確に記すならば、ようやっと、鳳凰戦のニコ動の視聴期間が終わった。
鳳凰戦が終了してから、ほぼ毎日、起床と共にパソコンを起ち上げ数時間は観ていた。
あまりの自分の脆さに嫌気がさし、30分ほどで観るのをやめた日もあれば数十時間観続ける日もあった。
夜、眠りに就く前も、翌日のことを考え今晩は30分だけと決めておきながらもやはり数時間は観てしまう毎日だった。
結果として勝利をモノにした戦い、例えば、昨年度のモンド王座戦、インターネット麻雀選手権、グランプリMAXなどがあるが、一通りは目を通してはいるが、鳳凰戦に比べれば何十分の一か、もしくはそれ以下しか観ていないだろう。
理由の1つには勝ち牌譜、もしくは勝った映像には傷が少ないからなのかもしれない。
佐々木寿人は勉強会の帰りなどに車で送ってもらうのだが、車中に流れている映像は自分が勝利を収めたモノが延々と流れ続けている。
「飽きない?」
「僕は自分の勝った映像しか興味ありませんから!」
やはり、性格というか、気質の違いなのだろう。
話を戻すと、とりあえず視聴期間が終わったということは、しばらくは自分に嫌気がささなくて済むということである。実際は牌譜データサービスという面白くて厄介な代物が存在するのだが…。
反省材料はエベレスト級に山積みされているが、解りやすい部分だけ記してみたい。
人は間違う時は全く同じではないにしても、相似形に近い間違いを犯すものである。
三索四索五索一筒一筒八筒八筒  チー四万 左向き三万 上向き五万 上向き  チー五筒 左向き三筒 上向き四筒 上向き  ツモ一筒  ドラ一筒
1回戦の南2局に、一見トリッキーに映るかもしれないが好感触を得て迎えた親番。

class_3

ツモと決め事の狭間で
これは決め事というよりも私の中のセオリーと言った方が解りやすいかもしれない。
前述の通り、私は前局のアガリに感触を得、なおかつトップ目でもあり、入り目がカン八索ということもあり、ここでわずかな逡巡を覚えながらも即リーチを打っている。
その逡巡の中身とは、前巡に北家である瀬戸熊鳳凰、十段にアガリ牌である五筒を打たれている。
普通の状態であるならば私は親番とはいえ、ここは直前に五筒を打たれている以上、ヤミテンに構えるのが本手を打つということだと考える。
正しいかどうかは別として、これが私の決め事であり、セオリーと呼ぶべきものである。

class_3

結果は正直なもので本手を打ってさえいれば、
一万二万三万七万九万二索三索四筒七筒八筒九筒東東   ツモ八筒
荒正義さんからリーチと同巡に、掴んだ八筒を捕えられることは論を待たないところである。
このことは、対局中も荒さんが五筒八筒を掴んだことは感覚として感じていた。
いくら前局のアガリに好感触を得、なおかつ入り目が良かったとしても、本手をひたすらに打ち続けるのがプロとしてのカタチであると思う。
そして9回戦南2局1本場もご覧いただきたい。
ここでの私は、精神状態もかなり揺らいでいて一時は箱を割っていた。
その時私は、常日頃から若い人たちに言っていた言葉を思い出していた。
「競技麻雀において、役満でも打たない限り、箱を割るということは若手であればあってはならないことだ」
私はその言葉を思い出しながら、謙虚な気持ちを持って、南1局の藤崎智の親番を500・1,000のツモアガリで自分の親番を迎えた。
そして南2局、藤崎の追撃リーチをかわし、幸運にも親満を引きアガることが出来た。
八万八万八万一索二索三索三筒三筒三筒六筒六筒南南  ツモ南
そして南2局1本場。
六万八万九万一索二索二索四索四索五索八索東西北北  ドラ北
私は配牌を見た瞬間、アガりを目指すにはかなり難しく感じられた。
ただ、それはそれでいいと考えていた。
それは、競技麻雀プロである以上、私の教示として箱を割ってはならないという思いがあったからである。
ところがツモの伸びが素晴らしいものであった。

class_3

あの配牌が、僅か7巡目に4,000オールもしくは6,000オールの手に育ったのである。
今鳳凰戦の第一戦の南3局と背景はかなり違えど、ある意味、同様の場面ではある。
それは、ご覧のとおり荒正義さんがテンパイの直前に高目でもある六索を河に放っている。
私はつい数分前までの謙虚な気持ちをどこかにおきざりにしてツモの伸び、好感触に酔ってしまっていた。
私の選択はノータイムの「リーチ」であった。
麻雀に限らず、あらゆる戦いに必要なものは「心・技・体」である。
私はこの中でも大切に思っている心の軸である。そして、その軸がぶれてしまったのである。
言葉を変えるならば、戦う姿勢が出来ていないと言っても良い。
相手と戦う以前に、自分自身に負けてしまったようなものである。
鳳凰戦という舞台は最高の檜舞台である。その中で、最高のプレイ、パフォーマンスを魅せるのが前述したとおり舞台に昇ったものの義務である。そういう意味合いでは、荒正義さんのプレイは素晴らしい。
リーチ同巡の荒さんは、一発で私のロン牌である六索をツモり僅かな少考の後、私の現物牌である二索を抜き打った。果たして私が荒さんの立場だったらどう打っただろうか。

class_3

結果はご覧のとおり、藤崎のツモアガリで収束を見た。
この藤崎のツモアガリも藤崎らしい受けのカタチである。
誤解しないでいただきたいのは、結果から答えを引き出しているわけではない。
テンパイ直前にロン牌を打ち出された場合はヤミテンに構える。
このことは私の中での信念と言ってもいい。
このことを今、若い人たちに解って欲しいという気持ちは持ってはいるが、押し付ける気は毛頭ない。
私が言いたいこと、伝えたいことは、何事であれ自分の信念を貫き通せなかったとき、自ずと負けはやってくるのだということである。
鳳凰戦全対局終了後、打ち上げの席で勝又健志君、猿川真寿君とテーブルを共にした。
「これからは君たちの時代だ。お互いのために麻雀に関して思っていることは、はっきりと言うべき時が訪れているように思えてならない。それが私と貴方達だけということではなく、将来の連盟のためにもなるはずだから。」
勝又君という男は、例えばその打ち上げの席上でもトイレに行く場合、私の後ろを通り過ぎる時、
「後ろを失礼いたします」
そういう人としての礼儀、品格を併せ持った男である。
そんな勝又君が、ためらいがちに重い口を開いた。
「前原さんがそうおっしゃってくださるならばハッキリ言わせてもらいますが、今回の鳳凰戦での前原さんの対局内容は私たちに普段言ってくださることとは違うように思えてなりません。」
「そうか、ありがとう」
横で2人の会話を聞いていた猿川君は、何も語ることはなかったが、静かに目を閉じ頷く様な風情で一気にグラスを空けた。
麻雀は所詮、所謂、遊びである。遊びにしか過ぎないのかもしれない。
その遊びを生業にしている以上、それでも僕らは今日もそして明日に向って真正面から、ただ、ひたすらに立ち向かっていくしかないのだろう。
猿川君は、グランプリMAXの観戦記の冒頭の部分で、私の鳳凰戦の戦い方を、一言「哀しかった」と記している。その言葉の裏側には、間違いなく私へのなんらかの想いがあったことは間違いない。
私は彼の文を読み、感謝の気持ちと奮い立つ気持ちに包まれた。
お互いに言いたいことを述べ、記し、お互いが向上して行く____そして僕らは・・・・。

第30期プロリーグ A1 第2節レポート

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今節注目の卓は、沢崎、荒、前原、近藤の卓。

第1節を首位で終えた実力者沢崎に、昨年度の鳳凰位決定戦組であり、その実力は誰もが知るところである荒、前原。この3人のぶつかり合いの結果は、今後の戦いに大きな影響をもたらすであろう。

この3人に挑むのは、A1リーグ2年目の近藤。
実績では大きな差があるものの、鳳凰位決定戦に進むためには、何としても乗り越えなければならない大きな壁である。この3人を相手にどのように戦っていくかも注目である。

2回戦の牌譜から、ポイントとなった局をいくつか紹介させていただく。
1回戦、東1局に、

二万二万二万三万四万三索四索五索四筒五筒六筒七筒七筒  ツモ二万  ドラ二万

この跳満を引きアガった荒が、好調をキープしさらに加点を積み重ね+39.9Pの大きなトップを取る。
一方前原は、東1局に親でリーチを打つものの、前述の跳満を親かぶり。その後何とか満貫を引きアガったが、次局勝負どころと踏み込んだ局で沢崎に5,200の放銃。苦しい戦いが続く。
最後は、荒の怒涛の猛連壮でついには箱を割ってしまい▲39.8Pのラスとなった。

そして2回戦。
東1局、親の前原は荒からリーチを受けるが前に出ていく。
1回戦の状況から考えると、引くべき局面とも思えるが、きっかけとなりうるアガリを掴むために必死に戦っているそんな印象を受けた。しかしここは、勢いの差か荒が前原より5,200のアガリとなった。

三万四万五万六万七万七万八万八万九万四索四索四索北  リーチ  ロン北  ドラ北

1回戦に続き2回戦も荒がリードしていく。
その荒は、東2局12巡目に以下のテンパイ。

二万三万四万二索三索四索四索六索六索八索八索二筒三筒四筒  ツモ  ドラ八索

四索六索を打ってタンヤオ三色ドラ2のテンパイである。ここまでの好調を意識して高め取りをするならば打四索。瞬間のアガリ易さとこの後の手牌変化は打六索が優る。
ここでの荒の選択は打六索であった。そして13巡目、前原の手牌は以下になった。

四万四万四万五万六万三索四索五索五索六索八索六筒七筒  ツモ五筒  ドラ八索

テンパイを取るために打たなければならないのはドラの八索五索。ここで前原はドラの八索を河に放つ。前原の実力を持ってすれば当然、荒のテンパイ気配は察知していたであろう。ここでこの八索で荒に放銃となれば、前原の1日、いや今期の決定戦進出に向けての戦いが終わってしまうかもしれない。しかし、それでも前原は八索を打ち切った。

結果は次巡、七索を引いた荒がタンピンに変化して四索で前原に2,000点の放銃となった。
ついにきっかけとなるアガリをものにした前原は、

二索三索四索七索八索九索西西発発  ポン東東東  ロン発  ドラ六索 7,700

四万五万六万四索四索五索五索六索七索七索二筒三筒四筒  リーチ  ロン三索  ドラ一筒 3,900

四万四万五万六万七万五索六索七索五筒六筒六筒七筒八筒  リーチ  ツモ七筒  ドラ六筒 8,000オール

七万八万一索二索三索六索七索八索九索九索四筒五筒六筒  リーチ  ロン九万  ドラ三索 5,800

こうアガリを積み重ね+53.5Pと特大のトップをものにした。
また、そんな前原の圧倒的な攻撃の中でも、荒は丁寧に受け続けワンチャンスをものにして、プラスの2着をキープした。

3回戦では沢崎が、工夫の手順からアガリをものにし、勢いを掴み+26.4Pのトップ。
やはりこの3人に隙は見当たらない。

近藤も必死に手を作り戦ったのだが、この3人の壁はあまりにも高く▲74.3Pと大きな負債を抱えてしまった。

まだ2節が終了しただけだが、A1の大熱戦からはやはり目が離せない。

これは私の想像だが、2回戦東2局に荒が四索を切って六索八索のシャンポンに受けていたら、前原は五索切り、もしくはテンパイ取らずをしていたのではないかと思えてならない。

 

第3節組み合わせ
A卓 前原 雄大 vs 藤崎 智 vs ダンプ大橋 vs 古川 孝次
B卓 柴田 弘幸 vs 望月 雅継 vs 近藤 久春 vs 猿川 真寿
C卓 荒 正義 vs 伊藤 優孝 vs 沢崎 誠 vs 朝武 雅晴

