麻雀日本シリーズ 成績表/女流プロ麻雀日本シリーズ2017 プレーオフ成績表

システム
■予選全20回戦(各自8回対局)を行いポイント上位8名がプレーオフ進出
■プレーオフ全4回戦(各自2回対局)ポイントを持ち越し上位4名が決勝進出
■決勝全4回戦
プレーオフ成績

順位 名前 予選合計 プレーオフ1回戦 プレーオフ2回戦 合計
1 仲田加南(女流桜花) 84.1 54.5 ▲ 17.3 121.3
2 朝倉ゆかり(女流雀王) 44.2 16.5 23.0 83.7
3 宮内 こずえ(プロクイーン) 15.8 ▲ 13.1 66.7 69.4
4 二階堂 亜樹(女流モンド杯優勝) 16.6 29.4 11.3 57.3
5 魚谷 侑未(モンド王座優勝) ▲ 2.7 ▲ 4.1 ▲ 10.8 ▲ 17.6
6 和泉由希子(連盟会長推薦) 25.4 ▲ 32.8 ▲ 23.5 ▲ 30.9
7 高宮 まり(前年度優勝) 19.1 ▲ 16.7 ▲ 43.4 ▲ 41.0
8 大平 亜季(女流最高位) 17.3 ▲ 34.7 ▲ 6.0 ▲ 43.4

※ペナルティ込み
予選成績

順位 名前 1回戦 2回戦 3回戦 4回戦 5回戦 6回戦 7回戦 8回戦 合計
1 仲田加南(女流桜花) ▲ 10.0 45.9 ▲ 25.5 11.4 6.9 24.4 41.4 ▲ 10.4 84.1
2 朝倉ゆかり(女流雀王) 7.0 5.8 ▲ 12.6 ▲ 9.4 8.8 8.8 25.3 10.5 44.2
3 和泉由希子(連盟会長推薦) ▲ 40.9 80.9 29.1 ▲ 27.1 ▲ 28.9 ▲ 23.9 31.2 5.0 25.4
4 高宮 まり(前年度優勝) ▲ 20.2 11.5 ▲ 11.9 6.9 28.4 ▲ 18.4 ▲ 7.7 30.5 19.1
5 大平 亜季(女流最高位) 23.2 7.9 46.2 48.5 ▲ 28.4 ▲ 35.8 ▲ 14.7 ▲ 29.6 17.3
6 二階堂 亜樹(女流モンド杯優勝) 24.5 ▲ 2.2 ▲ 2.9 26.3 ▲ 26.5 3.6 4.1 ▲ 10.3 16.6
7 宮内 こずえ(プロクイーン) ▲ 9.1 ▲ 47.1 23.2 ▲ 15.1 ▲ 13.3 38.7 7.8 30.7 15.8
8 魚谷 侑未(モンド王座優勝) 12.5 0.8 4.4 14.2 ▲ 43.7 7.1 22.6 ▲ 20.6 ▲ 2.7
9 和久津 晶(連盟会長推薦) 37.5 ▲ 8.0 ▲ 23.7 ▲ 30.5 ▲ 4.8 ▲ 21.2 ▲ 19.3 ▲ 20.6 ▲ 90.6
10 大崎初音(ファン投票1位) ▲ 93.2 ▲ 4.6 24.2 ▲ 6.7 15.5 ▲ 33.8 ▲ 7.4 ▲ 25.2 ▲ 131.2

女流プロ麻雀日本シリーズ2017 予選最終節節レポート 楠原 遊

女流プロ麻雀日本シリーズ、予選第4節が行われた。
3節までの成績は以下の通り。

1位 大平亜季 +61.6P (6/8)
2位 仲田加南 +53.1P (6/8)
3位 朝倉ゆかり +33.7P (7/8)
4位 二階堂亜樹 +22.8P (6/8)
5位 和泉由希子 ▲10.8P (6/8)
6位 高宮まり ▲11.4P (7/8)
7位 魚谷侑未 ▲11.8P (5/8)
8位 宮内こずえ ▲22.7P(6/8)
9位 和久津晶 ▲50.7P(6/8)
10位 大崎初音 ▲64.8P(5/8)

※()内は予選半荘消化数
※予選全20回戦(各自8回対局)を行いポイント上位8名がプレーオフ進出
※プレーオフ全4回戦(各自2回対局)ポイントを持ち越し上位4名が決勝進出
※ルールに関してはこちら→女流プロ麻雀日本シリーズ2017第1節レポート

ついに予選も最終節となり、各自8回の規定半荘のうち、残り1~3回となった選手たち。
現在のプレーオフ進出ボーダーは8位の宮内の持つ▲22.7P。
9・10位の和久津・大崎も少し離されているとはいえまだまだ勝ち残りの可能性は多いにある。
一方、上位の選手も、ポイント持ち越しのプレーオフに向け、ポイントを稼いでおきたい場面だ。
そして難しいのは中位の選手たち。ポイントが拮抗しているため、着順の変動で上位にも下位にも簡単にいってしまう。判断の難しい局面での選択が、プレーオフ進出に大きな影響を与えてしまうのは間違いないだろう。
各自、それぞれのテーマを背負った予選最終日が今、はじまろうとしている。

 

 

16回戦 仲田+53.1(6/8) 魚谷▲11.8(5/8) 大崎▲64.8(5/8) 大平+61.6(6/8) ※()内は消化済み半荘数

■2位仲田VS7位魚谷VS10位大崎VS1位大平

最終日初戦は、ポイントで頭ひとつ抜けた1位2位の大平・仲田、ボーダーのひとつ上7位の魚谷、そして、あと3半荘を残してはいるもののここで何としてでもポイントが欲しい10位大崎との対戦となった。

東1局1本場

親の仲田が2,900をアガってむかえた1本場。
親の仲田が発を仕掛けてこの形。

 

100

 

ここからまっすぐドラを切り出し、それを南家・魚谷がチーしてドラドラの1シャンテンとなる。

五万六万一索三索三索六索六索六筒七筒八筒  チー六筒 左向き五筒 上向き七筒 上向き  ドラ六筒

しかし仲田もすぐに二万をポンしてテンパイ、

一万一万一万四万五万東東   カン発発発発  ポン二万 左向き二万 上向き二万 上向き  ドラ六筒八筒

ドラ3テンパイとなった魚谷がすぐに三万をツモ切り9,600は9,900。
プレーオフの先にある決勝に向けて、仲田が先頭を切って走り出した。
東2局3本場 供託1

 

100

 

5巡目、西家・大平の手がこの形。ここから、1枚切れの西、生牌の東を残し打四索
そして次巡ツモ四万で、続けて四索を切る。

そこに親の魚谷からリーチ。

一索二索三索九索九索九索三筒三筒五筒六筒八筒八筒八筒  リーチ  ドラ二索

そして同巡、大平にもテンパイが入る。

二万三万三万四万四万五万六万七万東南南南西  ツモ五万

西を切って東単騎のメンホンテンパイをヤミテンとする。
5巡目に二万をツモった段階で字牌を切っていると、この五万は一発ツモのアガリ牌となっていた。

暫定1位、決勝を見据えてここはスピードよりも打点を意識した手作りを見せた大平だったが、ここは魚谷が裏ドラとなる七筒を一発でツモって4,000オール。
東1局での放銃を取り返すような大きなアガリをものにした。

その後も仲田・魚谷のアガリ合戦が続き、苦しくなったのは大平・大崎。
テンパイするもののなかなかアガれない大平と、手に恵まれずテンパイすらなかなか叶わない大平。
■南4局 仲田57.400 魚谷37,600 大崎18,700 大平6,300

またしても西家・仲田が先制リーチ。

一万二万三万二索三索四索一筒一筒一筒六筒七筒北北  リーチ  ドラ北

北家・大崎も同巡に追いかけリーチ。

五万六万五索五索五索二筒三筒四筒七筒八筒九筒中中  リーチ

そしてその一発目に親の大平もテンパイ、3件目のリーチ棒を卓に置く。

二万三万四万六万七万七索七索三筒四筒四筒五筒五筒六筒  リーチ

大きな山場となったオーラスだが、すぐに大崎が五を掴み、大平にメンタンピン裏裏の12,000の放銃。
ここまでなかなか結果に結び付かずにラス目となっていた大平にとっては嬉しいアガリに、この半荘で最も勝ちたかった大崎には、残り2回の半荘の条件がより厳しく突きつけられた1局となった。

オーラス1本場は、これ以上失点出来ない大崎が、魚谷から2,600は2,900をアガリ、苦しかったこの16回戦を終わらせた。

16回戦結果 
仲田+41.7P(7/8) 魚谷+7.1P(7/8) 大平▲14.7P(7/8) 大崎▲33.8P(6/8)

トータル 
仲田+94.5P 魚谷▲4.7P 大平46.9P 大崎▲98.6P

 

 

17回戦 大崎▲98.6P(6/8) 亜樹+22.8P(6/8) 魚谷▲4.7P(7/8) 和久津▲50.7P(6/8)

■10位大崎VS4位亜樹VS5位魚谷VS9位和久津

現在のプレーオフ進出ボーダーは8位宮内の▲22.7P。下位の大崎・和久津はそのポイントを目指しつつ、5位魚谷・4位亜樹のポイントを削ってきたいところだ。

東1局

8巡目、最初にテンパイしたのは北家・和久津。

五万六万七万五索六索七索二筒二筒四筒六筒六筒七筒八筒  ドラ四万

タンピン三色やドラの手変わりが多い手牌をヤミテンとする。
そこに次巡、南家の亜樹が先制リーチ。

二索二索四索五索六索一筒三筒四筒五筒六筒七筒八筒九筒  リーチ

しかしここでひけない親の大崎もドラを切って追っ掛ける。

二万二万四万五万六万七万八万九万三索四索五索二筒三筒  リーチ

2件リーチとなるも和久津、ドラを引き入れ、ヤミテンで押していく。
3人の勝負となったが、アガったのは大崎。ツモ四筒に裏ドラが乗り嬉しい4,000オールとなった。

東1局1本場

満貫のツモアガリで、このまま二の矢、三の矢を継ぎたい大崎。
そこに南家・魚谷が、一通の高目の牌を引いて6巡目リーチ。

二万三万一索二索三索四索五索六索七索八索九索八筒八筒  リーチ  ドラ東

ここに連荘したい大崎が1シャンテンから飛び込み8,000は8,300。
ポイント条件を考えての苦しい放銃となってしまった。

■一方、9位の和久津

南4局

各者の点数状況と3巡目の和久津の手はこちら。

 

100

 

ここまで、丁寧に打ち加点を続けたトップ目の魚谷、そこにどうしてもトップの欲しい10位大崎と9位和久津。
ラス目の亜樹も跳満ツモ、もしくはリーチ棒が出ての満貫ツモで2着も見える位置。

親の和久津の手はこの巡目で4シャンテンと厳しいが、ここから続けざまに仕掛けて11巡目にこのテンパイ。

五万五万四筒五筒  ポン南南南  ポン一万 上向き一万 上向き一万 上向き  ポン六索 上向き六索 上向き六索 上向き  ドラ五万

テンパイしてすぐに六筒をツモり見事な2,600オールを決め、トップ目に立つ。

南4局1本場

7巡目、西家・亜樹がテンパイ。

 

100

 

この半荘、ここまでの間、厳しい位置に立たされていた亜樹だが、ここで迷いなくリーチ。
その宣言牌の八万をポンした和久津がこの形。

二索二索五索六索七索二筒三筒  ポン東東東  ポン八万 上向き八万 上向き八万 上向き  ドラ北

点棒状況的にも、プレーヤーのタイプ的にも、決して打点が安くないであろう亜樹のリーチ、しかし受けた和久津もトップ目ではあるがツモられてしまうと魚谷にまくられてしまう上に、より一層の加点が欲しい状況。
1,500は1,800のテンパイだが、ここは無筋の牌を押していく。
大崎・魚谷が一歩引き、2人のぶつかり合いとなった。
そして4巡後、勝負の決着がつく。

二万三万五万六万七万三筒四筒五筒北北発発発  ロン四万  ドラ北  裏北 

亜樹がリーチ・発・ドラ4の12,000は12,300を和久津から直撃。
亜樹は2着に浮上、そして和久津は勝負した結果ではあるがトップ目から4着への着落ち。
17回戦は、大崎・和久津ともにここまでのポイントゆえ、振りで厳しい戦いを強いられた半荘となってしまった。

17回戦結果 
魚谷+22.6P(7/8) 亜樹+4.1P(7/8) 大崎▲7.4P(7/8) 和久津▲19.3P(7/8)

トータル 
魚谷+17.9P 亜樹+26.9P 大崎▲106.0P 和久津▲70.0P

 

 

18回戦 宮内▲22.7P(6/8) 和泉▲10.8(6/8) 大平+46.9P(7/8) 仲田+94.5P(7/8)

■8位宮内VS6位和泉VS2位大平VS1位仲田

18回戦は、プレーオフ進出ボーダーの宮内、そこから10ポイント差の和泉、そしてこれが最終戦となった1位仲田、2位大平の戦いとなった。
8位の宮内は9位の和久津と約50ポイント差あるとはいえ、この後には直接対決が控えている。ここで浮いておけば、最終戦での戦い方がぐっと楽になる。

東3局3本場

ここまで、和泉が強い麻雀を打っている。
東1局にホンイツの2,000・4,000をアガると、東2局では2,600オール、その1本場では宮内のリーチにぎりぎりまで押すもテンパイせず流局となるが、加点に対するしっかりとした意思を見せた。そしてその合間を縫うように東3局2本場では大平が宮内から2,900は3,500のアガリ。
宮内は現在、20,900点持ちのラス目と苦しい立場に立たされている。

6巡目、そんな西家の宮内がここで先行テンパイ。

 

100

 

巡目の早い、ドラが3枚の役ありリャンメンテンパイで、四万七万は生牌。宮内の雀風からしてリーチもあるかと思われたが、ここは静かにヤミテンを選択。
3巡後にテンパイした和泉のリーチ宣言牌四万を捕えて8,000は8,900のアガリ。
ここまでの状況を鑑みた丁寧なヤミテンで、冷静に局を進めていく。

■WRCルールの役満パオ

南2局1本場

中をポンしている西家の仲田が、今度は白をポンして1枚切るところ。

四万六万七万七万八万六筒七筒発  ポン中中中  ポン白白白  ドラ三筒

ちょうど前巡に1枚目の発を切られたばかりだったが、ここで仲田が選択したのは七万
四万へのくっつきのホンイツ役役と、三元役を逃さない選択だ。
ポイント上でも余裕があるので、四万を引いたら発を切って五筒八筒のテンパイは取る手組みである。

そこに、南家・大平もダブ南を鳴いて参戦していく。

五万六万七万七索七索三筒四筒五筒六筒八筒  ポン南南南

するとその鳴きで、仲田に発が流れる。

六万七万八万六筒七筒発発  ポン中中中  ポン白白白

そしてテンパイしている大平に最後の発が流れ、ツモ切りされたものをポン。単騎の選択で切った七筒が大平に捕まり、3,900は4,200の放銃となった。

ところで、大平の所属する最高位戦日本プロ麻雀協会ルールには役満のパオは存在しないが、このWRCルールには役満パオが存在する。このテンパイから六筒を切ると、大三元のツモアガリは大平の一人払いとなっていた。
しっかりと間合いを測り、紙一重のところでしっかりとアガリ切った大平の打ち筋が光った局となった。

南3局

6巡目、親の大平の先行リーチ。

二万三万四万五索六索七索八索九索五筒六筒七筒八筒八筒  リーチ  ドラ六万

これをうけて南家・仲田がこの形。

六万六万七万八万東東東  チー三万 左向き二万 上向き四万 上向き  ポン発発発

ここはしっかりと攻め切って、大平から8,000は8,300を討ちとった。
オーラスは、北家の大平がドラ3のリーチをかけるも流局し、アガリ回数で他を圧倒した和泉のトップで半荘が終わった。

18回戦結果
和泉+31.2P 宮内+7.8P 仲田▲10.4P 大平▲29.6P

トータル 
和泉+20.4P(7/8) 宮内▲14.9P(7/8)  仲田+84.1P(8/8) 大平+17.3P(8/8)

 

 

19回戦 和久津▲70.7P(7/8) 朝倉+33.7P(7/8) 魚谷+17.9P(7/8) 宮内▲14.9P(7/8)

■9位VS2位朝倉VS5位魚谷VS8位宮内

それぞれの選手にとって予選最終戦となるこの半荘。プレーオフボーダーを賭けた8位の宮内と9位の和久津の直接対決にも注目が集まる。

東4局

前局、和久津が魚谷から8,000は8,900をアガリ、現状和久津トップ目、宮内ラス目で迎えた東4局。
親の宮内がテンパイ。

二万二万二万六万七万七索七索八索三筒四筒五筒白白  ツモ八万  ドラ白

ここからノータイムで八索を切ってシャンポンリーチに踏み切った。

 

100

 

残り2回の親番、ドラドラのリャンメンテンパイに取りたくなるが、場を見ると、六索が1枚切れ、九索が3枚切れ。
ここは冷静に場を見て待ち選択をした宮内、六索九索をツモる前に自ら七索を引いて、見事な4,000オールを決めた。

■和久津、最後の親番

南1局2本場

東4局の親番で、いとも簡単にラス目からトップ目までのぼりつめた宮内。一方、それを追う立場の和久津には厳しい条件が押し付けられた。
この親番は落とせない。

7巡目、はじめにテンパイしたのは西家・魚谷。

一万一万七万七万八万八万一索五索五索一筒一筒中中  ドラ四索

そして南家・朝倉も自身から見える3枚目のドラを、和久津からチーしていく。

三万五万五万六万七万四索四索五筒六筒九筒  チー四索 左向き三索 上向き五索 上向き

これを見た魚谷は一索単騎でツモ切りリーチ。ドラ筋で、和久津の第一打の牌に、勝負を賭けた。
そして朝倉も負けじと、上の牌姿から六万をカンチャンでチー。
シャンテン数が変わらない好形変化の喰い伸ばしチーだが、朝倉のこのような仕掛けはこのシリーズ始まって以来初めてのものだ。

そして11巡目、親の和久津もようやくテンパイ。

二万二万六万七万八万四索五索六索二筒三筒六筒七筒八筒

この手でリーチ。そして朝倉も七筒を引いてテンパイ、無筋の牌を押していく。
和久津にとっても、魚谷にとっても、朝倉にとっても引けない戦いとなったが、ここは和久津が四万をつかみ朝倉に8,000は8,600の放銃。
最後まで果敢に戦った和久津だったが、ここにきて事実上の戦線離脱となってしまった。

その後も的確にアガリを拾い続けた宮内がトップ、攻めの姿勢を崩さなかった朝倉が2着で19回戦を終えた。

19回戦結果
宮内+30.7P 朝倉+10.5P 魚谷▲20.6P 和久津▲20.6P

トータル 
宮内+15.8P(8/8)  朝倉+44.2P(8/8) 魚谷▲2.7P(8/8) 和久津▲90.6P(8/8)

 

 

20回戦 和泉+20.4P(7/8) 高宮▲11.4P(7/8) 大崎▲106.0P(7/8) 亜樹+26.9P(7/8)

■4位和泉VS8位高宮VS10位大崎VS3位亜樹

4節、全20戦に及ぶ予選もこの半荘が最終戦。
19回戦でトップを取った宮内に代わり、プレーオフ進出ボーダーの8位に立った高宮が今回、大崎のターゲットとなる。
高宮と大崎の現在のポイント差は117.4P。高い壁だが、やる前から諦めるような打ち手がファンに選ばれる筈もない。
決勝ボーダー上にいる亜樹・和泉と、プレーオフ敗退を賭けた大崎、それぞれの戦いの行く末を見ていきたい。

東1局

8巡目、北家・亜樹にテンパイが入る。

六万六万六万八万一索二索三索三索五索五筒六筒七筒東  ツモ四索  ドラ東

ここから八万を切ってドラ単騎のリーチ。七万八万も生牌だが、ここはドラを切らない選択をした。
その後、東は各者に1枚ずつ流れ、流局かと思われたが、12巡目、南家の高宮にもテンパイが入る。

七万七万七万三索四索五索五索五索六索二筒三筒四筒東  ツモ七索

こちらもドラの東単騎か多面張の選択となったが、高宮が選択したのはより広く受け攻める東切りリーチ。
亜樹にリーチ・ドラドラの5.200の放銃となってしまったが、高宮の攻めの姿勢が垣間見えた興味深い局となった。

東2局

8巡目テンパイを入れたのは北家・和泉。

一筒三筒三筒四筒五筒七筒八筒九筒西西  ポン白白白  ドラ七索

そして11巡目、西家・亜樹もテンパイ、リーチ。

五万六万六万七万七万八万五索六索四筒五筒六筒発発  リーチ

すぐに親の高宮のテンパイ。

七万七万四索五索六索七索八索九索五筒六筒七筒東東

ダブ東七万のシャンポン待ちで追いかけリーチとする。
手がぶつかる展開となったが、勝負はすぐに決着した。
亜樹が高目の東を一発で掴み、高宮にリーチ・一発・ダブ東・表1裏3の24,000放銃。東1局とは全く別の形での東のアガリとなった。

南3局

大崎が最後の親番でリーチ。

 

100

 

同巡に、北家・高宮もトップ目から追いかけリーチ。

 

100

 

役ありで大崎の現物待ちだが、ここも広い形で強くぶつけていく。
大崎、高宮、2人のツモる指先に力がこもるが、軍配は高宮に挙がる。一筒をツモってリーチ・ツモ・ピンフ・ドラの1,300・2,600のアガリ。
ここで親が落ちた大崎の予選敗退がほぼ決まる。

南4局1本場

9巡目、ラス目の親・亜樹から先制リーチ。

一索二索四索五索六索七索七索七索八索九索五筒五筒五筒  リーチ  ドラ二索

これを受け14巡目、2着目満貫出アガリトップの和泉の手がこちら。

四万四万五万五万六万二索五索六索三筒三筒四筒五筒六筒  ツモ四索

トップを目指す条件を満たした手となったが、ラス目の親にドラを勝負せず三筒を外していく。
しかし無情にも、同巡の亜樹のツモは六万。ドラを勝負出来ていたらのたらればになってしまうが、すぐにその結果が見えてしまう結果となった。
その六万をチーして、ドラ単騎のテンパイを取り直すも、この局は2人テンパイで流局。開かれた亜樹の手を見た和泉は何を思ったか。
ここはヤミテンにせずリーチをかけた亜樹の作戦勝ちとなった局となった。

オーラス2本場は、亜樹が和泉から12,000は12,300の直撃、3本場にようやく和泉が400・700は700・1,000をツモり予選最終半荘を終わらせる。

20回戦結果
高宮+30.7P 和泉+5.0P 亜樹▲10.3P 大崎▲25.2P

トータル 
高宮+19.1P(8/8) 和泉+25.4P(8/8) 亜樹+16.6P(8/8) 大崎▲131.2P(8/8)

以上で女流プロ麻雀日本シリーズの予選20回戦が全て終了した。
結果は以下の通り

システム

■予選全20回戦(各自8回対局)を行いポイント上位8名がプレーオフ進出
■プレーオフ全4回戦(各自2回対局)ポイントを持ち越し上位4名が決勝進出
■決勝全4回戦

予選成績

順位 名前 1回戦 2回戦 3回戦 4回戦 5回戦 6回戦 7回戦 8回戦 合計
1 仲田加南(女流桜花) ▲ 10.0 45.9 ▲ 25.5 11.4 6.9 24.4 41.4 ▲ 10.4 84.1
2 朝倉ゆかり(女流雀王) 7.0 5.8 ▲ 12.6 ▲ 9.4 8.8 8.8 25.3 10.5 44.2
3 和泉由希子(連盟会長推薦) ▲ 40.9 80.9 29.1 ▲ 27.1 ▲ 28.9 ▲ 23.9 31.2 5.0 25.4
4 高宮 まり(前年度優勝) ▲ 20.2 11.5 ▲ 11.9 6.9 28.4 ▲ 18.4 ▲ 7.7 30.5 19.1
5 大平 亜季(女流最高位) 23.2 7.9 46.2 48.5 ▲ 28.4 ▲ 35.8 ▲ 14.7 ▲ 29.6 17.3
6 二階堂 亜樹(女流モンド杯優勝) 24.5 ▲ 2.2 ▲ 2.9 26.3 ▲ 26.5 3.6 4.1 ▲ 10.3 16.6
7 宮内 こずえ(プロクイーン) ▲ 9.1 ▲ 47.1 23.2 ▲ 15.1 ▲ 13.3 38.7 7.8 30.7 15.8
8 魚谷 侑未(モンド王座優勝) 12.5 0.8 4.4 14.2 ▲ 43.7 7.1 22.6 ▲ 20.6 ▲ 2.7
9 和久津 晶(連盟会長推薦) 37.5 ▲ 8.0 ▲ 23.7 ▲ 30.5 ▲ 4.8 ▲ 21.2 ▲ 19.3 ▲ 20.6 ▲ 90.6
10 大崎初音(ファン投票1位) ▲ 93.2 ▲ 4.6 24.2 ▲ 6.7 15.5 ▲ 33.8 ▲ 7.4 ▲ 25.2 ▲ 131.2

序盤から展開に苦しんだ和久津・大崎が、その条件ゆえの難しい押し引きにまた苦しみ、予選敗退となった。
特に、初戦の東1局に48,000を放銃した大崎は、常に厳しい選択の上での麻雀を強いられていたことだろう。

一方、プレーオフ進出した選手たちにもまだまだ、厳しい戦いが待っている。
ポイントが拮抗しているため、各自2回のプレーオフでまだまだ誰が決勝に残るのか分からない。
女流プロ日本一を決める戦いを、楽しみにして頂きたい。

プレーオフ日程
2017年3月8日17:00~

1回戦:仲田加南vs高宮まりvs大平亜季vs魚谷侑未
2回戦:朝倉ゆかりvs和泉由希子vs二階堂亜樹vs宮内こずえ
3回戦:1位vs4位vs5位vs8位
4回戦:2位vs3位vs6位vs7位

