第21回静岡リーグ 決勝戦観戦記
2013年12月31日
2013年9月1日。
第21回静岡リーグ決勝戦当日。
今日、静岡リーグの歴史に新たな1ページが刻まれる。
静岡リーグ決勝戦は、予選通過順に、1位+40P、2位+30P、3位+20P、4位+10P 、5位+0Pとアドバンテージが与えられる。
全6回戦行われ、5回戦終了時にポイント最下位の者が敗退となり(各1回抜け番)、最終1回戦を行い、トータルポイントがトップの者が優勝となる。
まず、ここでは選手紹介に加え、決勝直前の選手たちのコメントを紹介しよう。
1位通過 一般参加 竹内仁さん
(過去6回参戦、5回決勝進出、優勝1回)
過去の実績、今回の成績をご覧いただければお分かりいただけると思うが、驚異的な実績を持つ。
麻雀というゲームの性質上、考えられないほどの実績だ。
アマチュア屈指の実力者であり、前回静岡リーグでは念願の初優勝を果たした。
麻雀のスタイルは、かなり攻撃的な部類に属するだろう。手数も多く、打点も高い。
しかし、攻撃力ばかりに目が行きがちだが、非常に繊細な一面を持つ打ち手である。
静岡リーグ初の連覇を目指す。
竹内さん「周りがどうかというより、自分を信じて自分の麻雀を打ち切る。」
2位通過 中部本部 12期生 杉村泰治プロ
(過去14回参戦、5回決勝進出、優勝0回)
静岡リーグではもうお馴染みと言っていいだろう。常に高順位に着ける安定感はさすがの一言。
手数は多く、先手を取るスピード重視の打ち手。牌理に強く、正確な手順で先手を取り、リーチも多い印象だ。杉村プロの強さは、これに加え守備力にある。不本意な放銃が少なく失点が少ない。そのため、粘り強くしぶとい。
2位通過ということで、+30Pのアドバンテージは杉村プロにとって非常に大きく作用するだろう。
杉村プロ「5回目の決勝。確率で言えば5回に1回は優勝できる。強敵揃いだが、優勝目指してがんばります。」
3位通過 一般参加 萩原孝亮さん
(初参加、初出場)
堂々の初参加初出場。5節を戦い抜き、決勝進出を果たしたが、その実力は未知数。
ダークホース的な存在になるだろう。全5節の成績を見てみると、爆発力もあり、大きくマイナスしない安定感もある優れた打ち手であることが分かる。
おそらくかなりの緊張感を持ってこの日を迎えたことだろう。是非、気負うことなく自分の麻雀を打ち、全力を出し切ってほしい。
萩原さん「気持ちで負けないように打ちたい。竹内さんと石津さんをマークしたい。」
4位通過 一般参加 石津寿人さん
(過去18回参戦4回決勝進出、優勝1回)
ご存知の方もいらっしゃるだろう。元連盟Bリーガー。その実力はアマチュアとなった今でも健在。ここでこのようなことを書くのは適切ではないかもしれないが、石津さんのプロになったばかりのころの実力はかなり低かったという話を聞く。
それが、Bリーガーにまでなり、地方リーグでも優勝と実績を残した。おそらく、ここまで成長するのには、計り知れない努力をしてきたことだろう。その時、培われたものが現役を離れた今でも残っている。
プロで優勝、アマでも優勝という偉業を目指す。
石津さん「戦略として、面子、心理を見て役牌絡みの仕掛けは積極的にする。」
5位通過 一般参加 坂本彰光さん
(過去3回参戦、1回決勝進出、優勝0回)
競技麻雀の経験がまだ少ないが、3回目の参加で決勝に進出したのはお見事。
麻雀に対し、非常に熱心に取り組む姿勢が、我々から見ても魅力的である。
麻雀のスタイルとしては、場をかき回すようなことはほとんどなく、自分の手牌に素直に打つタイプだろう。
そのため、勢いに乗り、手が入り始めたときは脅威となる。
その持ち前の力強さで戦い抜いてほしい。
坂本さん「残れると思っていなかったので、自分の麻雀が打てれば・・・」
以上5名による戦いとなる。プロ1名、アマチュア4名の構図となったが、プロ1名というのも今回が初。