プロリーグ(鳳凰戦)レポート/第30期プロリーグ A1 第2節レポート

30_a1_01
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今節注目の卓は、沢崎、荒、前原、近藤の卓。
第1節を首位で終えた実力者沢崎に、昨年度の鳳凰位決定戦組であり、その実力は誰もが知るところである荒、前原。この3人のぶつかり合いの結果は、今後の戦いに大きな影響をもたらすであろう。
この3人に挑むのは、A1リーグ2年目の近藤。
実績では大きな差があるものの、鳳凰位決定戦に進むためには、何としても乗り越えなければならない大きな壁である。この3人を相手にどのように戦っていくかも注目である。
2回戦の牌譜から、ポイントとなった局をいくつか紹介させていただく。
1回戦、東1局に、
二万二万二万三万四万三索四索五索四筒五筒六筒七筒七筒  ツモ二万  ドラ二万
この跳満を引きアガった荒が、好調をキープしさらに加点を積み重ね+39.9Pの大きなトップを取る。
一方前原は、東1局に親でリーチを打つものの、前述の跳満を親かぶり。その後何とか満貫を引きアガったが、次局勝負どころと踏み込んだ局で沢崎に5,200の放銃。苦しい戦いが続く。
最後は、荒の怒涛の猛連壮でついには箱を割ってしまい▲39.8Pのラスとなった。
そして2回戦。
東1局、親の前原は荒からリーチを受けるが前に出ていく。
1回戦の状況から考えると、引くべき局面とも思えるが、きっかけとなりうるアガリを掴むために必死に戦っているそんな印象を受けた。しかしここは、勢いの差か荒が前原より5,200のアガリとなった。
三万四万五万六万七万七万八万八万九万四索四索四索北  リーチ  ロン北  ドラ北
1回戦に続き2回戦も荒がリードしていく。
その荒は、東2局12巡目に以下のテンパイ。
二万三万四万二索三索四索四索六索六索八索八索二筒三筒四筒  ツモ  ドラ八索
四索六索を打ってタンヤオ三色ドラ2のテンパイである。ここまでの好調を意識して高め取りをするならば打四索。瞬間のアガリ易さとこの後の手牌変化は打六索が優る。
ここでの荒の選択は打六索であった。そして13巡目、前原の手牌は以下になった。
四万四万四万五万六万三索四索五索五索六索八索六筒七筒  ツモ五筒  ドラ八索
テンパイを取るために打たなければならないのはドラの八索五索。ここで前原はドラの八索を河に放つ。前原の実力を持ってすれば当然、荒のテンパイ気配は察知していたであろう。ここでこの八索で荒に放銃となれば、前原の1日、いや今期の決定戦進出に向けての戦いが終わってしまうかもしれない。しかし、それでも前原は八索を打ち切った。
結果は次巡、七索を引いた荒がタンピンに変化して四索で前原に2,000点の放銃となった。
ついにきっかけとなるアガリをものにした前原は、
二索三索四索七索八索九索西西発発  ポン東東東  ロン発  ドラ六索 7,700
四万五万六万四索四索五索五索六索七索七索二筒三筒四筒  リーチ  ロン三索  ドラ一筒 3,900
四万四万五万六万七万五索六索七索五筒六筒六筒七筒八筒  リーチ  ツモ七筒  ドラ六筒 8,000オール
七万八万一索二索三索六索七索八索九索九索四筒五筒六筒  リーチ  ロン九万  ドラ三索 5,800
こうアガリを積み重ね+53.5Pと特大のトップをものにした。
また、そんな前原の圧倒的な攻撃の中でも、荒は丁寧に受け続けワンチャンスをものにして、プラスの2着をキープした。
3回戦では沢崎が、工夫の手順からアガリをものにし、勢いを掴み+26.4Pのトップ。
やはりこの3人に隙は見当たらない。
近藤も必死に手を作り戦ったのだが、この3人の壁はあまりにも高く▲74.3Pと大きな負債を抱えてしまった。
まだ2節が終了しただけだが、A1の大熱戦からはやはり目が離せない。
これは私の想像だが、2回戦東2局に荒が四索を切って六索八索のシャンポンに受けていたら、前原は五索切り、もしくはテンパイ取らずをしていたのではないかと思えてならない。
 
第3節組み合わせ
A卓 前原 雄大 vs 藤崎 智 vs ダンプ大橋 vs 古川 孝次
B卓 柴田 弘幸 vs 望月 雅継 vs 近藤 久春 vs 猿川 真寿
C卓 荒 正義 vs 伊藤 優孝 vs 沢崎 誠 vs 朝武 雅晴

第1期(後期) 広島リーグ決勝レポート

来期からは全6節、通算成績で優勝者を決めるため、今回が最後の決勝戦となる。
決勝進出者は広島支部長清水。今回も安定感のある成績で決勝に残った。
ディフェンディング制度はないが、チャンピオンとして決勝に残ったのはさすがの一言に尽きる。

前回に引き続き決勝進出とした蒼山。
前回の悔しさを忘れず研鑽を重ねた結果と言えるだろう。
今回こそは優勝するという熱い意気込みが感じられる。

初出場となった荻巣。門前重視で腰の重い打ち手だ。
少々荒削りな面はあるが、決める所はきちんと決めてくる。
蒼山と同期であり、彼のアフロ頭という風貌は広島支部のマスコットとして慕われている。

同じく初出場の谷本。
鳴きを多く駆使するスタイルは清水と近いか。
自分にアガリがあると判断した時の踏み込みは随一。
時に危険牌ですら通して攻める雀風は他の3者には無いセンスがある。

 

1回戦(起家から、清水・谷本・蒼山・荻巣)

東1局、親の清水がダブ東トイツにドラ面子完成と好配牌。

二万七万九万三索五索九索一筒二筒三筒三筒九筒東東西  ドラ二筒

これを5巡目に仕上げてのリーチ。
前回と同じく清水の発声で幕を開けた。

七万八万九万三索四索五索一筒二筒二筒三筒三筒東東  リーチ

一人旅かと思いきや、配牌で4トイツだった荻巣が残りツモ1回で大物手のテンパイ。

五万五万五万四索四索五索五索八索八索八索二筒中中  ツモ中

清水のリーチにドラは危ないところだが打二筒でリーチ。
結果、次巡のツモで一筒を掴んでしまい清水に12,000の放銃。
結果論ではあるが、清水以外から出アガリが期待できない以上、残り1回のツモに賭けるならば、次の危険牌ツモの可能性に備えヤミテンでテンパイ取りという選択肢もあったか。

続く1本場、清水の爆発力を知る同卓者は親を落としたいところ。
しかしながら、今回もテンパイ一番乗りは清水。

三索四索五索三筒三筒三筒五筒五筒白白  ポン東東東  ドラ二筒

谷本がホンイツで押し返し、1シャンテンまでこぎつけるも、清水が白をツモって2,600は2,700オールと加点する。更に連荘を続けたい清水だが、東2局は互いに牽制しあって全員ノーテンで流局。

東2局3本場、次のアガリは蒼山だった。

三万三万五万六万七万五筒六筒  チー七索八索九索  ポン白白白  ツモ七筒  ドラ三万

14巡目と遅いテンパイだったが谷本のリーチ直後のツモアガリ。
東3局、南家の荻巣の配牌が2シャンテン。

一万三万七万八万九万六索六索六索七索九索六筒七筒  ドラ九索

第一ツモで絶好の八索、第二ツモで七筒をツモり即リーチ。これに蒼山が一発で刺さり2,600。
東4局、親を引いた荻巣の配牌が良い。

二万三万五万五万六万一索七索八索九索三筒八筒東東東  ドラ七索

他の3者の配牌は、

清水
一万一万七万七万一索二索五索三筒七筒八筒九筒白発

谷本
二万四万八万一索三索二筒四筒六筒七筒西北発中

蒼山
三万三万六万八万四索五索六索六索一筒六筒七筒八筒南

勝負になりそうなのは蒼山か。
前局2,600をアガったとは言え、持ち点が15,600の荻巣、ここはなんとかアガリたいところだがツモが利かずテンパイは7巡目。

一万二万三万五万五万六万八万七索八索九索東東東

場にマンズが高い事もあり、慎重にヤミに構えるが直後8巡目に蒼山が追いつく。

三万三万六万八万四索五索六索八索八索八索六筒七筒八筒

奇しくも同じカン七万。こちらもヤミ。
どちらかのアガリかと思われたが9巡目、清水が少考の末打東
卓上に緊張が走る。大方の予想通り次巡清水からリーチ。

一万一万一万七万七万四索五索六筒七筒八筒九筒九筒九筒  リーチ

これに蒼山が放銃し1,600。荻巣の7,700を蹴る大きいアガリとなった。
南1局、ここまで我慢をしてきた谷本が先制。

四万五万六万五索六索七索二筒三筒四筒六筒八筒中中  ドラ西

ここから1巡ツモ切りを挟んでの四筒空切りリーチ。
456の三色、中での仕掛けも利く形であるため、ヤミ続行の打ち手もいるだろうが、このリーチが功を奏し清水からの1,300となる。

南2局、蒼山が4巡目にピンフドラドラの1シャンテンにこぎつけ、5巡目にこの形。

三万四万四万五万八万七索八索九索六筒六筒七筒八筒九筒  ドラ六筒

反撃の糸口となるかと思われたが、この局は蒼山から南を鳴いた親の谷本がまたも清水から2900の直取り。
続く1本場は蒼山の速攻が決まり400・800は500・900。

南南西西四筒四筒四筒  チー五万三万四万  ポン白白白  ツモ西  ドラ中

九種九牌での流局を挟み南3局1本場。
ドラトイツやドラ面子含みの2シャンテンなど、好配牌を取り続けているがテンパイからアガリまでが遠い荻巣。今回もダブ南と白を叩き満貫のテンパイを入れるが、これも谷本に同テンを引き負けてしまう。
500・1,000は600・1,100。

オーラスを迎えて点数は親から順に、

荻巣 14,500
清水 46,100
谷本 29,700
蒼山 29,700

4者とも思惑はあるだろうが谷本、蒼山が同じ点数。
清水の1人浮きは避けたい、出来るならば自分が浮く事が出来れば、といったところか。

しかしアガリを焦ったか、谷本にミスが出てしまう。

五万六万七万四索五索七索八索三筒七筒八筒八筒八筒九筒  ツモ中  ドラ中

ここから中を打ち蒼山に鳴かれてしまう。
もう形が決まっており、重なる前に切るという考えもあるのだろうが、自分でも中を重ねれば使える形である事を考えると、ドラの中はテンパイ打牌でも遅くはなかった。
結果は、蒼山が7,700を谷本から出アガリ。

九万九万六筒七筒  チー一索二索三索  ポン三万三万三万  ポン中中中  ロン五筒

谷本は、今後このミスを引きずらず修正して戦っていく事が肝要となる。

1回戦成績
清水+24.1P  蒼山+11.4P  谷本▲12.0P  荻巣▲23.5P

 

2回戦(起家から、蒼山・谷本・清水・荻巣)

東1局、決勝卓に残った全員に言える事だが、ミスを犯しても修正し戦える形に持っていける力を持っている。
谷本は先ほどのミスをどう受け止めてどう対処するのか。
その谷本、配牌で4トイツから8巡目に先制のリーチ。

一万二万二万五索五索二筒二筒三筒三筒五筒五筒九筒九筒  リーチ  ドラ二筒

捨牌が、四万三万六万七索三索南中二索リーチ

こう怪しいが、自風の西を暗刻にし攻めたい形になった清水が捕まって8,000放銃となった。
東2局、前回の放銃を物ともせず先制リーチを打つ清水。
直後に谷本がメンピンドラ1で追っかけリーチとするが直後に捕まり、リーチのみの1,300が移動。

東3局、中暗刻の好配牌をもらった蒼山がわずか4巡目にリーチ。

七万八万九万二筒三筒五筒六筒七筒九筒九筒中中中  リーチ  ドラ二筒

これには誰も向かえる形になっておらず、8巡目に2,000・3,900のツモアガリ。

東4局、北ポン、中ポン、中加カンと攻める清水。
ここに親の荻巣がリーチでかぶせていくが流局。
続く1本場、連荘を果たした親の荻巣が10巡目にリーチ、一発ツモ。

一万二万三万六万六万七万七万八万四索四索二筒三筒四筒  リーチ  ツモ八万  ドラ二筒

ここに来て初めて手応えのあるアガリを手に出来たか。
2本場は谷本が好形リーチで先制。

二万三万四万五万六万二索三索四索九索九索二筒二筒二筒  リーチ  ドラ三万

これを受けたラス目の清水、仮テンからのツモアガリ。

六万八万一索一索三索三索三索七索八索九索七筒八筒九筒  ツモ七万

こういった相手のリーチを仮テンで潰せるのは大きい。
南1局、東3局以来ガードを上げていた蒼山が12巡目という深い巡目からリーチ、一発ツモ。

二万三万四万一索二索三索六索六索六筒六筒六筒七筒八筒  リーチ  ツモ六索  ドラ四万

選択にも迷いが無く、よく山が読めている印象だ。
続く1本場もドラを暗刻にし、清水からこのアガリで浮きを磐石とする。

二万三万四万五万五万五万四索四索四索五索  ポン八万八万八万  ロン三索  ドラ四索

2本場では3者がぶつかる。
親の蒼山はマンズのチンイツへ、西家の清水はピンズのホンイツ、
谷本はリーチと捨牌2段目で一気に場が動き出す。蒼山はリーチ後の谷本の八万をポン。