実況:古橋崇志
解説:藤崎智(現十段位)・前田直哉

麻雀日本シリーズ/女流プロ麻雀日本シリーズ2017 予選最終節節レポート 楠原 遊

女流プロ麻雀日本シリーズ、予選第4節が行われた。
3節までの成績は以下の通り。
1位 大平亜季 +61.6P (6/8)
2位 仲田加南 +53.1P (6/8)
3位 朝倉ゆかり +33.7P (7/8)
4位 二階堂亜樹 +22.8P (6/8)
5位 和泉由希子 ▲10.8P (6/8)
6位 高宮まり ▲11.4P (7/8)
7位 魚谷侑未 ▲11.8P (5/8)
8位 宮内こずえ ▲22.7P(6/8)
9位 和久津晶 ▲50.7P(6/8)
10位 大崎初音 ▲64.8P(5/8)
※()内は予選半荘消化数
※予選全20回戦(各自8回対局)を行いポイント上位8名がプレーオフ進出
※プレーオフ全4回戦(各自2回対局)ポイントを持ち越し上位4名が決勝進出
※ルールに関してはこちら→女流プロ麻雀日本シリーズ2017第1節レポート
ついに予選も最終節となり、各自8回の規定半荘のうち、残り1~3回となった選手たち。
現在のプレーオフ進出ボーダーは8位の宮内の持つ▲22.7P。
9・10位の和久津・大崎も少し離されているとはいえまだまだ勝ち残りの可能性は多いにある。
一方、上位の選手も、ポイント持ち越しのプレーオフに向け、ポイントを稼いでおきたい場面だ。
そして難しいのは中位の選手たち。ポイントが拮抗しているため、着順の変動で上位にも下位にも簡単にいってしまう。判断の難しい局面での選択が、プレーオフ進出に大きな影響を与えてしまうのは間違いないだろう。
各自、それぞれのテーマを背負った予選最終日が今、はじまろうとしている。
 
 
16回戦 仲田+53.1(6/8) 魚谷▲11.8(5/8) 大崎▲64.8(5/8) 大平+61.6(6/8) ※()内は消化済み半荘数
■2位仲田VS7位魚谷VS10位大崎VS1位大平
最終日初戦は、ポイントで頭ひとつ抜けた1位2位の大平・仲田、ボーダーのひとつ上7位の魚谷、そして、あと3半荘を残してはいるもののここで何としてでもポイントが欲しい10位大崎との対戦となった。
東1局1本場
親の仲田が2,900をアガってむかえた1本場。
親の仲田が発を仕掛けてこの形。
 
100
 
ここからまっすぐドラを切り出し、それを南家・魚谷がチーしてドラドラの1シャンテンとなる。
五万六万一索三索三索六索六索六筒七筒八筒  チー六筒 左向き五筒 上向き七筒 上向き  ドラ六筒
しかし仲田もすぐに二万をポンしてテンパイ、
一万一万一万四万五万東東   カン発発発発  ポン二万 左向き二万 上向き二万 上向き  ドラ六筒八筒
ドラ3テンパイとなった魚谷がすぐに三万をツモ切り9,600は9,900。
プレーオフの先にある決勝に向けて、仲田が先頭を切って走り出した。
東2局3本場 供託1
 
100
 
5巡目、西家・大平の手がこの形。ここから、1枚切れの西、生牌の東を残し打四索
そして次巡ツモ四万で、続けて四索を切る。
そこに親の魚谷からリーチ。
一索二索三索九索九索九索三筒三筒五筒六筒八筒八筒八筒  リーチ  ドラ二索
そして同巡、大平にもテンパイが入る。
二万三万三万四万四万五万六万七万東南南南西  ツモ五万
西を切って東単騎のメンホンテンパイをヤミテンとする。
5巡目に二万をツモった段階で字牌を切っていると、この五万は一発ツモのアガリ牌となっていた。
暫定1位、決勝を見据えてここはスピードよりも打点を意識した手作りを見せた大平だったが、ここは魚谷が裏ドラとなる七筒を一発でツモって4,000オール。
東1局での放銃を取り返すような大きなアガリをものにした。
その後も仲田・魚谷のアガリ合戦が続き、苦しくなったのは大平・大崎。
テンパイするもののなかなかアガれない大平と、手に恵まれずテンパイすらなかなか叶わない大平。
■南4局 仲田57.400 魚谷37,600 大崎18,700 大平6,300
またしても西家・仲田が先制リーチ。
一万二万三万二索三索四索一筒一筒一筒六筒七筒北北  リーチ  ドラ北
北家・大崎も同巡に追いかけリーチ。
五万六万五索五索五索二筒三筒四筒七筒八筒九筒中中  リーチ
そしてその一発目に親の大平もテンパイ、3件目のリーチ棒を卓に置く。
二万三万四万六万七万七索七索三筒四筒四筒五筒五筒六筒  リーチ
大きな山場となったオーラスだが、すぐに大崎が五を掴み、大平にメンタンピン裏裏の12,000の放銃。
ここまでなかなか結果に結び付かずにラス目となっていた大平にとっては嬉しいアガリに、この半荘で最も勝ちたかった大崎には、残り2回の半荘の条件がより厳しく突きつけられた1局となった。
オーラス1本場は、これ以上失点出来ない大崎が、魚谷から2,600は2,900をアガリ、苦しかったこの16回戦を終わらせた。
16回戦結果 
仲田+41.7P(7/8) 魚谷+7.1P(7/8) 大平▲14.7P(7/8) 大崎▲33.8P(6/8)
トータル 
仲田+94.5P 魚谷▲4.7P 大平46.9P 大崎▲98.6P

 
 
17回戦 大崎▲98.6P(6/8) 亜樹+22.8P(6/8) 魚谷▲4.7P(7/8) 和久津▲50.7P(6/8)
■10位大崎VS4位亜樹VS5位魚谷VS9位和久津
現在のプレーオフ進出ボーダーは8位宮内の▲22.7P。下位の大崎・和久津はそのポイントを目指しつつ、5位魚谷・4位亜樹のポイントを削ってきたいところだ。
東1局
8巡目、最初にテンパイしたのは北家・和久津。
五万六万七万五索六索七索二筒二筒四筒六筒六筒七筒八筒  ドラ四万
タンピン三色やドラの手変わりが多い手牌をヤミテンとする。
そこに次巡、南家の亜樹が先制リーチ。
二索二索四索五索六索一筒三筒四筒五筒六筒七筒八筒九筒  リーチ
しかしここでひけない親の大崎もドラを切って追っ掛ける。
二万二万四万五万六万七万八万九万三索四索五索二筒三筒  リーチ
2件リーチとなるも和久津、ドラを引き入れ、ヤミテンで押していく。
3人の勝負となったが、アガったのは大崎。ツモ四筒に裏ドラが乗り嬉しい4,000オールとなった。
東1局1本場
満貫のツモアガリで、このまま二の矢、三の矢を継ぎたい大崎。
そこに南家・魚谷が、一通の高目の牌を引いて6巡目リーチ。
二万三万一索二索三索四索五索六索七索八索九索八筒八筒  リーチ  ドラ東
ここに連荘したい大崎が1シャンテンから飛び込み8,000は8,300。
ポイント条件を考えての苦しい放銃となってしまった。
■一方、9位の和久津
南4局
各者の点数状況と3巡目の和久津の手はこちら。
 
100
 
ここまで、丁寧に打ち加点を続けたトップ目の魚谷、そこにどうしてもトップの欲しい10位大崎と9位和久津。
ラス目の亜樹も跳満ツモ、もしくはリーチ棒が出ての満貫ツモで2着も見える位置。
親の和久津の手はこの巡目で4シャンテンと厳しいが、ここから続けざまに仕掛けて11巡目にこのテンパイ。
五万五万四筒五筒  ポン南南南  ポン一万 上向き一万 上向き一万 上向き  ポン六索 上向き六索 上向き六索 上向き  ドラ五万
テンパイしてすぐに六筒をツモり見事な2,600オールを決め、トップ目に立つ。
南4局1本場
7巡目、西家・亜樹がテンパイ。
 
100
 
この半荘、ここまでの間、厳しい位置に立たされていた亜樹だが、ここで迷いなくリーチ。
その宣言牌の八万をポンした和久津がこの形。
二索二索五索六索七索二筒三筒  ポン東東東  ポン八万 上向き八万 上向き八万 上向き  ドラ北
点棒状況的にも、プレーヤーのタイプ的にも、決して打点が安くないであろう亜樹のリーチ、しかし受けた和久津もトップ目ではあるがツモられてしまうと魚谷にまくられてしまう上に、より一層の加点が欲しい状況。
1,500は1,800のテンパイだが、ここは無筋の牌を押していく。
大崎・魚谷が一歩引き、2人のぶつかり合いとなった。
そして4巡後、勝負の決着がつく。
二万三万五万六万七万三筒四筒五筒北北発発発  ロン四万  ドラ北  裏北 
亜樹がリーチ・発・ドラ4の12,000は12,300を和久津から直撃。
亜樹は2着に浮上、そして和久津は勝負した結果ではあるがトップ目から4着への着落ち。
17回戦は、大崎・和久津ともにここまでのポイントゆえ、振りで厳しい戦いを強いられた半荘となってしまった。
17回戦結果 
魚谷+22.6P(7/8) 亜樹+4.1P(7/8) 大崎▲7.4P(7/8) 和久津▲19.3P(7/8)
トータル 
魚谷+17.9P 亜樹+26.9P 大崎▲106.0P 和久津▲70.0P

 
 
18回戦 宮内▲22.7P(6/8) 和泉▲10.8(6/8) 大平+46.9P(7/8) 仲田+94.5P(7/8)
■8位宮内VS6位和泉VS2位大平VS1位仲田
18回戦は、プレーオフ進出ボーダーの宮内、そこから10ポイント差の和泉、そしてこれが最終戦となった1位仲田、2位大平の戦いとなった。
8位の宮内は9位の和久津と約50ポイント差あるとはいえ、この後には直接対決が控えている。ここで浮いておけば、最終戦での戦い方がぐっと楽になる。
東3局3本場
ここまで、和泉が強い麻雀を打っている。
東1局にホンイツの2,000・4,000をアガると、東2局では2,600オール、その1本場では宮内のリーチにぎりぎりまで押すもテンパイせず流局となるが、加点に対するしっかりとした意思を見せた。そしてその合間を縫うように東3局2本場では大平が宮内から2,900は3,500のアガリ。
宮内は現在、20,900点持ちのラス目と苦しい立場に立たされている。
6巡目、そんな西家の宮内がここで先行テンパイ。
 
100
 
巡目の早い、ドラが3枚の役ありリャンメンテンパイで、四万七万は生牌。宮内の雀風からしてリーチもあるかと思われたが、ここは静かにヤミテンを選択。
3巡後にテンパイした和泉のリーチ宣言牌四万を捕えて8,000は8,900のアガリ。
ここまでの状況を鑑みた丁寧なヤミテンで、冷静に局を進めていく。
■WRCルールの役満パオ
南2局1本場
中をポンしている西家の仲田が、今度は白をポンして1枚切るところ。
四万六万七万七万八万六筒七筒発  ポン中中中  ポン白白白  ドラ三筒
ちょうど前巡に1枚目の発を切られたばかりだったが、ここで仲田が選択したのは七万
四万へのくっつきのホンイツ役役と、三元役を逃さない選択だ。
ポイント上でも余裕があるので、四万を引いたら発を切って五筒八筒のテンパイは取る手組みである。
そこに、南家・大平もダブ南を鳴いて参戦していく。
五万六万七万七索七索三筒四筒五筒六筒八筒  ポン南南南
するとその鳴きで、仲田に発が流れる。
六万七万八万六筒七筒発発  ポン中中中  ポン白白白
そしてテンパイしている大平に最後の発が流れ、ツモ切りされたものをポン。単騎の選択で切った七筒が大平に捕まり、3,900は4,200の放銃となった。
ところで、大平の所属する最高位戦日本プロ麻雀協会ルールには役満のパオは存在しないが、このWRCルールには役満パオが存在する。このテンパイから六筒を切ると、大三元のツモアガリは大平の一人払いとなっていた。
しっかりと間合いを測り、紙一重のところでしっかりとアガリ切った大平の打ち筋が光った局となった。
南3局
6巡目、親の大平の先行リーチ。
二万三万四万五索六索七索八索九索五筒六筒七筒八筒八筒  リーチ  ドラ六万
これをうけて南家・仲田がこの形。
六万六万七万八万東東東  チー三万 左向き二万 上向き四万 上向き  ポン発発発
ここはしっかりと攻め切って、大平から8,000は8,300を討ちとった。
オーラスは、北家の大平がドラ3のリーチをかけるも流局し、アガリ回数で他を圧倒した和泉のトップで半荘が終わった。
18回戦結果
和泉+31.2P 宮内+7.8P 仲田▲10.4P 大平▲29.6P
トータル 
和泉+20.4P(7/8) 宮内▲14.9P(7/8)  仲田+84.1P(8/8) 大平+17.3P(8/8)

 
 
19回戦 和久津▲70.7P(7/8) 朝倉+33.7P(7/8) 魚谷+17.9P(7/8) 宮内▲14.9P(7/8)
■9位VS2位朝倉VS5位魚谷VS8位宮内
それぞれの選手にとって予選最終戦となるこの半荘。プレーオフボーダーを賭けた8位の宮内と9位の和久津の直接対決にも注目が集まる。
東4局
前局、和久津が魚谷から8,000は8,900をアガリ、現状和久津トップ目、宮内ラス目で迎えた東4局。
親の宮内がテンパイ。
二万二万二万六万七万七索七索八索三筒四筒五筒白白  ツモ八万  ドラ白
ここからノータイムで八索を切ってシャンポンリーチに踏み切った。
 
100
 
残り2回の親番、ドラドラのリャンメンテンパイに取りたくなるが、場を見ると、六索が1枚切れ、九索が3枚切れ。
ここは冷静に場を見て待ち選択をした宮内、六索九索をツモる前に自ら七索を引いて、見事な4,000オールを決めた。
■和久津、最後の親番
南1局2本場
東4局の親番で、いとも簡単にラス目からトップ目までのぼりつめた宮内。一方、それを追う立場の和久津には厳しい条件が押し付けられた。
この親番は落とせない。
7巡目、はじめにテンパイしたのは西家・魚谷。
一万一万七万七万八万八万一索五索五索一筒一筒中中  ドラ四索
そして南家・朝倉も自身から見える3枚目のドラを、和久津からチーしていく。
三万五万五万六万七万四索四索五筒六筒九筒  チー四索 左向き三索 上向き五索 上向き
これを見た魚谷は一索単騎でツモ切りリーチ。ドラ筋で、和久津の第一打の牌に、勝負を賭けた。
そして朝倉も負けじと、上の牌姿から六万をカンチャンでチー。
シャンテン数が変わらない好形変化の喰い伸ばしチーだが、朝倉のこのような仕掛けはこのシリーズ始まって以来初めてのものだ。
そして11巡目、親の和久津もようやくテンパイ。
二万二万六万七万八万四索五索六索二筒三筒六筒七筒八筒
この手でリーチ。そして朝倉も七筒を引いてテンパイ、無筋の牌を押していく。
和久津にとっても、魚谷にとっても、朝倉にとっても引けない戦いとなったが、ここは和久津が四万をつかみ朝倉に8,000は8,600の放銃。
最後まで果敢に戦った和久津だったが、ここにきて事実上の戦線離脱となってしまった。
その後も的確にアガリを拾い続けた宮内がトップ、攻めの姿勢を崩さなかった朝倉が2着で19回戦を終えた。
19回戦結果
宮内+30.7P 朝倉+10.5P 魚谷▲20.6P 和久津▲20.6P
トータル 
宮内+15.8P(8/8)  朝倉+44.2P(8/8) 魚谷▲2.7P(8/8) 和久津▲90.6P(8/8)

 
 
20回戦 和泉+20.4P(7/8) 高宮▲11.4P(7/8) 大崎▲106.0P(7/8) 亜樹+26.9P(7/8)
■4位和泉VS8位高宮VS10位大崎VS3位亜樹
4節、全20戦に及ぶ予選もこの半荘が最終戦。
19回戦でトップを取った宮内に代わり、プレーオフ進出ボーダーの8位に立った高宮が今回、大崎のターゲットとなる。
高宮と大崎の現在のポイント差は117.4P。高い壁だが、やる前から諦めるような打ち手がファンに選ばれる筈もない。
決勝ボーダー上にいる亜樹・和泉と、プレーオフ敗退を賭けた大崎、それぞれの戦いの行く末を見ていきたい。
東1局
8巡目、北家・亜樹にテンパイが入る。
六万六万六万八万一索二索三索三索五索五筒六筒七筒東  ツモ四索  ドラ東
ここから八万を切ってドラ単騎のリーチ。七万八万も生牌だが、ここはドラを切らない選択をした。
その後、東は各者に1枚ずつ流れ、流局かと思われたが、12巡目、南家の高宮にもテンパイが入る。
七万七万七万三索四索五索五索五索六索二筒三筒四筒東  ツモ七索
こちらもドラの東単騎か多面張の選択となったが、高宮が選択したのはより広く受け攻める東切りリーチ。
亜樹にリーチ・ドラドラの5.200の放銃となってしまったが、高宮の攻めの姿勢が垣間見えた興味深い局となった。
東2局
8巡目テンパイを入れたのは北家・和泉。
一筒三筒三筒四筒五筒七筒八筒九筒西西  ポン白白白  ドラ七索
そして11巡目、西家・亜樹もテンパイ、リーチ。
五万六万六万七万七万八万五索六索四筒五筒六筒発発  リーチ
すぐに親の高宮のテンパイ。
七万七万四索五索六索七索八索九索五筒六筒七筒東東
ダブ東七万のシャンポン待ちで追いかけリーチとする。
手がぶつかる展開となったが、勝負はすぐに決着した。
亜樹が高目の東を一発で掴み、高宮にリーチ・一発・ダブ東・表1裏3の24,000放銃。東1局とは全く別の形での東のアガリとなった。
南3局
大崎が最後の親番でリーチ。
 
100
 
同巡に、北家・高宮もトップ目から追いかけリーチ。
 
100
 
役ありで大崎の現物待ちだが、ここも広い形で強くぶつけていく。
大崎、高宮、2人のツモる指先に力がこもるが、軍配は高宮に挙がる。一筒をツモってリーチ・ツモ・ピンフ・ドラの1,300・2,600のアガリ。
ここで親が落ちた大崎の予選敗退がほぼ決まる。
南4局1本場
9巡目、ラス目の親・亜樹から先制リーチ。
一索二索四索五索六索七索七索七索八索九索五筒五筒五筒  リーチ  ドラ二索
これを受け14巡目、2着目満貫出アガリトップの和泉の手がこちら。
四万四万五万五万六万二索五索六索三筒三筒四筒五筒六筒  ツモ四索
トップを目指す条件を満たした手となったが、ラス目の親にドラを勝負せず三筒を外していく。
しかし無情にも、同巡の亜樹のツモは六万。ドラを勝負出来ていたらのたらればになってしまうが、すぐにその結果が見えてしまう結果となった。
その六万をチーして、ドラ単騎のテンパイを取り直すも、この局は2人テンパイで流局。開かれた亜樹の手を見た和泉は何を思ったか。
ここはヤミテンにせずリーチをかけた亜樹の作戦勝ちとなった局となった。
オーラス2本場は、亜樹が和泉から12,000は12,300の直撃、3本場にようやく和泉が400・700は700・1,000をツモり予選最終半荘を終わらせる。
20回戦結果
高宮+30.7P 和泉+5.0P 亜樹▲10.3P 大崎▲25.2P
トータル 
高宮+19.1P(8/8) 和泉+25.4P(8/8) 亜樹+16.6P(8/8) 大崎▲131.2P(8/8)

以上で女流プロ麻雀日本シリーズの予選20回戦が全て終了した。
結果は以下の通り
システム
■予選全20回戦(各自8回対局)を行いポイント上位8名がプレーオフ進出
■プレーオフ全4回戦(各自2回対局)ポイントを持ち越し上位4名が決勝進出
■決勝全4回戦
予選成績

順位 名前 1回戦 2回戦 3回戦 4回戦 5回戦 6回戦 7回戦 8回戦 合計
1 仲田加南(女流桜花) ▲ 10.0 45.9 ▲ 25.5 11.4 6.9 24.4 41.4 ▲ 10.4 84.1
2 朝倉ゆかり(女流雀王) 7.0 5.8 ▲ 12.6 ▲ 9.4 8.8 8.8 25.3 10.5 44.2
3 和泉由希子(連盟会長推薦) ▲ 40.9 80.9 29.1 ▲ 27.1 ▲ 28.9 ▲ 23.9 31.2 5.0 25.4
4 高宮 まり(前年度優勝) ▲ 20.2 11.5 ▲ 11.9 6.9 28.4 ▲ 18.4 ▲ 7.7 30.5 19.1
5 大平 亜季(女流最高位) 23.2 7.9 46.2 48.5 ▲ 28.4 ▲ 35.8 ▲ 14.7 ▲ 29.6 17.3
6 二階堂 亜樹(女流モンド杯優勝) 24.5 ▲ 2.2 ▲ 2.9 26.3 ▲ 26.5 3.6 4.1 ▲ 10.3 16.6
7 宮内 こずえ(プロクイーン) ▲ 9.1 ▲ 47.1 23.2 ▲ 15.1 ▲ 13.3 38.7 7.8 30.7 15.8
8 魚谷 侑未(モンド王座優勝) 12.5 0.8 4.4 14.2 ▲ 43.7 7.1 22.6 ▲ 20.6 ▲ 2.7
9 和久津 晶(連盟会長推薦) 37.5 ▲ 8.0 ▲ 23.7 ▲ 30.5 ▲ 4.8 ▲ 21.2 ▲ 19.3 ▲ 20.6 ▲ 90.6
10 大崎初音(ファン投票1位) ▲ 93.2 ▲ 4.6 24.2 ▲ 6.7 15.5 ▲ 33.8 ▲ 7.4 ▲ 25.2 ▲ 131.2

序盤から展開に苦しんだ和久津・大崎が、その条件ゆえの難しい押し引きにまた苦しみ、予選敗退となった。
特に、初戦の東1局に48,000を放銃した大崎は、常に厳しい選択の上での麻雀を強いられていたことだろう。
一方、プレーオフ進出した選手たちにもまだまだ、厳しい戦いが待っている。
ポイントが拮抗しているため、各自2回のプレーオフでまだまだ誰が決勝に残るのか分からない。
女流プロ日本一を決める戦いを、楽しみにして頂きたい。
プレーオフ日程
2017年3月8日17:00~
1回戦:仲田加南vs高宮まりvs大平亜季vs魚谷侑未
2回戦:朝倉ゆかりvs和泉由希子vs二階堂亜樹vs宮内こずえ
3回戦:1位vs4位vs5位vs8位
4回戦:2位vs3位vs6位vs7位
実況:古橋崇志
解説:藤崎智(現十段位)・前田直哉

何を切る?fromロン2 2017年3月

このコーナーでは、オンライン麻雀「ロン2」の協力のもと、プロ雀士とロン2ユーザーの解答をグラフを使って比較していきたいと思います。
多くのプロより、丁寧な解説をいただきましたので、みなさんの雀力アップの参考にしていただければと思います。

問題提供:「ロン2」  作成:杉浦勘介

ロン2道場ルール (一発、裏ドラ、カンドラあり、赤なし)
東1局南家 (色の濃くなっている牌はツモ切りです)
※西家は4巡目に四索をポン、その後加カン。東家は中をポンして打一万

 

プロ

二索切り・・・27人
六索切り・・・7人
三索切り・・・1人
北切り・・・1人

 

ロン2ユーザー

二索切り・・・51.6%
六索切り・・・19.5%
三索切り・・・12.5%
北切り・・・12.5%
七索切り・・・2.3%
一索切り・・・0.8%
五索切り・・・0.8%

 

 

プロ解答(50音順)

 

二索切り

厚谷昇汰
四索が無いのでメンツ手は厳しい。メンホン七対子狙いで2枚見えの二索切り。」

鮎川卓
「ドラを使い切り、高打点を狙います。」

太田優介
「メンツ手に向かうには新ドラとはいえドラの三索を切らないといけないので、七対子固定の打二索。多少アガリ率が落ちても七対子に受ける。」

岡部光輝
「東1局なのでチンイツに行きたいのですが、四索がカンされて無いので、メンホン七対子にします。ソーズは分断されて良さそうなので。」

勝又健志
「七対子狙いとする以外にアガリが見込めない。」

上村慎太郎
「メンホン七対子に決め打ち。残り枚数の少ない二索を外す。」

上村宜久
「西家のカン二索待ちもありえますが、自分のアガリチャンスを広く受け、メンホン七対子を狙います。」

河井保国
「メンホン七対子を仕上げる。」

貫上洋志
「七対子で枚数の多い方を残す。」

清原継光
「親にカン二索は無い。西家、北家にも通りそう。ドラを使い切るなら七対子しかない。次巡以降、通りそうな一索などを払いながら七対子ドラドラを目指す。」

黒沢咲
「メンホン七対子ドラドラに向かって、一直線で打ちます。」

近藤久春
「メンホン七対子一直線。見え見えでもテンパイしたらリーチ。東1局なので大きく!」

紺野真太郎
四索が無くチンイツは無理そう。七対子を本線に。」

坂本誠裕
「七対子に絞ります。」

佐々木寿人
「メンホン七対子に。」

寺尾威一郎
「七対子へ。ホンイツにこだわらず流動的に。」

二階堂亜樹
「メンツ手はあきらめて七対子にします。」

花岡章生
四索が無く、アガリは見えにくいが、メンホン七対子の形を残して2枚切れの打二索で。」

林俊宏
「とりあえずメンホン七対子目指してみます。」

一井慎也
「七対子へ。染め手にはこだわらないが、受けきれないので、テンパイしたらリーチで相手に選択をさせる。」

藤岡良一
一索六索七索と浮かせておくメンホン七対子一本。ただこの場面、危ない順だと七索六索一索であるため、一索の重なりは六索切り、六索七索の重なりは一索切りでリーチとなる。ソーズ待ちですよのリーチを打てるかがポイント。」