これは、アマチュアの方々のレベル向上を意味すると同時に、プロとアマチュアのレベルの僅少化も同時に意味する。
これは、この先麻雀プロが本当のプロフェッショナルとなり行くためには、重く受け止めなければならないし、より一層自覚と覚悟を持たなければならない。
(以下文章中敬称略)
1回戦(起家から石津、萩原、杉村、坂本)抜け番:竹内
いざ、開局。
東1局0本場。
それぞれの配牌を見渡す。杉村が少し抜けているか。
そこに、先手を取って仕掛けたのは親番の石津。のポンテンなのだが、待ちはフリテン。
しかし、この仕掛けで相手を対応させる結果となり、700オールのアガリとなる。
親番の仕掛け、開局したばかりで慎重になることなど心理面の駆け引きを考えた石津らしさが早くも出た1局だった。
続く東1局1本場。
石津の連荘も想定できたが、この局も杉村の手が良い。ドラ暗刻のテンパイが入り、リーチ。
ドラ
しかし、萩原がタンヤオのみの1,300でかわす。
杉村は二局連続で手が入っていたが、実らず。これを本人はどう捉え、どう対処するか。
ここまで大きな点棒の動きがないまま、南場に突入。
流局が続き、南1局3本場。
親番・石津。
打 ドラ
数巡後、
ドラ
このテンパイでリーチ。ほぼ理想通りのテンパイだろう。
そこに南家の萩原が追いかけリーチ。
このリーチ合戦は石津がをツモリ、4,000オールと石津に軍配が上がる。
ここでついに大きく点棒が動いた。
南1局4本場。
坂本に待望の初リーチが掛かる。
リーチ
三色の5,200のリーチ。そこに萩原が応戦し、仕掛ける。
しかし、この仕掛けが利したのは、石津だった。
石津が萩原の仕掛けにより、追いつき、慎重にヤミテンを選択し、2,900は4,100のアガリ。
この辺りも非常に落ち着いている。
南1局6本場。
ここでは、石津が先手を取る。
ツモ ドラ
このテンパイ。一通にも両面にもならず決して嬉しい形ではなくテンパイ取らずも十分にあり得る。
しかし、石津はテンパイを取り、ヤミテン。
その後、ツモで迷わず切りリーチ。連荘している親のリーチに他家は直線的には向かえない。
流局となったが、石津にとっては思い通りの結果となっただろう。
こういった心理面をうまく活用し、自分のペースを作り上げていく。
南1局7本場。
やはり石津の配牌が良い。しかし、萩原がピンフドラ1の先制リーチをかける。
石津の親番を落としに行くならヤミにするのもありだが・・・
次巡、石津もテンパイ。ヤミテンにし、ドラと振り代わりリーチに出る。そして一発ツモ。
2,600は3,300オールと大きく加点する。
南1局9本場。
石津は2巡目にピンフの1シャンテン。流れというものには賛否両論あるだろうが、そういったものを感じさせられる。石津はずっと抱えていたドラを重ね、ドラのポンテンをとる。しかし、このドラを打ち出したのは杉村。杉村のスタイル、信頼度から考えて、ほぼテンパイと言える。
ここは、2人の勝負。石津が勝つと思えてならなかったが、杉村がメンホンの2,000・4,000をツモリ、長い石津の親が終わる。
この後、杉村は、持ち前の粘り強さでテンパイとアガリを重ね、石津に喰らい付き、杉村も5万点弱の2着につける。
2時間20分にも及ぶ1回戦が終わった。ここまで長引いた半荘は記憶にない。
これも決勝戦ならではの緊張感や気持ちが作り出すものだろう。
1回戦成績
石津+35.9P 杉村+23.8P 坂本▲26.3P 萩原▲33.4P
一回戦終了時
杉村+53.4P 石津+45.9P 竹内+40.0P 萩原▲13.4P 坂本▲26.3P
2回戦(起家から竹内、石津、杉村、坂本)抜け番:萩原
連覇を狙う竹内が起家。注目の東1局0本場。
竹内は丁寧に手を進め、リャンペーコーの1シャンテン。石津も七対子の1シャンテン。
「ツモ。」それは、どちらでもなく坂本の声だった。
ツモ
メンホンの2,000・4,000。
