第8期女流桜花 Aリーグ プレーオフ成績表

A B C


第7期女流桜花
魚谷 侑未
出身地(新潟)

順位 名前 1節 2節 3節 4節 5節 プレーオフ 合計
1 和久津 晶 (東京) ▲ 24.7 82.6 74.4 ▲ 12.2 8.9 58.1 187.1
2 吾妻 さおり(東京) 95.4 36.4 ▲ 18.2 38.3 18.2 ▲ 25.8 144.3
3 安田 麻里菜(秋田) ▲ 8.8 ▲ 4.1 32.2 52.0 ▲ 4.9 49.6 116.0
4 内田 美乃里(神奈川) ▲ 8.7 ▲ 12.8 16.0 10.0 44.8 42.5 91.8
5 黒沢 咲 (東京) ▲ 1.6 44.0 ▲ 10.7 ▲ 5.0 17.3 41.5 85.5
6 仲田 加南 (神奈川) 3.3 34.1 ▲ 41.8 9.3 38.1 ▲ 69.1 ▲ 26.1
7 古谷 知美 (東京) 0.1 8.4 ▲ 56.0 60.1 ▲ 14.0 ▲ 32.5 ▲ 33.9
8 清水 香織 (栃木) ▲ 31.6 ▲ 17.2 56.0 31.9 ▲ 12.9 ▲ 66.3 ▲ 40.1

 

女流桜花決定戦進出者決定!

魚谷 侑未vs和久津 晶vs吾妻 さおりvs安田 麻里菜

プレーオフ 和久津 古谷 内田 仲田 供託
1回戦 得失点 17.2 6.9 ▲ 12.7 ▲ 11.4 0.0
順位点 8.0 4.0 ▲ 8.0 ▲ 4.0
25.2 10.9 ▲ 20.7 ▲ 15.4 0.0
2回戦 得失点 18.0 ▲ 9.6 ▲ 4.6 ▲ 3.8 0.0
順位点 12.0 ▲ 8.0 ▲ 3.0 ▲ 1.0
30.0 ▲ 17.6 ▲ 7.6 ▲ 4.8 0.0
3回戦 得失点 ▲ 12.4 ▲ 1.5 45.8 ▲ 31.9 0.0
順位点 ▲ 3.0 ▲ 1.0 12.0 ▲ 8.0
▲ 15.4 ▲ 2.5 57.8 ▲ 39.9 0.0
4回戦 得失点 10.3 ▲ 15.3 9.0 ▲ 5.0 1.0
順位点 8.0 ▲ 8.0 4.0 ▲ 4.0
18.3 ▲ 23.3 13.0 ▲ 9.0 0.0
ペナ 0.0 0.0 0.0 0.0
合計 58.1 ▲ 32.5 42.5 ▲ 69.1 1.0
プレーオフ 黒沢 安田 吾妻 清水 供託
1回戦 得失点 0.8 22.4 ▲ 1.8 ▲ 21.4 0.0
順位点 4.0 8.0 ▲ 4.0 ▲ 8.0
4.8 30.4 ▲ 5.8 ▲ 29.4 0.0
2回戦 得失点 ▲ 13.7 15.6 ▲ 15.5 13.6 0.0
順位点 ▲ 4.0 8.0 ▲ 8.0 4.0
▲ 17.7 23.6 ▲ 23.5 17.6 0.0
3回戦 得失点 18.2 3.7 ▲ 3.7 ▲ 18.2 0.0
順位点 8.0 4.0 ▲ 4.0 ▲ 8.0
26.2 7.7 ▲ 7.7 ▲ 26.2 0.0
4回戦 得失点 20.2 ▲ 8.1 7.2 ▲ 20.3 1.0
順位点 8.0 ▲ 4.0 4.0 ▲ 8.0
28.2 ▲ 12.1 11.2 ▲ 28.3 1.0
ペナ
合計 41.5 49.6 ▲ 25.8 ▲ 66.3 1.0

女流プロリーグ(女流桜花) 成績表/第8期女流桜花 Aリーグ プレーオフ成績表

A B C


第7期女流桜花
魚谷 侑未
出身地(新潟)

順位 名前 1節 2節 3節 4節 5節 プレーオフ 合計
1 和久津 晶 (東京) ▲ 24.7 82.6 74.4 ▲ 12.2 8.9 58.1 187.1
2 吾妻 さおり(東京) 95.4 36.4 ▲ 18.2 38.3 18.2 ▲ 25.8 144.3
3 安田 麻里菜(秋田) ▲ 8.8 ▲ 4.1 32.2 52.0 ▲ 4.9 49.6 116.0
4 内田 美乃里(神奈川) ▲ 8.7 ▲ 12.8 16.0 10.0 44.8 42.5 91.8
5 黒沢 咲 (東京) ▲ 1.6 44.0 ▲ 10.7 ▲ 5.0 17.3 41.5 85.5
6 仲田 加南 (神奈川) 3.3 34.1 ▲ 41.8 9.3 38.1 ▲ 69.1 ▲ 26.1
7 古谷 知美 (東京) 0.1 8.4 ▲ 56.0 60.1 ▲ 14.0 ▲ 32.5 ▲ 33.9
8 清水 香織 (栃木) ▲ 31.6 ▲ 17.2 56.0 31.9 ▲ 12.9 ▲ 66.3 ▲ 40.1

 
女流桜花決定戦進出者決定!
魚谷 侑未vs和久津 晶vs吾妻 さおりvs安田 麻里菜

プレーオフ 和久津 古谷 内田 仲田 供託
1回戦 得失点 17.2 6.9 ▲ 12.7 ▲ 11.4 0.0
順位点 8.0 4.0 ▲ 8.0 ▲ 4.0
25.2 10.9 ▲ 20.7 ▲ 15.4 0.0
2回戦 得失点 18.0 ▲ 9.6 ▲ 4.6 ▲ 3.8 0.0
順位点 12.0 ▲ 8.0 ▲ 3.0 ▲ 1.0
30.0 ▲ 17.6 ▲ 7.6 ▲ 4.8 0.0
3回戦 得失点 ▲ 12.4 ▲ 1.5 45.8 ▲ 31.9 0.0
順位点 ▲ 3.0 ▲ 1.0 12.0 ▲ 8.0
▲ 15.4 ▲ 2.5 57.8 ▲ 39.9 0.0
4回戦 得失点 10.3 ▲ 15.3 9.0 ▲ 5.0 1.0
順位点 8.0 ▲ 8.0 4.0 ▲ 4.0
18.3 ▲ 23.3 13.0 ▲ 9.0 0.0
ペナ 0.0 0.0 0.0 0.0
合計 58.1 ▲ 32.5 42.5 ▲ 69.1 1.0
プレーオフ 黒沢 安田 吾妻 清水 供託
1回戦 得失点 0.8 22.4 ▲ 1.8 ▲ 21.4 0.0
順位点 4.0 8.0 ▲ 4.0 ▲ 8.0
4.8 30.4 ▲ 5.8 ▲ 29.4 0.0
2回戦 得失点 ▲ 13.7 15.6 ▲ 15.5 13.6 0.0
順位点 ▲ 4.0 8.0 ▲ 8.0 4.0
▲ 17.7 23.6 ▲ 23.5 17.6 0.0
3回戦 得失点 18.2 3.7 ▲ 3.7 ▲ 18.2 0.0
順位点 8.0 4.0 ▲ 4.0 ▲ 8.0
26.2 7.7 ▲ 7.7 ▲ 26.2 0.0
4回戦 得失点 20.2 ▲ 8.1 7.2 ▲ 20.3 1.0
順位点 8.0 ▲ 4.0 4.0 ▲ 8.0
28.2 ▲ 12.1 11.2 ▲ 28.3 1.0
ペナ
合計 41.5 49.6 ▲ 25.8 ▲ 66.3 1.0

第30期プロリーグ A2 第8節レポート

プロ連盟では、この第8節からA1、A2リーグの対局の模様が、
日本プロ連盟チャンネル』において完全生放送されることになった。

タイトル戦の決勝はおろかリーグ戦の模様まで生配信されることになったことに、私は心から感動を覚えている。
私がプロ入りしたころには到底考えられない大進歩であり、ファンの皆さんとプロとの距離がより一層近づいたことで、私達麻雀プロの一挙手一投足にこれまで以上に責任が生じていることを痛切に感じている。

プロ連盟の選手一人一人が、生きるも死ぬも自分次第であることを十分に自覚し、更には個々の選手それぞれがプロ連盟の看板を背負って対局に臨むべきだと、私自身そう感じながらほぼ全ての対局に目を通した。

選手としてではなく、あくまで一ファンの1人として目にしたリーグ戦の放送は、今まで見た麻雀の映像と一線を画した内容に、自分の立場をまるで忘れ、興奮し画面にくぎ付けになってしまう。先日王位戦で同卓したアマチュアの選手にも、

「本当にAリーグの対局って面白いですよね~!あれで月額525円は安すぎですよ!」

とお声掛けを頂いて、私個人としても本当に嬉しい気持ちとなった。

がしかし…肝心の自分の麻雀がとても見せられる内容でなかったのは本当に恥ずかしく思っている。
リーグ戦に参加して十数年、今までのリーグ戦での対局の中でも、最低の内容と最低の結果が初めてのリーグ戦配信だったことに、反省しても、し尽せないくらいだ。

決定戦進出が極めて厳しくなったとか、後ろを見れば降級の可能性があるとか、そういった事は全くの二の次で、対局者全員で対局を創り上げなければいけないものを、1人のプレイでぶち壊しにしてしまったのではないかと痛切に反省している。とはいっても、失ったものは大きいが、いくら考えた所でその麻雀も結果も戻ってこないのは事実。今まで以上に真摯に麻雀と向き合って、新たに精進を重ねて行く他あるまい。

前書きが長くなってしまったが、何故自分の不甲斐ない麻雀を引き合いに出したかというと、私と同じ想いを感じながら対局に臨んでいたと思われる選手の事に触れたかったからだ。

それは、別日対局での金子であり、今節の山田である。
2人の好調時の戦いを知っているだけに、2人が苦しんでいる様子を画面越しに見ていると、今節においての自分の姿とどうしても重ねて見てしまうのだ。

例えば山田の4回戦、この日ここまでマイナスを60P程重ねてしまっていただけに、手牌にブレーキが全くかからず、更には手牌進行をもマイナスに作用してしまう。
昇級を競う白鳥に痛恨の3連続放銃は、自分自身の姿にダブるように見えた。
山田の渾身のチンイツの仕掛けも、

一索一索四索四索四索五索六索七索八索九索  ポン二索二索二索  ドラ一筒

手変わりを待たずに勝負を仕掛けた白鳥のこのリーチに、

三万四万五万三索三索六索七索八索三筒四筒五筒八筒八筒  ロン三索

三索が止まるはずもなく放銃に。
仕掛けても、手を組んでも、一度出来てしまった流れを引き戻す事は容易ではない。
対局している山田自身の心中を察しても、普段の実力を発揮できないもどかしさが画面越しに伝わってくるようだった。

こういった戦いを目にすることは本当に辛く悲しい。
しかし、勝負の世界で生きていくためには、決して避けては通れない道であることも事実。
勝者がいれば敗者が必ずいるのが世の常。昇級者が出れば降級者が出るのもリーグ戦。
今後放送を続けていく以上、素晴らしい戦いの脇で残酷なドラマを目にすることとなるが、そういった現実に目を背けずにリーグ戦を観戦してもらいたい。

途中休場の選手が2名出た為、今期の降級枠は2人に減ったが、ポイント的にも正直2人が残留を果たすのは極めて厳しいと言わざるを得ない。それでも、それぞれの存在価値を見出す為にも、最終節には2人のベストパフォーマンスを視聴者のファンの皆様に伝えてほしいと思っている。

 

さて、上位争いに注目を絞ってお伝えすると、まずは3位・四柳と4位・石渡の対決。同卓者は刀川と金子。
この卓では、奇跡の残留を目論む金子の驚異的な粘りによって苦しめられたのは四柳。
常に後手後手を強いられ、終始受けっぱなしの展開に。

そんな中、ライバル石渡は、親番での効率的な加点で金子の攻撃を最小限に食い止め、3回戦までに1、2、1着と30P程ポイントを上積みし、四柳との差を一気に50P以上突き離す。

しかし、石渡は4回戦に痛恨のラス。
上位卓には踏みとどまったものの、昇級争いは最終節に持ち越しとなった。

四柳も最終4回戦にようやく片目が開いた格好。被害を最小限に食い止めたのはさすがだが、上位卓から漏れてしまっただけに、最終節は先に結果を残しての結果待ちとなってしまった。

続いて行われたのは2位・白鳥と5位・前田の争い。同卓者は黒沢と山田。
この日の主役は前田。
前田のスタイルのわりに、この日の前田は、手数は意外と少ないものの、効率的なアガリと展開も向き、トップ3回、2着1回のオールプラスで一気に白鳥を交わし2位まで浮上したのだ。

特に2回戦東場での連荘は圧巻。
白鳥と山田が親の前田にぶつけるも、しっかりと受け切った後に本手を炸裂させる。

東4局2本場、山田の先制リーチを受けるも次巡追いつきそのまま追いかけると、

四万五万七万七万一索一索一索一筒二筒三筒四筒五筒六筒  リーチ  ツモ三万  ドラ七万

続く東4局3本場、またもや山田のリーチを受けるが、

二万二万三万三万三索四索四索六索八索八索東東中  ドラ二万

七対子ドラ2の1シャンテンから、難解ながらもこれをメンツ手移行。
1シャンテンを維持しながらテンパイを果たし、最終形は、

二万二万二万三万四万四索五索六索八索八索東東東  ツモ五万  ドラ二万

この6,000は6,300オールで他家を置き去りに。このアガリがこの日の勝利の決め手となったのだ。
対する白鳥も、苦しいながらもポイントをまとめ、最終節に可能性を残す位置に留まった。
直接対決の最終節だけに、この位置なら逆転も十分。この日の苦しさを最終節にぶつけてくるはずだ。

そして最後は勝又。
中位に位置する佐々木、山井に、降級争いに組み込まれたくないはずの仁平と滝沢が相手。

この日の勝又もそれほど無理しない卓回しで安定感抜群。
連続プラスはストップしたものの、2位以下とのポイント差を考えれば昇級は確定したと言ってもいいだろう。

大きく沈むと降級の危険性もあった滝沢と仁平だが、共に初戦(滝沢は2回戦が初戦で仁平が2回戦抜け番)をトップで終え、上手くポイントをまとめた結果に。

2人は最終節下位卓に組み込まれるものの、12位・金子との差は100P以上あるだけに危機を脱した感がある。
それでも直接対決を残している以上、何が起こるかわからないのが麻雀の難しさ。逆に僅かながらに可能性を残す金子は、ターゲットを決めるか、自身の加点を最優先するか、戦い方が難しいが最後まで諦めずに戦ってほしいものだ。

昇級争いに目を向けると、勝又の連続プラスは7節でストップしたとはいえ、勝又の昇級は揺るぎないだろう。
そうなると残りの昇級枠はたった1つ。

数字的には5位の四柳まで可能性は残すが、最終節は上位対戦となるだけに四柳の昇級はかなり厳しそうだ。
ポイントとしては、2位の前田まで57P差。少なくとも70P以上のプラスを叩かないことには、上位陣にプレッシャーを掛けることは難しいのではないか。

今節2位に浮上した前田には勢いを感じる。
手牌もそうだが、今節は非常に展開も向いた。今期は劣勢に立たされても踏みとどまる我慢強さが随所に感じられ、それが今節の爆発につながったとみている。首位の勝又が無理をしない戦い方を選べば、一気に突き抜ける可能性もあろう。

一歩後退した3位、白鳥の今期の良さはそのメリハリ。
前述した牌姿のように、勝負所とみれば一気に攻め抜く瞬発力を持ち合わせながら、局面をしっかりと見極め、場に即さない牌は下ろさない守備力も光る。
前田との差は僅か12P。最終戦まで縺れる展開になれば勝機は十分にある。

今期の白鳥の戦い方と極めて似た戦い方でここまで戦ってきた4位・石渡の武器はその安定感。
今期は勝又の出来が良すぎただけに目立たないが、マイナスを極力抑えここまで着実にポイントを積み重ねてきた。
白鳥と異なる部分は序盤の構え方。ギリギリまで踏み込んでから局面に合わせていくだけに、勝又と白鳥との同卓は意外と相性がいい可能性も。早い段階で並ぶことが出来れば、後は経験の差で捌き切ることも十分に可能だろう。

最終節まで縺れた昇級争いは、どうやら最終戦まで誰が昇級するかわからない戦いになるだろう。
同卓の3人での争いになるか、それとも前週に行なわれる対局で四柳が一気に差し切るか、最後まで目の離せない戦いが続くはずだ。

私達麻雀プロが全てを懸けて戦うその姿を、視聴者の皆様もしっかりと目に焼き付けて頂きたいと思っている。

プロリーグ(鳳凰戦)レポート/第30期プロリーグ A2 第8節レポート

プロ連盟では、この第8節からA1、A2リーグの対局の模様が、
日本プロ連盟チャンネル』において完全生放送されることになった。
タイトル戦の決勝はおろかリーグ戦の模様まで生配信されることになったことに、私は心から感動を覚えている。
私がプロ入りしたころには到底考えられない大進歩であり、ファンの皆さんとプロとの距離がより一層近づいたことで、私達麻雀プロの一挙手一投足にこれまで以上に責任が生じていることを痛切に感じている。
プロ連盟の選手一人一人が、生きるも死ぬも自分次第であることを十分に自覚し、更には個々の選手それぞれがプロ連盟の看板を背負って対局に臨むべきだと、私自身そう感じながらほぼ全ての対局に目を通した。
選手としてではなく、あくまで一ファンの1人として目にしたリーグ戦の放送は、今まで見た麻雀の映像と一線を画した内容に、自分の立場をまるで忘れ、興奮し画面にくぎ付けになってしまう。先日王位戦で同卓したアマチュアの選手にも、
「本当にAリーグの対局って面白いですよね~!あれで月額525円は安すぎですよ!」
とお声掛けを頂いて、私個人としても本当に嬉しい気持ちとなった。
がしかし…肝心の自分の麻雀がとても見せられる内容でなかったのは本当に恥ずかしく思っている。
リーグ戦に参加して十数年、今までのリーグ戦での対局の中でも、最低の内容と最低の結果が初めてのリーグ戦配信だったことに、反省しても、し尽せないくらいだ。
決定戦進出が極めて厳しくなったとか、後ろを見れば降級の可能性があるとか、そういった事は全くの二の次で、対局者全員で対局を創り上げなければいけないものを、1人のプレイでぶち壊しにしてしまったのではないかと痛切に反省している。とはいっても、失ったものは大きいが、いくら考えた所でその麻雀も結果も戻ってこないのは事実。今まで以上に真摯に麻雀と向き合って、新たに精進を重ねて行く他あるまい。
前書きが長くなってしまったが、何故自分の不甲斐ない麻雀を引き合いに出したかというと、私と同じ想いを感じながら対局に臨んでいたと思われる選手の事に触れたかったからだ。
それは、別日対局での金子であり、今節の山田である。
2人の好調時の戦いを知っているだけに、2人が苦しんでいる様子を画面越しに見ていると、今節においての自分の姿とどうしても重ねて見てしまうのだ。
例えば山田の4回戦、この日ここまでマイナスを60P程重ねてしまっていただけに、手牌にブレーキが全くかからず、更には手牌進行をもマイナスに作用してしまう。
昇級を競う白鳥に痛恨の3連続放銃は、自分自身の姿にダブるように見えた。
山田の渾身のチンイツの仕掛けも、
一索一索四索四索四索五索六索七索八索九索  ポン二索二索二索  ドラ一筒
手変わりを待たずに勝負を仕掛けた白鳥のこのリーチに、
三万四万五万三索三索六索七索八索三筒四筒五筒八筒八筒  ロン三索
三索が止まるはずもなく放銃に。
仕掛けても、手を組んでも、一度出来てしまった流れを引き戻す事は容易ではない。
対局している山田自身の心中を察しても、普段の実力を発揮できないもどかしさが画面越しに伝わってくるようだった。
こういった戦いを目にすることは本当に辛く悲しい。
しかし、勝負の世界で生きていくためには、決して避けては通れない道であることも事実。
勝者がいれば敗者が必ずいるのが世の常。昇級者が出れば降級者が出るのもリーグ戦。
今後放送を続けていく以上、素晴らしい戦いの脇で残酷なドラマを目にすることとなるが、そういった現実に目を背けずにリーグ戦を観戦してもらいたい。
途中休場の選手が2名出た為、今期の降級枠は2人に減ったが、ポイント的にも正直2人が残留を果たすのは極めて厳しいと言わざるを得ない。それでも、それぞれの存在価値を見出す為にも、最終節には2人のベストパフォーマンスを視聴者のファンの皆様に伝えてほしいと思っている。
 
さて、上位争いに注目を絞ってお伝えすると、まずは3位・四柳と4位・石渡の対決。同卓者は刀川と金子。
この卓では、奇跡の残留を目論む金子の驚異的な粘りによって苦しめられたのは四柳。
常に後手後手を強いられ、終始受けっぱなしの展開に。
そんな中、ライバル石渡は、親番での効率的な加点で金子の攻撃を最小限に食い止め、3回戦までに1、2、1着と30P程ポイントを上積みし、四柳との差を一気に50P以上突き離す。
しかし、石渡は4回戦に痛恨のラス。
上位卓には踏みとどまったものの、昇級争いは最終節に持ち越しとなった。
四柳も最終4回戦にようやく片目が開いた格好。被害を最小限に食い止めたのはさすがだが、上位卓から漏れてしまっただけに、最終節は先に結果を残しての結果待ちとなってしまった。
続いて行われたのは2位・白鳥と5位・前田の争い。同卓者は黒沢と山田。
この日の主役は前田。
前田のスタイルのわりに、この日の前田は、手数は意外と少ないものの、効率的なアガリと展開も向き、トップ3回、2着1回のオールプラスで一気に白鳥を交わし2位まで浮上したのだ。
特に2回戦東場での連荘は圧巻。
白鳥と山田が親の前田にぶつけるも、しっかりと受け切った後に本手を炸裂させる。
東4局2本場、山田の先制リーチを受けるも次巡追いつきそのまま追いかけると、
四万五万七万七万一索一索一索一筒二筒三筒四筒五筒六筒  リーチ  ツモ三万  ドラ七万
続く東4局3本場、またもや山田のリーチを受けるが、
二万二万三万三万三索四索四索六索八索八索東東中  ドラ二万
七対子ドラ2の1シャンテンから、難解ながらもこれをメンツ手移行。
1シャンテンを維持しながらテンパイを果たし、最終形は、
二万二万二万三万四万四索五索六索八索八索東東東  ツモ五万  ドラ二万
この6,000は6,300オールで他家を置き去りに。このアガリがこの日の勝利の決め手となったのだ。
対する白鳥も、苦しいながらもポイントをまとめ、最終節に可能性を残す位置に留まった。
直接対決の最終節だけに、この位置なら逆転も十分。この日の苦しさを最終節にぶつけてくるはずだ。
そして最後は勝又。
中位に位置する佐々木、山井に、降級争いに組み込まれたくないはずの仁平と滝沢が相手。
この日の勝又もそれほど無理しない卓回しで安定感抜群。
連続プラスはストップしたものの、2位以下とのポイント差を考えれば昇級は確定したと言ってもいいだろう。
大きく沈むと降級の危険性もあった滝沢と仁平だが、共に初戦(滝沢は2回戦が初戦で仁平が2回戦抜け番)をトップで終え、上手くポイントをまとめた結果に。
2人は最終節下位卓に組み込まれるものの、12位・金子との差は100P以上あるだけに危機を脱した感がある。
それでも直接対決を残している以上、何が起こるかわからないのが麻雀の難しさ。逆に僅かながらに可能性を残す金子は、ターゲットを決めるか、自身の加点を最優先するか、戦い方が難しいが最後まで諦めずに戦ってほしいものだ。
昇級争いに目を向けると、勝又の連続プラスは7節でストップしたとはいえ、勝又の昇級は揺るぎないだろう。
そうなると残りの昇級枠はたった1つ。
数字的には5位の四柳まで可能性は残すが、最終節は上位対戦となるだけに四柳の昇級はかなり厳しそうだ。
ポイントとしては、2位の前田まで57P差。少なくとも70P以上のプラスを叩かないことには、上位陣にプレッシャーを掛けることは難しいのではないか。
今節2位に浮上した前田には勢いを感じる。
手牌もそうだが、今節は非常に展開も向いた。今期は劣勢に立たされても踏みとどまる我慢強さが随所に感じられ、それが今節の爆発につながったとみている。首位の勝又が無理をしない戦い方を選べば、一気に突き抜ける可能性もあろう。
一歩後退した3位、白鳥の今期の良さはそのメリハリ。
前述した牌姿のように、勝負所とみれば一気に攻め抜く瞬発力を持ち合わせながら、局面をしっかりと見極め、場に即さない牌は下ろさない守備力も光る。
前田との差は僅か12P。最終戦まで縺れる展開になれば勝機は十分にある。
今期の白鳥の戦い方と極めて似た戦い方でここまで戦ってきた4位・石渡の武器はその安定感。
今期は勝又の出来が良すぎただけに目立たないが、マイナスを極力抑えここまで着実にポイントを積み重ねてきた。
白鳥と異なる部分は序盤の構え方。ギリギリまで踏み込んでから局面に合わせていくだけに、勝又と白鳥との同卓は意外と相性がいい可能性も。早い段階で並ぶことが出来れば、後は経験の差で捌き切ることも十分に可能だろう。
最終節まで縺れた昇級争いは、どうやら最終戦まで誰が昇級するかわからない戦いになるだろう。
同卓の3人での争いになるか、それとも前週に行なわれる対局で四柳が一気に差し切るか、最後まで目の離せない戦いが続くはずだ。
私達麻雀プロが全てを懸けて戦うその姿を、視聴者の皆様もしっかりと目に焼き付けて頂きたいと思っている。

第14期九州プロリーグ A・B・Cリーグ 第8節レポート

Aリーグレポート:藤原英司

A卓(青木×中尾×大和田×小車)
B卓(小川×柴田×新谷×安東)
C卓(塚本×福田×藤原×西原×浜上)

秋も一段と深まり、陽だまりの恋しい季節となりました。皆様はお変わりなくお過ごしでしょうか。
今回Aリーグのレポートを担当する事になりました、現皇帝位の藤原英司と申します。
最後までお付き合いくださいませ。

前回の浜上がそうであったように、ディフェンディングチャンピオンとして決勝の舞台に立ちたい、迎え撃つ立場でありたい、その為にも今回少しでも加点しておきたいと挑んだ第8節。

ちなみに私、現皇帝位でもあります。大事なことですので2回触れておきました。宜しくお願いします。
さて、第8節と言えばいよいよ終盤!と感じられる方もいるでしょうが、1半荘で例えるならば南2局。
まだまだ勝負はわからないと言った状況ではないでしょうか。

