第31期鳳凰位決定戦観戦記最終日 前原 雄大
2015年03月11日
いよいよ、最終日を迎えた。
前田と藤崎の点差が、72.9Pである。
この点差は、鳳凰戦の決勝を戦った者ならばわかるが、充分に逆転可能な数字である。
前田、勝又の点差は177.3P。前田、瀬戸熊の点差は204.6Pである。
この2人にとって難しいのは点差もさることながら、2人、ないし、3人を抜くことである。
実質、前田と藤崎の優勝争いとなる。
この前田と藤崎の点差72.9Pも、最終日の初戦の結果次第で大きく変わる。
前田がトップ、藤崎が沈みならば、その時点でほぼ前田の優勝が決まり、が逆に藤崎トップ、前田沈みであれば、戦いは混沌となる。
前田は語っている。
「12戦を終えて、まさかのリードで最終日を迎える。ここまでの1週間プレッシャーは感じない。たまたまリードしているだけで、気持ちは常に挑戦者であるからだろうか?体調には常に気を付けてきた。しかし、3日前、首を寝違えた。当日までには治るかと思ったが当日起きたら逆に寝違えた・・・。寝ている間に何が起こったかはわからないが、こればかりは気を付けようがない!これによりいつものアンテナがフルに稼働してくれるかどうかが少し心配ではある。いつも通りに会場入りしたつもりだが、ここにきて初めてと言ってもいい緊張が押し寄せる。まずはとにかく落ち着こう。いつも通りに戦おう。」
13回戦 (起家から、前田、藤崎、瀬戸熊、勝又)
東1局
前田テンパイするもヤミテン。
勝又がリーチをするも、前田は押すがアガリ逃しがあり撤退と同時に藤崎はドラのでツモアガる。
??ポン??ツモ??ドラ
東2局
前田が早くテンパイするもヤミテン。
??ドラ
そのヤミテンが親の藤崎のリーチを誘発し、オリに回る。
結果、藤崎の5,800点の出アガリ。
前田流自然体と見るか、プレッシャーと見るかは判然としないところではある。
それでも東2局1本場。
前田は5巡目に絶好のカンを引き込み、同巡、藤崎より2,000点は2,300点を出アガる。
??ロン??ドラ
東4局
藤崎10巡目にリーチ
??リーチ??ドラ
そこに、ドラを切ってまでクイタンに走りツモアガる親の勝又。
勝又の捌きが無ければ、藤崎のツモアガリがあったように思う。
最終日であり、もう1つ1つの親番が落とせない勝又。
そのことを良く解っている証のような1局である。
東4局1本場
勝又のリーチに一発でを打ち放す前田。
このは何故打てるのか!
立会人の藤原隆弘も驚いた表情をしていた。
前田は今局を勝負どころの1つだと捉えたのであろう。
それにしても親番の勝又に向かって、なかなか打てないであることには間違いがない。
結果は瀬戸熊から勝又が出アガる。
東4局2本場に関して前田はこう語っている。
「下家の藤崎プロが立て続けに切られたを二鳴きする。ドラはトイツでは無いことは想像出来る。そして5巡目に小考が入る。この時ホンイツを諦めたのだと思った。最終系はドラタンキか?そして6巡目にを切ったが、それをカンチャンで鳴かれる。ちょっとこれは想定外だった。そして七八切り・・・またホンイツへ渡られたか?と思った。そして9巡目に親の勝又プロからリーチが入る。宣言牌は。ほとんど安牌も無いのでを合わせることも出来た・・が、テンパイしたら真っ直ぐに行こうと決めていたので合わせることはやめた。藤崎プロがドラを切ってくる・・・とりあえず安全に切ってきたのか?くらいにしか考えてなかった。そして次巡、をツモってきてマンズが好形になったためを切った。そして藤崎プロに3,900の放銃。見ている人にはどう映っただろうか?きっと甘いんじゃ?と思われたかもしれないが自分としては行くと決めていたので全く後悔は無かった。しかし、自分のアンテナが少しズレているなと感じた局でもあった。」
南2局
前田が三色ドラ1を僅か2巡目にテンパイ。
??ドラ
ターニングポイントは7巡目
??ツモ??ドラ
私は、前田は待ち変えをしないだろうと思っていた。
今局も後から勝又、藤崎に追いつかれ、藤崎がヤミテンでアガリ切り、親番を守り抜いた。