古川孝次
北を切ってチンイツに行きたいが、四索をカンされて横に伸びていく要素がないため、七対子を目指す。二索一索の順に外していく。」

三戸亮祐
「キー牌の四索が無い以上はメンホン七対子を目指す。場に2枚見えの二索から打つ。」

安村浩司
四索が無いので、七対子固定。」

山井弘
四索が無いのでメンツ手のホンイツは厳しい。メンホン七対子狙いで、テンパイが入れば、開局、下家の加カンなのである程度の勝負と考えリーチも有り。」

横山毅
四索が無いのでメンホン七対子狙い。」

四柳弘樹
四索が無いのでメンツ手は難しく、枚数で二索。」

 

 

六索切り

白鳥翔
「メンツ手と七対子の天秤。」

浜上文吾
四索が無いので七対子かイーペーコー狙い。メンゼンでホンイツテンパイならば、ドラの三索も切ります。」

福光聖雄
「親はマンズのホンイツと読む。対面に一索二索三索のメンツがあるか判断しづらいので迷うところ。」

藤島健二郎
「タテヨコの天秤。仕掛けはないが、メンゼンならドラも押す。」

古橋崇志
「メンツ手と七対子の天秤。」

前田直哉
「何を引いても良さそうだから。」

山田浩之
「メンホン七対子狙い。一応メンツ手の保険もかける。」

 

 

三索切り

内川幸太郎
「七対子は捨てます。三索は通りそうですし、西家、北家の切り順から、あってもポンで済みそう。」

 

 

北切り

前原雄大
「伸ばすならばチンイツを見る。」

何を切る?/何を切る?fromロン2 2017年3月

このコーナーでは、オンライン麻雀「ロン2」の協力のもと、プロ雀士とロン2ユーザーの解答をグラフを使って比較していきたいと思います。
多くのプロより、丁寧な解説をいただきましたので、みなさんの雀力アップの参考にしていただければと思います。
問題提供:「ロン2」  作成:杉浦勘介
ロン2道場ルール (一発、裏ドラ、カンドラあり、赤なし)
東1局南家 (色の濃くなっている牌はツモ切りです)
※西家は4巡目に四索をポン、その後加カン。東家は中をポンして打一万

 
プロ

二索切り・・・27人
六索切り・・・7人
三索切り・・・1人
北切り・・・1人
 
ロン2ユーザー

二索切り・・・51.6%
六索切り・・・19.5%
三索切り・・・12.5%
北切り・・・12.5%
七索切り・・・2.3%
一索切り・・・0.8%
五索切り・・・0.8%
 
 
プロ解答(50音順)
 
二索切り
厚谷昇汰
四索が無いのでメンツ手は厳しい。メンホン七対子狙いで2枚見えの二索切り。」
鮎川卓
「ドラを使い切り、高打点を狙います。」
太田優介
「メンツ手に向かうには新ドラとはいえドラの三索を切らないといけないので、七対子固定の打二索。多少アガリ率が落ちても七対子に受ける。」
岡部光輝
「東1局なのでチンイツに行きたいのですが、四索がカンされて無いので、メンホン七対子にします。ソーズは分断されて良さそうなので。」
勝又健志
「七対子狙いとする以外にアガリが見込めない。」
上村慎太郎
「メンホン七対子に決め打ち。残り枚数の少ない二索を外す。」
上村宜久
「西家のカン二索待ちもありえますが、自分のアガリチャンスを広く受け、メンホン七対子を狙います。」
河井保国
「メンホン七対子を仕上げる。」
貫上洋志
「七対子で枚数の多い方を残す。」
清原継光
「親にカン二索は無い。西家、北家にも通りそう。ドラを使い切るなら七対子しかない。次巡以降、通りそうな一索などを払いながら七対子ドラドラを目指す。」
黒沢咲
「メンホン七対子ドラドラに向かって、一直線で打ちます。」
近藤久春
「メンホン七対子一直線。見え見えでもテンパイしたらリーチ。東1局なので大きく!」
紺野真太郎
四索が無くチンイツは無理そう。七対子を本線に。」
坂本誠裕
「七対子に絞ります。」
佐々木寿人
「メンホン七対子に。」
寺尾威一郎
「七対子へ。ホンイツにこだわらず流動的に。」
二階堂亜樹
「メンツ手はあきらめて七対子にします。」
花岡章生
四索が無く、アガリは見えにくいが、メンホン七対子の形を残して2枚切れの打二索で。」
林俊宏
「とりあえずメンホン七対子目指してみます。」
一井慎也
「七対子へ。染め手にはこだわらないが、受けきれないので、テンパイしたらリーチで相手に選択をさせる。」
藤岡良一
一索六索七索と浮かせておくメンホン七対子一本。ただこの場面、危ない順だと七索六索一索であるため、一索の重なりは六索切り、六索七索の重なりは一索切りでリーチとなる。ソーズ待ちですよのリーチを打てるかがポイント。」
古川孝次
北を切ってチンイツに行きたいが、四索をカンされて横に伸びていく要素がないため、七対子を目指す。二索一索の順に外していく。」
三戸亮祐
「キー牌の四索が無い以上はメンホン七対子を目指す。場に2枚見えの二索から打つ。」
安村浩司
四索が無いので、七対子固定。」
山井弘
四索が無いのでメンツ手のホンイツは厳しい。メンホン七対子狙いで、テンパイが入れば、開局、下家の加カンなのである程度の勝負と考えリーチも有り。」
横山毅
四索が無いのでメンホン七対子狙い。」
四柳弘樹
四索が無いのでメンツ手は難しく、枚数で二索。」
 
 
六索切り
白鳥翔
「メンツ手と七対子の天秤。」
浜上文吾
四索が無いので七対子かイーペーコー狙い。メンゼンでホンイツテンパイならば、ドラの三索も切ります。」
福光聖雄
「親はマンズのホンイツと読む。対面に一索二索三索のメンツがあるか判断しづらいので迷うところ。」
藤島健二郎
「タテヨコの天秤。仕掛けはないが、メンゼンならドラも押す。」
古橋崇志
「メンツ手と七対子の天秤。」
前田直哉
「何を引いても良さそうだから。」
山田浩之
「メンホン七対子狙い。一応メンツ手の保険もかける。」
 
 
三索切り
内川幸太郎
「七対子は捨てます。三索は通りそうですし、西家、北家の切り順から、あってもポンで済みそう。」
 
 
北切り
前原雄大
「伸ばすならばチンイツを見る。」

第28回静岡リーグ(プロアマ混合)決勝レポート

2017年1月29日。
この日、第28回静岡リーグの決勝が行われた。

決勝ではそれぞれ1位+40P、2位+30P、3位+20P、4位+10Pの順位ポイントが与えられる。全6回戦が行われ、5回戦終了時(各1回抜け番)にポイント最下位の者が敗退となり、最終1回戦を行い、トータルポイントがトップの者が優勝となる。

まずは、簡単な選手紹介と決勝直前の各選手の意気込みを載せたいと思う。

1位通過 山本拓哉プロ(中部本部)
(初出場)

静岡プロリーグを逆転優勝した山本プロが勢いをそのままに静岡リーグの優勝にも挑む。
鳴きを主体とした攻めで手数が多いタイプであり、主導権を積極的に取りに来るであろう。今回は追われる立場となっており、マークを受ける場面も多くなるとは思うが、持ち味である思い切りの良い麻雀で今回の決勝も戦いをリードしてくるであろう。

山本プロ「静岡プロリーグを優勝することができたので、次は静岡リーグも優勝してのダブルクラウンを目指して頑張ります。」

2位通過 平野敬悟プロ(静岡支部)
(2期ぶり3回目)

今回の決勝メンバーでは唯一静岡リーグの決勝進出経験のある平野プロ。場面を見極める能力や対応力は非常に優れており万能な選手である。
リーグ戦でも安定した戦いを見せており、決勝の舞台でも経験を活かしてペースを作ることができるか。

平野プロ「普段通りに平常心で頑張りたいと思います。」

3位通過 足立純哉プロ(東京本部)
(初出場)
 
プロ1年目にして決勝進出となった足立プロ。足立プロも山本プロと同じく鳴きが多く、手数で勝負する印象で、山本プロとの主導権争いに持ち込むことが予想される。
経験の浅さを気持ちでカバーして場面をリードすることを期待したい。
 
足立プロ「まだ1年目ということで、チャレンジ精神で頑張りたいと思います。」

4位通過 鈴木雅人プロ(静岡支部)
(初出場)
 
プロ15年目の鈴木プロが安定した戦いで悲願の決勝進出を決めた。手数の多い選手が上位通過しているため自身も思い切った攻めが必須となるが、スタイルである門前高打点を貫くことで局面を打開してほしい。

鈴木プロ「初めての決勝ということでとにかく楽しんで頑張りたいと思います。」

5位通過 松井和志さん(一般参加)
(初出場)
 
唯一の一般参加での決勝進出となった松井さん。第1節で+105.9Pを叩くなど、爆発力はかなりのものを持っている。受けの意識も強く、安定感という面では他のプロにも劣っていない印象だ。5位通過ということで、1位通過の選手とは40P差があり、戦い方は難しくなってくるが、持ち味の門前高打点でプロを相手にどのように戦っていくか楽しみである。
 
松井さん「5位通過であり、唯一のアマチュアということでプレッシャーはないので、気楽に頑張ります。」

以上の5名の戦いとなる。
初決勝が4名とフレッシュな顔ぶれとなった今回。どの選手も納得のいく麻雀を打って決勝の舞台を楽しんでほしいと心から思う。

(以下文章中敬称略)

1回戦(起家から山本、鈴木、松井、足立、抜け番:平野)

東1局 まずは各選手の配牌を見ていこう。

親:山本
一万五万五万六万七万七万九万五索七索一筒九筒西白中  ドラ二万

南家:鈴木
三万八万二索六索九索一筒二筒五筒六筒九筒九筒白白

西家:松井
一万二万二万一索四索五索六索一筒三筒四筒西中中

北家:足立
三万三万二索四索六索七索七索九索三筒六筒七筒南西

どの選手もまずまずといったところだろう。
4巡目、まずはドラ2枚の松井が積極的に仕掛ける。

一万二万二万四索四索五索六索一筒三筒四筒西中中 

ここから1枚目の中をポン。徐々に進行していき、11巡目に二筒をチー。

二万二万四索五索六索三筒四筒  チー二筒 左向き三筒 上向き四筒 上向き  ポン中中中

二筒を足立から出アガリ、3,900でまずは先制に成功した。

東2局 今度は山本が積極的に仕掛ける。

四万四万五万六万七万一索一索五筒七筒北北白白  ドラ六筒

この手牌から3巡目に北をツモる。ドラ六筒ということで筒子を残す選手も多いとは思うが、山本は五筒切りを選択。5巡目に1枚目の白をポンすると7巡目にあっさりと一索をツモって800・1,600。仕掛けを基本として手数で勝負する山本らしい手組みの1局であった。

東3局1本場 親番の松井の配牌

四万六索七索八索八索九索一筒二筒三筒六筒六筒六筒七筒中  ドラ一筒

好配牌をもらうと4巡目にテンパイが入る。

二万四万六索七索八索一筒二筒三筒五筒六筒六筒六筒七筒  打九索 左向き

松井はここで九索を切ってリーチとした。タンヤオやピンズの一通、好形変化などを見てヤミテンにする打ち手もいるとは思うが、東1局から見せている積極的な攻めの姿勢をここでも貫いた。しっかりと三万をツモって2,000オール。松井の持ち点は40,000点を超えてきた。

東4局 仕掛けの多い打ち手と言われていた足立が親番であるこの局にようやく最初の仕掛けを入れる。

一万三万四万九万九万二索三索一筒二筒三筒五筒七筒九筒  ドラ五万

ここから6巡目に二万をチーして打四万。純チャン三色へと進めていこうとするが、8巡目に松井からリーチが入る。

五万六万七万七索八索九索三筒四筒東東中中中

ここから足立が親番維持のためにテンパイを目指しつつ華麗に回る。

九万九万二索三索四索一筒二筒三筒五筒七筒  チー二万 左向き一万 上向き三万 上向き

この牌姿から11巡目に松井の当たり牌である二筒を掴むとソーズを切っていく。ツモ二筒四索、ツモ八索二索、ツモ七索三索とすると今度は五筒を掴んでしまう。

九万九万七索八索一筒二筒二筒三筒五筒七筒  チー二万 左向き一万 上向き三万 上向き  ツモ五筒

ここではリーチの現物である九万のトイツ落としで回る。ツモ北九万、ツモ五筒北、ツモ七筒一筒、ツモ七筒三筒で流局。

七索八索二筒二筒五筒五筒五筒七筒七筒七筒  チー二万 左向き一万 上向き三万 上向き

しっかりと回りきって親番を維持した。このようなプレーの一つ一つが勝敗を分ける場合もある。非常に勉強になった1局であった。

東4局1本場 前局、素晴らしいプレーが光った足立。こうして続けることのできた親番には不思議と手が入るものだ。

五索五索五索六索六索六索七筒八筒九筒南南中中  ドラ八索

この手で12巡目にリーチ。15巡目に中ツモ。ここまで苦しい展開だった足立にとって大きなアガリとなった。
南3局3本場 南場に入ってからここまで大人しくしていた山本が積極的に動く。

四万五万六万一索一索四索五索一筒南南西白白  ドラ一万

ここから3巡目に白をポン。打一筒として1シャンテン。8巡目に一索をポンしてテンパイ。

三万四万五万四索五索南南  ポン一索 上向き一索 上向き一索 上向き  ポン白白白

足立から三索が放たれて1,000。
オーラスでも山本は仕掛けて300・500をアガる。やはりというのか、アガリ回数では山本が他を圧倒していた。

1回戦は東場で積極的に攻めた松井がトップ。山本も上手く立ち回って浮きの2着を守った。

1回戦1回戦成績
松井+14.0P 山本+7.6P 足立▲5.4P 鈴木▲16.2P

1回戦終了時
山本+47.6P 平野+30.0P 足立+14.6P 松井+14.0P 鈴木▲6.2P

 

 

2回戦(起家から平野、鈴木、松井、山本、抜け番:足立)

1回戦抜け番となった平野はこれが初戦となる。
1回戦を見て、どのように戦っていくのか注目である。

東1局 1回戦ラススタートとなってしまった鈴木から8巡目にリーチが入る。

四万五万二索三索四索四筒五筒六筒七筒八筒九筒西西  リーチ  ドラ七筒

その時の親番の平野の手牌。

二万三万三万六万七万三索六索七索八索二筒四筒五筒五筒

12巡目に三筒をツモると無筋の三索をノータイムで切る。14巡目にリーチ者の鈴木から五筒が放たれるとこれをポン。ここでも迷わず無筋の二万を切ってテンパイを入れると次巡八万ツモ。

三万三万六万七万六索七索八索二筒三筒四筒  ポン五筒 上向き五筒 上向き五筒 上向き  ツモ八万

500オールのアガリ。初戦の入り方としては強い気持ちで良い入り方ではないか。また、平野はこういった捌き手の使い方が非常に上手な印象がある。

東1局2本場 北家の山本の配牌。

二万一索一索二索三索三索五索六索八索九索六筒六筒中

ここから平野が1巡目に切った一索をいきなりポン。チンイツを目指すと今度は4巡目に上家の松井から打たれた一索をチー。強引な仕掛けに見えるが5巡目にして2フーロで1シャンテン。

三索五索六索六索八索九索中  チー一索 左向き二索 上向き三索 上向き  ポン一索 上向き一索 上向き一索 上向き

10巡目に六索を引き入れると12巡目にツモ五索。テンパイを入れて打三索

五索五索六索六索六索八索九索  チー一索 左向き二索 上向き三索 上向き  ポン一索 上向き一索 上向き一索 上向き

するとこの三索を松井がポン。松井もソーズの染め手で応戦する。

四索五索六索七索七索九索東東西西西  ポン三索 上向き三索 上向き三索 上向き

場には七索が1枚切れ。八索東は生牌。松井は打四索としてカン八索待ちを選択。すると今度はその四索を山本がチー。一通がついて跳満確定。次巡にあっさり七索ツモ。

六索六索八索九索  チー四索 左向き五索 上向き六索 上向き  チー一索 左向き二索 上向き三索 上向き  ポン一索 上向き一索 上向き一索 上向き

一見無謀に思える今回の山本の仕掛け。しかし安い仕掛けではなくこういった仕掛けも成功させているのが山本の強さなのではないか。

東3局 ここまであまり良いところのなかった鈴木にドラ3のテンパイが入る

一万二万三万五万六万八万八万八万一索二索三索八索八索  ドラ八万

8巡目にリーチを打つと次巡四万のツモアガリで2,000・4,000。悪い流れを断ち切るアガリ。若手プロが試合を上手く組み立てていくなかでベテランの意地を見ることができた。

南1局 この局は山本が先制リーチ。

三万三万六万七万八万七索七索七索四筒五筒  暗カン牌の背一索 上向き一索 上向き牌の背  ドラ三万

すると12巡目に松井が追いかけリーチ。

四索四索五索五索六索三筒四筒五筒六筒六筒六筒八筒八筒  リーチ

しかしここは山本が三筒をツモって2,000・4,000。
仕掛けだけではない、こういったリーチ合戦でも山本はあまり負けない印象がある。

この後は小場が続き、大物手を二度ものにした山本がトップで大きくリードする展開となった。

2回戦成績
山本+23.8P 松井+9.3P 鈴木▲12.3P 平野▲20.8P

2回戦終了時
山本+71.4P 松井+23.3P 足立+14.6P 平野+9.2P 鈴木▲18.5P

 

 

3回戦(起家から平野、松井、足立、鈴木、抜け番:山本)

東3局1本場 4巡目にテンパイの平野

五万六万七万七索七索七索二筒四筒四筒五筒六筒七筒七筒  ドラ三索

この手牌ではヤミテンに構える。手変わりをして11巡目にリーチ。

四万五万六万七索七索七索二筒四筒四筒四筒五筒六筒七筒  リーチ

対する鈴木、13巡目にツモり四暗刻の1シャンテンとなる。

二万二万二万四万四万五万四索四索五索五索三筒三筒三筒

平野の当たり牌である三筒を暗刻で持つというチャンス手。テンパイしないまま17巡目、4枚目の三筒をツモってくる。

二万二万二万四万四万五万四索四索五索五索三筒三筒三筒  ツモ三筒

鈴木はここで三筒を暗カンする。するとツモってきたのは二筒。鈴木は三筒のノーチャンスで二筒を切って2,600の放銃。1、2回戦と苦しい展開となっている鈴木、この局も手痛い放銃となってしまった。

南1局 10巡目、足立

一万二万三万六万七万五索六索七索二筒三筒西発発  ツモ八万  ドラ西

ドラであり生牌の西を切るとテンパイ。ここで足立は発のトイツ落としを選択。西をすでに切れないと感じたのか、もしくは暫定1位の山本との合計ポイントの差を考えたのか、西を使い切るという判断を下した。そして14巡目に待望のドラの西を引いてリーチ。

一万二万三万六万七万八万五索六索七索二筒三筒西西  リーチ

結果は流局ではあったが、こういった足立のプレーこそが優勝を引き寄せると思った。

南2局3本場 3巡目に平野は早くも1シャンテン。

四万八万三索六索七索八索三筒四筒五筒六筒七筒八筒白  ツモ三索  ドラ白

ピンズの一通や三色が見える手牌。平野は目一杯に構えてドラの白を打ち出す。するとこの白を鈴木がポンして1シャンテン。

一万二万三万四万六万七万八万九万二索四索  ポン白白白

場が一気に重くなる。7巡目、先にテンパイしたのは鈴木。

二万三万四万六万六万七万八万九万四索五索  ポン白白白

三索六索待ち。遅れて8巡目に平野もテンパイ。

六万八万三索三索六索七索八索三筒四筒五筒六筒七筒八筒

平野は強気にリーチを選択。ここまであまり展開の良くない鈴木とのめくり合いならば勝てると踏んだか。結果は平野のツモ。2,000・4,000となった。

南4局 5巡目に足立がリーチ。

四万五万六万二索三索四索四索五索五索六索七索七筒七筒  リーチ  ドラ六万

ヤミテンに構えて3,900点をアガっても浮きに回ることができる。しかし足立はリーチをしてより大きく打点を稼ぐことを選んだ。この小さなアガリを重ねるよりも1回の大きなアガリを求める考えはこの半荘通して統一されていた。結果は六索をツモって2,000・4,000。足立としては戦略が上手くはまったように私には感じ取ることができた。
3回戦はアガリを重ねた平野、足立が浮きで終え、抜け番だった山本の独走に待ったをかける形となった。

平野+20.8P 足立+11.3P 松井▲13.3P 鈴木▲18.8P

3回戦終了時
山本+71.4P 平野+30.0P 足立+25.9P 松井+10.0P 鈴木▲37.3P

 

 

4回戦(起家から平野、足立、山本、松井、抜け番:鈴木)

東1局 暫定トップの山本を誰かが止めることが注目の4回戦。
9巡目、まずは親番の平野がテンパイする。

五万五万四索五索六索七索八索九索四筒五筒六筒七筒八筒  ドラ東

手変わりを見てかヤミテンに構える。すると、それを知ってか知らずか、同巡に足立がリーチ。

一万二万三万四万四万七万七万七万一索二索三索二筒三筒  リーチ

高め三色同巡の好形リーチである。今度は宣言牌の三万を山本がポンして1シャンテン。

六万七万八万三索三索三筒三筒六筒六筒南  ポン三万 上向き三万 上向き三万 上向き

それを見て実はすでにテンパイを入れていた松井がツモ切りリーチ。

四万五万六万七索八索九索五筒五筒七筒八筒九筒東東  リーチ

しかしこのツモ切りリーチが裏目に出たか、松井が四筒を掴んで足立へ1,300の放銃となった。もしも平野や松井が先制リーチを打っていれば、など様々なことを考えさせられる1局となった。

東2局2本場 平野が10巡目に1枚目の発を仕掛ける。その後すぐに両面チーしてあっという間の1,000点のテンパイ。

二万三万五万五万三筒四筒五筒  チー五筒 左向き六筒 上向き七筒 上向き  ポン発発発  ドラ一万

これに追いついたのは足立。12巡目にリーチ。

六万七万七万八万九万五索五索五索六索七索八索二筒二筒  リーチ

しかし次巡に足立が四万を掴んでしまい放銃。このように平野と足立が主導権争いをする局面が4回戦から増えたように見えた。

東3局 先制したのはまたもや平野。6巡目にリーチ。

二万三万四万七万七万六索七索二筒三筒四筒五筒六筒七筒  リーチ  ドラ白

その時点での親番の山本の手牌がこちら。

四万五万六万六万八万三索四索五索六索六索一筒三筒白

カン七万やカン二筒が入るとテンパイではあるがリーチに対してドラで生牌の白を切らなければならない。ここからツモ八筒一筒、ツモ六筒八筒、ツモ八万六万、ツモ白三筒などとして12巡目の手牌がこちら。

四万五万六万八万八万三索四索五索六索六索六筒白白

ここでリーチをかけていた平野から白が切られる。山本は迷わずポンテンを取ると、ラス牌の八万を簡単にツモ。3,900オール。やはりツキは山本にあるのか。

四万五万六万八万八万三索四索五索六索六索  ポン白白白  ツモ八万

東3局1本場 足立の配牌がこちら。

一万四万六万九万五索六索七索一筒一筒三筒八筒西発  ドラ二筒

1メンツあるものの、形が悪く高打点も見込めない手牌。しかし、1巡目と2巡目に連続して自風の北をツモると、迷わずカン五万からチー。

五索六索七索一筒一筒三筒八筒北北発  チー五万 左向き四万 上向き六万 上向き

その後、ツモ七筒三筒、ツモ九筒発で5巡目にあっという間にテンパイ。9巡目に平野から北が打たれて1,000点のアガリ。

五索六索七索一筒一筒七筒八筒九筒北北  チー五万 左向き四万 上向き六万 上向き  ロン北

前局のアガリでこの半荘でもトップ目に立ってしまった山本の親番を意地でも終わらせる足立の気合が見られた。

南1局 この局、松井にチャンス手が入る。まずは配牌。

三万三万四万五万七万八万三筒七筒南南西北白  ドラ白

マンズのホンイツが色濃く見える。この手牌が3巡で大きく育つ。

三万三万四万五万五万六万七万八万南南西白白

5巡目に山本から四万が切られる。松井は迷わずチー。テンパイである。

三万四万五万六万七万八万南南白白  チー四万 左向き三万 上向き五万 上向き

これを見た山本が7巡目に仕掛け返す。

三索四索九索九索六筒六筒六筒九筒西西  チー八索 左向き六索 上向き七索 上向き

次巡、ツモ西九筒となってテンパイ。11巡目に足立から五索が打たれて山本のアガリ。

三索四索九索九索六筒六筒六筒西西西  チー八索 左向き六索 上向き七索 上向き  ロン五索

相手のチャンス手を山本が後から仕掛けてサバく。この決勝で何度も見られた光景である。

南2局2本場 親番で2局連続アガっている足立、この局も11巡目にリーチをかける。

七万八万九万三索四索五索二筒三筒五筒五筒七筒八筒九筒  リーチ  ドラ五筒

それに対して対抗していくのはやはり山本。リーチの現物を切りつつテンパイを維持。しかし足立の切られた五筒で考えてしまう。

三万四万五万六万七万八万六索七索八索三筒四筒四筒五筒

五筒を鳴いてリーチの現物である三万四万を切ってアガリを目指すかどうか考える山本。しばらく悩むが、ここは鳴かずに今のままのテンパイ形を維持することを決意。すると、16巡目にツモってきたのは五万であった。

三万四万五万六万七万八万六索七索八索三筒四筒四筒五筒  ツモ五万

四筒が通って二万五万八万待ちになれば勝ち目があると踏んだ山本は四筒を切る。しかし、四筒は足立に放銃となり11,600。
42,900点持ちのトップ目であった山本だったが、この放銃で2着へ。アガった足立はリードを守ってこの半荘をトップで終えた。

4回戦に入ってから各選手のマークは山本1人に完全に絞られているように見えた。特に平野と足立はいつもに増して仕掛けを増やし山本へ対抗していたように感じた。

4回戦成績
足立+23.4P 山本+6.3P 平野▲8.8P 松井▲20.9P

4回戦終了時
山本+77.7P 足立+49.3P 平野+21.2P 松井▲10.9P 鈴木▲37.3P

 

 