3位~9位まで混戦している現在のAリーグですが、後がない終盤ととらえる者、まだ南2局ととらえる者とでは今節の戦い方も変わってくるでしょう。

まずはA卓。
現在首位の大和田、3位・中尾、4位・小車、8位・青木の組み合わせ。
現在6位の私は、小車と中尾に注目した。

3回戦、青木の起親でスタート、大和田、中尾、小車の座順で中尾、小車の間で観戦することにした。
小車の手牌がこの日は縦に良く伸びている印象を受けた。こういった手牌の伸びには技術以外にもセンスも必要になってくる。必然と狙う役はトイトイや七対子などになっていたのだが、なかなかアガリには結びつかずにいた。

小車がドラの中を使った七対子のテンパイ。

一万一万二万三万三万四万四万九索九索八索八索中中  ドラ中

上家で親の中尾が、

五索五索八索八索一筒二筒三筒  ポン東東東  ポン西西西

この仕掛け。
2フーロした中尾の必要としていない二万単騎でのヤミテンだったのだが、この局を制したのは大和田だった。

六索六索六索六筒六筒南南南中中  ポン北北北  ロン六筒

8,000は8,900の中尾からのロンアガリ。
この大和田という男、Aリーグに上がってきてまだ4位以下に順位を落とした事がない。
周りが順位の変動をしている中、1節目から決勝の枠内で安定した麻雀をしている。
今回ゆっくりと観戦こそしてないが、アガリやテンパイ形で開かれる手牌にはしばし釘付けになる。
もちろん良い意味で、だ。

しかし、この日の大和田はこれまでの安定した麻雀とは一変し、3回のラスを押し付けられ今期、自身一番のマイナスを叩いた。それでも首位は変わらず、まだ頭1つ抜けていると言ったところだ。
卓内トップだった小車は、順位こそ落ちたが、残り2節で十分トップも狙える程点差を縮めた。

続いてB卓では、5位・柴田、7位・新谷、12位・安東、13位・小川の組み合わせ。
ここでは、降級に一番近い安東、小川に注目してみた。

今期、小川は4節でプラスを取っただけで、後は全てマイナスである。
特に5節からの崩れっぷりは「らしくない」の一言である。
普段、プライベートでもよく対局をする間柄なので、彼のらしくない不調に負けず踏ん張って欲しいと思う。

3回戦、新谷の起親でスタート、柴田、安東、小川の座順、安東、小川の間で観戦をすることにした。
南1局、小川にこのテンパイが入る。

一万一万二万二万八万八万二索二索四索四索一筒白白 ドラ西

一筒 は河に1枚、新谷が1巡目に切っている。親の現物を抱え、ドラの西でも持ってきたらと言うところだろう。
中盤、西家の安東がドラの西をスッと河に置く。見ればタンピン系のリャンシャンテンの手牌である。
西に重なりやアガリがないと判断したのか、ここらが放し時と決めたのだろう。ドラの西はなんの音沙汰もなく河に放たれた。そして他の誰もドラの合わせ打ちをしない。

すでに中盤である。小川にテンパイが入っているように、他家も手牌が整っていよう。当然、字牌のドラは数牌と違い、使い切るなら重ねるしかない。手牌に絡まないならば切り時を見誤ってはいけない。使いにくいドラを処理するならば安東が切った巡目に合わせるのが普通であろう。そうしない、そうなっていないのならば、残りが山にあると考えるよりも、誰かが使っていると考える方が自然だ。

観戦しながらドラの所在を想像していると、小川が切った七筒に新谷が「ロン、12,000」開かれた手にはドラが2枚あった。巡目が巡目だけに、とりあえず警戒をしていれば押す七筒じゃなかったように思う。

そのアガリで元気を得たのか新谷が続く1本場、九索切りリーチ。
小川が宣言牌の九索をポンして下記のテンパイを入れる。

一索一索二索三索四索六索七索八索中中  ポン九索九索九索  ドラ七筒

親のリーチに、前にでて行くが軍配は新谷に上がる。

二索三索四索四索五索五索五索八索八索八索西西西  ツモ四索  ドラ七筒

6,000オールのアガリである。
この日の新谷は、+100.2Pと1人浮きのトップをもぎ取り、順位も2位まで浮上した。

最後にC卓。2位・西原、6位・藤原、9位・浜上、10位・福田、11位・塚本の5人打ち。
今期は、西原とは2回目の対戦となった。去年もそうだったのだが、西原は大きく崩れることはなく手強い。
安定してポイントも持っている感じだ。当然マークする存在である。

強さの原因として私なりに考えてみた。おそらく自然体なのかなと、誰よりも自分の麻雀を打てているし、信じているのではないかと。「いつも勝っている麻雀のスタイルを、そのまま実行して勝っているんだよ」とか言われそうだ。

なので、今回はポイントの近い浜上をケアしつつ、西原にのびのびと麻雀はさせない事をテーマにしてみよう。そんなに上手く行くとは思わないが、西原が自分の麻雀を曲げてくれるようプレッシャーをかけれたらな、と考えて対局に挑んだ。

冒頭で触れた第8節をどう捉えるかについて少し話しを戻すが、今の私の状況ならば南2局くらいに思う。
それもオーラスに親を残した。可能性は無限だと信じたい。

1回戦、東場の親で軽くアガれた後の1本場。割と早い巡目にドラ暗刻のタンヤオを浜上からアガり、11,600は11,900。マークしている浜上からの直取りとなったが、実はこのアガリは紙一重で、2巡も前から浜上は国士無双のテンパイをしていた。河に2枚切れの白待ちなのだが、タンヤオドラ3の五筒八筒待ちのテンパイから白は止め切れる自信はない。

続く2本場、

一万二万三万一索二索五索六索七索一筒二筒三筒四筒四筒  リーチ  ツモ三索

これをアガリ、「3,900は4,100オール」
その後もツモに恵まれ、南入するころには60,000点を超えており1回戦目はトップを取ることができた。

2回戦目は浜上の大物手が成就する。

一万一万一万七万七万七万八万八万八万七索七索九索九索  リーチ  ツモ七索

リーチ後、一発でツモの四暗刻である。
16,000点の支払いをしたのは私であり痛い失点なのだが、浜上の強さに思わずニヤけてしまう。
南場の親番の頃には9,000点台の4着目、いいとこ無しの2回戦だったが、親番を活かす事ができ、原点復帰の2着で終えることができた。

3回戦目は抜け番、4回戦目は1人沈みの4着となり1回戦目で得たプラスもほとんどが削られる事となった。5回戦目は原点を割った3着で、トータル+8.3Pのプラスで終了したものの順位は少し下がり7位となった。

注目していた西原はというと、3回戦を終わって3連続4着の絶不調。ポイントも▲102.3Pもはき出していた。本人もビックリの成績だっただろう。私がマークしていたように、他の同卓者も当然マークしていたのだろう。

結果的に、全体で締め付ける事に成功したのかもしれない。しかし4回戦では親倍をツモ等、他にも見事な打ち回しで貫禄のトップ。▲80.5まで戻し、順位は1つ下げたがトータル3位で落ち着いた。

今回の対局は全体的に打点が高く、皆、勝負手をモノにしていた印象である。信念込めて育てた勝負手をぶつけてアガリきる。このレベルの対局は非常に楽しい。さぁ残り2節、混戦状態から抜け出し決勝の舞台に立てるのは4名のみ。最後のオーラスまで目が離せない勝負を期待したい。

第9節組み合わせ予定
A卓(大和田×西原×小車×藤原)
B卓(新谷×中尾×青木×浜上)
C卓(柴田×福田×塚本×小川×安東)
(組み合わせは都合により変更になることもあります)

Aリーグ

順位 名前 1節 2節 3節 4節 5節 6節 7節 8節 9節 10節 合計
1 大和田 篤史 40.3 27.3 ▲ 14.1 37.6 58.4 50.4 11.1 ▲ 47.5 163.5
2 新谷 翔平 ▲ 30.9 62.8 62.0 59.6 ▲ 27.8 ▲ 34.1 ▲ 59.8 100.2 132.0
3 西原 亨 1.8 39.7 71.4 61.2 ▲ 52.9 ▲ 15.5 88.2 ▲ 80.5 113.4
4 中尾 多門 16.7 81.1 ▲ 51.8 ▲ 7.0 41.0 55.1 ▲ 21.6 ▲ 22.9 90.6
5 小車 祥 ▲ 2.5 18.1 2.2 ▲ 46.7 56.6 39.1 ▲ 18.0 37.9 86.7
6 青木 胤道 35.8 4.6 21.9 ▲ 5.3 ▲ 35.8 ▲ 20.4 21.2 32.5 54.5
7 藤原 英司 ▲ 2.7 13.6 19.2 ▲ 13.6 50.1 ▲ 32.7 3.3 8.3 45.5
8 浜上 文吾 31.6 ▲ 8.8 3.3 ▲ 26.5 ▲ 13.4 ▲ 7.0 ▲ 3.8 24.8 0.2
9 柴田 祐一朗 ▲ 18.0 ▲ 36.3 61.5 ▲ 14.3 46.5 9.7 ▲ 2.6 ▲ 74.6 ▲ 28.1
10 福田 正道 ▲ 38.1 ▲ 66.9 ▲ 37.5 13.8 10.3 4.7 ▲ 65.8 32.7 ▲ 146.8
11 塚本 将之 15.6 ▲ 81.0 ▲ 67.5 ▲ 83.6 ▲ 50.2 0.7 76.9 12.7 ▲ 176.4
12 小川 善章 ▲ 6.7 ▲ 33.3 ▲ 5.3 26.0 ▲ 59.3 ▲ 40.3 ▲ 86.4 ▲ 2.7 ▲ 208.0
13 安東 裕允 ▲ 63.9 ▲ 21.9 ▲ 85.3 ▲ 2.2 ▲ 23.5 ▲ 11.7 17.3 ▲ 22.9 ▲ 214.1

決勝進出者 4名   降級者 2名
決勝進出&降級ライン:順位枠内に表示

 

Bリーグレポート:古本和宏

A卓(安永×山本×藤井×矢野)
B卓(服部×陣野×古本×川崎)
C卓(伊東×相本×鶴×石原×宮崎)
D卓(下山×福田×弘中×菊池×氷室)

今回、レポート担当させていただく事になりました、29期古本和宏です。
文章の拙さは九州でもトップクラスの私ですが、最後までお付き合いいただければと思います。
よろしくお願いします。

さて、中盤を迎えた九州後期Bリーグ。Aリーグ昇級や上位入賞を目指し、それぞれが思い描く、理想となるシナリオの軌道に乗せるためにも重要な1節となる。

現在首位の私は、Aリーグ昇級はもちろんだが今後に繋がるような麻雀を打とうと心に誓い卓に着いた。
今節の対局者は、川崎プロ・服部プロ・陣野プロ。

1回戦、服部が二索度アガってリードを広げる。そんな中、私は今回しっかりと手役を作って勝負しようと決め、服部に対抗する。

親の服部のリーチを受け、このテンパイを入れる

二索二索三索三索四索四索東南南西白中中  ツモ西  ドラ南

東待ちも白待ちもどちらも残り1枚。
ここで、打白として東待ちにするも、すぐに白をツモり、アガリを逃してしまう。
そしてツモ南。アガリ逃しの代償は大きかった。

シャンポン待ちに受けられるが、共に2枚切れのためツモ切ると服部の南単騎に放銃となり、7,700の失点。
このまま服部の1人浮きで終わる。

2回戦、ここも服部の勢いが止まらない。東場でまたもリードを奪われ3者苦しい展開に。
そんな中、私もまた大物手で対抗する。

一筒一筒四筒四筒九筒九筒東東西西北白発  ツモ白

どちらも1枚切れの北発だが、三元牌である分ロンアガリしにくいと思い、打発とし北待ち。
これがまたも痛恨のミスで、2巡後のツモが発でアガリ逃しをしてしまう。

そしてオーラス、親は服部。
今度はこちらの番と言わんばかりに12,000や6,000オールをアガリ続け、またも服部の1人浮きで終わる。

3回戦、今まで静かだった陣野が、門前で清一色・ピンフをツモアガリ、今度は陣野が1人浮きのトップを掴み取る。

4回戦、3回戦の勢いから陣野が大きくリードを奪い逃げ切りを図る中、アガリ逃しを続けた私にも手が入る。
親が仕掛けた直後にリーチ!

六万七万八万二索二索六索七索八索六筒八筒白白白

これを七筒でロンアガリし、迎えた南1局の親番の配牌が下の牌姿。

二万九万二索五筒六筒六筒東東南南発発中中

これをしっかりまとめて、

六筒六筒六筒南南南発発中中  ポン東東東  ロン発

この24,000のアガリで一気に浮上する。
このまま逃げ切りたかったが、オーラスに陣野が8,000をアガリ、再逆転され終局。

今節は4・2・4・2で▲22.8Pとなり、総合2位に落ちてしまった。
悔しかったが、服部や陣野の押し引きのハッキリした麻雀を思い返せば、負けて当然だと深く反省・・・。
次節以降に繋がるようしっかり稽古に励みたいと思う。

時間の都合上、他の卓の観戦が叶わなかったが、9位の菊池が大爆発!
+96.5Pを叩き、トータル+105.7Pで首位となった。
また、上位にいた藤井・宮崎・弘中もしっかりと加点した為、
1位~6位までが約28P差という大混戦の展開となった。

後期も残り2節。昇級2枠を争う熾烈なBリーグの戦いに今後も注目していただきたい!

Bリーグ

順位 名前 プロ/アマ 1節 2節 3節 4節 5節 合計
1 菊池 豪 プロ 84.8 ▲ 75.6 96.5 105.7
2 古本 和宏 プロ 86.2 41.8 ▲ 22.8 105.2
3 藤井 崇勝 アマ 60.4 23.1 21.6 105.1
4 宮崎 皓之介 プロ 49.9 33.2 18.6 101.7
5 弘中 栄司 テスト生 15.0 44.5 36.6 96.1
6 服部 学 プロ 25.2 8.5 44.2 77.9
7 下山 哲也 プロ 54.9 1.9 ▲ 52.6 4.2
8 相本 長武 アマ 9.7 ▲ 22.9 14.3 1.1
9 鶴 浩昭 プロ ▲ 45.7 60.6 ▲ 21.1 ▲ 6.2
10 藤岡 治之 プロ 19.8 73.0 ▲ 100.0 ▲ 7.2
11 石原 忠道 アマ ▲ 8.6 ▲ 34.6 9.1 ▲ 34.1
12 矢野 拓郎 プロ ▲ 60.9 30.5 ▲ 13.3 ▲ 43.7
13 陣野 良貴 プロ ▲ 39.0 ▲ 35.5 25.9 ▲ 48.6
14 福田 譲二 プロ ▲ 59.3 ▲ 30.6 5.6 ▲ 84.3
15 氷室 哀華 プロ ▲ 29.4 7.3 ▲ 86.1 ▲ 108.2
16 川崎 行広 プロ ▲ 100.0 21.5 ▲ 48.3 ▲ 126.8
17 山本 江利香 プロ ▲ 26.3 ▲ 108.1 ▲ 3.7 ▲ 138.1
18 安永 敏郎 アマ ▲ 79.9 ▲ 59.6 ▲ 25.6 ▲ 165.1
19 伊東 宏倫 プロ ▲ 59.8 ▲ 100.0 ▲ 20.9 ▲ 180.7

昇級者 2名   降級者 5名
昇級&降級ライン:順位枠内に表示
前期成績はこちら

 

Cリーグレポート:榎田賢二郎

A卓(濱田×柴田×高野×河野まや)
B卓(福嶋×北島×河野みのり×西川)
C卓(樋口×水町×大渕×友保)
D卓(藤瀬×進×永井×高末)
E卓(松本×松尾×久保×公文)
F卓(榎田×山本×吉田×佐藤×馬場)

Cリーグのレポートを担当します榎田賢二郎です。よろしくお願いします。
今節、どうしても注目してしまうのはテスト生の吉田である。
私は前節も彼女と同卓しており、彼女の打ち筋に興味を持っていた。
というのも、局の序盤に少考する場面を何度となく目にしていたからだ。
私はそれを「手役を両天秤に掛けていた手牌の分岐点であり、どちらかを見切る為の少孝」ではないかと推察していた。

そういった理由もあって、1回戦は抜け番であった私は吉田と、同じくテスト生の馬場の間に立って観戦していた。

東2局に、山本が3,900オールをツモり、好調な滑り出しを見せた。
対して吉田さんは思うように牌が来ず、悩ましい牌姿になる。

一万三万一索三索五索七索八索八索一筒二筒六筒六筒七筒  ツモ三万  ドラ北

ここで吉田さんは三万をツモ切りする。私ならば六筒切りだろうか。
123の三色はもちろんのこと遠くにソーズの一気通貫を見ている。
六筒切りでも三色になれば八索が、一気通貫になれば三万が雀頭となるので困ることはないと考えるからだ。

次のツモは四万。吉田さんは手広さを優先し一万を切る。さらにその次のツモで二万が入る。

二万三万四万一索三索五索七索八索八索一筒二筒六筒六筒七筒

嬉しいツモであるはずだが、一万を切ったばかりなので裏目を引いたかのような心境だっただろう。
ここで少考に入る。やはり私の推察通りここで両天秤に掛けていた三色を見切り、一筒二筒の塔子落としをするかと思ったのだが、彼女の選択は八索であった。

二万三万四万一索三索五索七索八索一筒二筒六筒六筒七筒

こうしておくと、ソーズの一気通貫はもちろんのこと、一万を引き戻した場合は三色が復活する。
私の推察はズレていた。彼女の少考は手役を見切る少考ではなく、両天秤を継続しまだ可能性を見据える為の少考だったのだ。あの時に六筒を切っていたならば、

二万三万四万一索三索五索七索八索八索一筒二筒六筒七筒

こうなり、このあとにソーズが伸びても雀頭候補がなくなってしまう。
飽くなき手役追及派の彼女の後ろから観戦すれば、感心させられることが多いだろう。
しかし、迷う牌姿になることは麻雀では本調子ではないということだろう。

吉田と同じく佐藤も牌の巡りが良くないのか、なかなか勝負の場に立てない。
そういった時は、人知れず大物手が入ってはいるのだが間に合わず、牌を流すことになり、本当に人知れないままになってしまうということが多いように思う。
しかし、周りは間に合わせてしまった時が恐怖だ。

三索局、親番で大物手をテンパイしていた佐藤はヤミを選択する。

七万七万八万八万九万七索八索九索九索九索一筒二筒三筒  ドラ八万

吉田が六万を切るがそれは見逃す。しかし山本が同巡に九万を切る。これはルール上、アガれない。
さらにその巡目に自分で六万をツモってしまう。
泣く泣く2,600オールで手牌を開く。表情は無表情だったが、悔しくない訳はないだろう。

Cリーグは今節でめまぐるしく順位が入れ替わったのではないだろうか。
私もなんとかトータルポイントがプラスになったので、残りの2節で力を出しきりたい。

Cリーグ

順位 名前 プロ/アマ 1節 2節 3節 4節 5節 合計
1 松本 路也 アマ 55.7 ▲ 27.1 109.6 138.2
2 進 栄二 プロ 14.4 29.5 34.3 78.2
3 吉田 彩乃 テスト生 43.9 38.7 ▲ 8.8 73.8
4 樋口 徹 プロ 23.6 29.1 12.7 65.4
5 福嶋 千春 テスト生 ▲ 23.3 28.4 56.9 62.0
6 柴田 祐輔 テスト生 14.3 1.2 46.0 61.5
7 佐藤 健治 プロ 50.9 ▲ 15.0 ▲ 0.9 35.0
8 松尾 樹宏 プロ ▲ 36.9 94.5 ▲ 23.3 34.3
9 西川 舞 プロ 40.2 10.5 ▲ 24.5 26.2
10 高野 翔太 テスト生 ▲ 54.5 109.6 ▲ 39.9 15.2
11 榎田 賢二郎 プロ ▲ 28.1 20.8 12.0 4.7
12 水町 慎一 プロ 0.0 ▲ 31.7 36.1 4.4
13 馬場 貴洋 テスト生 ▲ 44.4 ▲ 12.9 60.9 3.6
14 濱田 貴幸 アマ ▲ 35.0 8.7 26.9 0.6
15 大渕 俊介 テスト生 ▲ 10.8 23.7 ▲ 27.8 ▲ 14.9
16 藤瀬 恒介 アマ 3.6 ▲ 39.2 3.9 ▲ 31.7
17 永井 勝晴 テスト生 24.6 ▲ 28.0 ▲ 28.9 ▲ 32.3
18 北島 勇輝 プロ ▲ 22.1 ▲ 12.5 ▲ 5.9 ▲ 40.5
19 公文 寛明 アマ ▲ 54.3 ▲ 6.2 ▲ 1.0 ▲ 61.5
20 久保 真輝 アマ ▲ 12.4 4.1 ▲ 85.3 ▲ 93.6
21 河野 まや テスト生 ▲ 15.0 ▲ 54.2 ▲ 33.0 ▲ 102.2
22 高末 丈永 アマ ▲ 17.4 ▲ 79.2 ▲ 10.3 ▲ 106.9
23 友保 美香里 プロ ▲ 25.5 ▲ 67.9 ▲ 21.0 ▲ 114.4
24 河野 みのり プロ 4.9 ▲ 100.0 ▲ 26.5 ▲ 121.6
25 田中 悠紀夫 テスト生 ▲ 38.0 ▲ 16.9 ▲ 100.0 ▲ 154.9
26 山本 秋桜里 プロ ▲ 10.4 ▲ 100.0 ▲ 63.2 ▲ 173.6

昇級者 6名
昇級&降級ライン:順位枠内に表示
前期成績はこちら

九州プロリーグ レポート/第14期九州プロリーグ A・B・Cリーグ 第8節レポート

Aリーグレポート:藤原英司
A卓(青木×中尾×大和田×小車)
B卓(小川×柴田×新谷×安東)
C卓(塚本×福田×藤原×西原×浜上)
秋も一段と深まり、陽だまりの恋しい季節となりました。皆様はお変わりなくお過ごしでしょうか。
今回Aリーグのレポートを担当する事になりました、現皇帝位の藤原英司と申します。
最後までお付き合いくださいませ。
前回の浜上がそうであったように、ディフェンディングチャンピオンとして決勝の舞台に立ちたい、迎え撃つ立場でありたい、その為にも今回少しでも加点しておきたいと挑んだ第8節。
ちなみに私、現皇帝位でもあります。大事なことですので2回触れておきました。宜しくお願いします。
さて、第8節と言えばいよいよ終盤!と感じられる方もいるでしょうが、1半荘で例えるならば南2局。
まだまだ勝負はわからないと言った状況ではないでしょうか。
3位~9位まで混戦している現在のAリーグですが、後がない終盤ととらえる者、まだ南2局ととらえる者とでは今節の戦い方も変わってくるでしょう。
まずはA卓。
現在首位の大和田、3位・中尾、4位・小車、8位・青木の組み合わせ。
現在6位の私は、小車と中尾に注目した。
3回戦、青木の起親でスタート、大和田、中尾、小車の座順で中尾、小車の間で観戦することにした。
小車の手牌がこの日は縦に良く伸びている印象を受けた。こういった手牌の伸びには技術以外にもセンスも必要になってくる。必然と狙う役はトイトイや七対子などになっていたのだが、なかなかアガリには結びつかずにいた。
小車がドラの中を使った七対子のテンパイ。
一万一万二万三万三万四万四万九索九索八索八索中中  ドラ中
上家で親の中尾が、
五索五索八索八索一筒二筒三筒  ポン東東東  ポン西西西
この仕掛け。
2フーロした中尾の必要としていない二万単騎でのヤミテンだったのだが、この局を制したのは大和田だった。
六索六索六索六筒六筒南南南中中  ポン北北北  ロン六筒
8,000は8,900の中尾からのロンアガリ。
この大和田という男、Aリーグに上がってきてまだ4位以下に順位を落とした事がない。
周りが順位の変動をしている中、1節目から決勝の枠内で安定した麻雀をしている。
今回ゆっくりと観戦こそしてないが、アガリやテンパイ形で開かれる手牌にはしばし釘付けになる。
もちろん良い意味で、だ。
しかし、この日の大和田はこれまでの安定した麻雀とは一変し、3回のラスを押し付けられ今期、自身一番のマイナスを叩いた。それでも首位は変わらず、まだ頭1つ抜けていると言ったところだ。
卓内トップだった小車は、順位こそ落ちたが、残り2節で十分トップも狙える程点差を縮めた。
続いてB卓では、5位・柴田、7位・新谷、12位・安東、13位・小川の組み合わせ。
ここでは、降級に一番近い安東、小川に注目してみた。
今期、小川は4節でプラスを取っただけで、後は全てマイナスである。
特に5節からの崩れっぷりは「らしくない」の一言である。
普段、プライベートでもよく対局をする間柄なので、彼のらしくない不調に負けず踏ん張って欲しいと思う。
3回戦、新谷の起親でスタート、柴田、安東、小川の座順、安東、小川の間で観戦をすることにした。
南1局、小川にこのテンパイが入る。
一万一万二万二万八万八万二索二索四索四索一筒白白 ドラ西
一筒 は河に1枚、新谷が1巡目に切っている。親の現物を抱え、ドラの西でも持ってきたらと言うところだろう。
中盤、西家の安東がドラの西をスッと河に置く。見ればタンピン系のリャンシャンテンの手牌である。
西に重なりやアガリがないと判断したのか、ここらが放し時と決めたのだろう。ドラの西はなんの音沙汰もなく河に放たれた。そして他の誰もドラの合わせ打ちをしない。
すでに中盤である。小川にテンパイが入っているように、他家も手牌が整っていよう。当然、字牌のドラは数牌と違い、使い切るなら重ねるしかない。手牌に絡まないならば切り時を見誤ってはいけない。使いにくいドラを処理するならば安東が切った巡目に合わせるのが普通であろう。そうしない、そうなっていないのならば、残りが山にあると考えるよりも、誰かが使っていると考える方が自然だ。
観戦しながらドラの所在を想像していると、小川が切った七筒に新谷が「ロン、12,000」開かれた手にはドラが2枚あった。巡目が巡目だけに、とりあえず警戒をしていれば押す七筒じゃなかったように思う。
そのアガリで元気を得たのか新谷が続く1本場、九索切りリーチ。
小川が宣言牌の九索をポンして下記のテンパイを入れる。
一索一索二索三索四索六索七索八索中中  ポン九索九索九索  ドラ七筒
親のリーチに、前にでて行くが軍配は新谷に上がる。
二索三索四索四索五索五索五索八索八索八索西西西  ツモ四索  ドラ七筒
6,000オールのアガリである。
この日の新谷は、+100.2Pと1人浮きのトップをもぎ取り、順位も2位まで浮上した。
最後にC卓。2位・西原、6位・藤原、9位・浜上、10位・福田、11位・塚本の5人打ち。
今期は、西原とは2回目の対戦となった。去年もそうだったのだが、西原は大きく崩れることはなく手強い。
安定してポイントも持っている感じだ。当然マークする存在である。
強さの原因として私なりに考えてみた。おそらく自然体なのかなと、誰よりも自分の麻雀を打てているし、信じているのではないかと。「いつも勝っている麻雀のスタイルを、そのまま実行して勝っているんだよ」とか言われそうだ。
なので、今回はポイントの近い浜上をケアしつつ、西原にのびのびと麻雀はさせない事をテーマにしてみよう。そんなに上手く行くとは思わないが、西原が自分の麻雀を曲げてくれるようプレッシャーをかけれたらな、と考えて対局に挑んだ。
冒頭で触れた第8節をどう捉えるかについて少し話しを戻すが、今の私の状況ならば南2局くらいに思う。
それもオーラスに親を残した。可能性は無限だと信じたい。
1回戦、東場の親で軽くアガれた後の1本場。割と早い巡目にドラ暗刻のタンヤオを浜上からアガり、11,600は11,900。マークしている浜上からの直取りとなったが、実はこのアガリは紙一重で、2巡も前から浜上は国士無双のテンパイをしていた。河に2枚切れの白待ちなのだが、タンヤオドラ3の五筒八筒待ちのテンパイから白は止め切れる自信はない。
続く2本場、
一万二万三万一索二索五索六索七索一筒二筒三筒四筒四筒  リーチ  ツモ三索
これをアガリ、「3,900は4,100オール」
その後もツモに恵まれ、南入するころには60,000点を超えており1回戦目はトップを取ることができた。
2回戦目は浜上の大物手が成就する。
一万一万一万七万七万七万八万八万八万七索七索九索九索  リーチ  ツモ七索
リーチ後、一発でツモの四暗刻である。
16,000点の支払いをしたのは私であり痛い失点なのだが、浜上の強さに思わずニヤけてしまう。
南場の親番の頃には9,000点台の4着目、いいとこ無しの2回戦だったが、親番を活かす事ができ、原点復帰の2着で終えることができた。
3回戦目は抜け番、4回戦目は1人沈みの4着となり1回戦目で得たプラスもほとんどが削られる事となった。5回戦目は原点を割った3着で、トータル+8.3Pのプラスで終了したものの順位は少し下がり7位となった。
注目していた西原はというと、3回戦を終わって3連続4着の絶不調。ポイントも▲102.3Pもはき出していた。本人もビックリの成績だっただろう。私がマークしていたように、他の同卓者も当然マークしていたのだろう。
結果的に、全体で締め付ける事に成功したのかもしれない。しかし4回戦では親倍をツモ等、他にも見事な打ち回しで貫禄のトップ。▲80.5まで戻し、順位は1つ下げたがトータル3位で落ち着いた。
今回の対局は全体的に打点が高く、皆、勝負手をモノにしていた印象である。信念込めて育てた勝負手をぶつけてアガリきる。このレベルの対局は非常に楽しい。さぁ残り2節、混戦状態から抜け出し決勝の舞台に立てるのは4名のみ。最後のオーラスまで目が離せない勝負を期待したい。
第9節組み合わせ予定
A卓(大和田×西原×小車×藤原)
B卓(新谷×中尾×青木×浜上)
C卓(柴田×福田×塚本×小川×安東)
(組み合わせは都合により変更になることもあります)
Aリーグ