1回戦思うように戦えず、大きなミスを犯したわけではないが、非常に苦しいスタートとなった坂本。
少しこのアガリで緊張が和らぐこととなっただろう。
しかし、坂本は続く東2局に竹内に2,000の放銃。東3局にも石津に1,300の放銃と他家のアタリ牌が自然と出る苦しい展開が続く。
迎えた東4局、坂本の親番。
ダブポンテンの5,800のテンパイが入るも流局。
守備力の高い3人相手ではそう簡単にはアガらせてもらえない。
しかし、東4局1本場。
11巡目、
ドラ
坂本はこのテンパイを入れ、リーチ。これをきっちりツモリ3,900は4,000オール。
東4局2本場。
ドラ
坂本はとがトイツの配牌。役牌が鳴ければといったところだが・・・
を重ね、ポンから入った坂本。これで役牌は出にくくなったが、このポンでを食い取りテンパイ。
ポン
そこに坂本が切ったを杉村がポン。杉村のツモは、。つまり、ポンが入らなければ、
ポン ツモ
こうなり三倍満のアガリとなっていた。
しかし、坂本はを力強く引き寄せ、4,000は4,200オールとなり、6万点オーバーとなった。
東4局3本場。
坂本は3巡目にダブポン。
ポン ドラ
も鳴け、
ポン チー
この11,600のテンパイ。ダブとを鳴かせた杉村はテンパイであるが、イーペーコーのみのカンチャン待ち。そして坂本に飛び込んだのは石津。痛い放銃となった。
しかし、この放銃には石津らしい読みがあり、5,800に見えたのもあるが、このは両面待ちには当たらない。の両面はしっかりと否定できる要素があっての放銃。決して淡白な放銃ではなかった。
東4局5本場は坂本、
チンイツと四暗刻の1シャンテン。
竹内は、
ここは竹内が慎重にヤミテンにし、2,0004,000をツモ。こういったところにも、竹内の繊細さが光る。
手牌だけで言えばリーチを打ちたくなる。だが、連荘している坂本の親番、さらに親の坂本とソウズでぶつかっていることなど、ヤミに構える理由は様々ある。このような局面や場況を正確に判断する能力がアガリの正確さに繋がるのだろう。
南2局2本場。
5巡目に坂本にリーチが掛かる。
ドラ
、を引けば一通にもなるこの形。少しもったいないように思えた。
このリーチに黙っていなかったのが竹内。8巡目に、
ドラ暗刻のリーチ。そして、坂本が竹内に放銃という形で竹内に軍配が上がった。
南3局0本場。
ここまでアガリがつかず、苦しい杉村。しかし、4巡目に最速でテンパイが入る。
ドラ
ここは、当然の如くヤミテン。そして、を引き切りリーチ。
しかし、ここにリーチを被せたのは石津だ。その手は、
ここは石津が500・1,000をツモり、万事休す。
最終局にも石津は、坂本から8,000を出アガリ3着に浮上。
杉村にとっては痛恨のラスとなってしまったのだ。
2回戦成績
坂本+32.5P 竹内+12.4P 石津▲19.9P 杉村▲25.0P
2回戦終了時
竹内+52.4P 杉村+28.8P 石津+26.0P 坂本+6.2P 萩原▲13.4P
3回戦(起家から石津、萩原、竹内、坂本)抜け番:杉村
東1局0本場。
親番石津の配牌。
ドラ
この配牌からマンズのホンイツへ。とを仕掛け、以下のテンパイ。
ポン ポン
とを鳴かせた萩原は、
この高め三色のリーチ。十分本手のリーチと言えるだろう。
しかし、注目すべきは、を鳴かせたところにある。この、萩原はトイツ落としであった。
結果論となってしまうが、この打牌選択が石津の4,000オールを生んだ。
萩原にとっては痛恨の1局になってしまったに違いない。
南1局0本場。
アガリを重ね、迎えた石津の親番。
すぐに役牌が2つトイツのドラ暗刻の1シャンテンとなり、をポンしテンパイ。
ポン ドラ
坂本から12,000をアガリ、7万点オーバーとなる。
またも連荘かと思われたが、次局は萩原が1,000でかわし石津の親が落ちた。