5回戦(起家から平野、足立、山本、鈴木、抜け番:松井)

静岡リーグの決勝はこの5回戦を終えた時点でポイント最下位のものは一足早く敗退となってしまう。最終6回戦は勿論のこと、この5回戦もどの選手も全力で戦うに間違いない。

東2局 優勝を目指すには1局たりとも無駄にはできない鈴木。この局、先制リーチを打つ。

一索二索三索三索四索五索五索六索六索七索二筒三筒四筒  ドラ七索

それに対して押し返すのが親番の足立。13巡目に仕掛けてテンパイを入れる。

四万四万七万八万九万三索四索七索八索九索  チー九筒 左向き七筒 上向き八筒 上向き

この2人の引き合いにも見えた局面。鈴木がハイテイ牌の八筒をツモ切りして流局するかに思えたが、山本からロンの声がかかる。

一万一万五万五万七万七万八万八万八索八索六筒六筒八筒

山本はリーチや親の仕掛けに対して強い牌を極力切らずにしっかりとテンパイを入れていた。山本の3,200のアガリ。

東3局 前局アガって親番を迎えた山本。この局も積極的に仕掛ける。

三万五万六万七万八万二筒東西北北発中中  ドラ二万

この手牌から3巡目にポン中二筒、続く5巡目にポン北西。9巡目にツモ五万発として形が整う。

三万五万五万六万七万八万東  ポン北北北  ポン中中中

11巡目にツモ九万東としてより広い1シャンテンとすると、15巡目にようやくテンパイ。

三万五万五万六万七万八万九万  ツモ八万  ポン北北北  ポン中中中

場には四万七万も1枚切れだが自分で使っているので七万の方が1枚少ない。それでも七万が山にあると読んだか、この場面で山本は打三万とする。そして2巡後にツモアガって2,600オール。こういった選択を確実に正解することが勝利への一歩なのだろう。

五万五万六万七万八万八万九万  ポン北北北  ポン中中中  ツモ七万

東4局 なんとか親番で連荘したい鈴木。11巡目にリーチ。

六万七万八万四索五索六索二筒三筒六筒七筒八筒南南  リーチ  ドラ二筒

このリーチに向かってくるのは平野。リーチの現物やスジの牌を切って安全に進めつつ13巡目に高め一通の追っかけリーチ。

五万五万一索二索三索二筒三筒四筒五筒六筒七筒八筒九筒  リーチ

そして平野が安めではあるが七筒をツモって1,300・2,600。この日の鈴木はこのように先制しても誰かに押し返されてアガリきられてしまうケースが非常に多かったように思える。

南4局2本場 現状5位の鈴木はこの親番で誰かをまくらなければ敗退となってしまう。しかし無情にも2巡目に山本からリーチが入る。

二万二万二万一索二索三索五索六索七索二筒三筒六筒六筒  リーチ  ドラ三万

どうにかして山本のアガリは阻止しなければならない鈴木。なんとか9巡目にテンパイ。

五万六万七万三索四索五索七索八索九索五筒七筒発発

手変わりを見て冷静にヤミテンに構える。しかし鈴木が次巡ツモってきたのは一筒。山本のアガリとなった。

二万二万二万一索二索三索五索六索七索二筒三筒六筒六筒  ロン一筒

山本はこのアガリで4万点超えのトップとなりリードをさらに広げた。
一方この瞬間、鈴木の敗退が決まった。難しい展開ではあったが初の決勝でベテランが最後まで丁寧な麻雀を魅せてくれた。

5回戦成績
山本+21.8P 平野+7.1P 足立+4.1P 鈴木▲33.0P

5回戦終了時
山本+99.5P 足立+53.4P 平野+28.3P 松井▲10.9P 鈴木▲70.3P(敗退)

 

 

6回戦(起家から足立、平野、松井、山本)

最終6回戦は、トータルポイント2位、3位、4位、1位の順に東家、南家、西家、北家の並びとなる。
白熱した試合もいよいよクライマックスである。

南1局 東場は小場で進み山本以外の三者が浮きで迎えた南1局。山本は残りのリードを守り切ろうと普段より一層積極的に動く。

二万二万三万三万六万八万一索三索三索五索一筒三筒五筒  ドラ三索

ここから6巡目に四筒をチーして打一筒、すぐに今度は二万をポンして打五索として1シャンテン。12巡目に七万をチーするとようやくテンパイ。

三万三万三索三索  チー七万 左向き六万 上向き八万 上向き  ポン二万 上向き二万 上向き二万 上向き  チー四筒 左向き三筒 上向き五筒 上向き

しかしここで親の足立からリーチが入る。

一万二万三万一索二索四索四索七索八索九索六筒七筒八筒  リーチ

山本はこのリーチを受けて即撤退。足立は最後のツモでアガって2,000オール。このアガリで足立の1人浮きとなる。

南2局2本場 最後の親番が終わり、ある程度の打点を必要とする足立。それでも積極的に仕掛ける姿勢は変わらない。

一万五万一索二索五索六索六索七索二筒五筒西中中  ドラ三索

この手牌から3巡目に平野が切った1枚目の中をポン。ソーズのホンイツを見る。中を加カンするなどして形が整ってくると親番の平野からリーチが入る。

二万二万三万三万四索四索七索七索九索九索一筒五筒五筒  リーチ

平野としては一筒が良く見えるというのもあるだろうが、他家の動きを止めて最後の親番を終わらせないためのリーチという意味合いもあるだろう。しかし足立は押し返してテンパイする。

一索二索三索四索五索六索六索七索八索九索  加カン中中中中

平野が六索を掴んでしまい、足立へ8,000の放銃。足立はこのアガリで山本との差をわずか2.5Pとした。

南3局 一刻も早く局を流したい山本は10巡目にテンパイ。

二万三万四万五万五索六索七索七索二筒二筒六筒七筒八筒  ツモ一万

ピンフのみのテンパイはヤミテンというのがAルールのセオリーとされている。しかし少しでもポイントが欲しい山本は七索切りリーチとする。この判断が正解だったのか、ツモアガリで700・1,300。事実上、山本と足立の一騎打ちとなった。

南4局 第28回静岡リーグ決勝もいよいよ最終戦オーラス。暫定トップの山本と足立の差はわずか5.9P。麻雀の神様が微笑むのはどちらなのか。

出アガリが難しい状況となったこの局、ツモだと1,000・2,000条件。足立は条件に合う手組みをする。そして12巡目にテンパイ。

二万三万四万二索三索四索二筒三筒三筒四筒四筒七筒七筒  ドラ三万

この手だと安めの五筒で出アガリをしても優勝となる。足立は当然のようにヤミテンに構えた。すでに他の3者はオリており、あとは足立がツモることができるかだけとなった。
一回一回ツモる手に力が入る足立。5巡アガることができないままいよいよハイテイ牌。最後のツモにおそるおそる手を伸ばす。より一層ツモに力が入る足立。観客の視線も足立の右手に集まる。しかし最後のツモは一万。足立の一人テンパイで流局、試合終了。観客からは大きな拍手が選手たちに贈られた。

6回戦成績
足立+33.8P 松井▲4.5P 山本▲10.4P 平野▲18.9P

最終ポイント
山本+89.1P 足立+87.2P 平野+9.4P 松井▲15.4P 途中敗退:鈴木

 

 

第28回静岡リーグは山本拓哉プロの優勝で幕を閉じた。
史上初となる静岡プロリーグとのダブルクラウンを見事に達成した。
どの選手においてもそれぞれの持ち味を出し、最後まで強い気持ちで戦ったからこそ、見ごたえのある決勝となった。

決勝進出者の皆様、お疲れさまでした。
そして山本プロ、本当におめでとうございます。

静岡プロリーグ 決勝観戦記/第28回静岡リーグ(プロアマ混合)決勝レポート

2017年1月29日。
この日、第28回静岡リーグの決勝が行われた。
決勝ではそれぞれ1位+40P、2位+30P、3位+20P、4位+10Pの順位ポイントが与えられる。全6回戦が行われ、5回戦終了時(各1回抜け番)にポイント最下位の者が敗退となり、最終1回戦を行い、トータルポイントがトップの者が優勝となる。
まずは、簡単な選手紹介と決勝直前の各選手の意気込みを載せたいと思う。
1位通過 山本拓哉プロ(中部本部)
(初出場)
静岡プロリーグを逆転優勝した山本プロが勢いをそのままに静岡リーグの優勝にも挑む。
鳴きを主体とした攻めで手数が多いタイプであり、主導権を積極的に取りに来るであろう。今回は追われる立場となっており、マークを受ける場面も多くなるとは思うが、持ち味である思い切りの良い麻雀で今回の決勝も戦いをリードしてくるであろう。
山本プロ「静岡プロリーグを優勝することができたので、次は静岡リーグも優勝してのダブルクラウンを目指して頑張ります。」
2位通過 平野敬悟プロ(静岡支部)
(2期ぶり3回目)
今回の決勝メンバーでは唯一静岡リーグの決勝進出経験のある平野プロ。場面を見極める能力や対応力は非常に優れており万能な選手である。
リーグ戦でも安定した戦いを見せており、決勝の舞台でも経験を活かしてペースを作ることができるか。
平野プロ「普段通りに平常心で頑張りたいと思います。」
3位通過 足立純哉プロ(東京本部)
(初出場)
 
プロ1年目にして決勝進出となった足立プロ。足立プロも山本プロと同じく鳴きが多く、手数で勝負する印象で、山本プロとの主導権争いに持ち込むことが予想される。
経験の浅さを気持ちでカバーして場面をリードすることを期待したい。
 
足立プロ「まだ1年目ということで、チャレンジ精神で頑張りたいと思います。」
4位通過 鈴木雅人プロ(静岡支部)
(初出場)
 
プロ15年目の鈴木プロが安定した戦いで悲願の決勝進出を決めた。手数の多い選手が上位通過しているため自身も思い切った攻めが必須となるが、スタイルである門前高打点を貫くことで局面を打開してほしい。
鈴木プロ「初めての決勝ということでとにかく楽しんで頑張りたいと思います。」
5位通過 松井和志さん(一般参加)
(初出場)
 
唯一の一般参加での決勝進出となった松井さん。第1節で+105.9Pを叩くなど、爆発力はかなりのものを持っている。受けの意識も強く、安定感という面では他のプロにも劣っていない印象だ。5位通過ということで、1位通過の選手とは40P差があり、戦い方は難しくなってくるが、持ち味の門前高打点でプロを相手にどのように戦っていくか楽しみである。
 
松井さん「5位通過であり、唯一のアマチュアということでプレッシャーはないので、気楽に頑張ります。」
以上の5名の戦いとなる。
初決勝が4名とフレッシュな顔ぶれとなった今回。どの選手も納得のいく麻雀を打って決勝の舞台を楽しんでほしいと心から思う。
(以下文章中敬称略)
1回戦(起家から山本、鈴木、松井、足立、抜け番:平野)
東1局 まずは各選手の配牌を見ていこう。
親:山本
一万五万五万六万七万七万九万五索七索一筒九筒西白中  ドラ二万
南家:鈴木
三万八万二索六索九索一筒二筒五筒六筒九筒九筒白白
西家:松井
一万二万二万一索四索五索六索一筒三筒四筒西中中
北家:足立
三万三万二索四索六索七索七索九索三筒六筒七筒南西
どの選手もまずまずといったところだろう。
4巡目、まずはドラ2枚の松井が積極的に仕掛ける。
一万二万二万四索四索五索六索一筒三筒四筒西中中 
ここから1枚目の中をポン。徐々に進行していき、11巡目に二筒をチー。
二万二万四索五索六索三筒四筒  チー二筒 左向き三筒 上向き四筒 上向き  ポン中中中
二筒を足立から出アガリ、3,900でまずは先制に成功した。
東2局 今度は山本が積極的に仕掛ける。
四万四万五万六万七万一索一索五筒七筒北北白白  ドラ六筒
この手牌から3巡目に北をツモる。ドラ六筒ということで筒子を残す選手も多いとは思うが、山本は五筒切りを選択。5巡目に1枚目の白をポンすると7巡目にあっさりと一索をツモって800・1,600。仕掛けを基本として手数で勝負する山本らしい手組みの1局であった。
東3局1本場 親番の松井の配牌
四万六索七索八索八索九索一筒二筒三筒六筒六筒六筒七筒中  ドラ一筒
好配牌をもらうと4巡目にテンパイが入る。
二万四万六索七索八索一筒二筒三筒五筒六筒六筒六筒七筒  打九索 左向き
松井はここで九索を切ってリーチとした。タンヤオやピンズの一通、好形変化などを見てヤミテンにする打ち手もいるとは思うが、東1局から見せている積極的な攻めの姿勢をここでも貫いた。しっかりと三万をツモって2,000オール。松井の持ち点は40,000点を超えてきた。
東4局 仕掛けの多い打ち手と言われていた足立が親番であるこの局にようやく最初の仕掛けを入れる。
一万三万四万九万九万二索三索一筒二筒三筒五筒七筒九筒  ドラ五万
ここから6巡目に二万をチーして打四万。純チャン三色へと進めていこうとするが、8巡目に松井からリーチが入る。
五万六万七万七索八索九索三筒四筒東東中中中
ここから足立が親番維持のためにテンパイを目指しつつ華麗に回る。
九万九万二索三索四索一筒二筒三筒五筒七筒  チー二万 左向き一万 上向き三万 上向き
この牌姿から11巡目に松井の当たり牌である二筒を掴むとソーズを切っていく。ツモ二筒四索、ツモ八索二索、ツモ七索三索とすると今度は五筒を掴んでしまう。
九万九万七索八索一筒二筒二筒三筒五筒七筒  チー二万 左向き一万 上向き三万 上向き  ツモ五筒
ここではリーチの現物である九万のトイツ落としで回る。ツモ北九万、ツモ五筒北、ツモ七筒一筒、ツモ七筒三筒で流局。
七索八索二筒二筒五筒五筒五筒七筒七筒七筒  チー二万 左向き一万 上向き三万 上向き
しっかりと回りきって親番を維持した。このようなプレーの一つ一つが勝敗を分ける場合もある。非常に勉強になった1局であった。
東4局1本場 前局、素晴らしいプレーが光った足立。こうして続けることのできた親番には不思議と手が入るものだ。
五索五索五索六索六索六索七筒八筒九筒南南中中  ドラ八索
この手で12巡目にリーチ。15巡目に中ツモ。ここまで苦しい展開だった足立にとって大きなアガリとなった。
南3局3本場 南場に入ってからここまで大人しくしていた山本が積極的に動く。
四万五万六万一索一索四索五索一筒南南西白白  ドラ一万
ここから3巡目に白をポン。打一筒として1シャンテン。8巡目に一索をポンしてテンパイ。
三万四万五万四索五索南南  ポン一索 上向き一索 上向き一索 上向き  ポン白白白
足立から三索が放たれて1,000。
オーラスでも山本は仕掛けて300・500をアガる。やはりというのか、アガリ回数では山本が他を圧倒していた。
1回戦は東場で積極的に攻めた松井がトップ。山本も上手く立ち回って浮きの2着を守った。
1回戦1回戦成績
松井+14.0P 山本+7.6P 足立▲5.4P 鈴木▲16.2P
1回戦終了時
山本+47.6P 平野+30.0P 足立+14.6P 松井+14.0P 鈴木▲6.2P

 
 
2回戦(起家から平野、鈴木、松井、山本、抜け番:足立)
1回戦抜け番となった平野はこれが初戦となる。
1回戦を見て、どのように戦っていくのか注目である。
東1局 1回戦ラススタートとなってしまった鈴木から8巡目にリーチが入る。
四万五万二索三索四索四筒五筒六筒七筒八筒九筒西西  リーチ  ドラ七筒
その時の親番の平野の手牌。
二万三万三万六万七万三索六索七索八索二筒四筒五筒五筒
12巡目に三筒をツモると無筋の三索をノータイムで切る。14巡目にリーチ者の鈴木から五筒が放たれるとこれをポン。ここでも迷わず無筋の二万を切ってテンパイを入れると次巡八万ツモ。
三万三万六万七万六索七索八索二筒三筒四筒  ポン五筒 上向き五筒 上向き五筒 上向き  ツモ八万
500オールのアガリ。初戦の入り方としては強い気持ちで良い入り方ではないか。また、平野はこういった捌き手の使い方が非常に上手な印象がある。
東1局2本場 北家の山本の配牌。
二万一索一索二索三索三索五索六索八索九索六筒六筒中
ここから平野が1巡目に切った一索をいきなりポン。チンイツを目指すと今度は4巡目に上家の松井から打たれた一索をチー。強引な仕掛けに見えるが5巡目にして2フーロで1シャンテン。
三索五索六索六索八索九索中  チー一索 左向き二索 上向き三索 上向き  ポン一索 上向き一索 上向き一索 上向き
10巡目に六索を引き入れると12巡目にツモ五索。テンパイを入れて打三索
五索五索六索六索六索八索九索  チー一索 左向き二索 上向き三索 上向き  ポン一索 上向き一索 上向き一索 上向き
するとこの三索を松井がポン。松井もソーズの染め手で応戦する。
四索五索六索七索七索九索東東西西西  ポン三索 上向き三索 上向き三索 上向き
場には七索が1枚切れ。八索東は生牌。松井は打四索としてカン八索待ちを選択。すると今度はその四索を山本がチー。一通がついて跳満確定。次巡にあっさり七索ツモ。
六索六索八索九索  チー四索 左向き五索 上向き六索 上向き  チー一索 左向き二索 上向き三索 上向き  ポン一索 上向き一索 上向き一索 上向き
一見無謀に思える今回の山本の仕掛け。しかし安い仕掛けではなくこういった仕掛けも成功させているのが山本の強さなのではないか。
東3局 ここまであまり良いところのなかった鈴木にドラ3のテンパイが入る
一万二万三万五万六万八万八万八万一索二索三索八索八索  ドラ八万
8巡目にリーチを打つと次巡四万のツモアガリで2,000・4,000。悪い流れを断ち切るアガリ。若手プロが試合を上手く組み立てていくなかでベテランの意地を見ることができた。
南1局 この局は山本が先制リーチ。
三万三万六万七万八万七索七索七索四筒五筒  暗カン牌の背一索 上向き一索 上向き牌の背  ドラ三万
すると12巡目に松井が追いかけリーチ。
四索四索五索五索六索三筒四筒五筒六筒六筒六筒八筒八筒  リーチ
しかしここは山本が三筒をツモって2,000・4,000。
仕掛けだけではない、こういったリーチ合戦でも山本はあまり負けない印象がある。
この後は小場が続き、大物手を二度ものにした山本がトップで大きくリードする展開となった。
2回戦成績
山本+23.8P 松井+9.3P 鈴木▲12.3P 平野▲20.8P
2回戦終了時
山本+71.4P 松井+23.3P 足立+14.6P 平野+9.2P 鈴木▲18.5P

 
 
3回戦(起家から平野、松井、足立、鈴木、抜け番:山本)
東3局1本場 4巡目にテンパイの平野
五万六万七万七索七索七索二筒四筒四筒五筒六筒七筒七筒  ドラ三索
この手牌ではヤミテンに構える。手変わりをして11巡目にリーチ。
四万五万六万七索七索七索二筒四筒四筒四筒五筒六筒七筒  リーチ
対する鈴木、13巡目にツモり四暗刻の1シャンテンとなる。
二万二万二万四万四万五万四索四索五索五索三筒三筒三筒
平野の当たり牌である三筒を暗刻で持つというチャンス手。テンパイしないまま17巡目、4枚目の三筒をツモってくる。
二万二万二万四万四万五万四索四索五索五索三筒三筒三筒  ツモ三筒
鈴木はここで三筒を暗カンする。するとツモってきたのは二筒。鈴木は三筒のノーチャンスで二筒を切って2,600の放銃。1、2回戦と苦しい展開となっている鈴木、この局も手痛い放銃となってしまった。
南1局 10巡目、足立
一万二万三万六万七万五索六索七索二筒三筒西発発  ツモ八万  ドラ西
ドラであり生牌の西を切るとテンパイ。ここで足立は発のトイツ落としを選択。西をすでに切れないと感じたのか、もしくは暫定1位の山本との合計ポイントの差を考えたのか、西を使い切るという判断を下した。そして14巡目に待望のドラの西を引いてリーチ。
一万二万三万六万七万八万五索六索七索二筒三筒西西  リーチ
結果は流局ではあったが、こういった足立のプレーこそが優勝を引き寄せると思った。
南2局3本場 3巡目に平野は早くも1シャンテン。
四万八万三索六索七索八索三筒四筒五筒六筒七筒八筒白  ツモ三索  ドラ白
ピンズの一通や三色が見える手牌。平野は目一杯に構えてドラの白を打ち出す。するとこの白を鈴木がポンして1シャンテン。
一万二万三万四万六万七万八万九万二索四索  ポン白白白
場が一気に重くなる。7巡目、先にテンパイしたのは鈴木。
二万三万四万六万六万七万八万九万四索五索  ポン白白白
三索六索待ち。遅れて8巡目に平野もテンパイ。
六万八万三索三索六索七索八索三筒四筒五筒六筒七筒八筒
平野は強気にリーチを選択。ここまであまり展開の良くない鈴木とのめくり合いならば勝てると踏んだか。結果は平野のツモ。2,000・4,000となった。
南4局 5巡目に足立がリーチ。
四万五万六万二索三索四索四索五索五索六索七索七筒七筒  リーチ  ドラ六万
ヤミテンに構えて3,900点をアガっても浮きに回ることができる。しかし足立はリーチをしてより大きく打点を稼ぐことを選んだ。この小さなアガリを重ねるよりも1回の大きなアガリを求める考えはこの半荘通して統一されていた。結果は六索をツモって2,000・4,000。足立としては戦略が上手くはまったように私には感じ取ることができた。
3回戦はアガリを重ねた平野、足立が浮きで終え、抜け番だった山本の独走に待ったをかける形となった。
平野+20.8P 足立+11.3P 松井▲13.3P 鈴木▲18.8P
3回戦終了時
山本+71.4P 平野+30.0P 足立+25.9P 松井+10.0P 鈴木▲37.3P

 
 
4回戦(起家から平野、足立、山本、松井、抜け番:鈴木)
東1局 暫定トップの山本を誰かが止めることが注目の4回戦。
9巡目、まずは親番の平野がテンパイする。
五万五万四索五索六索七索八索九索四筒五筒六筒七筒八筒  ドラ東
手変わりを見てかヤミテンに構える。すると、それを知ってか知らずか、同巡に足立がリーチ。
一万二万三万四万四万七万七万七万一索二索三索二筒三筒  リーチ
高め三色同巡の好形リーチである。今度は宣言牌の三万を山本がポンして1シャンテン。
六万七万八万三索三索三筒三筒六筒六筒南  ポン三万 上向き三万 上向き三万 上向き
それを見て実はすでにテンパイを入れていた松井がツモ切りリーチ。
四万五万六万七索八索九索五筒五筒七筒八筒九筒東東  リーチ
しかしこのツモ切りリーチが裏目に出たか、松井が四筒を掴んで足立へ1,300の放銃となった。もしも平野や松井が先制リーチを打っていれば、など様々なことを考えさせられる1局となった。
東2局2本場 平野が10巡目に1枚目の発を仕掛ける。その後すぐに両面チーしてあっという間の1,000点のテンパイ。
二万三万五万五万三筒四筒五筒  チー五筒 左向き六筒 上向き七筒 上向き  ポン発発発  ドラ一万
これに追いついたのは足立。12巡目にリーチ。
六万七万七万八万九万五索五索五索六索七索八索二筒二筒  リーチ
しかし次巡に足立が四万を掴んでしまい放銃。このように平野と足立が主導権争いをする局面が4回戦から増えたように見えた。
東3局 先制したのはまたもや平野。6巡目にリーチ。
二万三万四万七万七万六索七索二筒三筒四筒五筒六筒七筒  リーチ  ドラ白
その時点での親番の山本の手牌がこちら。
四万五万六万六万八万三索四索五索六索六索一筒三筒白
カン七万やカン二筒が入るとテンパイではあるがリーチに対してドラで生牌の白を切らなければならない。ここからツモ八筒一筒、ツモ六筒八筒、ツモ八万六万、ツモ白三筒などとして12巡目の手牌がこちら。
四万五万六万八万八万三索四索五索六索六索六筒白白
ここでリーチをかけていた平野から白が切られる。山本は迷わずポンテンを取ると、ラス牌の八万を簡単にツモ。3,900オール。やはりツキは山本にあるのか。
四万五万六万八万八万三索四索五索六索六索  ポン白白白  ツモ八万
東3局1本場 足立の配牌がこちら。
一万四万六万九万五索六索七索一筒一筒三筒八筒西発  ドラ二筒
1メンツあるものの、形が悪く高打点も見込めない手牌。しかし、1巡目と2巡目に連続して自風の北をツモると、迷わずカン五万からチー。
五索六索七索一筒一筒三筒八筒北北発  チー五万 左向き四万 上向き六万 上向き
その後、ツモ七筒三筒、ツモ九筒発で5巡目にあっという間にテンパイ。9巡目に平野から北が打たれて1,000点のアガリ。
五索六索七索一筒一筒七筒八筒九筒北北  チー五万 左向き四万 上向き六万 上向き  ロン北
前局のアガリでこの半荘でもトップ目に立ってしまった山本の親番を意地でも終わらせる足立の気合が見られた。
南1局 この局、松井にチャンス手が入る。まずは配牌。
三万三万四万五万七万八万三筒七筒南南西北白  ドラ白
マンズのホンイツが色濃く見える。この手牌が3巡で大きく育つ。
三万三万四万五万五万六万七万八万南南西白白
5巡目に山本から四万が切られる。松井は迷わずチー。テンパイである。
三万四万五万六万七万八万南南白白  チー四万 左向き三万 上向き五万 上向き
これを見た山本が7巡目に仕掛け返す。
三索四索九索九索六筒六筒六筒九筒西西  チー八索 左向き六索 上向き七索 上向き
次巡、ツモ西九筒となってテンパイ。11巡目に足立から五索が打たれて山本のアガリ。
三索四索九索九索六筒六筒六筒西西西  チー八索 左向き六索 上向き七索 上向き  ロン五索
相手のチャンス手を山本が後から仕掛けてサバく。この決勝で何度も見られた光景である。
南2局2本場 親番で2局連続アガっている足立、この局も11巡目にリーチをかける。
七万八万九万三索四索五索二筒三筒五筒五筒七筒八筒九筒  リーチ  ドラ五筒
それに対して対抗していくのはやはり山本。リーチの現物を切りつつテンパイを維持。しかし足立の切られた五筒で考えてしまう。
三万四万五万六万七万八万六索七索八索三筒四筒四筒五筒
五筒を鳴いてリーチの現物である三万四万を切ってアガリを目指すかどうか考える山本。しばらく悩むが、ここは鳴かずに今のままのテンパイ形を維持することを決意。すると、16巡目にツモってきたのは五万であった。
三万四万五万六万七万八万六索七索八索三筒四筒四筒五筒  ツモ五万
四筒が通って二万五万八万待ちになれば勝ち目があると踏んだ山本は四筒を切る。しかし、四筒は足立に放銃となり11,600。
42,900点持ちのトップ目であった山本だったが、この放銃で2着へ。アガった足立はリードを守ってこの半荘をトップで終えた。
4回戦に入ってから各選手のマークは山本1人に完全に絞られているように見えた。特に平野と足立はいつもに増して仕掛けを増やし山本へ対抗していたように感じた。
4回戦成績
足立+23.4P 山本+6.3P 平野▲8.8P 松井▲20.9P
4回戦終了時
山本+77.7P 足立+49.3P 平野+21.2P 松井▲10.9P 鈴木▲37.3P