順位 名前 1節 2節 3節 4節 5節 6節 7節 8節 9節 10節 合計
1 大和田 篤史 40.3 27.3 ▲ 14.1 37.6 58.4 50.4 11.1 ▲ 47.5 163.5
2 新谷 翔平 ▲ 30.9 62.8 62.0 59.6 ▲ 27.8 ▲ 34.1 ▲ 59.8 100.2 132.0
3 西原 亨 1.8 39.7 71.4 61.2 ▲ 52.9 ▲ 15.5 88.2 ▲ 80.5 113.4
4 中尾 多門 16.7 81.1 ▲ 51.8 ▲ 7.0 41.0 55.1 ▲ 21.6 ▲ 22.9 90.6
5 小車 祥 ▲ 2.5 18.1 2.2 ▲ 46.7 56.6 39.1 ▲ 18.0 37.9 86.7
6 青木 胤道 35.8 4.6 21.9 ▲ 5.3 ▲ 35.8 ▲ 20.4 21.2 32.5 54.5
7 藤原 英司 ▲ 2.7 13.6 19.2 ▲ 13.6 50.1 ▲ 32.7 3.3 8.3 45.5
8 浜上 文吾 31.6 ▲ 8.8 3.3 ▲ 26.5 ▲ 13.4 ▲ 7.0 ▲ 3.8 24.8 0.2
9 柴田 祐一朗 ▲ 18.0 ▲ 36.3 61.5 ▲ 14.3 46.5 9.7 ▲ 2.6 ▲ 74.6 ▲ 28.1
10 福田 正道 ▲ 38.1 ▲ 66.9 ▲ 37.5 13.8 10.3 4.7 ▲ 65.8 32.7 ▲ 146.8
11 塚本 将之 15.6 ▲ 81.0 ▲ 67.5 ▲ 83.6 ▲ 50.2 0.7 76.9 12.7 ▲ 176.4
12 小川 善章 ▲ 6.7 ▲ 33.3 ▲ 5.3 26.0 ▲ 59.3 ▲ 40.3 ▲ 86.4 ▲ 2.7 ▲ 208.0
13 安東 裕允 ▲ 63.9 ▲ 21.9 ▲ 85.3 ▲ 2.2 ▲ 23.5 ▲ 11.7 17.3 ▲ 22.9 ▲ 214.1

決勝進出者 4名   降級者 2名
決勝進出&降級ライン:順位枠内に表示
 
Bリーグレポート:古本和宏
A卓(安永×山本×藤井×矢野)
B卓(服部×陣野×古本×川崎)
C卓(伊東×相本×鶴×石原×宮崎)
D卓(下山×福田×弘中×菊池×氷室)
今回、レポート担当させていただく事になりました、29期古本和宏です。
文章の拙さは九州でもトップクラスの私ですが、最後までお付き合いいただければと思います。
よろしくお願いします。
さて、中盤を迎えた九州後期Bリーグ。Aリーグ昇級や上位入賞を目指し、それぞれが思い描く、理想となるシナリオの軌道に乗せるためにも重要な1節となる。
現在首位の私は、Aリーグ昇級はもちろんだが今後に繋がるような麻雀を打とうと心に誓い卓に着いた。
今節の対局者は、川崎プロ・服部プロ・陣野プロ。
1回戦、服部が二索度アガってリードを広げる。そんな中、私は今回しっかりと手役を作って勝負しようと決め、服部に対抗する。
親の服部のリーチを受け、このテンパイを入れる
二索二索三索三索四索四索東南南西白中中  ツモ西  ドラ南
東待ちも白待ちもどちらも残り1枚。
ここで、打白として東待ちにするも、すぐに白をツモり、アガリを逃してしまう。
そしてツモ南。アガリ逃しの代償は大きかった。
シャンポン待ちに受けられるが、共に2枚切れのためツモ切ると服部の南単騎に放銃となり、7,700の失点。
このまま服部の1人浮きで終わる。
2回戦、ここも服部の勢いが止まらない。東場でまたもリードを奪われ3者苦しい展開に。
そんな中、私もまた大物手で対抗する。
一筒一筒四筒四筒九筒九筒東東西西北白発  ツモ白
どちらも1枚切れの北発だが、三元牌である分ロンアガリしにくいと思い、打発とし北待ち。
これがまたも痛恨のミスで、2巡後のツモが発でアガリ逃しをしてしまう。
そしてオーラス、親は服部。
今度はこちらの番と言わんばかりに12,000や6,000オールをアガリ続け、またも服部の1人浮きで終わる。
3回戦、今まで静かだった陣野が、門前で清一色・ピンフをツモアガリ、今度は陣野が1人浮きのトップを掴み取る。
4回戦、3回戦の勢いから陣野が大きくリードを奪い逃げ切りを図る中、アガリ逃しを続けた私にも手が入る。
親が仕掛けた直後にリーチ!
六万七万八万二索二索六索七索八索六筒八筒白白白
これを七筒でロンアガリし、迎えた南1局の親番の配牌が下の牌姿。
二万九万二索五筒六筒六筒東東南南発発中中
これをしっかりまとめて、
六筒六筒六筒南南南発発中中  ポン東東東  ロン発
この24,000のアガリで一気に浮上する。
このまま逃げ切りたかったが、オーラスに陣野が8,000をアガリ、再逆転され終局。
今節は4・2・4・2で▲22.8Pとなり、総合2位に落ちてしまった。
悔しかったが、服部や陣野の押し引きのハッキリした麻雀を思い返せば、負けて当然だと深く反省・・・。
次節以降に繋がるようしっかり稽古に励みたいと思う。
時間の都合上、他の卓の観戦が叶わなかったが、9位の菊池が大爆発!
+96.5Pを叩き、トータル+105.7Pで首位となった。
また、上位にいた藤井・宮崎・弘中もしっかりと加点した為、
1位~6位までが約28P差という大混戦の展開となった。
後期も残り2節。昇級2枠を争う熾烈なBリーグの戦いに今後も注目していただきたい!
Bリーグ

順位 名前 プロ/アマ 1節 2節 3節 4節 5節 合計
1 菊池 豪 プロ 84.8 ▲ 75.6 96.5 105.7
2 古本 和宏 プロ 86.2 41.8 ▲ 22.8 105.2
3 藤井 崇勝 アマ 60.4 23.1 21.6 105.1
4 宮崎 皓之介 プロ 49.9 33.2 18.6 101.7
5 弘中 栄司 テスト生 15.0 44.5 36.6 96.1
6 服部 学 プロ 25.2 8.5 44.2 77.9
7 下山 哲也 プロ 54.9 1.9 ▲ 52.6 4.2
8 相本 長武 アマ 9.7 ▲ 22.9 14.3 1.1
9 鶴 浩昭 プロ ▲ 45.7 60.6 ▲ 21.1 ▲ 6.2
10 藤岡 治之 プロ 19.8 73.0 ▲ 100.0 ▲ 7.2
11 石原 忠道 アマ ▲ 8.6 ▲ 34.6 9.1 ▲ 34.1
12 矢野 拓郎 プロ ▲ 60.9 30.5 ▲ 13.3 ▲ 43.7
13 陣野 良貴 プロ ▲ 39.0 ▲ 35.5 25.9 ▲ 48.6
14 福田 譲二 プロ ▲ 59.3 ▲ 30.6 5.6 ▲ 84.3
15 氷室 哀華 プロ ▲ 29.4 7.3 ▲ 86.1 ▲ 108.2
16 川崎 行広 プロ ▲ 100.0 21.5 ▲ 48.3 ▲ 126.8
17 山本 江利香 プロ ▲ 26.3 ▲ 108.1 ▲ 3.7 ▲ 138.1
18 安永 敏郎 アマ ▲ 79.9 ▲ 59.6 ▲ 25.6 ▲ 165.1
19 伊東 宏倫 プロ ▲ 59.8 ▲ 100.0 ▲ 20.9 ▲ 180.7

昇級者 2名   降級者 5名
昇級&降級ライン:順位枠内に表示
前期成績はこちら
 
Cリーグレポート:榎田賢二郎
A卓(濱田×柴田×高野×河野まや)
B卓(福嶋×北島×河野みのり×西川)
C卓(樋口×水町×大渕×友保)
D卓(藤瀬×進×永井×高末)
E卓(松本×松尾×久保×公文)
F卓(榎田×山本×吉田×佐藤×馬場)
Cリーグのレポートを担当します榎田賢二郎です。よろしくお願いします。
今節、どうしても注目してしまうのはテスト生の吉田である。
私は前節も彼女と同卓しており、彼女の打ち筋に興味を持っていた。
というのも、局の序盤に少考する場面を何度となく目にしていたからだ。
私はそれを「手役を両天秤に掛けていた手牌の分岐点であり、どちらかを見切る為の少孝」ではないかと推察していた。
そういった理由もあって、1回戦は抜け番であった私は吉田と、同じくテスト生の馬場の間に立って観戦していた。
東2局に、山本が3,900オールをツモり、好調な滑り出しを見せた。
対して吉田さんは思うように牌が来ず、悩ましい牌姿になる。
一万三万一索三索五索七索八索八索一筒二筒六筒六筒七筒  ツモ三万  ドラ北
ここで吉田さんは三万をツモ切りする。私ならば六筒切りだろうか。
123の三色はもちろんのこと遠くにソーズの一気通貫を見ている。
六筒切りでも三色になれば八索が、一気通貫になれば三万が雀頭となるので困ることはないと考えるからだ。
次のツモは四万。吉田さんは手広さを優先し一万を切る。さらにその次のツモで二万が入る。
二万三万四万一索三索五索七索八索八索一筒二筒六筒六筒七筒
嬉しいツモであるはずだが、一万を切ったばかりなので裏目を引いたかのような心境だっただろう。
ここで少考に入る。やはり私の推察通りここで両天秤に掛けていた三色を見切り、一筒二筒の塔子落としをするかと思ったのだが、彼女の選択は八索であった。
二万三万四万一索三索五索七索八索一筒二筒六筒六筒七筒
こうしておくと、ソーズの一気通貫はもちろんのこと、一万を引き戻した場合は三色が復活する。
私の推察はズレていた。彼女の少考は手役を見切る少考ではなく、両天秤を継続しまだ可能性を見据える為の少考だったのだ。あの時に六筒を切っていたならば、
二万三万四万一索三索五索七索八索八索一筒二筒六筒七筒
こうなり、このあとにソーズが伸びても雀頭候補がなくなってしまう。
飽くなき手役追及派の彼女の後ろから観戦すれば、感心させられることが多いだろう。
しかし、迷う牌姿になることは麻雀では本調子ではないということだろう。
吉田と同じく佐藤も牌の巡りが良くないのか、なかなか勝負の場に立てない。
そういった時は、人知れず大物手が入ってはいるのだが間に合わず、牌を流すことになり、本当に人知れないままになってしまうということが多いように思う。
しかし、周りは間に合わせてしまった時が恐怖だ。
三索局、親番で大物手をテンパイしていた佐藤はヤミを選択する。
七万七万八万八万九万七索八索九索九索九索一筒二筒三筒  ドラ八万
吉田が六万を切るがそれは見逃す。しかし山本が同巡に九万を切る。これはルール上、アガれない。
さらにその巡目に自分で六万をツモってしまう。
泣く泣く2,600オールで手牌を開く。表情は無表情だったが、悔しくない訳はないだろう。
Cリーグは今節でめまぐるしく順位が入れ替わったのではないだろうか。
私もなんとかトータルポイントがプラスになったので、残りの2節で力を出しきりたい。
Cリーグ

順位 名前 プロ/アマ 1節 2節 3節 4節 5節 合計
1 松本 路也 アマ 55.7 ▲ 27.1 109.6 138.2
2 進 栄二 プロ 14.4 29.5 34.3 78.2
3 吉田 彩乃 テスト生 43.9 38.7 ▲ 8.8 73.8
4 樋口 徹 プロ 23.6 29.1 12.7 65.4
5 福嶋 千春 テスト生 ▲ 23.3 28.4 56.9 62.0
6 柴田 祐輔 テスト生 14.3 1.2 46.0 61.5
7 佐藤 健治 プロ 50.9 ▲ 15.0 ▲ 0.9 35.0
8 松尾 樹宏 プロ ▲ 36.9 94.5 ▲ 23.3 34.3
9 西川 舞 プロ 40.2 10.5 ▲ 24.5 26.2
10 高野 翔太 テスト生 ▲ 54.5 109.6 ▲ 39.9 15.2
11 榎田 賢二郎 プロ ▲ 28.1 20.8 12.0 4.7
12 水町 慎一 プロ 0.0 ▲ 31.7 36.1 4.4
13 馬場 貴洋 テスト生 ▲ 44.4 ▲ 12.9 60.9 3.6
14 濱田 貴幸 アマ ▲ 35.0 8.7 26.9 0.6
15 大渕 俊介 テスト生 ▲ 10.8 23.7 ▲ 27.8 ▲ 14.9
16 藤瀬 恒介 アマ 3.6 ▲ 39.2 3.9 ▲ 31.7
17 永井 勝晴 テスト生 24.6 ▲ 28.0 ▲ 28.9 ▲ 32.3
18 北島 勇輝 プロ ▲ 22.1 ▲ 12.5 ▲ 5.9 ▲ 40.5
19 公文 寛明 アマ ▲ 54.3 ▲ 6.2 ▲ 1.0 ▲ 61.5
20 久保 真輝 アマ ▲ 12.4 4.1 ▲ 85.3 ▲ 93.6
21 河野 まや テスト生 ▲ 15.0 ▲ 54.2 ▲ 33.0 ▲ 102.2
22 高末 丈永 アマ ▲ 17.4 ▲ 79.2 ▲ 10.3 ▲ 106.9
23 友保 美香里 プロ ▲ 25.5 ▲ 67.9 ▲ 21.0 ▲ 114.4
24 河野 みのり プロ 4.9 ▲ 100.0 ▲ 26.5 ▲ 121.6
25 田中 悠紀夫 テスト生 ▲ 38.0 ▲ 16.9 ▲ 100.0 ▲ 154.9
26 山本 秋桜里 プロ ▲ 10.4 ▲ 100.0 ▲ 63.2 ▲ 173.6

昇級者 6名
昇級&降級ライン:順位枠内に表示
前期成績はこちら

第30期十段戦 観戦記(前半)

※第30期十段戦8回戦において堀内正人プロの競技内容に悪質な三味線行為があり、
日本プロ麻雀連盟内規に基づく厳正な審議の結果、堀内正人プロを失格処分とし、
7回戦から再度執り行うこととなりました。

失格処分についてのご説明はこちら

 

 

鳳凰戦と並び、プロ連盟の象徴ともいえる2大タイトルの1つである十段戦。

共に連盟が創立し間もない頃に設立され、今期で第30期を迎えた。

連名員なら、誰もが一度は手にしたいと願うこの2つタイトルを独占しているのが、
現チャンピォンのこの男である。

瀬戸熊直樹八段

10dan30
瀬戸熊直樹プロ

14期生 1970年8月27日生まれ(43歳)O型
28期29期優勝。(4年連続5回目の決勝)
4年前の春、初めて鳳凰位の座に着くやいなや、めきめき頭角を現し連覇を果たす。
一度は荒に奪われるも、今春すぐに奪還。2年前に初載冠したこの十段位は、今回3連覇がかかる防衛戦となる。年齢的にも円熟期にさしかかり「絶対王者」「瀬戸熊時代の到来」などの声も聞こえてくる。
若手に慕われ、上からの信頼も厚く、今や団体のいや業界のエースに上りつめた感さえある。
頂点に立っても奢ること無く、更なる進化を求めて日々精進する姿は後輩達の素晴らしきお手本。
今回の優勝者予想では、当然のように瀬戸熊推しが大多数だったが、打倒瀬戸熊に燃える挑戦者達を相手に、
また一段階スキルアップした勝利を見せてくれるのか?

 

今回の挑戦者達は以下の4名。

小島武夫九段

10dan30
小島武夫プロ

1期生 1936年2月11日生まれ(77歳)O型
(9年ぶり8回目の決勝)
今更ここで詳しく紹介しなくても、皆さんご存知「ミスター麻雀」日本プロ麻雀連盟最高顧問の小島先生である。十段戦は第1期から出場しているが、今回はひさしぶりの決勝。
初優勝への意欲は少なくなかろうと思うし、実力と実績は間違いなく優勝候補の1人なのだが、懸念されるのが高齢による気力、体力の衰え。40数年トッププロとして先頭に立つ小島は、今でも人気№1でゲストの依頼も後を絶たない。今回も決勝初日直前に高知から戻り、翌日の朝には大阪に飛んでいた。
「僕は相手は関係ない。自分の麻雀、いい麻雀が打てれば結果は自ずとついてくるし、勝ち負けにはこだわらない。」こうよくおっしゃるが、この年齢で多忙な中、3日間の決勝戦、全ての局を集中力を切らさず打ち切れるかがカギとなろう。3年前に新設された麻雀グランプリMAXでは(当時74歳)、並み居る若手やAリーガーを撃破して第1期覇者となったのですから、今回も華麗な手作りと高いアガリを魅せてくれることを期待します。

 

沢崎誠八段

10dan30
沢崎誠プロ

3期生 1955年1月13日生まれ(58歳)B型
第13期優勝(5年ぶり6回目の決勝)
沢崎は私と同期で1歳年上。連盟に入会してから28年になる。
十段位以外にも、新人王、雀魔王、麻雀マスターズ、チャンピオンズリーグ、麻雀グランプリと、獲得タイトルも多く、長期に渡りA1に君臨する実力派の大ベテラン。
3年前のプロリーグでは、1年間ブッチギリの首位で通過し、鳳凰位の瀬戸熊に挑んだが退けられた。
今年は再びA1の首位に立ち、現鳳凰位瀬戸熊への挑戦権をほぼ手中にしている。今年こそはと瀬戸熊へのリベンジに燃えていることだろう。その沢崎が、十段戦の決勝へも勝ち上がってきて、鳳凰戦の前哨戦という図式にもなったからには、瀬戸熊も沢崎を意識しないという訳にはいかない。群馬県出身の沢崎は、昨年末に長年の東京生活から地元に戻り、やはり故郷の水や空気が合うのか、肌の色つやも良くなり体調も良さそうだ。
今期、麻雀が好調な要因はこのあたりにもありそうだ。
王者瀬戸熊が敗れるとしたら、最有力候補は沢崎ではないだろうか?

 

中村毅四段

10dan30
中村毅プロ

19期生 1975年10月25日生まれ(38歳)本人曰くA型かO型との事。
獲得タイトルはまだ無いが、發王戦とチャンピオンズリーグで決勝戦を戦った経験がある。
思い切りの良い攻撃麻雀で、A2リーグまで昇ったが現在はB1リーグ。
今期のベスト16(準々決勝と準決勝)ではスーパーつよし君に変身し圧勝劇を見せた。
特に準決勝では、古川、沢崎、前原の3人を相手に、立ち上がりから3連勝を決め、後半はベテラン3人をシビアな2着争いに追い込んだ。
超強豪3人に、ブッチギリで完勝した事は、かなりの自信に繋がったはず。
中村だけがテレビ対局が初めてなので、腕が縮こまらず普段通りに打てるかが問題だが、持前のなりふり構わない攻撃麻雀が打てれば台風の目になるだろう。

 

堀内正人四段

10dan30
堀内正人プロ

22期生 1985年1月4日生まれ(28歳)B型
第17期チャンピオンズリーグ優勝、第27期十段位。3年前、チャンピオンズリーグ優勝のシード権で五段戦から出場し、一気に頂点まで駆け上がった。決勝で破った相手が、4連覇がかかる超獣前原と鳳凰位の瀬戸熊だっただけに、一躍その名を轟かせることとなる。
その翌年の防衛戦からは、2年連続で瀬戸熊と最後の最後まで熾烈を極める優勝争いを繰り広げたのは記憶に新しい。今期で4年連続の瀬戸熊VS堀内となる。
決勝で負けた翌年はベスト16からのシードとはいえ、4年連続の対決は新記録。
今年は準決勝の最終戦、ラス前の親番で絶対絶命のピンチから奇跡の逆転勝ち上がりを果たした。
タイトル戦の相性の良さもあるのだろうが、堀内の打倒瀬戸熊、十段位奪還への執念は世界中の誰よりも強いのだろう。

 

11月3日文化の日、私は決勝の立会人を務めるため、プロリーグの会場から十段戦の決勝会場である【夏目坂スタジオ】へと向かった。
都営大江戸線の牛込柳町で降りて、坂を少し上ると右手に今風の洒落たビルがあり、その中に新設されたばかりの夏目坂スタジオがある。10月末に完成したばかりで、連盟の主要な対局は殆どこのスタジオからの生配信となる。
今後、プロ連盟のメインスタジアムとなるこのスタジオからお送りする、最初のビッグタイトル戦決勝が、今回の第30期十段位決定戦なのです。

決勝のシステムは5人打ちで、前半1~5回戦を1回ずつ交代で抜け、後半6~10回戦もまた交代で抜け番。
各人が8半荘を対局し、この時点での最下位がここで脱落。上位4名がポイント持越しで、もう2半荘を打ち優勝が決定する。

まず抜け番を選択する抽選が行われ、前半戦の抜け番は、沢崎―瀬戸熊―中村―堀内―小島となった。
テレビ配信の都合で、1日4半荘の3日間で行うため、初日は小島だけが4回連続の対局となる。

10dan30

 

1回戦
起親から、瀬戸熊、中村、小島、堀内(抜け番:沢崎)

東1局
放送画面で気が付いた方もいると思うが、配牌を取る瀬戸熊の指先が小刻みに震えていた。武者震いである。
ここ4~5年で鳳凰戦と十段戦だけでも7度の決勝を戦い5回優勝、今や打倒瀬戸熊に燃える挑戦者達から目標とされ、完全に追われる立場となった。本人は受けて立つ気は無く、常にチャレンジャーの気持ちで闘いたい心算でも、なかなかそうはいかないだろう。そこに立った者にしか解らない王者であり続けることの、様々なプレッシャーが度々圧し掛かかってくる毎日なのではないだろうか?
対局直前まで選手控室から出て、人気の無い場所で瞑想していた姿が印象に残った。

さて対局に戻ろう、大事なスタートの1局でしかも起親。

10dan30

瀬戸熊6巡目

二万二万二万五万八万八万一索二索二索四索五索六索八筒東  ドラ八筒

ここからの五万切りは、ドラかダブ東を重ねて高い手に仕上げる意思の表れ。
その思い叶ってドラを暗刻にしてリーチ。二索は2枚切れているが八万はスジになっている。
手変わりもないので、リーチで他家を足止めしたほうが良いとの判断。
もしツモれれば8,000オールと、望外のアガリとなるが、南家の中村が手詰まりで放銃。
中村を責めるのは酷かもしれないが、もっと慎重に考えて中のトイツ落としなどで凌げていれば、小島が追い付いていたかもしれない。

東1局1本場
瀬戸熊にしてみれば3連覇に向けて上々の親満スタート。更にたたみ掛けていきなりのクマクマタイムか・・・と思いきや西家・小島が先にリーチ。

一万二万三万三万五万七万七万八万九万一索二索三索四筒四筒  リーチ  ドラ四筒

ここから七万切りでカン四万待ちを選択。12巡目に瀬戸熊が追いかけリーチ。

二索三索四索四索五索三筒四筒五筒五筒六筒七筒白白  リーチ

瀬戸熊が有利に思えたし、小島が先に六万の方を引いたので(アガリ逃がし)、また瀬戸熊のアガリかと思わせたが、小島が四万もツモって2,000・3,900
のアガリ。

中村の親は、瀬戸熊のリーチで1人テンパイの流局。
小島の親番では、北家・中村のリーチに南家・堀内が追いかける。

中村 四万五万六万三索三索六索七索八索一筒二筒三筒北北

堀内 一万二万三万五万六万七万八万九万九万四索四索六索七索

ここにツモ四索でテンパイ。ピンフも一通も崩れて不本意なリーチだったが、ドラ2の瀬戸熊が前に出て八索で放銃。堀内初アガリで原点復帰のアガリ親。

東4局、南家の瀬戸熊が、2~3巡目に続けて切られた発を、2枚ともスルーし12巡目に三色崩れのリーチ。

10dan30

三万四万五万三索四索一筒一筒二筒三筒四筒西西西  ドラ五索

ドラ2の手を丁寧に育てていた親の堀内に、カン六筒が埋まり自信満々の追いかけリーチ。

三万四万五万六万七万五索五索一筒二筒三筒五筒六筒七筒  リーチ

瀬戸熊が掴むと手痛い一撃を食らうところだったが、堀内が二万をツモってトップ目に立った。
手バラだったから私も発は仕掛けないと思うが、もし瀬戸熊がどちらかの発をポンしていたらこの局はどうなっていたのか・・・

南2局に南家・小島の逸機。

一万二万三索四索五索一筒一筒  ミンカン四万 上向き四万 左向き四万 上向き四万 上向き  ポン南南南  ドラ二万

終盤に一筒をツモったが、流局間際だし一万は危ないと思ったのか、ペン三万のほうがアガリ目があると見たのか、小考後、一筒をツモ切り。もし厚かましくドラ単騎に受け変えていれば満貫をツモっていた。

同1本場は、親かぶりを免れた中村がリーチツモドラ2の3,900オールで初アガリ。
1人蚊帳の外のダンラスだったので、これで少し落ち着いただろう。

次局は、小島がドラ暗刻のリーチをツモ。オーラス堀内の親でも

二万三万六万七万八万五索六索七索二筒二筒二筒三筒四筒  リーチ  ドラ三万

これをリーチして高目四万ツモと元気。
堀内に黒棒4本届かなかったが、満貫クラスを3回もツモアガリして気分上々の立ち上がり。
堀内も瀬戸熊を沈めてのトップスタートは上出来であろう。
いきなり親満を決めたのにマイナスの3着で終わった瀬戸熊はどう思ったのだろうか?
次が抜け番でちょうど良かったかもしれない。

1回戦成績
堀内+17.9P  小島+13.5P  瀬戸熊▲9.4P  中村▲22.0P

 

2回戦
起家から、小島、中村、堀内、沢崎(抜け番:瀬戸熊)

10dan30

東1局、満を持して登場の沢崎。決して良くない配牌から序盤の発を2枚スルーして、この最終形に仕上げた感性は素晴らしい。小島は一度アガリを諦め手中に収めた三索だったが、形式テンパイに向かって打ちだし満貫放銃となってしまったのは痛い。小島のこんな小島らしくない放銃は見たことがないし見たくなかった。沢崎に対する警戒が瞬間消えてしまったのだろうか?