三万三万四万四万四万五万六万七万九万九万 ポン八万八万八万 ドラ六索

谷本は9巡目にリーチ。

谷本
二万二万四万五万六万二索二索四索五索六索七筒八筒九筒  リーチ

清水は9巡目に場に生牌の東を押してこの形。

一筒三筒三筒三筒五筒六筒七筒  チー六筒七筒八筒  ポン中中中

手牌に詰まった荻巣が選んだ打牌は一筒だった。
清水が3,900は4,500の加点でこの局を制する。

南2局、まだ攻めの手を緩めない蒼山。
第一ツモで1シャンテンになった七万トイツを4巡目に仕上げてリーチでさらに加点を狙う。

一万一万六万六万八索一筒一筒六筒六筒北北白白  リーチ  ドラ八索

ここで楽をさせないのは荻巣。

四万四万四万六万七万八万七索七索三筒四筒六筒七筒八筒

これで6巡目に追っかけリーチを打ちツモアガリ。
初戦ラスだった荻巣。簡単には決めさせない気概を感じる。

南3局、ここで踏ん張りたい親番の清水。
しかしテンパイ直後に谷本に放銃し親番を落とされてしまう。

二万四万六索六索三筒四筒五筒  チー二索三索四索  暗カン牌の背六筒六筒牌の背  ロン三万  ドラ五索

南4局、1人沈みは避けたい清水と浮いておきたい谷本の一騎討ちとなった。
清水は9巡目にリーチ。

二万二万四万五万五索七索八索五筒六筒七筒東東東  ツモ六万  五索切りリーチ  ドラ七筒

1巡間に合わされる形となった谷本。

二索二索二索六索七索中中  ポン西西西  ポン北北北

この一巡間に合ったという事実がどう影響するのか見ものだったが、開かれたのは谷本の手だった。

二索二索二索六索七索中中  ポン西西西  ポン北北北  ツモ五索

このアガリによって、清水は痛い1人沈みとなり、折り返しを迎える。

2回戦成績
蒼山+24.8P  荻巣+5.8P  谷本+2.5P  清水▲33.1P

2回戦終了時
蒼山+36.2P  清水▲9.0P  谷本▲9.5P  荻巣▲17.7P

 

3回戦(起家から清水、谷本、荻巣、蒼山)

東1局は蒼山の1人ノーテン、
続く1本場は、親の清水と谷本の2人テンパイと重たい立ち上がりになった3回戦。
2本場、2連続でノーテンとなった蒼山が5巡目リーチ、荻巣から先制のアガリ。

一万二万三万四索五索六索一筒二筒三筒五筒六筒七筒八筒  リーチ  ロン五筒  ドラ七万

東2局、ここまで攻め手にあぐねている荻巣に早いテンパイが入る。
5巡目にリーチ、7巡目に南を暗カンしこの形。

二万三万四万七索七索七索五筒六筒東東  暗カン牌の背南南牌の背  ドラ東

ドラも見えておらず、70符以上が確定しているためオリを選択した蒼山と清水。
全員から出ない形になったが、親番で役無しの形テンを保っていた谷本が15巡目に放銃してしまう。
親番維持したいがために焦りが出たか。
まだ南場の親番もある事も考えればここは堪えて欲しかった。

東3局、役無しも含め4人にテンパイが入る。
役ありだった清水と谷本が競った末に勝ったのは谷本の5,200。

二索三索四索八索八索七筒八筒九筒中中  加カン東東東東  ロン中  ドラ四索

東4局、失点を挽回したい清水がカン七筒を引き入れて10巡目にリーチ。

七万八万九万七索八索九索六筒七筒八筒南南発発  リーチ  ドラ九索

実はこの局8巡目に先制のテンパイを入れていた親番の蒼山。

一万一万八万九万一索二索三索二筒三筒四筒六筒七筒八筒

清水のリーチを受けた後一筒九筒と立て続けに引き入れ、最終形になった蒼山が追っかけリーチ。
谷本も直後リーチで参加するが清水が七万を掴み軍配は蒼山に上がる。

一万一万八万九万一索二索三索一筒二筒三筒七筒八筒九筒  リーチ  ロン七万

5,200、12,000に含めリーチ棒と立て続けに失点してしまった清水。
心境は量りかねるがこれくらいで折れてしまう支部長ではない。

続く1本場では荻巣が手筋の妙を見せる。4巡目にこの形。

三万三万五万六万六万三索三索三索七索一筒一筒四筒五筒  ツモ七索  ドラ一筒

次に切るつもりの七索が重なって色々な可能性が見える形。
早い巡目という事もあり、関連牌も場に見えておらず他家の手牌も想像し難い。
七対子と四暗刻を逃さない五万切りか、縦に固定する四筒五筒切りか。
少考した後荻巣が選択したのは六万
その後、六筒ツモ打三万八索ツモ打三万一筒をツモり八索切りリーチで最終形がこの形。

五万六万三索三索三索七索七索一筒一筒一筒四筒五筒六筒

これに親番の蒼山が捕まり、値千金の8,000直取りとなった。
南1局も荻巣から4巡目にリーチの発声。

七万八万九万一索二索三索七索八索五筒六筒七筒九筒九筒  リーチ  ドラ九万

ドラ表示牌の八万を引き入れた好感触のリーチだ。
捨牌に九索が1枚、蒼山の手に六索が2枚、谷本の手に九索が1枚と山に4枚のリーチ。
これが蒼山に六索六索九索と立て続けに流れて残り1枚に。
しかし荻巣が流局間際のラスト1回のツモでラス牌の九索をツモアガリ。
このアガリで荻巣は最終戦優勝争いに絡んでくるだろうと確信した。

南2局、タンヤオ系の好配牌が入った清水が攻めに出る。
6巡目に親番の谷本が足止めの役無しリーチを打つが、ものともせずドラを切っての追っかけリーチ。
これに谷本が捕まり7,700放銃となってしまう。

六万七万二索二索三索四索五索二筒三筒四筒六筒七筒八筒  リーチ  ロン五万  ドラ四索

南3局は、蒼山が軽く2,000点を清水からアガリ親番を得て、蒼山の長い親番が始まる。
オーラス、谷本がわずか2巡目にリーチ。

七万八万九万一索一索一索二筒三筒七筒八筒九筒発発  リーチ  ドラ九索

直後一索を暗カンし、高目満貫の形になったが荻巣の一筒切りに対して、手を開けたのは蒼山だった。

二索三索四索七索八索九索二筒二筒三筒三筒四筒七筒七筒  ロン一筒

谷本にとっては痛恨の頭ハネ。
開けられる事のなかった谷本の手牌だが、
ロンの発生が重なった事実、頭ハネとなった事実を荻巣と蒼山はどう受け止めたか。

続く1本場、逃げたい荻巣、追いたい蒼山。
思うようにツモが伸びない荻巣に対し、蒼山の手牌は9巡目に六万をツモり万全の形に。

二万三万五万五万六万七万七万三索四索五索五索六索北  ツモ六万  ドラ九索

しかしこの形から動かず13巡目に四万をチーしてテンパイ。
五索を谷本から1,500は1,800のアガリ。

2本場、5巡目にドラの五筒をツモりピンフドラ三索のテンパイが入った蒼山。

五索六索七索七索八索九索三筒四筒五筒五筒五筒七筒八筒  ドラ五筒

ここでのピンフドラ3をリーチか否かは意見が分かれるだろう。
蒼山はリーチを選択したが、それは決して楽になりたいからという思考放棄のリーチではない。
テンパイ時点で、他家に7枚持たれていたこのリーチは空振りに終わってしまったが、
「ヤミテンならアガれた」と言うのはそれこそ結果論である。
こういう場面では各々今まで自分の打ってきた、学んできた麻雀に基づいて選択しているものだ。
結果論以外で正解不正解があるはずも無い。

3本場では、ドラを暗刻にした清水が蒼山の連荘を終わらせるため、最終戦に望みをつなげるため6巡目にリーチを打ってくる。

三万四万五万一索一索四索四索四索一筒二筒三筒五筒六筒  リーチ  ドラ四索

13巡目、親番をまだ続けるつもりの蒼山に岐路が訪れる。

三万三万三索一筒一筒三筒四筒六筒六筒七筒七筒八筒八筒  ツモ三索

清水のリーチの現物は八筒があり、オリる事も選択肢として存在する。
満貫までなら着順も順位点も変わらず、ならばと打三筒を選択してテンパイをキープする蒼山。
しかし17巡目にはドラをツモ。跳満に放銃すれば着順も順位点も清水に逆転されてしまう。
このドラで放銃すれば跳満の可能性も高い。長考に入る蒼山。
ここではオリを選択するかと思ったが長考の末に導き出した結論はドラのツモ切り。
歯を食い縛ってもう一度の連荘を目指すがこの局を制したのは荻巣だった。

四万四万九万五筒五筒九筒九筒東東北北発発  ツモ九万

蒼山がドラを通した17巡目、またもラスト1回でのツモアガリ。
意地があるのは蒼山だけではない。
このアガリでトップを決めた荻巣、蒼山との差を縮めて最終戦に挑む。

3回戦成績
荻巣+30.7P  蒼山+12.2P  清水▲18.7P  谷本▲24.2P

3回戦終了時
蒼山+48.4P  荻巣+13.0P  清水▲27.7P  谷本▲33.7P

 

4回戦(起家から荻巣、清水、谷本、蒼山)

最終戦東1局、1つも親番を無駄にしたくない荻巣だが、3巡目に1シャンテンになってから手牌が動かない。
ドラ含みのホンイツで仕掛けた谷本の1人テンパイ。

東2局1本場、局を回していきたい蒼山、4巡目の東を仕掛けて6巡目にこの形に。

六万七万四索五索六索南西西北北  ポン東東東  ドラ九筒

役満が必要な局面ではないが見ている立場からすれば見たいものではある。
しかし南を重ねる前に北を叩いて南切り、清水から1,000は1,300のアガリ。

東3局、蒼山の6巡目がこの形。

一万一万三万七万七万八万一索二索三索三索一筒二筒三筒  ツモ二索  ドラ五索

仕掛けで手役を確定させる事の出来る形、となれば打一万もあるが守備、最終形を考えての打三万
ここから一索を引き入れ一番距離の近い荻巣からヤミテンで満貫を討ち取る。
優勝を手元に手繰り寄せる大きなアガリだ。

一万一万七万八万一索一索二索二索三索三索一筒二筒三筒  ロン九万

東4局、3巡目という速さで蒼山にテンパイが入るが7巡目に谷本のリーチで撤退。
ここに荻巣が飛び込んでしまう。

四万五万二索三索三索四索四索五索六索六索五筒六筒七筒  リーチ  ロン六万  ドラ七索

南1局、荻巣の最後の親番。
そこそこの配牌はもらうもののツモが利かない展開の多い荻巣。
今回も苦戦はしたが配牌から一切動かないドラターツを嫌いテンパイに辿り着きリーチ。
しかしこれが流局となり清水との2人テンパイ。

続く2本場も1シャンテンまで辿り着くが谷本の1,000・2,000のアガリで一気に苦境に立たされてしまう。
南2局、優勝にはここで連荘し続けるしかない清水。
10巡目にリーチを打つが、これは競り負けて荻巣に蹴られて空振りに終わってしまう。

二万三万四万六万六万六索七索五筒六筒七筒  チー八筒六筒七筒  ロン八索  ドラ六筒

南3局、清水と同じく連荘が絶対条件の谷本。
アガリに結びつきはしなかったがリーチからの連荘で1本場。
続く1本場では仕掛けを駆使してテンパイを入れるも荻巣に連荘を阻まれる。

三万四万五万一索一索八索九索七筒八筒九筒  チー七万八万九万  ロン七索  ドラ八筒

ついに迎えたオーラス、事実上蒼山と荻巣の一騎討ちである。
荻巣の条件は蒼山からの直撃なら三倍満以上、ツモなら役満以上と厳しい。
蒼山は流局で手牌を伏せるのみ。実質役満のツモアガリ条件となる。
荻巣の配牌は、

一万四万六万七万一筒六筒九筒西北北発発中  ドラ六万

第一ツモは九索。八種十牌となった手牌でここから本線になる役満はほぼ1つ。
執念で必要牌を引き入れ、15巡目。

一万一索九索一筒九筒東南西北発発中中  ツモ九万

優勝の為の条件は整った。残りツモは2回。
祈るような気持ちで牌をツモるが、無常にも最後のツモはドラの六万
河に安全牌の北を並べる荻巣の表情に落胆は見受けられない。
今自分の打てる麻雀を全て出す事が出来たのだろう。

