第14期プロクイーン決定戦一次予選レポート 東谷達矢
麻雀の普及に貢献したい、誰よりも強くなりたい、麻雀の楽しさや魅力をたくさんの人に伝えたい、麻雀プロとしての目標は何かと問えば様々な回答が返ってくるが、それらよりも前に誰もがまず第一に口にする目標が”タイトルを獲りたい”である。競技プロの本懐はタイトルを獲ること。それは他の競技と何ら変わりない。タイトルに価値があるからこそ、競技者は日々技を磨き、情熱を注ぐ。そしてそこに観るものは魅了される。
プロクイーンは女流プロにのみ参加資格が与えられるタイトル戦だ。他団体から、そして地方からも多くの参加者が集い、今年度も一次予選だけで73名のプレーヤーが会場入りした。ここから、昨年の優勝者である童瞳が待つ決勝の椅子をめぐる戦いが始まる。果たして各団体が誇るトッププロがそこへと至るのか、それともシンデレラストーリーを歩むべく新たなヒロインが誕生するのか、激戦必至の予選会が幕を開けた。
ルールは一発、裏ドラありの日本プロ麻雀連盟Bルール。そして一次予選は、5回戦終了時に上位4名が6回戦免除で一次予選通過、6回戦終了時に通過者を除く上位21名が二次予選へと進むことができるシステムだ。また、4回戦、5回戦終了時にそれぞれ、下位者一定数が途中敗退となる。
約三分の一が勝ち上がれることを考えると、前半早々に勝負をかけアドバンテージを得にいくのか、大きな失点を回避する為にリスクを極力抑え、最終6回戦に照準を定めるのかは人によって分かれるところだろう。だが、5回戦終了時、トータル上位に入った4名はそんな作戦は必要ないとばかりに安定感抜群で勝ち上がりを決めた。
1位 元島明子(最高位戦)
2位 福島清子
3位 白田みお(RMU)
4位 土田小緒里
元島は唯一トップを4回取り他を圧倒した。福島は地方からの参戦者で、一戦一戦にかける思いを力に昇華させ通過。白田は初参戦ながら、RMU女流リーグを制した力をここでも発揮。そして土田は3回戦に90,000点を越えるトップを取るなど爆発力を見せた。4者いずれも100Pを越える文句なしの成績で、二次予選での活躍も期待させられる。
一方で、麻雀格闘倶楽部で活躍中の松岡千晶、石田亜沙巳、蒼井ゆりか、ジェンらを含む17名が5回戦までで途中敗退となり涙を呑んだ。
そして最終6回戦に残ったのは52名。この中から21名が二次予選に進出できる。6回戦開始時点のボーダーが+14.3P。各者これを超えるポイントで着地したいところだろう。各卓ごとに紹介していきたい。
1卓(池沢+94.6P、月江+7.6P、北野+7.5P、松田▲47.3P) ※括弧内は6回戦開始時のトータルポイント
第13回野口恭一郎賞を受賞し、モンド杯出場者の池沢真奈美は、定評のある実力を如何なく発揮し既に二次予選進出をほぼ手中に収めていた。池沢はきっちりポイントを守り通過。そして、70,000点を超えるトップで勝ち上がりを決めたのは北野由実だった。
2卓(黄河+81.5P、足木+8.6P、水瀬(夏)+2.8P、菅原▲41.1P)
勝負所を模索しているように東場はほとんど点数の動きが無かった。そして、勝ち上がりを決める対決となったのは南1局。協会の水瀬夏海のリーチに敢然と立ち向かったのは、親番の最高位戦、足木優。足木はドラ2枚持ちの両面待ちテンパイから、更にドラを持ってきて長考。しかし待ちを変えては勝ち目が無いと思ってかドラを押し通し、この局を制した。そのまま協会の黄河のんと共に一次予選を通過した。
最強戦ファイナルへの切符を手にしている菅原千瑛は、最後まで生き残りを目指し、国士無双のテンパイまでこぎつけるも、成就せず。ここで敗退となった。
3卓(山脇+74.0、北條+9.2P、吉田(葵)+1.9P、古谷▲40.6P)
