第25期チャンピオンズリーグ 決勝観戦記

今期で25回目となるチャンピオンズリーグ。
私は前回、通算3度目の優勝を果たし、今期はべスト16からのシードだった。
編集責任者から「藤原さん、もし途中で負けたら決勝観戦記お願いします。」と言われ、連覇で4回目の優勝をする気満々の私が負ける筈がないだろうと思い、気楽に二つ返事でOKしてしまったのですが・・・
決果は、予定外の準決勝敗退で、決勝の観戦記を書かせていただくことになりました(涙)

今回決勝に残ったのはこの4名!

gpmax2012

福光聖雄 (34歳)
25期生、三段、B型、第23期新人王、(注)東大卒
チャンピオンズリーグの決勝は、第23期以来2度目、来季からC2リーグ

 

 

gpmax2012

小町拓也 (27歳)
25期生、二段、A型、来季からD1リーグ

 

 

gpmax2012

山中翼 (25歳)関西本部所属
25期生、三段、A型、関西プロリーグのC1(A,B,C1,C2の4部リーグ)

 

 

gpmax2012

森岡貞臣 (49歳)
28期生、初段、A型、D2リーグ

 

麻雀格闘倶楽部に出演していて、テレビ対局も何度か経験した元新人王の福光以外は、3人共決勝戦は初めての経験だし、これと言った実績が無く、選手紹介にも殆ど書く事が無い、連盟員でさえ知らない人の方が多いだろう。

このチャンピオンズリーグに関しては、小町と山中が初参加。(初参加で決勝まで勝ち上がったのは立派だが・・・・)森岡は3回目の参加だが、過去2回は途中敗退(全5節中4節までに100P以上マイナスすると失格)というふがいない戦績。

下剋上が起こりやすいチャンピオンズリーグ、過去に下部リーグ所属の優勝者は何度かあったが、決勝戦に1人も上位リーグ者がいないのは初めての事だ(C1が1人というのが1回)。
何故にこのような事態になったのか?私なりに理由を少し考察してみた。

まず、予選リーグの参加者が60名と少なく、さらにAリーガーが、A2所属の3人しか参加していなく(しかも全員予選敗退)予選全体のレベルが下がった上に、29位の通過ボーダーも一桁まで下がり(プラス9.7P)下部リーグの者が沢山残った。トーナメントには、シードの私を含めてもBリーグが4名しかいなく、下剋上が起こりやすいシチュエーションになったからでしょう。(トーナメントの内容は、既報の西川プロのレポートでご覧ください)

※予選リーグに関しては、来季から参加者が60人未満の場合は、以前の15名通過に戻す事を競技部で検討中です。

あとは、もうこの4人の中の誰かが勝つのだが、優勝候補をあげるならば、福光しか浮かばないだろう。
福光は新人王の他にも、他団体も多数参加する3年前の最強戦プロ予選で優勝し本大会に出場。今年正月の第7回連盟道場新春杯でも、Aリーガー多数参加の中で優勝。この決勝の翌日に生放送される次回の天空麻雀への出場権を賭けた『天空への道』の決勝にも勝ち残っている。

プロリーグは期待されたわりに、5年目でようやく土曜日の人(C3までは日曜日対局)の仲間入りと普通だが、一発勝負のワンデーマッチに強く、今日の決勝も1日だけの5回戦勝負なので、福光が単勝1.2倍くらいの大本命と予想していた。

他の3人の麻雀は殆ど認識していないのだが、福光の麻雀は、プロ入り前から連盟道場に通う常連様だったのでよく知っている。1.0倍でなく1.2倍としたのは、時折出る福光の独りよがりな粗さ。自分に自信があるからだろうが、私から見れば麻雀を舐めてるんじゃないか?くらいに、無理を通そうとすることがあるからだ。

ただし、今日のメンバーならきっちりとそれを咎める事が出来ないだろうから、やはり8割くらいは福光が勝つだろう。いずれにしても、今日の決勝戦はダメ出しだらけのミスの応酬になるだろうし、その中で一番ダメが少ない人が勝つ筈だ。腹を立てずに、なるべく優勝した人の良かった所を探して褒めてあげようと思い観戦に臨んだ。

さて、前置きが随分長くなりましたが、そろそろ試合に入りましょう。
その前に1つ皆様にお断りしておきます。
私は準決勝で、この中の2人に負けた身なのですが、この観戦記を上から目線で、辛口のダメ出しモードで書く事をご容赦下さい(既に最初から上から目線ですが・・・)。

gpmax2012

1回戦、起親から、福光、小町、山中、森岡
東1局、まずはいきなり最初の牌譜から検証していただきたい。

gpmax2012

恵まれた配牌から、南を一鳴きで仕掛けた南家の小町。

三万四万六万六万七万七万七万九万六筒中中ポン南南南ドラ二筒

ここで、ホンイツの匂いを消すために、六筒を残して九万から切ったのはプロなら当然とはいえ合格点。
次巡、生牌の発を引いて、跳満への渡りと絞りも考えて六筒切りもOK。
西家の山中も手が伸びた。

二万四万五索六索六索七索七索八索二筒二筒暗カン牌の背二索 上向き二索 上向き牌の背

このテンパイからドラを引き、四万切りで二万単騎。
次巡、八万をツモ切りするが、立会人の瀬戸熊も私も、ここは八万待ちに変えた方が良いと同じ意見。
説明すると長くなるし、優劣は微差だと思うが、A級の打ち手ならば八万にする方が多数だろう。
だが、これは責められない程度のチョイミスの部類かな。

次巡、親の福光が、

一万二万三万五万七万八万九万二筒七筒八筒発発中

ここに五万を重ねて中を切り、小町がポンして満貫テンパイ。
福光が中を1巡でも早く鳴かせれば、小町の満貫ツモだったが、1枚しかないから先に中を切るなんてのはプロの対局では有りえない。

私に言わせれば、ここでの中切りもよくない。親であろうと1シャンテンだろうと、今度新鳳凰位となった藤崎なら、いやA級の打ち手ならば、場に安全そうな七筒八筒を落として手を戻す、とりあえず1枚切って鳴かれたら止めるとかヌルイことはしない。
中を重ねてのホンイツや、二筒を重ねて親満クラスをテンパイすれば、1枚だけ勝負牌としてそっと放つのだ。

小町がポンテンで切った発に、福光はポンテンをかけない。二筒を勝負してまでの1,500が嫌なのか?
二筒で当たると高いから怖いのか?私には一慣性のある腹の据わった打ち方には見えない。
山中の次のツモは八万。もし山中が、八万単騎に変えていれば満貫ツモだった。

続く北家・森岡のツモが二万。福光が中を絞るか発を鳴き返していたら山中が満貫ツモだった。
福光は、スレスレで親カブリを免れたが、たまたまの偶然にしか見えない。

そして、なんと森岡が二万をツモ切る。ダブロンは無いので、小町の頭ハネだが森岡の手は、

三万四万五万四索四索四索五索五索六筒七筒白白中
この煮詰まった局面で、この程度の1シャンテンで今安全牌になった中を切らず、二万をツモ切りしての放銃。
面前で押している両脇にケアができない雀力だとしても、対面の小町は役牌を2組ポンだ。ホンイツかトイトイかドラドラが絡めば満貫あるし、何より森岡の手牌に危険を冒す価値が無い。

私が時々使う言葉に「放銃レベルが低い」というのがある。良い放銃もあれば仕方ない放銃もあるが、このような低いレベルの放銃はプロの試合であってはならない。
私は開始5分で、観戦ノートに森岡の優勝は無いと書いた。ただし相手が皆上級者ならばだが・・・

幸先良いスタートの小町だったが、この後の追加点が奪えず目減りしていく。
酷い放銃にもめげずに前に出る森岡の南1局、まだラス目だが北家で先制即リーチ。

三万四万五万七万八万八万八万九万六索七索七筒八筒九筒ドラ二万

この牌姿で子方のピンフのみ先制リーチは芸が無さ過ぎる。
ドラを引くか、九索を引いて三色にしてからのリーチだろう。
お約束のように、ドラの二万を引いてからのツモアガリで本人も苦笑い。

それでもオーラスに、親の森岡が2,000オールを引いてラス抜けした1本場。
4者の持ち点は超接近。

小町31,900
福光31,000
森岡28,000
山中27,000

まず西家の小町が3巡目にこうなる。

一万三万五万六万七万二索四索五索六索七索七索五筒六筒七筒ドラ一筒

微差のトップ目で、リーチ棒は出したくないのでタンヤオ狙いで一万を切って1シャンテンに戻した。
まだ早いので好手だとは思うが、とりあえずテンパイを取ってから変化を待つ手もある。
直ぐに二万をツモッたが、今度はフリテンであるがテンパイを取る。

結果的には、この判断が正解だった。二索を持ち過ぎると福光への放銃が待っていたからだ。
10巡目にテンパイした福光は即リーチ。

五万六万七万二索三索三索三索四索四索四索五索二筒二筒リーチ

確かにリーチしてツモれば満貫で、小町も配原割れで1人浮きになる。
ポジティブな福光らしいが、私はこのような場合は絶対にリーチ棒を出さない。
ヤミテンなら誰からも二索が出そうだし、もし1枚二索を切っている小町から出れば1人浮きになる。
何よりリーチ棒を出すことによって、自分が配原を割る可能性が大幅に増えるし2,000点放銃しただけでラスになるからだ。

リーチしか役が無くて、アガリが期待できるテンパイならばリーチ棒を出すが、1回戦から危険を冒してまで無理やり1人浮きを狙うことが必要だったのだろうか?上のリーグに上って行くには、もっと状況に応じた丁寧で緻密な対応力を身に着けなければならないと思う。リーチの直後に小町が高目の四をツモ、福光が黒棒1本沈んで小町僥倖の1人浮きのトップになった。

1回戦成績
小町+17.9P  福光▲1.1P  森岡▲5.6P  山中▲11.2P

山中が展開ラスになってしまったが、1回戦の内容は一番良かった。
そのご褒美かのように2回戦では山中が爆発した。

南家スタートの山中は、東初に森岡から南ホンイツの5,200点、迎えた親では、福光からリーチドラ1の3,900点をアガリ、1本場では思い切った即リーチで6,000オール!

四万五万六万七万七万五索六索七索八索九索四筒五筒六筒リーチツモ四索ドラ七万

東3局でも福光から満貫を出アガリし、持ち点は6万点オーバー。
ホントに強い人なら、これだけ点棒と勢いを掴んだら、ここぞとばかりに更に攻め込んで、この半荘で勝ちを決めるような特大のトップを取りに行くのだが、山中は、この後何故か気持ちが守りに入ったようで、誰もテンパイしてないところから受け気味の消極的な麻雀になり、森岡に浮きの2着を取らせてしまったのはもったいなかった。

この半荘で終わりのトーナメントならずっとオリていても勝ち残れるが、半荘5回の決勝でまだ2回戦目なのだ、この辺が決勝初体験のプレッシャーなのだろうか。

2回戦成績
山中+37.7P  森岡+5.6P  福光▲18.5P  小町▲24.8P

2回戦までのトータル
山中+26.5P  森岡+▲0P  小町▲6.9P  福光▲19.6P

3回戦は小町が東3局の親番で連荘し、40,000点越えのトップ目に立った4本場で山中に逸機。
西家・山中は6巡目テンパイ。

二万三万六万七万八万三索三索二筒三筒三筒四筒四筒五筒ドラ三索

何故か1巡回して六筒三筒を入れ替えてリーチ。
一万は福光が2枚切っている。ヤミテンならすぐに森岡が一万を打っていたが森岡がオリ。
小町も一万を掴んでオリ、福光が山中の現物待ちで追いつき、無筋を3枚カブせて山中から2,000点のアガリ。

山中の手はリーチを打てば安目でも満貫クラスだし、高目ツモなら跳満になるから気持ちは解らなくもないが、小町がアガリを重ねて連荘しているときだからヤミテンの選択がベターだったかも知れない。
山中これで少し焦ったか、続く東4局で中盤過ぎてこのテンパイ。

五万六万七万一索一索五索六索七索三筒四筒五筒五筒七筒ドラ四索

三色のみだが、待ちのカン六筒は場に3枚切れていて超期待薄。
ここで山中は、生牌の東をツモ切りして親の森岡がポン。
山中は次巡、生牌の中もツモ切りし、ついには終盤ドラ跨ぎの二索も切って森岡に7,700点の放銃。

これで森岡も浮きに回り、山中1人沈みのラス目となる。
2戦終わって1人浮きのトータルトップだったのだから、焦ることなく小さいラスなら良しとするような落ち着いた打ち方をするべきで、トータル2位につけていた森岡まで浮かせるべきではない。

断トツになって点棒を持ったら弱気に受けに回り、点棒が無くなると無理やり突っ込んで傷口を広げる。
これは典型的な負け組のパターンで、勝ち組になるにはこの逆でなければならない。

この半荘は森岡が小町を捲るのだが、追いついたアガリが南1局、北家の森岡4巡目にテンパイ。

七万三索三索五索六索七索二筒二筒四筒五筒六筒七筒八筒九筒ドラ五索

ここから二筒切りのテンパイ取らずとし、次巡、三筒を引いてリーチ。
福光から高目一筒で満貫をアガったが、もう一度4巡目の牌姿を見ていただきたい。
テンパイを壊してまで七万を残しても三色は無い。
ここはドラが五索なのだから、四索引きと三筒引きの両方を見て

三索四索五索六索七索二筒二筒四筒五筒六筒七筒八筒九筒
三索三索五索六索七索二筒三筒四筒五筒六筒七筒八筒九筒

理想形はこの2つだから七万切りで仮テンを取るのが正解。
結果は、三筒を先に引いたから同じになるが、手順は不合格である。

オーラスは、小町がヤミで1,300点をアガって終局したが、

七万八万九万一筒一筒五筒五筒六筒六筒七筒発発発ドラ三筒ロン四筒

トップ目の親の森岡との点差が1,600点。リーチをかけて森岡がノーテンでもトップ逆転、優勝するためにはここは降着の心配もないのでリーチをかけてトップを取りに行かないとダメで、森岡に楽にトップをプレゼントしてしまったのはヌルイ。

3回戦成績
森岡+18.2P  小町+12.6P  福光▲11.5P  山中▲19.3P

3回戦までのトータル
森岡+18.2P  山中+7.2P  小町+5.7P  福光▲31.1P

gpmax2012

3回戦を終え、なんと本命の福光がラスこそ無いもののオールマイナスの1人沈み。
まだ残り2回あり、トップまでの差が50P弱だから逆転は充分可能だが、ここまでの闘いを見て、皆がミスも多く決め手に欠け、誰が勝つか全く解らない。

しかし、やはり本命は本命だった。第4回戦で、起親の福光が4,000点オールを皮切りに、6万点オーバーの特大トップに仕上げ、一発でトータルトップに立ったのだ。

流れを掴み、優勢に立ってから更に攻め手を緩めず仕上げる力は、他の3人にはまだ無いスキルだ。
ここでマイナスながら2着目に留まったのは森岡だが、やはり手順手筋にダメ出しが多い。
主なものをあげると、東2局の西家4巡目、四万四万五万六万七万八万三索四索五索六索七索七筒七筒発  ドラ一万

ここから発を残して四万を切る。あーもったいない。
いくら3面張と3面張の1シャンテンとはいえ九万ならメンピンのみだ。
六筒引きでのタンピン三色テンビンの形、

四万四万五万六万七万八万三索四索五索六索七索六筒七筒

これが想定できないと不合格である。
南1局、北家の森岡が断トツの福光の連荘中にこのリーチ。

六万八万五索五索六索六索七索七索三筒三筒六筒七筒八筒リーチドラ八万

捨て牌に四万が切ってあるからといっても、ドラが八万ではあまり意味が無いし、何より勢いに乗る親の福光がマンズのホンイツで仕掛けてマンズが余っているところに、このリーチは一人よがりで無邪気過ぎる。ヤミでもあまり打点は変わらず、アガれたらラツキーくらいでオリる事を想定して謙虚に構えるべき。もし福光が東を引いて小四喜になり、森岡が東を持ってきたらここでゲームオーバーだった。
福光の手牌

一万二万七万八万九万南南北北北ポン西西西

このテンパイから森岡リーチの後に南ポンで、

二万七万八万九万北北北ポン南南南ポン西西西

さらにオーラス、24,800点持ちで2着目の親の森岡の手牌。

六万六万八万八万九万九万一筒三筒三筒三筒中中中ドラ二索

8巡目に六万が出たがスルー、11巡目の八万もスルーした。
九万からならポンしにくいが、六万からならポンテンで良いのではないか?
7,700点でもアガれば浮きの2着で、最終戦に福光を10P以上リードの首位で臨める。
もし四暗刻をツモれば、ここでほぼ優勝が決まるが、無理やり四暗刻を狙うべき局面だろうか?
ゲームプランが非現実的である。

森岡へのダメ出しがやけに多いように思われるだろうが、結果を先に書くと優勝したのは森岡。
私の見立てでは、4人の中で一番ダメ出しが多かったのが森岡で、どこが良かったのか勝因を探してもさして見当たらないのだ。強いてあげれば、最初の酷い放銃にも再三のミスにもめげずに最後までアグレッシブに前に出た事。福光のデキが悪く、若い2人からもミスのお返しが再三あり、全体的に一番ツイていたということくらいか?

優勝者だからこそ遠慮なく辛口でダメ出しをさせていただいた。
叱蛇激励のつもりだから許していただきたい。

4回戦成績
福光+47.5P  森岡▲6.2P  山中▲17.3P  小町▲24.0P

4回戦までのトータル
福光+16.4P  森岡+12.0P  山中▲10.1P  小町▲18.3P

ここにきて本命が頭に立ってみるとやっぱり福光か!
と思われたのだが、今日の福光はここまででした。

さて、いよいよ最終5回戦、規定により2位に着ける森岡が起家。
森岡と福光はほぼ着順が上の方が勝ち、山中と小町は上位2人を沈めてのトップが条件となる。
森岡の9巡目。

一万一万二万八万九万九万九万二筒三筒四筒四筒四筒五筒六筒ドラ八万

ここから生牌のドラを切り出し、南家の山中がこれをポンして喰いタンに向かう。
現在の状況で、ドラを切ってまで棒テンに向かう必要があるのか疑問だが、鳴かれたおかげで森岡が一万をツモってテンパイ。

一万一万一万二万九万九万九万二筒三筒四筒四筒四筒五筒六筒

一筒が3枚切れていて、枚数的には四筒切りの二万三万待ちが勝るが、二万が山中の現物ということもあり、森岡は二万を切ってリーチ。ドラをポンさせて焦ったのだろうか?オリるときは一万九万も安全牌だし、ピンズが1つ変われば三暗刻だし、即リーチの必然性が無いと思う。ドラポンに対してぶつけるのならアガったときにかなりのアドバンテージになる打点に仕上げてからでなくては見合わない。

その後、山中が七万をチーしてテンパイで三万を勝負し五筒をツモアガった。
森岡のミスでドラ3をアガらせて貰った山中は、次局の親でドラ2の先制リーチ。

二万三万四万一索三索一筒二筒三筒四筒四筒四筒六筒六筒リーチドラ六筒

このカン二索待ちが4枚ともヤマ生きで、あっさりとツモって3,900点オール。
山中が開始10分足らずで首位に立った。
ついに、25期目にしてチャンピオンズリーグの優勝が、関西本部に渡るかと思われたが、同1本場で優勝を決める大きな一発が飛び出した。

gpmax2012

2巡目の自風の北と、4巡目の中をそれぞれスルーした落ち着いたプレーが良く、後重なりの白と併せて3組ともポンできた。こうなると、後は誰も打たないだろうからツモ専だが、首尾よく高目の東三索で倍満ツモ。
一気に優勝に王手をかけた。

この後、皆で追撃を試みるが大きなアガリも出ず、小町に2度の勝負手が入るが実らず。

南1局4本場、

三万四万五万三索四索五索六索七索三筒四筒五筒七筒七筒リーチドラ三索

このリーチも流局。
南3局の親番。

三万四万五万二索三索六筒六筒六筒七筒七筒ポン発発発ドラ六筒

森岡が福光に満貫放銃で親落ち。
オーラスは、ラス目の親の福光があわや大三元か?

二索三索七索九索九索白白中中中ポン発発発

ここまで漕ぎ着けたが、森岡が喰いタンで捌いて優勝を決めた。

5回戦成績
森岡+17.5P  山中+8.2P  小町▲7.3P  福光▲18.4P

総合トータル
森岡+29.5P  山中▲1.9P  福光▲2.0P  小町▲25.6P

2年前、47歳で一念発起し、連盟のプロテストを受験した森岡。
年輩の受験生の場合は、他の若い受験生に比べてかなり水準以上のレベルになければ合格は難しい。
決して甘くないプロテスト基準に合格したのだから、森岡が2年目でタイトルを獲得しても不思議ではないのだが、決勝戦の舞台で全てを観られ、牌譜に採られてみると、雀歴30年のわりには手順手筋の未熟さ、無用な長考、手離れの悪さ等々、プロ連盟のタイトルホルダーとして皆様に対局を観ていただくにはまだまだ多くの課題が残る。

現在49歳とはいえ僕よりかなり若いんだし、プロとしてはまだ新人、これから先の麻雀人生は長いのだから、努力して頑張ってよ森岡君!