流局後、清水以外の手牌が開かれる事は無く、広島リーグ第2期のチャンピオンが誕生した。

4回戦成績
谷本+17.4P  蒼山+7.7P  清水▲8.8P  荻巣▲16.3P

最終成績
蒼山+56.1P  荻巣▲3.3P  谷本▲16.3P  清水▲36.5P

 

全体を通じて配牌、ツモが常に飛び抜けている者は見当たらなかった。
ミスの無い者が抜ける展開であり、我慢比べの様相も呈していたように思う。
俗に言う水を張った洗面器から先に顔を上げた者の負け、というやつだ。
その我慢比べに耐える精神力を今日まで蒼山が養ってきたという事なのだろう。

ツモが活きているかではなく、ツモを活かしきれているかどうか。
これが麻雀における腕ではないかと私は思う。
ツモを活かす為の麻雀をどう打てるか、どこまで麻雀に真摯に向き合えるか。
決勝戦の結果は、この半年間一番真摯に牌に向かってきたのが蒼山だという事の証左に思えた。
ひたむきに牌と向き合う蒼山の姿は、私だけではなく同卓者、観戦者の全員にその大切さを伝えたのではないだろうか。

蒼山の目標はまだ先、遥か高みにある。
我々連盟員の誰もが夢見る最高峰のタイトルである。

プロ試験の日、
「鳳凰位を取ります」
そう言った蒼山の目に宿っていた光。
その光はその言葉が決して冗談ではない事を雄弁に物語っていた。
蒼山はこれからも血の滲むような努力を重ねて、栄光への階段を駆け上っていくだろう。
我々は蒼山の仲間として、時にライバルとして。
互いに研鑽を積み、共に高みを目指していくのだ。
そう思わせてくれる仲間を持った事を、心から誇りに思う。

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左から 支部長:清水真志郎、優勝:蒼山秀佑、プレゼンテーター:伊藤優孝

広島リーグレポート/第1期(後期) 広島リーグ決勝レポート

来期からは全6節、通算成績で優勝者を決めるため、今回が最後の決勝戦となる。
決勝進出者は広島支部長清水。今回も安定感のある成績で決勝に残った。
ディフェンディング制度はないが、チャンピオンとして決勝に残ったのはさすがの一言に尽きる。
前回に引き続き決勝進出とした蒼山。
前回の悔しさを忘れず研鑽を重ねた結果と言えるだろう。
今回こそは優勝するという熱い意気込みが感じられる。
初出場となった荻巣。門前重視で腰の重い打ち手だ。
少々荒削りな面はあるが、決める所はきちんと決めてくる。
蒼山と同期であり、彼のアフロ頭という風貌は広島支部のマスコットとして慕われている。
同じく初出場の谷本。
鳴きを多く駆使するスタイルは清水と近いか。
自分にアガリがあると判断した時の踏み込みは随一。
時に危険牌ですら通して攻める雀風は他の3者には無いセンスがある。
 
1回戦(起家から、清水・谷本・蒼山・荻巣)
東1局、親の清水がダブ東トイツにドラ面子完成と好配牌。
二万七万九万三索五索九索一筒二筒三筒三筒九筒東東西  ドラ二筒
これを5巡目に仕上げてのリーチ。
前回と同じく清水の発声で幕を開けた。
七万八万九万三索四索五索一筒二筒二筒三筒三筒東東  リーチ
一人旅かと思いきや、配牌で4トイツだった荻巣が残りツモ1回で大物手のテンパイ。
五万五万五万四索四索五索五索八索八索八索二筒中中  ツモ中
清水のリーチにドラは危ないところだが打二筒でリーチ。
結果、次巡のツモで一筒を掴んでしまい清水に12,000の放銃。
結果論ではあるが、清水以外から出アガリが期待できない以上、残り1回のツモに賭けるならば、次の危険牌ツモの可能性に備えヤミテンでテンパイ取りという選択肢もあったか。
続く1本場、清水の爆発力を知る同卓者は親を落としたいところ。
しかしながら、今回もテンパイ一番乗りは清水。
三索四索五索三筒三筒三筒五筒五筒白白  ポン東東東  ドラ二筒
谷本がホンイツで押し返し、1シャンテンまでこぎつけるも、清水が白をツモって2,600は2,700オールと加点する。更に連荘を続けたい清水だが、東2局は互いに牽制しあって全員ノーテンで流局。
東2局3本場、次のアガリは蒼山だった。
三万三万五万六万七万五筒六筒  チー七索八索九索  ポン白白白  ツモ七筒  ドラ三万
14巡目と遅いテンパイだったが谷本のリーチ直後のツモアガリ。
東3局、南家の荻巣の配牌が2シャンテン。
一万三万七万八万九万六索六索六索七索九索六筒七筒  ドラ九索
第一ツモで絶好の八索、第二ツモで七筒をツモり即リーチ。これに蒼山が一発で刺さり2,600。
東4局、親を引いた荻巣の配牌が良い。
二万三万五万五万六万一索七索八索九索三筒八筒東東東  ドラ七索
他の3者の配牌は、
清水
一万一万七万七万一索二索五索三筒七筒八筒九筒白発
谷本
二万四万八万一索三索二筒四筒六筒七筒西北発中
蒼山
三万三万六万八万四索五索六索六索一筒六筒七筒八筒南
勝負になりそうなのは蒼山か。
前局2,600をアガったとは言え、持ち点が15,600の荻巣、ここはなんとかアガリたいところだがツモが利かずテンパイは7巡目。
一万二万三万五万五万六万八万七索八索九索東東東
場にマンズが高い事もあり、慎重にヤミに構えるが直後8巡目に蒼山が追いつく。
三万三万六万八万四索五索六索八索八索八索六筒七筒八筒
奇しくも同じカン七万。こちらもヤミ。
どちらかのアガリかと思われたが9巡目、清水が少考の末打東
卓上に緊張が走る。大方の予想通り次巡清水からリーチ。
一万一万一万七万七万四索五索六筒七筒八筒九筒九筒九筒  リーチ
これに蒼山が放銃し1,600。荻巣の7,700を蹴る大きいアガリとなった。
南1局、ここまで我慢をしてきた谷本が先制。
四万五万六万五索六索七索二筒三筒四筒六筒八筒中中  ドラ西
ここから1巡ツモ切りを挟んでの四筒空切りリーチ。
456の三色、中での仕掛けも利く形であるため、ヤミ続行の打ち手もいるだろうが、このリーチが功を奏し清水からの1,300となる。
南2局、蒼山が4巡目にピンフドラドラの1シャンテンにこぎつけ、5巡目にこの形。
三万四万四万五万八万七索八索九索六筒六筒七筒八筒九筒  ドラ六筒
反撃の糸口となるかと思われたが、この局は蒼山から南を鳴いた親の谷本がまたも清水から2900の直取り。
続く1本場は蒼山の速攻が決まり400・800は500・900。
南南西西四筒四筒四筒  チー五万三万四万  ポン白白白  ツモ西  ドラ中
九種九牌での流局を挟み南3局1本場。
ドラトイツやドラ面子含みの2シャンテンなど、好配牌を取り続けているがテンパイからアガリまでが遠い荻巣。今回もダブ南と白を叩き満貫のテンパイを入れるが、これも谷本に同テンを引き負けてしまう。
500・1,000は600・1,100。
オーラスを迎えて点数は親から順に、
荻巣 14,500
清水 46,100
谷本 29,700
蒼山 29,700
4者とも思惑はあるだろうが谷本、蒼山が同じ点数。
清水の1人浮きは避けたい、出来るならば自分が浮く事が出来れば、といったところか。
しかしアガリを焦ったか、谷本にミスが出てしまう。
五万六万七万四索五索七索八索三筒七筒八筒八筒八筒九筒  ツモ中  ドラ中
ここから中を打ち蒼山に鳴かれてしまう。
もう形が決まっており、重なる前に切るという考えもあるのだろうが、自分でも中を重ねれば使える形である事を考えると、ドラの中はテンパイ打牌でも遅くはなかった。
結果は、蒼山が7,700を谷本から出アガリ。
九万九万六筒七筒  チー一索二索三索  ポン三万三万三万  ポン中中中  ロン五筒
谷本は、今後このミスを引きずらず修正して戦っていく事が肝要となる。
1回戦成績
清水+24.1P  蒼山+11.4P  谷本▲12.0P  荻巣▲23.5P
 
2回戦(起家から、蒼山・谷本・清水・荻巣)
東1局、決勝卓に残った全員に言える事だが、ミスを犯しても修正し戦える形に持っていける力を持っている。
谷本は先ほどのミスをどう受け止めてどう対処するのか。
その谷本、配牌で4トイツから8巡目に先制のリーチ。
一万二万二万五索五索二筒二筒三筒三筒五筒五筒九筒九筒  リーチ  ドラ二筒
捨牌が、四万三万六万七索三索南中二索リーチ
こう怪しいが、自風の西を暗刻にし攻めたい形になった清水が捕まって8,000放銃となった。
東2局、前回の放銃を物ともせず先制リーチを打つ清水。
直後に谷本がメンピンドラ1で追っかけリーチとするが直後に捕まり、リーチのみの1,300が移動。
東3局、中暗刻の好配牌をもらった蒼山がわずか4巡目にリーチ。
七万八万九万二筒三筒五筒六筒七筒九筒九筒中中中  リーチ  ドラ二筒
これには誰も向かえる形になっておらず、8巡目に2,000・3,900のツモアガリ。
東4局、北ポン、中ポン、中加カンと攻める清水。
ここに親の荻巣がリーチでかぶせていくが流局。
続く1本場、連荘を果たした親の荻巣が10巡目にリーチ、一発ツモ。
一万二万三万六万六万七万七万八万四索四索二筒三筒四筒  リーチ  ツモ八万  ドラ二筒
ここに来て初めて手応えのあるアガリを手に出来たか。
2本場は谷本が好形リーチで先制。
二万三万四万五万六万二索三索四索九索九索二筒二筒二筒  リーチ  ドラ三万
これを受けたラス目の清水、仮テンからのツモアガリ。
六万八万一索一索三索三索三索七索八索九索七筒八筒九筒  ツモ七万
こういった相手のリーチを仮テンで潰せるのは大きい。
南1局、東3局以来ガードを上げていた蒼山が12巡目という深い巡目からリーチ、一発ツモ。
二万三万四万一索二索三索六索六索六筒六筒六筒七筒八筒  リーチ  ツモ六索  ドラ四万
選択にも迷いが無く、よく山が読めている印象だ。
続く1本場もドラを暗刻にし、清水からこのアガリで浮きを磐石とする。
二万三万四万五万五万五万四索四索四索五索  ポン八万八万八万  ロン三索  ドラ四索
2本場では3者がぶつかる。
親の蒼山はマンズのチンイツへ、西家の清水はピンズのホンイツ、
谷本はリーチと捨牌2段目で一気に場が動き出す。蒼山はリーチ後の谷本の八万をポン。
三万三万四万四万四万五万六万七万九万九万 ポン八万八万八万 ドラ六索
谷本は9巡目にリーチ。
谷本
二万二万四万五万六万二索二索四索五索六索七筒八筒九筒  リーチ
清水は9巡目に場に生牌の東を押してこの形。
一筒三筒三筒三筒五筒六筒七筒  チー六筒七筒八筒  ポン中中中
手牌に詰まった荻巣が選んだ打牌は一筒だった。
清水が3,900は4,500の加点でこの局を制する。
南2局、まだ攻めの手を緩めない蒼山。
第一ツモで1シャンテンになった七万トイツを4巡目に仕上げてリーチでさらに加点を狙う。
一万一万六万六万八索一筒一筒六筒六筒北北白白  リーチ  ドラ八索
ここで楽をさせないのは荻巣。
四万四万四万六万七万八万七索七索三筒四筒六筒七筒八筒
これで6巡目に追っかけリーチを打ちツモアガリ。
初戦ラスだった荻巣。簡単には決めさせない気概を感じる。
南3局、ここで踏ん張りたい親番の清水。
しかしテンパイ直後に谷本に放銃し親番を落とされてしまう。
二万四万六索六索三筒四筒五筒  チー二索三索四索  暗カン牌の背六筒六筒牌の背  ロン三万  ドラ五索
南4局、1人沈みは避けたい清水と浮いておきたい谷本の一騎討ちとなった。
清水は9巡目にリーチ。
二万二万四万五万五索七索八索五筒六筒七筒東東東  ツモ六万  五索切りリーチ  ドラ七筒
1巡間に合わされる形となった谷本。
二索二索二索六索七索中中  ポン西西西  ポン北北北
この一巡間に合ったという事実がどう影響するのか見ものだったが、開かれたのは谷本の手だった。
二索二索二索六索七索中中  ポン西西西  ポン北北北  ツモ五索
このアガリによって、清水は痛い1人沈みとなり、折り返しを迎える。
2回戦成績
蒼山+24.8P  荻巣+5.8P  谷本+2.5P  清水▲33.1P
2回戦終了時
蒼山+36.2P  清水▲9.0P  谷本▲9.5P  荻巣▲17.7P
 