??ロン??ドラ
この時点で73ポイントあった差が、38ポイントとなった。
そして南2局1本場。
勝又の今テン5,200は5,500に前田が飛び込む。
これで僅かその差、29ポイントとなった。
私にはやはり東1局、東2局の前田の構え方が疑問に思えた。
やはり素直にリーチを打っていっても良いように思う。
プレッシャーの成せる業のように思う。
南3局も勝又が軽やかなツモで一発で引きアガる。
??リーチ??ツモ??ドラ
南4局
それでも前田は1人テンパイで3着に浮上する。
13回戦終了後
「これだけアガってもまだこれだけ差があるのか」
藤崎の言葉が印象的だった。
「東1局、東2局の処し方が違うように思える」
審判長である藤原隆弘の言葉であるが、藤原も私と同じように感じていたのである。
13回戦成績
藤崎+21.1P 勝又+12.7P 前田▲14.8P 瀬戸熊▲19.0P
13回戦終了時
前田+96.4P 藤崎+59.4P 勝又▲43.4P 瀬戸熊▲112.4P
14回戦 (起家から、前田、勝又、瀬戸熊、藤崎)
藤崎トップ、前田沈みで、記したように鳳凰位の行方は分からなくなった。
東1局
勝又にテンパイが入るも、瀬戸熊の2,000・3,900のツモアガリ。
当然のように、藤崎の手元には瀬戸熊の現物でありながらも、勝又の当たり牌であるが残り、打ち出されることは無かった。
前田の親被りからの始まりである。
東2局
瀬戸熊に12巡目にまたもリーチが入るも、藤崎はドラを卓上にソッと置き、交戦の構えも勝又の放銃で終わる。
東3局
そして迎えた瀬戸熊の親番。
打して1シャンテンの配牌を得るも、選択が難しくなりそうである。
縦に決めたのは5巡目。
テンパイ一番乗りは勝又。11巡目に瀬戸熊はドラドラ七対子にまとめ上げ、リーチを打つも流局。
東3局1本場
瀬戸熊リャンペーコー含みのタンピンのヤミテンに構えるも流局。
??ドラ
東4局3本場
勝負を決めるべく、親番の藤崎が7巡目リーチ。
??ドラ
そこに勝又も瀬戸熊のロン牌を使い切り、追いかけリーチ。
勝又のアガリで収束を見る。
南1局
親番の前田が700オールをツモアガリ、前田今半荘の初アガリである。
??ツモ
今局に関して前田はこう語っている。
「親番を迎えラス目でかなり苦しい状況。勝負手も入らない。また難しい選択を迫られる。
6巡目
ここにを持ってくる。普通に打てば切りであろうがマンズに全く感触を感じない。よって一応456も見つつでを切った。次巡引いて切り。これが上手くいき、安いながらも700オールを引きアガる。感覚はだいぶ良くなってきていると感じた局であった。」
南1局1本場
藤崎より1巡回してのリーチが入る。
前田に感心するのは、前巡、よく打としなかったことである。(が枯れている)
前田はそれだけ、良く局面が見えているということなのだろう。
ここは勝又がうまく立ち回り、藤崎より出アガる。
今局に関して前田はこう語っている。
「また配牌は苦しい・・まずは七対子を見つつ真っ直ぐ進めていく。そして7巡目には、
ここにを持ってきてメンツ手も見えてきた。しかしは既に2枚切れ。メンツ手にするなら早く落としたいであるが、このトイツ落としが間に合うかどうかずっと考えていた。そして8巡目に上家の藤崎プロがを手出し。これでもう間に合わないと確信した。こうなればもう七対子かを使いきってのメンツ手のみである。そして10巡目に藤崎プロからツモ切りリーチが打たれる。この時待ちはの一点だと感じた。なので自分を信じて無筋の牌をぶつけていく!そして13巡目、を引き入れ四暗刻テンパイ。この時は、まぁ山には無いだろうと思っていたが、、、まぁ結果は実らなかったが、アンテナの感度はかなり良いと感じた局でした。」
南2局
前局はともかく、それほど前田の前に進もうという気持ちが感じられず、瀬戸熊、勝又のメーターが上がっていく。
今局も前田、藤崎ともにテンパイながら、後発の勝又に藤崎が僅か1,000点ながらも飛び込む。