とりあえず初タイトルおめでとうございます。

gpmax2012

PS.この翌日「天空への道」決勝戦が行われたが、この日とは別人のようなスーパー福光が、格上3人を相手に3戦3トップでブッチギリの優勝。最後には、字一色小四喜を決め、次回「天空麻雀15」への出場権を獲得した。
生放送での字一色小四喜は史上初で、今後YouTubeなどで何万回と再生されるだろう。
やはりこの男はもっている(笑)

JPML WRCリーグ 決勝観戦記/第25期チャンピオンズリーグ 決勝観戦記

今期で25回目となるチャンピオンズリーグ。
私は前回、通算3度目の優勝を果たし、今期はべスト16からのシードだった。
編集責任者から「藤原さん、もし途中で負けたら決勝観戦記お願いします。」と言われ、連覇で4回目の優勝をする気満々の私が負ける筈がないだろうと思い、気楽に二つ返事でOKしてしまったのですが・・・
決果は、予定外の準決勝敗退で、決勝の観戦記を書かせていただくことになりました(涙)
今回決勝に残ったのはこの4名!
gpmax2012
福光聖雄 (34歳)
25期生、三段、B型、第23期新人王、(注)東大卒
チャンピオンズリーグの決勝は、第23期以来2度目、来季からC2リーグ
 
 
gpmax2012
小町拓也 (27歳)
25期生、二段、A型、来季からD1リーグ
 
 
gpmax2012
山中翼 (25歳)関西本部所属
25期生、三段、A型、関西プロリーグのC1(A,B,C1,C2の4部リーグ)
 
 
gpmax2012
森岡貞臣 (49歳)
28期生、初段、A型、D2リーグ
 
麻雀格闘倶楽部に出演していて、テレビ対局も何度か経験した元新人王の福光以外は、3人共決勝戦は初めての経験だし、これと言った実績が無く、選手紹介にも殆ど書く事が無い、連盟員でさえ知らない人の方が多いだろう。
このチャンピオンズリーグに関しては、小町と山中が初参加。(初参加で決勝まで勝ち上がったのは立派だが・・・・)森岡は3回目の参加だが、過去2回は途中敗退(全5節中4節までに100P以上マイナスすると失格)というふがいない戦績。
下剋上が起こりやすいチャンピオンズリーグ、過去に下部リーグ所属の優勝者は何度かあったが、決勝戦に1人も上位リーグ者がいないのは初めての事だ(C1が1人というのが1回)。
何故にこのような事態になったのか?私なりに理由を少し考察してみた。
まず、予選リーグの参加者が60名と少なく、さらにAリーガーが、A2所属の3人しか参加していなく(しかも全員予選敗退)予選全体のレベルが下がった上に、29位の通過ボーダーも一桁まで下がり(プラス9.7P)下部リーグの者が沢山残った。トーナメントには、シードの私を含めてもBリーグが4名しかいなく、下剋上が起こりやすいシチュエーションになったからでしょう。(トーナメントの内容は、既報の西川プロのレポートでご覧ください)
※予選リーグに関しては、来季から参加者が60人未満の場合は、以前の15名通過に戻す事を競技部で検討中です。
あとは、もうこの4人の中の誰かが勝つのだが、優勝候補をあげるならば、福光しか浮かばないだろう。
福光は新人王の他にも、他団体も多数参加する3年前の最強戦プロ予選で優勝し本大会に出場。今年正月の第7回連盟道場新春杯でも、Aリーガー多数参加の中で優勝。この決勝の翌日に生放送される次回の天空麻雀への出場権を賭けた『天空への道』の決勝にも勝ち残っている。
プロリーグは期待されたわりに、5年目でようやく土曜日の人(C3までは日曜日対局)の仲間入りと普通だが、一発勝負のワンデーマッチに強く、今日の決勝も1日だけの5回戦勝負なので、福光が単勝1.2倍くらいの大本命と予想していた。
他の3人の麻雀は殆ど認識していないのだが、福光の麻雀は、プロ入り前から連盟道場に通う常連様だったのでよく知っている。1.0倍でなく1.2倍としたのは、時折出る福光の独りよがりな粗さ。自分に自信があるからだろうが、私から見れば麻雀を舐めてるんじゃないか?くらいに、無理を通そうとすることがあるからだ。
ただし、今日のメンバーならきっちりとそれを咎める事が出来ないだろうから、やはり8割くらいは福光が勝つだろう。いずれにしても、今日の決勝戦はダメ出しだらけのミスの応酬になるだろうし、その中で一番ダメが少ない人が勝つ筈だ。腹を立てずに、なるべく優勝した人の良かった所を探して褒めてあげようと思い観戦に臨んだ。
さて、前置きが随分長くなりましたが、そろそろ試合に入りましょう。
その前に1つ皆様にお断りしておきます。
私は準決勝で、この中の2人に負けた身なのですが、この観戦記を上から目線で、辛口のダメ出しモードで書く事をご容赦下さい(既に最初から上から目線ですが・・・)。
gpmax2012
1回戦、起親から、福光、小町、山中、森岡
東1局、まずはいきなり最初の牌譜から検証していただきたい。
gpmax2012
恵まれた配牌から、南を一鳴きで仕掛けた南家の小町。
三万四万六万六万七万七万七万九万六筒中中ポン南南南ドラ二筒
ここで、ホンイツの匂いを消すために、六筒を残して九万から切ったのはプロなら当然とはいえ合格点。
次巡、生牌の発を引いて、跳満への渡りと絞りも考えて六筒切りもOK。
西家の山中も手が伸びた。
二万四万五索六索六索七索七索八索二筒二筒暗カン牌の背二索 上向き二索 上向き牌の背
このテンパイからドラを引き、四万切りで二万単騎。
次巡、八万をツモ切りするが、立会人の瀬戸熊も私も、ここは八万待ちに変えた方が良いと同じ意見。
説明すると長くなるし、優劣は微差だと思うが、A級の打ち手ならば八万にする方が多数だろう。
だが、これは責められない程度のチョイミスの部類かな。
次巡、親の福光が、
一万二万三万五万七万八万九万二筒七筒八筒発発中
ここに五万を重ねて中を切り、小町がポンして満貫テンパイ。
福光が中を1巡でも早く鳴かせれば、小町の満貫ツモだったが、1枚しかないから先に中を切るなんてのはプロの対局では有りえない。
私に言わせれば、ここでの中切りもよくない。親であろうと1シャンテンだろうと、今度新鳳凰位となった藤崎なら、いやA級の打ち手ならば、場に安全そうな七筒八筒を落として手を戻す、とりあえず1枚切って鳴かれたら止めるとかヌルイことはしない。
中を重ねてのホンイツや、二筒を重ねて親満クラスをテンパイすれば、1枚だけ勝負牌としてそっと放つのだ。
小町がポンテンで切った発に、福光はポンテンをかけない。二筒を勝負してまでの1,500が嫌なのか?
二筒で当たると高いから怖いのか?私には一慣性のある腹の据わった打ち方には見えない。
山中の次のツモは八万。もし山中が、八万単騎に変えていれば満貫ツモだった。
続く北家・森岡のツモが二万。福光が中を絞るか発を鳴き返していたら山中が満貫ツモだった。
福光は、スレスレで親カブリを免れたが、たまたまの偶然にしか見えない。
そして、なんと森岡が二万をツモ切る。ダブロンは無いので、小町の頭ハネだが森岡の手は、
三万四万五万四索四索四索五索五索六筒七筒白白中
この煮詰まった局面で、この程度の1シャンテンで今安全牌になった中を切らず、二万をツモ切りしての放銃。
面前で押している両脇にケアができない雀力だとしても、対面の小町は役牌を2組ポンだ。ホンイツかトイトイかドラドラが絡めば満貫あるし、何より森岡の手牌に危険を冒す価値が無い。
私が時々使う言葉に「放銃レベルが低い」というのがある。良い放銃もあれば仕方ない放銃もあるが、このような低いレベルの放銃はプロの試合であってはならない。
私は開始5分で、観戦ノートに森岡の優勝は無いと書いた。ただし相手が皆上級者ならばだが・・・
幸先良いスタートの小町だったが、この後の追加点が奪えず目減りしていく。
酷い放銃にもめげずに前に出る森岡の南1局、まだラス目だが北家で先制即リーチ。
三万四万五万七万八万八万八万九万六索七索七筒八筒九筒ドラ二万
この牌姿で子方のピンフのみ先制リーチは芸が無さ過ぎる。
ドラを引くか、九索を引いて三色にしてからのリーチだろう。
お約束のように、ドラの二万を引いてからのツモアガリで本人も苦笑い。
それでもオーラスに、親の森岡が2,000オールを引いてラス抜けした1本場。
4者の持ち点は超接近。
小町31,900
福光31,000
森岡28,000
山中27,000
まず西家の小町が3巡目にこうなる。
一万三万五万六万七万二索四索五索六索七索七索五筒六筒七筒ドラ一筒
微差のトップ目で、リーチ棒は出したくないのでタンヤオ狙いで一万を切って1シャンテンに戻した。
まだ早いので好手だとは思うが、とりあえずテンパイを取ってから変化を待つ手もある。
直ぐに二万をツモッたが、今度はフリテンであるがテンパイを取る。
結果的には、この判断が正解だった。二索を持ち過ぎると福光への放銃が待っていたからだ。
10巡目にテンパイした福光は即リーチ。
五万六万七万二索三索三索三索四索四索四索五索二筒二筒リーチ
確かにリーチしてツモれば満貫で、小町も配原割れで1人浮きになる。
ポジティブな福光らしいが、私はこのような場合は絶対にリーチ棒を出さない。
ヤミテンなら誰からも二索が出そうだし、もし1枚二索を切っている小町から出れば1人浮きになる。
何よりリーチ棒を出すことによって、自分が配原を割る可能性が大幅に増えるし2,000点放銃しただけでラスになるからだ。
リーチしか役が無くて、アガリが期待できるテンパイならばリーチ棒を出すが、1回戦から危険を冒してまで無理やり1人浮きを狙うことが必要だったのだろうか?上のリーグに上って行くには、もっと状況に応じた丁寧で緻密な対応力を身に着けなければならないと思う。リーチの直後に小町が高目の四をツモ、福光が黒棒1本沈んで小町僥倖の1人浮きのトップになった。
1回戦成績
小町+17.9P  福光▲1.1P  森岡▲5.6P  山中▲11.2P
山中が展開ラスになってしまったが、1回戦の内容は一番良かった。
そのご褒美かのように2回戦では山中が爆発した。
南家スタートの山中は、東初に森岡から南ホンイツの5,200点、迎えた親では、福光からリーチドラ1の3,900点をアガリ、1本場では思い切った即リーチで6,000オール!
四万五万六万七万七万五索六索七索八索九索四筒五筒六筒リーチツモ四索ドラ七万
東3局でも福光から満貫を出アガリし、持ち点は6万点オーバー。
ホントに強い人なら、これだけ点棒と勢いを掴んだら、ここぞとばかりに更に攻め込んで、この半荘で勝ちを決めるような特大のトップを取りに行くのだが、山中は、この後何故か気持ちが守りに入ったようで、誰もテンパイしてないところから受け気味の消極的な麻雀になり、森岡に浮きの2着を取らせてしまったのはもったいなかった。
この半荘で終わりのトーナメントならずっとオリていても勝ち残れるが、半荘5回の決勝でまだ2回戦目なのだ、この辺が決勝初体験のプレッシャーなのだろうか。
2回戦成績
山中+37.7P  森岡+5.6P  福光▲18.5P  小町▲24.8P
2回戦までのトータル
山中+26.5P  森岡+▲0P  小町▲6.9P  福光▲19.6P
3回戦は小町が東3局の親番で連荘し、40,000点越えのトップ目に立った4本場で山中に逸機。
西家・山中は6巡目テンパイ。
二万三万六万七万八万三索三索二筒三筒三筒四筒四筒五筒ドラ三索
何故か1巡回して六筒三筒を入れ替えてリーチ。
一万は福光が2枚切っている。ヤミテンならすぐに森岡が一万を打っていたが森岡がオリ。
小町も一万を掴んでオリ、福光が山中の現物待ちで追いつき、無筋を3枚カブせて山中から2,000点のアガリ。
山中の手はリーチを打てば安目でも満貫クラスだし、高目ツモなら跳満になるから気持ちは解らなくもないが、小町がアガリを重ねて連荘しているときだからヤミテンの選択がベターだったかも知れない。
山中これで少し焦ったか、続く東4局で中盤過ぎてこのテンパイ。
五万六万七万一索一索五索六索七索三筒四筒五筒五筒七筒ドラ四索
三色のみだが、待ちのカン六筒は場に3枚切れていて超期待薄。
ここで山中は、生牌の東をツモ切りして親の森岡がポン。
山中は次巡、生牌の中もツモ切りし、ついには終盤ドラ跨ぎの二索も切って森岡に7,700点の放銃。
これで森岡も浮きに回り、山中1人沈みのラス目となる。
2戦終わって1人浮きのトータルトップだったのだから、焦ることなく小さいラスなら良しとするような落ち着いた打ち方をするべきで、トータル2位につけていた森岡まで浮かせるべきではない。
断トツになって点棒を持ったら弱気に受けに回り、点棒が無くなると無理やり突っ込んで傷口を広げる。
これは典型的な負け組のパターンで、勝ち組になるにはこの逆でなければならない。
この半荘は森岡が小町を捲るのだが、追いついたアガリが南1局、北家の森岡4巡目にテンパイ。
七万三索三索五索六索七索二筒二筒四筒五筒六筒七筒八筒九筒ドラ五索
ここから二筒切りのテンパイ取らずとし、次巡、三筒を引いてリーチ。
福光から高目一筒で満貫をアガったが、もう一度4巡目の牌姿を見ていただきたい。
テンパイを壊してまで七万を残しても三色は無い。
ここはドラが五索なのだから、四索引きと三筒引きの両方を見て
三索四索五索六索七索二筒二筒四筒五筒六筒七筒八筒九筒
三索三索五索六索七索二筒三筒四筒五筒六筒七筒八筒九筒
理想形はこの2つだから七万切りで仮テンを取るのが正解。
結果は、三筒を先に引いたから同じになるが、手順は不合格である。
オーラスは、小町がヤミで1,300点をアガって終局したが、
七万八万九万一筒一筒五筒五筒六筒六筒七筒発発発ドラ三筒ロン四筒
トップ目の親の森岡との点差が1,600点。リーチをかけて森岡がノーテンでもトップ逆転、優勝するためにはここは降着の心配もないのでリーチをかけてトップを取りに行かないとダメで、森岡に楽にトップをプレゼントしてしまったのはヌルイ。
3回戦成績
森岡+18.2P  小町+12.6P  福光▲11.5P  山中▲19.3P
3回戦までのトータル
森岡+18.2P  山中+7.2P  小町+5.7P  福光▲31.1P
gpmax2012
3回戦を終え、なんと本命の福光がラスこそ無いもののオールマイナスの1人沈み。
まだ残り2回あり、トップまでの差が50P弱だから逆転は充分可能だが、ここまでの闘いを見て、皆がミスも多く決め手に欠け、誰が勝つか全く解らない。
しかし、やはり本命は本命だった。第4回戦で、起親の福光が4,000点オールを皮切りに、6万点オーバーの特大トップに仕上げ、一発でトータルトップに立ったのだ。
流れを掴み、優勢に立ってから更に攻め手を緩めず仕上げる力は、他の3人にはまだ無いスキルだ。
ここでマイナスながら2着目に留まったのは森岡だが、やはり手順手筋にダメ出しが多い。
主なものをあげると、東2局の西家4巡目、四万四万五万六万七万八万三索四索五索六索七索七筒七筒発  ドラ一万
ここから発を残して四万を切る。あーもったいない。
いくら3面張と3面張の1シャンテンとはいえ九万ならメンピンのみだ。
六筒引きでのタンピン三色テンビンの形、
四万四万五万六万七万八万三索四索五索六索七索六筒七筒
これが想定できないと不合格である。
南1局、北家の森岡が断トツの福光の連荘中にこのリーチ。
六万八万五索五索六索六索七索七索三筒三筒六筒七筒八筒リーチドラ八万
捨て牌に四万が切ってあるからといっても、ドラが八万ではあまり意味が無いし、何より勢いに乗る親の福光がマンズのホンイツで仕掛けてマンズが余っているところに、このリーチは一人よがりで無邪気過ぎる。ヤミでもあまり打点は変わらず、アガれたらラツキーくらいでオリる事を想定して謙虚に構えるべき。もし福光が東を引いて小四喜になり、森岡が東を持ってきたらここでゲームオーバーだった。
福光の手牌
一万二万七万八万九万南南北北北ポン西西西
このテンパイから森岡リーチの後に南ポンで、
二万七万八万九万北北北ポン南南南ポン西西西
さらにオーラス、24,800点持ちで2着目の親の森岡の手牌。
六万六万八万八万九万九万一筒三筒三筒三筒中中中ドラ二索
8巡目に六万が出たがスルー、11巡目の八万もスルーした。
九万からならポンしにくいが、六万からならポンテンで良いのではないか?
7,700点でもアガれば浮きの2着で、最終戦に福光を10P以上リードの首位で臨める。
もし四暗刻をツモれば、ここでほぼ優勝が決まるが、無理やり四暗刻を狙うべき局面だろうか?
ゲームプランが非現実的である。
森岡へのダメ出しがやけに多いように思われるだろうが、結果を先に書くと優勝したのは森岡。
私の見立てでは、4人の中で一番ダメ出しが多かったのが森岡で、どこが良かったのか勝因を探してもさして見当たらないのだ。強いてあげれば、最初の酷い放銃にも再三のミスにもめげずに最後までアグレッシブに前に出た事。福光のデキが悪く、若い2人からもミスのお返しが再三あり、全体的に一番ツイていたということくらいか?
優勝者だからこそ遠慮なく辛口でダメ出しをさせていただいた。
叱蛇激励のつもりだから許していただきたい。
4回戦成績
福光+47.5P  森岡▲6.2P  山中▲17.3P  小町▲24.0P
4回戦までのトータル
福光+16.4P  森岡+12.0P  山中▲10.1P  小町▲18.3P
ここにきて本命が頭に立ってみるとやっぱり福光か!
と思われたのだが、今日の福光はここまででした。
さて、いよいよ最終5回戦、規定により2位に着ける森岡が起家。
森岡と福光はほぼ着順が上の方が勝ち、山中と小町は上位2人を沈めてのトップが条件となる。
森岡の9巡目。
一万一万二万八万九万九万九万二筒三筒四筒四筒四筒五筒六筒ドラ八万
ここから生牌のドラを切り出し、南家の山中がこれをポンして喰いタンに向かう。
現在の状況で、ドラを切ってまで棒テンに向かう必要があるのか疑問だが、鳴かれたおかげで森岡が一万をツモってテンパイ。
一万一万一万二万九万九万九万二筒三筒四筒四筒四筒五筒六筒
一筒が3枚切れていて、枚数的には四筒切りの二万三万待ちが勝るが、二万が山中の現物ということもあり、森岡は二万を切ってリーチ。ドラをポンさせて焦ったのだろうか?オリるときは一万九万も安全牌だし、ピンズが1つ変われば三暗刻だし、即リーチの必然性が無いと思う。ドラポンに対してぶつけるのならアガったときにかなりのアドバンテージになる打点に仕上げてからでなくては見合わない。
その後、山中が七万をチーしてテンパイで三万を勝負し五筒をツモアガった。
森岡のミスでドラ3をアガらせて貰った山中は、次局の親でドラ2の先制リーチ。
二万三万四万一索三索一筒二筒三筒四筒四筒四筒六筒六筒リーチドラ六筒
このカン二索待ちが4枚ともヤマ生きで、あっさりとツモって3,900点オール。
山中が開始10分足らずで首位に立った。
ついに、25期目にしてチャンピオンズリーグの優勝が、関西本部に渡るかと思われたが、同1本場で優勝を決める大きな一発が飛び出した。
gpmax2012
2巡目の自風の北と、4巡目の中をそれぞれスルーした落ち着いたプレーが良く、後重なりの白と併せて3組ともポンできた。こうなると、後は誰も打たないだろうからツモ専だが、首尾よく高目の東三索で倍満ツモ。
一気に優勝に王手をかけた。
この後、皆で追撃を試みるが大きなアガリも出ず、小町に2度の勝負手が入るが実らず。
南1局4本場、
三万四万五万三索四索五索六索七索三筒四筒五筒七筒七筒リーチドラ三索
このリーチも流局。
南3局の親番。
三万四万五万二索三索六筒六筒六筒七筒七筒ポン発発発ドラ六筒
森岡が福光に満貫放銃で親落ち。
オーラスは、ラス目の親の福光があわや大三元か?
二索三索七索九索九索白白中中中ポン発発発
ここまで漕ぎ着けたが、森岡が喰いタンで捌いて優勝を決めた。
5回戦成績
森岡+17.5P  山中+8.2P  小町▲7.3P  福光▲18.4P
総合トータル
森岡+29.5P  山中▲1.9P  福光▲2.0P  小町▲25.6P
2年前、47歳で一念発起し、連盟のプロテストを受験した森岡。
年輩の受験生の場合は、他の若い受験生に比べてかなり水準以上のレベルになければ合格は難しい。
決して甘くないプロテスト基準に合格したのだから、森岡が2年目でタイトルを獲得しても不思議ではないのだが、決勝戦の舞台で全てを観られ、牌譜に採られてみると、雀歴30年のわりには手順手筋の未熟さ、無用な長考、手離れの悪さ等々、プロ連盟のタイトルホルダーとして皆様に対局を観ていただくにはまだまだ多くの課題が残る。
現在49歳とはいえ僕よりかなり若いんだし、プロとしてはまだ新人、これから先の麻雀人生は長いのだから、努力して頑張ってよ森岡君!
とりあえず初タイトルおめでとうございます。
gpmax2012
PS.この翌日「天空への道」決勝戦が行われたが、この日とは別人のようなスーパー福光が、格上3人を相手に3戦3トップでブッチギリの優勝。最後には、字一色小四喜を決め、次回「天空麻雀15」への出場権を獲得した。
生放送での字一色小四喜は史上初で、今後YouTubeなどで何万回と再生されるだろう。
やはりこの男はもっている(笑)

第30期鳳凰位決定戦 初日観戦記前編

鳳凰戦・初日1~2回戦

2014年1月26日(日曜日)。第30期『鳳凰』決定戦の幕が切って落とされた。
この日、東京はその決戦を祝うかのように久しぶりに晴れたが、
スタジオに向かう早稲田の夏目坂は、勝負の波乱を思わせる強風が吹いていた。

試合開始は15時だが、選手はその30分前に入るのが慣例である。しかし4人の選手は、さらにその30分前にすでに到着していた。これは試合開始前のイメージトレーニングの時間に当てるように思われがちだが、そうではない。体力作りや調整・イメトレなどもうとっくに済ませてあるのだ。
早く来た理由は…勝負の場の空気を吸うことで、緊張で目が上るのを防ぐためであろう。

対局者は挨拶をかわした後、世間話に興じる。この時、誰もが内に秘めた闘志などおくびにも出さない。皆、粋な歴戦の強者達なのである。
だがこの時、世話係のプロが食事の注文を取りに来た。裏方は音声・カメラ調整・立会人・採譜・司会進行・解説を含めると10名に及ぶが、すべて連盟員が分担し取り仕切る。夏目坂スタジオは連盟の総本山なのである。

食事は3種類のロケ弁である。
試合時間は優に8時間に及ぶため、選手も裏方も第2戦が済んだとき食事休憩に入る。
しかし選手4人は言下に「結構です」と答えた。これが闘志と覚悟の表れである。

食事をとればその分、血液が脳から胃に下がる。それが思考能力の妨げとなり、凡打(ミス)を誘発ことがある。勝負どころの一打の緩手は即、致命傷となるのだ。1年間かけた総仕上げがそれでは無念だ。
だから「結構です」となるのだ。
もちろん食べなくても平気で、プロはそうした鍛錬をずっと昔から積んでいるのだ。

gpmax2012

 

第一戦は起親が沢崎で、順に瀬戸熊・藤崎・伊藤の並び。
開始早々、12巡目に沢崎の親のリーチが飛んで来た。

 

gpmax2012

 

通常、競技麻雀でこの牌姿のリーチはない。

三筒三筒四筒四筒六筒六筒七筒七筒八筒八筒発発中ドラ五筒

五筒を引けばリャンペーコだし五筒はドラなのである。
この形で決まるならヤミテンで、出ても24,000のアガリになるからである。

三筒三筒四筒四筒五筒六筒六筒七筒七筒八筒八筒発発ロン五筒

そんなことは沢崎とて百も承知である。では、何故リーチをかけたのか―。
考えられる理由は3つある。まずその1つは河に3牌の二筒が飛んでいたことである。
五筒を引いたとしても二筒五筒マチは薄い…)と考えたに違いない。
第2の理由は、藤崎の仕掛けと河にある。自風の西のポンで、この河ならピンズの染め手は一目瞭然。
同じ色で、手がぶつかっていたのだ。

四万 上向き五万 上向き五万 上向き二万 上向き五索 上向き六索 上向き六万 上向き八索 上向き一索 上向き白北九筒 上向き

中は藤崎に危険牌である。
(当たるかも知れないし、出るかも知れない。ならばここで勝負―)
これが沢崎の培われた明るい感性で、いわば勝負の決断と手牌の見切りである。

 

gpmax2012

 

この時、藤崎の手の内はこうだ。

一筒一筒二筒四筒七筒八筒九筒発中中ポン西西西

中が出ればポンテンで、真っ向勝負となっていたのである。
しかし、結果は流局。残された1枚の中は深く王牌に眠ったままだった。
もちろん対局者は藤崎以外、中の在りかなど知る由もない。

 

gpmax2012

 

この親の沢崎のテンパイ形を見て、相手はどう思うか。いや、このとき沢崎は何を考えていたかである。
大事なのはここである。
(この場面、流局が相場である。運があればツモれるか―)
と、まず考える。
ただこの手は実らずとも、相手に見せることに意義がある。
そして次にこうだ。
(オレのリーチは怖いぞ、前に出たときには訳がある―)
このテンパイ形を見て相手は考える。
(ゲッ、そんな手で!)
相手に与える強烈なインパクト。
これを見せつけ、後の戦いを有利に運ぶ手段にすればいいのだ。
今度はブラフのリーチでも相手をオロすことができる。彼はそう考える。
これが、沢崎がリーチをかけた第3の理由である。

だが麻雀は、思い通りに事が運ぶとは限らない。そう、一寸先は闇である。
この日の沢崎がそうだった。東2局の最終図を見てみよう。

 

gpmax2012

 

今度はなんの因果か、逆にメンホン七対子を藤崎に討ち取られたのである。
沢崎もドラが2丁の勝負手、だから仕方がないと自分に言い聞かせることはできる。が、あの時あの手がヤミテンならどういう結果だったのか、という思いは頭をかすめたに違いない。

三筒三筒四筒四筒六筒六筒七筒七筒八筒八筒発発中

沢崎誠は群馬県安中市生まれの58歳。
彼は、自分を頑固者で生意気と評する。麻雀を覚えたのは学生のときで、すぐに勝ち組になったという。
連盟の3期生で、同期には藤原隆弘がいる。その雀風、読みの精度が高く攻めは重厚である。
連盟を代表する打ち手の1人だ。
こちらが親で勝負手のリーチをかけていても、無筋をブンと通されるとドキリとなるのだ。
その性格上、人とぶつかることもあるが、頑固者で生意気という性分は、ある意味で麻雀プロの素質でもあるのだ。彼は「十段」戦は瀬戸熊に敗れはしたが、その後「最強位」を手中に収め、リベンジに燃えていたのだ。

 

gpmax2012

 

さて、メンホン七対子の結果を見る限り、アガった者と打った者を見れば2人の態勢の差は歴然。

 

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だがこの第一戦、トップをものにしたのは要所・要所でアガリを的確ものにした瀬戸熊だったのである。
彼のこの半荘の安定感はまさに、いぶし銀に見えたのだった。

 

gpmax2012

 

第二戦は前回トップの瀬戸熊が起親。順に伊藤・藤崎・沢崎だ。
この半荘は稀に見る乱打戦となる。まず主導権を制したのは瀬戸熊だった。

 

gpmax2012

瀬戸熊の入り目はカン七索だが、リーチの打牌と構えに迷いが無い。すでに1シャンテンの段階で受けの選択と構えは決めてあるのだ。これが真のプロのフォームである。ツモってから考えるのではなく、ツモる以前に打牌と構えを考えてある。この姿勢はプロも範とすべきだろう。