小島が仕掛けなかったり放銃しなかった場合、残りの牌山を調べていないので、沢崎の四暗刻か堀内の跳満ツモが無かったとは言い切れないが、沢崎自身このアガリには手答えを感じたことだろう。

東2局は堀内にミスが出る。南家・堀内の即リーチ

四万四万五万五万六万六万三索三索五索七索四筒五筒六筒  リーチ  ドラ九万

確かにリーチしてツモれば2,000・3,900だが、四索引きや八索引きもあるからヤミで様子を見る手もあるだろう。
ヤミテン2,600はリーチしてツモれば満貫クラスにアップするので、私でも好形ならリーチするが、堀内はカンチャンやシャンポンでも即リーチを打つことが多い。自分のフォームのひとつにしているのだろうが、しかしこの局は裏目に出て、リーチ後すぐに八索九索を引いた。
その裏では下家の沢崎が、

九万九万一索二索四索五索六索六索七索七索八索九索三筒三筒

ここから、場に五索八索が多目に切られているのを見て、六索七索と外しペン三索を引いてテンパイしていた。
五索八索受けを残して三筒切りとした場合、堀内の八索をチーテンにとる愚行さえ犯さなければ、ヤミテンで跳満をツモっていたのだが、アガリ逃しの堀内が三筒を掴んで沢崎が満貫のアガリ。
小島のミスと堀内のミスで、勢いが沢崎に傾いた東3局。
こんどは北家の中村が北ポンからデキ面子を壊してまで無理やりトイトイに向かい、沢崎の捌き手に放銃する。中村らしいなりふり構わない攻めは良いのだが、沢崎に勢いがついた状況では、火に油を注ぐような無理筋に思った。

さて、3者からアガって迎えた東4局の親番で、沢崎の連荘が始まるかと思いきや、以外にも中村がツモのみであっさり親落ち。南場は大きな点棒移動は無く終了。中村が辛うじて浮き2着に持ち込みほっと一息。
テレビ対局の雰囲気にも少し慣れてきたたようだ。百戦練磨の沢崎はあらゆる展開を想定してきただろうが、この好発進にほぼ不満はないだろう。

2回戦成績
沢崎+25,4P  中村+4,9P  堀内▲9,1P  小島▲21,2P

2回戦終了時
沢崎+25,4P  堀内+8,8P  小島▲7,7P  瀬戸熊▲9,4P  中村▲17,1P

 

3回戦
起親から 堀内、小島、沢崎、瀬戸熊(抜け番:中村)

10dan30

東1局、起親の堀内が6巡目ダブ東暗刻でペン三万待ちの即リーチ。
西家・沢崎の4巡目

三万四万六索七索八索三筒四筒四筒四筒四筒七筒八筒南南

ここから小考して南切り。懐の広い好手だと思う。
もし暗カンをしていたら、5巡目六筒ツモで二万五万待ちの追いかけリーチだっただろうが(リンシャン牌は不明だが)、12巡目にようやく追いつきリーチ。

三万四万五万八索八索三筒四筒四筒四筒四筒六筒七筒八筒  リーチ

小島も追いかけるが、最も好形の沢崎がツモアガリ2,000・3,900とまたも先制する。
東2局は、終盤ようやくテンパイに漕ぎ着けた瀬戸熊がヤミテンで、

三万三万二索二索三索三索四索三筒三筒四筒四筒五筒五筒  ドラ六筒

堀内から安目一索の出アガリ。この局、もし沢崎が国士無双を狙っていたら、3枚切れの発マチのテンパイ。
その場合は、4枚目を掴むのが瀬戸熊だからやむなく四索切りで七対子発単騎に受け変えるので、そうなるとヤミテンでピンフをテンパイしていた小島のアガリだったろう。

東4局の瀬戸熊の親番は、小島がリーチで2,000・3,900。

二万三万四万五万六万七万四索五索五索六索六索八索八索  ツモ四索  ドラ南

南1局1本場は、前局にカン四万待ちの足止めリーチをツモアガって連荘の堀内が、また6巡目即リーチ。

五万六万七万八万八万八万六索七索八索三筒三筒七筒七筒  リーチ  ドラ九筒

この即リーチはさすがにどうだろうか?タンヤオで出アガリが利くし、
二筒四筒六筒八筒引きや、567の三色変化もある。

堀内の頑ななまでに澈底する先制愚形即リーチや、役牌イチ鳴きは、好意的に解釈すれば培ってきた自分のフォームへの自信と強い精神力の表れなのであろう。小島が終盤にようやく理想型にして追いかけるも流局。

五万五万一筒一筒二筒二筒三筒三筒四筒五筒五筒六筒六筒

しぶとく形テンに持ち込む沢崎もそつが無い。

同2本場、ここまで不調の瀬戸熊に、突如2巡目にドラの五万がトイツの九単騎七対子テンパイが入り、小島が不運にも3巡目にツモ切って交通事故みたいな6,400の失点。
それでも瀬戸熊はまだ原点に届かない、南2局とラス前は、堀内が渾身の1,000点で原点復帰。
特に南3局(ドラ発)では親の沢崎が南ポン、二索ポンと仕掛けているにも関わらず、1シャンテンで超危険に見える生牌の發を切り出して食いタンでアガった。

自分のテーマ(このときは原点復帰)が満たせる手がきたら、例え安手でもリスクを犯して勝負に出る強いハートは持っている。

南4局、ラス親の瀬戸熊が僅かに沈んでいるので、沢崎と堀内はこのまま終わらせたいところ。
北家の沢崎が、二筒ポン八索ポンと仕掛けて1シャンテン。堀内も中が暗刻の1シャンテン。
9巡目、最初にテンパイを入れたのは親の瀬戸熊だった。

一万二万三万五万六万七万四索五索六索四筒四筒六筒六筒  ドラ北

しかし、瀬戸熊は何故かリーチを宣言せず、役無しヤミテンを選択。同巡、堀内がテンパイし打六筒
堀内はツモればトップ(ツモリ三暗刻)のテンパイなので、瀬戸熊がリーチでも六筒は勝負する可能性が高い。
一手変わりで親満に変化するなら解るが、このケースで即リーチを打たないのは緩手ではなかったか?

その後、ピンフにも一通にもならず、九万四筒のシャンポンでリーチをかけたが、沢崎と堀内もテンパイした後では簡単にはオリてくれない。沢崎が堀内に打って2連勝で終了。

3回戦成績
沢崎+11.6P  堀内+6.6P  瀬戸熊▲5.7P  小島▲12.5P

3回戦終了時
沢崎+37.0P  堀内+15.4P  瀬戸熊▲15.1P  中村▲17.1P  小島▲20.2P

 

4回戦
起家から、中村、沢崎、小島、瀬戸熊(抜け番:堀内)

堀内は、初日をプラスで打ち終えてまずまずの気分だろう。
瀬戸熊、中村、小島の3人は、ここでトップを取ればマイナスをほぼ解消して初日を終われる。
ただ、沢崎の3連勝だけは阻止しておきたいところだ。

東1局、北家の瀬戸熊がソーズのメンホンに的を絞り、狙い通り配牌から抱えていた自風の北を重ねてテンパイする。

二索三索四索五索五索六索七索八索南南南北北  ドラ四万

これに親の中村が飛び込み、瀬戸熊が久々の先制打。
瀬戸熊はこのアガリを契機にしようと、ようやく強めのチャージをかけ始めたが、アガリには結びつかず東4局の親番でのリーチも空振りに終わる。

一万二万三万四万五万五万六万六万八万八万六索七索八索  ドラ北

沢崎も粘って、四万単騎の七対子に持ち込み今日は沈みそうにない。
同2本場、沢崎が平凡な配牌でも第一打から東白と切り出す独特のランダムな役牌先切り。
技の引き出しが多い沢崎だが、長年の経験則から身に付けた手法の一つなのだろうか、丁寧に絞る時もあればこの局のようにワザと先に切り出す時もある。

これに釣られるように、親の瀬戸熊が3~4巡目に白をかぶり直ぐに発暗刻で中がトイツに・・・
放送を観た方は三元役を失敗したように映るかもしれないが、瀬戸熊が白を捨てない場合は、北家の小島が早めに切るはずでありポンすると中は重ならないから「大三元だったかも~」を論じてもあまり意味は無い。

この局は、一番にテンパイしていた南家・中村が四索を引いてイーペーコーに変わってから七索切りリーチ。

四索四索五索五索六索六索七索八索九索二筒二筒三筒四筒  ドラ九索

小島が同巡、四索七索待ちでテンパイ。山越で中村の現物。
しかも、まだ手変わりもあるが思いきって追いかける。

五万五万六万六万七万七万五索六索七索七索四筒五筒六筒  リーチ

不調の中村が直ぐに薄い四索を掴み1人沈没。
手役を決めた時の、小島の思い切りのよさと勝負強さは流石である。
これで小島もトップ争いに加わり、オーラスは3人がアガリトップの状態。
沢崎がアガれば、初日3戦3トップとなるが、北家・小島の手が良過ぎた。

10dan30

何と6巡目にポンテンの跳満テンパイ

五索六索六索七索七索北北中中中  ポン白白白  ドラ北

瀬戸熊の手牌に放銃の危険が迫る、ツモられても黒棒浮きで止まるのだが、

「小島先生は、テンパイしているかもしれないと思っていましたが、沢崎さんとのポイント差が開き過ぎてもいけないと思い、まっすぐアガリに向かってしまいました。」

何とも痛すぎる一発!
瀬戸熊はこの痛打で、初トップを目前にしながらマイナスの3着に落ち、初日は全てマイナスの3着。
流石に調子が悪くても少ないマイナスで何とか抑えてはいるが、首位沢崎との差が約70P。
このポイント差を利用した、匠なゲーム回しができる沢崎が首位なだけに、3連覇に黄信号が灯ったと言えるかもしれない。

4回戦成績
小島+24.5P  沢崎+9.0P  瀬戸熊▲9.8P  中村▲23.7P

4回戦終了時
沢崎+46.0 P  堀内+15.4P  小島+4.3P  瀬戸熊▲24.9P  中村▲40.8P

沢崎はほぼ満足な初日だっただろう。
試合巧者がポイントをリードしただけに、2日目からも優位にゲームを支配しそうな気がする。

堀内は、瀬戸熊を沈めてプラスで終えたのだからOKだろう。
連続して瀬戸熊と熾烈な優勝争いをしてきたので、瀬戸熊の親番ではかなり意識して落としに行っているように見受けられた、クマクマタイムを発動させない作戦は当然かもしれないが、瀬戸熊を意識しすぎると沢崎に楽に逃げ切られる懸念もある。

小島は最後のトップでプラスに回り「初日はまあこんなもんで充分」と余裕の表情。
やはり小島の大物手が決まり始めると麻雀が面白くなる。

中村は、初のテレビ対局に緊張したようだ。
自分でも言っているように、守備があまり得意ではないのだから、ポイントは気にせず我武者羅にガンガン攻めて活路を見出して欲しい。

王者瀬戸熊は「全体的にちょっと感覚が悪かった」と言うように、今日は少しズレていたようだ。
沢崎との点差を考えると余裕は無いが、自ら運を引き寄せて一気に逆転する場面は、何度も目の当たりにしてきた。約1週間空くので、しっかり修正して2日目からの立て直しに期待したい。

初日4回戦が終了・・・

 

【2日目5回戦~】

2日目は前半の最終戦となる第5回戦から始まる。
初日オール3着で総合4位と不調のまま終えた瀬戸熊は、

「久しぶりに追う展開。逃げるより気分的には楽だが、もう余裕のないくらい離されているので、初戦から自分らしく攻めて行きます、この1週間、Aルールを沢山打ち込んで再調整して来ました。」とのコメント。

逆に小島は「ツキを貯めるために、何日間か牌を握らないで来たよ、ガハハ。」と対照的だった。

 

5回戦
起親から、瀬戸熊、堀内、沢崎、中村(抜け番:小島)

東1局、起親の瀬戸熊が7巡目に先制リーチ。

二万二万二万六万七万八万一索二索三索四索五索八索九索  リーチ  ドラ五筒

ここからツモ五索で、一通崩れの足止めリーチだが、西家の沢崎が直ぐに手なりで追いつく。

三万四万五万二索三索四索二筒三筒四筒五筒五筒七筒七筒

ここから、沢崎が危険牌や手変わりする牌を引いて迷う間もなく、瀬戸熊が即高目の五筒を掴んで、沢崎にあっさり満貫放銃。
追い上げなければならない瀬戸熊が、最初から躓き沢崎がこのまま独走態勢に入るのかと思わせるスタート。

次局は、沢崎の早いリーチ。

一万一万五万五万一索一筒一筒三筒三筒五筒五筒北北  ドラ八索

捨て牌が
中西八万二索四索六索リーチ

1シャンテンの瀬戸熊が、

二万二万四万四万五万八万八万八万一索二索三索七索八索

ここからラス牌の一索を即掴んで止めようもなく3,200点の放銃。
やるせないような放銃が続く瀬戸熊。私には王者瀬戸熊が、早くも土俵際まで追い詰められたように思えた。

東3局、親の沢崎が意外に手間取り13巡目にリーチ。

一万二万三万五索六索三筒四筒五筒六筒七筒八筒西西  リーチ  ドラ一万

その前から、ピンフのみをヤミテンで回していた、南家の中村が沢崎のリーチ後すぐ五筒を引く。

四万四万六万七万八万三索四索五索五筒六筒七筒八筒九筒  ツモ五筒

やむなく、現物の九筒切りで四万五筒のシャンポンに受け変えると沢崎の次のツモが四万
ここは中村が落ち着いたプレーで沢崎のダメ押しを阻止したのだが・・・
南場に入って異変が起こる。

流局2本場で迎えた南1局は、ラス目瀬戸熊の親。

10dan30

瀬戸熊は苦しい展開の中、復活への蜘蛛の糸を求めて、諦めずに丁寧な手巡で123の三色から純チャンまで育てようとするが、やはり先手を取るのは好調沢崎。
たて続けにドラの中を重ね、345の三色は崩れたが12巡目、五筒切りリーチ。

三万四万五万三索四索三筒三筒三筒四筒五筒六筒中中  リーチ  ドラ中
沢崎のツモアガリの気配が濃厚のなか、瀬戸熊が追い付いた。

一万二万三万一索二索三索七索八索九索一筒二筒三筒七筒九筒

とりあえず追い付きはしたのだが、沢崎の現物の九筒は2枚切れ。
七筒は危険牌(実際、沢崎の入り目が二索五索なら七筒はアタリ牌)やはり純チャンの3ハンは捨てがたくピシリと七筒を勝負。
すると沢崎のツモが七筒、瀬戸熊が弱気に受けていれば沢崎からロンだった。
しかし、次の手番である北家の中村が長考後、何故かラス牌の九筒を河に置く。
瀬戸熊、起死回生の親満で浮きの2着目に浮上した。

中村の手はオリている手で、沢崎のリーチに合わせて安意に共通安全牌の発を切らず、3枚目の九筒を合わせておけば瀬戸熊が仕方なく九筒切りとし、沢崎から七筒で3,900だったし、残したのならば、瀬戸熊の七筒はリーチに対して厳しい牌なので、九筒は抑え共通安全牌がまだあったのだから、そちらを切るべきだったのは私が言うまでもない事。

プロを名乗るなら、少なくとも十段戦決勝という高いステージで戦うプロならば、こんな言い訳の利かないレベルの低い放銃はやめて欲しい。多くの批判に晒されても致し方なかろう。

土俵を割る寸前、僥倖の親満をゲットし、徳俵で踏みとどまった瀬戸熊だったが連荘は続かず。

10dan30

連荘の堀内が7巡目にいつもの足止め愚形リーチ。

一万二万三万八万九万三索四索五索七索七索二筒三筒四筒  リーチ  ドラ一索

七万は場に2枚切れで、押し返されたら危険。北家の瀬戸熊がその前の6巡目、

三万四万五万六万六万一索三索五索三筒五筒六筒南南南

この形から六筒切りとした好手に注目したい。是が非でも高打点に仕上げる強い意志の一打だ。
堀内のリーチを受けても手を曲げず、ドラを重ねると無筋の六万をトイツで落とし、まるで堀内のリーチが安手で愚形なことを読み切っているかのように攻めて行く。

中村が何気なく押してきた打四筒がまたラッキーで、タイミング良くチーテンが取れ見事カン四索をツモリ上げた。

オーラスは、沢崎が逃げ切りトップは取れなかったが、瀬戸熊が今決勝でようやくプラスした半荘となった。

5回戦成績
沢崎+14.3P  瀬戸熊+5.7P  中村▲6.6P  堀内▲13.4P

5回戦終了時
沢崎+60.3P  小島+4.3P  堀内+2.0P  瀬戸熊▲19.2P  中村▲47.4P

 

沢崎がトップだったので、瀬戸熊と沢崎のポイントはまた少し開いたが、復調の兆しが見えてきた瀬戸熊。
後半戦の追い上げに期待が出来そうだ。

ここで、前半5回の成績により、上位者から後半戦の抜け番が選択できる。
今日の残りは6~8回戦、9~10回戦は最終日になる。

トータルトップの沢崎は、8回戦の抜け番を選んだ。2位に着ける小島は7回戦。
3位の堀内は6回戦と上位3人共今日抜けておいて、最終日は4半荘全部闘いに参加する作戦だ。
敗退者が確定する10回戦は抜けたくないのが普通で、瀬戸熊が9回戦を選び中村が10回戦の抜け番に決定した。

続いて6回戦が行われたのですが、2日目の最終戦となる8回戦で、前代未聞のアクシデントが起こってしまいました。

既に放送をご覧になった方々はご存じだと思いますが、堀内プロが東4局に勝負手を入れ、是が非でもアガリたいあまり、小島プロの親リーチに対して現物である安全牌の三索を引いたのに、危険牌を引いてオリたと思わせるような動作とため息とともにに、手中の三索を仕方なさそうに切り出すという三味線まがいのアンフェアなトリックプレーを行いました。(堀内プロの待ちはリーチの現物の一索で7,700点)

これに対して瀬戸熊プロは、その少し前に親リーチの現物ですが、堀内プロには当たりになる本命の一索を掴まされ、テンパイしていたにも関わらず、これを止めてオリていたのですが、この一連の動作によって堀内プロがオリたのではないかと惑わされ一索を捨て放銃となりました。

このプレーを悪質な反則行為として、その場でゲームを止めることができず、後日の再審議となってしまい、多少の混乱も招いてしまいましたが、理事会での慎重な審議により、堀内プロを失格とし、残りの4名で決勝戦を継続することになりました。

思ってもいなかった、あってはならない事態が起こってしまった事は誠に残念ですが、
今後は、連盟員全員が競技麻雀のプロとしての自覚と誇りを再認識し、二度とこのような事が起こらないように努力して行かなければなりません。

継続の方法ですが、競技部で検討の結果、後半戦最初の第6回戦目は途中失格の堀内選手が抜け番だったため有効とし(ここまでで残り4名の選手が同じ5半荘ずつの対局となる)
6回戦までのトータル成績を引き継ぎ、後半戦を再開。堀内選手が対局した第7回戦と第8回戦をノーゲームとしました。

どのように決めても誰かに多少の有利不利が生じますが、該当選手全員に納得していただき、
7回戦~11回戦を4人で対局し、今期の十段位を決定する事になりました。
第6回戦からの対局は、観戦記後編でお伝えいたします。

十段戦 決勝観戦記/第30期十段戦 観戦記(前半)

※第30期十段戦8回戦において堀内正人プロの競技内容に悪質な三味線行為があり、
日本プロ麻雀連盟内規に基づく厳正な審議の結果、堀内正人プロを失格処分とし、
7回戦から再度執り行うこととなりました。
失格処分についてのご説明はこちら
 
 
鳳凰戦と並び、プロ連盟の象徴ともいえる2大タイトルの1つである十段戦。
共に連盟が創立し間もない頃に設立され、今期で第30期を迎えた。
連名員なら、誰もが一度は手にしたいと願うこの2つタイトルを独占しているのが、
現チャンピォンのこの男である。
瀬戸熊直樹八段

10dan30
瀬戸熊直樹プロ

14期生 1970年8月27日生まれ(43歳)O型
28期29期優勝。(4年連続5回目の決勝)
4年前の春、初めて鳳凰位の座に着くやいなや、めきめき頭角を現し連覇を果たす。
一度は荒に奪われるも、今春すぐに奪還。2年前に初載冠したこの十段位は、今回3連覇がかかる防衛戦となる。年齢的にも円熟期にさしかかり「絶対王者」「瀬戸熊時代の到来」などの声も聞こえてくる。
若手に慕われ、上からの信頼も厚く、今や団体のいや業界のエースに上りつめた感さえある。
頂点に立っても奢ること無く、更なる進化を求めて日々精進する姿は後輩達の素晴らしきお手本。
今回の優勝者予想では、当然のように瀬戸熊推しが大多数だったが、打倒瀬戸熊に燃える挑戦者達を相手に、
また一段階スキルアップした勝利を見せてくれるのか?
 
今回の挑戦者達は以下の4名。
小島武夫九段

10dan30
小島武夫プロ

1期生 1936年2月11日生まれ(77歳)O型
(9年ぶり8回目の決勝)
今更ここで詳しく紹介しなくても、皆さんご存知「ミスター麻雀」日本プロ麻雀連盟最高顧問の小島先生である。十段戦は第1期から出場しているが、今回はひさしぶりの決勝。
初優勝への意欲は少なくなかろうと思うし、実力と実績は間違いなく優勝候補の1人なのだが、懸念されるのが高齢による気力、体力の衰え。40数年トッププロとして先頭に立つ小島は、今でも人気№1でゲストの依頼も後を絶たない。今回も決勝初日直前に高知から戻り、翌日の朝には大阪に飛んでいた。
「僕は相手は関係ない。自分の麻雀、いい麻雀が打てれば結果は自ずとついてくるし、勝ち負けにはこだわらない。」こうよくおっしゃるが、この年齢で多忙な中、3日間の決勝戦、全ての局を集中力を切らさず打ち切れるかがカギとなろう。3年前に新設された麻雀グランプリMAXでは(当時74歳)、並み居る若手やAリーガーを撃破して第1期覇者となったのですから、今回も華麗な手作りと高いアガリを魅せてくれることを期待します。
 
沢崎誠八段

10dan30
沢崎誠プロ

3期生 1955年1月13日生まれ(58歳)B型
第13期優勝(5年ぶり6回目の決勝)
沢崎は私と同期で1歳年上。連盟に入会してから28年になる。
十段位以外にも、新人王、雀魔王、麻雀マスターズ、チャンピオンズリーグ、麻雀グランプリと、獲得タイトルも多く、長期に渡りA1に君臨する実力派の大ベテラン。
3年前のプロリーグでは、1年間ブッチギリの首位で通過し、鳳凰位の瀬戸熊に挑んだが退けられた。
今年は再びA1の首位に立ち、現鳳凰位瀬戸熊への挑戦権をほぼ手中にしている。今年こそはと瀬戸熊へのリベンジに燃えていることだろう。その沢崎が、十段戦の決勝へも勝ち上がってきて、鳳凰戦の前哨戦という図式にもなったからには、瀬戸熊も沢崎を意識しないという訳にはいかない。群馬県出身の沢崎は、昨年末に長年の東京生活から地元に戻り、やはり故郷の水や空気が合うのか、肌の色つやも良くなり体調も良さそうだ。
今期、麻雀が好調な要因はこのあたりにもありそうだ。
王者瀬戸熊が敗れるとしたら、最有力候補は沢崎ではないだろうか?
 