 
 
5回戦(起家から平野、足立、山本、鈴木、抜け番:松井)
静岡リーグの決勝はこの5回戦を終えた時点でポイント最下位のものは一足早く敗退となってしまう。最終6回戦は勿論のこと、この5回戦もどの選手も全力で戦うに間違いない。
東2局 優勝を目指すには1局たりとも無駄にはできない鈴木。この局、先制リーチを打つ。
一索二索三索三索四索五索五索六索六索七索二筒三筒四筒  ドラ七索
それに対して押し返すのが親番の足立。13巡目に仕掛けてテンパイを入れる。
四万四万七万八万九万三索四索七索八索九索  チー九筒 左向き七筒 上向き八筒 上向き
この2人の引き合いにも見えた局面。鈴木がハイテイ牌の八筒をツモ切りして流局するかに思えたが、山本からロンの声がかかる。
一万一万五万五万七万七万八万八万八索八索六筒六筒八筒
山本はリーチや親の仕掛けに対して強い牌を極力切らずにしっかりとテンパイを入れていた。山本の3,200のアガリ。
東3局 前局アガって親番を迎えた山本。この局も積極的に仕掛ける。
三万五万六万七万八万二筒東西北北発中中  ドラ二万
この手牌から3巡目にポン中二筒、続く5巡目にポン北西。9巡目にツモ五万発として形が整う。
三万五万五万六万七万八万東  ポン北北北  ポン中中中
11巡目にツモ九万東としてより広い1シャンテンとすると、15巡目にようやくテンパイ。
三万五万五万六万七万八万九万  ツモ八万  ポン北北北  ポン中中中
場には四万七万も1枚切れだが自分で使っているので七万の方が1枚少ない。それでも七万が山にあると読んだか、この場面で山本は打三万とする。そして2巡後にツモアガって2,600オール。こういった選択を確実に正解することが勝利への一歩なのだろう。
五万五万六万七万八万八万九万  ポン北北北  ポン中中中  ツモ七万
東4局 なんとか親番で連荘したい鈴木。11巡目にリーチ。
六万七万八万四索五索六索二筒三筒六筒七筒八筒南南  リーチ  ドラ二筒
このリーチに向かってくるのは平野。リーチの現物やスジの牌を切って安全に進めつつ13巡目に高め一通の追っかけリーチ。
五万五万一索二索三索二筒三筒四筒五筒六筒七筒八筒九筒  リーチ
そして平野が安めではあるが七筒をツモって1,300・2,600。この日の鈴木はこのように先制しても誰かに押し返されてアガリきられてしまうケースが非常に多かったように思える。
南4局2本場 現状5位の鈴木はこの親番で誰かをまくらなければ敗退となってしまう。しかし無情にも2巡目に山本からリーチが入る。
二万二万二万一索二索三索五索六索七索二筒三筒六筒六筒  リーチ  ドラ三万
どうにかして山本のアガリは阻止しなければならない鈴木。なんとか9巡目にテンパイ。
五万六万七万三索四索五索七索八索九索五筒七筒発発
手変わりを見て冷静にヤミテンに構える。しかし鈴木が次巡ツモってきたのは一筒。山本のアガリとなった。
二万二万二万一索二索三索五索六索七索二筒三筒六筒六筒  ロン一筒
山本はこのアガリで4万点超えのトップとなりリードをさらに広げた。
一方この瞬間、鈴木の敗退が決まった。難しい展開ではあったが初の決勝でベテランが最後まで丁寧な麻雀を魅せてくれた。
5回戦成績
山本+21.8P 平野+7.1P 足立+4.1P 鈴木▲33.0P
5回戦終了時
山本+99.5P 足立+53.4P 平野+28.3P 松井▲10.9P 鈴木▲70.3P(敗退)

 
 
6回戦(起家から足立、平野、松井、山本)
最終6回戦は、トータルポイント2位、3位、4位、1位の順に東家、南家、西家、北家の並びとなる。
白熱した試合もいよいよクライマックスである。
南1局 東場は小場で進み山本以外の三者が浮きで迎えた南1局。山本は残りのリードを守り切ろうと普段より一層積極的に動く。
二万二万三万三万六万八万一索三索三索五索一筒三筒五筒  ドラ三索
ここから6巡目に四筒をチーして打一筒、すぐに今度は二万をポンして打五索として1シャンテン。12巡目に七万をチーするとようやくテンパイ。
三万三万三索三索  チー七万 左向き六万 上向き八万 上向き  ポン二万 上向き二万 上向き二万 上向き  チー四筒 左向き三筒 上向き五筒 上向き
しかしここで親の足立からリーチが入る。
一万二万三万一索二索四索四索七索八索九索六筒七筒八筒  リーチ
山本はこのリーチを受けて即撤退。足立は最後のツモでアガって2,000オール。このアガリで足立の1人浮きとなる。
南2局2本場 最後の親番が終わり、ある程度の打点を必要とする足立。それでも積極的に仕掛ける姿勢は変わらない。
一万五万一索二索五索六索六索七索二筒五筒西中中  ドラ三索
この手牌から3巡目に平野が切った1枚目の中をポン。ソーズのホンイツを見る。中を加カンするなどして形が整ってくると親番の平野からリーチが入る。
二万二万三万三万四索四索七索七索九索九索一筒五筒五筒  リーチ
平野としては一筒が良く見えるというのもあるだろうが、他家の動きを止めて最後の親番を終わらせないためのリーチという意味合いもあるだろう。しかし足立は押し返してテンパイする。
一索二索三索四索五索六索六索七索八索九索  加カン中中中中
平野が六索を掴んでしまい、足立へ8,000の放銃。足立はこのアガリで山本との差をわずか2.5Pとした。
南3局 一刻も早く局を流したい山本は10巡目にテンパイ。
二万三万四万五万五索六索七索七索二筒二筒六筒七筒八筒  ツモ一万
ピンフのみのテンパイはヤミテンというのがAルールのセオリーとされている。しかし少しでもポイントが欲しい山本は七索切りリーチとする。この判断が正解だったのか、ツモアガリで700・1,300。事実上、山本と足立の一騎打ちとなった。
南4局 第28回静岡リーグ決勝もいよいよ最終戦オーラス。暫定トップの山本と足立の差はわずか5.9P。麻雀の神様が微笑むのはどちらなのか。
出アガリが難しい状況となったこの局、ツモだと1,000・2,000条件。足立は条件に合う手組みをする。そして12巡目にテンパイ。
二万三万四万二索三索四索二筒三筒三筒四筒四筒七筒七筒  ドラ三万
この手だと安めの五筒で出アガリをしても優勝となる。足立は当然のようにヤミテンに構えた。すでに他の3者はオリており、あとは足立がツモることができるかだけとなった。
一回一回ツモる手に力が入る足立。5巡アガることができないままいよいよハイテイ牌。最後のツモにおそるおそる手を伸ばす。より一層ツモに力が入る足立。観客の視線も足立の右手に集まる。しかし最後のツモは一万。足立の一人テンパイで流局、試合終了。観客からは大きな拍手が選手たちに贈られた。
6回戦成績
足立+33.8P 松井▲4.5P 山本▲10.4P 平野▲18.9P
最終ポイント
山本+89.1P 足立+87.2P 平野+9.4P 松井▲15.4P 途中敗退:鈴木

 
 
第28回静岡リーグは山本拓哉プロの優勝で幕を閉じた。
史上初となる静岡プロリーグとのダブルクラウンを見事に達成した。
どの選手においてもそれぞれの持ち味を出し、最後まで強い気持ちで戦ったからこそ、見ごたえのある決勝となった。
決勝進出者の皆様、お疲れさまでした。
そして山本プロ、本当におめでとうございます。

Mr.Xの連盟Weekly!

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【グランプリMAX201】
 
いよいよ本日よりベスト8の配信が始まる。

A卓 3/6(月)15:00~
内川幸太郎vs小島武夫vs伊藤優孝vs白鳥翔
実況:小笠原奈央
解説:藤崎智

B卓 3/7(火)15:00~
和久津晶vs吉田直vs柴田吉和vs佐々木寿人
実況:小笠原奈央
解説:近藤久春

3/18.19の決勝戦へ進むのは各卓2名!

 

 

【小島先生】
 
81歳にして、グランプリベスト8に勝ち進む超人だが、モンド名人戦への出場は今期が最後となることを表明した。

先日エンタメ~テレで放送中の天空麻雀を制した時、インタビューを担当したのは、日本プロ麻雀連盟の地下アイドル的存在、「中野くん」こと中野妙子だ。

・第160回:天空麻雀18男性大会優勝特別インタビュー 小島 武夫  インタビュアー:中野くん

 

100

 

グランプリベスト16、ラス親では勝ち上がりが決まっている状態で南4局の親番を続行するという、「?」なプレーがあった。
何をしようとも自由ではあるのだが、この親を続行する「プロ」は全体の5%もいないだろう。
それについて、小島武夫の孫である小島優がブログで触れている。
 

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ウムムム…

勝ち上がりが決まっている場合は、連荘せずにノーテン宣言をして伏せるのが、常識的な対応と言える。対戦相手もそれを想定して打っている。
だから、視聴者側も「?」となりコメントは荒れてしまう。

そういった批判はやめて欲しいとは言わないが、ミスター麻雀、小島武夫の麻雀を見届けたい人は是非ご覧になってほしい。
こういった話しは中途半端に書くべきではないけど。
しかし、出場を認めているのは、連盟の競技部であり局だ。
あとは見る人に委ねるけど。

 

 

【BIG1】
 
麻将連合で一番歴史のある、プロアマ混合のタイトル戦。
こちらの決勝に連盟の奈良テムが残ったと情報が入った。
 

100

 

一発・裏ドラ・カンドラなし。順位点は4-12と連盟のAルールに近いルールだ。

過去にマスターズを獲得している奈良は、第2期グランプリMAXの決勝にも残っており、それ以来の決勝戦進出となる。
再び自身の実力を証明するチャンスが巡ってきた。
そして、プロ団体日本一決定戦で優勝となった日本プロ麻雀連盟の層の厚さを見せてくれ!

3/11(土)13時より半荘4回戦!

 

 

【目の上のたんこぶ】
 
BIG1カップ決勝進出を決めた、奈良テムの活躍に目を光らせる古橋崇志はその頃、自身の出演する再放送をアピールしていた。
 

100

 

明らかなツッコミ待ちのつぶやきに、関係者で返信してくれたのは、内川幸太郎のみだ。
A1昇級を決め、グランプリベスト8を戦っている内川は古橋にも気を使う余裕があるのだ。多くの人はこれは見て見ぬふりで流れていくだろう。

と、思いきや、いきなり猿様からバッサリいかれた。

 

100

 

 

【女流日本シリーズ】
 
古橋崇志が実況をつとめる女流日本シリーズは、3月8日のプレーオフが終わると、週末はもう決勝戦。
解説は、何となく食い合わせ?の良い藤崎×前田、そして決勝は地元の高校で先輩後輩の関係にあたる藤崎×佐々木だ。

 

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放送予定 3/8 17:00~
女流プロ麻雀日本シリーズ2017プレーオフ


放送ページはこちら


放送ページはこちら

 

2017を制するのは誰だ!?


放送予定 3/12 16:00~
女流プロ麻雀日本シリーズ2017決勝戦


放送ページはこちら


放送ページはこちら
 
????vs????vs????vs????
実況:古橋崇志
解説:藤崎智(現十段位)・佐々木寿人
 

 

【正体】
 
最近、Mr.Xって誰だ?と話題に出ることがある。
若手の間では大体あたりは着いているようで、直接本人(と思っている人物)に「読みましたよ」とか「面白かった」とか、中には「載せていただいてありがとうございます」などと言っている奴まで出てくる始末だ。

ジャイアント馬場の16文キックってホントに痛いんですかね?
一度でもくらってからモノを言え!
若手プロレスラーがそんなこと言うか!?
匿名でやっている意味がない!
若干論点がズレているのは承知だが、締め切りが近いのでこのまま提出する。とにかく詮索するのはやめておくれ。

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プロ雀士コラム/Mr.Xの連盟Weekly!

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【グランプリMAX201】
 
いよいよ本日よりベスト8の配信が始まる。
A卓 3/6(月)15:00~
内川幸太郎vs小島武夫vs伊藤優孝vs白鳥翔
実況:小笠原奈央
解説:藤崎智
B卓 3/7(火)15:00~
和久津晶vs吉田直vs柴田吉和vs佐々木寿人
実況:小笠原奈央
解説:近藤久春
3/18.19の決勝戦へ進むのは各卓2名!
 
 
【小島先生】
 
81歳にして、グランプリベスト8に勝ち進む超人だが、モンド名人戦への出場は今期が最後となることを表明した。
先日エンタメ~テレで放送中の天空麻雀を制した時、インタビューを担当したのは、日本プロ麻雀連盟の地下アイドル的存在、「中野くん」こと中野妙子だ。
・第160回:天空麻雀18男性大会優勝特別インタビュー 小島 武夫  インタビュアー:中野くん
 

100

 
グランプリベスト16、ラス親では勝ち上がりが決まっている状態で南4局の親番を続行するという、「?」なプレーがあった。
何をしようとも自由ではあるのだが、この親を続行する「プロ」は全体の5%もいないだろう。
それについて、小島武夫の孫である小島優がブログで触れている。
 

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ウムムム…
勝ち上がりが決まっている場合は、連荘せずにノーテン宣言をして伏せるのが、常識的な対応と言える。対戦相手もそれを想定して打っている。
だから、視聴者側も「?」となりコメントは荒れてしまう。
そういった批判はやめて欲しいとは言わないが、ミスター麻雀、小島武夫の麻雀を見届けたい人は是非ご覧になってほしい。
こういった話しは中途半端に書くべきではないけど。
しかし、出場を認めているのは、連盟の競技部であり局だ。
あとは見る人に委ねるけど。
 
 
【BIG1】
 
麻将連合で一番歴史のある、プロアマ混合のタイトル戦。
こちらの決勝に連盟の奈良テムが残ったと情報が入った。
 

100

 
一発・裏ドラ・カンドラなし。順位点は4-12と連盟のAルールに近いルールだ。
過去にマスターズを獲得している奈良は、第2期グランプリMAXの決勝にも残っており、それ以来の決勝戦進出となる。
再び自身の実力を証明するチャンスが巡ってきた。
そして、プロ団体日本一決定戦で優勝となった日本プロ麻雀連盟の層の厚さを見せてくれ!
3/11(土)13時より半荘4回戦!
 
 
【目の上のたんこぶ】
 
BIG1カップ決勝進出を決めた、奈良テムの活躍に目を光らせる古橋崇志はその頃、自身の出演する再放送をアピールしていた。
 

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明らかなツッコミ待ちのつぶやきに、関係者で返信してくれたのは、内川幸太郎のみだ。
A1昇級を決め、グランプリベスト8を戦っている内川は古橋にも気を使う余裕があるのだ。多くの人はこれは見て見ぬふりで流れていくだろう。
と、思いきや、いきなり猿様からバッサリいかれた。
 

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【女流日本シリーズ】
 
古橋崇志が実況をつとめる女流日本シリーズは、3月8日のプレーオフが終わると、週末はもう決勝戦。
解説は、何となく食い合わせ?の良い藤崎×前田、そして決勝は地元の高校で先輩後輩の関係にあたる藤崎×佐々木だ。
 

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放送予定 3/8 17:00~
女流プロ麻雀日本シリーズ2017プレーオフ


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2017を制するのは誰だ!?

放送予定 3/12 16:00~
女流プロ麻雀日本シリーズ2017決勝戦


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????vs????vs????vs????
実況:古橋崇志
解説:藤崎智(現十段位)・佐々木寿人
 
 
【正体】
 
最近、Mr.Xって誰だ?と話題に出ることがある。
若手の間では大体あたりは着いているようで、直接本人(と思っている人物)に「読みましたよ」とか「面白かった」とか、中には「載せていただいてありがとうございます」などと言っている奴まで出てくる始末だ。
ジャイアント馬場の16文キックってホントに痛いんですかね?
一度でもくらってからモノを言え!
若手プロレスラーがそんなこと言うか!?
匿名でやっている意味がない!
若干論点がズレているのは承知だが、締め切りが近いのでこのまま提出する。とにかく詮索するのはやめておくれ。

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第7期麻雀グランプリMAX ベスト16レポート

グランプリMAX。選手にとっては負ければそれが2016年度最後の戦い。
ベスト16からは夏目坂スタジオを舞台とし、日本プロ麻雀チャンネルにて配信された。

 

A卓

100

ベスト16シード選手1人目は前年度優勝の灘麻太郎。
鳳凰位決定戦にも進んだ古川孝次に、次期A1の若手2人が挑む形。
最終戦を迎え次期A1の内川幸太郎、和久津晶の2人が浮いている状況。

最終戦は和久津が早々抜け出し、勝ち上がりを確定させる。
そして、極めつけは親の国士無双。16,000オール!

1位通過 和久津晶
2位通過 内川幸太郎

 

B卓

100

ベスト16シード選手2人目は、現鳳凰位の前原雄大。
小島武夫は二次予選からこの夏目坂に勝ちあがってきた。
記念すべき第1期JPMLWRCリーグ優勝の羽山真生と、惜しくもA1昇級を逃した吉田直のB卓。

序盤前原は波に乗れず4着スタートとなるものの、最終戦にはしっかりとトップ目に。2着目には吉田がつけた。
最終戦“ミスター麻雀小島武夫”が大きいトップを取り一気捲くり。

1位通過 吉田直
2位通過 小島武夫

 

C卓

100

C卓はベスト16シード選手が2名。
現十段位の藤崎智とポイントランキング1位の勝又健志。
前十段位柴田吉和と王位戦2位のA1伊藤優孝という好カード。

このC卓は好不調がハッキリと分かれた。柴田が確定を決め、勝又はかなり苦しい位置。
残り1つの椅子を伊藤と藤崎が競る展開に。
最終戦、死神の優(伊藤)が5万点のトップを取りベスト8へ駒を進めた。

1位通過 伊藤優孝
2位通過 柴田吉和

 

D卓

100

ベスト16シード選手は今年のオープン戦覇者2名。
現マスターズ白鳥翔、現王位樋口徹。
3年前のグランプリ覇者前田直哉と、TV対局で活躍した攻めダルマ佐々木寿人。
このD卓は平均年齢が30代と若手が集まった。

佐々木寿人が3回戦を終えて+117.9ポイントと3連勝し早くも当確。
日本プロ麻雀連盟のG1タイトル戦初のベスト8進出を決めた。

前田は調子があがらない。
最終戦はタイトルホルダー同士の戦いを白鳥が制した。

1位通過 佐々木寿人
2位通過 白鳥翔

 

ベスト8 3月6日(月)・3月7日(火) 夏目坂スタジオ

A卓:内川幸太郎vs小島武夫vs伊藤優孝vs白鳥翔
実況:小笠原奈央
解説:藤崎智

B卓:和久津晶vs吉田直vs柴田吉和vs佐々木寿人
実況:小笠原奈央
解説:近藤久春

グランプリ レポート/第7期麻雀グランプリMAX ベスト16レポート

グランプリMAX。選手にとっては負ければそれが2016年度最後の戦い。
ベスト16からは夏目坂スタジオを舞台とし、日本プロ麻雀チャンネルにて配信された。
 
A卓
100
ベスト16シード選手1人目は前年度優勝の灘麻太郎。
鳳凰位決定戦にも進んだ古川孝次に、次期A1の若手2人が挑む形。
最終戦を迎え次期A1の内川幸太郎、和久津晶の2人が浮いている状況。
最終戦は和久津が早々抜け出し、勝ち上がりを確定させる。
そして、極めつけは親の国士無双。16,000オール!
1位通過 和久津晶
2位通過 内川幸太郎
 
B卓
100
ベスト16シード選手2人目は、現鳳凰位の前原雄大。
小島武夫は二次予選からこの夏目坂に勝ちあがってきた。
記念すべき第1期JPMLWRCリーグ優勝の羽山真生と、惜しくもA1昇級を逃した吉田直のB卓。
序盤前原は波に乗れず4着スタートとなるものの、最終戦にはしっかりとトップ目に。2着目には吉田がつけた。
最終戦“ミスター麻雀小島武夫”が大きいトップを取り一気捲くり。
1位通過 吉田直
2位通過 小島武夫
 
C卓
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C卓はベスト16シード選手が2名。
現十段位の藤崎智とポイントランキング1位の勝又健志。
前十段位柴田吉和と王位戦2位のA1伊藤優孝という好カード。
このC卓は好不調がハッキリと分かれた。柴田が確定を決め、勝又はかなり苦しい位置。
残り1つの椅子を伊藤と藤崎が競る展開に。
最終戦、死神の優(伊藤)が5万点のトップを取りベスト8へ駒を進めた。
1位通過 伊藤優孝
2位通過 柴田吉和
 
D卓
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ベスト16シード選手は今年のオープン戦覇者2名。
現マスターズ白鳥翔、現王位樋口徹。
3年前のグランプリ覇者前田直哉と、TV対局で活躍した攻めダルマ佐々木寿人。
このD卓は平均年齢が30代と若手が集まった。
佐々木寿人が3回戦を終えて+117.9ポイントと3連勝し早くも当確。
日本プロ麻雀連盟のG1タイトル戦初のベスト8進出を決めた。
前田は調子があがらない。
最終戦はタイトルホルダー同士の戦いを白鳥が制した。
1位通過 佐々木寿人
2位通過 白鳥翔
 
ベスト8 3月6日(月)・3月7日(火) 夏目坂スタジオ
A卓:内川幸太郎vs小島武夫vs伊藤優孝vs白鳥翔
実況:小笠原奈央
解説:藤崎智
B卓:和久津晶vs吉田直vs柴田吉和vs佐々木寿人
実況:小笠原奈央
解説:近藤久春

第28回静岡リーグ(プロアマ混合)最終節レポート

寒さが非常に厳しく、世間では風邪やインフルエンザが流行っている。
これを読んでくださっているみなさんも手洗いうがいをしっかりして気を付けていただきたいと思う。
 
第28回の静岡リーグもいよいよ最終節を迎えた。決勝へ進出できるのは上位5名であり、決勝ではそれぞれ1位+40P、2位+30P、3位+20P、4位+10Pの順位ポイントが与えられる。
第4節を終了した時点で上位6名が+100Pを超えており、決勝進出のボーダーは高くなることが予想され、混戦を勝ち抜くには強い気持ちで戦うことが大事になってくる。
私自身、決勝進出は難しい位置におり、試合前は大きくポイントを叩くことだけを考えていた。1回戦の東1局にいきなり国士無双のテンパイが入るも成就せず、▲20.7Pでこの日を終えた。
見事決勝進出を決めたのはこの5名。

1位通過:山本拓哉プロ (中部本部)
先日、静岡プロリーグを優勝した山本プロが静岡リーグの決勝にも初出場となった。鳴きを主体とした攻めで手数が多いタイプであり、主導権を積極的に取りに来るであろう。今回は追われる立場であり、マークを受ける場面も多くなるとは思うが、持ち味である思い切りの良い麻雀で決勝も戦いをリードしてくるであろう。

2位通過:平野敬悟プロ(静岡支部)
今回の決勝メンバーでは唯一静岡リーグの決勝進出経験のある平野プロ。場面を見極める能力や対応力は非常に優れており、万能なプレイヤーだ。今回のリーグ戦では後半にポイントを大きく稼いでおり、勢いという面でも山本プロには負けていない。2位通過ということで大したビハインドにはなっておらず、持ち味を発揮することができれば優勝も遠くはないか。
 
3位通過:足立純哉プロ(東京本部)
プロ1年目にして決勝進出となった足立プロ。足立プロも山本プロと同じく鳴きが多く、手数で勝負する印象で、山本プロとの主導権争いに持ち込むことが予想される。気持ちで負けなければ場面をリードすることも難しくないだろう。不安な点というとリーグ戦後半の失速と経験の浅さではないか。

4位通過:鈴木雅人プロ(静岡支部)
プロ14年目の鈴木プロが安定した戦いで悲願の決勝進出を決めた。リーグ戦後半は目の前に迫る決勝がプレッシャーとなり緊張する姿も見受けられたが、無事に決勝の椅子を勝ち取った。決勝では緊張に負けず、スタイルである門前高打点を貫くことが優勝への第一条件となるだろう。

5位通過:松井和志さん(一般参加)
唯一のアマチュアでの決勝進出となった松井さん。第1節で+105.9Pを叩くなど、爆発力はかなりのものを持っている。受けの意識も強く、安定感という面では他のプロにも劣っていない印象だ。持ち味の門前高打点でプロを相手にどのように戦っていくか楽しみである。