この親に勝負と出たのが藤崎。彼もドラの発が雀頭だから打点は十分。しかし、打ち上げてしまったのは伊藤である。伊藤もホンイチの満貫手だから当然、勝負なのだ。プロの対戦はこうあってしかるべきだ。引くときは引くが、出るときは怖れず一歩前に出て斬り合うのだ。視聴者の感動はここから生まれるのだ。
勝ちも大事だが、感動を与えなければプロではない。

しかし、伊藤にとってこの7,700の放銃は応えた違いない。
競技麻雀の7,700は一発・裏ドラ有りのルールなら12,000点に相当するのだ。

 

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その好調の瀬戸熊を、今度は藤崎がめしとる。

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瀬戸熊の手役はタンヤオだけだが、符がはねてツモなら3,200オールの高打点。
気合いを入れてツモったら色違いの七万である。
(一発役はないから…まあいいか)
…で、これを切ったら小声でロンである。しかもドラドラの6,400。
これが闇夜で背中をバッサリの忍者・藤崎流なのである。

 

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怖い瀬戸熊の親が落ちたら今度は沢崎の出番だ。

四万五万六万四索四索五筒六筒東東東ポン六索 上向き六索 上向き六索 上向き??ツモ七筒

どうということのないアガリに見えるが、実はこれ東がドラなのである。
軽々とツモって2,000・4,000。親のかぶりは伊藤である。

伊藤は前回ラスだ。そしてこの時点で、持ち点は16,800である。あまりのツキのなさに苦笑いが出たことだろう。藤崎と沢崎は持ち点が36,500で並ぶ。瀬戸熊はわずか200点だけ浮いているという状況である。
そして東3局は3人のリーチ合戦。この日の勝負の明暗を決める戦いである。

 

oui38_a_10 oui38_a_11 oui38_a_10

gpmax2012

 

伊藤は高めツモなら跳満で、反撃の狼煙を上げたいところ。そして瀬戸熊は3面チャンの受け。
結末は、藤崎が一発で引いて2,600オール。これで持ち点を46,300とする。

さらに東4局は沢崎の親番。そのリーチをかいくぐり、ヤミテンでこの手をアガる。

五万六万六万七万七万八万二索三索四索六索七索四筒四筒ロン八索ドラ四筒

これで勝負が決まった。五索はリーチの指示牌で八索を打ったのは瀬戸熊。
藤崎の持ち点が54,400の大台となった。今度はラス前にその瀬戸熊が前期・鳳凰の意地を見せる。

 

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惜しいのは南家の沢崎、五筒でツモリ跳満だったがすでに高めは空テン。
そしてこの半荘の結末はこうだ。

 

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2回戦成績
藤崎+22.7P  沢崎+5.1P  瀬戸熊▲5.1P  伊藤▲22.7P

2回戦終了時
藤崎+36.5P  瀬戸熊+16.9P  沢崎▲20.2P  伊藤▲33.2P

まだ書きたいことは山ほどあったが、残念ながら紙数が尽きた。
初日の後半戦は次としよう。

28期鳳凰・荒正義。

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プロリーグ(鳳凰戦)決勝観戦記/第30期鳳凰位決定戦 初日観戦記前編

鳳凰戦・初日1~2回戦
2014年1月26日(日曜日)。第30期『鳳凰』決定戦の幕が切って落とされた。
この日、東京はその決戦を祝うかのように久しぶりに晴れたが、
スタジオに向かう早稲田の夏目坂は、勝負の波乱を思わせる強風が吹いていた。
試合開始は15時だが、選手はその30分前に入るのが慣例である。しかし4人の選手は、さらにその30分前にすでに到着していた。これは試合開始前のイメージトレーニングの時間に当てるように思われがちだが、そうではない。体力作りや調整・イメトレなどもうとっくに済ませてあるのだ。
早く来た理由は…勝負の場の空気を吸うことで、緊張で目が上るのを防ぐためであろう。
対局者は挨拶をかわした後、世間話に興じる。この時、誰もが内に秘めた闘志などおくびにも出さない。皆、粋な歴戦の強者達なのである。
だがこの時、世話係のプロが食事の注文を取りに来た。裏方は音声・カメラ調整・立会人・採譜・司会進行・解説を含めると10名に及ぶが、すべて連盟員が分担し取り仕切る。夏目坂スタジオは連盟の総本山なのである。
食事は3種類のロケ弁である。
試合時間は優に8時間に及ぶため、選手も裏方も第2戦が済んだとき食事休憩に入る。
しかし選手4人は言下に「結構です」と答えた。これが闘志と覚悟の表れである。
食事をとればその分、血液が脳から胃に下がる。それが思考能力の妨げとなり、凡打(ミス)を誘発ことがある。勝負どころの一打の緩手は即、致命傷となるのだ。1年間かけた総仕上げがそれでは無念だ。
だから「結構です」となるのだ。
もちろん食べなくても平気で、プロはそうした鍛錬をずっと昔から積んでいるのだ。
gpmax2012
 
第一戦は起親が沢崎で、順に瀬戸熊・藤崎・伊藤の並び。
開始早々、12巡目に沢崎の親のリーチが飛んで来た。
 
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通常、競技麻雀でこの牌姿のリーチはない。
三筒三筒四筒四筒六筒六筒七筒七筒八筒八筒発発中ドラ五筒
五筒を引けばリャンペーコだし五筒はドラなのである。
この形で決まるならヤミテンで、出ても24,000のアガリになるからである。
三筒三筒四筒四筒五筒六筒六筒七筒七筒八筒八筒発発ロン五筒
そんなことは沢崎とて百も承知である。では、何故リーチをかけたのか―。
考えられる理由は3つある。まずその1つは河に3牌の二筒が飛んでいたことである。
五筒を引いたとしても二筒五筒マチは薄い…)と考えたに違いない。
第2の理由は、藤崎の仕掛けと河にある。自風の西のポンで、この河ならピンズの染め手は一目瞭然。
同じ色で、手がぶつかっていたのだ。
四万 上向き五万 上向き五万 上向き二万 上向き五索 上向き六索 上向き六万 上向き八索 上向き一索 上向き白北九筒 上向き
中は藤崎に危険牌である。
(当たるかも知れないし、出るかも知れない。ならばここで勝負―)
これが沢崎の培われた明るい感性で、いわば勝負の決断と手牌の見切りである。
 
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この時、藤崎の手の内はこうだ。
一筒一筒二筒四筒七筒八筒九筒発中中ポン西西西
中が出ればポンテンで、真っ向勝負となっていたのである。
しかし、結果は流局。残された1枚の中は深く王牌に眠ったままだった。
もちろん対局者は藤崎以外、中の在りかなど知る由もない。
 
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この親の沢崎のテンパイ形を見て、相手はどう思うか。いや、このとき沢崎は何を考えていたかである。
大事なのはここである。
(この場面、流局が相場である。運があればツモれるか―)
と、まず考える。
ただこの手は実らずとも、相手に見せることに意義がある。
そして次にこうだ。
(オレのリーチは怖いぞ、前に出たときには訳がある―)
このテンパイ形を見て相手は考える。
(ゲッ、そんな手で!)
相手に与える強烈なインパクト。
これを見せつけ、後の戦いを有利に運ぶ手段にすればいいのだ。
今度はブラフのリーチでも相手をオロすことができる。彼はそう考える。
これが、沢崎がリーチをかけた第3の理由である。
だが麻雀は、思い通りに事が運ぶとは限らない。そう、一寸先は闇である。
この日の沢崎がそうだった。東2局の最終図を見てみよう。
 
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今度はなんの因果か、逆にメンホン七対子を藤崎に討ち取られたのである。
沢崎もドラが2丁の勝負手、だから仕方がないと自分に言い聞かせることはできる。が、あの時あの手がヤミテンならどういう結果だったのか、という思いは頭をかすめたに違いない。
三筒三筒四筒四筒六筒六筒七筒七筒八筒八筒発発中
沢崎誠は群馬県安中市生まれの58歳。
彼は、自分を頑固者で生意気と評する。麻雀を覚えたのは学生のときで、すぐに勝ち組になったという。
連盟の3期生で、同期には藤原隆弘がいる。その雀風、読みの精度が高く攻めは重厚である。
連盟を代表する打ち手の1人だ。
こちらが親で勝負手のリーチをかけていても、無筋をブンと通されるとドキリとなるのだ。
その性格上、人とぶつかることもあるが、頑固者で生意気という性分は、ある意味で麻雀プロの素質でもあるのだ。彼は「十段」戦は瀬戸熊に敗れはしたが、その後「最強位」を手中に収め、リベンジに燃えていたのだ。
 
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さて、メンホン七対子の結果を見る限り、アガった者と打った者を見れば2人の態勢の差は歴然。
 
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だがこの第一戦、トップをものにしたのは要所・要所でアガリを的確ものにした瀬戸熊だったのである。
彼のこの半荘の安定感はまさに、いぶし銀に見えたのだった。
 
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第二戦は前回トップの瀬戸熊が起親。順に伊藤・藤崎・沢崎だ。
この半荘は稀に見る乱打戦となる。まず主導権を制したのは瀬戸熊だった。
 
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瀬戸熊の入り目はカン七索だが、リーチの打牌と構えに迷いが無い。すでに1シャンテンの段階で受けの選択と構えは決めてあるのだ。これが真のプロのフォームである。ツモってから考えるのではなく、ツモる以前に打牌と構えを考えてある。この姿勢はプロも範とすべきだろう。
この親に勝負と出たのが藤崎。彼もドラの発が雀頭だから打点は十分。しかし、打ち上げてしまったのは伊藤である。伊藤もホンイチの満貫手だから当然、勝負なのだ。プロの対戦はこうあってしかるべきだ。引くときは引くが、出るときは怖れず一歩前に出て斬り合うのだ。視聴者の感動はここから生まれるのだ。
勝ちも大事だが、感動を与えなければプロではない。
しかし、伊藤にとってこの7,700の放銃は応えた違いない。
競技麻雀の7,700は一発・裏ドラ有りのルールなら12,000点に相当するのだ。
 
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その好調の瀬戸熊を、今度は藤崎がめしとる。
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瀬戸熊の手役はタンヤオだけだが、符がはねてツモなら3,200オールの高打点。
気合いを入れてツモったら色違いの七万である。
(一発役はないから…まあいいか)
…で、これを切ったら小声でロンである。しかもドラドラの6,400。
これが闇夜で背中をバッサリの忍者・藤崎流なのである。
 
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怖い瀬戸熊の親が落ちたら今度は沢崎の出番だ。
四万五万六万四索四索五筒六筒東東東ポン六索 上向き六索 上向き六索 上向き??ツモ七筒
どうということのないアガリに見えるが、実はこれ東がドラなのである。
軽々とツモって2,000・4,000。親のかぶりは伊藤である。
伊藤は前回ラスだ。そしてこの時点で、持ち点は16,800である。あまりのツキのなさに苦笑いが出たことだろう。藤崎と沢崎は持ち点が36,500で並ぶ。瀬戸熊はわずか200点だけ浮いているという状況である。
そして東3局は3人のリーチ合戦。この日の勝負の明暗を決める戦いである。
 

oui38_a_10 oui38_a_11 oui38_a_10

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伊藤は高めツモなら跳満で、反撃の狼煙を上げたいところ。そして瀬戸熊は3面チャンの受け。
結末は、藤崎が一発で引いて2,600オール。これで持ち点を46,300とする。
さらに東4局は沢崎の親番。そのリーチをかいくぐり、ヤミテンでこの手をアガる。
五万六万六万七万七万八万二索三索四索六索七索四筒四筒ロン八索ドラ四筒
これで勝負が決まった。五索はリーチの指示牌で八索を打ったのは瀬戸熊。
藤崎の持ち点が54,400の大台となった。今度はラス前にその瀬戸熊が前期・鳳凰の意地を見せる。
 
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惜しいのは南家の沢崎、五筒でツモリ跳満だったがすでに高めは空テン。
そしてこの半荘の結末はこうだ。
 
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2回戦成績
藤崎+22.7P  沢崎+5.1P  瀬戸熊▲5.1P  伊藤▲22.7P
2回戦終了時
藤崎+36.5P  瀬戸熊+16.9P  沢崎▲20.2P  伊藤▲33.2P
まだ書きたいことは山ほどあったが、残念ながら紙数が尽きた。
初日の後半戦は次としよう。
28期鳳凰・荒正義。
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第103回:吾妻 さおり

「優勝したよ!」
携帯メールに報告が入っていた。
思わず職員室で「やったー!!!!」と大声で叫んでいた。
まるで生徒の合格発表のように。

私、美波智子は麻雀プロをしながら学習塾の講師をしている。
志望校に合格するために日々努力を重ねる生徒たちに勉強のコツを教えて、一つ覚えたら共に喜び励まし、時には泣くほど叱りつける事もある。出来る全てを託して試験会場に送り出したら、最後は見守り結果を待つしかない。だからこそ、合格の報告を受けた時は自分の事よりも嬉しく感じる。

彼女が麻雀に対して日々努力をしてきたのを誰より知っていただけに、そのメールが合格報告のように嬉しくって「良かったーー!!」と涙があふれてきた。

美波「女流桜花優勝おめでとう!!」

吾妻「ありがとう。授業中だと思ったから報告はメールにしておいたよ。」

美波「思わず職員室で泣いちゃったよ。休み時間に速報チェックして、逆転されたのを知っていたから超ドキドキしてた。本当良かったね。」

吾妻「うん。最後までハラハラさせてごめんね。」

美波「どう?実感とか湧いてきた?」

吾妻「オーラスアガった時は放心状態だった。長い戦いだったから、本当にこの局で終わりなのか信じられないっていうか。藤原審判長が『優勝は吾妻プロです。+1.6ポイントまくりました』って言ってもまだ実感がなくて。森山会長から優勝カップを受け取った時初めて『桜花獲ったんだ!』ってこみあげてくるものがあった。」

gpmax2012

美波「でもさぁ、出会った頃にはまさかこんな日が来るなんて思いもしなかったよね。」

吾妻「だね。麻雀卓を囲めるだけで、全然勝てなくても幸せだった。プロになって優勝したいとか考えたこともなかったなぁ。」

美波「あの頃は毎日一緒にいて4人揃えば麻雀してたよね。新しい発見の連続だった。」

吾妻「麻雀の魅力にどんどんのめりこんでいったよね。一緒に勉強してたから、単騎の山読みで2人して同じ牌待ってたり。」

美波「同卓での七対子は今でも困るよ。私がリーチしても『待ちはこれ!』って一点読みされて、それ以外の牌全部切られたり・・・」

吾妻「先手打たれて私はまだ1シャンテンで3つとも『超危険牌』とか(笑)」

美波「でも吾妻プロは数字苦手で、点数計算は私の方が先に覚えて教えてあげたっけ。」

吾妻「その節はお世話になりました。教わった『算数が苦手な人の為の計算法』は今でも役立っていて麻雀教室でも応用させてもらってます。っていうか『吾妻プロ』って呼ばれるのは違和感満載(笑)」

美波「じゃぁ、いつも通り『ママ』と『ともち』で(笑)インタビューの記事、理系の私に書けるか自信ないんだけどどうしよう・・・」

吾妻「うん。一番喜んでくれた人にって思ったから指名しちゃった。ともちが思った通りに書いてくれたらいいよ。必要なら添削は手伝うからさ。」

私は年下の吾妻プロをママと呼んでいる。10年ほど前、子猫ちゃんを新しい家族として迎え入れた彼女は、当時毎日のように出入りし家族同然の付き合いだった私に「ともちもうちの子になる?」と一言。これが「ママ」のきっかけなのだが、呼び名が定着したのは彼女の性格によるところが大きい。
辛い事があれば一緒に悩んでくれる。
嬉しい事があれば一緒に喜んでくれる。
困った事があればさりげなく助けてくれる。
こんな彼女の無償の優しさが、まるでお母さんのようだからだ。

美波「プロになったいきさつとか聞いておく??」

吾妻「ともちと一緒にプロ試験受けたのに?」

美波「ぜひ聞かせてください(笑)」

吾妻「知人を介して知り合った石渡正志プロが麻雀講師をされていて、素敵なお仕事だと思ったの。私は麻雀の楽しさも、ルールや点数計算が難しくてなかなか覚えられないもどかしさも両方経験してきたから、自分の天職かもって直感があった。教師と麻雀プロって真逆の世界に見えるけど、そんな事ないんだよね。」

美波「中学校を辞めてしまうのはもったいないと思っていたけど、ママにとって『楽しさを伝える』って目標は変わってないんだね。今回の優勝は麻雀教室の生徒さんも喜ぶだろうね。」

吾妻「明日が桜花獲ってから初めての教室なんだけど、きっとお祭り騒ぎになると思うよ♪」

美波「何度か教室に遊びに行かせてもらったけど、生徒さんみんな楽しそうに麻雀打ってるよね。ママの言ってる『楽しさ』が伝わってるんだね。」

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吾妻「教室は仕事であると同時に自分自身の楽しみでもあるよ。あっちの卓で打ちながら世間話してたら、教室全員聞き耳たててて大爆笑が起こったり、役満が出たら他の卓の人も見に来て拍手したり。誤ロンやチョンボも1日1回はセーフとか、真剣勝負の競技麻雀とは違うけど、一生懸命手作りをして高い手が完成したらみんなで喜ぶって、麻雀を楽しむ秘訣だと思うの。」

美波「プロになってやりたかった事が出来てるって事だよね。」

吾妻「少しずつだけどね。決勝の生中継は、辛そうに考え込んだり、悩んで牌を選んだり、真剣勝負の厳しさばかりが目につくかも知れないけど、それも含めて麻雀って競技が大好きなんだよね。ニコニコ動画の連盟チャンネルやブログとか、情報を発信する方法が発達した今日、自分が出来ることも増えているからこれからも1つずつ実現させたいな。今回私が優勝出来たことで1人でも麻雀を始めてくれた人が居たらプロになって良かったなって思うから。」

美波「さて、そろそろ桜花の決勝の話しなくちゃね。プレイオフで決勝進出が決まってから初日までの期間はどんなことを考えていたの?」

吾妻「決勝のメンバーは全員タイトルホルダーで動画もあるし、同卓したり後ろで見学していたこともあるから、明確なイメージトレーニングが出来たよ。出来たというよりは、勝手に想像が膨らんじゃうっていう方が近いかも。誰からリーチが来て、誰はヤミ押しして、一発で何切るか?とか、自分が打っている映像を観ているみたいな感じ。」

美波「その中で『簡単にはオリない』ってイメージが出来上がった?」

吾妻「イメージの中で自分がオリた局は相手が楽そうにアガっていたり、逆に先行リーチにノータイムで無筋切ったらヤミ押しの人がオリたり。何局も想像してくうちに『今回私は4人の中で一番まっすぐな手作りをしないと勝てない』って思った」

美波「でもさ、そうすると、普段は押さない一牌を押す局面が出てくるでしょ?それをあんな大舞台でやるのは勇気がいるよね?」

吾妻「手役作って高打点が見込めるなら後手でも押すのは元々のスタイルだし、今回の決勝で性に合っているのを再確認できたよ。テーマに沿って普段はやめる一牌も押し切ったけど、その放銃さえも優勝に必要だと思って打っていたし。」

美波「初日、緊張していないはずないのに、のびのび打っていたように思えたんだけど、実際のところどうだったの?」

吾妻「野球に例えたら『フルスイングする』って明確なテーマがあって、ボールをバットの芯で捉える事だけを考えてた。でもそれがうまくハマって大量リードしたら『フルスイングで追加点狙ってもいいし、バントでも犠牲フライでも、何なら今日は流して体力温存してもいいよ』ってなって。」

美波「野球に例えられた・・・ルールわかんないけど、1日でここまでリードするとは思ってなかったからこそ、2日目に少し迷いが生じたってことかな?」

吾妻「そう、アガリに向かってもいいけど、オリてもいいし、子に振り込んで一局消化してもいいよ」っていうイメトレは不足してた。今思えば、事前に先行パターンも考えておかなくっちゃダメって思うけど、この点は妙に謙虚キャラだったね。」

美波「いや、正直誰も想像してなかったと思うよ(笑)」

吾妻「2日目のドラ白単騎の役なしテンパイの局は・・」

gpmax2012

美波「あーっ!それ、ともち画面見ながら『リーーーーチ!!』って叫んだよ(笑)」

吾妻「あれは魚谷プロからリーチが入って『まっすぐアガリに向かって』なかっただけに、『リーチ』の声が出なかった。」

美波「で、白単騎の6,400をアガリ逃した」

吾妻「和久津プロが白を合わせて、さらにツモ切りが続いていた安田プロへの現物テンパイの注意が抜けて放銃にまわって。白がバラけていた事もその場でわかってしまう、最悪の局だよ。ショックを引きずって放銃したのだから、気持ち切り替えて自分の麻雀をしっかり打とうと決めて。

8回戦東3局、親・吾妻

配牌 
二万二万九万二索六索七索四筒六筒七筒九筒九筒東南南  ドラ六万

アガリ形 
二万二万四万六万四索五索六索四筒五筒六筒七筒八筒九筒  ツモ五万

南トイツ落としして手役をきちんと狙ったら456の三色ツモれたの。なかなかイメトレ通りに打てなくて、目に見える敗着局もあって辛い1日だったけど、ここをそのまま自分の弱点にしたくないから初日よりの何倍もチェックしたよ。」

美波「2日目終わってすぐ、会おうよって誘ったら、『カラオケがいい!』って言ったじゃん。やっぱり少し煮詰まってたの?」

吾妻「起きている間ずっと牌姿が頭の中グルグルしてて、寝てても夢に出てくるからね。麻雀の事を忘れたのはあの時だけだったよ。ともちとバイバイした瞬間また新しい牌姿浮かんできたけど(笑)」

美波「あれからまたずーっと麻雀の事考えてたんだね。決勝が3日間、しかも2週間の戦いの大変なところだね。」

吾妻「特に初日から2日目のインターバルは長く感じた。考えすぎて裏目に出た部分もあるけど、その経験も含めて決勝でしか味わえない宝物だよ。」

美波「最終日にはどんな気持ちで卓についた?」

吾妻「9・10回戦は『手に素直に』って思ってた。行くべき局は行って、オリる局はしっかりオリる。11回戦で『戦って勝つ』のバランスを間違えてしまって窮地に陥ることになるんだけど・・・。」

美波「2位につけていた和久津プロに7,700を2回も放銃したね。」

吾妻「対局観が間違ってたから、変な所で前に出たし、仕掛けも良くないし、打牌選択も私らしくなかった。『気持ちだけじゃ勝てない』の典型の半荘だね。」

美波「最後の最後で初日から守ってきたトータルトップから陥落しちゃうわけだけど、気持ち的に動揺とかなかったの?」

吾妻「まくられたとか、これじゃ優勝なんてできないとかが頭の中を一瞬駆け巡った。でも今まで私を応援してくれた人たちの為にも『最終半荘は今の私のベストな麻雀を打ちたい』って思ったら、びっくりする程集中できたんだ。」

美波「最後の親番が流されて、アガれないままオーラスになっちゃったけど、それでも焦らなかった?」

吾妻「放銃した手順も自分らしい手組みが出来ていたし、全ての局に意味があるって完全に現状を受け入れて、次すべき事を考えてた。焦りはなかったよ。」

美波「その冷静さ、尊敬するわ。私なら逃げ出したいって思っちゃうかも・・・」

吾妻「確かに決勝は苦しかったし、自分が許せない程ダメな場面もあったけど。悩み抜いていく過程で競技麻雀をもっと好きになったし、自分の未熟な面も浮き彫りになって。そこをきちんと修正して、またこういう場で戦いたいって強く思ったよ。」

美波「12回戦、3日間に及ぶ戦いを経験したことで、更なる成長が期待できそうだね。最後に、今まで応援してくれた人や今回初めて『吾妻さおり』を知った人達に一言お願いします。」

吾妻「決勝に出場した事で一番強く感じたのは、応援してくれる皆さんへの感謝です。自分が生きていることも、麻雀を打てる事も。多くの人に支えられているからこの舞台に立てたのだと改めて心にしみた期間でした。今回初めて私の麻雀を観て『感動しました、今後応援します』と有難いお言葉をくださった方々も、批判的な立場からのご意見も、私にとってかけがえのない宝物です。次にお目にかかる機会がありましたら、前より進化した吾妻をお見せできるよう、頑張りたいと思います。応援よろしくお願いします。」

美波「長い時間ありがとう。インタビューはこのくらいにして、そろそろカラオケしよっか。」

数日後、この原稿を持ってもう1回彼女に会いに行った。

吾妻「きちんとまとまってるじゃん♪ともちよく頑張ったね。あっ、でも、ここ同じ単語が2回続いているから、ちょっと言い方を変えてみようよ。」

やっぱりママは国語の先生だね(笑)