藤崎は追う立場であり、手が入っている分だけ、放銃が続くのは仕方ないことである。
勝又の親を1,300は1,600で前田が落とす。
今半荘2度目のアガリである。
前田としては藤崎より上の着順である限り、残り回数を考えれば、アガリ点は低くとも決して小さなアガリではない。
次局も藤崎の大物手を、500・1,000のアガリで交わす。
藤崎
??ドラ
前田
??ツモ
とにかく藤崎は手が入るのだが、それが実らない。
こういう時間帯が追う側の打ち手にとって一番辛い。
南4局
そしてオーラス、親番の藤崎に手が入り、リーチ。
??リーチ??ドラ
この手が実るかどうかで鳳凰の行方も大きく変わるリーチである。
ツモれば前田をかわし3着に浮上し、前田をラスに押し付けることが出来る。
「ツモ、6,000オール」
おそらく藤崎本人にとっても「ようやく来たか」と思ったに違いない。
このアガリでなんと13ポイントに差し迫ったのである。
南4局1本場
藤崎はドラドラのテンパイから前田に覚悟の8,000は8,300点の放銃である。
これは前田にとっては大きなアガリである。13ポイント差を45ポイント差に広げた。
逆に前田は、藤崎に飛び込めば、藤崎がトータルトップになる1局でもあった。
ここは、勝負処であり、致し方なしである。
藤崎手牌
??ポン??ツモ切り??ドラ
前田手牌
??ポン??チー??チー??ドラ
それにしても勝負の行方を決めるような大きな局であった。
14回戦成績
瀬戸熊+12.5P 勝又+7.4P 前田▲5.5P 藤崎▲14.4P
14回戦終了時
前田+90.9P 藤崎+45.0P 勝又▲36.0P 瀬戸熊▲99.9P
15回戦 (起家から、前田、藤崎、瀬戸熊、勝又)
東1局
瀬戸熊より6巡目リーチが入る。
勝又より安目で出アガる。横移動で終わったことは前田にとってそう悪いアガリではない。
??ロン??ドラ
東2局
勝又よりリーチが入り、2,000・3,900のツモアガリである。
このアガリ、藤崎にとっては痛いアガリである。
それだけ現状では前田に分があるということなのだろう。
南1局
前田の親番で七対子ドラドラのテンパイが入るも、勝又からリーチが入り、手仕舞い。
そして、そこに瀬戸熊が追いかけリーチを打つ。
4人が4人ともそれぞれの立場で戦っているのである。
収束は藤崎の勝又への放銃である。
南2局
藤崎の親で、マンズが押し寄せてくる。
藤崎僅か、6巡目でテンパイ。
??ツモ??ドラ
「6,000オール」の声が力強かった。。
この瞬間に藤崎、前田の点差が一気に10.4ポイントとなる。
南2局1本場。
藤崎を除く3人にテンパイが入る。
そして最後に藤崎がテンパイし、アガリ切る。
これで、2.2ポイント差である。
そして次局、藤崎の親を勝又が藤崎より出アガリ、その差8.8ポイントとする。
―――――藤崎の予感
南3局
13巡目、親の瀬戸熊からリーチが入る。それを前田が14巡目、追いかけリーチを打つ。
そして藤崎がテンパイを 瀬戸熊のロン牌を掴み、ノータイムでオリる。
仕掛けなければ、前田から瀬戸熊への放銃で終局していたが、それにしても藤崎の読みが正確である。
勝又が沈んだことにより、6.1ポイント差となる。
藤崎はこの局に関して、こうコメントしている。
「普段なら間違いなく仕掛けるではあるのだが、今局に関してはの仕掛けをためらったのは、良くない結果が待ち受けている気がしたからである。」
前田はこの局に関して、こうコメントしている。
「ラス目でむかえ苦しい状況。なかなかテンパイも入らずそれでも高打点を目指して手作りする。そして親の瀬戸熊プロからリーチが入る。自分の目からドラのが1枚も見えていない。そして次巡を引いてテンパイが入る。待ちはカンで既に2枚切れ。ドラがだけに山には0枚かあっても1枚であろう・・・。でも高打点にしてぶつけていくのが自分のスタイル。ここで手牌を曲げたら今までの14戦を全て否定してしまいそうな気がした。この時思ったことは、この半荘のラスは受け入れよう。でも勝ちにいく姿勢を見せようと思った。結果は流局。藤崎プロの鳴きで自分が瀬戸熊プロに打つを食い下げていた。今まで藤崎プロの鳴きで何度アガリを阻止されたことだろう・・・そう考えれば1度くらいはいいですよね?」