中村毅四段

10dan30
中村毅プロ

19期生 1975年10月25日生まれ(38歳)本人曰くA型かO型との事。
獲得タイトルはまだ無いが、發王戦とチャンピオンズリーグで決勝戦を戦った経験がある。
思い切りの良い攻撃麻雀で、A2リーグまで昇ったが現在はB1リーグ。
今期のベスト16(準々決勝と準決勝)ではスーパーつよし君に変身し圧勝劇を見せた。
特に準決勝では、古川、沢崎、前原の3人を相手に、立ち上がりから3連勝を決め、後半はベテラン3人をシビアな2着争いに追い込んだ。
超強豪3人に、ブッチギリで完勝した事は、かなりの自信に繋がったはず。
中村だけがテレビ対局が初めてなので、腕が縮こまらず普段通りに打てるかが問題だが、持前のなりふり構わない攻撃麻雀が打てれば台風の目になるだろう。
 
堀内正人四段

10dan30
堀内正人プロ

22期生 1985年1月4日生まれ(28歳)B型
第17期チャンピオンズリーグ優勝、第27期十段位。3年前、チャンピオンズリーグ優勝のシード権で五段戦から出場し、一気に頂点まで駆け上がった。決勝で破った相手が、4連覇がかかる超獣前原と鳳凰位の瀬戸熊だっただけに、一躍その名を轟かせることとなる。
その翌年の防衛戦からは、2年連続で瀬戸熊と最後の最後まで熾烈を極める優勝争いを繰り広げたのは記憶に新しい。今期で4年連続の瀬戸熊VS堀内となる。
決勝で負けた翌年はベスト16からのシードとはいえ、4年連続の対決は新記録。
今年は準決勝の最終戦、ラス前の親番で絶対絶命のピンチから奇跡の逆転勝ち上がりを果たした。
タイトル戦の相性の良さもあるのだろうが、堀内の打倒瀬戸熊、十段位奪還への執念は世界中の誰よりも強いのだろう。
 
11月3日文化の日、私は決勝の立会人を務めるため、プロリーグの会場から十段戦の決勝会場である【夏目坂スタジオ】へと向かった。
都営大江戸線の牛込柳町で降りて、坂を少し上ると右手に今風の洒落たビルがあり、その中に新設されたばかりの夏目坂スタジオがある。10月末に完成したばかりで、連盟の主要な対局は殆どこのスタジオからの生配信となる。
今後、プロ連盟のメインスタジアムとなるこのスタジオからお送りする、最初のビッグタイトル戦決勝が、今回の第30期十段位決定戦なのです。
決勝のシステムは5人打ちで、前半1~5回戦を1回ずつ交代で抜け、後半6~10回戦もまた交代で抜け番。
各人が8半荘を対局し、この時点での最下位がここで脱落。上位4名がポイント持越しで、もう2半荘を打ち優勝が決定する。
まず抜け番を選択する抽選が行われ、前半戦の抜け番は、沢崎―瀬戸熊―中村―堀内―小島となった。
テレビ配信の都合で、1日4半荘の3日間で行うため、初日は小島だけが4回連続の対局となる。

10dan30

 
1回戦
起親から、瀬戸熊、中村、小島、堀内(抜け番:沢崎)
東1局
放送画面で気が付いた方もいると思うが、配牌を取る瀬戸熊の指先が小刻みに震えていた。武者震いである。
ここ4~5年で鳳凰戦と十段戦だけでも7度の決勝を戦い5回優勝、今や打倒瀬戸熊に燃える挑戦者達から目標とされ、完全に追われる立場となった。本人は受けて立つ気は無く、常にチャレンジャーの気持ちで闘いたい心算でも、なかなかそうはいかないだろう。そこに立った者にしか解らない王者であり続けることの、様々なプレッシャーが度々圧し掛かかってくる毎日なのではないだろうか?
対局直前まで選手控室から出て、人気の無い場所で瞑想していた姿が印象に残った。
さて対局に戻ろう、大事なスタートの1局でしかも起親。

10dan30

瀬戸熊6巡目
二万二万二万五万八万八万一索二索二索四索五索六索八筒東  ドラ八筒
ここからの五万切りは、ドラかダブ東を重ねて高い手に仕上げる意思の表れ。
その思い叶ってドラを暗刻にしてリーチ。二索は2枚切れているが八万はスジになっている。
手変わりもないので、リーチで他家を足止めしたほうが良いとの判断。
もしツモれれば8,000オールと、望外のアガリとなるが、南家の中村が手詰まりで放銃。
中村を責めるのは酷かもしれないが、もっと慎重に考えて中のトイツ落としなどで凌げていれば、小島が追い付いていたかもしれない。
東1局1本場
瀬戸熊にしてみれば3連覇に向けて上々の親満スタート。更にたたみ掛けていきなりのクマクマタイムか・・・と思いきや西家・小島が先にリーチ。
一万二万三万三万五万七万七万八万九万一索二索三索四筒四筒  リーチ  ドラ四筒
ここから七万切りでカン四万待ちを選択。12巡目に瀬戸熊が追いかけリーチ。
二索三索四索四索五索三筒四筒五筒五筒六筒七筒白白  リーチ
瀬戸熊が有利に思えたし、小島が先に六万の方を引いたので(アガリ逃がし)、また瀬戸熊のアガリかと思わせたが、小島が四万もツモって2,000・3,900
のアガリ。
中村の親は、瀬戸熊のリーチで1人テンパイの流局。
小島の親番では、北家・中村のリーチに南家・堀内が追いかける。
中村 四万五万六万三索三索六索七索八索一筒二筒三筒北北
堀内 一万二万三万五万六万七万八万九万九万四索四索六索七索
ここにツモ四索でテンパイ。ピンフも一通も崩れて不本意なリーチだったが、ドラ2の瀬戸熊が前に出て八索で放銃。堀内初アガリで原点復帰のアガリ親。
東4局、南家の瀬戸熊が、2~3巡目に続けて切られた発を、2枚ともスルーし12巡目に三色崩れのリーチ。

10dan30

三万四万五万三索四索一筒一筒二筒三筒四筒西西西  ドラ五索
ドラ2の手を丁寧に育てていた親の堀内に、カン六筒が埋まり自信満々の追いかけリーチ。
三万四万五万六万七万五索五索一筒二筒三筒五筒六筒七筒  リーチ
瀬戸熊が掴むと手痛い一撃を食らうところだったが、堀内が二万をツモってトップ目に立った。
手バラだったから私も発は仕掛けないと思うが、もし瀬戸熊がどちらかの発をポンしていたらこの局はどうなっていたのか・・・
南2局に南家・小島の逸機。
一万二万三索四索五索一筒一筒  ミンカン四万 上向き四万 左向き四万 上向き四万 上向き  ポン南南南  ドラ二万
終盤に一筒をツモったが、流局間際だし一万は危ないと思ったのか、ペン三万のほうがアガリ目があると見たのか、小考後、一筒をツモ切り。もし厚かましくドラ単騎に受け変えていれば満貫をツモっていた。
同1本場は、親かぶりを免れた中村がリーチツモドラ2の3,900オールで初アガリ。
1人蚊帳の外のダンラスだったので、これで少し落ち着いただろう。
次局は、小島がドラ暗刻のリーチをツモ。オーラス堀内の親でも
二万三万六万七万八万五索六索七索二筒二筒二筒三筒四筒  リーチ  ドラ三万
これをリーチして高目四万ツモと元気。
堀内に黒棒4本届かなかったが、満貫クラスを3回もツモアガリして気分上々の立ち上がり。
堀内も瀬戸熊を沈めてのトップスタートは上出来であろう。
いきなり親満を決めたのにマイナスの3着で終わった瀬戸熊はどう思ったのだろうか?
次が抜け番でちょうど良かったかもしれない。
1回戦成績
堀内+17.9P  小島+13.5P  瀬戸熊▲9.4P  中村▲22.0P
 
2回戦
起家から、小島、中村、堀内、沢崎(抜け番:瀬戸熊)

10dan30

東1局、満を持して登場の沢崎。決して良くない配牌から序盤の発を2枚スルーして、この最終形に仕上げた感性は素晴らしい。小島は一度アガリを諦め手中に収めた三索だったが、形式テンパイに向かって打ちだし満貫放銃となってしまったのは痛い。小島のこんな小島らしくない放銃は見たことがないし見たくなかった。沢崎に対する警戒が瞬間消えてしまったのだろうか?
小島が仕掛けなかったり放銃しなかった場合、残りの牌山を調べていないので、沢崎の四暗刻か堀内の跳満ツモが無かったとは言い切れないが、沢崎自身このアガリには手答えを感じたことだろう。
東2局は堀内にミスが出る。南家・堀内の即リーチ
四万四万五万五万六万六万三索三索五索七索四筒五筒六筒  リーチ  ドラ九万
確かにリーチしてツモれば2,000・3,900だが、四索引きや八索引きもあるからヤミで様子を見る手もあるだろう。
ヤミテン2,600はリーチしてツモれば満貫クラスにアップするので、私でも好形ならリーチするが、堀内はカンチャンやシャンポンでも即リーチを打つことが多い。自分のフォームのひとつにしているのだろうが、しかしこの局は裏目に出て、リーチ後すぐに八索九索を引いた。
その裏では下家の沢崎が、
九万九万一索二索四索五索六索六索七索七索八索九索三筒三筒
ここから、場に五索八索が多目に切られているのを見て、六索七索と外しペン三索を引いてテンパイしていた。
五索八索受けを残して三筒切りとした場合、堀内の八索をチーテンにとる愚行さえ犯さなければ、ヤミテンで跳満をツモっていたのだが、アガリ逃しの堀内が三筒を掴んで沢崎が満貫のアガリ。
小島のミスと堀内のミスで、勢いが沢崎に傾いた東3局。
こんどは北家の中村が北ポンからデキ面子を壊してまで無理やりトイトイに向かい、沢崎の捌き手に放銃する。中村らしいなりふり構わない攻めは良いのだが、沢崎に勢いがついた状況では、火に油を注ぐような無理筋に思った。
さて、3者からアガって迎えた東4局の親番で、沢崎の連荘が始まるかと思いきや、以外にも中村がツモのみであっさり親落ち。南場は大きな点棒移動は無く終了。中村が辛うじて浮き2着に持ち込みほっと一息。
テレビ対局の雰囲気にも少し慣れてきたたようだ。百戦練磨の沢崎はあらゆる展開を想定してきただろうが、この好発進にほぼ不満はないだろう。
2回戦成績
沢崎+25,4P  中村+4,9P  堀内▲9,1P  小島▲21,2P
2回戦終了時
沢崎+25,4P  堀内+8,8P  小島▲7,7P  瀬戸熊▲9,4P  中村▲17,1P
 
3回戦
起親から 堀内、小島、沢崎、瀬戸熊(抜け番:中村)

10dan30

東1局、起親の堀内が6巡目ダブ東暗刻でペン三万待ちの即リーチ。
西家・沢崎の4巡目
三万四万六索七索八索三筒四筒四筒四筒四筒七筒八筒南南
ここから小考して南切り。懐の広い好手だと思う。
もし暗カンをしていたら、5巡目六筒ツモで二万五万待ちの追いかけリーチだっただろうが(リンシャン牌は不明だが)、12巡目にようやく追いつきリーチ。
三万四万五万八索八索三筒四筒四筒四筒四筒六筒七筒八筒  リーチ
小島も追いかけるが、最も好形の沢崎がツモアガリ2,000・3,900とまたも先制する。
東2局は、終盤ようやくテンパイに漕ぎ着けた瀬戸熊がヤミテンで、
三万三万二索二索三索三索四索三筒三筒四筒四筒五筒五筒  ドラ六筒
堀内から安目一索の出アガリ。この局、もし沢崎が国士無双を狙っていたら、3枚切れの発マチのテンパイ。
その場合は、4枚目を掴むのが瀬戸熊だからやむなく四索切りで七対子発単騎に受け変えるので、そうなるとヤミテンでピンフをテンパイしていた小島のアガリだったろう。
東4局の瀬戸熊の親番は、小島がリーチで2,000・3,900。
二万三万四万五万六万七万四索五索五索六索六索八索八索  ツモ四索  ドラ南
南1局1本場は、前局にカン四万待ちの足止めリーチをツモアガって連荘の堀内が、また6巡目即リーチ。
五万六万七万八万八万八万六索七索八索三筒三筒七筒七筒  リーチ  ドラ九筒
この即リーチはさすがにどうだろうか?タンヤオで出アガリが利くし、
二筒四筒六筒八筒引きや、567の三色変化もある。
堀内の頑ななまでに澈底する先制愚形即リーチや、役牌イチ鳴きは、好意的に解釈すれば培ってきた自分のフォームへの自信と強い精神力の表れなのであろう。小島が終盤にようやく理想型にして追いかけるも流局。
五万五万一筒一筒二筒二筒三筒三筒四筒五筒五筒六筒六筒
しぶとく形テンに持ち込む沢崎もそつが無い。
同2本場、ここまで不調の瀬戸熊に、突如2巡目にドラの五万がトイツの九単騎七対子テンパイが入り、小島が不運にも3巡目にツモ切って交通事故みたいな6,400の失点。
それでも瀬戸熊はまだ原点に届かない、南2局とラス前は、堀内が渾身の1,000点で原点復帰。
特に南3局(ドラ発)では親の沢崎が南ポン、二索ポンと仕掛けているにも関わらず、1シャンテンで超危険に見える生牌の發を切り出して食いタンでアガった。
自分のテーマ(このときは原点復帰)が満たせる手がきたら、例え安手でもリスクを犯して勝負に出る強いハートは持っている。
南4局、ラス親の瀬戸熊が僅かに沈んでいるので、沢崎と堀内はこのまま終わらせたいところ。
北家の沢崎が、二筒ポン八索ポンと仕掛けて1シャンテン。堀内も中が暗刻の1シャンテン。
9巡目、最初にテンパイを入れたのは親の瀬戸熊だった。
一万二万三万五万六万七万四索五索六索四筒四筒六筒六筒  ドラ北
しかし、瀬戸熊は何故かリーチを宣言せず、役無しヤミテンを選択。同巡、堀内がテンパイし打六筒
堀内はツモればトップ(ツモリ三暗刻)のテンパイなので、瀬戸熊がリーチでも六筒は勝負する可能性が高い。
一手変わりで親満に変化するなら解るが、このケースで即リーチを打たないのは緩手ではなかったか?
その後、ピンフにも一通にもならず、九万四筒のシャンポンでリーチをかけたが、沢崎と堀内もテンパイした後では簡単にはオリてくれない。沢崎が堀内に打って2連勝で終了。
3回戦成績
沢崎+11.6P  堀内+6.6P  瀬戸熊▲5.7P  小島▲12.5P
3回戦終了時
沢崎+37.0P  堀内+15.4P  瀬戸熊▲15.1P  中村▲17.1P  小島▲20.2P
 
4回戦
起家から、中村、沢崎、小島、瀬戸熊(抜け番:堀内)
堀内は、初日をプラスで打ち終えてまずまずの気分だろう。
瀬戸熊、中村、小島の3人は、ここでトップを取ればマイナスをほぼ解消して初日を終われる。
ただ、沢崎の3連勝だけは阻止しておきたいところだ。
東1局、北家の瀬戸熊がソーズのメンホンに的を絞り、狙い通り配牌から抱えていた自風の北を重ねてテンパイする。
二索三索四索五索五索六索七索八索南南南北北  ドラ四万
これに親の中村が飛び込み、瀬戸熊が久々の先制打。
瀬戸熊はこのアガリを契機にしようと、ようやく強めのチャージをかけ始めたが、アガリには結びつかず東4局の親番でのリーチも空振りに終わる。
一万二万三万四万五万五万六万六万八万八万六索七索八索  ドラ北
沢崎も粘って、四万単騎の七対子に持ち込み今日は沈みそうにない。
同2本場、沢崎が平凡な配牌でも第一打から東白と切り出す独特のランダムな役牌先切り。
技の引き出しが多い沢崎だが、長年の経験則から身に付けた手法の一つなのだろうか、丁寧に絞る時もあればこの局のようにワザと先に切り出す時もある。
これに釣られるように、親の瀬戸熊が3~4巡目に白をかぶり直ぐに発暗刻で中がトイツに・・・
放送を観た方は三元役を失敗したように映るかもしれないが、瀬戸熊が白を捨てない場合は、北家の小島が早めに切るはずでありポンすると中は重ならないから「大三元だったかも~」を論じてもあまり意味は無い。
この局は、一番にテンパイしていた南家・中村が四索を引いてイーペーコーに変わってから七索切りリーチ。
四索四索五索五索六索六索七索八索九索二筒二筒三筒四筒  ドラ九索
小島が同巡、四索七索待ちでテンパイ。山越で中村の現物。
しかも、まだ手変わりもあるが思いきって追いかける。
五万五万六万六万七万七万五索六索七索七索四筒五筒六筒  リーチ
不調の中村が直ぐに薄い四索を掴み1人沈没。
手役を決めた時の、小島の思い切りのよさと勝負強さは流石である。
これで小島もトップ争いに加わり、オーラスは3人がアガリトップの状態。
沢崎がアガれば、初日3戦3トップとなるが、北家・小島の手が良過ぎた。

10dan30

何と6巡目にポンテンの跳満テンパイ
五索六索六索七索七索北北中中中  ポン白白白  ドラ北
瀬戸熊の手牌に放銃の危険が迫る、ツモられても黒棒浮きで止まるのだが、
「小島先生は、テンパイしているかもしれないと思っていましたが、沢崎さんとのポイント差が開き過ぎてもいけないと思い、まっすぐアガリに向かってしまいました。」
何とも痛すぎる一発!
瀬戸熊はこの痛打で、初トップを目前にしながらマイナスの3着に落ち、初日は全てマイナスの3着。
流石に調子が悪くても少ないマイナスで何とか抑えてはいるが、首位沢崎との差が約70P。
このポイント差を利用した、匠なゲーム回しができる沢崎が首位なだけに、3連覇に黄信号が灯ったと言えるかもしれない。
4回戦成績
小島+24.5P  沢崎+9.0P  瀬戸熊▲9.8P  中村▲23.7P
4回戦終了時
沢崎+46.0 P  堀内+15.4P  小島+4.3P  瀬戸熊▲24.9P  中村▲40.8P
沢崎はほぼ満足な初日だっただろう。
試合巧者がポイントをリードしただけに、2日目からも優位にゲームを支配しそうな気がする。
堀内は、瀬戸熊を沈めてプラスで終えたのだからOKだろう。
連続して瀬戸熊と熾烈な優勝争いをしてきたので、瀬戸熊の親番ではかなり意識して落としに行っているように見受けられた、クマクマタイムを発動させない作戦は当然かもしれないが、瀬戸熊を意識しすぎると沢崎に楽に逃げ切られる懸念もある。
小島は最後のトップでプラスに回り「初日はまあこんなもんで充分」と余裕の表情。
やはり小島の大物手が決まり始めると麻雀が面白くなる。
中村は、初のテレビ対局に緊張したようだ。
自分でも言っているように、守備があまり得意ではないのだから、ポイントは気にせず我武者羅にガンガン攻めて活路を見出して欲しい。
王者瀬戸熊は「全体的にちょっと感覚が悪かった」と言うように、今日は少しズレていたようだ。
沢崎との点差を考えると余裕は無いが、自ら運を引き寄せて一気に逆転する場面は、何度も目の当たりにしてきた。約1週間空くので、しっかり修正して2日目からの立て直しに期待したい。
初日4回戦が終了・・・
 
【2日目5回戦~】
2日目は前半の最終戦となる第5回戦から始まる。
初日オール3着で総合4位と不調のまま終えた瀬戸熊は、
「久しぶりに追う展開。逃げるより気分的には楽だが、もう余裕のないくらい離されているので、初戦から自分らしく攻めて行きます、この1週間、Aルールを沢山打ち込んで再調整して来ました。」とのコメント。
逆に小島は「ツキを貯めるために、何日間か牌を握らないで来たよ、ガハハ。」と対照的だった。
 
5回戦
起親から、瀬戸熊、堀内、沢崎、中村(抜け番:小島)
東1局、起親の瀬戸熊が7巡目に先制リーチ。
二万二万二万六万七万八万一索二索三索四索五索八索九索  リーチ  ドラ五筒
ここからツモ五索で、一通崩れの足止めリーチだが、西家の沢崎が直ぐに手なりで追いつく。
三万四万五万二索三索四索二筒三筒四筒五筒五筒七筒七筒
ここから、沢崎が危険牌や手変わりする牌を引いて迷う間もなく、瀬戸熊が即高目の五筒を掴んで、沢崎にあっさり満貫放銃。
追い上げなければならない瀬戸熊が、最初から躓き沢崎がこのまま独走態勢に入るのかと思わせるスタート。
次局は、沢崎の早いリーチ。
一万一万五万五万一索一筒一筒三筒三筒五筒五筒北北  ドラ八索
捨て牌が
中西八万二索四索六索リーチ
1シャンテンの瀬戸熊が、
二万二万四万四万五万八万八万八万一索二索三索七索八索
ここからラス牌の一索を即掴んで止めようもなく3,200点の放銃。
やるせないような放銃が続く瀬戸熊。私には王者瀬戸熊が、早くも土俵際まで追い詰められたように思えた。
東3局、親の沢崎が意外に手間取り13巡目にリーチ。
一万二万三万五索六索三筒四筒五筒六筒七筒八筒西西  リーチ  ドラ一万
その前から、ピンフのみをヤミテンで回していた、南家の中村が沢崎のリーチ後すぐ五筒を引く。
四万四万六万七万八万三索四索五索五筒六筒七筒八筒九筒  ツモ五筒
やむなく、現物の九筒切りで四万五筒のシャンポンに受け変えると沢崎の次のツモが四万
ここは中村が落ち着いたプレーで沢崎のダメ押しを阻止したのだが・・・
南場に入って異変が起こる。
流局2本場で迎えた南1局は、ラス目瀬戸熊の親。

10dan30

瀬戸熊は苦しい展開の中、復活への蜘蛛の糸を求めて、諦めずに丁寧な手巡で123の三色から純チャンまで育てようとするが、やはり先手を取るのは好調沢崎。
たて続けにドラの中を重ね、345の三色は崩れたが12巡目、五筒切りリーチ。
三万四万五万三索四索三筒三筒三筒四筒五筒六筒中中  リーチ  ドラ中
沢崎のツモアガリの気配が濃厚のなか、瀬戸熊が追い付いた。
一万二万三万一索二索三索七索八索九索一筒二筒三筒七筒九筒
とりあえず追い付きはしたのだが、沢崎の現物の九筒は2枚切れ。
七筒は危険牌(実際、沢崎の入り目が二索五索なら七筒はアタリ牌)やはり純チャンの3ハンは捨てがたくピシリと七筒を勝負。
すると沢崎のツモが七筒、瀬戸熊が弱気に受けていれば沢崎からロンだった。
しかし、次の手番である北家の中村が長考後、何故かラス牌の九筒を河に置く。
瀬戸熊、起死回生の親満で浮きの2着目に浮上した。
中村の手はオリている手で、沢崎のリーチに合わせて安意に共通安全牌の発を切らず、3枚目の九筒を合わせておけば瀬戸熊が仕方なく九筒切りとし、沢崎から七筒で3,900だったし、残したのならば、瀬戸熊の七筒はリーチに対して厳しい牌なので、九筒は抑え共通安全牌がまだあったのだから、そちらを切るべきだったのは私が言うまでもない事。
プロを名乗るなら、少なくとも十段戦決勝という高いステージで戦うプロならば、こんな言い訳の利かないレベルの低い放銃はやめて欲しい。多くの批判に晒されても致し方なかろう。
土俵を割る寸前、僥倖の親満をゲットし、徳俵で踏みとどまった瀬戸熊だったが連荘は続かず。

10dan30

連荘の堀内が7巡目にいつもの足止め愚形リーチ。
一万二万三万八万九万三索四索五索七索七索二筒三筒四筒  リーチ  ドラ一索
七万は場に2枚切れで、押し返されたら危険。北家の瀬戸熊がその前の6巡目、
三万四万五万六万六万一索三索五索三筒五筒六筒南南南
この形から六筒切りとした好手に注目したい。是が非でも高打点に仕上げる強い意志の一打だ。
堀内のリーチを受けても手を曲げず、ドラを重ねると無筋の六万をトイツで落とし、まるで堀内のリーチが安手で愚形なことを読み切っているかのように攻めて行く。
中村が何気なく押してきた打四筒がまたラッキーで、タイミング良くチーテンが取れ見事カン四索をツモリ上げた。
オーラスは、沢崎が逃げ切りトップは取れなかったが、瀬戸熊が今決勝でようやくプラスした半荘となった。
5回戦成績
沢崎+14.3P  瀬戸熊+5.7P  中村▲6.6P  堀内▲13.4P
5回戦終了時
沢崎+60.3P  小島+4.3P  堀内+2.0P  瀬戸熊▲19.2P  中村▲47.4P
 
沢崎がトップだったので、瀬戸熊と沢崎のポイントはまた少し開いたが、復調の兆しが見えてきた瀬戸熊。
後半戦の追い上げに期待が出来そうだ。
ここで、前半5回の成績により、上位者から後半戦の抜け番が選択できる。
今日の残りは6~8回戦、9~10回戦は最終日になる。
トータルトップの沢崎は、8回戦の抜け番を選んだ。2位に着ける小島は7回戦。
3位の堀内は6回戦と上位3人共今日抜けておいて、最終日は4半荘全部闘いに参加する作戦だ。
敗退者が確定する10回戦は抜けたくないのが普通で、瀬戸熊が9回戦を選び中村が10回戦の抜け番に決定した。
続いて6回戦が行われたのですが、2日目の最終戦となる8回戦で、前代未聞のアクシデントが起こってしまいました。
既に放送をご覧になった方々はご存じだと思いますが、堀内プロが東4局に勝負手を入れ、是が非でもアガリたいあまり、小島プロの親リーチに対して現物である安全牌の三索を引いたのに、危険牌を引いてオリたと思わせるような動作とため息とともにに、手中の三索を仕方なさそうに切り出すという三味線まがいのアンフェアなトリックプレーを行いました。(堀内プロの待ちはリーチの現物の一索で7,700点)
これに対して瀬戸熊プロは、その少し前に親リーチの現物ですが、堀内プロには当たりになる本命の一索を掴まされ、テンパイしていたにも関わらず、これを止めてオリていたのですが、この一連の動作によって堀内プロがオリたのではないかと惑わされ一索を捨て放銃となりました。
このプレーを悪質な反則行為として、その場でゲームを止めることができず、後日の再審議となってしまい、多少の混乱も招いてしまいましたが、理事会での慎重な審議により、堀内プロを失格とし、残りの4名で決勝戦を継続することになりました。
思ってもいなかった、あってはならない事態が起こってしまった事は誠に残念ですが、
今後は、連盟員全員が競技麻雀のプロとしての自覚と誇りを再認識し、二度とこのような事が起こらないように努力して行かなければなりません。
継続の方法ですが、競技部で検討の結果、後半戦最初の第6回戦目は途中失格の堀内選手が抜け番だったため有効とし(ここまでで残り4名の選手が同じ5半荘ずつの対局となる)
6回戦までのトータル成績を引き継ぎ、後半戦を再開。堀内選手が対局した第7回戦と第8回戦をノーゲームとしました。
どのように決めても誰かに多少の有利不利が生じますが、該当選手全員に納得していただき、
7回戦~11回戦を4人で対局し、今期の十段位を決定する事になりました。
第6回戦からの対局は、観戦記後編でお伝えいたします。

女流プロ写真集「国士無双(仮)」発売記念イベント緊急追加募集!

女子プロ全員とふれあえる!!
写真集発売記念麻雀大会&サイン会 開催決定!!

写真集出演の女子プロとふれあえる!!
写真集発売記念麻雀大会&サイン会!!

日本プロ麻雀連盟の女流プロ13名が出演する写真集「国士無双」(竹書房刊)に
登場している女流プロが一堂に会すイベントの第一弾は超満員御礼! 第1回大
会に抽選漏れする方が続出したため、来年3月9日(日)に急遽第2回大会を開催
することが決定! 女流プロと一緒に麻雀を打って、写真集にサインをしてもら

て一緒に写真を撮って…こんなチャンスまたとない! 今すぐメールで申し込も
う!!

開催日:2014年3月9日12時開始予定
会場:都内雀荘(23区内を予定)
参加費:10,000円

●東風6回戦の後、サイン&2ショット写真撮影会を行います。
●参加者には写真集一冊とチケット2枚を差し上げます。チケット1枚につき、
好きなプロ1名と2人で写真を撮ることができます。また、写真集には全員のサインを入れてもらうことができます。
●麻雀の成績に応じてチケットを獲得することができます。
●応募者多数の場合は抽選となります。当選者にのみ(来年1月中に)メールにてお知らせします。
●参加希望の方は、住所、氏名、年齢、携帯電話番号を明記の上、下記までメールにてお申し込みください。尚、メールにて返信いたしますので、携帯からお申し込みの方はPCからのメールを受信できる設定にしておいてください。
●締切は3月7日(必着)です。
応募先:saikyousen2013@gmail.com

メディア情報/女流プロ写真集「国士無双(仮)」発売記念イベント緊急追加募集!