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プロ雀士インタビュー/第103回:吾妻 さおり

「優勝したよ!」
携帯メールに報告が入っていた。
思わず職員室で「やったー!!!!」と大声で叫んでいた。
まるで生徒の合格発表のように。
私、美波智子は麻雀プロをしながら学習塾の講師をしている。
志望校に合格するために日々努力を重ねる生徒たちに勉強のコツを教えて、一つ覚えたら共に喜び励まし、時には泣くほど叱りつける事もある。出来る全てを託して試験会場に送り出したら、最後は見守り結果を待つしかない。だからこそ、合格の報告を受けた時は自分の事よりも嬉しく感じる。
彼女が麻雀に対して日々努力をしてきたのを誰より知っていただけに、そのメールが合格報告のように嬉しくって「良かったーー!!」と涙があふれてきた。
美波「女流桜花優勝おめでとう!!」
吾妻「ありがとう。授業中だと思ったから報告はメールにしておいたよ。」
美波「思わず職員室で泣いちゃったよ。休み時間に速報チェックして、逆転されたのを知っていたから超ドキドキしてた。本当良かったね。」
吾妻「うん。最後までハラハラさせてごめんね。」
美波「どう?実感とか湧いてきた?」
吾妻「オーラスアガった時は放心状態だった。長い戦いだったから、本当にこの局で終わりなのか信じられないっていうか。藤原審判長が『優勝は吾妻プロです。+1.6ポイントまくりました』って言ってもまだ実感がなくて。森山会長から優勝カップを受け取った時初めて『桜花獲ったんだ!』ってこみあげてくるものがあった。」
gpmax2012
美波「でもさぁ、出会った頃にはまさかこんな日が来るなんて思いもしなかったよね。」
吾妻「だね。麻雀卓を囲めるだけで、全然勝てなくても幸せだった。プロになって優勝したいとか考えたこともなかったなぁ。」
美波「あの頃は毎日一緒にいて4人揃えば麻雀してたよね。新しい発見の連続だった。」
吾妻「麻雀の魅力にどんどんのめりこんでいったよね。一緒に勉強してたから、単騎の山読みで2人して同じ牌待ってたり。」
美波「同卓での七対子は今でも困るよ。私がリーチしても『待ちはこれ!』って一点読みされて、それ以外の牌全部切られたり・・・」
吾妻「先手打たれて私はまだ1シャンテンで3つとも『超危険牌』とか(笑)」
美波「でも吾妻プロは数字苦手で、点数計算は私の方が先に覚えて教えてあげたっけ。」
吾妻「その節はお世話になりました。教わった『算数が苦手な人の為の計算法』は今でも役立っていて麻雀教室でも応用させてもらってます。っていうか『吾妻プロ』って呼ばれるのは違和感満載(笑)」
美波「じゃぁ、いつも通り『ママ』と『ともち』で(笑)インタビューの記事、理系の私に書けるか自信ないんだけどどうしよう・・・」
吾妻「うん。一番喜んでくれた人にって思ったから指名しちゃった。ともちが思った通りに書いてくれたらいいよ。必要なら添削は手伝うからさ。」
私は年下の吾妻プロをママと呼んでいる。10年ほど前、子猫ちゃんを新しい家族として迎え入れた彼女は、当時毎日のように出入りし家族同然の付き合いだった私に「ともちもうちの子になる?」と一言。これが「ママ」のきっかけなのだが、呼び名が定着したのは彼女の性格によるところが大きい。
辛い事があれば一緒に悩んでくれる。
嬉しい事があれば一緒に喜んでくれる。
困った事があればさりげなく助けてくれる。
こんな彼女の無償の優しさが、まるでお母さんのようだからだ。
美波「プロになったいきさつとか聞いておく??」
吾妻「ともちと一緒にプロ試験受けたのに?」
美波「ぜひ聞かせてください(笑)」
吾妻「知人を介して知り合った石渡正志プロが麻雀講師をされていて、素敵なお仕事だと思ったの。私は麻雀の楽しさも、ルールや点数計算が難しくてなかなか覚えられないもどかしさも両方経験してきたから、自分の天職かもって直感があった。教師と麻雀プロって真逆の世界に見えるけど、そんな事ないんだよね。」
美波「中学校を辞めてしまうのはもったいないと思っていたけど、ママにとって『楽しさを伝える』って目標は変わってないんだね。今回の優勝は麻雀教室の生徒さんも喜ぶだろうね。」
吾妻「明日が桜花獲ってから初めての教室なんだけど、きっとお祭り騒ぎになると思うよ♪」
美波「何度か教室に遊びに行かせてもらったけど、生徒さんみんな楽しそうに麻雀打ってるよね。ママの言ってる『楽しさ』が伝わってるんだね。」
gpmax2012
吾妻「教室は仕事であると同時に自分自身の楽しみでもあるよ。あっちの卓で打ちながら世間話してたら、教室全員聞き耳たててて大爆笑が起こったり、役満が出たら他の卓の人も見に来て拍手したり。誤ロンやチョンボも1日1回はセーフとか、真剣勝負の競技麻雀とは違うけど、一生懸命手作りをして高い手が完成したらみんなで喜ぶって、麻雀を楽しむ秘訣だと思うの。」
美波「プロになってやりたかった事が出来てるって事だよね。」
吾妻「少しずつだけどね。決勝の生中継は、辛そうに考え込んだり、悩んで牌を選んだり、真剣勝負の厳しさばかりが目につくかも知れないけど、それも含めて麻雀って競技が大好きなんだよね。ニコニコ動画の連盟チャンネルやブログとか、情報を発信する方法が発達した今日、自分が出来ることも増えているからこれからも1つずつ実現させたいな。今回私が優勝出来たことで1人でも麻雀を始めてくれた人が居たらプロになって良かったなって思うから。」
美波「さて、そろそろ桜花の決勝の話しなくちゃね。プレイオフで決勝進出が決まってから初日までの期間はどんなことを考えていたの?」
吾妻「決勝のメンバーは全員タイトルホルダーで動画もあるし、同卓したり後ろで見学していたこともあるから、明確なイメージトレーニングが出来たよ。出来たというよりは、勝手に想像が膨らんじゃうっていう方が近いかも。誰からリーチが来て、誰はヤミ押しして、一発で何切るか?とか、自分が打っている映像を観ているみたいな感じ。」
美波「その中で『簡単にはオリない』ってイメージが出来上がった?」
吾妻「イメージの中で自分がオリた局は相手が楽そうにアガっていたり、逆に先行リーチにノータイムで無筋切ったらヤミ押しの人がオリたり。何局も想像してくうちに『今回私は4人の中で一番まっすぐな手作りをしないと勝てない』って思った」
美波「でもさ、そうすると、普段は押さない一牌を押す局面が出てくるでしょ?それをあんな大舞台でやるのは勇気がいるよね?」
吾妻「手役作って高打点が見込めるなら後手でも押すのは元々のスタイルだし、今回の決勝で性に合っているのを再確認できたよ。テーマに沿って普段はやめる一牌も押し切ったけど、その放銃さえも優勝に必要だと思って打っていたし。」
美波「初日、緊張していないはずないのに、のびのび打っていたように思えたんだけど、実際のところどうだったの?」
吾妻「野球に例えたら『フルスイングする』って明確なテーマがあって、ボールをバットの芯で捉える事だけを考えてた。でもそれがうまくハマって大量リードしたら『フルスイングで追加点狙ってもいいし、バントでも犠牲フライでも、何なら今日は流して体力温存してもいいよ』ってなって。」
美波「野球に例えられた・・・ルールわかんないけど、1日でここまでリードするとは思ってなかったからこそ、2日目に少し迷いが生じたってことかな?」
吾妻「そう、アガリに向かってもいいけど、オリてもいいし、子に振り込んで一局消化してもいいよ」っていうイメトレは不足してた。今思えば、事前に先行パターンも考えておかなくっちゃダメって思うけど、この点は妙に謙虚キャラだったね。」
美波「いや、正直誰も想像してなかったと思うよ(笑)」
吾妻「2日目のドラ白単騎の役なしテンパイの局は・・」
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美波「あーっ!それ、ともち画面見ながら『リーーーーチ!!』って叫んだよ(笑)」
吾妻「あれは魚谷プロからリーチが入って『まっすぐアガリに向かって』なかっただけに、『リーチ』の声が出なかった。」
美波「で、白単騎の6,400をアガリ逃した」
吾妻「和久津プロが白を合わせて、さらにツモ切りが続いていた安田プロへの現物テンパイの注意が抜けて放銃にまわって。白がバラけていた事もその場でわかってしまう、最悪の局だよ。ショックを引きずって放銃したのだから、気持ち切り替えて自分の麻雀をしっかり打とうと決めて。
8回戦東3局、親・吾妻
配牌 
二万二万九万二索六索七索四筒六筒七筒九筒九筒東南南  ドラ六万
アガリ形 
二万二万四万六万四索五索六索四筒五筒六筒七筒八筒九筒  ツモ五万
南トイツ落としして手役をきちんと狙ったら456の三色ツモれたの。なかなかイメトレ通りに打てなくて、目に見える敗着局もあって辛い1日だったけど、ここをそのまま自分の弱点にしたくないから初日よりの何倍もチェックしたよ。」
美波「2日目終わってすぐ、会おうよって誘ったら、『カラオケがいい!』って言ったじゃん。やっぱり少し煮詰まってたの?」
吾妻「起きている間ずっと牌姿が頭の中グルグルしてて、寝てても夢に出てくるからね。麻雀の事を忘れたのはあの時だけだったよ。ともちとバイバイした瞬間また新しい牌姿浮かんできたけど(笑)」
美波「あれからまたずーっと麻雀の事考えてたんだね。決勝が3日間、しかも2週間の戦いの大変なところだね。」
吾妻「特に初日から2日目のインターバルは長く感じた。考えすぎて裏目に出た部分もあるけど、その経験も含めて決勝でしか味わえない宝物だよ。」
美波「最終日にはどんな気持ちで卓についた?」
吾妻「9・10回戦は『手に素直に』って思ってた。行くべき局は行って、オリる局はしっかりオリる。11回戦で『戦って勝つ』のバランスを間違えてしまって窮地に陥ることになるんだけど・・・。」
美波「2位につけていた和久津プロに7,700を2回も放銃したね。」
吾妻「対局観が間違ってたから、変な所で前に出たし、仕掛けも良くないし、打牌選択も私らしくなかった。『気持ちだけじゃ勝てない』の典型の半荘だね。」
美波「最後の最後で初日から守ってきたトータルトップから陥落しちゃうわけだけど、気持ち的に動揺とかなかったの?」
吾妻「まくられたとか、これじゃ優勝なんてできないとかが頭の中を一瞬駆け巡った。でも今まで私を応援してくれた人たちの為にも『最終半荘は今の私のベストな麻雀を打ちたい』って思ったら、びっくりする程集中できたんだ。」
美波「最後の親番が流されて、アガれないままオーラスになっちゃったけど、それでも焦らなかった?」
吾妻「放銃した手順も自分らしい手組みが出来ていたし、全ての局に意味があるって完全に現状を受け入れて、次すべき事を考えてた。焦りはなかったよ。」
美波「その冷静さ、尊敬するわ。私なら逃げ出したいって思っちゃうかも・・・」
吾妻「確かに決勝は苦しかったし、自分が許せない程ダメな場面もあったけど。悩み抜いていく過程で競技麻雀をもっと好きになったし、自分の未熟な面も浮き彫りになって。そこをきちんと修正して、またこういう場で戦いたいって強く思ったよ。」
美波「12回戦、3日間に及ぶ戦いを経験したことで、更なる成長が期待できそうだね。最後に、今まで応援してくれた人や今回初めて『吾妻さおり』を知った人達に一言お願いします。」
吾妻「決勝に出場した事で一番強く感じたのは、応援してくれる皆さんへの感謝です。自分が生きていることも、麻雀を打てる事も。多くの人に支えられているからこの舞台に立てたのだと改めて心にしみた期間でした。今回初めて私の麻雀を観て『感動しました、今後応援します』と有難いお言葉をくださった方々も、批判的な立場からのご意見も、私にとってかけがえのない宝物です。次にお目にかかる機会がありましたら、前より進化した吾妻をお見せできるよう、頑張りたいと思います。応援よろしくお願いします。」
美波「長い時間ありがとう。インタビューはこのくらいにして、そろそろカラオケしよっか。」
数日後、この原稿を持ってもう1回彼女に会いに行った。
吾妻「きちんとまとまってるじゃん♪ともちよく頑張ったね。あっ、でも、ここ同じ単語が2回続いているから、ちょっと言い方を変えてみようよ。」
やっぱりママは国語の先生だね(笑)
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第23期中部プロリーグ 第1節レポート

●Aリーグ(執筆:樋口 新)


22期生の樋口新です。初めての観戦記で拙い文章になるかもしれませんが、半年間お付き合い頂ければ幸いです。
中部プロリーグのAリーグでは全5節で総当たりとなる。そこで私と対局したプロの紹介を交えながら、決勝までの道のりをお伝えしていきたい。

第1節の対局相手は以下の通りである。

杉村泰治プロ 12期生
中部プロリーグ決勝4回 優勝1回
静岡リーグ決勝5回
ロン2でも人気の杉村プロである。今期よりAリーグ復帰を果たした。

伊藤鉄也プロ 22期生
中部プロリーグ決勝3回 優勝1回
前期の中部プロリーグ覇者である。麻雀に対しての人一倍の熱情を持っているイメージがある。

毛受俊プロ 24期生
Aリーグ在籍 5年半
決勝経験がないのが不思議な毛受プロは、キレのある攻めが持ち味である。

誰しもが決勝進出、そして優勝を目指してスタートした第1節の1回戦。
私はなによりもこの第1節はもちろん、1回戦の入りも重要だと信じている。
しかしこの日の私の入りはあまりよくなかった。結果だけ見ると3着だったが、Aトップだった毛受プロに圧倒されていた。
感触が良くないまま迎えた2回戦。私は東3局の親番で、下家の伊藤プロのソウズの仕掛けを気にするあまり、ソウズを溜めてしまう。そして、ノーマークだった杉村プロにテンパイ打牌のソウズで8,000点を放銃してしまう。ここで悪かった点は、ソウズで染めている伊藤プロがいることを理解しながらも、親番を維持したいがためだけにリャンメンチーをして、1,500点のカンチャン、しかもソウズのテンパイを取った点である。
そして、15,000点持ちで迎えた南1局。親は好調の毛受プロである。私は3巡目に北単騎のチートイツドラ2のリーチを打つが、毛受プロに押し返され、結果、毛受プロへの5,800点の放銃となってしまった。放銃した瞬間、「現在の私の状態では、8,000点だからという理由でリーチを打つべきではなかったのだろうか?」「リーチを打っていなかったら6,400点のアガりにつながっていたのだろうか?」など、様々な事が頭を駆け巡った。そこには体勢的な事もあるのだろうか。答えはまだ見つかっていない。
結果として、2回戦は箱下のCラスとなってしまい、合計のマイナスは50を超えてしまった。
ここで私は気持ちを切り替えた。現状、マイナスは大きいが、目先にとらわれず、丁寧にアガりに向かおうと思った。
そして3回戦。毛受プロは相変わらず好調で50,000点近くを叩きだしていた。そして東3局で迎えた親番。私は6巡目に白とドラのシャンポン待ちでテンパイをする。普段なら即リーチをかけるところだが、ここはダマとした。その結果、ドラをツモってきて、3,900オール。このアガりを皮切りに連荘することが出来、大きくプラスとすることが出来た。
▲10まで戻せた4回戦。プラスで一日を終えることができる可能性も見えてきた。実際、東1局に7,700点を和了し、持ち点を37,700点としたのである。しかし、私はそこでなぜかホッとしてしまった。あれだけ反省したのに、である。そしてドラマは南3局に待っていた。3回戦まででマイナスポイントとしていた伊藤プロが四暗刻を和了。前回中部プロリーグ覇者の底力を見せつけられた。
前述したように、第1節の入りは重要だと信じている私の第1節は、若干のマイナスポイントで終えた。しかし、反省点や課題は多い。きちんと修正して、第1節以降に臨んでいきたい。

Aリーグ

順位 名前 1節 2節 3節 4節 5節 合計
1 日下 健司 64.3 64.3
2 太田 充 39.6 39.6
3 村瀬 寛光 38.1 38.1
4 寺戸 孝志 28.1 28.1
5 毛受 俊 26.2 26.2
6 三戸 亮祐 17.1 17.1
7 杉浦 貴紀 10.8 10.8
8 長谷川 弘 8.5 8.5
9 伊藤 鉄也 4.8 4.8
10 森下 剛任 0.6 0.6
11 樋口 新 ▲ 15.2 ▲ 15.2
12 杉村 泰治 ▲ 15.8 ▲ 15.8
13 佐藤 あいり ▲ 49.5 ▲ 49.5
14 木村 東平 ▲ 51.8 ▲ 51.8
15 掛水 洋徳 ▲ 52.1 ▲ 52.1
16 鈴木 基芳 ▲ 53.7 ▲ 53.7

 

●Bリーグ(執筆:中谷 彰吾)


今期、中部プロリーグBリーグのレポートを担当させていただく29期生の中谷彰吾です。よろしくお願いします。

前期Cリーグから昇級した3名を加えて対局が行われた。前期3位と惜しくも昇級を逃した山本だったが、3回戦と4回戦を連勝で飾り+49.8Pと好成績で暫定首位とした。気持ちだけは負けないように打ったと語っていた。そして鈴木(雄)、櫛田、牛尾もスタートダッシュに成功か。
逆に出鼻を挫かれたのは安藤、斎藤、中谷。第2節以降の巻き返しに期待したいところだ。

ここで私が印象深かった局面を書かせていただきたい。それは対局の最後の最後4回戦のオーラス。
南4局0本番 ドラ1
東家 中谷 5,300点
南家 葛山 35,900点
西家 斎藤 24,100点
北家 山本 54,700点

私は3回戦までオールプラスだったものの、このままでは一気にマイナスになってしまう状況で何としても連荘して巻き返そうと思っていた。
しかし早々に山本が白をポン。そして葛山が二索チーに続き九索ポン。私の手牌はとても戦える状況ではなかったがトイツが4組だったため七対子一本に決めた。局が中盤にさしかかった時、山本がテンパイ打牌であろう一索を切り葛山がすかさずポン!山本はテンパイ濃厚。葛山もホンイツもしくはチンイツテンパイ。まさに絶体絶命。
その時、私の手牌は
一万一万三万三万七万七万三索六索二筒二筒西西発 のイーシャンテン。
三索六索発のどれが重なっても打ち出される牌は超危険牌。そして終盤に発をツモり三索六索を切ればテンパイとなる。この時私は長考した。
一索は4枚見え、三索は1枚見えで六索はションパイ。ペンチャンはないがシャンポンの可能性を考えるなら尚三索切りの選択しかなかった。しかしふと思ったのが山本と葛山の点差だった。2人の差は18,800点差。
この点差が意味する事は葛山が倍満ツモなら逆転トップとなる点差なのだ。葛山がチンイツ・ドラ3なら文句なく倍満。この瞬間私は九分九厘チンイツと思った。その最大の理由は、葛山とはよくセットで一緒に打たせてもらっているが、条件戦においては、中々妥協してくれず、極力条件をクリアする手を作ってくる。その事もあり私は長考の末に絶対安牌の西を切った。
都合よく私の手がテンパイするわけもなく流局。葛山の1人テンパイで終わったが、公開された手牌は二索四索六索六索のカン三索待ちであった。この時は本当に震えそうになった。
ラス目の親でテンパイをとらなかったのはほとんど記憶にない。ラスを自ら受け入れる打ち方をしたことがなかったからだ。その日、私は寝られるはずもなく朝方までずっと対局を思い返し考えていた。そして今思える事は”勝つために負けを受け入れた”と言うこと。リーグ戦は第5節までの長丁場。
勝つ=昇級するために第2節以降の巻き返しを胸に誓った。これからどんな展開になるのか!?最後まで目が離せない中部プロBリーグ。
来月もお楽しみに。

Bリーグ

順位 名前 1節 2節 3節 4節 5節 合計
1 山本 拓哉 49.8 49.8
2 鈴木 雄介 22.7 22.7
3 櫛田 利太 14.1 14.1
4 牛尾 信之 12.2 12.2
5 朝岡 祐 10.6 10.6
6 葛山 英樹 3.0 3.0
7 菅野 直 1.9 1.9
8 太田 峻也 0.1 0.1
9 若松 正和 ▲ 1.5 ▲ 1.5
10 中西 栄二 ▲ 2.7 ▲ 2.7
11 大滝 聡 ▲ 5.5 ▲ 5.5
12 土岐 雄太 ▲ 7.0 ▲ 7.0
13 浅野 文雅 ▲ 8.0 ▲ 8.0
14 中谷 彰吾 ▲ 19.9 ▲ 19.9
15 斎藤 寛生 ▲ 32.9 ▲ 32.9
16 安藤 大貴 ▲ 36.9 ▲ 36.9

 

●Cリーグ:大西 義則

 

はじめまして、今期Cリーグの観戦レポートを担当させていただきます、22期生の大西義則です。
私自身、平成18年より中部プロリーグへの参加資格を頂いてから、対局以外の交流をあまり持てていなかった事もあり、この度、レポートを担当させて頂くにあたり、対局選手にインタビューを行い、それぞれの考え、また、心情をご紹介できればと思いました。拙い文章になりますが、選手たちの麻雀に対する熱意を少しでもお伝え出来ればと、一生懸命、レポートさせていただきます。

さて、今期は新人プロ2名を迎え、19名で3名のBリーグ昇級枠を目指す事となりました。今回、私の興味は「これから、全5節を競うにあたり、全員がスタートラインに並ぶ、第1節をどのような思いで臨むか。」でした。その為に、時間の許す限り、対局の始まる前にメモ帳片手に動いてみました。

数名と話した中で特に印象的だったのは原田、小野の答えでした。
「第1節への意気込みは?」の問いに原田は一言、「とにかくプラス。」でした。これは、当たり前のように聞こえますが、私はその一言に「全節プラスで昇級を掴み取る。」という原田の気迫を感じました。
小野の答えはこうでした、「第1節を特に意識はしていません。前期、打ち方を変えたら、内容も成績も好感触が得られたので今期も更に工夫して臨みます。」と答えてくれました。詳しい打ち方は明かしてくれませんでしたが(私も対局相手の1人であるので)目標を目指す為に半年、1年前の悔しさを明確な反省として持ち続けて、地道に努力、工夫を重ねる姿勢が垣間見られました。

全員の話を聞く事は出来ませんでしたが、対局の合間に次節の対戦相手の観戦にまわり、研究をする者、終了したばかりの対局内容について論じ合う者、言葉少なげに帰路につく者。それぞれの第1節がありました。
次節以降もできるだけ選手の声をご紹介できればと思います。

Cリーグ

順位 名前 1節 2節 3節 4節 5節 合計
1 原田 知彦 87.4 87.4
2 越川 清一 40.6 40.6
3 小野 雅峻 39.0 39.0
4 清水 哲也 31.4 31.4
5 都築 友和 25.1 25.1
6 三谷 卓也 21.9 21.9
7 池沢 麻奈美 15.9 15.9
8 山神 達也 4.3 4.3
9 鈴木 淳 ▲ 2.7 ▲ 2.7
10 大高坂 松城 ▲ 3.9 ▲ 3.9
11 加藤 泰史 ▲ 8.0 ▲ 8.0
12 角谷 和幸 ▲ 12.4 ▲ 12.4
13 吉井 友直 ▲ 15.1 ▲ 15.1
14 河合 慎悟 ▲ 23.3 ▲ 23.3
15 岡本 丈司 ▲ 24.6 ▲ 24.6
16 大町 篤志 ▲ 32.9 ▲ 32.9
17 大西 義則 ▲ 33.4 ▲ 33.4
18 上田 利華 ▲ 47.1 ▲ 47.1
19 家田 みゆき ▲ 85.2 ▲ 85.2

中部プロリーグ レポート/第23期中部プロリーグ 第1節レポート

●Aリーグ(執筆:樋口 新)