しかし、南2局0本場でも、石津が1,000、南3局0本場でも2,600、南4局0本場でも1,300をアガるのだが、石津の相手との距離感や場況判断、局面判断が非常に正確に捉えられている。安くアガるべきときはきっちり安くアガリ、打点を追うときはきっちり仕上げる。石津のペースが崩れることはなく、完全に石津の半荘となった。
3回戦成績
石津+58.3P 竹内▲3.1P 坂本▲25.0P 萩原▲31.2P
3回戦終了時
石津+84.3P 竹内+49.3P 杉村+28.8P 坂本▲18.8P 萩原▲44.6P
4回戦(起家から杉村、坂本、竹内、萩原)抜け番:石津
トータルトップ目の石津が抜け番。竹内、杉村はなんとか喰らいつき、石津の独走状態にさせるわけにはいかない。むしろ、石津にプレッシャーを与えられることが望ましい。
坂本、萩原は優勝するためには、段々と後がなくなってきた。なんとしてでもプラスし、次に繋げる戦いをしたいところだろう。
まずは、東1局0本場、北家の萩原が先制リーチを打つ。
ドラ
自風のが雀頭であるが、即リーチ。そして親番の杉村が追いつく。
萩原のアガリ牌であるを引いてのテンパイ。杉村に分があると思われたが、萩原がツモ。
続く東2局でも、萩原が竹内から2,000をアガる。
萩原としては、2局連続でアガリがつき、感触としては悪くないだろう。
しかし、東3局0本場。
萩原、痛恨の8,000の放銃。相手は杉村。
健闘してはいるのだが、相手は決勝戦だけあって実力者揃い。萩原もかなりの苦戦を強いられている。
南2局0本場。
竹内に本手が入る。
ドラ
竹内はヤミテンに構える。竹内の印象からするとリーチを打ち、3,000・6,000を引きに行くイメージが強い。もちろんこの手をリーチすることもあるだろう。しかし、この半荘、自分にまだアガリがなく、状態は決して良くない。竹内は自分の手だけではなく、多くの判断材料を元に選択でき、さらにその精度も高い。
この局も杉村からきっちり出アガるところはさすがの一言だ。
南4局1本場。
萩原に、最後のチャンスが訪れる。
杉村から、
ドラ
このリーチが掛かるも、萩原も追いつく。
チー チー ポン
しかし、ここは萩原がを掴み、5,200の放銃。
萩原にとっては、この放銃が事実上の終戦になってしまった。
4回戦成績
竹内+14.2P 坂本+8.7P 杉村▲4.6P 萩原▲18.3P
4回戦終了時
石津+84.3P 竹内+63.5P 杉村+24.2P 坂本▲10.1P 萩原▲62.9P
5回戦(起家から石津、萩原、杉村、竹内)抜け番:坂本
5回戦終了時にトータルポイント最下位の者はここで敗退となるため、萩原はこの半荘で坂本より上に行かなければほぼ敗退となる。
また最終戦に向け、他の者もどこに照準を合わせた戦い方をするのかが重要となる。
もちろん少しでもポイントを伸ばしたいところだが、大事なのは6回戦を終えたときのトータルポイントである。最終的にポイントがトップになればよいのだ。
東1局0本場。
親番の石津は早々にドラを重ね、積極的に仕掛けていく。、をポン、チーでテンパイ。
チー ポン ポン ドラ
これをツモり、2,000オール。
東1局1本場も石津が先手を取る。6巡目に、
ドラ
もちろんリーチ。全局と同じ–待ち。これも難なくツモり、2,000は2,100オール。
抜け番を終えても、石津の勢いはそのままだ。
700オール、2回の流局で親を繋いだ杉村東3局3本場。7巡目にリーチ。
三三四五④④④677889 ドラ一
単騎でテンパイしているところからを引きリーチをしたのだが、この時すでには竹内のアガリ牌。
結果は流局となったが、杉村の粘りがジワジワと周りを苦しめはじめている。
東3局4本場。
ついに杉村に待望のアガリが生まれる。
14巡目、1シャンテンから時間は掛かったが、リーチ。
ドラ
このリーチを一発でツモり、3,900は4,300のアガリ。
東3局5本場。
杉村がここでも、
ドラ