3回戦(起家から清水、谷本、荻巣、蒼山)
東1局は蒼山の1人ノーテン、
続く1本場は、親の清水と谷本の2人テンパイと重たい立ち上がりになった3回戦。
2本場、2連続でノーテンとなった蒼山が5巡目リーチ、荻巣から先制のアガリ。
一万二万三万四索五索六索一筒二筒三筒五筒六筒七筒八筒  リーチ  ロン五筒  ドラ七万
東2局、ここまで攻め手にあぐねている荻巣に早いテンパイが入る。
5巡目にリーチ、7巡目に南を暗カンしこの形。
二万三万四万七索七索七索五筒六筒東東  暗カン牌の背南南牌の背  ドラ東
ドラも見えておらず、70符以上が確定しているためオリを選択した蒼山と清水。
全員から出ない形になったが、親番で役無しの形テンを保っていた谷本が15巡目に放銃してしまう。
親番維持したいがために焦りが出たか。
まだ南場の親番もある事も考えればここは堪えて欲しかった。
東3局、役無しも含め4人にテンパイが入る。
役ありだった清水と谷本が競った末に勝ったのは谷本の5,200。
二索三索四索八索八索七筒八筒九筒中中  加カン東東東東  ロン中  ドラ四索
東4局、失点を挽回したい清水がカン七筒を引き入れて10巡目にリーチ。
七万八万九万七索八索九索六筒七筒八筒南南発発  リーチ  ドラ九索
実はこの局8巡目に先制のテンパイを入れていた親番の蒼山。
一万一万八万九万一索二索三索二筒三筒四筒六筒七筒八筒
清水のリーチを受けた後一筒九筒と立て続けに引き入れ、最終形になった蒼山が追っかけリーチ。
谷本も直後リーチで参加するが清水が七万を掴み軍配は蒼山に上がる。
一万一万八万九万一索二索三索一筒二筒三筒七筒八筒九筒  リーチ  ロン七万
5,200、12,000に含めリーチ棒と立て続けに失点してしまった清水。
心境は量りかねるがこれくらいで折れてしまう支部長ではない。
続く1本場では荻巣が手筋の妙を見せる。4巡目にこの形。
三万三万五万六万六万三索三索三索七索一筒一筒四筒五筒  ツモ七索  ドラ一筒
次に切るつもりの七索が重なって色々な可能性が見える形。
早い巡目という事もあり、関連牌も場に見えておらず他家の手牌も想像し難い。
七対子と四暗刻を逃さない五万切りか、縦に固定する四筒五筒切りか。
少考した後荻巣が選択したのは六万
その後、六筒ツモ打三万八索ツモ打三万一筒をツモり八索切りリーチで最終形がこの形。
五万六万三索三索三索七索七索一筒一筒一筒四筒五筒六筒
これに親番の蒼山が捕まり、値千金の8,000直取りとなった。
南1局も荻巣から4巡目にリーチの発声。
七万八万九万一索二索三索七索八索五筒六筒七筒九筒九筒  リーチ  ドラ九万
ドラ表示牌の八万を引き入れた好感触のリーチだ。
捨牌に九索が1枚、蒼山の手に六索が2枚、谷本の手に九索が1枚と山に4枚のリーチ。
これが蒼山に六索六索九索と立て続けに流れて残り1枚に。
しかし荻巣が流局間際のラスト1回のツモでラス牌の九索をツモアガリ。
このアガリで荻巣は最終戦優勝争いに絡んでくるだろうと確信した。
南2局、タンヤオ系の好配牌が入った清水が攻めに出る。
6巡目に親番の谷本が足止めの役無しリーチを打つが、ものともせずドラを切っての追っかけリーチ。
これに谷本が捕まり7,700放銃となってしまう。
六万七万二索二索三索四索五索二筒三筒四筒六筒七筒八筒  リーチ  ロン五万  ドラ四索
南3局は、蒼山が軽く2,000点を清水からアガリ親番を得て、蒼山の長い親番が始まる。
オーラス、谷本がわずか2巡目にリーチ。
七万八万九万一索一索一索二筒三筒七筒八筒九筒発発  リーチ  ドラ九索
直後一索を暗カンし、高目満貫の形になったが荻巣の一筒切りに対して、手を開けたのは蒼山だった。
二索三索四索七索八索九索二筒二筒三筒三筒四筒七筒七筒  ロン一筒
谷本にとっては痛恨の頭ハネ。
開けられる事のなかった谷本の手牌だが、
ロンの発生が重なった事実、頭ハネとなった事実を荻巣と蒼山はどう受け止めたか。
続く1本場、逃げたい荻巣、追いたい蒼山。
思うようにツモが伸びない荻巣に対し、蒼山の手牌は9巡目に六万をツモり万全の形に。
二万三万五万五万六万七万七万三索四索五索五索六索北  ツモ六万  ドラ九索
しかしこの形から動かず13巡目に四万をチーしてテンパイ。
五索を谷本から1,500は1,800のアガリ。
2本場、5巡目にドラの五筒をツモりピンフドラ三索のテンパイが入った蒼山。
五索六索七索七索八索九索三筒四筒五筒五筒五筒七筒八筒  ドラ五筒
ここでのピンフドラ3をリーチか否かは意見が分かれるだろう。
蒼山はリーチを選択したが、それは決して楽になりたいからという思考放棄のリーチではない。
テンパイ時点で、他家に7枚持たれていたこのリーチは空振りに終わってしまったが、
「ヤミテンならアガれた」と言うのはそれこそ結果論である。
こういう場面では各々今まで自分の打ってきた、学んできた麻雀に基づいて選択しているものだ。
結果論以外で正解不正解があるはずも無い。
3本場では、ドラを暗刻にした清水が蒼山の連荘を終わらせるため、最終戦に望みをつなげるため6巡目にリーチを打ってくる。
三万四万五万一索一索四索四索四索一筒二筒三筒五筒六筒  リーチ  ドラ四索
13巡目、親番をまだ続けるつもりの蒼山に岐路が訪れる。
三万三万三索一筒一筒三筒四筒六筒六筒七筒七筒八筒八筒  ツモ三索
清水のリーチの現物は八筒があり、オリる事も選択肢として存在する。
満貫までなら着順も順位点も変わらず、ならばと打三筒を選択してテンパイをキープする蒼山。
しかし17巡目にはドラをツモ。跳満に放銃すれば着順も順位点も清水に逆転されてしまう。
このドラで放銃すれば跳満の可能性も高い。長考に入る蒼山。
ここではオリを選択するかと思ったが長考の末に導き出した結論はドラのツモ切り。
歯を食い縛ってもう一度の連荘を目指すがこの局を制したのは荻巣だった。
四万四万九万五筒五筒九筒九筒東東北北発発  ツモ九万
蒼山がドラを通した17巡目、またもラスト1回でのツモアガリ。
意地があるのは蒼山だけではない。
このアガリでトップを決めた荻巣、蒼山との差を縮めて最終戦に挑む。
3回戦成績
荻巣+30.7P  蒼山+12.2P  清水▲18.7P  谷本▲24.2P
3回戦終了時
蒼山+48.4P  荻巣+13.0P  清水▲27.7P  谷本▲33.7P
 
4回戦(起家から荻巣、清水、谷本、蒼山)
最終戦東1局、1つも親番を無駄にしたくない荻巣だが、3巡目に1シャンテンになってから手牌が動かない。
ドラ含みのホンイツで仕掛けた谷本の1人テンパイ。
東2局1本場、局を回していきたい蒼山、4巡目の東を仕掛けて6巡目にこの形に。
六万七万四索五索六索南西西北北  ポン東東東  ドラ九筒
役満が必要な局面ではないが見ている立場からすれば見たいものではある。
しかし南を重ねる前に北を叩いて南切り、清水から1,000は1,300のアガリ。
東3局、蒼山の6巡目がこの形。
一万一万三万七万七万八万一索二索三索三索一筒二筒三筒  ツモ二索  ドラ五索
仕掛けで手役を確定させる事の出来る形、となれば打一万もあるが守備、最終形を考えての打三万
ここから一索を引き入れ一番距離の近い荻巣からヤミテンで満貫を討ち取る。
優勝を手元に手繰り寄せる大きなアガリだ。
一万一万七万八万一索一索二索二索三索三索一筒二筒三筒  ロン九万
東4局、3巡目という速さで蒼山にテンパイが入るが7巡目に谷本のリーチで撤退。
ここに荻巣が飛び込んでしまう。
四万五万二索三索三索四索四索五索六索六索五筒六筒七筒  リーチ  ロン六万  ドラ七索
南1局、荻巣の最後の親番。
そこそこの配牌はもらうもののツモが利かない展開の多い荻巣。
今回も苦戦はしたが配牌から一切動かないドラターツを嫌いテンパイに辿り着きリーチ。
しかしこれが流局となり清水との2人テンパイ。
続く2本場も1シャンテンまで辿り着くが谷本の1,000・2,000のアガリで一気に苦境に立たされてしまう。
南2局、優勝にはここで連荘し続けるしかない清水。
10巡目にリーチを打つが、これは競り負けて荻巣に蹴られて空振りに終わってしまう。
二万三万四万六万六万六索七索五筒六筒七筒  チー八筒六筒七筒  ロン八索  ドラ六筒
南3局、清水と同じく連荘が絶対条件の谷本。
アガリに結びつきはしなかったがリーチからの連荘で1本場。
続く1本場では仕掛けを駆使してテンパイを入れるも荻巣に連荘を阻まれる。
三万四万五万一索一索八索九索七筒八筒九筒  チー七万八万九万  ロン七索  ドラ八筒
ついに迎えたオーラス、事実上蒼山と荻巣の一騎討ちである。
荻巣の条件は蒼山からの直撃なら三倍満以上、ツモなら役満以上と厳しい。
蒼山は流局で手牌を伏せるのみ。実質役満のツモアガリ条件となる。
荻巣の配牌は、
一万四万六万七万一筒六筒九筒西北北発発中  ドラ六万
第一ツモは九索。八種十牌となった手牌でここから本線になる役満はほぼ1つ。
執念で必要牌を引き入れ、15巡目。
一万一索九索一筒九筒東南西北発発中中  ツモ九万
優勝の為の条件は整った。残りツモは2回。
祈るような気持ちで牌をツモるが、無常にも最後のツモはドラの六万
河に安全牌の北を並べる荻巣の表情に落胆は見受けられない。
今自分の打てる麻雀を全て出す事が出来たのだろう。
流局後、清水以外の手牌が開かれる事は無く、広島リーグ第2期のチャンピオンが誕生した。
4回戦成績
谷本+17.4P  蒼山+7.7P  清水▲8.8P  荻巣▲16.3P
最終成績
蒼山+56.1P  荻巣▲3.3P  谷本▲16.3P  清水▲36.5P
 
全体を通じて配牌、ツモが常に飛び抜けている者は見当たらなかった。
ミスの無い者が抜ける展開であり、我慢比べの様相も呈していたように思う。
俗に言う水を張った洗面器から先に顔を上げた者の負け、というやつだ。
その我慢比べに耐える精神力を今日まで蒼山が養ってきたという事なのだろう。
ツモが活きているかではなく、ツモを活かしきれているかどうか。
これが麻雀における腕ではないかと私は思う。
ツモを活かす為の麻雀をどう打てるか、どこまで麻雀に真摯に向き合えるか。
決勝戦の結果は、この半年間一番真摯に牌に向かってきたのが蒼山だという事の証左に思えた。
ひたむきに牌と向き合う蒼山の姿は、私だけではなく同卓者、観戦者の全員にその大切さを伝えたのではないだろうか。
蒼山の目標はまだ先、遥か高みにある。
我々連盟員の誰もが夢見る最高峰のタイトルである。
プロ試験の日、
「鳳凰位を取ります」
そう言った蒼山の目に宿っていた光。
その光はその言葉が決して冗談ではない事を雄弁に物語っていた。
蒼山はこれからも血の滲むような努力を重ねて、栄光への階段を駆け上っていくだろう。
我々は蒼山の仲間として、時にライバルとして。
互いに研鑽を積み、共に高みを目指していくのだ。
そう思わせてくれる仲間を持った事を、心から誇りに思う。
hiroshima_fin_01_smpwidth280
左から 支部長:清水真志郎、優勝:蒼山秀佑、プレゼンテーター:伊藤優孝