22期生の樋口新です。初めての観戦記で拙い文章になるかもしれませんが、半年間お付き合い頂ければ幸いです。
中部プロリーグのAリーグでは全5節で総当たりとなる。そこで私と対局したプロの紹介を交えながら、決勝までの道のりをお伝えしていきたい。
第1節の対局相手は以下の通りである。
杉村泰治プロ 12期生
中部プロリーグ決勝4回 優勝1回
静岡リーグ決勝5回
ロン2でも人気の杉村プロである。今期よりAリーグ復帰を果たした。
伊藤鉄也プロ 22期生
中部プロリーグ決勝3回 優勝1回
前期の中部プロリーグ覇者である。麻雀に対しての人一倍の熱情を持っているイメージがある。
毛受俊プロ 24期生
Aリーグ在籍 5年半
決勝経験がないのが不思議な毛受プロは、キレのある攻めが持ち味である。
誰しもが決勝進出、そして優勝を目指してスタートした第1節の1回戦。
私はなによりもこの第1節はもちろん、1回戦の入りも重要だと信じている。
しかしこの日の私の入りはあまりよくなかった。結果だけ見ると3着だったが、Aトップだった毛受プロに圧倒されていた。
感触が良くないまま迎えた2回戦。私は東3局の親番で、下家の伊藤プロのソウズの仕掛けを気にするあまり、ソウズを溜めてしまう。そして、ノーマークだった杉村プロにテンパイ打牌のソウズで8,000点を放銃してしまう。ここで悪かった点は、ソウズで染めている伊藤プロがいることを理解しながらも、親番を維持したいがためだけにリャンメンチーをして、1,500点のカンチャン、しかもソウズのテンパイを取った点である。
そして、15,000点持ちで迎えた南1局。親は好調の毛受プロである。私は3巡目に北単騎のチートイツドラ2のリーチを打つが、毛受プロに押し返され、結果、毛受プロへの5,800点の放銃となってしまった。放銃した瞬間、「現在の私の状態では、8,000点だからという理由でリーチを打つべきではなかったのだろうか?」「リーチを打っていなかったら6,400点のアガりにつながっていたのだろうか?」など、様々な事が頭を駆け巡った。そこには体勢的な事もあるのだろうか。答えはまだ見つかっていない。
結果として、2回戦は箱下のCラスとなってしまい、合計のマイナスは50を超えてしまった。
ここで私は気持ちを切り替えた。現状、マイナスは大きいが、目先にとらわれず、丁寧にアガりに向かおうと思った。
そして3回戦。毛受プロは相変わらず好調で50,000点近くを叩きだしていた。そして東3局で迎えた親番。私は6巡目に白とドラのシャンポン待ちでテンパイをする。普段なら即リーチをかけるところだが、ここはダマとした。その結果、ドラをツモってきて、3,900オール。このアガりを皮切りに連荘することが出来、大きくプラスとすることが出来た。
▲10まで戻せた4回戦。プラスで一日を終えることができる可能性も見えてきた。実際、東1局に7,700点を和了し、持ち点を37,700点としたのである。しかし、私はそこでなぜかホッとしてしまった。あれだけ反省したのに、である。そしてドラマは南3局に待っていた。3回戦まででマイナスポイントとしていた伊藤プロが四暗刻を和了。前回中部プロリーグ覇者の底力を見せつけられた。
前述したように、第1節の入りは重要だと信じている私の第1節は、若干のマイナスポイントで終えた。しかし、反省点や課題は多い。きちんと修正して、第1節以降に臨んでいきたい。
Aリーグ

順位 名前 1節 2節 3節 4節 5節 合計
1 日下 健司 64.3 64.3
2 太田 充 39.6 39.6
3 村瀬 寛光 38.1 38.1
4 寺戸 孝志 28.1 28.1
5 毛受 俊 26.2 26.2
6 三戸 亮祐 17.1 17.1
7 杉浦 貴紀 10.8 10.8
8 長谷川 弘 8.5 8.5
9 伊藤 鉄也 4.8 4.8
10 森下 剛任 0.6 0.6
11 樋口 新 ▲ 15.2 ▲ 15.2
12 杉村 泰治 ▲ 15.8 ▲ 15.8
13 佐藤 あいり ▲ 49.5 ▲ 49.5
14 木村 東平 ▲ 51.8 ▲ 51.8
15 掛水 洋徳 ▲ 52.1 ▲ 52.1
16 鈴木 基芳 ▲ 53.7 ▲ 53.7

 
●Bリーグ(執筆:中谷 彰吾)

今期、中部プロリーグBリーグのレポートを担当させていただく29期生の中谷彰吾です。よろしくお願いします。
前期Cリーグから昇級した3名を加えて対局が行われた。前期3位と惜しくも昇級を逃した山本だったが、3回戦と4回戦を連勝で飾り+49.8Pと好成績で暫定首位とした。気持ちだけは負けないように打ったと語っていた。そして鈴木(雄)、櫛田、牛尾もスタートダッシュに成功か。
逆に出鼻を挫かれたのは安藤、斎藤、中谷。第2節以降の巻き返しに期待したいところだ。
ここで私が印象深かった局面を書かせていただきたい。それは対局の最後の最後4回戦のオーラス。
南4局0本番 ドラ1
東家 中谷 5,300点
南家 葛山 35,900点
西家 斎藤 24,100点
北家 山本 54,700点
私は3回戦までオールプラスだったものの、このままでは一気にマイナスになってしまう状況で何としても連荘して巻き返そうと思っていた。
しかし早々に山本が白をポン。そして葛山が二索チーに続き九索ポン。私の手牌はとても戦える状況ではなかったがトイツが4組だったため七対子一本に決めた。局が中盤にさしかかった時、山本がテンパイ打牌であろう一索を切り葛山がすかさずポン!山本はテンパイ濃厚。葛山もホンイツもしくはチンイツテンパイ。まさに絶体絶命。
その時、私の手牌は
一万一万三万三万七万七万三索六索二筒二筒西西発 のイーシャンテン。
三索六索発のどれが重なっても打ち出される牌は超危険牌。そして終盤に発をツモり三索六索を切ればテンパイとなる。この時私は長考した。
一索は4枚見え、三索は1枚見えで六索はションパイ。ペンチャンはないがシャンポンの可能性を考えるなら尚三索切りの選択しかなかった。しかしふと思ったのが山本と葛山の点差だった。2人の差は18,800点差。
この点差が意味する事は葛山が倍満ツモなら逆転トップとなる点差なのだ。葛山がチンイツ・ドラ3なら文句なく倍満。この瞬間私は九分九厘チンイツと思った。その最大の理由は、葛山とはよくセットで一緒に打たせてもらっているが、条件戦においては、中々妥協してくれず、極力条件をクリアする手を作ってくる。その事もあり私は長考の末に絶対安牌の西を切った。
都合よく私の手がテンパイするわけもなく流局。葛山の1人テンパイで終わったが、公開された手牌は二索四索六索六索のカン三索待ちであった。この時は本当に震えそうになった。
ラス目の親でテンパイをとらなかったのはほとんど記憶にない。ラスを自ら受け入れる打ち方をしたことがなかったからだ。その日、私は寝られるはずもなく朝方までずっと対局を思い返し考えていた。そして今思える事は”勝つために負けを受け入れた”と言うこと。リーグ戦は第5節までの長丁場。
勝つ=昇級するために第2節以降の巻き返しを胸に誓った。これからどんな展開になるのか!?最後まで目が離せない中部プロBリーグ。
来月もお楽しみに。
Bリーグ

順位 名前 1節 2節 3節 4節 5節 合計
1 山本 拓哉 49.8 49.8
2 鈴木 雄介 22.7 22.7
3 櫛田 利太 14.1 14.1
4 牛尾 信之 12.2 12.2
5 朝岡 祐 10.6 10.6
6 葛山 英樹 3.0 3.0
7 菅野 直 1.9 1.9
8 太田 峻也 0.1 0.1
9 若松 正和 ▲ 1.5 ▲ 1.5
10 中西 栄二 ▲ 2.7 ▲ 2.7
11 大滝 聡 ▲ 5.5 ▲ 5.5
12 土岐 雄太 ▲ 7.0 ▲ 7.0
13 浅野 文雅 ▲ 8.0 ▲ 8.0
14 中谷 彰吾 ▲ 19.9 ▲ 19.9
15 斎藤 寛生 ▲ 32.9 ▲ 32.9
16 安藤 大貴 ▲ 36.9 ▲ 36.9

 
●Cリーグ:大西 義則
 
はじめまして、今期Cリーグの観戦レポートを担当させていただきます、22期生の大西義則です。
私自身、平成18年より中部プロリーグへの参加資格を頂いてから、対局以外の交流をあまり持てていなかった事もあり、この度、レポートを担当させて頂くにあたり、対局選手にインタビューを行い、それぞれの考え、また、心情をご紹介できればと思いました。拙い文章になりますが、選手たちの麻雀に対する熱意を少しでもお伝え出来ればと、一生懸命、レポートさせていただきます。
さて、今期は新人プロ2名を迎え、19名で3名のBリーグ昇級枠を目指す事となりました。今回、私の興味は「これから、全5節を競うにあたり、全員がスタートラインに並ぶ、第1節をどのような思いで臨むか。」でした。その為に、時間の許す限り、対局の始まる前にメモ帳片手に動いてみました。
数名と話した中で特に印象的だったのは原田、小野の答えでした。
「第1節への意気込みは?」の問いに原田は一言、「とにかくプラス。」でした。これは、当たり前のように聞こえますが、私はその一言に「全節プラスで昇級を掴み取る。」という原田の気迫を感じました。
小野の答えはこうでした、「第1節を特に意識はしていません。前期、打ち方を変えたら、内容も成績も好感触が得られたので今期も更に工夫して臨みます。」と答えてくれました。詳しい打ち方は明かしてくれませんでしたが(私も対局相手の1人であるので)目標を目指す為に半年、1年前の悔しさを明確な反省として持ち続けて、地道に努力、工夫を重ねる姿勢が垣間見られました。
全員の話を聞く事は出来ませんでしたが、対局の合間に次節の対戦相手の観戦にまわり、研究をする者、終了したばかりの対局内容について論じ合う者、言葉少なげに帰路につく者。それぞれの第1節がありました。
次節以降もできるだけ選手の声をご紹介できればと思います。
Cリーグ

順位 名前 1節 2節 3節 4節 5節 合計
1 原田 知彦 87.4 87.4
2 越川 清一 40.6 40.6
3 小野 雅峻 39.0 39.0
4 清水 哲也 31.4 31.4
5 都築 友和 25.1 25.1
6 三谷 卓也 21.9 21.9
7 池沢 麻奈美 15.9 15.9
8 山神 達也 4.3 4.3
9 鈴木 淳 ▲ 2.7 ▲ 2.7
10 大高坂 松城 ▲ 3.9 ▲ 3.9
11 加藤 泰史 ▲ 8.0 ▲ 8.0
12 角谷 和幸 ▲ 12.4 ▲ 12.4
13 吉井 友直 ▲ 15.1 ▲ 15.1
14 河合 慎悟 ▲ 23.3 ▲ 23.3
15 岡本 丈司 ▲ 24.6 ▲ 24.6
16 大町 篤志 ▲ 32.9 ▲ 32.9
17 大西 義則 ▲ 33.4 ▲ 33.4
18 上田 利華 ▲ 47.1 ▲ 47.1
19 家田 みゆき ▲ 85.2 ▲ 85.2

第86回『~自己管理~』

自分が喜ぶのがアマチュアであり、人を喜ばすのがプロである。
先日終わった鳳凰戦で流れていた、鳳凰戦に向けてのインタビュー動画で、瀬戸熊直樹さんが早朝に走り込んでいる映像がある。その姿が私にはとても眩しく感じた。

数年前、あるタイトル戦の決勝で、惜しいところで敗れ去った若手プロがいた。
私も観戦に出向き、その後の打ち上げにも参加した。
その若者は、瀬戸熊さんを慕っており、敗因や意見を求めていた。
「長い目でみたら、今回は負けた方が良かったと思える時が来るよ」
瀬戸熊さんはそう言った。

そして2次会への誘いを丁寧に断り、私と一緒に帰路に着いた。
道中、瀬戸熊さんに尋ねた。
「2次会くらい付き合ってあげても良かったのでは?」
「それも考えなかったわけではなかったのですが、ロン2のゴールドクラスをキープするためには、今日ロン2をやっておかないと、打荘数が足りなくなる可能性があるんですよ。彼を慰めたり相談はいつでものれますしね」と、瀬戸熊さんはそう答えた。

確かに、その頃のロン2リーグは今よりも開催時間が短く、月末近くなると、条件を満たしたユーザーは参加せず卓が立ちにくかった。アスリートの如く対局に備え、自分の身体を鍛え上げるのもプロとしての自己管理能力であり、慕う後輩の誘いを断りロン2に向かうのも、プロとしての大切な自己管理能力に他ならないのである。

もしかしたら、瀬戸熊さんは慕う後輩に独りで考える時間を与えたかったのかもしれない。
独りで考える時間、苦しい、そしてやるせないない時間が人を育てることを知っているのだろう。
言葉を変えるならば、孤独が人を成長させるということなのだろう。

私達の世界はある意味、楽をしようとすれば何処までも楽は出来る。
誰からも、ああしろ、こうしろとは言われない。それだけ、自分を律していくことは困難な分だけ、自分の置かれた環境を作って行くことが肝心になっていく。

細かいことを記せば、現在、プロ連盟ではインフルエンザの予防接種が決められている。
それは、自分への予防ということもあるが、対局者、会場にいる全員に迷惑がかからないようにとの配慮からだ。

対局が映像になった今、1人の欠場者のためスタッフを始め、多くの関係者に迷惑がかかるわけである。
自分のことしか考えられない人間は、一流になれないというのは言うまでもないことである。
下位のリーグに所属している者ほど、インフルエンザの予防接種を受けていないのは、悲しいことだが現実である。

逆に、勉強会などに積極的に参加している者は、言わずともマスクをこの季節身に着けている。
風邪を引いているわけではない。自分の身を守るためである。
これも1つの自己管理能力である。

連盟内で歩く速度が速いのは、私の知っている限りでは、前会長である灘麻太郎さんと森山茂和現会長である。
医者に訊いたところ、速く歩くことは身体にも良いが脳にも善いそうである。
お2人が、意識して速く歩くことを心掛けているのかは不明ではあるが、このことも1つの能力であることには間違いない。

私なども偉そうなことは言えない。
何時に寝ても、必ず朝の7時過ぎには目が覚めてしまう。
そのまま起きて庭の掃除をすることもあるのだが、本を読んだり、テレビを観たりすると、二度寝をしてしまうことがある。そうなると1日の生活がめちゃくちゃになることがある。
特にこの季節、寒いということもあって、外に出るのが億劫になってしまう。
このことも、プロ意識の欠如に他ならない。やはり、太陽の陽を浴びることは大切なことである。

一昨年の冬に、生まれて初めて禁煙を試みた。
きっかけは、ヒサトに「百害あって一利なし」と言われたこともあるが、定期的に通っている医者から人間ドックを薦められ、受けたところ現段階では問題ないが、煙草に因る血栓の可能性があると診断されたからである。

その禁煙も4ヶ月で挫折した。
酒場でも麻雀でも大丈夫だったのだが、原稿に行き詰ると煙草が欲しくなった。
しかし、これも言い訳に過ぎない。

 

【プロテスト】

もう間もなくプロテストが始まる。
ここ数年、基本的な問題しか当連盟は出していない。
パズルのような問題や、時事問題、タイトルホルダーの名前などは出さない。
それは雀力には何も関係ないからである。

麻雀の常識的な知識があれば、100点満点ならば平均点が80点は採れる問題しか出していない。
特別な才能は必要ない。要は勉強すれば誰でも解ける問題ばかりである。

実戦にしても、リアルの麻雀を日々誠実に向き合えば良いだけのことである。
プロと一般の違いの1つは、成りたがる人と成るべく人がいることだと私は考える。
そして一般の人は、出来る範囲で頑張れば良いと思う。

プロ、もしくはプロを目指す者は出来るまで頑張るべき、私はそう考えている。
麻雀の基本にしても何に対しても、一番大切なことは大きな目標とそこに向かう明確な方法論、そして全てに通ずるのは自己管理能力だと考える。

先日の勉強会でのこと、山井弘が親番で、

七万九万九万一索二索三索四索五索六索七索八索九索八筒八筒

この形から打七万のリーチを打ち九をツモアガった。
九万もありかと考えていた私は、山井に尋ねた。

「下家の前巡の打六万が、六万八万八万からの打六万に映ったからです」

確かに、山井の言葉通り、下家の打六万六万八万八万の形からの六万だった。
続く1本場、好調を示すがごとく、3巡目にして山井の手牌は膨らみを増していた。

六万八万八万三索四索一筒二筒三筒南南発発発  ドラ一万

この手牌が全く動かない。
対面から、七巡目に八万が打ち出されるも当然ながら仕掛けない。
そして13巡目に至りまた、対面から八万が打ち出されるも山井は微動だにしない。
「大丈夫か?」
「大丈夫です」

私の目には、上家が絞っていた南を、10巡目に重ねたのが見えていたから、余計そう思ったのかも知れない。
そう話している次巡、当たり前のように七万を引き込み山井は「リーチ」。
そして、次巡五索をツモアガった。
「凄いね」
「前原さんに学んだことです」

お世辞半分だろうが、今の私には正直2枚目の八万を仕掛けないという自信はない。
好調を意識したならば、動かないのはある意味セオリーである。
ただ、大切なのはそこに殉ずれるかどうかである。

自分の思考、意識の自己管理である。
麻雀が強くなるためには麻雀だけでなく、ある意味生活、暮らし向きの自己管理が大部分を占めていると私は考える。また一方で、麻雀は娯楽に過ぎないとの考えも併せ持っている。
遊びといっても差し支えないように思う。
遊びの語源は、明日の光が変化してそう呼ぶようになったという説もある。

1年以上にも及ぶ長い期間、私の拙文におつきあい下さりありがとうございました。
心より感謝しております。
それでは雀運の向上を祈って。

上級/第86回『~自己管理~』

自分が喜ぶのがアマチュアであり、人を喜ばすのがプロである。
先日終わった鳳凰戦で流れていた、鳳凰戦に向けてのインタビュー動画で、瀬戸熊直樹さんが早朝に走り込んでいる映像がある。その姿が私にはとても眩しく感じた。
数年前、あるタイトル戦の決勝で、惜しいところで敗れ去った若手プロがいた。
私も観戦に出向き、その後の打ち上げにも参加した。
その若者は、瀬戸熊さんを慕っており、敗因や意見を求めていた。
「長い目でみたら、今回は負けた方が良かったと思える時が来るよ」
瀬戸熊さんはそう言った。
そして2次会への誘いを丁寧に断り、私と一緒に帰路に着いた。
道中、瀬戸熊さんに尋ねた。
「2次会くらい付き合ってあげても良かったのでは?」
「それも考えなかったわけではなかったのですが、ロン2のゴールドクラスをキープするためには、今日ロン2をやっておかないと、打荘数が足りなくなる可能性があるんですよ。彼を慰めたり相談はいつでものれますしね」と、瀬戸熊さんはそう答えた。
確かに、その頃のロン2リーグは今よりも開催時間が短く、月末近くなると、条件を満たしたユーザーは参加せず卓が立ちにくかった。アスリートの如く対局に備え、自分の身体を鍛え上げるのもプロとしての自己管理能力であり、慕う後輩の誘いを断りロン2に向かうのも、プロとしての大切な自己管理能力に他ならないのである。
もしかしたら、瀬戸熊さんは慕う後輩に独りで考える時間を与えたかったのかもしれない。
独りで考える時間、苦しい、そしてやるせないない時間が人を育てることを知っているのだろう。
言葉を変えるならば、孤独が人を成長させるということなのだろう。
私達の世界はある意味、楽をしようとすれば何処までも楽は出来る。
誰からも、ああしろ、こうしろとは言われない。それだけ、自分を律していくことは困難な分だけ、自分の置かれた環境を作って行くことが肝心になっていく。
細かいことを記せば、現在、プロ連盟ではインフルエンザの予防接種が決められている。
それは、自分への予防ということもあるが、対局者、会場にいる全員に迷惑がかからないようにとの配慮からだ。
対局が映像になった今、1人の欠場者のためスタッフを始め、多くの関係者に迷惑がかかるわけである。
自分のことしか考えられない人間は、一流になれないというのは言うまでもないことである。
下位のリーグに所属している者ほど、インフルエンザの予防接種を受けていないのは、悲しいことだが現実である。
逆に、勉強会などに積極的に参加している者は、言わずともマスクをこの季節身に着けている。
風邪を引いているわけではない。自分の身を守るためである。
これも1つの自己管理能力である。
連盟内で歩く速度が速いのは、私の知っている限りでは、前会長である灘麻太郎さんと森山茂和現会長である。
医者に訊いたところ、速く歩くことは身体にも良いが脳にも善いそうである。
お2人が、意識して速く歩くことを心掛けているのかは不明ではあるが、このことも1つの能力であることには間違いない。
私なども偉そうなことは言えない。
何時に寝ても、必ず朝の7時過ぎには目が覚めてしまう。
そのまま起きて庭の掃除をすることもあるのだが、本を読んだり、テレビを観たりすると、二度寝をしてしまうことがある。そうなると1日の生活がめちゃくちゃになることがある。
特にこの季節、寒いということもあって、外に出るのが億劫になってしまう。
このことも、プロ意識の欠如に他ならない。やはり、太陽の陽を浴びることは大切なことである。
一昨年の冬に、生まれて初めて禁煙を試みた。
きっかけは、ヒサトに「百害あって一利なし」と言われたこともあるが、定期的に通っている医者から人間ドックを薦められ、受けたところ現段階では問題ないが、煙草に因る血栓の可能性があると診断されたからである。
その禁煙も4ヶ月で挫折した。
酒場でも麻雀でも大丈夫だったのだが、原稿に行き詰ると煙草が欲しくなった。
しかし、これも言い訳に過ぎない。
 
【プロテスト】
もう間もなくプロテストが始まる。
ここ数年、基本的な問題しか当連盟は出していない。
パズルのような問題や、時事問題、タイトルホルダーの名前などは出さない。
それは雀力には何も関係ないからである。
麻雀の常識的な知識があれば、100点満点ならば平均点が80点は採れる問題しか出していない。
特別な才能は必要ない。要は勉強すれば誰でも解ける問題ばかりである。
実戦にしても、リアルの麻雀を日々誠実に向き合えば良いだけのことである。
プロと一般の違いの1つは、成りたがる人と成るべく人がいることだと私は考える。
そして一般の人は、出来る範囲で頑張れば良いと思う。
プロ、もしくはプロを目指す者は出来るまで頑張るべき、私はそう考えている。
麻雀の基本にしても何に対しても、一番大切なことは大きな目標とそこに向かう明確な方法論、そして全てに通ずるのは自己管理能力だと考える。
先日の勉強会でのこと、山井弘が親番で、
七万九万九万一索二索三索四索五索六索七索八索九索八筒八筒
この形から打七万のリーチを打ち九をツモアガった。
九万もありかと考えていた私は、山井に尋ねた。
「下家の前巡の打六万が、六万八万八万からの打六万に映ったからです」
確かに、山井の言葉通り、下家の打六万六万八万八万の形からの六万だった。
続く1本場、好調を示すがごとく、3巡目にして山井の手牌は膨らみを増していた。
六万八万八万三索四索一筒二筒三筒南南発発発  ドラ一万
この手牌が全く動かない。
対面から、七巡目に八万が打ち出されるも当然ながら仕掛けない。
そして13巡目に至りまた、対面から八万が打ち出されるも山井は微動だにしない。
「大丈夫か?」
「大丈夫です」
私の目には、上家が絞っていた南を、10巡目に重ねたのが見えていたから、余計そう思ったのかも知れない。
そう話している次巡、当たり前のように七万を引き込み山井は「リーチ」。
そして、次巡五索をツモアガった。
「凄いね」
「前原さんに学んだことです」
お世辞半分だろうが、今の私には正直2枚目の八万を仕掛けないという自信はない。
好調を意識したならば、動かないのはある意味セオリーである。
ただ、大切なのはそこに殉ずれるかどうかである。
自分の思考、意識の自己管理である。
麻雀が強くなるためには麻雀だけでなく、ある意味生活、暮らし向きの自己管理が大部分を占めていると私は考える。また一方で、麻雀は娯楽に過ぎないとの考えも併せ持っている。
遊びといっても差し支えないように思う。
遊びの語源は、明日の光が変化してそう呼ぶようになったという説もある。
1年以上にも及ぶ長い期間、私の拙文におつきあい下さりありがとうございました。
心より感謝しております。
それでは雀運の向上を祈って。

第22期中部プロリーグ 決勝レポート

1/19(日)第22期中部プロリーグの決勝戦が行われた。

・決勝戦進出者の紹介
1位通過 森下剛任 (22期生/三段)
決勝進出:初
みなさんの記憶にも新しい第39期 王位
私のイメージでは、ギリギリまでアガリ手順を求めて小さな小さな穴をこじ開け突進してくるようなタイプ。
その糸口を見つけられたら手がつけられなくなる。

2位通過 伊藤鉄也 (22期生/三段)
決勝進出:3回目 最高順位:3位
局面を支配することに重点を置いている伊藤。
自分の有利な状況に持ち込められれば勝機あり。

3位通過 三戸亮祐 (11期生/五段)
決勝進出:13回目 最高順位:優勝(4回)
ここ最近、落ちていた調子も上向きになってきている最中。
今回のメンバーで唯一の優勝経験者なので、ここは負けられないだろう。

4位通過 山田優駿 (24期生/三段)
決勝進出:2回目 最高順位:4位
前回の決勝に続いて2期連続の決勝進出。
前期の葛山の観戦記にもあった通り山田は前回の(優勝という)忘れ物を取りに帰ってきた。
私の山田に対する印象は、相手の間合いに溶け込むのではなく、相手の押し引きバランスを少しずつ揺さぶりながら自分の得意とする土俵に誘い込むタイプ。

 

1回戦(起家から、森下・山田・三戸・伊藤)