女子プロ全員とふれあえる!!
写真集発売記念麻雀大会&サイン会 開催決定!!
写真集出演の女子プロとふれあえる!!
写真集発売記念麻雀大会&サイン会!!
日本プロ麻雀連盟の女流プロ13名が出演する写真集「国士無双」(竹書房刊)に
登場している女流プロが一堂に会すイベントの第一弾は超満員御礼! 第1回大
会に抽選漏れする方が続出したため、来年3月9日(日)に急遽第2回大会を開催
することが決定! 女流プロと一緒に麻雀を打って、写真集にサインをしてもら

て一緒に写真を撮って…こんなチャンスまたとない! 今すぐメールで申し込も
う!!
開催日:2014年3月9日12時開始予定
会場:都内雀荘(23区内を予定)
参加費:10,000円

●東風6回戦の後、サイン&2ショット写真撮影会を行います。
●参加者には写真集一冊とチケット2枚を差し上げます。チケット1枚につき、
好きなプロ1名と2人で写真を撮ることができます。また、写真集には全員のサインを入れてもらうことができます。
●麻雀の成績に応じてチケットを獲得することができます。
●応募者多数の場合は抽選となります。当選者にのみ(来年1月中に)メールにてお知らせします。
●参加希望の方は、住所、氏名、年齢、携帯電話番号を明記の上、下記までメールにてお申し込みください。尚、メールにて返信いたしますので、携帯からお申し込みの方はPCからのメールを受信できる設定にしておいてください。
●締切は3月7日(必着)です。
応募先:saikyousen2013@gmail.com

第100回:高宮 まり

いつも通り楽しく和やかに進む私と高宮の会話。
その中で、高宮は急に真剣な表情で言った。

「これだけは絶対にインタビューに書いて欲しいの。女流モンド杯は優勝したいとはもちろん思ったけど、それ以上に私を出場させてくれて私に賭けてくれた制作会社の方々、そして応援してくれるファンの方々の気持ちに応えたいって思った。緊張はしたけど、そんな私に賭けてくれた人達のためにも、日和るわけにはいかないんだ!って強く思って戦っていたよ」

彼女の強い意志がその言葉には込められていた。
普段はなかなか表に出さない彼女の熱い想いを感じた。

彼女を見る多くの人は

「グラビアアイドル高宮まり」

「美しすぎる女流雀士高宮まり」

と、彼女の見た目の美しさに目が行くのではないだろうか。
それももちろん彼女の素晴らしさではあるが、心の内にはいつも熱き想いを秘めながら戦っている。

それは、プロ雀士高宮まりとして。
彼女の魅力は見た目だけではないんだぞ!ということをこのインタビューを通して皆様にお伝え出来たら嬉しいです。

魚谷「まりさん、女流モンド杯優勝おめでとう!!」
高宮「うん、ありがとう。ってゆーみんもその場に居たでしょ」
魚谷「うん。決勝戦を見ていてね、私もあの場で戦いたかったって気持ちは強かった。でも、親友のまりさんが優勝して素直に嬉しい気持ちもあるんだ」
高宮「うん、そっか、ありがとう」

今回の高宮まりプロ女流モンド杯優勝記念インタビューは、大親友の私、魚谷侑未が務めさせて頂きます。
週に2回はご飯を食べに行ったり、買い物に行ったり。
勉強会や仕事でも一緒になる事の多い私は、誰よりもまりさんの事は知っているはず!

そんな私だから聞けるまりさんの素の部分や、心の内に秘めたる想いについてこのインタビューを通してお伝えしていこうと思います。

◯女流モンド杯について。

魚谷「今回、初出場初優勝初タイトルになったわけだけど率直な感想は?」
高宮「嬉しいよ。でも、元々嬉しい事があってもあんまり感情を表に出して喜ぶタイプとかじゃないんだ。
反省点もたくさんあるからやったー!!って感じじゃないけど、じんわりとした嬉しさが込み上げてきた感じだったなぁ」

魚谷「なるほどねー。私もよく言われる事なんだけど、まりさんも麻雀中は表情を変えずにクールに打っているよね?」
高宮「一瞬の感情の上下はしてるんだけど、すぐに押し殺して気持ち的にはフラットに打つ事を心がけています。反省は後ですればいいと思っているので。」

決勝1回戦、南2局

三万四万四万五万六万一索二筒二筒七筒八筒九筒発発  ツモ八筒  ドラ七筒

魚谷「1巡前に危なそうなドラ側の八筒を先に処理したら、親の和泉さんからリーチ。それでもう1回八筒を引いて来ちゃうんだよね。で、ここから一応の1シャンテンに受けないで打九筒。リーチには現物ではないけど一索も通りそうだったけど?」
高宮「1シャンテンで一索は通りそうではあるんだけど、先にドラ周りの八筒を処理したのにもう一度引いちゃって。どうせテンパイしてもドラ周りは親に勝負しにくいから丁寧にオリようと思ったの」

その後、高宮は上手く周りきって七対子ドラドラのテンパイが入る。
しかし、終盤に自分の手にトイツで持っていた四筒を引くとノータイムでオリを選択した。

高宮「自分で四筒七筒をこれだけ持っていて終盤なので流石に辛いなぁ、と。巡目が早ければ七対子ドラドラなので押したかもしれないけど、フリテン単騎だしもうアガリ目もほとんどなかったから」

この時、高宮が最初に打たなかった八筒も、終盤に引いてきた四筒も他家の当たり牌だった。
高宮は全部押すイメージが強いかもしれないが、彼女特有の感性できちんと引くべき局面に引く事が出来る。
その押し引きの感性が、今回の女流モンド杯において特にハマっていたように見えたが、彼女特有のそれは普段の実戦から来る勝負勘なのだろう。

高宮の麻雀は押しの強さだけでなく、繊細な引き際も魅力なのである。

◯グラビアアイドルとして。

oui38_a_10 oui38_a_11

魚谷「今回、モンドTVの【女神降臨】にも出演して、グラビアアイドルとしての高宮まりもファンの方に見せて、更にファンを増やしたとは思うんだけど、本人はグラビアアイドルとしてはどう思っているの?」
高宮「元々そういう事をやるとは思ってなかったし不思議な感じかなぁ。でも、こういうお話を頂けるのは有難い事だなぁって思うよ」
魚谷「周りからの反応はどう?」
高宮「見たよって言って貰えるのは嬉しいよね。元々私を知っている人が見てくれるのも嬉しいけど、私の事を知らなかった人が見て『ファンになりました』って声をかけてくれたりするのも嬉しい」
魚谷「じゃあ、今後もオファーがあれば積極的にグラビアアイドルとしての活動も続けていきたい感じ?」
高宮「そうだね。プロ連盟を通しての仕事なら受けるよ。でも、本格的にグラビアアイドルとして活動したいとかはないかな。プロ雀士としての高宮まりでお話を頂けるなら精一杯頑張ります」

グラビアアイドルとしての活動が目立つ彼女。
誤解されてしまう事もあるかもしれないが、彼女はあくまでも「麻雀プロ高宮まり」である。
それは本人の麻雀プロとしての意識も、麻雀への内に秘めたる情熱も、彼女の意識は全てが「麻雀プロとして」なのだ。

◯プライベートトーク。

魚谷「みんな聞きたいと思うから聞くけど・・・好みの男性のタイプは?」
高宮「聞きたいかなぁ・・・まぁいいや(笑)うーん、可愛げのある人をほっとけなくなっちゃうタイプなんだよね。それで一途で信頼出来る人!信頼出来る人じゃないと恋愛は続けられないかな。欲を言えば、私は勝手に頑張るから基本的には甘やかして欲しいです。あと私よりメンタルが強い人だったらいいな
魚谷「でも、まりさんよりメンタルが強い人ってなかなか居ないよね」
高宮「そうだね(笑)」
魚谷「好きになる男性は麻雀はやらなくていいの?」
高宮「麻雀はやってもいいし、やらなくてもいい。麻雀は“私が”やりたいことであるから、相手には求めない。
理解はしてほしいけどね。それより、人として善い人であってほしい」

魚谷「なるほどねー。でも確かにそうだね。自分が大切に思う事を理解してくれない人とは付き合っても上手くいかないだろうしね」

恋愛に対しても至って真面目な返答が返ってきた(笑)
自分の好きな事に対して、彼女はいつでも真面目だ。

○私とまりさんの関係。

interview100 interview100 interview100

魚谷「まりさんと出会ってからもう2年経ったね」
高宮「そうだね。でも2年って長いなぁって思うけど、これから先もうちらはずっと変わらないだろうね」
魚谷「うんうん。初めてまりさんと出会ったのが毎週木曜日に行っている女流研修会でさ。あの時に第一印象で『この子とは仲良くなれそう』って思ったんだよね」
高宮「私も直感で仲良くなれそう!って思った(笑)大人になってゆーみんみたいな友達が出来ると思わなかったよ」
魚谷「週に何回か会っていて一緒に働いたり、ご飯食べたり、買い物したり、旅行行ったり・・・。色んな事があったけど、喧嘩って一度もした事がないね」
高宮「うん、ないね。なんか陰と陽の関係みたいな?ゆーみんが前に出て、私がちょっと引いて見守るみたいな。好きなものとか思考は似てるんだけど、性格は対照的だから上手くいくのかもね」
魚谷「うんうん。あと、お互いがお互いの駄目なところとか分かり合っていて、そこを含めて認め合って許し合っているかもね」
高宮「私は誰に会うより優先してゆーみんに会いたいし、『次いつゆーみんに会えるのー?(涙)』なんてよくメールしてるしね(笑)」
魚谷「光栄です(笑)いつか、どちらかがもし、麻雀から離れる日が来たとしてもきっと私とまりさんの関係は変わらないね」

【高宮まり】

テレビ対局やグラビア活動、雀荘のゲストやイベントで引っ張りダコの彼女だが、女流モンド杯を優勝して更にその活動は飛躍するだろう。
彼女のアイドル顔負けの見た目の美しさにファンになった人も多いとは思う。
しかし、彼女の容姿だけでなく、真摯に麻雀と向き合う姿、日和る事を知らない前に突き進んで行く麻雀、麻雀プロとしての在り方そのものが美しいと私は思う。

大親友である彼女だが、次に戦うのはモンド王座を懸けた真剣勝負の場。
今回の女流モンド杯は負けたけど、モンド王座では負けないからねっ!

そして、これからもずっとずっと友達で居てください。
私は何があっても、例え世界の全てが彼女の敵になっても、私だけは彼女の味方でいる自信があります。
そのくらい大好きだし、逆に彼女もそうであると勝手に思うくらい信頼しています。
大好きなまりさんの活躍をこれからも隣で応援し続けます。

全国の“高宮まり”ファンの皆様も、これからの高宮まりの活躍にご期待下さい!

プロ雀士インタビュー/第100回:高宮 まり

いつも通り楽しく和やかに進む私と高宮の会話。
その中で、高宮は急に真剣な表情で言った。
「これだけは絶対にインタビューに書いて欲しいの。女流モンド杯は優勝したいとはもちろん思ったけど、それ以上に私を出場させてくれて私に賭けてくれた制作会社の方々、そして応援してくれるファンの方々の気持ちに応えたいって思った。緊張はしたけど、そんな私に賭けてくれた人達のためにも、日和るわけにはいかないんだ!って強く思って戦っていたよ」
彼女の強い意志がその言葉には込められていた。
普段はなかなか表に出さない彼女の熱い想いを感じた。
彼女を見る多くの人は
「グラビアアイドル高宮まり」
「美しすぎる女流雀士高宮まり」
と、彼女の見た目の美しさに目が行くのではないだろうか。
それももちろん彼女の素晴らしさではあるが、心の内にはいつも熱き想いを秘めながら戦っている。
それは、プロ雀士高宮まりとして。
彼女の魅力は見た目だけではないんだぞ!ということをこのインタビューを通して皆様にお伝え出来たら嬉しいです。
魚谷「まりさん、女流モンド杯優勝おめでとう!!」
高宮「うん、ありがとう。ってゆーみんもその場に居たでしょ」
魚谷「うん。決勝戦を見ていてね、私もあの場で戦いたかったって気持ちは強かった。でも、親友のまりさんが優勝して素直に嬉しい気持ちもあるんだ」
高宮「うん、そっか、ありがとう」
今回の高宮まりプロ女流モンド杯優勝記念インタビューは、大親友の私、魚谷侑未が務めさせて頂きます。
週に2回はご飯を食べに行ったり、買い物に行ったり。
勉強会や仕事でも一緒になる事の多い私は、誰よりもまりさんの事は知っているはず!
そんな私だから聞けるまりさんの素の部分や、心の内に秘めたる想いについてこのインタビューを通してお伝えしていこうと思います。
◯女流モンド杯について。
魚谷「今回、初出場初優勝初タイトルになったわけだけど率直な感想は?」
高宮「嬉しいよ。でも、元々嬉しい事があってもあんまり感情を表に出して喜ぶタイプとかじゃないんだ。
反省点もたくさんあるからやったー!!って感じじゃないけど、じんわりとした嬉しさが込み上げてきた感じだったなぁ」

魚谷「なるほどねー。私もよく言われる事なんだけど、まりさんも麻雀中は表情を変えずにクールに打っているよね?」
高宮「一瞬の感情の上下はしてるんだけど、すぐに押し殺して気持ち的にはフラットに打つ事を心がけています。反省は後ですればいいと思っているので。」
決勝1回戦、南2局
三万四万四万五万六万一索二筒二筒七筒八筒九筒発発  ツモ八筒  ドラ七筒
魚谷「1巡前に危なそうなドラ側の八筒を先に処理したら、親の和泉さんからリーチ。それでもう1回八筒を引いて来ちゃうんだよね。で、ここから一応の1シャンテンに受けないで打九筒。リーチには現物ではないけど一索も通りそうだったけど?」
高宮「1シャンテンで一索は通りそうではあるんだけど、先にドラ周りの八筒を処理したのにもう一度引いちゃって。どうせテンパイしてもドラ周りは親に勝負しにくいから丁寧にオリようと思ったの」
その後、高宮は上手く周りきって七対子ドラドラのテンパイが入る。
しかし、終盤に自分の手にトイツで持っていた四筒を引くとノータイムでオリを選択した。
高宮「自分で四筒七筒をこれだけ持っていて終盤なので流石に辛いなぁ、と。巡目が早ければ七対子ドラドラなので押したかもしれないけど、フリテン単騎だしもうアガリ目もほとんどなかったから」
この時、高宮が最初に打たなかった八筒も、終盤に引いてきた四筒も他家の当たり牌だった。
高宮は全部押すイメージが強いかもしれないが、彼女特有の感性できちんと引くべき局面に引く事が出来る。
その押し引きの感性が、今回の女流モンド杯において特にハマっていたように見えたが、彼女特有のそれは普段の実戦から来る勝負勘なのだろう。
高宮の麻雀は押しの強さだけでなく、繊細な引き際も魅力なのである。
◯グラビアアイドルとして。

oui38_a_10 oui38_a_11

魚谷「今回、モンドTVの【女神降臨】にも出演して、グラビアアイドルとしての高宮まりもファンの方に見せて、更にファンを増やしたとは思うんだけど、本人はグラビアアイドルとしてはどう思っているの?」
高宮「元々そういう事をやるとは思ってなかったし不思議な感じかなぁ。でも、こういうお話を頂けるのは有難い事だなぁって思うよ」
魚谷「周りからの反応はどう?」
高宮「見たよって言って貰えるのは嬉しいよね。元々私を知っている人が見てくれるのも嬉しいけど、私の事を知らなかった人が見て『ファンになりました』って声をかけてくれたりするのも嬉しい」
魚谷「じゃあ、今後もオファーがあれば積極的にグラビアアイドルとしての活動も続けていきたい感じ?」
高宮「そうだね。プロ連盟を通しての仕事なら受けるよ。でも、本格的にグラビアアイドルとして活動したいとかはないかな。プロ雀士としての高宮まりでお話を頂けるなら精一杯頑張ります」
グラビアアイドルとしての活動が目立つ彼女。
誤解されてしまう事もあるかもしれないが、彼女はあくまでも「麻雀プロ高宮まり」である。
それは本人の麻雀プロとしての意識も、麻雀への内に秘めたる情熱も、彼女の意識は全てが「麻雀プロとして」なのだ。
◯プライベートトーク。
魚谷「みんな聞きたいと思うから聞くけど・・・好みの男性のタイプは?」
高宮「聞きたいかなぁ・・・まぁいいや(笑)うーん、可愛げのある人をほっとけなくなっちゃうタイプなんだよね。それで一途で信頼出来る人!信頼出来る人じゃないと恋愛は続けられないかな。欲を言えば、私は勝手に頑張るから基本的には甘やかして欲しいです。あと私よりメンタルが強い人だったらいいな
魚谷「でも、まりさんよりメンタルが強い人ってなかなか居ないよね」
高宮「そうだね(笑)」
魚谷「好きになる男性は麻雀はやらなくていいの?」
高宮「麻雀はやってもいいし、やらなくてもいい。麻雀は“私が”やりたいことであるから、相手には求めない。
理解はしてほしいけどね。それより、人として善い人であってほしい」

魚谷「なるほどねー。でも確かにそうだね。自分が大切に思う事を理解してくれない人とは付き合っても上手くいかないだろうしね」
恋愛に対しても至って真面目な返答が返ってきた(笑)
自分の好きな事に対して、彼女はいつでも真面目だ。
○私とまりさんの関係。

interview100 interview100 interview100

魚谷「まりさんと出会ってからもう2年経ったね」
高宮「そうだね。でも2年って長いなぁって思うけど、これから先もうちらはずっと変わらないだろうね」
魚谷「うんうん。初めてまりさんと出会ったのが毎週木曜日に行っている女流研修会でさ。あの時に第一印象で『この子とは仲良くなれそう』って思ったんだよね」
高宮「私も直感で仲良くなれそう!って思った(笑)大人になってゆーみんみたいな友達が出来ると思わなかったよ」
魚谷「週に何回か会っていて一緒に働いたり、ご飯食べたり、買い物したり、旅行行ったり・・・。色んな事があったけど、喧嘩って一度もした事がないね」
高宮「うん、ないね。なんか陰と陽の関係みたいな?ゆーみんが前に出て、私がちょっと引いて見守るみたいな。好きなものとか思考は似てるんだけど、性格は対照的だから上手くいくのかもね」
魚谷「うんうん。あと、お互いがお互いの駄目なところとか分かり合っていて、そこを含めて認め合って許し合っているかもね」
高宮「私は誰に会うより優先してゆーみんに会いたいし、『次いつゆーみんに会えるのー?(涙)』なんてよくメールしてるしね(笑)」
魚谷「光栄です(笑)いつか、どちらかがもし、麻雀から離れる日が来たとしてもきっと私とまりさんの関係は変わらないね」
【高宮まり】
テレビ対局やグラビア活動、雀荘のゲストやイベントで引っ張りダコの彼女だが、女流モンド杯を優勝して更にその活動は飛躍するだろう。
彼女のアイドル顔負けの見た目の美しさにファンになった人も多いとは思う。
しかし、彼女の容姿だけでなく、真摯に麻雀と向き合う姿、日和る事を知らない前に突き進んで行く麻雀、麻雀プロとしての在り方そのものが美しいと私は思う。
大親友である彼女だが、次に戦うのはモンド王座を懸けた真剣勝負の場。
今回の女流モンド杯は負けたけど、モンド王座では負けないからねっ!
そして、これからもずっとずっと友達で居てください。
私は何があっても、例え世界の全てが彼女の敵になっても、私だけは彼女の味方でいる自信があります。
そのくらい大好きだし、逆に彼女もそうであると勝手に思うくらい信頼しています。
大好きなまりさんの活躍をこれからも隣で応援し続けます。
全国の“高宮まり”ファンの皆様も、これからの高宮まりの活躍にご期待下さい!

第83回『~光ある世界へ~』

麻雀は運のゲームだという声を聞く。
そうかな?とも思う。

所詮ツキのゲームでしょ。という声も聞く。
それはどうかな?と私は思う。

ただ私は、そういう声を聞くとき、出来るだけ何も答えず微笑んで聞くようにしている。
相手がそう思い込んでいる以上、どのような言葉を選んで相手に解って貰おうとしても、
疲れるように思うからである。

特に後者の「所詮――」という言葉の裏側には、ツキや運に対する否定の気持ちが潜んでいるように映る。
流れに関してはさらに言えることである。

相対のゲーム、勝負である将棋では、「この一局で流れは変わりますね」と言う。
記憶に残るのは、2008年第21期竜王戦7番勝負第4局。挑戦者である羽生善治を迎えた渡辺明。
3-0のスコアで迎えた第4戦。大方の予想は、羽生のストレート勝ちが多かったように思う。
私もこの対局を見ていたが、ほぼ今局も羽生の圧倒的優勢に思えた。
渡辺も投了を宣言するため、気息を整えていたそうである。

ただその時、優勢であるはずの羽生が少考に沈んだ。
その羽生の様子を見て、

「羽生さんが考えるからにはそこには何か理由があるはず」
と考え、奇跡的とも思える一手を渡辺は見つけた。
その一局を境に4連勝を成し遂げて、防衛するとともに永世竜王に就任し今に至っている。

互いに永世竜王がかかった大切な一番なところだけに、
「流れ」を変えた、重い一手であったことは論を待たないことだろう。

誤解が無いように記せば、私は子供の折り、戯れ程度に将棋を指したことがあるが、
中学に入って以来、一度も指したことが無い。将棋に関しては、それほどの門外漢である。

将棋に限らず、テニス、野球も同じように「流れ」を解説する。
しかし、そこを否定するファンはほとんど存在しないように思う。

麻雀は複数でやる競技、見えない部分が多いが、という打ち手も少なくはない。
私に言わせれば、それもまた違うように思える。

私は若い頃ポーカーに興じていた。
最初の頃覚えたポーカーは、セブンハイと呼ばれる種目で、基本6人から7人でプレイし、
目に見えている部分は麻雀より遥かに少なかった。
名うての打ち手が揃いながらも、勝率が9割を超える人がいた。

「コツはあるのでしょうか?」と、その人に訊いたことがある。
「流れに逆らわない――ということかな」と答えてくれた。

いつも微笑みを絶やさず、どんな窮地に追い込まれてもその微笑みを崩すことがない、その人の愛称は「地蔵」。その地蔵さんの言葉を今でも覚えている。

「前ちゃんの世界は見えている部分が多いから、逆に流れに身を委ねるのは難しいかもしれないね」
もう20年も前の事である。時の過ぎるのは早いものである。

A1リーグ第8節、4回戦 東1局。

私は前半荘まで優勢にありながら、さらに私を上回る好調な朝武雅晴プロに痛恨のエラーで放銃してしまい、
それまで積み上げてきた体勢を損なった。

一万二万三万九万九万一筒二筒四筒五筒六筒七筒八筒九筒

この時点で、すでに序盤に二索八索を立て続けにポンしていた。
明らかな一色手である。

体勢は互いによかったが、態勢(序列)は明らかに朝武プロが優っていた。
それは、1回戦東1局、私の親番で朝武プロはリーチを打ち、軽やかに2,000・3,900をツモリあげた。

三万三万四万五万五万六万六万五索六索七索四筒四筒四筒 リーチ  ツモ七万  ドラ七索

続く2戦目

一万一万二万四万五万五万五万六万七万七万八万九万中  ドラ九万

この形から一万のポンテンで、これもテンパイ2巡後、三万を引きアガっている。
大役をアガれるときは、体勢が一番良い、つまりは態勢が良い証しである。

そんな腰が重く、手役志向が高い朝武プロが、今局、二索八索とポンをしているのだ。
朝武プロは、まだテンパイをしていないと感じたが、私は慎重にヤミテンに構えた。

これが不調者の仕掛けであったなら、私は迷わずペン三筒待ちの即リーチに打って出た。
ヤミテンに構えるということは、ソーズを引いて来たら北家であるということもあり、テンパイを外すのが筋というもの。それが、本手を打つということだと思っている。
私の一気通貫は、リーチを打たない以上、かわし手に過ぎないからである。

ところが数巡後、ツモ四索で長考の末、その四索を卓上に打ち出した。
三筒が朝武プロの現物であること、周りがすでにベタオリに入っていること、現在私がトップ目で朝武プロが沈んでおり、体勢そのものが悪くないと考えてしまった。一番大きな理由は、トータルポイントを考えてしまったことかもしれない。

色々な理由があるが、それは全て言い訳であり、自分へのそして麻雀への甘えである。
こんな四索が通るほど麻雀はいい加減には出来ていない。
そもそも、何故私が降級争いをしているかを考えれば、自明の理である。

私はこの放銃で今日一日を諦めはしなかったが、自分を呪いたくなった。
態勢はそう簡単に崩れるものではないが、体勢は意外と脆いものである。

【流れを変えた七対子】

私が救われたのは、4回戦東4局の親番、5巡目に七対子のテンパイが入り、

四万四万五万五万九万九万一筒一筒三筒三筒五筒北北  ドラ南

この局面で、猿川プロがドラである南を打ち出し、次巡ツモ切りリーチである。
私の知っている猿川プロならば、即リーチを打たないということはそこには必ずキズがあると読んだ。
高い手役を持っていれば待ちに関係なく即リーチを打ってくるだろうし、アガリ役があればヤミテンに構えるべき局面なのである。

私は猿川プロの待ちを読めなかった、いや読まなくてもよいとさえ考えた。
私は次巡、ツモ四筒で打五筒で追いかけリーチを打った。

私がやるべきこと、成すべきことは追いかけリーチを打ち、他家を降ろし、サシの勝負に持ち込むことである。
結果は、猿川プロが四筒を掴み、私への放銃。これはありがたかった。

1本場は、早い巡目に抑え込みのリーチで流局。
今局はアガれてもアガれなくてもどちらでもよく、大切なのは親番の維持だった。

2本場が勝負どころと考えていたが、配牌を取った瞬間、予想していたものより悪く、もう少しまとまった配牌を予測していたのだが…
ただ、その時点では状態がかなり良くなっていたのを感じていたので、真っ直ぐに字牌から打ち出していった。

解説者である滝沢和典プロがコメントしていた。
「愚形と分かっていても突っ込みづらい局面であり、次局に、4,000オール、6,000オールとくるのが、
前原プロのパターンである。だからと言って、じゃあどうしろと言われても打ち手としても困る」

滝沢プロの解説通り、8巡目、猿川プロの仕掛けで、ドラの五索を引き込み即リーチを打った。

四万五万六万七万七万五索六索七索三筒四筒五筒六筒七筒 リーチ  ドラ五索

一手変わり三色もあるが、朝武プロの手牌の煮詰まり具合を感じて打ったリーチである。
正確に打てば、私が放った白はツモ切りしても良い牌で、そうしておけば二筒が入り、
ドラである五索のツモアガリで収束していた可能性もある局面だった。

驚いたのは、朝武プロが煮詰まっていたのではなく、僅か4巡目にしてテンパイをしていたことだ。

一万二万三万三万四万五万三索三索四索五索七索七索八索八索

ここから打七索のテンパイ取らずもあったのだろうが、素直にテンパイを取っている。
このあたりは局面に素直なのか、トータルポイントを持っている者の強みか。

朝武プロが、私のリーチに一発で掴まされたのが無筋の三万。ここで朝武プロが撤退。
これはバランスのとれた構え方である。ただ、三万を打ち切れば次巡八索をツモアガっていた。
このあたりが麻雀の難しいところである。
結果は、朝武プロが私への五筒の放銃。ありがとう朝武プロ!