以上が決勝進出を決めた5名である。
5名のうち4名が初決勝となる今回の決勝。この5名の熱い戦いを私も楽しみにしたいと思う。

順位 名前 プロ/一般 1節 2節 3節 4節 5節 合計
1 山本 拓哉 プロ 52.6 ▲ 12.6 91.8 10.6 46.5 188.9
2 平野 敬悟 プロ ▲ 13.1 ▲ 26.6 74.7 78.4 29.9 143.3
3 足立 純哉 プロ 40.7 25.5 102.3 35.9 ▲ 62.7 141.7
4 鈴木 雅人 プロ 14.9 66.2 65.4 10.4 ▲ 30.1 126.8
5 松井 和志 一般 105.9 ▲ 5.8 ▲ 7.9 32.1 ▲ 5.3 119.0
6 堀 孔明 一般 39.4 53.0 29.0 8.6 ▲ 15.0 115.0
7 鈴木 郁孝 プロ 38.2 3.5 ▲ 13.3 28.9 53.0 110.3
8 村瀬 光佳 一般 ▲ 36.9 69.5 ▲ 8.3 46.2 32.5 103.0
9 舟橋 晃 一般 4.3 ▲ 18.2 49.9 39.5 2.7 78.2
10 中野 一男 一般 55.8 ▲ 45.8 ▲ 52.2 32.4 79.4 69.6
11 竹内 仁 一般 36.0 2.8 ▲ 8.6 38.7 ▲ 9.7 59.2
12 中 寿文 プロ 35.7 ▲ 29.0 ▲ 29.5 56.3 20.3 53.8
13 蓮池 浩太 一般 ▲ 20.8 32.3 ▲ 18.8 23.2 37.7 53.6
14 杉村 泰治 プロ 12.7 15.7 ▲ 6.5 25.0 4.5 51.4
15 鈴木 秀幸 プロ ▲ 7.1 ▲ 20.8 58.5 ▲ 41.9 53.8 42.5
16 島﨑 涼 プロ 20.5 32.2 24.7 ▲ 17.6 ▲ 20.7 39.1
17 青嶋 宏樹 一般 31.0 29.6 76.9 ▲ 56.4 ▲ 49.3 31.8
18 春田 篤志 一般 27.0 ▲ 10.5 29.8 32.4 ▲ 51.5 27.2
19 太田 昌樹 プロ 23.2 ▲ 19.4 18.6 ▲ 10.4 13.9 25.9
20 岡本 和也 プロ ▲ 3.6 ▲ 14.1 ▲ 20.7 51.1 10.2 22.9
21 都築 友和 プロ 45.2 15.7 ▲ 0.2 ▲ 32.2 ▲ 22.5 6.0
22 渡辺 洋巳 プロ 40.0 ▲ 16.0 ▲ 1.1 ▲ 24.0 1.4 0.3
23 土屋 幸弘 プロ 38.6 ▲ 18.1 ▲ 4.2 49.6 ▲ 67.4 ▲ 1.5
24 大石 康平 一般 ▲ 60.3 19.0 8.4 ▲ 29.2 40.4 ▲ 21.7
25 望月 雅継 プロ ▲ 1.0 ▲ 34.0 1.6 ▲ 11.6 21.9 ▲ 23.1
26 川崎 義之 プロ 25.0 ▲ 29.1 ▲ 46.3 ▲ 37.7 62.8 ▲ 25.3
27 田中 良典 一般 ▲ 29.1 11.8 ▲ 24.2 ▲ 18.4 12.5 ▲ 47.4
28 坂本 彰光 一般 ▲ 31.4 26.9 ▲ 66.3 23.0 ▲ 0.7 ▲ 48.5
29 本田 真之 一般 ▲ 5.3 ▲ 13.8 ▲ 12.8 32.7 ▲ 53.9 ▲ 53.1
30 京平 遥 プロ 36.8 ▲ 26.0 ▲ 51.7 13.3 ▲ 29.5 ▲ 57.1
31 鈴木 博直 一般 19.8 ▲ 45.2 ▲ 17.8 ▲ 38.6 24.0 ▲ 57.8
32 大口 伸也 一般 ▲ 61.5 19.0 ▲ 45.2 25.8 3.8 ▲ 58.1
33 源馬 健太 一般 ▲ 0.7 16.8 ▲ 23.0 ▲ 46.3 ▲ 10.8 ▲ 64.0
34 鷲見 隼人 プロ ▲ 47.6 ▲ 40.5 106.6 ▲ 62.2 ▲ 32.8 ▲ 76.5
35 松永 誠 一般 6.6 ▲ 75.7 ▲ 1.3 37.4 ▲ 50.0 ▲ 83.0
36 山内 紀博 一般 ▲ 74.9 21.5 ▲ 13.7 ▲ 4.5 ▲ 11.9 ▲ 83.5
37 徳永 翔 プロ ▲ 47.9 ▲ 32.4 ▲ 17.7 ▲ 5.1 ▲ 5.5 ▲ 108.6
38 越川 清一 プロ 2.2 ▲ 25.1 ▲ 44.7 18.9 ▲ 65.1 ▲ 113.8
39 伊藤 真 一般 ▲ 38.6 8.6 ▲ 39.5 ▲ 17.2 ▲ 31.4 ▲ 118.1
40 平田 拓也 一般 ▲ 30.4 ▲ 42.8 ▲ 15.3 ▲ 7.0 ▲ 27.8 ▲ 123.3
41 白井 健夫 一般 4.8 ▲ 3.3 ▲ 51.2 ▲ 28.2 ▲ 49.8 ▲ 127.7
42 伊藤裕美子 一般 ▲ 44.9 ▲ 29.7 ▲ 15.1 ▲ 33.3 ▲ 14.8 ▲ 137.8
43 大橋 義一 一般 ▲ 80.8 15.0 ▲ 25.3 ▲ 75.0 26.2 ▲ 139.9
44 福井 弘人 一般 ▲ 60.3 ▲ 52.2 ▲ 57.3 ▲ 50.0 ▲ 68.3 ▲ 288.1

静岡プロリーグ レポート/第28回静岡リーグ(プロアマ混合)最終節レポート

寒さが非常に厳しく、世間では風邪やインフルエンザが流行っている。
これを読んでくださっているみなさんも手洗いうがいをしっかりして気を付けていただきたいと思う。
 
第28回の静岡リーグもいよいよ最終節を迎えた。決勝へ進出できるのは上位5名であり、決勝ではそれぞれ1位+40P、2位+30P、3位+20P、4位+10Pの順位ポイントが与えられる。
第4節を終了した時点で上位6名が+100Pを超えており、決勝進出のボーダーは高くなることが予想され、混戦を勝ち抜くには強い気持ちで戦うことが大事になってくる。
私自身、決勝進出は難しい位置におり、試合前は大きくポイントを叩くことだけを考えていた。1回戦の東1局にいきなり国士無双のテンパイが入るも成就せず、▲20.7Pでこの日を終えた。
見事決勝進出を決めたのはこの5名。
1位通過:山本拓哉プロ (中部本部)
先日、静岡プロリーグを優勝した山本プロが静岡リーグの決勝にも初出場となった。鳴きを主体とした攻めで手数が多いタイプであり、主導権を積極的に取りに来るであろう。今回は追われる立場であり、マークを受ける場面も多くなるとは思うが、持ち味である思い切りの良い麻雀で決勝も戦いをリードしてくるであろう。
2位通過:平野敬悟プロ(静岡支部)
今回の決勝メンバーでは唯一静岡リーグの決勝進出経験のある平野プロ。場面を見極める能力や対応力は非常に優れており、万能なプレイヤーだ。今回のリーグ戦では後半にポイントを大きく稼いでおり、勢いという面でも山本プロには負けていない。2位通過ということで大したビハインドにはなっておらず、持ち味を発揮することができれば優勝も遠くはないか。
 
3位通過:足立純哉プロ(東京本部)
プロ1年目にして決勝進出となった足立プロ。足立プロも山本プロと同じく鳴きが多く、手数で勝負する印象で、山本プロとの主導権争いに持ち込むことが予想される。気持ちで負けなければ場面をリードすることも難しくないだろう。不安な点というとリーグ戦後半の失速と経験の浅さではないか。
4位通過:鈴木雅人プロ(静岡支部)
プロ14年目の鈴木プロが安定した戦いで悲願の決勝進出を決めた。リーグ戦後半は目の前に迫る決勝がプレッシャーとなり緊張する姿も見受けられたが、無事に決勝の椅子を勝ち取った。決勝では緊張に負けず、スタイルである門前高打点を貫くことが優勝への第一条件となるだろう。
5位通過:松井和志さん(一般参加)
唯一のアマチュアでの決勝進出となった松井さん。第1節で+105.9Pを叩くなど、爆発力はかなりのものを持っている。受けの意識も強く、安定感という面では他のプロにも劣っていない印象だ。持ち味の門前高打点でプロを相手にどのように戦っていくか楽しみである。
以上が決勝進出を決めた5名である。
5名のうち4名が初決勝となる今回の決勝。この5名の熱い戦いを私も楽しみにしたいと思う。

順位 名前 プロ/一般 1節 2節 3節 4節 5節 合計
1 山本 拓哉 プロ 52.6 ▲ 12.6 91.8 10.6 46.5 188.9
2 平野 敬悟 プロ ▲ 13.1 ▲ 26.6 74.7 78.4 29.9 143.3
3 足立 純哉 プロ 40.7 25.5 102.3 35.9 ▲ 62.7 141.7
4 鈴木 雅人 プロ 14.9 66.2 65.4 10.4 ▲ 30.1 126.8
5 松井 和志 一般 105.9 ▲ 5.8 ▲ 7.9 32.1 ▲ 5.3 119.0
6 堀 孔明 一般 39.4 53.0 29.0 8.6 ▲ 15.0 115.0
7 鈴木 郁孝 プロ 38.2 3.5 ▲ 13.3 28.9 53.0 110.3
8 村瀬 光佳 一般 ▲ 36.9 69.5 ▲ 8.3 46.2 32.5 103.0
9 舟橋 晃 一般 4.3 ▲ 18.2 49.9 39.5 2.7 78.2
10 中野 一男 一般 55.8 ▲ 45.8 ▲ 52.2 32.4 79.4 69.6
11 竹内 仁 一般 36.0 2.8 ▲ 8.6 38.7 ▲ 9.7 59.2
12 中 寿文 プロ 35.7 ▲ 29.0 ▲ 29.5 56.3 20.3 53.8
13 蓮池 浩太 一般 ▲ 20.8 32.3 ▲ 18.8 23.2 37.7 53.6
14 杉村 泰治 プロ 12.7 15.7 ▲ 6.5 25.0 4.5 51.4
15 鈴木 秀幸 プロ ▲ 7.1 ▲ 20.8 58.5 ▲ 41.9 53.8 42.5
16 島﨑 涼 プロ 20.5 32.2 24.7 ▲ 17.6 ▲ 20.7 39.1
17 青嶋 宏樹 一般 31.0 29.6 76.9 ▲ 56.4 ▲ 49.3 31.8
18 春田 篤志 一般 27.0 ▲ 10.5 29.8 32.4 ▲ 51.5 27.2
19 太田 昌樹 プロ 23.2 ▲ 19.4 18.6 ▲ 10.4 13.9 25.9
20 岡本 和也 プロ ▲ 3.6 ▲ 14.1 ▲ 20.7 51.1 10.2 22.9
21 都築 友和 プロ 45.2 15.7 ▲ 0.2 ▲ 32.2 ▲ 22.5 6.0
22 渡辺 洋巳 プロ 40.0 ▲ 16.0 ▲ 1.1 ▲ 24.0 1.4 0.3
23 土屋 幸弘 プロ 38.6 ▲ 18.1 ▲ 4.2 49.6 ▲ 67.4 ▲ 1.5
24 大石 康平 一般 ▲ 60.3 19.0 8.4 ▲ 29.2 40.4 ▲ 21.7
25 望月 雅継 プロ ▲ 1.0 ▲ 34.0 1.6 ▲ 11.6 21.9 ▲ 23.1
26 川崎 義之 プロ 25.0 ▲ 29.1 ▲ 46.3 ▲ 37.7 62.8 ▲ 25.3
27 田中 良典 一般 ▲ 29.1 11.8 ▲ 24.2 ▲ 18.4 12.5 ▲ 47.4
28 坂本 彰光 一般 ▲ 31.4 26.9 ▲ 66.3 23.0 ▲ 0.7 ▲ 48.5
29 本田 真之 一般 ▲ 5.3 ▲ 13.8 ▲ 12.8 32.7 ▲ 53.9 ▲ 53.1
30 京平 遥 プロ 36.8 ▲ 26.0 ▲ 51.7 13.3 ▲ 29.5 ▲ 57.1
31 鈴木 博直 一般 19.8 ▲ 45.2 ▲ 17.8 ▲ 38.6 24.0 ▲ 57.8
32 大口 伸也 一般 ▲ 61.5 19.0 ▲ 45.2 25.8 3.8 ▲ 58.1
33 源馬 健太 一般 ▲ 0.7 16.8 ▲ 23.0 ▲ 46.3 ▲ 10.8 ▲ 64.0
34 鷲見 隼人 プロ ▲ 47.6 ▲ 40.5 106.6 ▲ 62.2 ▲ 32.8 ▲ 76.5
35 松永 誠 一般 6.6 ▲ 75.7 ▲ 1.3 37.4 ▲ 50.0 ▲ 83.0
36 山内 紀博 一般 ▲ 74.9 21.5 ▲ 13.7 ▲ 4.5 ▲ 11.9 ▲ 83.5
37 徳永 翔 プロ ▲ 47.9 ▲ 32.4 ▲ 17.7 ▲ 5.1 ▲ 5.5 ▲ 108.6
38 越川 清一 プロ 2.2 ▲ 25.1 ▲ 44.7 18.9 ▲ 65.1 ▲ 113.8
39 伊藤 真 一般 ▲ 38.6 8.6 ▲ 39.5 ▲ 17.2 ▲ 31.4 ▲ 118.1
40 平田 拓也 一般 ▲ 30.4 ▲ 42.8 ▲ 15.3 ▲ 7.0 ▲ 27.8 ▲ 123.3
41 白井 健夫 一般 4.8 ▲ 3.3 ▲ 51.2 ▲ 28.2 ▲ 49.8 ▲ 127.7
42 伊藤裕美子 一般 ▲ 44.9 ▲ 29.7 ▲ 15.1 ▲ 33.3 ▲ 14.8 ▲ 137.8
43 大橋 義一 一般 ▲ 80.8 15.0 ▲ 25.3 ▲ 75.0 26.2 ▲ 139.9
44 福井 弘人 一般 ▲ 60.3 ▲ 52.2 ▲ 57.3 ▲ 50.0 ▲ 68.3 ▲ 288.1

第15期北陸リーグ 決勝レポート

2017年2月25日
執筆: 浦田 豊人

2月12日(日)、小雪が降る肌寒い日のなか、第15期北陸リーグ決勝戦が「アルシアル雀ザイル(金沢市)」にて行われた。

半年間の予選を勝ち抜いた4人は下記の通り。

 

100

 

1位通過 藤本 鉄也(三段) +40P
2位通過 押川 憲一(一般) +20P
3位通過 浦田 豊人(七段) +10P
4位通過 小泉 陽平(一般) ±0P

決勝は上記の通り、予選上位順に40~10Pのアドバンテージが与えられる。

1位通過の藤本としては、このアドバンテージを活かすべく、1回戦でトップを取り、圧倒的優位の位置取りを目指すであろう。
他の3人は、そうならないように藤本包囲網を敷き、何処かで抜け出す計算を立てていくのか?
各自「優勝」にかける熱い思いがぶつかった闘いがスタートした。

 

1回戦

東2局 親の押川さんに面前で一色手のテンパイが入る。

一筒一筒三筒四筒四筒五筒五筒六筒七筒八筒南南南  ドラ東

ここはしっかりとヤミテンに構える。
流石一般参加ながら3期連続で決勝進出している押川さん。今日も落ち着いている模様。
そこへ藤本が順子4メンツ完成でのドラ東タンキリーチを敢行。
押川さんに東が廻ってくるが、ここは勝負で藤本にリーチドラ2の5,200を献上。
いきなり1回戦で突き放そうと目論む藤本の大胆なリーチ、振り込みはしたがヤミテンに構え、そしてしっかりと勝負に行く押川さん。
2人のこの日にかける思いが鮮明に分かる一局となった。

藤本がこの局を機に、ジリジリとアガリを重ねて、3人との差を広げていく。

東4局 親の小泉さんがリーチ。

二索三索四索五索六索七索八索九索二筒三筒四筒白白  リーチ  ドラ白

高目の一索をツモれば6,000オールの本手であったが、藤本がすぐに小泉からアガる。

北家・藤本

一万二万三万一索二索三索六索七索八索二筒三筒四筒四筒  ロン四筒

藤本にしてみれば安目の1,000点のアガリで、不本意に思えたかもしれないが、小泉さんの本手を潰した価千金のアガリ。
決勝終了後、小泉さんがこの局を分岐点に挙げていたが、確かにこの後、小泉さんには辛い展開が続いていく事となる。

そんな私も手がなかなか入らなかったが、南1局の親番で、痺れを切らして仕掛けていく。

南1局 東家 ・浦田

七万九万三索四索四索八索九索三筒三筒六筒七筒八筒九筒  ドラ三筒

9巡目、ここから七索をチーをして、下家の押川さんがピンズのホンイツ模様であったが、構わず打六筒。押川さんは、これを五筒七筒でチー。私、また六筒をツモ切ると

南家 押川さん

四筒五筒九筒九筒九筒西西発発発  チー六筒 左向き五筒 上向き七筒 上向き  ロン六筒

5,200の放銃。親番とはいえ、ここまで自分に風が吹いていない事、まだ1シャンテンであった事からも、ドラが三筒で明らかなホンイツに対してのドラ筋の連打は、やはり軽率である。
私もこの局を境に1回戦は全く闘える手牌が来なかった。

オーラス 親の小泉に再び本手のテンパイが入る。

五万五万六万六万七万五索六索七索四筒五筒六筒七筒七筒  ドラ五索

このままでも高目ツモで4,000オール。四筒七筒を持って来れば8,000オールまである大物手。
しかし藤本がドラ五索をしっかり勝負して、すぐに,1000点のアガリ。
東4局の因縁か?ここでも小泉より藤本のアガリ牌が先にあった。

藤本は自力で1人浮きのトップを決め、アドバンテージを含めて首位をしっかりと固め、優勝に向けて大きく前進した。

1回戦結果
藤本+37.3P 押川さん▲6.3P 小泉さん▲11.9P 浦田▲19.1P

トータル結果
藤本+77.3P 押川さん+13.7P 浦田▲9.1P 小泉さん▲11.9P

 

2回戦

藤本にとっては戦前描いていた理想的な展開。逆に他の3人にとっては最悪の展開となった1回戦。
2回戦も藤本がポイントを伸ばすようだと、後半戦を待たずして当確ランプが点灯してしまう。
早くも正念場を迎える3人。

東3局 2巡目 北家・浦田

三万三万三万五万五万七万九万九万二索四索六筒六筒発  ドラ九筒

ここから親の押川さんの九万を仕掛けていく。本来ならばここから仕掛けはしない。手牌的にも遠く、ドラも無いし、何より北家だ。
しかし、逆風を感じている今、この短期戦では強引にツキを引っ張ってくる必要があると判断。
狙いはホンイツだったが、すぐに押川さんより六筒が出て、これも反応し、ポン。
ドラの九筒も顔を見せておらず、3者は苦し紛れの強引な仕掛けとは断定出来ずに慎重に捨て牌を選んでいく。
私の思惑通りの展開となり、終盤テンパイが入る。

三万三万三万五万五万白白  ポン九万 上向き九万 上向き九万 上向き  ポン六筒 上向き六筒 上向き六筒 上向き  ドラ九筒

このまま流局と思われたハイテイに五万がいて、1,300・2,600をアガる。
本日初、私に風が吹き始めた瞬間。そのまま私の1人浮きの状態で場は進む。

南3局 今局も私の手は良い。

二万三万七万八万一索二索三索八索九索九索中中中  ドラ発

親の押川さんが八万九万とペンチャンを外してくる。その八万を西家の藤本がポンを入れる。すると私に四万が来てテンパイ。

二万三万四万七万八万一索二索三索九索九索中中中

安目が入り不本意ではある。待ちの九万は今、押川さんが切ったばっかりで3枚切れではあるが、ワンチャンスでもあり、すぐにアガれそう。
そう思っていたところに押川さんより親リーチがかかった。私の一発目のツモが七筒
押川さんの捨て牌は平凡なピンフ模様で、ピンズは1枚も切られていない。アタマの九索は現物で、同巡に小泉さんも切っており、4人に対しても完全安全牌。
強気に勝負するか?それとも九索で回るか?ツモって来た感性は「切れっ!」

そのままツモ切ろうとした。しかしその瞬間、「待てよ。」手が止まった…。
まだドラの発は見えておらず、もしかしたらドラトイツのリャンメンリーチかもしれない。
ここはトップ目なので丁寧に行くべきでは?
幸いアタマの九索で回れるし。入り目も四万で弱いし、待ちもワンチャンスとはいえ、薄そうだし…。
長考する私…。

そして理が感性を押さえ込み、私はいつの間にか九索のトイツ落としをしていた。
その判断を嘲笑うかのかのように、押川さんが4枚目の九万をツモ切る。
「しまった―っ!!」
そして押川さんがツモアガる。

四万五万七索七索一筒二筒三筒四筒五筒六筒七筒八筒九筒  ツモ三万

一通出来上がりの4,000オールだ。
七筒は通っていた。私はいったい何をやっているのだろう!?
折角強引にやっと流れを引き寄せ始めたというのに、こんな七筒1つ切れないで、てっぺんを取れるとでも思っているのだろうか!?

そしてここから押川さんに怒涛の5連荘を許してしまい、持ち点は一気に6万点オーバーで大トップを取る。
藤本に肉薄し、対抗馬として名乗りを上げた。

無論、この連荘の責任は私にある。弱気な私は1人浮きはおろか、トップも転落し、この後の後半戦も私に二度と風が吹く事はなかった。
事実上の私の敗因となる一打。たった1枚の七筒を切れなかっただけで、私の半年間目指して来た「優勝」の二文字が泡となって消えてしまった。
一打がその局を、その半荘を、そして優勝を決めてしまう。
それが麻雀というものなのであろう…。

2回戦結果
押川さん+38.3P 浦田+11.2P 藤本▲12.3P 小泉さん▲37.2P

トータル結果
藤本+65.0P 押川さん+52.0P 浦田+2.1P 小泉さん▲49.1P

 

3回戦

1回戦で1人浮きのトップを取り、優勝のカウントダウンかと思われた藤本だが、押川さんの猛追にあい、一気に2人の一騎打ちの様相を呈して来た。
浦田と小泉さんはかなり厳しくなってきたが、とりあえず大きなトップを取り、天命を待つ。

3回戦も1・2回戦同様、藤本と押川さんのペースで進む。
だから、こういう回数の限られた麻雀は序盤戦が大事なのである。
ツキを練り固められた側と、そうでない者の差が、このあたりから鮮明に表れてくる。

東場で全然手が入らなかった私に、南1局にチャンス手が来る。

南1局 ダブ南をポン、七索をチーして1シャンテン。

一索白白白発発中  ポン南南南  チー七索 左向き五索 上向き六索 上向き  ドラ一索

リャンメンを鳴いてまだ1シャンテンというところが、いかにも態勢の無さを感じるが、もう格好を構っている場合ではない。
しかし、ここからなかなかテンパイにならない。
そうしているうち、親の押川さんが六索中と強烈に押してきた。
アタれば跳満まで見えている私の仕掛けにである。ホンイツだろうが、三元役だろうが、勝負する時は勝負する。決してサボらない。保留にしない。
こういうところが押川さんの強さたる所以であろう。

そして終局間際、私はテンパイした為、一索を勝負すると、押川さんが手を開く。

六万六万七万七万一索二索二索三索三索四索四索七筒七筒  ロン一索

七対子ドラ2の9,600放銃。
同じ勝負牌でも、押川さんと私のそれとでは、あまりにも質が違い過ぎた。

押川さんはこのアガリが効いて、3回戦もトップ。藤本もかろうじて浮きを確保したが、ついに押川さんが逆転し、首位に立つ。

3回戦結果
押川さん+33.6P 藤本+4.7P 浦田▲8.4P 小泉さん▲29.9P

トータル結果
押川さん+85.6P 藤本+69.7P 浦田▲6.3P 小泉さん▲79.0P

 

最終4回戦

1回戦終了時に60P以上離していた藤本であったが、逆に追いかけるカタチとなってしまった。その差は15.9P。
浦田と小泉さんが大人しくなる展開を予想すれば、押川さん浮き2着で12Pの点差が必要となろうか?
大接戦になった運命の最終戦…。

東3局 ドラ二筒をトイツにして私がリーチ、呼応して小泉さんもメンピンドラ1高目イーペイコウの追いかけリーチを放つ。
両者共に満貫手であるが、やはり本日の主役ではない。
2人のリーチを掻い潜ってアガったのは藤本。

一索一索一索西西発発  加カン七索 上向き七索 上向き七索 上向き七索 上向き  暗カン牌の背八筒 下向き八筒 下向き牌の背  ロン西  ドラ二筒

浦田より討ち取り、大きな大きな7,700のアガリ。
この時点で押川さんと藤本はほぼ並びとなる。

南1局 親の藤本

一索二索三索四筒五筒南南南中中  ポン五索 上向き五索 上向き五索 上向き  ドラ九索

ソウズのホンイツにも見え、藤本の捨て牌の序盤に四筒が1枚切られており、点数こそ安いが、アガリは簡単に拾えそう。
そんな中、押川さんにテンパイが入る。

二万二万四万五万六万三筒五筒六筒六筒六筒発発発  ドラ九索

現時点でほぼ原点の押川さん。沈みたくもなく、何とかこの親を落としたいが、待ちも悪く、藤本には打ちにくい牌も多い。放銃すれば親満もありえそうなので、この局が決定機になってしまうかも…。
しかし、押川さんは腹を括ってここも強烈に押していく。
生牌の中東、ついにはドラの九索まで切っていく。
凄い!これが覚悟した人間の勝負というものだろうか。

結末は藤本から四筒がツモ切られ、押川さんの執念が実る。
正に決定機となる1局となった。

オーラス 押川さんがトップ目のため、1局勝負。
藤本が押川さんを逆転する条件は、満貫直撃か跳満ツモ。
(ちなみに浦田・小泉さんからだと三倍満アガリ。)
決して不可能な条件ではないが、果たしてどちらに女神は舞い降りるのか?