第1期東北リーグ 開幕記念レポート

第1期東北プロアマ混合リーグ東北王座リーグのレポートを書かせて頂く、
日本プロ麻雀連盟東北本部所属の菅原です。

第1期ということもあり、ご参加いただく一般の方々には、ご不便などもあるかと思いますが、
東北本部一同、一生懸命取り組んで参りますのご協力お願いいたします。

今回のリーグ戦についてご説明すると、全6節中、4節分の成績を集計して競います。
5節以上に参加すれば、優秀な成績を優先して集計しますので、参加が多ければ上位に食い込むチャンスが増えます。是非、積極的に挑戦して頂ければと思います。

すでに1節目は終わってしまいましたが、4節分の得点を集計しますので、まだ5節残っております!!
まだまだご参加お待ちしております。

4月21日、第1節が行われました。

tohoku

4月も末に差し掛かり、春の陽気が本格的になってきた宮城県ですが、この日は地元の者も予想だにしない降雪・・・(泣)
天候のせいで、参加を見合わせた方もいらっしゃいましたが、遠くは青森県からご参加くださった熱い麻雀愛好家の方もいました。

第1期は、東北本部の開所式も兼ねていましたので、ゲストに森山新会長、伊藤副会長、藤崎プロもご参加いただきました。

tohoku
tohoku

開所式では、森山会長が「本気で麻雀を打つ!!」と、宣言され、会場のボルテージも上がりました。
開所式が終わり、いよいよ対局が始まりした。

1回戦が終わり、なんと、プロ2人が入る厳しい卓で10万点オーバーを叩き出したのはアマの渡辺さん。
これには、卓内のプロも舌を巻く暴れっぷり。お見事でした。

その後の対局も全てプラスで終えて、+104.8ポイント!本日のベストアマを獲得されました。
そして、記念すべき第1期は、アマでご参加頂いた上位の方に景品が用意されていました。

1位:渡辺さん・2位:鈴木さん・3位:北原さんが獲得されました。

プロも東北本部の新人の新田が+110.7ポイントと大爆発。

まだまだ、始まったばかり、1年かけて行う厳しい戦いですが、アマの方はプロを負かしてやるという意気込みで、プロはそれに受けて立つという意気込みで、お互いを高めて素晴らしい勝負を繰り広げて欲しいと思います。

東北プロリーグ レポート/第1期東北リーグ 開幕記念レポート

第1期東北プロアマ混合リーグ東北王座リーグのレポートを書かせて頂く、
日本プロ麻雀連盟東北本部所属の菅原です。
第1期ということもあり、ご参加いただく一般の方々には、ご不便などもあるかと思いますが、
東北本部一同、一生懸命取り組んで参りますのご協力お願いいたします。
今回のリーグ戦についてご説明すると、全6節中、4節分の成績を集計して競います。
5節以上に参加すれば、優秀な成績を優先して集計しますので、参加が多ければ上位に食い込むチャンスが増えます。是非、積極的に挑戦して頂ければと思います。
すでに1節目は終わってしまいましたが、4節分の得点を集計しますので、まだ5節残っております!!
まだまだご参加お待ちしております。
4月21日、第1節が行われました。
tohoku
4月も末に差し掛かり、春の陽気が本格的になってきた宮城県ですが、この日は地元の者も予想だにしない降雪・・・(泣)
天候のせいで、参加を見合わせた方もいらっしゃいましたが、遠くは青森県からご参加くださった熱い麻雀愛好家の方もいました。
第1期は、東北本部の開所式も兼ねていましたので、ゲストに森山新会長、伊藤副会長、藤崎プロもご参加いただきました。

tohoku
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開所式では、森山会長が「本気で麻雀を打つ!!」と、宣言され、会場のボルテージも上がりました。
開所式が終わり、いよいよ対局が始まりした。
1回戦が終わり、なんと、プロ2人が入る厳しい卓で10万点オーバーを叩き出したのはアマの渡辺さん。
これには、卓内のプロも舌を巻く暴れっぷり。お見事でした。
その後の対局も全てプラスで終えて、+104.8ポイント!本日のベストアマを獲得されました。
そして、記念すべき第1期は、アマでご参加頂いた上位の方に景品が用意されていました。
1位:渡辺さん・2位:鈴木さん・3位:北原さんが獲得されました。
プロも東北本部の新人の新田が+110.7ポイントと大爆発。
まだまだ、始まったばかり、1年かけて行う厳しい戦いですが、アマの方はプロを負かしてやるという意気込みで、プロはそれに受けて立つという意気込みで、お互いを高めて素晴らしい勝負を繰り広げて欲しいと思います。

第30期プロリーグ A2 第2節レポート

 

GW明けの第2節、この第2節は毎年5月第2週に行なわれる。
それが何を意味するかというと、直前に行なわれたマスターズの結果が対局の内容に少なからず影響するという事と、GW後半の各自の過ごし方が打牌に大きく表れるという事だ。

このGWを各自の成長の為に費やした選手と、連休期間に気持ちを切らしてしまった選手とでは明らかに大きな差が現れてしまうのが、この第2節の対局であることは間違いない。
そして前述のマスターズ、このA2リーグから見事決勝の舞台に進んだのが四柳と勝又。
結果は、小車の優勝で幕を閉じることになったのだが、その道中の2人の歩み方は対照的だった。

リーグ戦での好ダッシュを引き続き維持し、マスターズ本戦をトップ通過した四柳。勢いそのまま決勝まで駆け上がり、最終戦まで縺れる戦いを行ったのとは対照的に、勝又の戦いは苦しいものだった。
ポイント的に敗退の危機が迫った本戦の4、5回戦を連勝でクリアし、得意のトーナメントで勝ち進むも、決勝では本来の持ち味を出せずに終わってしまったという勝又。

優勝できなかったことは同じだが、2人の感じ方は違うだろう。

四柳は語る。

「負けたことは悔しいけれど、自分なりに納得した戦いだった。全く駄目だったということもないですし。またいつか決勝を戦えたらいいなと。」

対する勝又は、

「四柳君は強かったですよ。ベスト8で戦った時も1回戦東2局で決勝進出を決めたような感じだったから。」

本音を言わず、ノラリクラリと私の質問を上手く交わす勝又だが、

「自分は苦しいながら展開にも恵まれましたね。恵まれるように打ったって感じですかね(笑)。」

とちらりと本音を覗かせる。

マスターズ決勝に進出した2人のコメントは対照的だが、2人が充実した時を過ごしたことは間違いないようだ。今節はそんな2人の対局を中心に振り返ってみようと思う。

今節の組み合わせは、

黒沢×仁平×勝又×刀川×滝沢
右田×白鳥×遠藤×山井×金子
石渡×四柳×山田×前田×佐々木

私は勝又と四柳の戦いが同時に見える場所に陣取り、2人の動きを注目して観戦を始めた。

30_a2_02_01_smpwidth280_ktaiwidth240.jpg

最初に声を挙げたのは四柳。
東1局、開局早々の佐々木の仕掛けを受け、開いた手は、

一万二万三万六万七万八万九万九万七索八索九索七筒九筒 ツモ八筒  ドラ一索

佐々木の仕掛けによってツモったのは六万。そしてすぐに八筒ツモ。

「ツモが効いていたので感触は悪くなかったのですが…開局だし無理はしない方針でいこうかと。」

このアガリをどう感じるかは、打ち手と受け手の感覚によって異なるのだろうが、最初のアガリを手にしたというプラス思考でこの局を受け止めるのか、それともあまり良いイメージを持たずに次局以降に臨むのか、この辺りは大きな差異があると感じながらペンを走らせる。

 

30_a2_02_02_smpwidth280_ktaiwidth240.jpg

勝又の卓に目を移すと、この卓で先手を取ったのは滝沢。

二索二索三索三索四索南南  チー七筒八筒九筒  ポン東東東  ツモ一索  ドラ八筒

悲願のA1昇級に臨む滝沢の速攻が見事に決まったのだが、その滝沢を走らせまいと立ちはだかったのは勝又。

連荘を簡単に阻止する300・500で滝沢の親を落とすと、迎えた東3局勝又の親番で、

四万四万五万五万六万九万九万九万五索六索 七索東東  リーチ  ツモ三万  ドラ中

続く1本場、

四万五万一索一索一索八索八索一筒二筒二筒三筒三筒四筒  リーチ  ツモ六万  ドラ六万

そしてとどめは滝沢から、

二万二万二万四万五万二索三索四索五索六索七索東東  リーチ  ロン三万  ドラ七索

3局連続での加点。このアガリは得点以上に大きなアガリ。何故なら放銃した滝沢の手は、

五万五万六万六万七万五索六索七索七索五筒六筒七筒八筒

高め倍満の1シャンテン。この牌姿から三万を止めるのはさすがの滝沢でも厳しいか。
この局をアガリきった勝又の岐路は9巡目。

二万二万二万四万五万二索三索五索六索七索六筒六筒東  ツモ東

ターツ選択も難しく、かといってタンヤオも確定していない。せっかく重なったダブ東を離すほどの手ではない。そんな中、勝又が選んだのは打六筒。勝又に言わせれば当然の一手なのかもしれないが、こういった細かい手順を正確に判断できるのが勝又の持ち味。ダブ東に色気を感じ、ターツ選択をしていれば滝沢の勝負手が間に合った可能性も十分にあるだけに、観戦しているギャラリーも勝又がこの半荘をリードしていくのは間違いないと感じた瞬間でもあろう。

さらに勝又は繊細な一面を見せる。
東4局8巡目のテンパイは、

四万四万五万五万七万七万九万九万南南西中中  ドラ二索

このメンホン七対子はしっかりとヤミ。待ちの西は親の刀川の第一打に1枚切れということを加味してのモノなのだろう。時間は掛かったもののこれをしっかりと刀川から打ち取って、持ち点は50,000点を超える。

さらに勝又は南2局1本場、

四万五万六万白  ポン発発発  ポン八万八万八万  ポン中中中  ドラ三筒

更なる加点を目指し、積極的な動きで大物手をテンパイさせるが、ここに立ちはだかったのはここまで1人苦しい展開を強いられていた親番の仁平。

二万三万四万七万七万一筒二筒三筒四筒六筒七筒八筒九筒  ツモ五筒  ドラ三筒

価値ある3,900オールで勝又に迫ると、続く南2局2本場も、

一万一万二万二万三万五索五索五筒五筒六筒六筒白白  ツモ三万  ドラ九万

このアガリで勝又に肉薄。粘りが信条の仁平とすれば、こういった展開は願ってもない所。
しかしそれでも勝又は慌てなかった。

勝又が親で連荘。南3局4本場、滝沢のソーズ仕掛け、

牌の背牌の背牌の背牌の背牌の背牌の背牌の背  チー三索四索五索  ポン白白白  ドラ四万

刀川のピンズ仕掛け、

牌の背牌の背牌の背牌の背牌の背牌の背牌の背牌の背牌の背牌の背  ポン南南南

この2人の仕掛けを受けて苦しいのは仁平。

二万三万二索六索七索八索九索一筒四筒五筒六筒九筒九筒発

ここから打三万。すると勝又の手が開かれる。

二万四万五万五万二索三索四索二筒三筒四筒五筒六筒七筒  ロン三万

トップを競う仁平から価値ある12,000は13,200。仁平も意地を見せ、続く南3局5本場、

二筒三筒四筒五筒六筒六筒六筒七筒八筒九筒北北  ロン北

この12,000は13,500を勝又からアガリ返すものの時既に遅し。
緒戦は勝又が制し、マスターズから続く好調を維持した形でスタートしたのだった。

別卓に目を移すと、こちらはA2復帰の前田が絶好調。相手に影をも踏ませないような会心のアガリを連発。東3局からの3局連続のアガリを含め、一気にポイントを積み上げ他家を引き離しにかかる。開局にアガった四柳と石渡は防戦一方。佐々木が何とか食い下がり前田の1人浮きを阻止するのが精一杯。
どちらの卓も好調者と不調者がはっきりと分かれる展開となったのだ。

今期のA2は15名。よって毎節全卓5人打ちで対局が行われる。
こういった開局の場合、抜け番となった選手がキーとなるケースが多い。
1回戦抜け番の黒沢と山田がどういった心境で対局を見つめていたのか?皮肉にも2人の明暗ははっきりと分かれる形となってしまった。

 