東1局 、開局そうそうに山田、三戸、伊藤の3名の手がぶつかる。
山田が5巡目に、以下の形でテンパイを取る。

一索二索三索一筒二筒三筒四筒六筒六筒七筒九筒北北  ツモ北  ドラ九筒

ここで打ち手の好みがでそうな形になる。
私であれば、テンパイ取らずの打六筒として、一度、1シャンテンに戻し、ピンズの一筒四筒五筒八筒九筒のツモを期待し一通やドラの雀頭、リャンメン変化をさせてから勝負に出ようと考える。

さらには、まだ開局したばかりなので、ホンイツに行く打ち手もいることだろう。
しかし山田は、打四筒として表示牌の八筒待ちのヤミテンに構え、9巡目に五筒をツモり六筒を切りリーチと出た。

一索二索三索一筒二筒三筒五筒六筒七筒九筒北北北  リーチ

このリーチに三戸、伊藤が1歩も引く気配がない。
というより今回の対局者4名は簡単には誰も引かない。

三戸
一万二万三万三万三万白白  ポン発発発  ポン九万 上向き九万 上向き九万 上向き

伊藤
五万五万六万七万八万二索三索四索四索五索五筒六筒七筒

森下
二万三万七万八万九万六索六索七索七索八索七筒八筒九筒

結果、伊藤が九筒を掴んでしまい5,200点の放銃。

東3局1本場、 親番の三戸の配牌が良く4・5巡目に一筒のトイツ落とし、牌姿が好形の十分形だと予測される。親番だけに対局者に与えるプレッシャーは抜群。

三戸
二万二万四万四万六万七万八万五索六索七索八索六筒八筒  ドラ北

しかし12巡目に伊藤がリーチ。

伊藤
二万三万四万六万六万四索五索六索二筒三筒四筒五筒六筒  リーチ

一発で四筒をツモ 1,300・2,600は1,400・2,700。

南1局1本場、3者がリーチでぶつかる。

伊藤9巡目、

九万九万二索三索四索六索六索六索四筒四筒四筒中中  ドラ東

山田12巡目、

二万三万四万五万六万七万三筒四筒五筒七筒七筒東東

森下15巡目、

一万二万三万五万六万七万八万八万二索三索六筒六筒六筒

東場では攻め所を探していたが、思うように手が進まず苦しんでいた森下がアガリをこじ開ける。

南3局、ここで伊藤の基本に忠実な素晴らしい手順に注目してもらいたい。
配牌は以下の通り。

八万三索七索一筒一筒一筒二筒三筒五筒八筒北発中  ドラ七万

ここからよくホンイツ一直線に向う為に、マンズやソーズから払ってしまい字牌を残しがちになる打ち手が多く見受けられるが、伊藤は前半ではなく終盤の事を考えて手を進めて行く。
狙う手役は純全帯or三色orチンイツの選択。

6巡目までの捨て牌の河は、

北中発西三索 上向き東

八万七索八索一筒一筒一筒二筒三筒四筒五筒八筒九筒九筒

牌姿はこうなっている。
7巡目に、手牌構成とオーラスの親を迎えるにあたっての、自身の点棒状況をどうするかの分岐点となる。
伊藤は現在、持ち点23,200点。

上記の牌姿に九万をツモ。ここで8,000点をアガれたとしても、次の局で仮に2人テンパイ以上や満貫をツモられてしまうと原点を下回ってしまうので、アガるのであれば12,000点で、次局を良い形で迎えたいという意識があったのであろう。

選択したのは、ドラ引きに対応できる打五筒、(九筒は2枚切られていますので九連宝燈はできない。)
すると12巡目にこの形から、

八万九万七索八索一筒一筒一筒二筒三筒四筒八筒九筒九筒  ツモ九索

迷いが全くなく打四筒。何と次巡ツモ七筒で12,000点のテンパイ。

八万九万七索八索九索一筒一筒一筒二筒三筒七筒八筒九筒

残念ながら七万は全て他家に使われており、アガりまでとはいかなかったが、次局に繋がる素晴らしい手順だった。この局は16巡目に森下が、

七万七万七万六索六索七索七索八索六筒七筒八筒発発

この片アガリテンパイ。
山田も以下の形でテンパイをしており、

五万五万二索三索四索七索八索  チー六万 左向き五万 上向き七万 上向き  チー四筒 左向き二筒 上向き三筒 上向き

ここにツモ五索となり、流局間際なのでハイテイ九索でもアガりができるように、打二索とするかと思われたが、選択したのは打八索で8,000点の放銃となった。

1回戦成績
森下+11.5P 山田▲19.9P 三戸+19.2P 伊藤▲10.8P

 

2回戦(起家から森下・山田・伊藤・三戸)

東1局、森下が爆発を予感させる幸先良いスタートを切った。

一索一索二索三索四索五索六索九索九索九索  ポン東東東  ドラ発

これを三戸からアガリ12,000点。

東1局2本場、場を自分のものにしたいと思っていたとはおもうが、珍しく森下がオタ風の南から仕掛けマンズに染めて行く。2回戦の自身に対するテーマが決まっていた伊藤から12巡目にリーチ。

四万五万一筒二筒三筒四筒五筒六筒七筒八筒九筒北北  リーチ  ドラ一索

すると三戸も、13巡目に今日1番の気合の入ったリーチが入るが流局。

四万四万六万六万七万七万八万五索六索七索四筒五筒六筒  リーチ

ここは伊藤・三戸の2人テンパイ。
局は進んで行き、南3局から伊藤のビックゲームの時間になる。
南3局、持ち点28,1007巡目リーチ。

三万四万一索二索三索二筒三筒四筒七筒八筒九筒中中  リーチ  ドラ二筒

一発で五万をツモり2,000オール。

南3局1本場14巡目リーチ。

四索五索六索八索八索二筒三筒三筒四筒四筒五筒東東  リーチ  ドラ七万

ここは1人テンパイ。
南3局2本場、12巡目に伊藤が二索をポンしテンパイ。

四万五万六万八万八万四筒五筒六筒東東  ポン二索 上向き二索 上向き二索 上向き  ドラ八万

三戸は、前局の伊藤のリーチを見せられていたのと、普段の麻雀をよく知っている事が布石となり、伊藤は後付けをしないと思っていたのか、三戸が東で5,800は6,400の放銃。

南3局3本場。
7巡目に森下からリーチが入るが、伊藤は丁寧に打ち回しテンパイを入れ2人テンパイ。

南3局4本場、ここは三戸、森下が伊藤の親番を落とそうと役牌を仕掛ける。

伊藤6巡目、

二万三万四万五万五万五万六万七万八万四索六索二筒二筒  ドラ二万

しかし伊藤もテンパイを入れており、三戸から五索が切られ3,900は5,100。

南3局5本場、5巡目に三戸がダブ南をポンし伊藤の親落としにかかるが、14巡目に伊藤からリーチ。

伊藤
七万八万九万一索二索三索四索五索六索五筒六筒九筒九筒  リーチ  ドラ三索

三戸
四万五万六万七筒八筒九筒白  ポン三筒 上向き三筒 上向き三筒 上向き  ポン南南南

森下
三索四索四索五索六索七索七索七索八索  チー二索 左向き一索 上向き三索 上向き

結果は、伊藤が七筒をツモ。2,600オールは3,100オール。

南3局6本場、またしても伊藤の手が早い。3巡目で以下の形の1シャンテン。

三万三万四万七索八索九索三筒四筒五筒六筒七筒南南  ドラ四索

ここに五筒を引き入れ、打三万でリーチかと思われたが、冷静に打四万のヤミテンとした。
すると、手が進んだ森下から南が切られ、2,000は3,800。

南3局7本場、この局は山田が伊藤の親番を落とそうと積極的に役牌の白をポン。

三万四万四万六万七万二索三索六筒六筒六筒  ポン白白白  ドラ九万

まもなくして三戸のリーチが入る。

七万八万九万三索四索四索五索五索六索七索八索一筒一筒  リーチ

このフリテンで山に6枚残り。
すると、山田からテンパイチャンスが広がるとはいえ、少々強引とも思える四万をポンの声。
この仕掛けで、伊藤にもテンパイを入れさせてしまい伊藤もリーチ。

八万九万五索六索七索一筒二筒三筒七筒七筒七筒東東  リーチ

伊藤のアガリは山に2枚。さすがにここはフリテンとはいえ、三戸に分があるだろうと思っていたが、伊藤が七万をツモリ、2,000オールは2,700オール。
親落ちしそうでしない伊藤の粘り。この親番はいつまで続くのだろうか?

南3局8本場、5巡目に三戸がダブNをポンでテンパイ。

二万三万四万二索三索四索八索九索六筒六筒  ポン南南南  ドラ二索

9巡目に山田からもリーチ。

二万三万四万五索六索八索八索五筒六筒七筒中中中  リーチ

決着は16巡目に三戸が七索をツモの1,000・2,000は1,800・2,800。
伊藤の長い親がようやく終わった。

南4局、本日何度目だろうか、6巡目にドラの三万を引き三戸の先制リーチ。

二万三万四万八万八万八万三索三索六索七索八索五筒六筒  リーチ  ドラ三万

10巡目、森下にようやく勝負の七対子ドラドラのテンパイが入る。

三万三万四万四万五万二索二索四索四筒四筒北中中  ツモ五万

伊藤が、前巡の牌が手出し北だったことから、トイツ落としだと読み四索を勝負。
しかし読みがハズレ、トイツ落としではなかった。しかも、森下の次巡のツモが四索ときた。これは悔しい。
ソーズ、ピンズ、字牌で変化が見込められるだけに普段は打北としていたはずだ。
こういったミスがあれば誰かに風は吹く。その恩恵を受けたのが三戸。
14巡目に七筒をツモ3,900オールで挽回してきた。

2回戦成績
伊藤+54.8P  森下▲15.8P 三戸▲25.9P  山田▲13.1P

2回戦終了時
伊藤+44.0P  森下▲4.3P 三戸▲6.7P 山田▲33.0P

 

3回戦目(起家から、山田、伊藤、森下、三戸)

この3回戦目は、少しでも伊藤の点数を原点より下回った状態で終わらせることができるのかが、各人のテーマになってくる。

東2局、三戸がメンホン七対子テンパイ。

一筒一筒二筒二筒六筒六筒八筒八筒東南南中中  ドラ九万

三戸が伊藤から値千金の8,000点。このまま思い通りの展開に持ち込めるのか?

東3局、すると伊藤がお返しとばかりに七対子ドラドラをテンパイ。

七万七万一索一索八索八索二筒六筒六筒八筒八筒発発  ドラ一索

数巡後、伊藤が二筒をツモ2,000・4,000。
放銃をしてもすぐに取り返すことのできる伊藤の好調さを見ると、今日の伊藤を崩すことは容易ではない。
3回戦目は、何とか伊藤をマイナスにしたまま終える事がベストだったが、それができず森下、山田にとっては厳しい状況に。4回戦目は、森下、山田が前に出てくる事が予想されるので、三戸はそこを捕え5回戦に繋げたい所。

3回戦成績
三戸+17.4P 伊藤+9.3P 森下▲16.5P 山田▲10.2P

3回戦終了時
三戸+10.7P 伊藤+53.3P 森下▲20.8P 山田▲43.2P

 

4回戦目(起家から、三戸、山田、伊藤、森下)

東1局、親番の三戸が5巡目に強烈なリーチ。これをツモることができれば、トータルポイントを伊藤と約10P差まで縮めることができる。何としてもアガリたいリーチ。

六万六万七万七万九万九万五索五索一筒一筒南南白  リーチ  ドラ白

結果1人テンパイ。

東1局1本場、そろそろエンジンがかからないといけない森下が、ドラを重ねてのツモり三暗刻の形でリーチ。

二万三万六万七万八万八筒八筒八筒北北  暗カン牌の背九万 上向き九万 上向き牌の背  リーチ  ドラ三万

山田が、森下に北で8,000は8,300の放銃。

東2局、森下が調子を上げてくる。

二索三索四索五索六索七索七索南南南  ポン西西西  ツモ四索  ドラ三索

これで2,000・4,000。

南4局、森下が以下のテンパイ。

七万八万九万一索一索七索九索  チー八筒 左向き七筒 上向き九筒 上向き  ポン白白白  ドラ六索

続くように三戸もテンパイ。

七索七索八索八索九索二筒二筒二筒三筒四筒六筒七筒八筒

三戸がリーチをしなかったのは、森下にドラ雀頭、2枚以上あると思った事と、リーチ棒を出してしまうと、伊藤の原点復帰の条件が3,900から2,600に変わり簡単になってしまうからだ。
結果は、森下が三戸に六索で2,000の放銃となった。

4回戦成績
三戸+25.2P 森下+8.7P 伊藤▲7.4P 山田▲26.5P

4回戦終了時
三戸+35.9P 森下▲12.1P 伊藤+45.9P 山田▲69.7P

4回戦が終了し、伊藤と三戸が接戦、森下は持ち前の破壊力が発揮できるタイミングさえこれば、まだまだ勝機はある。

 

5回戦目(起家から山田、森下、三戸、伊藤)

最終戦を迎え、伊藤と三戸が10P差 伊藤と森下が58P差となっている。

東1局1本場、森下から三戸3,900は4,200。

東2局、森下9巡目リーチ。

二万三万三万四万四万五万二索三索四索四索四索六筒七筒  リーチ  ドラ二万

残り山2枚を引き当て4,000オールで一気捲りが見えてきた。

東3局、伊藤の7巡目。

一万二万二万三万四索五索四筒六筒六筒七筒七筒七筒八筒  ドラ七筒

ツモ六索で役なしドラ3のテンパイ。
もしアガることができれば優勝が目前となるだけに、リーチとする人も多いだろうが、伊藤はグッと我慢し出アガリができないヤミテンに構える。伊藤は楽をする事をやめたのだ。すると次巡、四万を引き役ありに変化。
だが、森下が役牌を仕掛け、三戸から2,000点。

東4局、森下が15巡目に以下の形でリーチ。

六万六万四索五索六索七索八索二筒三筒四筒五筒六筒七筒  リーチ  ドラ四索

このフリテンリーチ。
山田が17巡目にツモり四暗刻をテンパイ

九筒九筒九筒南南西西北北北発発発

だが、無情にも最後のツモ牌は五万で、残念ながら役満ならず。

南1局、今回の決勝戦では、愚形の先制リーチを打ってこなかった伊藤が、8巡目にリーチと出た。
ここを勝負所と踏んだのだ。「ここで決めてやる。」が伝わってくるリーチだった。

四万五万六万七万九万三索四索五索七索八索九索七筒七筒  リーチ  ドラ七筒

すると本日の集大成なのか、残り山1枚の八万が伊藤の手元に。2,000・3,900。

南4局、ここで点棒状況のチェック。

伊藤32,800 山田31,800 森下28,700 三戸26,700

三戸の条件は、伊藤からの5,200点直撃か、1,600・3,200以上のツモアガリ。
森下は、三倍満か役満のどちらかのツモ条件。
親番の伊藤も、三戸との条件が近い為、最後まで気を抜かずテンパイを果たす。

三戸も条件をクリアしている1シャンテンではあるが、そこからのテンパイまでが遠く終局してしまった。

5回戦成績
山田+12.9P 森下▲5.6P 三戸▲13.6P 伊藤+6.3P

5回戦終了時
山田▲57.0P 森下▲17.7P 三戸+22.3P 伊藤+52.2P

第22期中部プロリーグの優勝者は伊藤鉄也で幕を閉じた。

 

●決勝メンバーのコメント

第4位 山田優駿
「今回の決勝戦は面前主体で挑もうと思っていたのですが、1回戦目途中で違和感があり、普段のスタイルに戻していったが、他3名との空気が既に違い馴染めず、自分の麻雀が打ててなかった。」

第3位 森下剛任
「テーマは「勝負する」と決めていたのに、勝負所が勝負できていませんでした。だからアガリ回数がすごく少なかったと思います。あと、親番を大事にしたかったのにできませんでした。」

準優勝 三戸亮祐
「普段スロースターターなので後半勝負になることはわかっていて、そんな中、初戦でトップを取り2回戦目で攻めすぎてしまったと思います。ですが、当初の予想通り最終戦の着順勝負にまで持ち込むことができたことは良かったので、トータル的に考えると良かったと思います。」

優勝 伊藤鉄也
「1回戦目を終えて、2回戦は三戸、森下のどちらかをマイナスにさせ、自分がプラスになろうと思っていたところの連チャンで、2人ともマイナスにできたことは非常に大きかった。3、4回戦も同様に、三戸、森下とのスコアの距離感を常に考えて打ちました。最終5回戦目は、三戸と10P差。素点6,000点以内をキープすることを気にして対局しました。8年目にしてようやく優勝することが出来て嬉しいです。
今後も中部プロリーグはもちろんのこと、プロリーグやタイトル戦でも結果を残せるように精進したいと思います。」

gpmax2012

前列左より:伊藤鉄也、木村本部長
後列左より:森下剛任、三戸亮祐、山田優駿

中部プロリーグ レポート/第22期中部プロリーグ 決勝レポート

1/19(日)第22期中部プロリーグの決勝戦が行われた。
・決勝戦進出者の紹介
1位通過 森下剛任 (22期生/三段)
決勝進出:初
みなさんの記憶にも新しい第39期 王位
私のイメージでは、ギリギリまでアガリ手順を求めて小さな小さな穴をこじ開け突進してくるようなタイプ。
その糸口を見つけられたら手がつけられなくなる。
2位通過 伊藤鉄也 (22期生/三段)
決勝進出:3回目 最高順位:3位
局面を支配することに重点を置いている伊藤。
自分の有利な状況に持ち込められれば勝機あり。
3位通過 三戸亮祐 (11期生/五段)
決勝進出:13回目 最高順位:優勝(4回)
ここ最近、落ちていた調子も上向きになってきている最中。
今回のメンバーで唯一の優勝経験者なので、ここは負けられないだろう。
4位通過 山田優駿 (24期生/三段)
決勝進出:2回目 最高順位:4位
前回の決勝に続いて2期連続の決勝進出。
前期の葛山の観戦記にもあった通り山田は前回の(優勝という)忘れ物を取りに帰ってきた。
私の山田に対する印象は、相手の間合いに溶け込むのではなく、相手の押し引きバランスを少しずつ揺さぶりながら自分の得意とする土俵に誘い込むタイプ。
 
1回戦(起家から、森下・山田・三戸・伊藤)
東1局 、開局そうそうに山田、三戸、伊藤の3名の手がぶつかる。
山田が5巡目に、以下の形でテンパイを取る。
一索二索三索一筒二筒三筒四筒六筒六筒七筒九筒北北  ツモ北  ドラ九筒
ここで打ち手の好みがでそうな形になる。
私であれば、テンパイ取らずの打六筒として、一度、1シャンテンに戻し、ピンズの一筒四筒五筒八筒九筒のツモを期待し一通やドラの雀頭、リャンメン変化をさせてから勝負に出ようと考える。
さらには、まだ開局したばかりなので、ホンイツに行く打ち手もいることだろう。
しかし山田は、打四筒として表示牌の八筒待ちのヤミテンに構え、9巡目に五筒をツモり六筒を切りリーチと出た。
一索二索三索一筒二筒三筒五筒六筒七筒九筒北北北  リーチ
このリーチに三戸、伊藤が1歩も引く気配がない。
というより今回の対局者4名は簡単には誰も引かない。
三戸
一万二万三万三万三万白白  ポン発発発  ポン九万 上向き九万 上向き九万 上向き
伊藤
五万五万六万七万八万二索三索四索四索五索五筒六筒七筒
森下
二万三万七万八万九万六索六索七索七索八索七筒八筒九筒
結果、伊藤が九筒を掴んでしまい5,200点の放銃。
東3局1本場、 親番の三戸の配牌が良く4・5巡目に一筒のトイツ落とし、牌姿が好形の十分形だと予測される。親番だけに対局者に与えるプレッシャーは抜群。
三戸
二万二万四万四万六万七万八万五索六索七索八索六筒八筒  ドラ北
しかし12巡目に伊藤がリーチ。
伊藤
二万三万四万六万六万四索五索六索二筒三筒四筒五筒六筒  リーチ
一発で四筒をツモ 1,300・2,600は1,400・2,700。
南1局1本場、3者がリーチでぶつかる。
伊藤9巡目、
九万九万二索三索四索六索六索六索四筒四筒四筒中中  ドラ東
山田12巡目、
二万三万四万五万六万七万三筒四筒五筒七筒七筒東東
森下15巡目、
一万二万三万五万六万七万八万八万二索三索六筒六筒六筒
東場では攻め所を探していたが、思うように手が進まず苦しんでいた森下がアガリをこじ開ける。
南3局、ここで伊藤の基本に忠実な素晴らしい手順に注目してもらいたい。
配牌は以下の通り。
八万三索七索一筒一筒一筒二筒三筒五筒八筒北発中  ドラ七万
ここからよくホンイツ一直線に向う為に、マンズやソーズから払ってしまい字牌を残しがちになる打ち手が多く見受けられるが、伊藤は前半ではなく終盤の事を考えて手を進めて行く。
狙う手役は純全帯or三色orチンイツの選択。
6巡目までの捨て牌の河は、
北中発西三索 上向き東
八万七索八索一筒一筒一筒二筒三筒四筒五筒八筒九筒九筒
牌姿はこうなっている。
7巡目に、手牌構成とオーラスの親を迎えるにあたっての、自身の点棒状況をどうするかの分岐点となる。
伊藤は現在、持ち点23,200点。
上記の牌姿に九万をツモ。ここで8,000点をアガれたとしても、次の局で仮に2人テンパイ以上や満貫をツモられてしまうと原点を下回ってしまうので、アガるのであれば12,000点で、次局を良い形で迎えたいという意識があったのであろう。
選択したのは、ドラ引きに対応できる打五筒、(九筒は2枚切られていますので九連宝燈はできない。)
すると12巡目にこの形から、
八万九万七索八索一筒一筒一筒二筒三筒四筒八筒九筒九筒  ツモ九索
迷いが全くなく打四筒。何と次巡ツモ七筒で12,000点のテンパイ。
八万九万七索八索九索一筒一筒一筒二筒三筒七筒八筒九筒
残念ながら七万は全て他家に使われており、アガりまでとはいかなかったが、次局に繋がる素晴らしい手順だった。この局は16巡目に森下が、
七万七万七万六索六索七索七索八索六筒七筒八筒発発
この片アガリテンパイ。
山田も以下の形でテンパイをしており、
五万五万二索三索四索七索八索  チー六万 左向き五万 上向き七万 上向き  チー四筒 左向き二筒 上向き三筒 上向き
ここにツモ五索となり、流局間際なのでハイテイ九索でもアガりができるように、打二索とするかと思われたが、選択したのは打八索で8,000点の放銃となった。
1回戦成績
森下+11.5P 山田▲19.9P 三戸+19.2P 伊藤▲10.8P
 