3本場(この後の親が長いんですよ)山井弘プロのコメントである。
私自身もイケるとは感じていた。
私の配牌は

一万二万四万三索四索四索四索七索八索一筒八筒東発発  ドラ一筒

ホンイツがメインであり、ドラの重なりも見ていた。
1枚目の発は当然スルー。状態が上がってきているし、朝武プロからの直撃で、態勢(序列)はまだ変わっていないにしてもかなり近くに感じていた。結果は、

三万四万五万三索四索四索四索七索八索九索  ポン発発発

この牌姿でアガっているのだが、その前にドラである一筒単騎でアガっている。
それは、私の態勢の読みの過ち、つまりはミスである。

【おっさん何すんねん?!!】

4本場、配牌

一万二万五万六万六万七万六索七索九索二筒六筒東南発  ドラ四索

配牌を取り終えた時の感覚は、大したことないなと思った。
原因は、前局態勢を読み違え一筒をツモアガリ損なったことにあるように考えていた。

一筒のかぶりは気にするタイプなんだろうか」というコメントが流れていたが、
私、大変気にします!

次局以降の戦いに影響する、という気持ちを私は持っている。
今局に関しては、私に利した部分は猿川プロの字牌の1枚目の仕掛けだったと思う。
ただ、それも猿川プロの持っている感性なのだろう。
あの配牌が9巡目に仕上がる。

五万六万七万三索五索六索七索八索八索二筒三筒六筒七筒  ツモ五筒  ドラ四索

私はこのテンパイが入った瞬間(6,000は6,400オール!)
と心の中で発声の準備をしていた。
これは私の構えが良かったのではなく、誰が打ってもこうなる。

宣言牌の三索を静かに置いて「リーチ」
その声と重なるように「チー」
(おっさん、なにすんねん?!!)

そして、猿川プロは能面の表情で、私の入り目である五筒をノータイムでツモ切る。
しかも、あたかも完全安全牌であるかのようにツモ切る。これが猿川プロのプロとしての顔である。

後で映像を見たが、古川プロの仕掛けは、

一万三万五万五万一索二索二索四索六索一筒三筒東中

この牌姿を見た時、呆れると同時に尊敬の念を強く持った。
古川プロは戦っているのである。身体で戦っているのである。感性と呼んでもいいかもしれない。

私が理解したのは、古川プロ独特のオリを前提とした前進、もしくはツモ筋をずらしたものである。
全く持ってこのアグレッシブさには恐れいる。

結果は、猿川プロの七万ツモアガリである。

五万六万三索四索五索八索八索七筒八筒九筒  ポン西西西  ツモ七万

このアガリを見た時、猿川プロの戦う姿勢に感動するとともに、モチベーションが上がったことをはっきり覚えている。
この収束を見た時、一番得をしたのは古川プロではなかっただろうか。
なぜならば、私にとっては考えられないファインプレーだったからである。

次局は、その古川プロの親番である。平場をピンフでしっかりとヤミテンで出アガった。
私はこれを見て、古川プロのターンになることを感じていた。

【ガラリーの正体】

私の感じていた通り、古川プロより3巡目にリーチが入る。
南1局2本場
捨牌 九筒白中 リーチ

二万二万二万五万六万七万六索七索八索四筒五筒南南  ドラ南

古川プロのリーチを受けた時点での私の手牌。

四万五万五万六万八万九万四索五索一筒三筒八筒九筒北  ツモ五索

ちなみに、古川プロの配牌である。

二万二万二万五万六万六索七索四筒五筒九筒南南白中

活きているのである。古川プロのツモが生命力に溢れているのである。
古川プロのリーチの第一ツモがドラである南だった。
その南を打ち出す指の表情に、私は違和感を覚えた。

そして同巡内に、誰もドラである南を合わせ打ってこないのをみて、違和感が確信へと変わった。
古川プロの雀頭はドラである南であると。

私は3,900オールを覚悟した。そして、丁寧に古川プロの安全牌を打ち進めて行った。
打ち進めながら考えていたのは、私と古川プロの態勢である。
思い込みかもしれないが、まだわずかに私の方に分があるように思えた。

四万五万五万六万六万七万八万九万四索四索四索一筒三筒  ツモ三万

私はツモってきた三万を支柱におき五万を右端に寄せた。ここで少考したのは、態勢の差の確認である。
もちろん、古川さんの待ちは全くとっていいほど読んでいない。
ただ純粋に、態勢の差のみを考えていたのである。

そしてわたしが出した答えが、追いかけリーチである。
私を知っている麻雀ファンの方たちは、俗にこれをガラリーと呼ぶ。
ただ分かって欲しい部分は、相手が親であり、ドラがトイツであることを想定した上で、こちら側は愚形待ちのリーチであるということ。
言葉を変えるならば、僅か1,300点のアガりVS最低7,700の戦いである。
愚かと言われれば頷くしかない。

今局の結果は、たまたま僥倖と呼ぶべき私のアガリではあったが、その裏側には脅えも振り込む怖さも合わせ持っているのである。

私に関して言えば、残り1節、不毛ともいえる降級争いの最下位卓で戦わなくてはならない。
人の価値観はそれぞれである。麻雀を運のゲームと呼ぶ者もいれば、所詮ツキのゲームと呼ぶ者もいる。
それはそれで致し方ないことだと思う。ただ私たちは、少なくとも私はそうは考えていない。

私はツキの存在も運もあると思っている。麻雀観はツキと運を奪い合うものだと考えている。
そう考えていないと、麻雀プロなどやっていられないのである。

ただ一方で、未成熟な世界であることも私は知っている。
その未成熟な世界を、光ある世界に変えていくのは、瀬戸熊君をはじめ、これから生まれ出る若き連盟のプレイヤーだと信じてやまない。

ファンの皆さんに祈りにも似た気持ちがあるとすれば、
連盟チャンネルでA1のみならず、A2の戦いを観て欲しいということである。
そこには必ず真実があるのだから。

暖かい気持ちで、未成熟な私たちの世界を見守っていただければ幸いである。

上級/第83回『~光ある世界へ~』

麻雀は運のゲームだという声を聞く。
そうかな?とも思う。
所詮ツキのゲームでしょ。という声も聞く。
それはどうかな?と私は思う。
ただ私は、そういう声を聞くとき、出来るだけ何も答えず微笑んで聞くようにしている。
相手がそう思い込んでいる以上、どのような言葉を選んで相手に解って貰おうとしても、
疲れるように思うからである。
特に後者の「所詮――」という言葉の裏側には、ツキや運に対する否定の気持ちが潜んでいるように映る。
流れに関してはさらに言えることである。
相対のゲーム、勝負である将棋では、「この一局で流れは変わりますね」と言う。
記憶に残るのは、2008年第21期竜王戦7番勝負第4局。挑戦者である羽生善治を迎えた渡辺明。
3-0のスコアで迎えた第4戦。大方の予想は、羽生のストレート勝ちが多かったように思う。
私もこの対局を見ていたが、ほぼ今局も羽生の圧倒的優勢に思えた。
渡辺も投了を宣言するため、気息を整えていたそうである。
ただその時、優勢であるはずの羽生が少考に沈んだ。
その羽生の様子を見て、
「羽生さんが考えるからにはそこには何か理由があるはず」
と考え、奇跡的とも思える一手を渡辺は見つけた。
その一局を境に4連勝を成し遂げて、防衛するとともに永世竜王に就任し今に至っている。
互いに永世竜王がかかった大切な一番なところだけに、
「流れ」を変えた、重い一手であったことは論を待たないことだろう。
誤解が無いように記せば、私は子供の折り、戯れ程度に将棋を指したことがあるが、
中学に入って以来、一度も指したことが無い。将棋に関しては、それほどの門外漢である。
将棋に限らず、テニス、野球も同じように「流れ」を解説する。
しかし、そこを否定するファンはほとんど存在しないように思う。
麻雀は複数でやる競技、見えない部分が多いが、という打ち手も少なくはない。
私に言わせれば、それもまた違うように思える。
私は若い頃ポーカーに興じていた。
最初の頃覚えたポーカーは、セブンハイと呼ばれる種目で、基本6人から7人でプレイし、
目に見えている部分は麻雀より遥かに少なかった。
名うての打ち手が揃いながらも、勝率が9割を超える人がいた。
「コツはあるのでしょうか?」と、その人に訊いたことがある。
「流れに逆らわない――ということかな」と答えてくれた。
いつも微笑みを絶やさず、どんな窮地に追い込まれてもその微笑みを崩すことがない、その人の愛称は「地蔵」。その地蔵さんの言葉を今でも覚えている。
「前ちゃんの世界は見えている部分が多いから、逆に流れに身を委ねるのは難しいかもしれないね」
もう20年も前の事である。時の過ぎるのは早いものである。
A1リーグ第8節、4回戦 東1局。
私は前半荘まで優勢にありながら、さらに私を上回る好調な朝武雅晴プロに痛恨のエラーで放銃してしまい、
それまで積み上げてきた体勢を損なった。
一万二万三万九万九万一筒二筒四筒五筒六筒七筒八筒九筒
この時点で、すでに序盤に二索八索を立て続けにポンしていた。
明らかな一色手である。
体勢は互いによかったが、態勢(序列)は明らかに朝武プロが優っていた。
それは、1回戦東1局、私の親番で朝武プロはリーチを打ち、軽やかに2,000・3,900をツモリあげた。
三万三万四万五万五万六万六万五索六索七索四筒四筒四筒 リーチ  ツモ七万  ドラ七索
続く2戦目
一万一万二万四万五万五万五万六万七万七万八万九万中  ドラ九万
この形から一万のポンテンで、これもテンパイ2巡後、三万を引きアガっている。
大役をアガれるときは、体勢が一番良い、つまりは態勢が良い証しである。
そんな腰が重く、手役志向が高い朝武プロが、今局、二索八索とポンをしているのだ。
朝武プロは、まだテンパイをしていないと感じたが、私は慎重にヤミテンに構えた。
これが不調者の仕掛けであったなら、私は迷わずペン三筒待ちの即リーチに打って出た。
ヤミテンに構えるということは、ソーズを引いて来たら北家であるということもあり、テンパイを外すのが筋というもの。それが、本手を打つということだと思っている。
私の一気通貫は、リーチを打たない以上、かわし手に過ぎないからである。
ところが数巡後、ツモ四索で長考の末、その四索を卓上に打ち出した。
三筒が朝武プロの現物であること、周りがすでにベタオリに入っていること、現在私がトップ目で朝武プロが沈んでおり、体勢そのものが悪くないと考えてしまった。一番大きな理由は、トータルポイントを考えてしまったことかもしれない。
色々な理由があるが、それは全て言い訳であり、自分へのそして麻雀への甘えである。
こんな四索が通るほど麻雀はいい加減には出来ていない。
そもそも、何故私が降級争いをしているかを考えれば、自明の理である。
私はこの放銃で今日一日を諦めはしなかったが、自分を呪いたくなった。
態勢はそう簡単に崩れるものではないが、体勢は意外と脆いものである。

【流れを変えた七対子】

私が救われたのは、4回戦東4局の親番、5巡目に七対子のテンパイが入り、
四万四万五万五万九万九万一筒一筒三筒三筒五筒北北  ドラ南
この局面で、猿川プロがドラである南を打ち出し、次巡ツモ切りリーチである。
私の知っている猿川プロならば、即リーチを打たないということはそこには必ずキズがあると読んだ。
高い手役を持っていれば待ちに関係なく即リーチを打ってくるだろうし、アガリ役があればヤミテンに構えるべき局面なのである。
私は猿川プロの待ちを読めなかった、いや読まなくてもよいとさえ考えた。
私は次巡、ツモ四筒で打五筒で追いかけリーチを打った。
私がやるべきこと、成すべきことは追いかけリーチを打ち、他家を降ろし、サシの勝負に持ち込むことである。
結果は、猿川プロが四筒を掴み、私への放銃。これはありがたかった。
1本場は、早い巡目に抑え込みのリーチで流局。
今局はアガれてもアガれなくてもどちらでもよく、大切なのは親番の維持だった。
2本場が勝負どころと考えていたが、配牌を取った瞬間、予想していたものより悪く、もう少しまとまった配牌を予測していたのだが…
ただ、その時点では状態がかなり良くなっていたのを感じていたので、真っ直ぐに字牌から打ち出していった。
解説者である滝沢和典プロがコメントしていた。
「愚形と分かっていても突っ込みづらい局面であり、次局に、4,000オール、6,000オールとくるのが、
前原プロのパターンである。だからと言って、じゃあどうしろと言われても打ち手としても困る」
滝沢プロの解説通り、8巡目、猿川プロの仕掛けで、ドラの五索を引き込み即リーチを打った。
四万五万六万七万七万五索六索七索三筒四筒五筒六筒七筒 リーチ  ドラ五索
一手変わり三色もあるが、朝武プロの手牌の煮詰まり具合を感じて打ったリーチである。
正確に打てば、私が放った白はツモ切りしても良い牌で、そうしておけば二筒が入り、
ドラである五索のツモアガリで収束していた可能性もある局面だった。
驚いたのは、朝武プロが煮詰まっていたのではなく、僅か4巡目にしてテンパイをしていたことだ。
一万二万三万三万四万五万三索三索四索五索七索七索八索八索
ここから打七索のテンパイ取らずもあったのだろうが、素直にテンパイを取っている。
このあたりは局面に素直なのか、トータルポイントを持っている者の強みか。
朝武プロが、私のリーチに一発で掴まされたのが無筋の三万。ここで朝武プロが撤退。
これはバランスのとれた構え方である。ただ、三万を打ち切れば次巡八索をツモアガっていた。
このあたりが麻雀の難しいところである。
結果は、朝武プロが私への五筒の放銃。ありがとう朝武プロ!
3本場(この後の親が長いんですよ)山井弘プロのコメントである。
私自身もイケるとは感じていた。
私の配牌は
一万二万四万三索四索四索四索七索八索一筒八筒東発発  ドラ一筒
ホンイツがメインであり、ドラの重なりも見ていた。
1枚目の発は当然スルー。状態が上がってきているし、朝武プロからの直撃で、態勢(序列)はまだ変わっていないにしてもかなり近くに感じていた。結果は、
三万四万五万三索四索四索四索七索八索九索  ポン発発発
この牌姿でアガっているのだが、その前にドラである一筒単騎でアガっている。
それは、私の態勢の読みの過ち、つまりはミスである。

【おっさん何すんねん?!!】

4本場、配牌
一万二万五万六万六万七万六索七索九索二筒六筒東南発  ドラ四索
配牌を取り終えた時の感覚は、大したことないなと思った。
原因は、前局態勢を読み違え一筒をツモアガリ損なったことにあるように考えていた。
一筒のかぶりは気にするタイプなんだろうか」というコメントが流れていたが、
私、大変気にします!
次局以降の戦いに影響する、という気持ちを私は持っている。
今局に関しては、私に利した部分は猿川プロの字牌の1枚目の仕掛けだったと思う。
ただ、それも猿川プロの持っている感性なのだろう。
あの配牌が9巡目に仕上がる。
五万六万七万三索五索六索七索八索八索二筒三筒六筒七筒  ツモ五筒  ドラ四索
私はこのテンパイが入った瞬間(6,000は6,400オール!)
と心の中で発声の準備をしていた。
これは私の構えが良かったのではなく、誰が打ってもこうなる。
宣言牌の三索を静かに置いて「リーチ」
その声と重なるように「チー」
(おっさん、なにすんねん?!!)
そして、猿川プロは能面の表情で、私の入り目である五筒をノータイムでツモ切る。
しかも、あたかも完全安全牌であるかのようにツモ切る。これが猿川プロのプロとしての顔である。
後で映像を見たが、古川プロの仕掛けは、
一万三万五万五万一索二索二索四索六索一筒三筒東中
この牌姿を見た時、呆れると同時に尊敬の念を強く持った。
古川プロは戦っているのである。身体で戦っているのである。感性と呼んでもいいかもしれない。
私が理解したのは、古川プロ独特のオリを前提とした前進、もしくはツモ筋をずらしたものである。
全く持ってこのアグレッシブさには恐れいる。
結果は、猿川プロの七万ツモアガリである。
五万六万三索四索五索八索八索七筒八筒九筒  ポン西西西  ツモ七万
このアガリを見た時、猿川プロの戦う姿勢に感動するとともに、モチベーションが上がったことをはっきり覚えている。
この収束を見た時、一番得をしたのは古川プロではなかっただろうか。
なぜならば、私にとっては考えられないファインプレーだったからである。
次局は、その古川プロの親番である。平場をピンフでしっかりとヤミテンで出アガった。
私はこれを見て、古川プロのターンになることを感じていた。

【ガラリーの正体】

私の感じていた通り、古川プロより3巡目にリーチが入る。
南1局2本場
捨牌 九筒白中 リーチ
二万二万二万五万六万七万六索七索八索四筒五筒南南  ドラ南
古川プロのリーチを受けた時点での私の手牌。
四万五万五万六万八万九万四索五索一筒三筒八筒九筒北  ツモ五索
ちなみに、古川プロの配牌である。
二万二万二万五万六万六索七索四筒五筒九筒南南白中
活きているのである。古川プロのツモが生命力に溢れているのである。
古川プロのリーチの第一ツモがドラである南だった。
その南を打ち出す指の表情に、私は違和感を覚えた。
そして同巡内に、誰もドラである南を合わせ打ってこないのをみて、違和感が確信へと変わった。
古川プロの雀頭はドラである南であると。
私は3,900オールを覚悟した。そして、丁寧に古川プロの安全牌を打ち進めて行った。
打ち進めながら考えていたのは、私と古川プロの態勢である。
思い込みかもしれないが、まだわずかに私の方に分があるように思えた。
四万五万五万六万六万七万八万九万四索四索四索一筒三筒  ツモ三万
私はツモってきた三万を支柱におき五万を右端に寄せた。ここで少考したのは、態勢の差の確認である。
もちろん、古川さんの待ちは全くとっていいほど読んでいない。
ただ純粋に、態勢の差のみを考えていたのである。
そしてわたしが出した答えが、追いかけリーチである。
私を知っている麻雀ファンの方たちは、俗にこれをガラリーと呼ぶ。
ただ分かって欲しい部分は、相手が親であり、ドラがトイツであることを想定した上で、こちら側は愚形待ちのリーチであるということ。
言葉を変えるならば、僅か1,300点のアガりVS最低7,700の戦いである。
愚かと言われれば頷くしかない。
今局の結果は、たまたま僥倖と呼ぶべき私のアガリではあったが、その裏側には脅えも振り込む怖さも合わせ持っているのである。
私に関して言えば、残り1節、不毛ともいえる降級争いの最下位卓で戦わなくてはならない。
人の価値観はそれぞれである。麻雀を運のゲームと呼ぶ者もいれば、所詮ツキのゲームと呼ぶ者もいる。
それはそれで致し方ないことだと思う。ただ私たちは、少なくとも私はそうは考えていない。
私はツキの存在も運もあると思っている。麻雀観はツキと運を奪い合うものだと考えている。
そう考えていないと、麻雀プロなどやっていられないのである。
ただ一方で、未成熟な世界であることも私は知っている。
その未成熟な世界を、光ある世界に変えていくのは、瀬戸熊君をはじめ、これから生まれ出る若き連盟のプレイヤーだと信じてやまない。
ファンの皆さんに祈りにも似た気持ちがあるとすれば、
連盟チャンネルでA1のみならず、A2の戦いを観て欲しいということである。
そこには必ず真実があるのだから。
暖かい気持ちで、未成熟な私たちの世界を見守っていただければ幸いである。

第21期東北プロリーグ 第7節レポート

Aリーグ:青木武

現在、首位を走る遠藤を他の4人がどう戦うか注目。

1回戦
東1局、親の杜から先制リーチが入る。

一万一万一万二万三万一索二索一筒二筒七筒八筒九筒  リーチ  ドラ三筒

数巡後、杜がドラ三筒をツモり河に置くと対面の渡部がポン。一気に場が重苦しくなった。
南家の遠藤も粘って七対子の六万待ち。三索を掴まされカベとスジで三索を切り18,000の放銃となった。

開局早々荒れた展開に。苦しいスタートとなった遠藤がどう戦うか注目してみた。
東場の遠藤は親満をテンパイしたものの、渡部がアガリ辛い親流れ。
南場1局 遠藤が13巡目に1待ちの国士無双テンパイ。ここも渡部がアガリ、遠藤の展開の悪さを感じた。
杜は今から7,700をアガリ1人浮きで1回戦を終えた。杜の冷静さが目立った一戦だった。

遠藤は高い手は入るが、アガれないイライラする展開が続く。

配牌 
三万四万七万八万八万九索一筒一筒三筒三筒四筒七筒東  ドラ八索

これが15巡目には

八万八万八索八索八索一筒一筒一筒三筒三筒三筒四筒四筒

結局、泉に放銃となってしまった。
この日、遠藤は国士無双2回、四暗刻1回と3回役満をテンパったが一度も成就しなかった。
と言いますか、普通4半荘で3回も役満テンパりますか?持ってるんですね。
上位との差が縮まり面白い展開になった。残り3節、後悔のないよう打ち切りたい。

Aリーグ

順位 名前 1節 2節 3節 4節 5節 6節 7節 8節 9節 10節 合計 順位
1 遠藤昭太 94.6 73.8 ▲ 24.3 ▲ 23.6 67.6 18.8 ▲ 30.3 176.6 1
2 佐藤大介 ▲ 5.8 17.1 57.6 47.3 14.8 24.5 17.0 172.5 2
3 皆川直毅 42.8 ▲ 34.2 69.4 ▲ 1.2 ▲ 37.3 ▲ 14.8 44.9 69.6 3
4 粕谷勇吉 ▲ 11.2 18.4 ▲ 27.7 44.5 39.3 ▲ 6.4 ▲ 5.4 51.5 4
5 渡部稔 55.1 25.6 ▲ 37.9 ▲ 56.1 ▲ 1.4 ▲ 13.9 34.5 5.9 5
6 泉亮多 ▲ 4.6 9.9 40.5 4.1 25.4 ▲ 28.6 ▲ 44.8 1.9 6
7 青木武 ▲ 31.5 ▲ 6.5 ▲ 30.3 ▲ 16.7 63.6 ▲ 7.3 29.5 0.8 7
8 杜麻沙也 ▲ 57.5 ▲ 14.6 1.6 ▲ 13.5 ▲ 2.9 4.5 61.0 ▲ 21.4 8
9 高橋清隆 ▲ 58.6 ▲ 20.9 ▲ 0.4 ▲ 50.8 ▲ 32.6 87.0 29.1 ▲ 47.2 9
10 工藤宏紀 1.8 1.7 8.4 25.3 ▲ 33.8 7.2 ▲ 66.0 ▲ 55.4 10
11 今貴聡 ▲ 20.4 12.6 ▲ 43.9 34.9 ▲ 29.6 ▲ 24.2 ▲ 20.4 ▲ 91.0 11
12 東幸一郎 12.7 19.6 ▲ 100.0 19.4 5.8 5.0 ▲ 62.2 ▲ 99.7 12
13 平田孝章 9.1 ▲ 35.7 21.7 ▲ 23.6 ▲ 50.0 ▲ 3.8 ▲ 41.3 ▲ 123.6 13
14 吉田勝弥 0.6 ▲ 63.7 ▲ 36.7 5.0 ▲ 78.9 ▲ 11.9 ▲ 10.4 ▲ 196.0 14

Bリーグ:遠藤昭太

第7節に差し掛かり、ポイントに応じた戦略が求められる後半戦を各自どのように戦ったのか。

1卓(新田、大里、佐藤、佐々木)
1回戦目、技術はあるものの低調が続いていた新田がトップ発進。
続く2回戦では最近好調の女流大里が僅差を制しての1人浮き。
3回戦目は苦しい展開が続いていたという佐藤が意地の1着と、総合で3、4、5位の3人の三つ巴になった。
ラスト4回戦目は新田が+25.2Pと大きくプラスを伸ばすトップで締めた。

2卓(安ヶ平、三井、早坂、斎藤)

総合1、2位の安ヶ平と三井の対決が注目されるこの卓。2節目以降プラス続きと安定感を見せていた安ヶ平は2回戦目まで浮きの2着が2回、対する三井も強気の打ち筋で2回戦目トップと互角の様相を見せる。
しかし、3回戦で波乱が起こる。斎藤がこの半荘+39.3Pと大暴れし、安ヶ平▲34.8P、三井▲21.3Pと双方大きく失点してしまう。

4回戦目、三井は2着でプラスを死守したが、安ヶ平はラスと明暗が分かれた。
直接対決を制した三井が、総合1位に昇ったものの、残り3節ある状態ではまだまだ入れ替わるような点差。
気の抜けない状況が続く。
また、現在マイナスの者も最終節までに4位以内に入れば、上位陣との同卓対決で逆転できる可能性がある。
残る3節を精一杯戦って欲しい。

Bリーグ

順位 名前 1節 2節 3節 4節 5節 6節 7節 8節 9節 10節 合計 順位
1 三井光一 ▲ 13.8 36.9 ▲ 4.5 89.3 ▲ 21.1 ▲ 3.5 11.2 94.5 1
2 新田大輔 37.2 0.2 65.8 ▲ 19.5 ▲ 39.8 ▲ 12.3 39.6 71.2 2
3 安ヶ平浩希 ▲ 14.5 24.3 10.0 10.6 54.3 17.9 ▲ 43.2 59.4 3
4 大里奈美 18.1 ▲ 60.9 61.5 ▲ 51.3 ▲ 3.4 44.2 25.8 34.0 4
5 佐藤晃大 3.3 18.0 2.5 18.9 ▲ 63.7 ▲ 18.0 0.2 ▲ 38.8 5
6 早坂和人 ▲ 17.6 ▲ 22.7 ▲ 6.2 ▲ 7.0 32.5 ▲ 20.1 ▲ 13.6 ▲ 54.7 6
7 斎藤智大 ▲ 7.9 ▲ 1.8 ▲ 74.0 15.9 ▲ 33.9 ▲ 11.8 44.6 ▲ 68.9 7
8 佐々木啓文 ▲ 15.0 ▲ 49.0 ▲ 57.1 ▲ 56.9 45.1 2.6 ▲ 66.6 ▲ 196.9 8

東北プロリーグ レポート/第21期東北プロリーグ 第7節レポート

Aリーグ:青木武
現在、首位を走る遠藤を他の4人がどう戦うか注目。
1回戦
東1局、親の杜から先制リーチが入る。
一万一万一万二万三万一索二索一筒二筒七筒八筒九筒  リーチ  ドラ三筒
数巡後、杜がドラ三筒をツモり河に置くと対面の渡部がポン。一気に場が重苦しくなった。
南家の遠藤も粘って七対子の六万待ち。三索を掴まされカベとスジで三索を切り18,000の放銃となった。
開局早々荒れた展開に。苦しいスタートとなった遠藤がどう戦うか注目してみた。
東場の遠藤は親満をテンパイしたものの、渡部がアガリ辛い親流れ。
南場1局 遠藤が13巡目に1待ちの国士無双テンパイ。ここも渡部がアガリ、遠藤の展開の悪さを感じた。
杜は今から7,700をアガリ1人浮きで1回戦を終えた。杜の冷静さが目立った一戦だった。
遠藤は高い手は入るが、アガれないイライラする展開が続く。
配牌 
三万四万七万八万八万九索一筒一筒三筒三筒四筒七筒東  ドラ八索
これが15巡目には
八万八万八索八索八索一筒一筒一筒三筒三筒三筒四筒四筒
結局、泉に放銃となってしまった。
この日、遠藤は国士無双2回、四暗刻1回と3回役満をテンパったが一度も成就しなかった。
と言いますか、普通4半荘で3回も役満テンパりますか?持ってるんですね。
上位との差が縮まり面白い展開になった。残り3節、後悔のないよう打ち切りたい。
Aリーグ