高め三色のリーチ。しかし、先にテンパイをしていた石津が、500・1,000は1,000・1,500をアガリ、杉村の親番が落ちる。
東4局0本場。
親番竹内、ここまで我慢を続けてきたが、8巡目に本手のテンパイが入る。
ドラ
出来合い三色のテンパイ。ヤミテンでも、11,600、ツモなら6,000オールの手、竹内はノータイムでリーチ。
配牌からのツモが利いていたこと、入り目とそこにも感触があったのだろう。ただ、ここまでの過程でヤミにしたほうが、最良ではないかとも思ったが、本人も闇雲にリーチを打ったわけではない。結果から述べると流局に終わる。ここで重要なのは、空振りに終わったことを失敗とするのか、この結果を踏まえ、次にどう生かすか、である。このことを後悔し、後に引きずるようなら竹内の優勝はないだろう。
東4局1本場。
前局を踏まえてか、堅く3,900は4,200を石津からアガる。
東4局2本場は、竹内、杉村の2軒テンパイで流局するのだが、石津はドラ2のメンツ手の1シャンテンから七対子の1シャンテンにし、放銃を回避。繊細な洞察力もさすがの一言。
続く東4局3本場は、竹内が石津から、1,500は2,400をアガリ、連荘するも次局大きなアガリがないまま、親が落ちる。
親番を継続させる力は、やはり優れているが、本手が決まらないのは、まだ本調子ではないのだろう。
南1局1本場。
杉村は4巡目に、リーチドラ1のテンパイ。1,300・2,600をツモり、着実なアガリで点数を加算していく。
これが杉村のスタイル、持ち味でもある。
南4局0本場。
親番竹内2巡目にリーチが掛かる。
ドラ
原点を割っているオーラスの親番で、2巡目にこのテンパイが入るのは偶然ではないと私は考える。
これまでの過程、すべての局において、アガリが付かなくても、放銃に終わったとしても、それらが間違いではなかったことの証明である。
そして、この局面では非常に大きな2,600オールのアガリとなった。
南4局1本場。
竹内は、カン、カンのテンパイをすべてヤミにし、イーペーコーのテンパイに手変わりしてここではじめてリーチに踏み切る。
ドラ
石津も高め三色のテンパイで追いかけるが、竹内は、石津から12,000は12,300のアガリとなる。
石津を追いかける立場が一転、一気にトータルトップ目に立った。
さらに、次局、杉村から、2,900は3,500のアガリでこの半荘もトップ目で終えた。
5回戦成績
竹内+31.0P 杉村+18.0P 石津▲12.9P 萩原▲38.1P
5回戦終了時
竹内+94.5P 石津+71.4P 杉村+42.2P 坂本▲10.1P 萩原▲99.0P
最終6回戦(起家から石津、杉村、坂本、竹内)
この6回戦の終了とともに、第21回静岡リーグの優勝者が決まる。
麻雀は何が起こるかわからない。誰もが最後まで戦い抜くであろう。
そして、最後の闘牌が始まった。
東場は、静かに局が進んでいく。それぞれ得失点は、もちろんあるものの勝負を揺るがすような展開ではない。
そして、南場に突入。石津としては最後の親番。ここが、一番の勝負どころとなるだろう。
南1局0本場。
竹内が役牌のを鳴き、先手を取る。竹内としては石津の親番を落としたい気持ちは強い。
ただし、闇雲に親を落としに行った仕掛けではなく、ドラ2で形も悪くない自然な仕掛けである。
しかし、7巡目に杉村にリーチが入る。
ドラ
11巡目、親の石津も追いつく。
14巡目、石津がツモり、2,000オール。
ここから石津の連荘が始まる。
南1局1本場。
竹内、8巡目、七対子テンパイ。
杉村、14巡目、メンホン七対子テンパイ。
竹内、杉村にアガリがつくことなく、石津も17巡目にやっとの思いでテンパイを果たす。
もう流局間近、非常に大きなテンパイである。石津は役なしのカン待ちのテンパイ。
石津の最後のツモ。そのとき、卓上に静かに置かれたのは4枚目のだった。