それにしても、前田のこのリーチはなかなか打てないリーチである。
それだけ肚を括ったリーチである。
南3局1本場
11巡目に親の瀬戸熊よりリーチが入る。
??リーチ??ドラ
13巡目、勝又がドラのを重ね、追いかけリーチを打つ。
??リーチ
テンパイが入っていた前田も藤崎も押す。
今局も全員が戦っているのである。
そして前田はとが振り替わり最終形となり、追いかけリーチを打つ。
??リーチ
高目ので瀬戸熊より8,000点を出アガる。
これでまた35.1ポイントに前田が引き離す。
今局に関して前田はこう語っている。
「11巡目に親の瀬戸熊プロから再びリーチ。そして自分も12巡目にカンを引き入れタンヤオのみだがテンパイを入れる。もう先程の局でラスは覚悟しているからここは押そう。しかし勝又プロからもリーチが入る。そしてツモ…三色にはなった…しかし切らなければならないのはドラ表の。下手すればこれが敗着の一打になるかもしれない…でも戦う姿を見せよう…そう思いながらリーチ!通った。結果はすぐに出た。山に1枚しかなかったが一番先にいてくれた。」
南4局
勝又が藤崎よりピンフを出アガリ、これにより勝又が浮きに回り、その差35.6ポイント。
1本場も藤崎の放銃で2,000は2,300点のアガリである。
南4局2本場
前田12巡目テンパイ
??ツモ??ドラ
そして7,700点は8,300点を勝又から出アガリ、前田はこの半荘トップで迎えるとともに、藤崎の点差を55.2ポイントとする。
15回戦成績
前田+20.4P 藤崎+11.1P 勝又▲10.0P 瀬戸熊▲21.5P
15回戦終了時
前田+111.3P 藤崎+56.1P 勝又▲46.0P 瀬戸熊▲121.4P
前田
「15回戦の最後のおかげでポイント差はある程度ついた。でもそう思い通りにはいかないのは経験上わかっているつもりである。これだけのリードをして最終局を迎えた経験が無いのが自分としての不安材料である。とにかく無駄な失点だけはしないように心がけよう。そして自分の感覚を信じよう。」
最終16回戦 (起家から、藤崎、勝又、瀬戸熊、前田)
南3局2本場
前田はこう語っている。
「そこまで大きな失点も無く迎えた南3局2本場ドラ。6巡目に瀬戸熊プロからリーチが入る。勿論オリを選択する。しかし徐々に手牌がまとまっていき16巡目に4を鳴いてテンパイを入れる。藤崎プロがノーテン気配だったのでオーラスでの条件を厳しくする為の仕掛けである。まぁアガれはしないだろうがアガれたらラッキーくらいの感じだ。しかし鳴いて次巡にドラまたぎの九を持ってくる…この瀬戸熊プロのリーチ、高く無いと感じていた。捨て牌ではない、呼吸というか息遣いからである。持って来た瞬間は通ると思ってはいる…でも万が一これで当たればタダではすまない!自分のアンテナが完璧であるとも言えない。でも自分の感じたまま九を切った。結果流局で済んだが、後から見てこれは実に危ない勝負だったと思っている。リーグ戦なら自分の感じたまま戦えばいい。でも今は鳳凰戦最終局・・テンパイ取るまではいいがオリるのが正解だったように思う。そして長かった4日間もオーラスを迎える。おそらくは最後の一局となるであろう・・」
これにより藤崎の条件は、前田から跳満の直撃、もしくは跳満のツモアガリの条件が残った。
南4局
遂に最終局を迎えた。
藤崎15巡目にリーチを打つ。
??リーチ??ドラ
残り1枚のをツモり上げれば藤崎の優勝、流れれば前田の優勝。
残り1枚のは山深く眠っていた。
前田
「藤崎プロの条件は跳満ツモ。そう簡単には作れないことは知っての通りである。しかし3巡目にドラのを藤崎プロが打ち出す!正直驚いた…ドラを切っての跳満は純チャンかホンイツ、チンイツくらいであろう。しかし染め手ではない…