苦しみながらも6回戦まで進出した古谷知美がここで奮起。トップを取るも、ボーダーまでは届かずここで敗退。一方、終始安定した成績を収めた山脇千文美は余裕の通過。
4卓(稲岡+64.3P、渡辺+10.2P、水瀬(千)+1.5P、西川▲20.1P)
関西から参戦の稲岡ミカが更にポイントを上乗せするトップで、他3者の浮上を阻止。この卓唯一の勝ち上がりとなった。
5卓(東城+58.8P、浅見+11.7P、内山+0.1P、平岡▲20.1P)
平岡理恵がトップ、そして最高位戦の浅見真紀が2着で終わるも、ボーダーが上がり両者とも通過できず。一方、東城りおは4回戦で積み上げたポイントがここで活きた。ラスを押しつけられるもなんとか踏みとどまり、二次予選に進出した。
6卓(小笠原+54.4P、中川+14.3P、川原▲0.4P、楠原▲27.2P)
川原舞子はトップを取り、小笠原奈央がラスになった。トータルポイントが川原+26.6P、小笠原が+27.8Pと肉薄。しかし、小笠原のポイントが一予選通過のボーダーとなった為、川原が敗退しこの卓の通過者は小笠原1人となった。中川由佳梨は東場で40,000点を超える点数を持っていた所からの3着転落となっただけに、悔しい敗退となってしまった。
7卓(赤司+53.2P、朝倉+17.5P、天音▲0.9P、小池▲25.5P)
協会の朝倉ゆかりが50,000点を超えるトップ、そして赤司美奈子が2着と2人で危なげなく通過。
8卓(中野+44.4P、内田+17.6P、小宮山▲4.1P、井上(絵)▲24.6P)
70,000点トップを取るということは何半荘か猶予があれば達成できないこともない。だが、最終戦の追い詰められた状況で、狙って達成するというのはかなり厳しいものだ。運もさることながら、限られた勝負所を嗅ぎ分ける嗅覚が必要となるが、井上絵美子の勝ちたい思いがそれらを引き寄せた。また、中野妙子も暴風雨に巻き込まれずしっかりとポイントを守りきり、一次予選通過を勝ち取った。
9卓(青山+42.0P、西嶋+22.4P、大野▲0.5P、美波▲21.3P)
マイナスすることができない西嶋ゆかりであったが、終わってみれば50,000点を超えるトップ。また、マイナスしながらも青山めぐみは踏みとどまった。
10卓(冨本+41.7P、寺西+33.1P、中山▲7.0P、渋谷▲18.0P)
上位陣と下位陣でポイントが離れているこの卓では、協会の冨本智美、そして最高位戦の寺西真美がそつのない戦いぶりで勝ち上がりを決めた。
一方、中山奈々美はここで惜しくも敗退となってしまった。
11卓(吉田+41.1P、白銀+25.0P、夏目▲7.3P、水越▲16.0P)
水越京子が60,000点に迫る勢いでポイントを積み上げていく中、追い詰められたのは吉田彩乃と白銀紗希。なんとか2着を確保しようとデッドヒ-トを繰り広げ、戦いを制したのは吉田だった。一方、一気にプラスとなった水越はボーダーにわずか0.4P足りずに敗退。悔しい結果となった。
12卓(斎藤+39.4P、桜川+35.4P、手塚▲8.5P、小谷▲16.0P)
齋藤麻衣子、桜川姫子がポイントを上乗せし、磐石のポイントで着地。
一方、決勝進出経験のある手塚紗掬は、ここで惜しくも敗退となってしまった。
13卓(小島+38.4P、草場+38.3P、京杜▲11.9P、河野▲14.3P)
麻将連合の草場とも子がトップで悠々と通過を決めた。そして小島優も、ポイントをボーダー付近まで削られたが、なんとか守りきり通過を決めた。
以上、計25名が二次予選に進出することとなった。
二次予選からはタイトルホルダーや歴代プロクイーン達が待ち構えており、更に激戦となるだろう。
誰がベスト16への切符を手にすることになるのか、目の離せない戦いがまだまだ続く。