30_a2_02_03_smpwidth280_ktaiwidth240.jpg

追い風が吹いたのは黒沢。
2回戦東2局、親の黒沢は7巡目七万チー、8巡目一万ポンと積極的な仕掛け。
ここに仁平が東ポンと応戦。緒戦トップの勝又もメンホン気配の中、仁平の手牌は、

一索一索二索四索五索六索六索六索七索九索  ポン東東東  打発  ドラ一索

この発が黒沢に捕まる。仁平が対戦後、

「ここは粘らなければいけなかった。」

と悔いる一打は、黒沢にとっては幸先の良いアガリに。

二万二万四万五万六万発発  ポン一万一万一万  チー七万八万九万  ロン発  ドラ一索

続く東2局1本場、西家・滝沢が6巡目リーチ。
程なく六万をツモアガリ2,000・4,000。

三万四万五万六万七万八万九万一筒二筒三筒西西西  リーチ  ツモ六万  ドラ一筒

親の黒沢はガッカリ…と思いきや、実はこの局に苦汁を呑んだのは仁平。
滝沢のリーチの時点で、

四索五索五索九索九索九索白白発発中中中

何とメンホン四暗刻大三元の1シャンテン。
三元牌が1枚でも場に放たれれば、一気に緊張感が走るこの瞬間、2人の手を受け、悩むのは黒沢。

2シャンテンの黒沢の手には白中。ここで少考した黒沢が選んだのは打中。仁平の暗刻牌だ。
すると次巡ツモ発。この瞬間、黒沢は撤退を始める。

ここでもし黒沢が打白を選んでいた場合、仁平が白をポンして打四索。そしてツモ発
一瞬で大三元のツモアガリとなっていたのだ。この事実を目にしていたのは立会人の瀬戸熊とギャラリーのみ。黒沢はこの事実さえわからず、仁平は悔しさを隠しきれない様子。仁平以外の3者にとってプラスに働いた黒沢の打中が、今節の結果を大きく左右したことは間違いないだろう。

被害を最小限に抑える格好となった黒沢は、南3局、滝沢から価値ある7,700でトップを堅守。

一索二索三索四索五索六索七索八索一筒一筒四筒五筒六筒  リーチ  ロン九索  ドラ中

この日の黒沢は、1着4着1着4着と出入りの激しい内容ながらも、しっかりとプラスを守ったことは大きなプラス材料だろう。しかしこの卓の勝ち頭は勝又。

「今日は状態が悪いから、負けないように打っているんですよね。」

とは、3回戦時の抜け番でのコメント。その後もしっかりとポイントをまとめている所はさすがの一言だろう。今期も優勝争いに必ず食い込んでくることを予想させるような対局内容に、昇級を期待するファンも多いのではないか。

一方、別卓の緒戦の抜け番山田はというと、不運という言葉が相応しい程、苦しい戦いを強いられる1日となってしまった。この日好調の前田と、尻上がりに復調する石渡の勢いに呑み込まれるようにジリジリと追い込まれ、共に苦しい展開を強いられた四柳と共にマイナスを押し付けられた格好となってしまった。

そしてもう1つの卓から首位に立ったのは山井。

30_a2_02_03_smpwidth280_ktaiwidth240.jpg

「まだまだ2節が終わったばかりですから。」

と語るものの、その瞳の奥には強い決意が窺える。四柳が、

「同じリーグとはいえ、山井さんには本当に教わることが多くて…その気持ちに応えたいと思っています。」

と語るように、山井自身も同郷の2人で競い合いながらA1昇級を果たしたいという想いがきっと強いはずだ。

開幕早々縦長の展開になったA2リーグだが、今期は5人打ちでの対局が続くだけにどのような展開が訪れるかは想像がつかない。下位に低迷する者も、首位の山井以下はポイントが詰まっているだけに一気の浮上も考えられるところ。爆発力を持ち合わせている選手が多いだけに、来節以降も激しい戦いが繰り広げられるだろう。

プロリーグ(鳳凰戦)レポート/第30期プロリーグ A2 第2節レポート

 
GW明けの第2節、この第2節は毎年5月第2週に行なわれる。
それが何を意味するかというと、直前に行なわれたマスターズの結果が対局の内容に少なからず影響するという事と、GW後半の各自の過ごし方が打牌に大きく表れるという事だ。
このGWを各自の成長の為に費やした選手と、連休期間に気持ちを切らしてしまった選手とでは明らかに大きな差が現れてしまうのが、この第2節の対局であることは間違いない。
そして前述のマスターズ、このA2リーグから見事決勝の舞台に進んだのが四柳と勝又。
結果は、小車の優勝で幕を閉じることになったのだが、その道中の2人の歩み方は対照的だった。
リーグ戦での好ダッシュを引き続き維持し、マスターズ本戦をトップ通過した四柳。勢いそのまま決勝まで駆け上がり、最終戦まで縺れる戦いを行ったのとは対照的に、勝又の戦いは苦しいものだった。
ポイント的に敗退の危機が迫った本戦の4、5回戦を連勝でクリアし、得意のトーナメントで勝ち進むも、決勝では本来の持ち味を出せずに終わってしまったという勝又。
優勝できなかったことは同じだが、2人の感じ方は違うだろう。
四柳は語る。
「負けたことは悔しいけれど、自分なりに納得した戦いだった。全く駄目だったということもないですし。またいつか決勝を戦えたらいいなと。」
対する勝又は、
「四柳君は強かったですよ。ベスト8で戦った時も1回戦東2局で決勝進出を決めたような感じだったから。」
本音を言わず、ノラリクラリと私の質問を上手く交わす勝又だが、
「自分は苦しいながら展開にも恵まれましたね。恵まれるように打ったって感じですかね(笑)。」
とちらりと本音を覗かせる。
マスターズ決勝に進出した2人のコメントは対照的だが、2人が充実した時を過ごしたことは間違いないようだ。今節はそんな2人の対局を中心に振り返ってみようと思う。
今節の組み合わせは、
黒沢×仁平×勝又×刀川×滝沢
右田×白鳥×遠藤×山井×金子
石渡×四柳×山田×前田×佐々木
私は勝又と四柳の戦いが同時に見える場所に陣取り、2人の動きを注目して観戦を始めた。
30_a2_02_01_smpwidth280_ktaiwidth240.jpg
最初に声を挙げたのは四柳。
東1局、開局早々の佐々木の仕掛けを受け、開いた手は、
一万二万三万六万七万八万九万九万七索八索九索七筒九筒 ツモ八筒  ドラ一索
佐々木の仕掛けによってツモったのは六万。そしてすぐに八筒ツモ。
「ツモが効いていたので感触は悪くなかったのですが…開局だし無理はしない方針でいこうかと。」
このアガリをどう感じるかは、打ち手と受け手の感覚によって異なるのだろうが、最初のアガリを手にしたというプラス思考でこの局を受け止めるのか、それともあまり良いイメージを持たずに次局以降に臨むのか、この辺りは大きな差異があると感じながらペンを走らせる。
 
30_a2_02_02_smpwidth280_ktaiwidth240.jpg
勝又の卓に目を移すと、この卓で先手を取ったのは滝沢。
二索二索三索三索四索南南  チー七筒八筒九筒  ポン東東東  ツモ一索  ドラ八筒
悲願のA1昇級に臨む滝沢の速攻が見事に決まったのだが、その滝沢を走らせまいと立ちはだかったのは勝又。
連荘を簡単に阻止する300・500で滝沢の親を落とすと、迎えた東3局勝又の親番で、
四万四万五万五万六万九万九万九万五索六索 七索東東  リーチ  ツモ三万  ドラ中
続く1本場、
四万五万一索一索一索八索八索一筒二筒二筒三筒三筒四筒  リーチ  ツモ六万  ドラ六万
そしてとどめは滝沢から、
二万二万二万四万五万二索三索四索五索六索七索東東  リーチ  ロン三万  ドラ七索
3局連続での加点。このアガリは得点以上に大きなアガリ。何故なら放銃した滝沢の手は、
五万五万六万六万七万五索六索七索七索五筒六筒七筒八筒
高め倍満の1シャンテン。この牌姿から三万を止めるのはさすがの滝沢でも厳しいか。
この局をアガリきった勝又の岐路は9巡目。
二万二万二万四万五万二索三索五索六索七索六筒六筒東  ツモ東
ターツ選択も難しく、かといってタンヤオも確定していない。せっかく重なったダブ東を離すほどの手ではない。そんな中、勝又が選んだのは打六筒。勝又に言わせれば当然の一手なのかもしれないが、こういった細かい手順を正確に判断できるのが勝又の持ち味。ダブ東に色気を感じ、ターツ選択をしていれば滝沢の勝負手が間に合った可能性も十分にあるだけに、観戦しているギャラリーも勝又がこの半荘をリードしていくのは間違いないと感じた瞬間でもあろう。
さらに勝又は繊細な一面を見せる。
東4局8巡目のテンパイは、
四万四万五万五万七万七万九万九万南南西中中  ドラ二索
このメンホン七対子はしっかりとヤミ。待ちの西は親の刀川の第一打に1枚切れということを加味してのモノなのだろう。時間は掛かったもののこれをしっかりと刀川から打ち取って、持ち点は50,000点を超える。
さらに勝又は南2局1本場、
四万五万六万白  ポン発発発  ポン八万八万八万  ポン中中中  ドラ三筒
更なる加点を目指し、積極的な動きで大物手をテンパイさせるが、ここに立ちはだかったのはここまで1人苦しい展開を強いられていた親番の仁平。
二万三万四万七万七万一筒二筒三筒四筒六筒七筒八筒九筒  ツモ五筒  ドラ三筒
価値ある3,900オールで勝又に迫ると、続く南2局2本場も、
一万一万二万二万三万五索五索五筒五筒六筒六筒白白  ツモ三万  ドラ九万
このアガリで勝又に肉薄。粘りが信条の仁平とすれば、こういった展開は願ってもない所。
しかしそれでも勝又は慌てなかった。
勝又が親で連荘。南3局4本場、滝沢のソーズ仕掛け、
牌の背牌の背牌の背牌の背牌の背牌の背牌の背  チー三索四索五索  ポン白白白  ドラ四万
刀川のピンズ仕掛け、
牌の背牌の背牌の背牌の背牌の背牌の背牌の背牌の背牌の背牌の背  ポン南南南
この2人の仕掛けを受けて苦しいのは仁平。
二万三万二索六索七索八索九索一筒四筒五筒六筒九筒九筒発
ここから打三万。すると勝又の手が開かれる。
二万四万五万五万二索三索四索二筒三筒四筒五筒六筒七筒  ロン三万
トップを競う仁平から価値ある12,000は13,200。仁平も意地を見せ、続く南3局5本場、
二筒三筒四筒五筒六筒六筒六筒七筒八筒九筒北北  ロン北
この12,000は13,500を勝又からアガリ返すものの時既に遅し。
緒戦は勝又が制し、マスターズから続く好調を維持した形でスタートしたのだった。
別卓に目を移すと、こちらはA2復帰の前田が絶好調。相手に影をも踏ませないような会心のアガリを連発。東3局からの3局連続のアガリを含め、一気にポイントを積み上げ他家を引き離しにかかる。開局にアガった四柳と石渡は防戦一方。佐々木が何とか食い下がり前田の1人浮きを阻止するのが精一杯。
どちらの卓も好調者と不調者がはっきりと分かれる展開となったのだ。
今期のA2は15名。よって毎節全卓5人打ちで対局が行われる。
こういった開局の場合、抜け番となった選手がキーとなるケースが多い。
1回戦抜け番の黒沢と山田がどういった心境で対局を見つめていたのか?皮肉にも2人の明暗ははっきりと分かれる形となってしまった。
 