2巡目、小泉さんが七万を切ると「ロン」の声。

三万三万六万七万八万八万九万二筒三筒四筒白白白

なんと押川さんがドラ暗刻の親満をアガリ。
これにて藤本もほぼ条件が無くなり、次局で終了。
押川さんの優勝が決定した。

4回戦結果
押川さん+28.0P 藤本+9.0 浦田▲13.9P 小泉さん▲23.1P

トータル結果
優勝 押川さん+113.6P
2位 藤本+78.7P
3位 浦田▲20.2P
4位 小泉さん▲102.1P

100

優勝された押川さん、おめでとうございます。
第13期に初優勝を果たされてから、3期連続の決勝進出で、今期も予選で只一人全節プラスと抜群の安定感を誇り、2度目の栄冠となりました。

局後のインタビューで、
「局面局面で、何度も回ろうかと思った場面がありましたが、サボってはいけない、楽してはいけない、と自分に言い聞かせて、勝負しました。」
というコメントが示すとおり、腹を括った、覚悟の一打が非常に鋭く、同卓していてただただ唸るしかありませんでした。

そして、半年前に皆の前で優勝宣言して挑んだ私…。
結果は良いところなく完敗。

さて、次回からどうしようか?悔しい日々が幾ばくか過ぎ、出た結論は…。
「よし、また次回優勝宣言だ!」
狼少年と言われないように頑張ります…。

北陸リーグ レポート/第15期北陸リーグ 決勝レポート

2017年2月25日
執筆: 浦田 豊人
2月12日(日)、小雪が降る肌寒い日のなか、第15期北陸リーグ決勝戦が「アルシアル雀ザイル(金沢市)」にて行われた。
半年間の予選を勝ち抜いた4人は下記の通り。
 
100
 
1位通過 藤本 鉄也(三段) +40P
2位通過 押川 憲一(一般) +20P
3位通過 浦田 豊人(七段) +10P
4位通過 小泉 陽平(一般) ±0P
決勝は上記の通り、予選上位順に40~10Pのアドバンテージが与えられる。
1位通過の藤本としては、このアドバンテージを活かすべく、1回戦でトップを取り、圧倒的優位の位置取りを目指すであろう。
他の3人は、そうならないように藤本包囲網を敷き、何処かで抜け出す計算を立てていくのか?
各自「優勝」にかける熱い思いがぶつかった闘いがスタートした。
 
1回戦
東2局 親の押川さんに面前で一色手のテンパイが入る。
一筒一筒三筒四筒四筒五筒五筒六筒七筒八筒南南南  ドラ東
ここはしっかりとヤミテンに構える。
流石一般参加ながら3期連続で決勝進出している押川さん。今日も落ち着いている模様。
そこへ藤本が順子4メンツ完成でのドラ東タンキリーチを敢行。
押川さんに東が廻ってくるが、ここは勝負で藤本にリーチドラ2の5,200を献上。
いきなり1回戦で突き放そうと目論む藤本の大胆なリーチ、振り込みはしたがヤミテンに構え、そしてしっかりと勝負に行く押川さん。
2人のこの日にかける思いが鮮明に分かる一局となった。
藤本がこの局を機に、ジリジリとアガリを重ねて、3人との差を広げていく。
東4局 親の小泉さんがリーチ。
二索三索四索五索六索七索八索九索二筒三筒四筒白白  リーチ  ドラ白
高目の一索をツモれば6,000オールの本手であったが、藤本がすぐに小泉からアガる。
北家・藤本
一万二万三万一索二索三索六索七索八索二筒三筒四筒四筒  ロン四筒
藤本にしてみれば安目の1,000点のアガリで、不本意に思えたかもしれないが、小泉さんの本手を潰した価千金のアガリ。
決勝終了後、小泉さんがこの局を分岐点に挙げていたが、確かにこの後、小泉さんには辛い展開が続いていく事となる。
そんな私も手がなかなか入らなかったが、南1局の親番で、痺れを切らして仕掛けていく。
南1局 東家 ・浦田
七万九万三索四索四索八索九索三筒三筒六筒七筒八筒九筒  ドラ三筒
9巡目、ここから七索をチーをして、下家の押川さんがピンズのホンイツ模様であったが、構わず打六筒。押川さんは、これを五筒七筒でチー。私、また六筒をツモ切ると
南家 押川さん
四筒五筒九筒九筒九筒西西発発発  チー六筒 左向き五筒 上向き七筒 上向き  ロン六筒
5,200の放銃。親番とはいえ、ここまで自分に風が吹いていない事、まだ1シャンテンであった事からも、ドラが三筒で明らかなホンイツに対してのドラ筋の連打は、やはり軽率である。
私もこの局を境に1回戦は全く闘える手牌が来なかった。
オーラス 親の小泉に再び本手のテンパイが入る。
五万五万六万六万七万五索六索七索四筒五筒六筒七筒七筒  ドラ五索
このままでも高目ツモで4,000オール。四筒七筒を持って来れば8,000オールまである大物手。
しかし藤本がドラ五索をしっかり勝負して、すぐに,1000点のアガリ。
東4局の因縁か?ここでも小泉より藤本のアガリ牌が先にあった。
藤本は自力で1人浮きのトップを決め、アドバンテージを含めて首位をしっかりと固め、優勝に向けて大きく前進した。
1回戦結果
藤本+37.3P 押川さん▲6.3P 小泉さん▲11.9P 浦田▲19.1P
トータル結果
藤本+77.3P 押川さん+13.7P 浦田▲9.1P 小泉さん▲11.9P
 
2回戦
藤本にとっては戦前描いていた理想的な展開。逆に他の3人にとっては最悪の展開となった1回戦。
2回戦も藤本がポイントを伸ばすようだと、後半戦を待たずして当確ランプが点灯してしまう。
早くも正念場を迎える3人。
東3局 2巡目 北家・浦田
三万三万三万五万五万七万九万九万二索四索六筒六筒発  ドラ九筒
ここから親の押川さんの九万を仕掛けていく。本来ならばここから仕掛けはしない。手牌的にも遠く、ドラも無いし、何より北家だ。
しかし、逆風を感じている今、この短期戦では強引にツキを引っ張ってくる必要があると判断。
狙いはホンイツだったが、すぐに押川さんより六筒が出て、これも反応し、ポン。
ドラの九筒も顔を見せておらず、3者は苦し紛れの強引な仕掛けとは断定出来ずに慎重に捨て牌を選んでいく。
私の思惑通りの展開となり、終盤テンパイが入る。
三万三万三万五万五万白白  ポン九万 上向き九万 上向き九万 上向き  ポン六筒 上向き六筒 上向き六筒 上向き  ドラ九筒
このまま流局と思われたハイテイに五万がいて、1,300・2,600をアガる。
本日初、私に風が吹き始めた瞬間。そのまま私の1人浮きの状態で場は進む。
南3局 今局も私の手は良い。
二万三万七万八万一索二索三索八索九索九索中中中  ドラ発
親の押川さんが八万九万とペンチャンを外してくる。その八万を西家の藤本がポンを入れる。すると私に四万が来てテンパイ。
二万三万四万七万八万一索二索三索九索九索中中中
安目が入り不本意ではある。待ちの九万は今、押川さんが切ったばっかりで3枚切れではあるが、ワンチャンスでもあり、すぐにアガれそう。
そう思っていたところに押川さんより親リーチがかかった。私の一発目のツモが七筒
押川さんの捨て牌は平凡なピンフ模様で、ピンズは1枚も切られていない。アタマの九索は現物で、同巡に小泉さんも切っており、4人に対しても完全安全牌。
強気に勝負するか?それとも九索で回るか?ツモって来た感性は「切れっ!」
そのままツモ切ろうとした。しかしその瞬間、「待てよ。」手が止まった…。
まだドラの発は見えておらず、もしかしたらドラトイツのリャンメンリーチかもしれない。
ここはトップ目なので丁寧に行くべきでは?
幸いアタマの九索で回れるし。入り目も四万で弱いし、待ちもワンチャンスとはいえ、薄そうだし…。
長考する私…。
そして理が感性を押さえ込み、私はいつの間にか九索のトイツ落としをしていた。
その判断を嘲笑うかのかのように、押川さんが4枚目の九万をツモ切る。
「しまった―っ!!」
そして押川さんがツモアガる。
四万五万七索七索一筒二筒三筒四筒五筒六筒七筒八筒九筒  ツモ三万
一通出来上がりの4,000オールだ。
七筒は通っていた。私はいったい何をやっているのだろう!?
折角強引にやっと流れを引き寄せ始めたというのに、こんな七筒1つ切れないで、てっぺんを取れるとでも思っているのだろうか!?
そしてここから押川さんに怒涛の5連荘を許してしまい、持ち点は一気に6万点オーバーで大トップを取る。
藤本に肉薄し、対抗馬として名乗りを上げた。
無論、この連荘の責任は私にある。弱気な私は1人浮きはおろか、トップも転落し、この後の後半戦も私に二度と風が吹く事はなかった。
事実上の私の敗因となる一打。たった1枚の七筒を切れなかっただけで、私の半年間目指して来た「優勝」の二文字が泡となって消えてしまった。
一打がその局を、その半荘を、そして優勝を決めてしまう。
それが麻雀というものなのであろう…。
2回戦結果
押川さん+38.3P 浦田+11.2P 藤本▲12.3P 小泉さん▲37.2P
トータル結果
藤本+65.0P 押川さん+52.0P 浦田+2.1P 小泉さん▲49.1P
 
3回戦
1回戦で1人浮きのトップを取り、優勝のカウントダウンかと思われた藤本だが、押川さんの猛追にあい、一気に2人の一騎打ちの様相を呈して来た。
浦田と小泉さんはかなり厳しくなってきたが、とりあえず大きなトップを取り、天命を待つ。
3回戦も1・2回戦同様、藤本と押川さんのペースで進む。
だから、こういう回数の限られた麻雀は序盤戦が大事なのである。
ツキを練り固められた側と、そうでない者の差が、このあたりから鮮明に表れてくる。
東場で全然手が入らなかった私に、南1局にチャンス手が来る。
南1局 ダブ南をポン、七索をチーして1シャンテン。
一索白白白発発中  ポン南南南  チー七索 左向き五索 上向き六索 上向き  ドラ一索
リャンメンを鳴いてまだ1シャンテンというところが、いかにも態勢の無さを感じるが、もう格好を構っている場合ではない。
しかし、ここからなかなかテンパイにならない。
そうしているうち、親の押川さんが六索中と強烈に押してきた。
アタれば跳満まで見えている私の仕掛けにである。ホンイツだろうが、三元役だろうが、勝負する時は勝負する。決してサボらない。保留にしない。
こういうところが押川さんの強さたる所以であろう。
そして終局間際、私はテンパイした為、一索を勝負すると、押川さんが手を開く。
六万六万七万七万一索二索二索三索三索四索四索七筒七筒  ロン一索
七対子ドラ2の9,600放銃。
同じ勝負牌でも、押川さんと私のそれとでは、あまりにも質が違い過ぎた。
押川さんはこのアガリが効いて、3回戦もトップ。藤本もかろうじて浮きを確保したが、ついに押川さんが逆転し、首位に立つ。
3回戦結果
押川さん+33.6P 藤本+4.7P 浦田▲8.4P 小泉さん▲29.9P
トータル結果
押川さん+85.6P 藤本+69.7P 浦田▲6.3P 小泉さん▲79.0P
 
最終4回戦
1回戦終了時に60P以上離していた藤本であったが、逆に追いかけるカタチとなってしまった。その差は15.9P。
浦田と小泉さんが大人しくなる展開を予想すれば、押川さん浮き2着で12Pの点差が必要となろうか?
大接戦になった運命の最終戦…。
東3局 ドラ二筒をトイツにして私がリーチ、呼応して小泉さんもメンピンドラ1高目イーペイコウの追いかけリーチを放つ。
両者共に満貫手であるが、やはり本日の主役ではない。
2人のリーチを掻い潜ってアガったのは藤本。
一索一索一索西西発発  加カン七索 上向き七索 上向き七索 上向き七索 上向き  暗カン牌の背八筒 下向き八筒 下向き牌の背  ロン西  ドラ二筒
浦田より討ち取り、大きな大きな7,700のアガリ。
この時点で押川さんと藤本はほぼ並びとなる。
南1局 親の藤本
一索二索三索四筒五筒南南南中中  ポン五索 上向き五索 上向き五索 上向き  ドラ九索
ソウズのホンイツにも見え、藤本の捨て牌の序盤に四筒が1枚切られており、点数こそ安いが、アガリは簡単に拾えそう。
そんな中、押川さんにテンパイが入る。
二万二万四万五万六万三筒五筒六筒六筒六筒発発発  ドラ九索
現時点でほぼ原点の押川さん。沈みたくもなく、何とかこの親を落としたいが、待ちも悪く、藤本には打ちにくい牌も多い。放銃すれば親満もありえそうなので、この局が決定機になってしまうかも…。
しかし、押川さんは腹を括ってここも強烈に押していく。
生牌の中東、ついにはドラの九索まで切っていく。
凄い!これが覚悟した人間の勝負というものだろうか。
結末は藤本から四筒がツモ切られ、押川さんの執念が実る。
正に決定機となる1局となった。
オーラス 押川さんがトップ目のため、1局勝負。
藤本が押川さんを逆転する条件は、満貫直撃か跳満ツモ。
(ちなみに浦田・小泉さんからだと三倍満アガリ。)
決して不可能な条件ではないが、果たしてどちらに女神は舞い降りるのか?
2巡目、小泉さんが七万を切ると「ロン」の声。
三万三万六万七万八万八万九万二筒三筒四筒白白白
なんと押川さんがドラ暗刻の親満をアガリ。
これにて藤本もほぼ条件が無くなり、次局で終了。
押川さんの優勝が決定した。
4回戦結果
押川さん+28.0P 藤本+9.0 浦田▲13.9P 小泉さん▲23.1P
トータル結果
優勝 押川さん+113.6P
2位 藤本+78.7P
3位 浦田▲20.2P
4位 小泉さん▲102.1P
100
優勝された押川さん、おめでとうございます。
第13期に初優勝を果たされてから、3期連続の決勝進出で、今期も予選で只一人全節プラスと抜群の安定感を誇り、2度目の栄冠となりました。
局後のインタビューで、
「局面局面で、何度も回ろうかと思った場面がありましたが、サボってはいけない、楽してはいけない、と自分に言い聞かせて、勝負しました。」
というコメントが示すとおり、腹を括った、覚悟の一打が非常に鋭く、同卓していてただただ唸るしかありませんでした。
そして、半年前に皆の前で優勝宣言して挑んだ私…。
結果は良いところなく完敗。
さて、次回からどうしようか?悔しい日々が幾ばくか過ぎ、出た結論は…。
「よし、また次回優勝宣言だ!」
狼少年と言われないように頑張ります…。

第28期中部プロリーグ 決勝レポート

最強寒波により名古屋で4センチの積雪を観測した日、その雪を融かしてしまいそうな熱い闘牌が繰り広げられた。第28期中部プロリーグ決勝戦である。しかし勝負の世界、熱くなりすぎるのは禁物だ。最後まで冷静に自分のスタイルを貫いた者が勝利の扉を開くであろう。
決勝進出者を予選の成績とともに紹介していこう。

 

古川 孝次 (1期生/九段)
予選1位(+162.6P) 決勝7回目 過去3回優勝
トップ率:35% (7回/20半荘) その内2回1人浮きトップ
平均順位:2.00位
原点キープ率:70% (14回/20半荘)
ラス率:5% (1回/20半荘)
「優勝目指して頑張ります」

 

伊藤 鉄也 (22期生/四段)
予選2位(+117.2P) 決勝7回目 過去2回優勝
トップ率:45% (9回/20半荘) その内3回1人浮きトップ
平均順位:2.15位
原点キープ率:65% (13回/20半荘)
ラス率:25% (5回/20半荘)
「以前の決勝戦で古川プロに惨敗しているのでリベンジします」

 

日下 健司 (24期生/二段)
予選3位(+70.2P)  決勝5回目 過去2回優勝
トップ率:35% (7回/20半荘) その内3回1人浮きトップ
平均順位:2.40位
原点キープ率:50% (10回/20半荘)
ラス率:20% (4回/20半荘)
「久しぶりの決勝戦なので楽しもうと思います」

 

寺戸 孝志 (21期生/四段)
予選4位(+56.0P) 決勝4回目 過去1回優勝
トップ率:30% (6回/20半荘) その内1回1人浮きトップ
平均順位:2.40位
原点キープ率:60% (12回/20半荘)
ラス率:20% (4回/20半荘) その内1回1人沈みラス
「久しぶりの決勝戦、優勝目指して頑張ります」

以上の4名で決勝戦の熱い闘牌が繰り広げられる。

 

1回戦(起家から、伊藤・寺戸・古川・日下)

東1局、慎重にヤミテンを選択した日下のピンフ、イーペーコーの2,000点で静かに始まった。
東2局、伊藤30,000・寺戸28,000・古川30,000・日下32,000
親の寺戸に大物手が入る。ソーズを3連続引き入れ四索をポンし、その後二索を引き入れ8巡目で跳満のテンパイ。

二索二索四索五索五索六索七索八索八索八索  ポン四索 上向き四索 上向き四索 上向き  ドラ一筒

18,000点のスタートダッシュを決めることができるか。
それに対抗するのが伊藤。

一索二索三索六索七索九索九索一筒二筒三筒  チー三万 左向き一万 上向き二万 上向き

3色ドラ1のテンパイだが、九索を引くと六索を出してしまいそうだ。
日下は三索が浮いていたが切れずにまわって放銃を回避した。序盤の日下はロン牌をつかんではまわって放銃を回避するという場面が多く見られた。我慢の麻雀である。結果、流局し寺戸・伊藤のテンパイで寺戸はチャンス手をものにすることが出来なかった。

南1局、伊藤34,800・寺戸35,200・古川22,200・日下27,800
トップ争いの伊藤の親を落とすべく南家の寺戸が中ポンで積極的に動く。
しかし、伊藤も動いて役牌一気通貫ドラ2のテンパイ。

七索七索一筒二筒三筒四筒五筒南南南  チー九筒 左向き七筒 上向き八筒 上向き  ドラ七索

ここから、ドラの七索を暗刻⇒二筒五筒待ち⇒二万タンキ⇒地獄待ちの北タンキに変化し

七索七索七索三筒四筒五筒南南南北  チー九筒 左向き七筒 上向き八筒 上向き  ロン北

すぐに10巡目からリーチせずに役無しテンパイをしていた日下が北をつかみ12,000点を放銃する。
北で待った伊藤が良かったのか、つかんだ日下が悪かったのか、この日はこの2人の手がぶつかる事が多かった。

南2局、伊藤44,100・寺戸33,800・古川19,800・日下22,300
前局で伊藤の親を落とし反撃態勢の日下が8巡目にリーチ

三万四万五万七索七索三筒四筒六筒六筒七筒七筒八筒八筒  リーチ  ロン五筒  ドラ六索

一発でトップ目の伊藤が日下のロン牌の五筒を出し7,700点を放銃してしまう。
伊藤の手牌は日下の現物の八万待ちで一気通貫ドラ1のテンパイをしていたのだった。
結果1回戦は本手をなかなか成就できなかった古川が1人沈みのラスで苦しい立ち上がりとなった。

1回戦成績 伊藤+13.1P 寺戸+7.9P 日下+1.5P 古川▲22.5P

 

2回戦(起家から、日下・古川・伊藤・寺戸)

南1局、日下26,400・古川31,200・伊藤36,300・寺戸26,100
親の日下が五万八万待ちピンフリーチするも、すかさず古川がリーチ宣言牌の四筒をチーし、1回戦のマイナス分を取り戻すべく親と勝負する。途中ツモり三暗刻の選択もあったがリャンメンに受けて正解だったようだ。

三万三万五万五万五万四索四索四索六索七索  チー四筒 左向き五筒 上向き六筒 上向き  ツモ五索  ドラ五万

古川はタンヤオドラ3の2,000・3,900をアガリ加点していく。
もし三万六索のシャンポンに受けていたら他で使われていて純カラであった。麻雀というのは選択の連続である。正しい選択をして良いアガリを導き出すのが麻雀の魅力である。

南2局2本場、日下20,700・古川43,900・伊藤32,800・寺戸22,600
寺戸が雀頭を中張牌に替えタンヤオをつけ、三筒四筒をくっつけて11巡目リーチ。あっさり3巡後に高めの五筒を引き寄せた。

三万四万五万三索四索五索七索七索三筒四筒六筒七筒八筒  リーチ  ツモ五筒  ドラ九索

寺戸が会心の跳満をアガリ、親の古川の勢いを止めた。

南3局、日下17,500・古川37,700・伊藤29,600・寺戸35,200

一索一索一索二索三索四索七索八索南南  ポン北北北  ロン九索  ドラ八索

親の伊藤が日下から7,700点をアガリ、日下に1人沈みのラスを押し付けた。

2回戦成績
古川+15.0P 伊藤+9.6P 寺戸+7.2P 日下▲31.8P

2回戦終了時
伊藤+22.7P 寺戸+15.1P 古川▲7.5P 日下▲30.3P

 

3回戦(起家から、古川・日下・伊藤・寺戸)

東3局1本場 供託1 古川28,000・日下35,200・伊藤23,800・寺戸32,000
古川が早々に一筒をポンし手を作っていく。
しかし寺戸がテンパイし6巡目リーチ

三万四万五万六万六万七万七万八万八万三索三索七索八索  リーチ  ドラ発

古川が11巡目

九万九万九索九索南南南北北発  ポン一筒 上向き一筒 上向き一筒 上向き  ツモ九万

テンパイとなる九万を引く。しかしドラの発を切りきれずに北をおとす。3巡後に痛恨の北を引いてきて跳満のアガリを逃してしまった。結果流局し、最後に親番維持の七対子の発待ちテンパイを入れた伊藤とリーチの寺戸がテンパイとなった。

東3局2本場 供託2 古川26,500・日下33,700・伊藤25,300・寺戸32,500
トータルトップを競っている伊藤の親番で寺戸がリーチして満貫をツモる。

一万一万一万三万四万四万五万六万六索六索六索四筒四筒  リーチ  ツモ二万  ドラ四万

リーチ時に山にアガリ牌は2枚。五万は他に流れ最後の牌を掘り当てた。アガリが欲しいところでアガリを拾える、寺戸は依然好調をキープしている。

南1局、古川23,800・日下35,200・伊藤16,400・寺戸44,600
3回戦にトップを取らないと後がない日下が7巡目にリーチ、リーチ後発を持ってきて暗カン。
それに対抗するのは伊藤、9巡目に追っかけリーチをかける。

二筒三筒四筒五筒五筒五筒七筒八筒九筒東東白白  リーチ  ドラ東

ツモで倍満の勝負手リーチである。3回戦ラス目の伊藤はぜひアガリたいところ。
伊藤の待ち牌はドラの東が寺戸と持ち持ちで白が古川のところに1枚、山に白が1枚、対する日下の待ち牌の七索は山に2枚。

三万四万五万六索八索七筒八筒八筒八筒九筒  暗カン牌の背発発牌の背  リーチ  ツモ七索

日下は手元に七索を引き込み2,000・3,900のアガリをものにし3回戦トップを引き寄せた。
アガリのなかった伊藤は痛恨のラスで一歩後退した。

3回戦成績
日下+24.6P 寺戸+11.5P 古川▲11.0P 伊藤▲26.1P 供託+1.0P

3回戦終了時
寺戸+26.6P 伊藤▲3.4P 日下▲5.7P 古川▲18.5P 供託+1.0P

 

4回戦(起家から、古川・伊藤・寺戸・日下)

東1局、好調で安定感のある寺戸がここでもアガリきる。

三筒五筒五筒五筒五筒六筒六筒  ポン七筒 上向き七筒 上向き七筒 上向き  チー三筒 左向き一筒 上向き二筒 上向き  ツモ四筒  ドラ五万

この寺戸を止める者はいるのだろうか。防御力が高く点棒を持った寺戸はなかなか吐き出さない。

南2局 古川26,800・伊藤26,000・寺戸37,000・日下30,200
日下が9巡目にリーチ。4巡後に高目のドラの三索をツモり寺戸に待ったをかける。

二万二万四万五万六万四索五索五索六索七索六筒七筒八筒  リーチ  ツモ三索  ドラ三索

南3局 古川24,800・伊藤22,000・寺戸35,000・日下38,200
寺戸の親を落としたい日下だが四筒をチーテンとらずにスルー。自力で引いてきて11巡目にリーチ。

五万六万八万八万二索三索四索六索七索八索四筒五筒六筒  リーチ  ドラ四万

リーチに対して伊藤は13巡目にテンパイし二万が河に3枚、自分で1枚使用している事からヤミテンを選択した。日下が最後の五万をつかんでしまい伊藤に7,700を放銃する。

二万三万三万四万四万七万七万四索五索六索二筒三筒四筒  ロン五万

南4局 古川24,800・伊藤30,700・寺戸35,000・日下29,500
親の日下が親番維持の為、積極的に中を1鳴き、古川も発を1鳴きしチーもいれて伊藤から1,000をアガった。

六万七万八万四筒五筒東東  チー六索 左向き四索 上向き五索 上向き  ポン発発発  ロン三筒  ドラ五万

結果トータルトップの寺戸が1人浮きトップとなり寺戸にポイントが加算された。
私の所感ではここで古川には優勝を目指すならば、原点まで5,200なので発を1鳴きせずにもっとじっくり手を作って欲しかった。

4回戦成績
寺戸+17.0P 伊藤▲1.3P 日下▲3.5P 古川▲12.2P

4回戦終了時
寺戸+43.6P 伊藤▲4.7P 日下▲9.2P 古川▲30.7P 供託+1.0P

あと5回戦を残すのみとなった。寺戸はすべて原点をキープしている分トータルトップとなった。寺戸との差は伊藤48.3P、日下52.8P、古川74.3Pと開いたが、まだ十分逆転のチャンスはある。

 

5回戦(起家から、伊藤・日下・古川・寺戸)

東場・南場と小場で局が進んで行き南3局を迎えた。
南3局 伊藤33,500・日下16,900・古川45,900・寺戸23,700
伊藤が逆転に向けてピンフ高目三色ドラ2リーチ。

四万五万九万九万三索四索五索三筒四筒五筒五筒六筒七筒  リーチ  ロン三万  ドラ九万

親落ちするわけにはいかない古川から高目になる三万が打牌され、伊藤は最終局に望みを繋げる12,000をアガった。

南4局 伊藤45,500・日下16,900・古川33,900・寺戸23,700
ここで優勝条件確認をしよう。条件を満たして逆転した時の感動もまた麻雀の魅力である。
寺戸は親なので流局で伏せれば優勝。
伊藤の条件は5回戦始まる前の寺戸との差が48.3Pあったが5回戦は順位点込みで33.8P縮めている。寺戸からは7,700以上直撃、跳満ツモ条件、他者からは倍満条件となる。
日下の条件は、寺戸から役満直撃もしくは役満ツモ条件、他者からはダブル役満条件となる。
古川はダブル役満アガリ条件となっている。

最終局が始まった。
一番条件が現実的な伊藤の配牌は

五万七万八万九万一索三索五索六索二筒七筒八筒西北  ドラ中

跳満ツモにかけるならチャンタ三色狙いか。
しかしテンパイを入れる事すら叶わず、伊藤の最後の打牌が終わると全員の手が伏せられ拍手が鳴り響いた。
28期中部プロリーグの優勝者が決定した瞬間だった。寺戸は安堵の表情を見せた。
おめでとうございます!