2回戦(起家から森下・山田・伊藤・三戸)
東1局、森下が爆発を予感させる幸先良いスタートを切った。
一索一索二索三索四索五索六索九索九索九索  ポン東東東  ドラ発
これを三戸からアガリ12,000点。
東1局2本場、場を自分のものにしたいと思っていたとはおもうが、珍しく森下がオタ風の南から仕掛けマンズに染めて行く。2回戦の自身に対するテーマが決まっていた伊藤から12巡目にリーチ。
四万五万一筒二筒三筒四筒五筒六筒七筒八筒九筒北北  リーチ  ドラ一索
すると三戸も、13巡目に今日1番の気合の入ったリーチが入るが流局。
四万四万六万六万七万七万八万五索六索七索四筒五筒六筒  リーチ
ここは伊藤・三戸の2人テンパイ。
局は進んで行き、南3局から伊藤のビックゲームの時間になる。
南3局、持ち点28,1007巡目リーチ。
三万四万一索二索三索二筒三筒四筒七筒八筒九筒中中  リーチ  ドラ二筒
一発で五万をツモり2,000オール。
南3局1本場14巡目リーチ。
四索五索六索八索八索二筒三筒三筒四筒四筒五筒東東  リーチ  ドラ七万
ここは1人テンパイ。
南3局2本場、12巡目に伊藤が二索をポンしテンパイ。
四万五万六万八万八万四筒五筒六筒東東  ポン二索 上向き二索 上向き二索 上向き  ドラ八万
三戸は、前局の伊藤のリーチを見せられていたのと、普段の麻雀をよく知っている事が布石となり、伊藤は後付けをしないと思っていたのか、三戸が東で5,800は6,400の放銃。
南3局3本場。
7巡目に森下からリーチが入るが、伊藤は丁寧に打ち回しテンパイを入れ2人テンパイ。
南3局4本場、ここは三戸、森下が伊藤の親番を落とそうと役牌を仕掛ける。
伊藤6巡目、
二万三万四万五万五万五万六万七万八万四索六索二筒二筒  ドラ二万
しかし伊藤もテンパイを入れており、三戸から五索が切られ3,900は5,100。
南3局5本場、5巡目に三戸がダブ南をポンし伊藤の親落としにかかるが、14巡目に伊藤からリーチ。
伊藤
七万八万九万一索二索三索四索五索六索五筒六筒九筒九筒  リーチ  ドラ三索
三戸
四万五万六万七筒八筒九筒白  ポン三筒 上向き三筒 上向き三筒 上向き  ポン南南南
森下
三索四索四索五索六索七索七索七索八索  チー二索 左向き一索 上向き三索 上向き
結果は、伊藤が七筒をツモ。2,600オールは3,100オール。
南3局6本場、またしても伊藤の手が早い。3巡目で以下の形の1シャンテン。
三万三万四万七索八索九索三筒四筒五筒六筒七筒南南  ドラ四索
ここに五筒を引き入れ、打三万でリーチかと思われたが、冷静に打四万のヤミテンとした。
すると、手が進んだ森下から南が切られ、2,000は3,800。
南3局7本場、この局は山田が伊藤の親番を落とそうと積極的に役牌の白をポン。
三万四万四万六万七万二索三索六筒六筒六筒  ポン白白白  ドラ九万
まもなくして三戸のリーチが入る。
七万八万九万三索四索四索五索五索六索七索八索一筒一筒  リーチ
このフリテンで山に6枚残り。
すると、山田からテンパイチャンスが広がるとはいえ、少々強引とも思える四万をポンの声。
この仕掛けで、伊藤にもテンパイを入れさせてしまい伊藤もリーチ。
八万九万五索六索七索一筒二筒三筒七筒七筒七筒東東  リーチ
伊藤のアガリは山に2枚。さすがにここはフリテンとはいえ、三戸に分があるだろうと思っていたが、伊藤が七万をツモリ、2,000オールは2,700オール。
親落ちしそうでしない伊藤の粘り。この親番はいつまで続くのだろうか?
南3局8本場、5巡目に三戸がダブNをポンでテンパイ。
二万三万四万二索三索四索八索九索六筒六筒  ポン南南南  ドラ二索
9巡目に山田からもリーチ。
二万三万四万五索六索八索八索五筒六筒七筒中中中  リーチ
決着は16巡目に三戸が七索をツモの1,000・2,000は1,800・2,800。
伊藤の長い親がようやく終わった。
南4局、本日何度目だろうか、6巡目にドラの三万を引き三戸の先制リーチ。
二万三万四万八万八万八万三索三索六索七索八索五筒六筒  リーチ  ドラ三万
10巡目、森下にようやく勝負の七対子ドラドラのテンパイが入る。
三万三万四万四万五万二索二索四索四筒四筒北中中  ツモ五万
伊藤が、前巡の牌が手出し北だったことから、トイツ落としだと読み四索を勝負。
しかし読みがハズレ、トイツ落としではなかった。しかも、森下の次巡のツモが四索ときた。これは悔しい。
ソーズ、ピンズ、字牌で変化が見込められるだけに普段は打北としていたはずだ。
こういったミスがあれば誰かに風は吹く。その恩恵を受けたのが三戸。
14巡目に七筒をツモ3,900オールで挽回してきた。
2回戦成績
伊藤+54.8P  森下▲15.8P 三戸▲25.9P  山田▲13.1P
2回戦終了時
伊藤+44.0P  森下▲4.3P 三戸▲6.7P 山田▲33.0P
 
3回戦目(起家から、山田、伊藤、森下、三戸)
この3回戦目は、少しでも伊藤の点数を原点より下回った状態で終わらせることができるのかが、各人のテーマになってくる。
東2局、三戸がメンホン七対子テンパイ。
一筒一筒二筒二筒六筒六筒八筒八筒東南南中中  ドラ九万
三戸が伊藤から値千金の8,000点。このまま思い通りの展開に持ち込めるのか?
東3局、すると伊藤がお返しとばかりに七対子ドラドラをテンパイ。
七万七万一索一索八索八索二筒六筒六筒八筒八筒発発  ドラ一索
数巡後、伊藤が二筒をツモ2,000・4,000。
放銃をしてもすぐに取り返すことのできる伊藤の好調さを見ると、今日の伊藤を崩すことは容易ではない。
3回戦目は、何とか伊藤をマイナスにしたまま終える事がベストだったが、それができず森下、山田にとっては厳しい状況に。4回戦目は、森下、山田が前に出てくる事が予想されるので、三戸はそこを捕え5回戦に繋げたい所。
3回戦成績
三戸+17.4P 伊藤+9.3P 森下▲16.5P 山田▲10.2P
3回戦終了時
三戸+10.7P 伊藤+53.3P 森下▲20.8P 山田▲43.2P
 
4回戦目(起家から、三戸、山田、伊藤、森下)
東1局、親番の三戸が5巡目に強烈なリーチ。これをツモることができれば、トータルポイントを伊藤と約10P差まで縮めることができる。何としてもアガリたいリーチ。
六万六万七万七万九万九万五索五索一筒一筒南南白  リーチ  ドラ白
結果1人テンパイ。
東1局1本場、そろそろエンジンがかからないといけない森下が、ドラを重ねてのツモり三暗刻の形でリーチ。
二万三万六万七万八万八筒八筒八筒北北  暗カン牌の背九万 上向き九万 上向き牌の背  リーチ  ドラ三万
山田が、森下に北で8,000は8,300の放銃。
東2局、森下が調子を上げてくる。
二索三索四索五索六索七索七索南南南  ポン西西西  ツモ四索  ドラ三索
これで2,000・4,000。
南4局、森下が以下のテンパイ。
七万八万九万一索一索七索九索  チー八筒 左向き七筒 上向き九筒 上向き  ポン白白白  ドラ六索
続くように三戸もテンパイ。
七索七索八索八索九索二筒二筒二筒三筒四筒六筒七筒八筒
三戸がリーチをしなかったのは、森下にドラ雀頭、2枚以上あると思った事と、リーチ棒を出してしまうと、伊藤の原点復帰の条件が3,900から2,600に変わり簡単になってしまうからだ。
結果は、森下が三戸に六索で2,000の放銃となった。
4回戦成績
三戸+25.2P 森下+8.7P 伊藤▲7.4P 山田▲26.5P
4回戦終了時
三戸+35.9P 森下▲12.1P 伊藤+45.9P 山田▲69.7P
4回戦が終了し、伊藤と三戸が接戦、森下は持ち前の破壊力が発揮できるタイミングさえこれば、まだまだ勝機はある。
 
5回戦目(起家から山田、森下、三戸、伊藤)
最終戦を迎え、伊藤と三戸が10P差 伊藤と森下が58P差となっている。
東1局1本場、森下から三戸3,900は4,200。
東2局、森下9巡目リーチ。
二万三万三万四万四万五万二索三索四索四索四索六筒七筒  リーチ  ドラ二万
残り山2枚を引き当て4,000オールで一気捲りが見えてきた。
東3局、伊藤の7巡目。
一万二万二万三万四索五索四筒六筒六筒七筒七筒七筒八筒  ドラ七筒
ツモ六索で役なしドラ3のテンパイ。
もしアガることができれば優勝が目前となるだけに、リーチとする人も多いだろうが、伊藤はグッと我慢し出アガリができないヤミテンに構える。伊藤は楽をする事をやめたのだ。すると次巡、四万を引き役ありに変化。
だが、森下が役牌を仕掛け、三戸から2,000点。
東4局、森下が15巡目に以下の形でリーチ。
六万六万四索五索六索七索八索二筒三筒四筒五筒六筒七筒  リーチ  ドラ四索
このフリテンリーチ。
山田が17巡目にツモり四暗刻をテンパイ
九筒九筒九筒南南西西北北北発発発
だが、無情にも最後のツモ牌は五万で、残念ながら役満ならず。
南1局、今回の決勝戦では、愚形の先制リーチを打ってこなかった伊藤が、8巡目にリーチと出た。
ここを勝負所と踏んだのだ。「ここで決めてやる。」が伝わってくるリーチだった。
四万五万六万七万九万三索四索五索七索八索九索七筒七筒  リーチ  ドラ七筒
すると本日の集大成なのか、残り山1枚の八万が伊藤の手元に。2,000・3,900。
南4局、ここで点棒状況のチェック。
伊藤32,800 山田31,800 森下28,700 三戸26,700
三戸の条件は、伊藤からの5,200点直撃か、1,600・3,200以上のツモアガリ。
森下は、三倍満か役満のどちらかのツモ条件。
親番の伊藤も、三戸との条件が近い為、最後まで気を抜かずテンパイを果たす。
三戸も条件をクリアしている1シャンテンではあるが、そこからのテンパイまでが遠く終局してしまった。
5回戦成績
山田+12.9P 森下▲5.6P 三戸▲13.6P 伊藤+6.3P
5回戦終了時
山田▲57.0P 森下▲17.7P 三戸+22.3P 伊藤+52.2P
第22期中部プロリーグの優勝者は伊藤鉄也で幕を閉じた。
 
●決勝メンバーのコメント
第4位 山田優駿
「今回の決勝戦は面前主体で挑もうと思っていたのですが、1回戦目途中で違和感があり、普段のスタイルに戻していったが、他3名との空気が既に違い馴染めず、自分の麻雀が打ててなかった。」
第3位 森下剛任
「テーマは「勝負する」と決めていたのに、勝負所が勝負できていませんでした。だからアガリ回数がすごく少なかったと思います。あと、親番を大事にしたかったのにできませんでした。」
準優勝 三戸亮祐
「普段スロースターターなので後半勝負になることはわかっていて、そんな中、初戦でトップを取り2回戦目で攻めすぎてしまったと思います。ですが、当初の予想通り最終戦の着順勝負にまで持ち込むことができたことは良かったので、トータル的に考えると良かったと思います。」
優勝 伊藤鉄也
「1回戦目を終えて、2回戦は三戸、森下のどちらかをマイナスにさせ、自分がプラスになろうと思っていたところの連チャンで、2人ともマイナスにできたことは非常に大きかった。3、4回戦も同様に、三戸、森下とのスコアの距離感を常に考えて打ちました。最終5回戦目は、三戸と10P差。素点6,000点以内をキープすることを気にして対局しました。8年目にしてようやく優勝することが出来て嬉しいです。
今後も中部プロリーグはもちろんのこと、プロリーグやタイトル戦でも結果を残せるように精進したいと思います。」
gpmax2012
前列左より:伊藤鉄也、木村本部長
後列左より:森下剛任、三戸亮祐、山田優駿

第22期中部プロリーグ 決勝成績表

順位 名前 1回戦 2回戦 3回戦 4回戦 5回戦 小計
1 伊藤 鉄也 ▲ 10.8 54.8 9.3 ▲ 7.4 6.3 52.2
2 三戸 亮祐 19.2 ▲ 25.9 17.4 25.2 ▲ 13.6 22.3
3 森下 剛任 11.5 ▲ 15.8 ▲ 16.5 8.7 ▲ 5.6 ▲ 17.7
4 山田 優駿 ▲ 19.9 ▲ 13.1 ▲ 10.2 ▲ 26.5 12.9 ▲ 56.8

Aリーグ

順位 名前 1節 2節 3節 4節 5節 合計
1 森下 剛任 8.0 ▲ 22.2 61.7 91.9 49.5 188.9
2 伊藤 鉄也 39.8 68.7 24.8 ▲ 14.6 26.1 144.8
3 三戸 亮祐 ▲ 52.9 20.4 27.2 80.4 58.2 133.3
4 山田 優駿 39.8 62.8 ▲ 30.2 19.9 34.2 126.5
5 太田 充 14.3 10.7 71.6 47.7 ▲ 54.0 90.3
6 古川 孝次 46.2 17.0 41.1 30.8 ▲ 46.3 88.8
7 樋口 新 ▲ 1.2 ▲ 23.8 ▲ 58.7 91.2 ▲ 11.5 ▲ 4.0
8 寺戸 孝志 ▲ 30.5 ▲ 46.6 64.8 ▲ 46.6 13.9 ▲ 45.0
9 日下 健司 ▲ 54.6 ▲ 24.0 ▲ 2.9 ▲ 8.4 36.3 ▲ 53.6
10 佐藤 あいり 61.9 ▲ 4.5 ▲ 54.8 ▲ 7.4 ▲ 65.2 ▲ 70.0
11 鈴木 基芳 ▲ 65.3 11.3 ▲ 8.0 ▲ 0.3 ▲ 9.4 ▲ 71.7
12 木村 東平 3.1 ▲ 7.1 ▲ 75.7 ▲ 69.9 74.9 ▲ 74.7
13 毛受 俊 21.5 51.1 ▲ 13.9 ▲ 98.4 ▲ 44.0 ▲ 83.7
14 村瀬 寛光 22.4 ▲ 52.3 ▲ 29.5 ▲ 36.2 ▲ 38.0 ▲ 133.6
15 掛水 洋徳 0.4 ▲ 84.9 12.7 ▲ 44.9 ▲ 19.4 ▲ 136.1
16 杉浦 貴紀 ▲ 52.9 ▲ 26.6 ▲ 30.2 ▲ 35.2 ▲ 7.3 ▲ 152.2

Bリーグ

順位 名前 1節 2節 3節 4節 5節 合計
1 杉村 泰治 4.3 37.6 29.0 77.5 43.2 191.6
2 長谷川 弘 ▲ 7.8 20.8 27.6 84.4 62.0 187.0
3 山本 拓哉 ▲ 16.2 ▲ 20.1 120.4 ▲ 29.4 55.8 110.5
4 鈴木 雄介 38.8 ▲ 13.9 ▲ 19.3 25.4 52.7 83.7
5 櫛田 利太 102.8 45.2 ▲ 8.2 ▲ 54.3 ▲ 18.7 66.8
6 葛山 英樹 ▲ 5.5 ▲ 1.7 65.3 ▲ 57.8 ▲ 4.2 ▲ 3.9
7 小坂 美樹 ▲ 21.0 ▲ 25.4 ▲ 12.1 34.6 8.4 ▲ 15.5
8 大滝 聡 11.5 3.7 44.9 ▲ 56.8 ▲ 43.0 ▲ 39.7
9 若松 正和 ▲ 37.3 18.5 ▲ 21.4 45.6 ▲ 49.8 ▲ 44.4
10 中西 栄二 ▲ 18.6 7.7 ▲ 54.5 31.1 ▲ 14.5 ▲ 48.8
11 朝岡 祐 ▲ 21.8 24.7 ▲ 38.6 4.9 ▲ 18.7 ▲ 49.5
12 土岐 雄太 31.9 20.8 ▲ 69.7 ▲ 58.5 9.0 ▲ 66.5
13 浅野 文雅 ▲ 27.9 ▲ 26.7 ▲ 1.2 ▲ 48.8 32.1 ▲ 72.5
14 菅野 直 ▲ 8.6 ▲ 26.4 ▲ 18.2 ▲ 61.4 ▲ 1.8 ▲ 116.4
15 牛尾 信之 ▲ 43.7 ▲ 32.0 ▲ 49.0 1.8 ▲ 27.0 ▲ 149.9
16 安藤 大貴 16.1 ▲ 52.8 2.0 ▲ 39.3 ▲ 86.5 ▲ 160.5

Cリーグ

順位 名前 1節 2節 3節 4節 5節 合計
1 斎藤 寛生 32.6 85.8 14.1 31.9 31.8 196.2
2 中谷 彰吾 57.1 24.1 91.9 0.7 17.6 191.4
3 太田 峻也 ▲ 13.9 ▲ 9.0 63.2 48.3 57.8 146.4
4 小野 雅峻 39.3 19.1 14.7 35.1 19.9 128.1
5 八木 悠 15.3 ▲ 9.5 78.7 ▲ 29.0 58.4 113.9
6 大町 篤志 126.1 ▲ 73.6 ▲ 23.0 21.2 ▲ 7.7 43.0
7 山神 達也 6.1 ▲ 25.8 34.8 19.5 ▲ 18.3 16.3
8 大高坂 松城 60.7 ▲ 32.6 ▲ 5.7 ▲ 13.8 ▲ 0.2 8.4
9 岡本 丈司 ▲ 59.5 43.8 1.7 ▲ 25.1 30.1 ▲ 9.0
10 鈴木 淳 10.5 71.8 ▲ 26.7 ▲ 38.9 ▲ 30.3 ▲ 13.6
11 原田 知彦 ▲ 27.4 ▲ 24.6 ▲ 22.6 28.0 ▲ 1.8 ▲ 48.4
12 吉井 友直 25.7 ▲ 30.3 ▲ 4.9 3.3 ▲ 44.0 ▲ 50.2
13 河合 慎悟 65.2 ▲ 67.6 ▲ 66.7 ▲ 20.6 32.0 ▲ 57.7
14 三谷 卓也 34.4 14.5 ▲ 35.9 29.6 ▲ 103.5 ▲ 60.9
15 越川 清一 ▲ 90.6 6.4 ▲ 28.2 23.3 24.7 ▲ 64.4
16 大西 義則 10.8 ▲ 30.8 28.3 ▲ 35.2 ▲ 38.5 ▲ 65.4
17 加藤 泰史 ▲ 94.8 ▲ 12.8 ▲ 44.1 53.0 12.9 ▲ 85.8
18 原 尚吾 ▲ 14.9 10.8 ▲ 34.2 ▲ 30.5 ▲ 43.8 ▲ 112.6
19 角谷 和幸 ▲ 125.3 12.0 ▲ 30.5 ▲ 24.1 17.6 ▲ 150.3
20 家田 みゆき ▲ 79.4 28.3 ▲ 6.9 ▲ 81.7 ▲ 35.7 ▲ 175.4

中部プロリーグ 成績表/第22期中部プロリーグ 決勝成績表

順位 名前 1回戦 2回戦 3回戦 4回戦 5回戦 小計
1 伊藤 鉄也 ▲ 10.8 54.8 9.3 ▲ 7.4 6.3 52.2
2 三戸 亮祐 19.2 ▲ 25.9 17.4 25.2 ▲ 13.6 22.3
3 森下 剛任 11.5 ▲ 15.8 ▲ 16.5 8.7 ▲ 5.6 ▲ 17.7
4 山田 優駿 ▲ 19.9 ▲ 13.1 ▲ 10.2 ▲ 26.5 12.9 ▲ 56.8

Aリーグ

順位 名前 1節 2節 3節 4節 5節 合計
1 森下 剛任 8.0 ▲ 22.2 61.7 91.9 49.5 188.9
2 伊藤 鉄也 39.8 68.7 24.8 ▲ 14.6 26.1 144.8
3 三戸 亮祐 ▲ 52.9 20.4 27.2 80.4 58.2 133.3
4 山田 優駿 39.8 62.8 ▲ 30.2 19.9 34.2 126.5
5 太田 充 14.3 10.7 71.6 47.7 ▲ 54.0 90.3
6 古川 孝次 46.2 17.0 41.1 30.8 ▲ 46.3 88.8
7 樋口 新 ▲ 1.2 ▲ 23.8 ▲ 58.7 91.2 ▲ 11.5 ▲ 4.0
8 寺戸 孝志 ▲ 30.5 ▲ 46.6 64.8 ▲ 46.6 13.9 ▲ 45.0
9 日下 健司 ▲ 54.6 ▲ 24.0 ▲ 2.9 ▲ 8.4 36.3 ▲ 53.6
10 佐藤 あいり 61.9 ▲ 4.5 ▲ 54.8 ▲ 7.4 ▲ 65.2 ▲ 70.0
11 鈴木 基芳 ▲ 65.3 11.3 ▲ 8.0 ▲ 0.3 ▲ 9.4 ▲ 71.7
12 木村 東平 3.1 ▲ 7.1 ▲ 75.7 ▲ 69.9 74.9 ▲ 74.7
13 毛受 俊 21.5 51.1 ▲ 13.9 ▲ 98.4 ▲ 44.0 ▲ 83.7
14 村瀬 寛光 22.4 ▲ 52.3 ▲ 29.5 ▲ 36.2 ▲ 38.0 ▲ 133.6
15 掛水 洋徳 0.4 ▲ 84.9 12.7 ▲ 44.9 ▲ 19.4 ▲ 136.1
16 杉浦 貴紀 ▲ 52.9 ▲ 26.6 ▲ 30.2 ▲ 35.2 ▲ 7.3 ▲ 152.2

Bリーグ

順位 名前 1節 2節 3節 4節 5節 合計
1 杉村 泰治 4.3 37.6 29.0 77.5 43.2 191.6
2 長谷川 弘 ▲ 7.8 20.8 27.6 84.4 62.0 187.0
3 山本 拓哉 ▲ 16.2 ▲ 20.1 120.4 ▲ 29.4 55.8 110.5
4 鈴木 雄介 38.8 ▲ 13.9 ▲ 19.3 25.4 52.7 83.7
5 櫛田 利太 102.8 45.2 ▲ 8.2 ▲ 54.3 ▲ 18.7 66.8
6 葛山 英樹 ▲ 5.5 ▲ 1.7 65.3 ▲ 57.8 ▲ 4.2 ▲ 3.9
7 小坂 美樹 ▲ 21.0 ▲ 25.4 ▲ 12.1 34.6 8.4 ▲ 15.5
8 大滝 聡 11.5 3.7 44.9 ▲ 56.8 ▲ 43.0 ▲ 39.7
9 若松 正和 ▲ 37.3 18.5 ▲ 21.4 45.6 ▲ 49.8 ▲ 44.4
10 中西 栄二 ▲ 18.6 7.7 ▲ 54.5 31.1 ▲ 14.5 ▲ 48.8
11 朝岡 祐 ▲ 21.8 24.7 ▲ 38.6 4.9 ▲ 18.7 ▲ 49.5
12 土岐 雄太 31.9 20.8 ▲ 69.7 ▲ 58.5 9.0 ▲ 66.5
13 浅野 文雅 ▲ 27.9 ▲ 26.7 ▲ 1.2 ▲ 48.8 32.1 ▲ 72.5
14 菅野 直 ▲ 8.6 ▲ 26.4 ▲ 18.2 ▲ 61.4 ▲ 1.8 ▲ 116.4
15 牛尾 信之 ▲ 43.7 ▲ 32.0 ▲ 49.0 1.8 ▲ 27.0 ▲ 149.9
16 安藤 大貴 16.1 ▲ 52.8 2.0 ▲ 39.3 ▲ 86.5 ▲ 160.5

Cリーグ

順位 名前 1節 2節 3節 4節 5節 合計
1 斎藤 寛生 32.6 85.8 14.1 31.9 31.8 196.2
2 中谷 彰吾 57.1 24.1 91.9 0.7 17.6 191.4
3 太田 峻也 ▲ 13.9 ▲ 9.0 63.2 48.3 57.8 146.4
4 小野 雅峻 39.3 19.1 14.7 35.1 19.9 128.1
5 八木 悠 15.3 ▲ 9.5 78.7 ▲ 29.0 58.4 113.9
6 大町 篤志 126.1 ▲ 73.6 ▲ 23.0 21.2 ▲ 7.7 43.0
7 山神 達也 6.1 ▲ 25.8 34.8 19.5 ▲ 18.3 16.3
8 大高坂 松城 60.7 ▲ 32.6 ▲ 5.7 ▲ 13.8 ▲ 0.2 8.4
9 岡本 丈司 ▲ 59.5 43.8 1.7 ▲ 25.1 30.1 ▲ 9.0
10 鈴木 淳 10.5 71.8 ▲ 26.7 ▲ 38.9 ▲ 30.3 ▲ 13.6
11 原田 知彦 ▲ 27.4 ▲ 24.6 ▲ 22.6 28.0 ▲ 1.8 ▲ 48.4
12 吉井 友直 25.7 ▲ 30.3 ▲ 4.9 3.3 ▲ 44.0 ▲ 50.2
13 河合 慎悟 65.2 ▲ 67.6 ▲ 66.7 ▲ 20.6 32.0 ▲ 57.7
14 三谷 卓也 34.4 14.5 ▲ 35.9 29.6 ▲ 103.5 ▲ 60.9
15 越川 清一 ▲ 90.6 6.4 ▲ 28.2 23.3 24.7 ▲ 64.4
16 大西 義則 10.8 ▲ 30.8 28.3 ▲ 35.2 ▲ 38.5 ▲ 65.4
17 加藤 泰史 ▲ 94.8 ▲ 12.8 ▲ 44.1 53.0 12.9 ▲ 85.8
18 原 尚吾 ▲ 14.9 10.8 ▲ 34.2 ▲ 30.5 ▲ 43.8 ▲ 112.6
19 角谷 和幸 ▲ 125.3 12.0 ▲ 30.5 ▲ 24.1 17.6 ▲ 150.3
20 家田 みゆき ▲ 79.4 28.3 ▲ 6.9 ▲ 81.7 ▲ 35.7 ▲ 175.4

天空麻雀14女性大会優勝特別インタビュー:和泉由希子

gpmax2012

一見クールで近寄りがたい雰囲気。そして、いつもキラキラしたオーラを放っている。
そんな大先輩に、口下手な私、井上絵美子にちゃんとインタビューできるのか・・・ドキドキの中、
アイスドールこと、和泉由希子プロへのインタビューは始まった。