順位 名前 1節 2節 3節 4節 5節 6節 7節 8節 9節 10節 合計 順位
1 遠藤昭太 94.6 73.8 ▲ 24.3 ▲ 23.6 67.6 18.8 ▲ 30.3 176.6 1
2 佐藤大介 ▲ 5.8 17.1 57.6 47.3 14.8 24.5 17.0 172.5 2
3 皆川直毅 42.8 ▲ 34.2 69.4 ▲ 1.2 ▲ 37.3 ▲ 14.8 44.9 69.6 3
4 粕谷勇吉 ▲ 11.2 18.4 ▲ 27.7 44.5 39.3 ▲ 6.4 ▲ 5.4 51.5 4
5 渡部稔 55.1 25.6 ▲ 37.9 ▲ 56.1 ▲ 1.4 ▲ 13.9 34.5 5.9 5
6 泉亮多 ▲ 4.6 9.9 40.5 4.1 25.4 ▲ 28.6 ▲ 44.8 1.9 6
7 青木武 ▲ 31.5 ▲ 6.5 ▲ 30.3 ▲ 16.7 63.6 ▲ 7.3 29.5 0.8 7
8 杜麻沙也 ▲ 57.5 ▲ 14.6 1.6 ▲ 13.5 ▲ 2.9 4.5 61.0 ▲ 21.4 8
9 高橋清隆 ▲ 58.6 ▲ 20.9 ▲ 0.4 ▲ 50.8 ▲ 32.6 87.0 29.1 ▲ 47.2 9
10 工藤宏紀 1.8 1.7 8.4 25.3 ▲ 33.8 7.2 ▲ 66.0 ▲ 55.4 10
11 今貴聡 ▲ 20.4 12.6 ▲ 43.9 34.9 ▲ 29.6 ▲ 24.2 ▲ 20.4 ▲ 91.0 11
12 東幸一郎 12.7 19.6 ▲ 100.0 19.4 5.8 5.0 ▲ 62.2 ▲ 99.7 12
13 平田孝章 9.1 ▲ 35.7 21.7 ▲ 23.6 ▲ 50.0 ▲ 3.8 ▲ 41.3 ▲ 123.6 13
14 吉田勝弥 0.6 ▲ 63.7 ▲ 36.7 5.0 ▲ 78.9 ▲ 11.9 ▲ 10.4 ▲ 196.0 14

Bリーグ:遠藤昭太
第7節に差し掛かり、ポイントに応じた戦略が求められる後半戦を各自どのように戦ったのか。
1卓(新田、大里、佐藤、佐々木)
1回戦目、技術はあるものの低調が続いていた新田がトップ発進。
続く2回戦では最近好調の女流大里が僅差を制しての1人浮き。
3回戦目は苦しい展開が続いていたという佐藤が意地の1着と、総合で3、4、5位の3人の三つ巴になった。
ラスト4回戦目は新田が+25.2Pと大きくプラスを伸ばすトップで締めた。
2卓(安ヶ平、三井、早坂、斎藤)
総合1、2位の安ヶ平と三井の対決が注目されるこの卓。2節目以降プラス続きと安定感を見せていた安ヶ平は2回戦目まで浮きの2着が2回、対する三井も強気の打ち筋で2回戦目トップと互角の様相を見せる。
しかし、3回戦で波乱が起こる。斎藤がこの半荘+39.3Pと大暴れし、安ヶ平▲34.8P、三井▲21.3Pと双方大きく失点してしまう。
4回戦目、三井は2着でプラスを死守したが、安ヶ平はラスと明暗が分かれた。
直接対決を制した三井が、総合1位に昇ったものの、残り3節ある状態ではまだまだ入れ替わるような点差。
気の抜けない状況が続く。
また、現在マイナスの者も最終節までに4位以内に入れば、上位陣との同卓対決で逆転できる可能性がある。
残る3節を精一杯戦って欲しい。
Bリーグ

順位 名前 1節 2節 3節 4節 5節 6節 7節 8節 9節 10節 合計 順位
1 三井光一 ▲ 13.8 36.9 ▲ 4.5 89.3 ▲ 21.1 ▲ 3.5 11.2 94.5 1
2 新田大輔 37.2 0.2 65.8 ▲ 19.5 ▲ 39.8 ▲ 12.3 39.6 71.2 2
3 安ヶ平浩希 ▲ 14.5 24.3 10.0 10.6 54.3 17.9 ▲ 43.2 59.4 3
4 大里奈美 18.1 ▲ 60.9 61.5 ▲ 51.3 ▲ 3.4 44.2 25.8 34.0 4
5 佐藤晃大 3.3 18.0 2.5 18.9 ▲ 63.7 ▲ 18.0 0.2 ▲ 38.8 5
6 早坂和人 ▲ 17.6 ▲ 22.7 ▲ 6.2 ▲ 7.0 32.5 ▲ 20.1 ▲ 13.6 ▲ 54.7 6
7 斎藤智大 ▲ 7.9 ▲ 1.8 ▲ 74.0 15.9 ▲ 33.9 ▲ 11.8 44.6 ▲ 68.9 7
8 佐々木啓文 ▲ 15.0 ▲ 49.0 ▲ 57.1 ▲ 56.9 45.1 2.6 ▲ 66.6 ▲ 196.9 8

天空麻雀13 男性大会準決勝 11月20日放送開始!

男性大会準決勝の組み合わせは

小島武夫(九段) vs 荒正義(九段) vs 森山茂和(九段) vs 藤原隆弘(八段)

番組特設ページはこちら  「エンタメ~テレ」HPはこちら  番組紹介はこちら

メディア情報/天空麻雀13 男性大会準決勝 11月20日放送開始!

男性大会準決勝の組み合わせは

小島武夫(九段) vs 荒正義(九段) vs 森山茂和(九段) vs 藤原隆弘(八段)

番組特設ページはこちら  「エンタメ~テレ」HPはこちら  番組紹介はこちら

第82回:河井保国

201311リレーエッセィ:河井保国

はじめまして。 今回、岡本プロからバトンを受け取りました、北関東支部所属24期生の河井保国です。
文章は、書くのも読むのも苦手ですが、皆様に読んでもらえるようにがんばって書いて行きます。
よろしくお願いします。

まずは、自分を知ってもらうために、簡単に自己紹介をさせていただきます。

1974年6月23日生まれ、寅年のA型。(バツ1)一緒に暮らしていませんが、愛娘(ゆずちゃん)と麻雀、お酒(酒乱で名が売れているみたいですが) をこよなく愛している39歳です。

今回は、先日行われた最強戦全日本プロ予選のことなど、自分の麻雀感を交えながら書こうと思います。

約170人と大勢のプロが参加する今大会のシステムは、まず半荘4回の合計で上位25人に絞られます。
そのあとに、地方予選を勝ち上がったプロ6人と、最強戦ガール対決で勝った松岡千晶プロが加わり、
32人が8卓に分かれて1回勝負のトーナメントでベスト 16進出者が決まるというシステムでした。

自分は、予選1回戦から37,000点持ちの3着スタートで、今日は苦しい戦いになるなぁと思いましたが、
その後、2回戦はトップ、3回戦3着で合計+20Pくらい。
最後の4回戦が始まる前に発表されたボーダーは+85P前後。
次の半荘で、60,000点くらいのトップを取ることが勝ち上がるために必要な条件になりました。

自分の麻雀のスタイルは、簡単に言うと打点重視の攻めです。
ノーテン罰も払わない気持ちで攻めて攻めて自分らしい麻雀に撤したところ、
それが上手く嵌まり、オーラスは42,000点持ちのトップ目で親番を向かえることができました。

オーラスは、条件が厳しくなった者は手作りが窮屈になります。
そのため、最後の親は有利な展開になることがあるのです。

しかし、制限時間は残り10分… おそらくあと2局…
ソーズのホンイツ手が入りましたが、残り局数を考えて無理やりチンイツに移行。
なんとか4,000オールのアガリにこぎつけ、持ち点は54,000点に。

(トップを取るとオカと順位点で+50。総トータルが+94。発表されたボーダーはなんとか越えた。しかしこういった短期戦では、ボーダーが上がることが多い。とにかく、あと1回アガリがほしい。サイコロを振って…残り5分… 次の手牌はタンピン系…7巡目にテンパイが入り、迷わずリーチ!!

11巡目に2,600は2,700オール!!これで目標の60,000点に到達。
次局は流局し、1人テンパイで終了。+84Pのトップでトータル+104P。

そして、発表の時を待つ… +97Pの選手のポイント表が外された…
つまり、100P以上ないと厳しい… 
大丈夫かなぁと不安がよぎった…

103Pの選手が最後に外され、自分はギリギリセーフの24位で次のステージへ。
やった!残った!
本当にギリギリのライン。最後の局の1人テンパイ料で残ったのかぁ…
もしあの局の前に時間になってたらと思うとぞっとした。

ベスト32はトーナメント方式で、同卓者2人勝ち上がりとなるシステム。

試合が始まった。この試合は自分なりにテーマを作って試合に望んだ。
先手を取れたらまずリーチを打って相手に考えさせる麻雀をしようと…そしてリードしたら丁寧に打つ、これも テーマのひとつだった。

1人がダントツのトップ。残り3人のうち1つの椅子を狙い最終局…
トップ走者からリーチが入る…
自分は現在2着。残り2人は3,000点で2着という大接戦だ。

なぜこの状況でトップ目がリーチをかけてきたのか考えた。
役なし多面待ちがセオリー。しかし一発裏ドラがあるルールだと打点が読みずらい。

自分は少考の末、オリを選択した。
自分で決めに行くべきか、オリるべきか…
これまでの自分の麻雀人生で、似たような状況が何度かあったが、自ら決めにいって吉と出ることが少なかった。

(頼む、ツモってくれ…)祈りが通じて、リーチ者が他家から出アガリした瞬間、自分の勝ち上がりが決まった。
リーチ者の手牌は、役ありの三索六索九索待ち。
(???ヤミでいいじゃないかっ)

最後に運を味方にしてこの日を無事に終えた。

翌日のベスト16は、自分にとって初めてカメラの前で麻雀を打つことになる。
心地よい緊張感だ。当日は台風のため関東は大荒れ。
自分の出番は1回戦目。対戦相手はみな連盟員。

現場ではみなが緊張している。ある選手は牌の切り方やフォームを今更チェックしているような始末。
初のテレビ対局で仕方ないことかもしれないが、今から戦いに挑む体制ができてない証拠だろう。

最北の雀士、石田プロと運営などで活躍している太田プロ。もう1人は自分の後輩にあたる北関東支部所属1年目の斎藤プロなのだ。現在、プロリーグでB1リーグに所属している自分としては、勝って当たり前、負ければ言い訳にしかならないと思って勝負に臨んだ。

とはいえ、正直自分の中にも、得体のしれない緊張感は潜んでいる。
そんな中、撮影スタッフとして現場にいた、後輩の大木プロが声をかけてくれる。
なんでもない会話なのだろうが、気持ちの高ぶりを抑えてくれた。

まず開始前にインタビューで意気込みを言った。

『がむしゃらに攻めます!』

この1回勝負でカッコ良く勝とうとはしない。
ただ、自分らしい麻雀で3人を圧倒してやるという思いでいっぱいだった。

起家から、河井、斎藤、石田、太田

自分は親番スタート。まずは先手をとりたかったが、西家の石田が6巡目にドラを打ち出す。 明らかに早そうだ。 自分は1シャンテンから手が進まず、2枚目の五索をポンして六索片アガリのタンヤオテンパイを入れる。
数巡後に、石田から六索が出て1,500のアガリとなった。

次局1本場、今度は太田がリーチ。 このときの自分の手牌は…

四万六万三索五索六索六索八索二筒二筒四筒六筒六筒八筒  ツモ六索  ドラ六索

先手を取られたが戦うと決めた。数巡後手牌が

四万六万三索四索五索六索六索六索二筒二筒四筒六筒六筒  ツモ七万

攻めるなら打四万が普通だろう。しかし1シャンテンは所詮1シャンテンというのが私の持論でもある。
勝負牌は2つまでにしている。ひとまず五筒のスジになっている二筒を切り、数巡後、ツモ八万四万を勝負牌として勝負にでた。

残り1回のツモで三筒をツモリ4,000は4,100オール!
次局、またも太田プロがリーチ! そしてツモられ裏ドラ2枚で満貫…

東2局、石田プロからリーチがくるが、態勢的に自分が打つ局ではないと思ってただ真っ直ぐアガリを目指し勝負を決める倍満を引きアガった。

さらに南2局で、太田プロの先制リーチを受けながらもメンホン七対子を引きアガリ、リードを広げそのまま決勝進出となった

とりあえずホッとした気持ちと、同時に、「あと1つ」という気持ちが抑えられずにいた。
決勝戦までの時間を過ごすため、会場をあとにして、あまりよろしくない行動にでてしまった …
それは最後に…

決勝戦対局開始。
起家から、河井、村上、井出、荒木

自分はベスト16同様に起家スタート。
なんとか主導権をとりたかったが、井出プロからリーチ!
そして、ツモ2,000・4,000のスタートと、悪い立ち上がりとなった。

そして次局。
これが自分の敗因となる一局。 井出プロの仕掛けに対しての3,900の放銃…

ドラが北。井出プロの最終手出し八万を見たのにも関わらず、生牌の九万で打ち込むという初歩的なエラーをしてしまった。

そのあとは荒木プロの変幻自在の麻雀に翻弄され、局は進み自分1人だけ蚊帳の外。

最終オーラスでは、自分以外がアガリトップという条件。自分の打牌で決着をつけてしまわないよう、一打一打丁寧にオリるしかない。 決勝戦解説だった森山会長に、『あの九万での放銃がなぁ…自分が負けた理由が解っているならいい。次がんばれ』とありがたい言葉をいただいた。

そして、1日中解説をしてお疲れの瀬戸熊鳳凰位を(半ば強引に)連れて打ち上げに…
もちろん、自分は瀬戸熊さんの話を聞きたい一心での誘いだ。

瀬戸熊『河井は劣勢に立たされたときの麻雀がなぁ』 これもありがたい言葉である。
しっかり見てくれていた。鳳凰位が自分の麻雀を…

克服すべきことは沢山ある。これを機に稽古を積んで、絶対に今より良くなろうと強く思った。

そして、それは決勝戦が終わってから2、3日すぎた日のこと。先輩と飲む機会があった。
『ベスト16を勝ち上がり、終わってから軽く軽食を食べて、ビデオルームに行き対戦する相手の麻雀を見て研究してました。』

この話に対して先輩が…

『なんで見るんだ!ダメなんだよ見ちゃ!』
『最後まで見てしまうのがよくない。1、2局見て、ぼけぇ~~としていたほうがまだよかった』

この話をしてくれたのが、北関東支部でお世話になっている沢崎プロの言葉だった。
決勝に残ってたった1回の勝負なら見てもいいことがないと…

リーグ戦などの長いスパンなら相手の打ち筋やクセを見ることはいい。
1回勝負の場合、余計な情報が入るからよくない。

自分にとって、とても理解できるし思い当たる話だった 。 これは経験の差… 経験の差はその先輩プロが麻雀をやめない限り追いつけない。 その経験を淀みなく話をしてくれる先輩プロは、自分の宝物だと実感している。

自身の麻雀の進化…

自分にはトッププロの先輩達のような経験はない。しかし麻雀が強く巧い経験者から、ありがたいお話や指導があったおかげで今の自分の麻雀があると思う。 立ち止まることなく進化できる麻雀プロを目指したい。
そのためには、こういった交流はとても大切だと自分はありがたく思う。(ただ酒が好きというのはありますが(笑))色々な麻雀の知識を教わり、自分の引き出しにできれば今より強く、巧くなれると自分は思っている。

こうやって目にかけてもらっている先輩プロの方々に、河井は強い!河井の麻雀は変わった!と言わせるような麻雀を打ち、見てくれているファンの方々を魅了するパフォーマンスができるようにこれからも精進していきたいと思います。今後も応援よろしくお願いします!!

こんな話を、最後までお付き合いいただきありがとうございました。
それでは次にバトンを渡したいと思います。

同じB1リーグに所属している、現在、十段戦の決勝を戦っている最中の中村毅プロよろしくお願いします。
このエッセィでいい報告ができるよう期待していますよ。

リレーエッセィ/第82回:河井保国

201311リレーエッセィ:河井保国
はじめまして。 今回、岡本プロからバトンを受け取りました、北関東支部所属24期生の河井保国です。
文章は、書くのも読むのも苦手ですが、皆様に読んでもらえるようにがんばって書いて行きます。
よろしくお願いします。
まずは、自分を知ってもらうために、簡単に自己紹介をさせていただきます。
1974年6月23日生まれ、寅年のA型。(バツ1)一緒に暮らしていませんが、愛娘(ゆずちゃん)と麻雀、お酒(酒乱で名が売れているみたいですが) をこよなく愛している39歳です。
今回は、先日行われた最強戦全日本プロ予選のことなど、自分の麻雀感を交えながら書こうと思います。
約170人と大勢のプロが参加する今大会のシステムは、まず半荘4回の合計で上位25人に絞られます。
そのあとに、地方予選を勝ち上がったプロ6人と、最強戦ガール対決で勝った松岡千晶プロが加わり、
32人が8卓に分かれて1回勝負のトーナメントでベスト 16進出者が決まるというシステムでした。
自分は、予選1回戦から37,000点持ちの3着スタートで、今日は苦しい戦いになるなぁと思いましたが、
その後、2回戦はトップ、3回戦3着で合計+20Pくらい。
最後の4回戦が始まる前に発表されたボーダーは+85P前後。
次の半荘で、60,000点くらいのトップを取ることが勝ち上がるために必要な条件になりました。
自分の麻雀のスタイルは、簡単に言うと打点重視の攻めです。
ノーテン罰も払わない気持ちで攻めて攻めて自分らしい麻雀に撤したところ、
それが上手く嵌まり、オーラスは42,000点持ちのトップ目で親番を向かえることができました。
オーラスは、条件が厳しくなった者は手作りが窮屈になります。
そのため、最後の親は有利な展開になることがあるのです。
しかし、制限時間は残り10分… おそらくあと2局…
ソーズのホンイツ手が入りましたが、残り局数を考えて無理やりチンイツに移行。
なんとか4,000オールのアガリにこぎつけ、持ち点は54,000点に。
(トップを取るとオカと順位点で+50。総トータルが+94。発表されたボーダーはなんとか越えた。しかしこういった短期戦では、ボーダーが上がることが多い。とにかく、あと1回アガリがほしい。サイコロを振って…残り5分… 次の手牌はタンピン系…7巡目にテンパイが入り、迷わずリーチ!!
11巡目に2,600は2,700オール!!これで目標の60,000点に到達。
次局は流局し、1人テンパイで終了。+84Pのトップでトータル+104P。
そして、発表の時を待つ… +97Pの選手のポイント表が外された…
つまり、100P以上ないと厳しい… 
大丈夫かなぁと不安がよぎった…
103Pの選手が最後に外され、自分はギリギリセーフの24位で次のステージへ。
やった!残った!
本当にギリギリのライン。最後の局の1人テンパイ料で残ったのかぁ…
もしあの局の前に時間になってたらと思うとぞっとした。
ベスト32はトーナメント方式で、同卓者2人勝ち上がりとなるシステム。
試合が始まった。この試合は自分なりにテーマを作って試合に望んだ。
先手を取れたらまずリーチを打って相手に考えさせる麻雀をしようと…そしてリードしたら丁寧に打つ、これも テーマのひとつだった。
1人がダントツのトップ。残り3人のうち1つの椅子を狙い最終局…
トップ走者からリーチが入る…
自分は現在2着。残り2人は3,000点で2着という大接戦だ。
なぜこの状況でトップ目がリーチをかけてきたのか考えた。
役なし多面待ちがセオリー。しかし一発裏ドラがあるルールだと打点が読みずらい。
自分は少考の末、オリを選択した。
自分で決めに行くべきか、オリるべきか…
これまでの自分の麻雀人生で、似たような状況が何度かあったが、自ら決めにいって吉と出ることが少なかった。
(頼む、ツモってくれ…)祈りが通じて、リーチ者が他家から出アガリした瞬間、自分の勝ち上がりが決まった。
リーチ者の手牌は、役ありの三索六索九索待ち。
(???ヤミでいいじゃないかっ)
最後に運を味方にしてこの日を無事に終えた。
翌日のベスト16は、自分にとって初めてカメラの前で麻雀を打つことになる。
心地よい緊張感だ。当日は台風のため関東は大荒れ。
自分の出番は1回戦目。対戦相手はみな連盟員。
現場ではみなが緊張している。ある選手は牌の切り方やフォームを今更チェックしているような始末。
初のテレビ対局で仕方ないことかもしれないが、今から戦いに挑む体制ができてない証拠だろう。
最北の雀士、石田プロと運営などで活躍している太田プロ。もう1人は自分の後輩にあたる北関東支部所属1年目の斎藤プロなのだ。現在、プロリーグでB1リーグに所属している自分としては、勝って当たり前、負ければ言い訳にしかならないと思って勝負に臨んだ。
とはいえ、正直自分の中にも、得体のしれない緊張感は潜んでいる。
そんな中、撮影スタッフとして現場にいた、後輩の大木プロが声をかけてくれる。
なんでもない会話なのだろうが、気持ちの高ぶりを抑えてくれた。
まず開始前にインタビューで意気込みを言った。
『がむしゃらに攻めます!』
この1回勝負でカッコ良く勝とうとはしない。
ただ、自分らしい麻雀で3人を圧倒してやるという思いでいっぱいだった。
起家から、河井、斎藤、石田、太田
自分は親番スタート。まずは先手をとりたかったが、西家の石田が6巡目にドラを打ち出す。 明らかに早そうだ。 自分は1シャンテンから手が進まず、2枚目の五索をポンして六索片アガリのタンヤオテンパイを入れる。
数巡後に、石田から六索が出て1,500のアガリとなった。
次局1本場、今度は太田がリーチ。 このときの自分の手牌は…
四万六万三索五索六索六索八索二筒二筒四筒六筒六筒八筒  ツモ六索  ドラ六索
先手を取られたが戦うと決めた。数巡後手牌が
四万六万三索四索五索六索六索六索二筒二筒四筒六筒六筒  ツモ七万
攻めるなら打四万が普通だろう。しかし1シャンテンは所詮1シャンテンというのが私の持論でもある。
勝負牌は2つまでにしている。ひとまず五筒のスジになっている二筒を切り、数巡後、ツモ八万四万を勝負牌として勝負にでた。
残り1回のツモで三筒をツモリ4,000は4,100オール!
次局、またも太田プロがリーチ! そしてツモられ裏ドラ2枚で満貫…
東2局、石田プロからリーチがくるが、態勢的に自分が打つ局ではないと思ってただ真っ直ぐアガリを目指し勝負を決める倍満を引きアガった。
さらに南2局で、太田プロの先制リーチを受けながらもメンホン七対子を引きアガリ、リードを広げそのまま決勝進出となった
とりあえずホッとした気持ちと、同時に、「あと1つ」という気持ちが抑えられずにいた。
決勝戦までの時間を過ごすため、会場をあとにして、あまりよろしくない行動にでてしまった …
それは最後に…
決勝戦対局開始。
起家から、河井、村上、井出、荒木
自分はベスト16同様に起家スタート。
なんとか主導権をとりたかったが、井出プロからリーチ!
そして、ツモ2,000・4,000のスタートと、悪い立ち上がりとなった。
そして次局。
これが自分の敗因となる一局。 井出プロの仕掛けに対しての3,900の放銃…
ドラが北。井出プロの最終手出し八万を見たのにも関わらず、生牌の九万で打ち込むという初歩的なエラーをしてしまった。
そのあとは荒木プロの変幻自在の麻雀に翻弄され、局は進み自分1人だけ蚊帳の外。
最終オーラスでは、自分以外がアガリトップという条件。自分の打牌で決着をつけてしまわないよう、一打一打丁寧にオリるしかない。 決勝戦解説だった森山会長に、『あの九万での放銃がなぁ…自分が負けた理由が解っているならいい。次がんばれ』とありがたい言葉をいただいた。
そして、1日中解説をしてお疲れの瀬戸熊鳳凰位を(半ば強引に)連れて打ち上げに…
もちろん、自分は瀬戸熊さんの話を聞きたい一心での誘いだ。
瀬戸熊『河井は劣勢に立たされたときの麻雀がなぁ』 これもありがたい言葉である。
しっかり見てくれていた。鳳凰位が自分の麻雀を…
克服すべきことは沢山ある。これを機に稽古を積んで、絶対に今より良くなろうと強く思った。
そして、それは決勝戦が終わってから2、3日すぎた日のこと。先輩と飲む機会があった。
『ベスト16を勝ち上がり、終わってから軽く軽食を食べて、ビデオルームに行き対戦する相手の麻雀を見て研究してました。』
この話に対して先輩が…
『なんで見るんだ!ダメなんだよ見ちゃ!』
『最後まで見てしまうのがよくない。1、2局見て、ぼけぇ~~としていたほうがまだよかった』
この話をしてくれたのが、北関東支部でお世話になっている沢崎プロの言葉だった。
決勝に残ってたった1回の勝負なら見てもいいことがないと…
リーグ戦などの長いスパンなら相手の打ち筋やクセを見ることはいい。
1回勝負の場合、余計な情報が入るからよくない。
自分にとって、とても理解できるし思い当たる話だった 。 これは経験の差… 経験の差はその先輩プロが麻雀をやめない限り追いつけない。 その経験を淀みなく話をしてくれる先輩プロは、自分の宝物だと実感している。
自身の麻雀の進化…
自分にはトッププロの先輩達のような経験はない。しかし麻雀が強く巧い経験者から、ありがたいお話や指導があったおかげで今の自分の麻雀があると思う。 立ち止まることなく進化できる麻雀プロを目指したい。
そのためには、こういった交流はとても大切だと自分はありがたく思う。(ただ酒が好きというのはありますが(笑))色々な麻雀の知識を教わり、自分の引き出しにできれば今より強く、巧くなれると自分は思っている。
こうやって目にかけてもらっている先輩プロの方々に、河井は強い!河井の麻雀は変わった!と言わせるような麻雀を打ち、見てくれているファンの方々を魅了するパフォーマンスができるようにこれからも精進していきたいと思います。今後も応援よろしくお願いします!!
こんな話を、最後までお付き合いいただきありがとうございました。
それでは次にバトンを渡したいと思います。
同じB1リーグに所属している、現在、十段戦の決勝を戦っている最中の中村毅プロよろしくお願いします。
このエッセィでいい報告ができるよう期待していますよ。