石津に流れが傾いている、そう感じさせるアガリであった。
南1局2本場。
石津の手が良くなっていくのが、手に取るようにわかる。
2巡目に、
この1シャンテンになる。そして、ツモ。石津は打とし、次巡、ツモで難なくテンパイし即リーチ。
12巡目、をツモり、2,600は2,800オール。
このアガリで石津が暫定トップになった。
南1局3本場。
杉村が10巡目に、先制リーチ。
ドラ
このリーチを受け、竹内は現物のを切る。しかし、下家の石津はソウズに染めている。
このを石津がポンし、を引き入れチンイツをテンパイ。
ポン チー
17巡目、石津がツモ。4,000は4,300オール。リーチ者の現物とはいえ、竹内のが石津のこのアガリを生んだ。さらに言えば、杉村のリーチも引き金になっている。
完全に石津のペースと言える。
南1局4本場。
今度は石津が3巡目にを仕掛け先手をとる。この時すでに1シャンテン。
しかし、ここからテンパイを果たしたのは11巡目。
10巡目には、杉村からメンタンピンドラ1のリーチをもらう。だが、この局を制したのも石津だ。
杉村から2,900は4,100のアガリ。
次局、親番が落ちたが、ここ一番での勝負強さ、連荘する力には正直驚かされた。
南2局2本場。
杉村が持ち前のしぶとさで繋いだ親番。
竹内がドラ2の七対子をテンパイ。杉村もピンフのテンパイを果たす。
流局目前の17巡目、ピンフの両面のテンパイを、シャンポン待ちにし、これが、竹内に放銃。
一見、疑問に思うが、これは、直前に筋になった牌と無筋の牌との比較。決勝戦後、杉村に話を伺ったが、どちらも通ると思ったが、より通りやすい方を切ったとのことだった。
たしかに、竹内の河は、七対子にも、外よりの手にも見えにくい河であった。
杉村の繊細さが仇となってしまった。
竹内としては大きなアガリだろう。
南3局0本場、石津が坂本に3,900の放銃。次局、坂本が竹内に3,900は4,200の放銃でついにオーラスを迎えた。
このときのポイントは、竹内+100.7P、石津+98.6P、杉村+15.0P、坂本▲16.3P。
竹内と石津の戦いとなった。その差、僅か2.1P。
アガリ止めがないルールでこの点差が意味すること、それは竹内がノーテンと牌を伏せることができないこと。
仮に石津がテンパイしていると、ノーテン罰符で順位が入れ替わってしまう。
つまり、必ずしもポイントが上な竹内が有利ではないということだ。
南4局0本場。
竹内の配牌。
石津の配牌。
どちらも優劣つけ難いが、配牌では竹内が勝るか。
先にテンパイを果たしたのは竹内。10巡目、
ドラ
石津も8巡目に1シャンテンとなったがテンパイせず、竹内の1人テンパイで流局。
これで、次局竹内はノーテンを宣告できる。
南4局1本場。
竹内が少し有利になったように思えるが、石津は1,000、2,000で捲くれる状況だ。
竹内もまだ、ギリギリまでアガリに向かうだろう。
竹内の配牌。
石津の配牌。
石津はこの配牌からテンパイを果たしたのは実に15巡目のことだった。
ドラ
ここからタンヤオを捨てて、さらにの3枚切れが目に見えているところで打のリーチ。
残り1枚が山にいる絶対の自信がなければ打てない。
実際、残り1枚は山にいた。石津がリーチを打ったその巡目までは・・・
無情にもそのは竹内の手の中に入っていった。
そして、竹内の2連覇が決まった。
石津は、12巡目、ツモのところでこの、に手を掛けられていれば、満貫をツモり、優勝していた。
アガリはあったのだ。
紙一重の闘いがそこにはあった。最後の最後まで手に汗握る戦いを見せてくれた対局者に感謝したい。
竹内さん、静岡リーグ始まって以来の2連覇という快挙、優勝本当におめでとうございます。
そして、対局者の皆様、感動をありがとう。
私の文章で少しでも、この決勝戦の素晴らしさ、静岡リーグの熱気、麻雀の魅力が伝われば幸いです。
カテゴリ:静岡プロリーグ レポート