井上「天空麻雀14女性大会での優勝、おめでとうございます!!優勝された時のお気持ちは?」

和泉「ありがとう。今までこずえちゃんと決勝であたって、一度も勝ったことがなかったの私。
だから今回は、特別すごく嬉しかった。」

gpmax2012

事務局で対局の映像を見ながら、インタビューは進んだ。

井上「ラス前で17,000点。どうやって優勝したんですか!?何が起きたのか気になる!」

和泉「ハハハ。ね。勝因はこのラス前の四万をチーできたことかな。」

その時の手牌はこちら。

二万三万六万一索二索三索四索七索九索三筒四筒東東

5枚目の一万四万で、四をチー。最終的に、

赤五万六万七万二索三索四索赤五索東東東  チー四万 左向き二万 上向き三万 上向き

五索で5,800点の出アガリとなった。

和泉「この次局の、親の跳満が入った時も、ヤミテンにしていたのは良かったかなーって。」

その時の手牌がこちら。

五筒五筒五筒七筒八筒九筒南南南西西北北  ドラ北

この手はしっかりヤミテンで18,000点のアガリ。
ついにここでトップに立った。

井上「普段もこういう手はリーチしないことが多いですか?」

和泉「いや、私リーチ大好きだから、なんでも結構勢いでリーチうっちゃうんだけど、珍しくヤミテンにできて良かったなーって思ってる。」

そして最後もしっかりとツモり、自分の手で優勝をつかんだ。
どんな場でも冷静に判断し、今自分がやるべきことをしっかりできる和泉プロ。格好良すぎます!!
そして、憧れの先輩にもっともっと近づきたくて、私の質問攻めは続いた。

井上「メンタルはどうやって鍛えていますか?」

和泉「メンタルは未だに・・・」

井上「そうなんですか!?全然表情などに出ないですよね。」

和泉「そうだね。・・・アイスドールだからね。」

なんてカッコいいのでしょう。これこそ本当のプロだと鳥肌がった。

井上「この人だけには勝てないなーって方はいますか?」

和泉「それは、最近までこずえちゃんだった。決勝では本当勝てないなーて思ってたんだけど、今回初めて勝ったので、なんか自分の中では一歩のぼったなって気がして、すごく嬉しいです。」

井上「麻雀で、嬉しかったり悔しかったりで、泣いたことってありますか?」

和泉「あるよ。人前ではないけど。惜しかったタイトル戦で悔しくてとか、あとやっぱ優勝してだね。でもその場ではあまり実感なくてボーっとしてて、放送されてから見てくれた人に、感動しましたって言われて私も感動するみたいなとか。」

この言葉を聞いた瞬間、なんだか私も感動した。
私も和泉プロの様に、人を感動させられるプロに早くなりたいと、心から思った。

井上「麻雀以外で好きなことはありますか?」

和泉「旅行と恋をすること。旅行は結構行ったなー。」

井上「海外とかもたくさん行ってますか?」

和泉「海外はね、恐くて行けないの。ハワイとかグアムとか、言葉が通じるとこならいいのだけど・・・。オーストラリアはすごく良かったよ。」

井上「南国的な感じが好きなんですね。」

和泉「んーそういうわけではない 。私、海よりどっちかっていうと山派なんだよね。北海道は自然がいっぱいで好き。」

100
100

 

井上「恋の方は?どういう人がタイプですか?」

和泉「男くさい人。なんかえらそうな人が好き。」

井上「オレ様的な?」

和泉「うん。なんかこうえらい人でいてもらって、よしよしってされているくらいがいいかな。」

井上「結婚願望とかすごくあるって聞きますが」

和泉「うん。もう結婚するするするする!2年以内に結婚するってこの前宣言した!私は先に行くよ。笑」

井上「もし結婚しても、麻雀プロは辞めませんか?」

和泉「うん。そのつもりですが・・・。りんかちゃんみたいなスタイルが理想だよね。一応専業主婦で、ちょくちょくゲストとかタイトル戦は出る感じ。」

井上「スポーツは何かやっていましたか?」

和泉「高校の時に、ソングリーダーてゆうダンスみたいのをやってたくらいかな。」

井上「じゃ別にスポーツマンだったって感じではないですか?」

和泉「でもね、それは全国3位になったことあるよ。」

井上「すごいですね!!」

和泉「でも先輩達がすごく上手くて、私は後ろでチョロチョロって踊っていただけ。でもやっぱすごーく厳しかった。」

和泉プロにも、皆と同じような青春時代があったんだなーと。なんだか少し安心した。

井上「お酒がすごく好きと伺っていますが?」

和泉「全然そんなことないよ。あれば飲むけど、全然ウーロン茶でいい。最近なんて、ご飯食べに行ってもウーロン茶だったりするし。家でも飲まない。」

と、意外な返答が。

和泉「でもなぜかみんなにそう(お酒大好きだと)思われてるんだよね。」

見た目で好きそうと判断されがちな和泉プロ。意外とウーロン茶派なことに私も少しビックリした。

井上「わたし、天空への道で優勝して、天空麻雀15に出演が決まったんですよー!」

和泉「あーそうだよね。おめでとう。」

井上「ありがとうございます。初出場なんですが、何かアドバイスもらえますか?」

和泉「んー、でもまぁ、あんまり考えすぎてもね。もう負けてもともとくらいで腹くくっていった方が逆に私はうまくいく気がする。変に緊張して変に考えちゃうと、手が止まっちゃうから。」

井上「そうですね。。。今から緊張しちゃう・・・」

和泉「私も今でも緊張するよ。特にいい手アガった後の次の局が緊張するってゆうのすごくよくわかる。プルプルしちゃう。だから深呼吸しながら牌をきるようにしているよ。緊張すると回し切りができなくなる。笑」

和泉プロでも緊張するんですね!プルプルしちゃうんですね!少し安心しました。

井上「それでは、最後に応援してくれている皆様にメッセージをお願いします!」

和泉「プロになって11年が経ち、いろいろな経験をしました。嬉しかった事も悲しかった事もありますが、いつも皆さんの優しさに支えられてきたと思っています。前が見えなくて立ち止まる事もあるけれど、一歩ずつでも進んでいけたらと思うので、これからも背中を押して頂けると嬉しいです。末長く、よろしくお願いします!」

和泉プロと話した4時間は、本当にあっという間でした。
インタビューをするのが初めての私に、優しく気を使ってくれて、アドバイスをくれて。
クールで近寄りがたい先輩から、穏やかで優しい憧れの先輩になりました。

最後まで読んでいただきありがとうございます。
和泉プロの人間的な一面が、皆様に伝わったでしょうか。

和泉プロ、天空麻雀14、女性大会優勝、本当におめでとうございます!!

プロ雀士インタビュー/天空麻雀14女性大会優勝特別インタビュー:和泉由希子

gpmax2012
一見クールで近寄りがたい雰囲気。そして、いつもキラキラしたオーラを放っている。
そんな大先輩に、口下手な私、井上絵美子にちゃんとインタビューできるのか・・・ドキドキの中、
アイスドールこと、和泉由希子プロへのインタビューは始まった。
井上「天空麻雀14女性大会での優勝、おめでとうございます!!優勝された時のお気持ちは?」
和泉「ありがとう。今までこずえちゃんと決勝であたって、一度も勝ったことがなかったの私。
だから今回は、特別すごく嬉しかった。」

gpmax2012
事務局で対局の映像を見ながら、インタビューは進んだ。
井上「ラス前で17,000点。どうやって優勝したんですか!?何が起きたのか気になる!」
和泉「ハハハ。ね。勝因はこのラス前の四万をチーできたことかな。」
その時の手牌はこちら。
二万三万六万一索二索三索四索七索九索三筒四筒東東
5枚目の一万四万で、四をチー。最終的に、
赤五万六万七万二索三索四索赤五索東東東  チー四万 左向き二万 上向き三万 上向き
五索で5,800点の出アガリとなった。
和泉「この次局の、親の跳満が入った時も、ヤミテンにしていたのは良かったかなーって。」
その時の手牌がこちら。
五筒五筒五筒七筒八筒九筒南南南西西北北  ドラ北
この手はしっかりヤミテンで18,000点のアガリ。
ついにここでトップに立った。
井上「普段もこういう手はリーチしないことが多いですか?」
和泉「いや、私リーチ大好きだから、なんでも結構勢いでリーチうっちゃうんだけど、珍しくヤミテンにできて良かったなーって思ってる。」
そして最後もしっかりとツモり、自分の手で優勝をつかんだ。
どんな場でも冷静に判断し、今自分がやるべきことをしっかりできる和泉プロ。格好良すぎます!!
そして、憧れの先輩にもっともっと近づきたくて、私の質問攻めは続いた。
井上「メンタルはどうやって鍛えていますか?」
和泉「メンタルは未だに・・・」
井上「そうなんですか!?全然表情などに出ないですよね。」
和泉「そうだね。・・・アイスドールだからね。」
なんてカッコいいのでしょう。これこそ本当のプロだと鳥肌がった。
井上「この人だけには勝てないなーって方はいますか?」
和泉「それは、最近までこずえちゃんだった。決勝では本当勝てないなーて思ってたんだけど、今回初めて勝ったので、なんか自分の中では一歩のぼったなって気がして、すごく嬉しいです。」
井上「麻雀で、嬉しかったり悔しかったりで、泣いたことってありますか?」
和泉「あるよ。人前ではないけど。惜しかったタイトル戦で悔しくてとか、あとやっぱ優勝してだね。でもその場ではあまり実感なくてボーっとしてて、放送されてから見てくれた人に、感動しましたって言われて私も感動するみたいなとか。」
この言葉を聞いた瞬間、なんだか私も感動した。
私も和泉プロの様に、人を感動させられるプロに早くなりたいと、心から思った。
井上「麻雀以外で好きなことはありますか?」
和泉「旅行と恋をすること。旅行は結構行ったなー。」
井上「海外とかもたくさん行ってますか?」
和泉「海外はね、恐くて行けないの。ハワイとかグアムとか、言葉が通じるとこならいいのだけど・・・。オーストラリアはすごく良かったよ。」
井上「南国的な感じが好きなんですね。」
和泉「んーそういうわけではない 。私、海よりどっちかっていうと山派なんだよね。北海道は自然がいっぱいで好き。」

100
100

 
井上「恋の方は?どういう人がタイプですか?」
和泉「男くさい人。なんかえらそうな人が好き。」
井上「オレ様的な?」
和泉「うん。なんかこうえらい人でいてもらって、よしよしってされているくらいがいいかな。」
井上「結婚願望とかすごくあるって聞きますが」
和泉「うん。もう結婚するするするする!2年以内に結婚するってこの前宣言した!私は先に行くよ。笑」
井上「もし結婚しても、麻雀プロは辞めませんか?」
和泉「うん。そのつもりですが・・・。りんかちゃんみたいなスタイルが理想だよね。一応専業主婦で、ちょくちょくゲストとかタイトル戦は出る感じ。」
井上「スポーツは何かやっていましたか?」
和泉「高校の時に、ソングリーダーてゆうダンスみたいのをやってたくらいかな。」
井上「じゃ別にスポーツマンだったって感じではないですか?」
和泉「でもね、それは全国3位になったことあるよ。」
井上「すごいですね!!」
和泉「でも先輩達がすごく上手くて、私は後ろでチョロチョロって踊っていただけ。でもやっぱすごーく厳しかった。」
和泉プロにも、皆と同じような青春時代があったんだなーと。なんだか少し安心した。
井上「お酒がすごく好きと伺っていますが?」
和泉「全然そんなことないよ。あれば飲むけど、全然ウーロン茶でいい。最近なんて、ご飯食べに行ってもウーロン茶だったりするし。家でも飲まない。」
と、意外な返答が。
和泉「でもなぜかみんなにそう(お酒大好きだと)思われてるんだよね。」
見た目で好きそうと判断されがちな和泉プロ。意外とウーロン茶派なことに私も少しビックリした。
井上「わたし、天空への道で優勝して、天空麻雀15に出演が決まったんですよー!」
和泉「あーそうだよね。おめでとう。」
井上「ありがとうございます。初出場なんですが、何かアドバイスもらえますか?」
和泉「んー、でもまぁ、あんまり考えすぎてもね。もう負けてもともとくらいで腹くくっていった方が逆に私はうまくいく気がする。変に緊張して変に考えちゃうと、手が止まっちゃうから。」
井上「そうですね。。。今から緊張しちゃう・・・」
和泉「私も今でも緊張するよ。特にいい手アガった後の次の局が緊張するってゆうのすごくよくわかる。プルプルしちゃう。だから深呼吸しながら牌をきるようにしているよ。緊張すると回し切りができなくなる。笑」
和泉プロでも緊張するんですね!プルプルしちゃうんですね!少し安心しました。
井上「それでは、最後に応援してくれている皆様にメッセージをお願いします!」
和泉「プロになって11年が経ち、いろいろな経験をしました。嬉しかった事も悲しかった事もありますが、いつも皆さんの優しさに支えられてきたと思っています。前が見えなくて立ち止まる事もあるけれど、一歩ずつでも進んでいけたらと思うので、これからも背中を押して頂けると嬉しいです。末長く、よろしくお願いします!」
和泉プロと話した4時間は、本当にあっという間でした。
インタビューをするのが初めての私に、優しく気を使ってくれて、アドバイスをくれて。
クールで近寄りがたい先輩から、穏やかで優しい憧れの先輩になりました。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
和泉プロの人間的な一面が、皆様に伝わったでしょうか。
和泉プロ、天空麻雀14、女性大会優勝、本当におめでとうございます!!

第85回:井出康平

森下剛任プロからバトンを頂きました。

やっと頂きました。
もう一度言わせて頂きます。やっと頂きました。はい!

森下プロとは仲が良いのに、剛任(まさと)と知ったのは今回が始めてでした。
この場を借りて謝りたいと思います。ゴメンね(笑)

では、簡単な自己紹介からさせていただきますね。
1983年5月17日生まれ、牡牛座のO型で、生まれも育ちも千葉県鎌ヶ谷市です。
ただいま、第14回モンド杯出演中の21期生、井出康平でございます。

さて、それではせっかくですので、麻雀との出会いなんかを少し。

ずっと野球少年だった僕が、麻雀を初めて知ったのは中学3年生の秋でした。
部活を引退したあとは帰宅部となる訳ですが、同級生が麻雀牌を持ち出し、暇つぶしにやっていたのがきっかけです。それと同時に、少年マガジンで連載中だった『坊や哲』という阿佐田哲也先生の半生を描いた漫画が、当時中学生の僕らにはかっこよく見えてしまったのです。

「そいつは通らねえぜ」とか「明日は晴れるかな~」とか、本当ふざけた中学生でした(笑)

それから、野球で高校に入学するのですが、複雑な経緯で“○ニーズ”事務所の公開オーディションに合格してしまい、その模様が全国放送されてしまったのです。この放送を観た野球部の監督は激怒。
放送3分後、すぐに電話がかかってきて、次の日には退学になってしまいました。
今でも、当時の野球部の仲間達には衝撃的だったと言われるくらい、インパクトのある出来事だったんですよ。

親父は、僕が野球を辞める事に相当ショックだったみたいでした。
なんせ、寝込んでしまうという名の、仕事ボイコットが始まるくらいですから(笑)

僕が在籍していた中学の野球チームは、近隣の3つの市内から4番やエースが集められた、エリート的な硬式クラブだったのですが、ちょうど3年連続全国大会出場中の真ん中の世代だったのです。
レギュラーになって卒業した選手は、大体県内の強豪高校に進み、1年生から試合に出たり、主力選手になって甲子園に出たりと本格的なチームでした。
そこで、1番センターでスイッチヒッターとして、野球で県内の強豪私立に入ったのに辞めた訳ですから、少しは衝撃さも伝わると思います(笑)

麻雀ってどことなく野球と似ている部分があると思います。
相手のミスから始まる勢いとか、精神的な部分だとか。

そんな野球少年でしたが、中退したあとは、平日は麻雀で、土日はレッスンやコンサートなどの日々を過ごしていました。そして、その道も引退しまして、18歳から麻雀店のメンバーを7年ほどやりました。
20歳くらいから成績も負けなしになってきて、天狗のまんまプロ麻雀連盟のプロテストを受けたんです。
合格してから、先輩方の理論や戦術の豊富さに、いかに自分が井の中の蛙だったかと知らされました(笑)
それから一度休会したのですが、覚悟を決めて復帰しました。

復帰してからは精力的に活動しました。
プロは知ってもらってなんぼ。自己プロデュースが大事だと、多方面の先輩方に教わり、己をより深く見つめ直し、自分というものを理解して活動してきました。

そんな中、僕にチャンスが訪れました。
野口賞です。
準決勝をギリギリで勝ち上がり、決勝もギリギリで優勝。
麻雀は、体力も大事だと言われますが、この時初めてそのことを理解できました。
集中力の持続があんなに辛いものだとは思いませんでした。

そして野口賞枠からのモンド杯出場。
ここでは、テレビ対局の楽しさと怖さの両方を実感しました。
観戦している側は普通に見える打牌も、『あの場所で』と思いながら観ていると、意味合いが変わってくるくらいの差がありました。

最初は少し雰囲気にのまれましたが、すぐに楽しさに変わって、麻雀プロでいる限り、いつまでもこういった場所で打ちたいという気持ちが強くなっていきました。

麻雀は上手いから勝てるゲームではありません。上手いの定義は人それぞれですが、僕が目指すものは強さです。
強さを目指すのは過酷です。見方によってはひどく映ったり、結果を求められたりします。
それでも自分は、自分が描く強さを目指していきたいです。
そのために、麻雀だけではなく様々な分野で感覚を養い、瞬間瞬間を大事に戦って精進したいと思います。

今回のモンド杯は、諦めない事だけをモットーに戦いましたが、奇跡が起こりまして決勝に進む事ができました!
今回の大会のような、いわゆる格上と言われる方々と戦うのって、凄くワクワクするんですよね。
「負け戦こそ面白い」と、誰かが言っていましたもんね(笑)

こちらも是非観てください!

『傾奇者』

地元の先輩が、あまりに破天荒な道を歩んでいる僕をこう呼ぶのです。
実際に、なかなか経験できないような事ばかりやってきましたが、どの経験も無駄だとは思っていませんし、むしろ麻雀という競技の中で凄く生かせていると自負しています。

こうやって振り返ってみて、僕にも1つだけ自慢できる事があるんです。
それは夢中になれる事です。

野球も麻雀もゴールのない道。
だからこそ、夢中になれるということもありますが、1つ1つ足跡を残せるように精進していきたいものです。
そして、これからも『傾奇者』井出康平をよろしくお願いします!

では、次のバトンは、同期でもあり新女流桜花に輝いた吾妻さおりプロです!
右も左もわからなかった頃は本当にお世話になりました(笑)
よろしくお願いします!

リレーエッセィ/第85回:井出康平

森下剛任プロからバトンを頂きました。
やっと頂きました。
もう一度言わせて頂きます。やっと頂きました。はい!
森下プロとは仲が良いのに、剛任(まさと)と知ったのは今回が始めてでした。
この場を借りて謝りたいと思います。ゴメンね(笑)
では、簡単な自己紹介からさせていただきますね。
1983年5月17日生まれ、牡牛座のO型で、生まれも育ちも千葉県鎌ヶ谷市です。
ただいま、第14回モンド杯出演中の21期生、井出康平でございます。
さて、それではせっかくですので、麻雀との出会いなんかを少し。
ずっと野球少年だった僕が、麻雀を初めて知ったのは中学3年生の秋でした。
部活を引退したあとは帰宅部となる訳ですが、同級生が麻雀牌を持ち出し、暇つぶしにやっていたのがきっかけです。それと同時に、少年マガジンで連載中だった『坊や哲』という阿佐田哲也先生の半生を描いた漫画が、当時中学生の僕らにはかっこよく見えてしまったのです。
「そいつは通らねえぜ」とか「明日は晴れるかな~」とか、本当ふざけた中学生でした(笑)
それから、野球で高校に入学するのですが、複雑な経緯で“○ニーズ”事務所の公開オーディションに合格してしまい、その模様が全国放送されてしまったのです。この放送を観た野球部の監督は激怒。
放送3分後、すぐに電話がかかってきて、次の日には退学になってしまいました。
今でも、当時の野球部の仲間達には衝撃的だったと言われるくらい、インパクトのある出来事だったんですよ。
親父は、僕が野球を辞める事に相当ショックだったみたいでした。
なんせ、寝込んでしまうという名の、仕事ボイコットが始まるくらいですから(笑)
僕が在籍していた中学の野球チームは、近隣の3つの市内から4番やエースが集められた、エリート的な硬式クラブだったのですが、ちょうど3年連続全国大会出場中の真ん中の世代だったのです。
レギュラーになって卒業した選手は、大体県内の強豪高校に進み、1年生から試合に出たり、主力選手になって甲子園に出たりと本格的なチームでした。
そこで、1番センターでスイッチヒッターとして、野球で県内の強豪私立に入ったのに辞めた訳ですから、少しは衝撃さも伝わると思います(笑)
麻雀ってどことなく野球と似ている部分があると思います。
相手のミスから始まる勢いとか、精神的な部分だとか。
そんな野球少年でしたが、中退したあとは、平日は麻雀で、土日はレッスンやコンサートなどの日々を過ごしていました。そして、その道も引退しまして、18歳から麻雀店のメンバーを7年ほどやりました。
20歳くらいから成績も負けなしになってきて、天狗のまんまプロ麻雀連盟のプロテストを受けたんです。
合格してから、先輩方の理論や戦術の豊富さに、いかに自分が井の中の蛙だったかと知らされました(笑)
それから一度休会したのですが、覚悟を決めて復帰しました。
復帰してからは精力的に活動しました。
プロは知ってもらってなんぼ。自己プロデュースが大事だと、多方面の先輩方に教わり、己をより深く見つめ直し、自分というものを理解して活動してきました。
そんな中、僕にチャンスが訪れました。
野口賞です。
準決勝をギリギリで勝ち上がり、決勝もギリギリで優勝。
麻雀は、体力も大事だと言われますが、この時初めてそのことを理解できました。
集中力の持続があんなに辛いものだとは思いませんでした。
そして野口賞枠からのモンド杯出場。
ここでは、テレビ対局の楽しさと怖さの両方を実感しました。
観戦している側は普通に見える打牌も、『あの場所で』と思いながら観ていると、意味合いが変わってくるくらいの差がありました。
最初は少し雰囲気にのまれましたが、すぐに楽しさに変わって、麻雀プロでいる限り、いつまでもこういった場所で打ちたいという気持ちが強くなっていきました。
麻雀は上手いから勝てるゲームではありません。上手いの定義は人それぞれですが、僕が目指すものは強さです。
強さを目指すのは過酷です。見方によってはひどく映ったり、結果を求められたりします。
それでも自分は、自分が描く強さを目指していきたいです。
そのために、麻雀だけではなく様々な分野で感覚を養い、瞬間瞬間を大事に戦って精進したいと思います。
今回のモンド杯は、諦めない事だけをモットーに戦いましたが、奇跡が起こりまして決勝に進む事ができました!
今回の大会のような、いわゆる格上と言われる方々と戦うのって、凄くワクワクするんですよね。
「負け戦こそ面白い」と、誰かが言っていましたもんね(笑)
こちらも是非観てください!
『傾奇者』
地元の先輩が、あまりに破天荒な道を歩んでいる僕をこう呼ぶのです。
実際に、なかなか経験できないような事ばかりやってきましたが、どの経験も無駄だとは思っていませんし、むしろ麻雀という競技の中で凄く生かせていると自負しています。
こうやって振り返ってみて、僕にも1つだけ自慢できる事があるんです。
それは夢中になれる事です。
野球も麻雀もゴールのない道。
だからこそ、夢中になれるということもありますが、1つ1つ足跡を残せるように精進していきたいものです。
そして、これからも『傾奇者』井出康平をよろしくお願いします!
では、次のバトンは、同期でもあり新女流桜花に輝いた吾妻さおりプロです!
右も左もわからなかった頃は本当にお世話になりました(笑)
よろしくお願いします!

第4期グランプリMAX 優勝は前田 直哉! 

3月10日(月)ベスト8A卓決勝進出者決定!灘麻太郎 二階堂瑠美

3月12日(水)ベスト8B卓決勝進出者決定!前田直哉 安村浩司

第4期麻雀グランプリMAX 決勝戦 初日    3月15日(土)15:00~連盟チャンネル放送はこちら

第4期麻雀グランプリMAX 決勝戦 最終日3月16日(日)15:00~連盟チャンネル放送はこちら

日本プロ麻雀連盟チャンネルはこちら!!

連盟インフォメーション/第4期グランプリMAX 優勝は前田 直哉! 

3月10日(月)ベスト8A卓決勝進出者決定!灘麻太郎 二階堂瑠美
3月12日(水)ベスト8B卓決勝進出者決定!前田直哉 安村浩司
第4期麻雀グランプリMAX 決勝戦 初日    3月15日(土)15:00~連盟チャンネル放送はこちら
第4期麻雀グランプリMAX 決勝戦 最終日3月16日(日)15:00~連盟チャンネル放送はこちら
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