となると純チャン?でもまだテンパイまでは時間がかかりそうなのは雰囲気から感じた。しかし14巡目に私がを切ったところで藤崎プロが条件を確認しはじめる…一瞬放銃してしまったのかと思ったが、確認後ツモ切りリーチ!残りの藤崎プロのツモは3回。この時思う・・・。この条件をクリア出来る手を最後に作ってくるのはやはり流石だなぁ。そういえば一昨年のA2リーグ最終戦オーラスでも、去年のグランプリベスト16のオーラスでも全く同じ状況だったなぁと。自分も待ちは薄いがのテンパイを入れていた。出れば勿論アガるが、現物以外持ってきたらオリよう。そして運を天に任せよう。これで藤崎プロがツモるなら劇的だし、流局となれば自分の1年間が報われる。結果はどちらも受け入れよう。そして藤崎プロがハイテイ牌を河に置いた・・・。長かった・・・疲れた・・・。喜びよりもまず先にそう思った。」
最終戦成績
藤崎+26.6P 瀬戸熊+5.1P 前田▲11.3P 勝又▲21.4P 供託:1.0
最終トータルポイント
前田+100.0P 藤崎+82.7P 勝又▲67.4P 瀬戸熊▲116.3P
前田
「勝因はなんだったんだろう・・後で考えてみたが展開が味方した部分も大きいし勢いもあったと思う。でも自分の麻雀を少しは見せることが出来たとも思う。甘い部分もまだまだたくさんある。ただ心のコントロール・・これだけはかなり自分でも成長を感じている。鳳凰位のトロフィーは重かった。全てが終われば解放感が訪れるのであろうと思っていた。しかし対局から解放された途端にトロフィーよりも重い責務を感じた。これが鳳凰位か…獲って初めてわかった気がした。」
瀬戸熊
「昔から勝負師として生きて行くなら、『敗軍の将、兵を語らず』と思っていますので、全てが言い訳に聞こえて嫌なのですが、まず僕の麻雀でトップを走れるのはもともと3年が限度と思っていました。もちろん攻撃や基本的なことは、これからも一緒です。今期から追い付かれる前に進歩しなければの想いが強く、いま道の途中であります。ここ数年の麻雀は、強い先輩たちに勝つ為のスタイルであったので、どうしてもプラスアルファが必要となる時期に来ています。前田さん初め、藤崎さん、勝又さんには研究されているのが、良くわかりました。負けをしっかり糧に出来るよう努力しなければの気持ちが持てたのを、財産だと思って、来期以降、まだまだ続く勝負師として精進して行きます。」
藤崎はこう述べている。
「今回の決定戦は素直に完敗でした。完全に力負けだったと思います。最後は前田プロを追い詰める事が出来たのも自分の実力ではなく、勝又プロと瀬戸熊プロの不調による結果だったと思います。昨年鳳凰位をとらせて頂きましたが、ずっと.「自分はタイトルをとるためにプロをやっているわけではない」と後輩達に言ってきました。「現鳳凰位」の足枷が外れたこれからこそが忍者の本分なんだと思います。応援して下さる方々のために少しでも麻雀の楽しさを伝えていければと思っています。」
藤崎に関しては負けて、尚、強しの印象を改めて感じさせられた。
勝又に関しては、2日目が勿体無く感じた。
鳳凰位という頂点に立った前田に思うことは、とにかく崩れない印象を受けた。
それは何処から来るのだろうと考えた時、技術力もさることながら、強い精神力にあることは間違いない所だろう。
胆力と言ってもいい。
その強い胆力が在って技術が活かされたように思う。
今回ほど優勝者予想が割れたのも珍しい。
それは、新しい世代の台頭を意味することである。
初日、藤崎が語った通り、可愛い分だけ、簡単に勝たせてはならない。
瀬戸熊もコメント通り、先を見ている。勝又にしても同じことだろう。
要は切磋琢磨して行かない世界は滅びるということである。
それにしても、質の高い戦いだったように思える。
戦うべき相手は相手ではなく、自分自身であり、視聴者の方々である。
前田鳳凰位おめでとうございます。さらなる高見を目指して頂きたい。
最後になりましたが、度重なるインタビューに応えてくださった4名の方達には心より御礼申し上げる。
カテゴリ:プロリーグ(鳳凰戦)決勝観戦記