30_a2_02_03_smpwidth280_ktaiwidth240.jpg
追い風が吹いたのは黒沢。
2回戦東2局、親の黒沢は7巡目七万チー、8巡目一万ポンと積極的な仕掛け。
ここに仁平が東ポンと応戦。緒戦トップの勝又もメンホン気配の中、仁平の手牌は、
一索一索二索四索五索六索六索六索七索九索  ポン東東東  打発  ドラ一索
この発が黒沢に捕まる。仁平が対戦後、
「ここは粘らなければいけなかった。」
と悔いる一打は、黒沢にとっては幸先の良いアガリに。
二万二万四万五万六万発発  ポン一万一万一万  チー七万八万九万  ロン発  ドラ一索
続く東2局1本場、西家・滝沢が6巡目リーチ。
程なく六万をツモアガリ2,000・4,000。
三万四万五万六万七万八万九万一筒二筒三筒西西西  リーチ  ツモ六万  ドラ一筒
親の黒沢はガッカリ…と思いきや、実はこの局に苦汁を呑んだのは仁平。
滝沢のリーチの時点で、
四索五索五索九索九索九索白白発発中中中
何とメンホン四暗刻大三元の1シャンテン。
三元牌が1枚でも場に放たれれば、一気に緊張感が走るこの瞬間、2人の手を受け、悩むのは黒沢。
2シャンテンの黒沢の手には白中。ここで少考した黒沢が選んだのは打中。仁平の暗刻牌だ。
すると次巡ツモ発。この瞬間、黒沢は撤退を始める。
ここでもし黒沢が打白を選んでいた場合、仁平が白をポンして打四索。そしてツモ発
一瞬で大三元のツモアガリとなっていたのだ。この事実を目にしていたのは立会人の瀬戸熊とギャラリーのみ。黒沢はこの事実さえわからず、仁平は悔しさを隠しきれない様子。仁平以外の3者にとってプラスに働いた黒沢の打中が、今節の結果を大きく左右したことは間違いないだろう。
被害を最小限に抑える格好となった黒沢は、南3局、滝沢から価値ある7,700でトップを堅守。
一索二索三索四索五索六索七索八索一筒一筒四筒五筒六筒  リーチ  ロン九索  ドラ中
この日の黒沢は、1着4着1着4着と出入りの激しい内容ながらも、しっかりとプラスを守ったことは大きなプラス材料だろう。しかしこの卓の勝ち頭は勝又。
「今日は状態が悪いから、負けないように打っているんですよね。」
とは、3回戦時の抜け番でのコメント。その後もしっかりとポイントをまとめている所はさすがの一言だろう。今期も優勝争いに必ず食い込んでくることを予想させるような対局内容に、昇級を期待するファンも多いのではないか。
一方、別卓の緒戦の抜け番山田はというと、不運という言葉が相応しい程、苦しい戦いを強いられる1日となってしまった。この日好調の前田と、尻上がりに復調する石渡の勢いに呑み込まれるようにジリジリと追い込まれ、共に苦しい展開を強いられた四柳と共にマイナスを押し付けられた格好となってしまった。
そしてもう1つの卓から首位に立ったのは山井。
30_a2_02_03_smpwidth280_ktaiwidth240.jpg
「まだまだ2節が終わったばかりですから。」
と語るものの、その瞳の奥には強い決意が窺える。四柳が、
「同じリーグとはいえ、山井さんには本当に教わることが多くて…その気持ちに応えたいと思っています。」
と語るように、山井自身も同郷の2人で競い合いながらA1昇級を果たしたいという想いがきっと強いはずだ。
開幕早々縦長の展開になったA2リーグだが、今期は5人打ちでの対局が続くだけにどのような展開が訪れるかは想像がつかない。下位に低迷する者も、首位の山井以下はポイントが詰まっているだけに一気の浮上も考えられるところ。爆発力を持ち合わせている選手が多いだけに、来節以降も激しい戦いが繰り広げられるだろう。

第77回『ミスと向き合う』

最近、どうも真っ直ぐな麻雀が打てていない。
それは即ち、自分の麻雀が打ち切れていないということであり、ある意味フォームが壊れかけているということでもある。

3月下旬のセット麻雀の晩、感想戦を兼ねた食事会で、私はそんな今の思いを打ち明けた。
山井弘、滝沢和典、そして岡田茂というメンツだった。

「手なりが下手になってるんじゃない?」

真っ先にそう返してきたのは、同期でもある岡田だった。
的確というのは、こういうことを言うのだろう。まさにその通りだった。

以前と比べ打牌に時間を要したり、アガリを逃す局面が増えたのも、それが一因となっていることは間違いない。どこかに迷いが生じているとも言えるかもしれない。

今期プロリーグ開幕の前日、今の自分の状態を計ることと、最終調整を兼ねてセットを組んだ。
メンバーは前原雄大、杉浦勘介、岡田茂、そして私である。

初戦は8ポイントほど沈んだ3着。迎えた2戦目、案じていたミスがここで出る。
北家スタートの私は、開局に杉浦からリーチのみの1,300を出アガる。
東2局は、杉浦が前原から2,000の出アガリ。そして東3局、杉浦のアガリ親となった。
4巡目、私の手牌は以下のものとなる。

四万五万七万八万九万三索四索七索八索二筒三筒八筒九筒  ツモ三筒  ドラ九筒

二筒。さすがにこれは二筒を外す手である。
しかし、次巡のツモ三筒は微妙だ。

四万五万七万八万九万三索四索七索八索三筒三筒八筒九筒  ツモ三筒

789の三色を見るなら、当然四万五万三索四索を払う手なのだが、いざ両面ターツを外すとなったときに、明確な判断基準がないのである。捨て牌から色に偏った切り出しをしている人間はいないし、三万六万二索五索も顔を見せていないのだ。なら三筒ツモ切りはどうか。これはドラが重なったときに一手遅れるため、やはり選択肢には入れ難い。

結果的に、私は四索から外したのだが、これもノータイムではなかった。

麻雀は迷いを生みやすいゲームである。選択の連続であるから、それは仕方がない。
しかし自分の経験から、すぐに答えを出せなかった打牌が好結果に結びついたことはほとんどないと言っていい。

迷いが生じるのは、ビジョンがないからである。
今ここで自分が何をすべきか、局が始まる前に最低限それくらいは考えておかなければならない。
この局で言うなら、まず次局が親番であるということ。
そして、この手牌をどうしても三色に仕上げなければならないのかということである。

一言に手なりと言っても、打ち手によってその捉え方は様々である。
競技麻雀の手なりは、やはり四万五万、或いは三索四索を払っていくことだと思う。
しかし、現在の状況を加味しないことにはそれも語れない。

例えば、収束を図る局面での八筒九筒残しはテーマに合致しない。恐い親に立ち向かうときもそうだ。
打点を落としたとしても、より確実なアガリを優先させなければならない。
いつも同じ打ち方で勝てるのなら、誰だって苦労はしないのである。

では実戦の経緯を追ってみよう。

7巡目
四万五万七万八万九万三索七索八索三筒三筒三筒八筒九筒  ツモ六索  打三索

8巡目
四万五万七万八万九万六索七索八索三筒三筒三筒八筒九筒  ツモ六万  打八筒リーチ

牌の来方はいかにもスムーズに見える。
しかし、この局のテーマがずれていることもはっきりわかる。

それは当然、私の中にこの局の心構えが出来ていなかったからである。
ただぼんやりと手牌だけを見て、大局を見据える努力を怠ってしまったのだ。

ソーズの両面ターツを払って九筒単騎でのリーチに踏み切るまで、北家の前原が切った発を親の杉浦が一鳴きしている事実もある。

その選択を下してからではもう後戻りは出来ないが、歪んだ局面を作り出せば、必ずしっぺ返しを喰らう。

三万三万五万六万五索六索七索東東東  ポン発発発  ツモ七万

終局間際のこの2,600オールを皮切りに、杉浦にこのゲームを完全に支配されてしまった。
このアガリに至るまで、二索五索はこれでもかと河に打たれ、当然のように自分でも引いていた。

四万五万六万七万八万九万三索四索六索七索八索三筒三筒

やはり自分の麻雀は、この形でアガって親を迎える方がしっくりくる。
この手だって三万六万と振り変われば魅力のあるものになるのだ。
上目の三色を狙ってどう転ぶかわからない状況を作るよりは、随分と安定性があるように思う。

麻雀は誰かのミスが、他の誰かを浮上させることにつながりやすくできている。
突き詰めていけば、1巡の差を争う戦いだからである。

例題のような局面は今までも何度となく経験したし、きっとこれからもやってくることだろう。
それら全てに正着を打つことは不可能である。しかし、正着を打つ努力をすることは大切である。

過去の経験を元に、いかにミスと向き合うか。
行く着く先は、結局その部分なのではないだろうか。

中級/第77回『ミスと向き合う』

最近、どうも真っ直ぐな麻雀が打てていない。
それは即ち、自分の麻雀が打ち切れていないということであり、ある意味フォームが壊れかけているということでもある。
3月下旬のセット麻雀の晩、感想戦を兼ねた食事会で、私はそんな今の思いを打ち明けた。
山井弘、滝沢和典、そして岡田茂というメンツだった。
「手なりが下手になってるんじゃない?」
真っ先にそう返してきたのは、同期でもある岡田だった。
的確というのは、こういうことを言うのだろう。まさにその通りだった。
以前と比べ打牌に時間を要したり、アガリを逃す局面が増えたのも、それが一因となっていることは間違いない。どこかに迷いが生じているとも言えるかもしれない。
今期プロリーグ開幕の前日、今の自分の状態を計ることと、最終調整を兼ねてセットを組んだ。
メンバーは前原雄大、杉浦勘介、岡田茂、そして私である。
初戦は8ポイントほど沈んだ3着。迎えた2戦目、案じていたミスがここで出る。
北家スタートの私は、開局に杉浦からリーチのみの1,300を出アガる。
東2局は、杉浦が前原から2,000の出アガリ。そして東3局、杉浦のアガリ親となった。
4巡目、私の手牌は以下のものとなる。
四万五万七万八万九万三索四索七索八索二筒三筒八筒九筒  ツモ三筒  ドラ九筒
二筒。さすがにこれは二筒を外す手である。
しかし、次巡のツモ三筒は微妙だ。
四万五万七万八万九万三索四索七索八索三筒三筒八筒九筒  ツモ三筒
789の三色を見るなら、当然四万五万三索四索を払う手なのだが、いざ両面ターツを外すとなったときに、明確な判断基準がないのである。捨て牌から色に偏った切り出しをしている人間はいないし、三万六万二索五索も顔を見せていないのだ。なら三筒ツモ切りはどうか。これはドラが重なったときに一手遅れるため、やはり選択肢には入れ難い。
結果的に、私は四索から外したのだが、これもノータイムではなかった。
麻雀は迷いを生みやすいゲームである。選択の連続であるから、それは仕方がない。
しかし自分の経験から、すぐに答えを出せなかった打牌が好結果に結びついたことはほとんどないと言っていい。
迷いが生じるのは、ビジョンがないからである。
今ここで自分が何をすべきか、局が始まる前に最低限それくらいは考えておかなければならない。
この局で言うなら、まず次局が親番であるということ。
そして、この手牌をどうしても三色に仕上げなければならないのかということである。
一言に手なりと言っても、打ち手によってその捉え方は様々である。
競技麻雀の手なりは、やはり四万五万、或いは三索四索を払っていくことだと思う。
しかし、現在の状況を加味しないことにはそれも語れない。
例えば、収束を図る局面での八筒九筒残しはテーマに合致しない。恐い親に立ち向かうときもそうだ。
打点を落としたとしても、より確実なアガリを優先させなければならない。
いつも同じ打ち方で勝てるのなら、誰だって苦労はしないのである。
では実戦の経緯を追ってみよう。
7巡目
四万五万七万八万九万三索七索八索三筒三筒三筒八筒九筒  ツモ六索  打三索
8巡目
四万五万七万八万九万六索七索八索三筒三筒三筒八筒九筒  ツモ六万  打八筒リーチ
牌の来方はいかにもスムーズに見える。
しかし、この局のテーマがずれていることもはっきりわかる。
それは当然、私の中にこの局の心構えが出来ていなかったからである。
ただぼんやりと手牌だけを見て、大局を見据える努力を怠ってしまったのだ。
ソーズの両面ターツを払って九筒単騎でのリーチに踏み切るまで、北家の前原が切った発を親の杉浦が一鳴きしている事実もある。
その選択を下してからではもう後戻りは出来ないが、歪んだ局面を作り出せば、必ずしっぺ返しを喰らう。
三万三万五万六万五索六索七索東東東  ポン発発発  ツモ七万
終局間際のこの2,600オールを皮切りに、杉浦にこのゲームを完全に支配されてしまった。
このアガリに至るまで、二索五索はこれでもかと河に打たれ、当然のように自分でも引いていた。
四万五万六万七万八万九万三索四索六索七索八索三筒三筒
やはり自分の麻雀は、この形でアガって親を迎える方がしっくりくる。
この手だって三万六万と振り変われば魅力のあるものになるのだ。
上目の三色を狙ってどう転ぶかわからない状況を作るよりは、随分と安定性があるように思う。
麻雀は誰かのミスが、他の誰かを浮上させることにつながりやすくできている。
突き詰めていけば、1巡の差を争う戦いだからである。
例題のような局面は今までも何度となく経験したし、きっとこれからもやってくることだろう。
それら全てに正着を打つことは不可能である。しかし、正着を打つ努力をすることは大切である。
過去の経験を元に、いかにミスと向き合うか。
行く着く先は、結局その部分なのではないだろうか。