5回戦成績
伊藤+23.5P 古川+7.9P 寺戸▲10.3P 日下▲21.1P

5回戦終了時
寺戸+33.3P 伊藤+18.8P 古川▲22.8P 日下▲30.3P 供託+1.0P

最後に寺戸から優勝者のコメントを頂いた。
「2回目の中部プロリーグの優勝嬉しいです。致命的な放銃が無かったのが良かったです。これからも良い麻雀が打てるよう様に精進します。」

今回決勝レポートを書くにあたり自分の中で麻雀に対して熱くなるものがありました。自分も良い麻雀が打てる様、放銃して熱くなり過ぎない様に頑張ります。
拙い文章でしたが最後までお付き合い頂きましてありがとうございました。
私なりに決勝戦のデータを調べましたので参考にしてください。やはり寺戸の平均放銃点が低い!

決勝戦全57局 寺戸 孝志 伊藤 鉄也 古川 孝次 日下 健司
リーチ率 8.77%(5回) 8.77%(5回) 14.04%(8回) 15.79%(9回)
副露率 22.81%(13回) 26.32%(15回) 42.11%(24回) 7.02%(4回)
和了率 17.54%(10回) 17.54%(10回) 19.30%(11回) 22.81%(13回)
平均和了点 4,120 5,310 2,873 4,000
放銃率 10.53%(6回) 8.77%(5回) 10.53%(6回) 19.30%(11回)
平均放銃点 1,950 3,760 3,833 4,018

100

前列左より:寺戸 孝志、木村本部長
後列左より:伊藤 鉄也、古川 孝次、日下 健司

中部プロリーグ レポート/第28期中部プロリーグ 決勝レポート

最強寒波により名古屋で4センチの積雪を観測した日、その雪を融かしてしまいそうな熱い闘牌が繰り広げられた。第28期中部プロリーグ決勝戦である。しかし勝負の世界、熱くなりすぎるのは禁物だ。最後まで冷静に自分のスタイルを貫いた者が勝利の扉を開くであろう。
決勝進出者を予選の成績とともに紹介していこう。
 
古川 孝次 (1期生/九段)
予選1位(+162.6P) 決勝7回目 過去3回優勝
トップ率:35% (7回/20半荘) その内2回1人浮きトップ
平均順位:2.00位
原点キープ率:70% (14回/20半荘)
ラス率:5% (1回/20半荘)
「優勝目指して頑張ります」
 
伊藤 鉄也 (22期生/四段)
予選2位(+117.2P) 決勝7回目 過去2回優勝
トップ率:45% (9回/20半荘) その内3回1人浮きトップ
平均順位:2.15位
原点キープ率:65% (13回/20半荘)
ラス率:25% (5回/20半荘)
「以前の決勝戦で古川プロに惨敗しているのでリベンジします」
 
日下 健司 (24期生/二段)
予選3位(+70.2P)  決勝5回目 過去2回優勝
トップ率:35% (7回/20半荘) その内3回1人浮きトップ
平均順位:2.40位
原点キープ率:50% (10回/20半荘)
ラス率:20% (4回/20半荘)
「久しぶりの決勝戦なので楽しもうと思います」
 
寺戸 孝志 (21期生/四段)
予選4位(+56.0P) 決勝4回目 過去1回優勝
トップ率:30% (6回/20半荘) その内1回1人浮きトップ
平均順位:2.40位
原点キープ率:60% (12回/20半荘)
ラス率:20% (4回/20半荘) その内1回1人沈みラス
「久しぶりの決勝戦、優勝目指して頑張ります」
以上の4名で決勝戦の熱い闘牌が繰り広げられる。
 
1回戦(起家から、伊藤・寺戸・古川・日下)
東1局、慎重にヤミテンを選択した日下のピンフ、イーペーコーの2,000点で静かに始まった。
東2局、伊藤30,000・寺戸28,000・古川30,000・日下32,000
親の寺戸に大物手が入る。ソーズを3連続引き入れ四索をポンし、その後二索を引き入れ8巡目で跳満のテンパイ。
二索二索四索五索五索六索七索八索八索八索  ポン四索 上向き四索 上向き四索 上向き  ドラ一筒
18,000点のスタートダッシュを決めることができるか。
それに対抗するのが伊藤。
一索二索三索六索七索九索九索一筒二筒三筒  チー三万 左向き一万 上向き二万 上向き
3色ドラ1のテンパイだが、九索を引くと六索を出してしまいそうだ。
日下は三索が浮いていたが切れずにまわって放銃を回避した。序盤の日下はロン牌をつかんではまわって放銃を回避するという場面が多く見られた。我慢の麻雀である。結果、流局し寺戸・伊藤のテンパイで寺戸はチャンス手をものにすることが出来なかった。
南1局、伊藤34,800・寺戸35,200・古川22,200・日下27,800
トップ争いの伊藤の親を落とすべく南家の寺戸が中ポンで積極的に動く。
しかし、伊藤も動いて役牌一気通貫ドラ2のテンパイ。
七索七索一筒二筒三筒四筒五筒南南南  チー九筒 左向き七筒 上向き八筒 上向き  ドラ七索
ここから、ドラの七索を暗刻⇒二筒五筒待ち⇒二万タンキ⇒地獄待ちの北タンキに変化し
七索七索七索三筒四筒五筒南南南北  チー九筒 左向き七筒 上向き八筒 上向き  ロン北
すぐに10巡目からリーチせずに役無しテンパイをしていた日下が北をつかみ12,000点を放銃する。
北で待った伊藤が良かったのか、つかんだ日下が悪かったのか、この日はこの2人の手がぶつかる事が多かった。
南2局、伊藤44,100・寺戸33,800・古川19,800・日下22,300
前局で伊藤の親を落とし反撃態勢の日下が8巡目にリーチ
三万四万五万七索七索三筒四筒六筒六筒七筒七筒八筒八筒  リーチ  ロン五筒  ドラ六索
一発でトップ目の伊藤が日下のロン牌の五筒を出し7,700点を放銃してしまう。
伊藤の手牌は日下の現物の八万待ちで一気通貫ドラ1のテンパイをしていたのだった。
結果1回戦は本手をなかなか成就できなかった古川が1人沈みのラスで苦しい立ち上がりとなった。
1回戦成績 伊藤+13.1P 寺戸+7.9P 日下+1.5P 古川▲22.5P
 
2回戦(起家から、日下・古川・伊藤・寺戸)
南1局、日下26,400・古川31,200・伊藤36,300・寺戸26,100
親の日下が五万八万待ちピンフリーチするも、すかさず古川がリーチ宣言牌の四筒をチーし、1回戦のマイナス分を取り戻すべく親と勝負する。途中ツモり三暗刻の選択もあったがリャンメンに受けて正解だったようだ。
三万三万五万五万五万四索四索四索六索七索  チー四筒 左向き五筒 上向き六筒 上向き  ツモ五索  ドラ五万
古川はタンヤオドラ3の2,000・3,900をアガリ加点していく。
もし三万六索のシャンポンに受けていたら他で使われていて純カラであった。麻雀というのは選択の連続である。正しい選択をして良いアガリを導き出すのが麻雀の魅力である。
南2局2本場、日下20,700・古川43,900・伊藤32,800・寺戸22,600
寺戸が雀頭を中張牌に替えタンヤオをつけ、三筒四筒をくっつけて11巡目リーチ。あっさり3巡後に高めの五筒を引き寄せた。
三万四万五万三索四索五索七索七索三筒四筒六筒七筒八筒  リーチ  ツモ五筒  ドラ九索
寺戸が会心の跳満をアガリ、親の古川の勢いを止めた。
南3局、日下17,500・古川37,700・伊藤29,600・寺戸35,200
一索一索一索二索三索四索七索八索南南  ポン北北北  ロン九索  ドラ八索
親の伊藤が日下から7,700点をアガリ、日下に1人沈みのラスを押し付けた。
2回戦成績
古川+15.0P 伊藤+9.6P 寺戸+7.2P 日下▲31.8P
2回戦終了時
伊藤+22.7P 寺戸+15.1P 古川▲7.5P 日下▲30.3P
 
3回戦(起家から、古川・日下・伊藤・寺戸)
東3局1本場 供託1 古川28,000・日下35,200・伊藤23,800・寺戸32,000
古川が早々に一筒をポンし手を作っていく。
しかし寺戸がテンパイし6巡目リーチ
三万四万五万六万六万七万七万八万八万三索三索七索八索  リーチ  ドラ発
古川が11巡目
九万九万九索九索南南南北北発  ポン一筒 上向き一筒 上向き一筒 上向き  ツモ九万
テンパイとなる九万を引く。しかしドラの発を切りきれずに北をおとす。3巡後に痛恨の北を引いてきて跳満のアガリを逃してしまった。結果流局し、最後に親番維持の七対子の発待ちテンパイを入れた伊藤とリーチの寺戸がテンパイとなった。
東3局2本場 供託2 古川26,500・日下33,700・伊藤25,300・寺戸32,500
トータルトップを競っている伊藤の親番で寺戸がリーチして満貫をツモる。
一万一万一万三万四万四万五万六万六索六索六索四筒四筒  リーチ  ツモ二万  ドラ四万
リーチ時に山にアガリ牌は2枚。五万は他に流れ最後の牌を掘り当てた。アガリが欲しいところでアガリを拾える、寺戸は依然好調をキープしている。
南1局、古川23,800・日下35,200・伊藤16,400・寺戸44,600
3回戦にトップを取らないと後がない日下が7巡目にリーチ、リーチ後発を持ってきて暗カン。
それに対抗するのは伊藤、9巡目に追っかけリーチをかける。
二筒三筒四筒五筒五筒五筒七筒八筒九筒東東白白  リーチ  ドラ東
ツモで倍満の勝負手リーチである。3回戦ラス目の伊藤はぜひアガリたいところ。
伊藤の待ち牌はドラの東が寺戸と持ち持ちで白が古川のところに1枚、山に白が1枚、対する日下の待ち牌の七索は山に2枚。
三万四万五万六索八索七筒八筒八筒八筒九筒  暗カン牌の背発発牌の背  リーチ  ツモ七索
日下は手元に七索を引き込み2,000・3,900のアガリをものにし3回戦トップを引き寄せた。
アガリのなかった伊藤は痛恨のラスで一歩後退した。
3回戦成績
日下+24.6P 寺戸+11.5P 古川▲11.0P 伊藤▲26.1P 供託+1.0P
3回戦終了時
寺戸+26.6P 伊藤▲3.4P 日下▲5.7P 古川▲18.5P 供託+1.0P
 
4回戦(起家から、古川・伊藤・寺戸・日下)
東1局、好調で安定感のある寺戸がここでもアガリきる。
三筒五筒五筒五筒五筒六筒六筒  ポン七筒 上向き七筒 上向き七筒 上向き  チー三筒 左向き一筒 上向き二筒 上向き  ツモ四筒  ドラ五万
この寺戸を止める者はいるのだろうか。防御力が高く点棒を持った寺戸はなかなか吐き出さない。
南2局 古川26,800・伊藤26,000・寺戸37,000・日下30,200
日下が9巡目にリーチ。4巡後に高目のドラの三索をツモり寺戸に待ったをかける。
二万二万四万五万六万四索五索五索六索七索六筒七筒八筒  リーチ  ツモ三索  ドラ三索
南3局 古川24,800・伊藤22,000・寺戸35,000・日下38,200
寺戸の親を落としたい日下だが四筒をチーテンとらずにスルー。自力で引いてきて11巡目にリーチ。
五万六万八万八万二索三索四索六索七索八索四筒五筒六筒  リーチ  ドラ四万
リーチに対して伊藤は13巡目にテンパイし二万が河に3枚、自分で1枚使用している事からヤミテンを選択した。日下が最後の五万をつかんでしまい伊藤に7,700を放銃する。
二万三万三万四万四万七万七万四索五索六索二筒三筒四筒  ロン五万
南4局 古川24,800・伊藤30,700・寺戸35,000・日下29,500
親の日下が親番維持の為、積極的に中を1鳴き、古川も発を1鳴きしチーもいれて伊藤から1,000をアガった。
六万七万八万四筒五筒東東  チー六索 左向き四索 上向き五索 上向き  ポン発発発  ロン三筒  ドラ五万
結果トータルトップの寺戸が1人浮きトップとなり寺戸にポイントが加算された。
私の所感ではここで古川には優勝を目指すならば、原点まで5,200なので発を1鳴きせずにもっとじっくり手を作って欲しかった。
4回戦成績
寺戸+17.0P 伊藤▲1.3P 日下▲3.5P 古川▲12.2P
4回戦終了時
寺戸+43.6P 伊藤▲4.7P 日下▲9.2P 古川▲30.7P 供託+1.0P
あと5回戦を残すのみとなった。寺戸はすべて原点をキープしている分トータルトップとなった。寺戸との差は伊藤48.3P、日下52.8P、古川74.3Pと開いたが、まだ十分逆転のチャンスはある。
 
5回戦(起家から、伊藤・日下・古川・寺戸)
東場・南場と小場で局が進んで行き南3局を迎えた。
南3局 伊藤33,500・日下16,900・古川45,900・寺戸23,700
伊藤が逆転に向けてピンフ高目三色ドラ2リーチ。
四万五万九万九万三索四索五索三筒四筒五筒五筒六筒七筒  リーチ  ロン三万  ドラ九万
親落ちするわけにはいかない古川から高目になる三万が打牌され、伊藤は最終局に望みを繋げる12,000をアガった。
南4局 伊藤45,500・日下16,900・古川33,900・寺戸23,700
ここで優勝条件確認をしよう。条件を満たして逆転した時の感動もまた麻雀の魅力である。
寺戸は親なので流局で伏せれば優勝。
伊藤の条件は5回戦始まる前の寺戸との差が48.3Pあったが5回戦は順位点込みで33.8P縮めている。寺戸からは7,700以上直撃、跳満ツモ条件、他者からは倍満条件となる。
日下の条件は、寺戸から役満直撃もしくは役満ツモ条件、他者からはダブル役満条件となる。
古川はダブル役満アガリ条件となっている。
最終局が始まった。
一番条件が現実的な伊藤の配牌は
五万七万八万九万一索三索五索六索二筒七筒八筒西北  ドラ中
跳満ツモにかけるならチャンタ三色狙いか。
しかしテンパイを入れる事すら叶わず、伊藤の最後の打牌が終わると全員の手が伏せられ拍手が鳴り響いた。
28期中部プロリーグの優勝者が決定した瞬間だった。寺戸は安堵の表情を見せた。
おめでとうございます!
5回戦成績
伊藤+23.5P 古川+7.9P 寺戸▲10.3P 日下▲21.1P
5回戦終了時
寺戸+33.3P 伊藤+18.8P 古川▲22.8P 日下▲30.3P 供託+1.0P
最後に寺戸から優勝者のコメントを頂いた。
「2回目の中部プロリーグの優勝嬉しいです。致命的な放銃が無かったのが良かったです。これからも良い麻雀が打てるよう様に精進します。」
今回決勝レポートを書くにあたり自分の中で麻雀に対して熱くなるものがありました。自分も良い麻雀が打てる様、放銃して熱くなり過ぎない様に頑張ります。
拙い文章でしたが最後までお付き合い頂きましてありがとうございました。
私なりに決勝戦のデータを調べましたので参考にしてください。やはり寺戸の平均放銃点が低い!

決勝戦全57局 寺戸 孝志 伊藤 鉄也 古川 孝次 日下 健司
リーチ率 8.77%(5回) 8.77%(5回) 14.04%(8回) 15.79%(9回)
副露率 22.81%(13回) 26.32%(15回) 42.11%(24回) 7.02%(4回)
和了率 17.54%(10回) 17.54%(10回) 19.30%(11回) 22.81%(13回)
平均和了点 4,120 5,310 2,873 4,000
放銃率 10.53%(6回) 8.77%(5回) 10.53%(6回) 19.30%(11回)
平均放銃点 1,950 3,760 3,833 4,018

100
前列左より:寺戸 孝志、木村本部長
後列左より:伊藤 鉄也、古川 孝次、日下 健司

第17期皇帝位決定戦 初日

皇帝位。
九州本部に所属している者ならば、誰しもが手にしたいタイトル。
Aリーガー16名で戦う1年間、10節、40半荘。
上位4名にだけ与えられる、決定戦への切符。
1年間を戦い抜いた、今回の4名の対局者を紹介させて頂きます。
1位通過 中尾多門プロ

リーグ戦が始まる春先に、彼は私にこう言った。
「俺、絶対決定戦残るから。今までとは比べ物にならないくらい、真面目に取り組むから。」
その言葉を1位通過で有言実行してくれた。
スピードのあるテンポの良い麻雀を打ち、勝負所での戦い方はずば抜けている選手。
彼が展開を握れば、他の三者は苦戦するだろう。
100

 

 

2位通過 浜上文吾プロ

九州本部の顔と言っても過言ではないこの方。
昨年よりも引き出しが増え、いろんな技を使い分けて戦い、決定戦進出の切符を手にした。
目先のことではなく二手先のことを常に考え、大局観を大切にする打ち手。
初戦の入りがキーポイントとなるだろう。
100

 

 

3位通過 塚本将之プロ

前半戦は我慢が続くも、後半持ち味を生かした戦い方で見事決定戦進出。
自分に厳しく、とてもストイック。
どっしりと腰を据えた彼の麻雀は、見ている者を魅了する。
昨年の悔しさを晴らし、初の皇帝位となるか?
100

 

 

4位通過 安東裕允プロ

8節まではマイナスポイントだったが、最後の2節で120ポイントを上乗せし、決定戦進出を決めた。
多くの技を繰り出し、その場面に応じた戦い方をする打ち手。
他の三者からすると、安東はとても厄介な相手になるだろう。
100

 

誰が勝ってもおかしくない、今回の対局者達。
私の大好きな、尊敬する先輩達。
この対局を記録に残したい…たくさんの人に伝えたい…そう思い、自ら観戦記者をさせてほしいと志願した。

会場へ選手が集まった。
いつも多忙なイメージのある対局者達だが、皆口をそろえて「よく寝た!」と言っていた。
睡眠不足は、麻雀を打つ上で一番の障害となる。
当たり前のようだが、試合の前日はなかなか寝付けないもの。
しかし4名の対局者達は、各々コンディションを整えて会場へとやってきた。

中村本部長の挨拶があり、牌チェック、諸注意と進んでいく。
長いようで短い2日間が幕を開けた。

 

100
100

 

 

1回戦(起家から塚本、安東、浜上、中尾)

東1局0本場 親塚本 ドラ五筒
開局いきなりドラドラの好配牌の塚本。
四万五万五万八万一索九索二筒三筒三筒五筒五筒七筒八筒八筒
この手を、開局したばかりの今、どう育てていくのだろう。
私は心を躍らせた。
塚本の今日の戦い方が、この1局で見えるのでは…と思ったからだ。
9巡目、塚本が動く。
塚本
二万四万五万五万五筒五筒六筒七筒八筒発  ポン三筒 上向き三筒 左向き三筒 上向き
タンヤオを確定させる六筒を前巡に引き入れ、仕掛けやすい手格好となってすぐ浜上から三筒が打ちだされる。
しかし、この仕掛けを見て戦いを挑む者がいた。
中尾は6巡目にタンヤオ七対子をテンパイし、ヤミテンに構えていたのだ。
中尾
四万四万六万六万二索二索四索四索六索八索八索六筒六筒

六索待ちから七索待ちに変え、9巡目の塚本の仕掛けを見てツモ切りリーチ。
このリーチを見て、塚本はどうするのか?
(きっと真っ向勝負をしてくれるはず!)
私はそう思いながら見ていた。
12巡目に自力で五万を引き入れ、カン三万待ちの聴牌。
そこからは塚本、中尾のめくり合い。
塚本
二万四万五万五万五万五筒五筒六筒七筒八筒  ポン三筒 上向き三筒 左向き三筒 上向き  ツモ三万
17巡目、塚本が力強く三万をツモ。
2,000オールの和了となった。

続く、東1局1本場 ドラ九索
今度は安東に好配牌!
六万七万八万五索五索六索七索七索三筒四筒五筒六筒七筒
ダブル立直とまではいかずとも、高打点が見込める最高の配牌。
しかし、4巡目に引き入れたのは三色の崩れる五索だった。
だが巡目も早く好形のため、安東はリーチを選択する。
このリーチを受けた塚本の手牌。
一万二万三万四万一索三索四索四索四索五索八索二筒三筒
5巡目、この手に四万を引き入れ五索を勝負する。
次巡一筒を引き入れリーチ。
入り目を打たれ、追いかけられた安東はどんな心境だっただろう。
そして、即二索をツモあがる塚本。
3,900は4,000オールの和了をものにする。
(恐い…塚本さん恐い…)
会場にいる皆がそう思ったことだろう。

東1局2本場 ドラ二筒
塚本の配牌
二万三索五索六索六索六索三筒三筒三筒六筒六筒六筒西北
三暗刻が…出来あがっている…
この親をどこまで続けるつもりなんだ…
大物手間違いなしのこの配牌、5巡目に4枚目の六筒を持ってきて暗カン、リンシャンから三索を引き入れ、四暗刻イーシャンテンになる。
六万三索三索五索六索六索六索三筒三筒三筒  暗カン牌の背六筒 上向き六筒 上向き牌の背
ここに次巡七万を引き入れ打五索、タンヤオ三暗刻のテンパイ。
一手変わるとツモり四暗刻である。
5巡後、浜上から五万が打ち出され、11,600は12,200の出和がりとなった。
この時の浜上の手牌。
三万四万五万五万六万八万八万八索四筒五筒七筒八筒九筒  ツモ二万  打五万
12巡目と巡目も深く、二万が塚本の現物でもあることから、この放銃は浜上らしくないな…と思った。

続く3本場も、10巡目に安東から1,500は2,400を和了。

4本場、浜上が500/1,000は900/1,400をツモ。
ようやく塚本の親をここで終わらせる。

道中、先頭を走る塚本に食らいついていたのは安東。
南2局の親番では6本場まで積み、44,600まで点棒を増やす。

親番の猛追は素晴らしいものだった。
塚本は安東に捲くられる危機を覚えたに違いない。
安東と対局したことのある人にしかわからない、安東の粘り強さ。
これは安東の持ち味のひとつだ。

逆に苦しいのは浜上と中尾。
和了に絡めず、我慢の時を過ごす。

南3局、親番の浜上にチャンスが訪れる。
下家の中尾の仕掛けによってドラの三筒が重なり、平和のみの手が平和ドラドラに。
浜上
二万三万四万五万六万七万一索二索三索四索五索三筒三筒  リーチ  ツモ三索

リーチを打ち、見事4,000オールをツモ。

中尾もオーラスの親番意地を見せるが、2,000は2,300の横移動にて1回戦目が終了。

1回戦成績
塚本 +39.5p 安東 +17.2p 浜上 ▲24.0p 中尾 ▲32.7p

 

2回戦(起家から塚本、中尾、浜上、安東)

東3局2本場 親浜上 ドラ四索
2巡目、ドラ対子の塚本が早々と自風の西をポン。
続いて、仕掛けにより引き入れた中をポン。
手は対子系に育ち13巡目、ハネ満のテンパイをいれる。
塚本
四索四索三筒三筒六筒六筒六筒  ポン西西西  ポン中中中
しかし、前巡安東からリーチが入っている。
塚本の仕掛けを受けてのリーチだ、こちらも勝負手のはず!
安東
三万四万三索四索五索六索七索八索三筒四筒五筒八筒八筒
ハネ満vs高めツモでハネ満。
見ている者をワクワクさせる、高打点勝負。
塚本と安東のめくり合いの末、流局。
お互い、この手は決めさせてくれと願っただろう。
麻雀の神様は、とても気まぐれである。

話はいきなりそれるが、人にはイメージ、印象というものがある。
それは麻雀にもいえること。
「この打ち手がこの仕掛けをするということは、打点が伴っているはずだ。」
など、対局をするうえで人読みも入ってくる。

塚本に対する皆のイメージは、どっしりとした、打点のある手をつくる打ち手。
そして、とっても繊細な麻雀を打つ。
ざっとではあるが、こんな感じではないだろうか。

今回の皇帝位戦に向けて、塚本はそれ以外の武器をたくさん調達してきた。
いや、今まであまり出していなかっただけで、ここぞという時に最強の武器になるよう、いつでも出せるように懐で温めていたのかも知れない。

そんな彼の意外な一面をみた1局があった。

南3局1本場 親浜上 ドラ三万
前局、親の浜上が2,000オールをツモあがりし、持ち点を49,700にまでのばしていた。
もう親番のない塚本は、南3局の現時点で18,000持ちのラス目。
その塚本の配牌。
五万五万二索三索六索一筒三筒六筒九筒西白白中
決していいとは言えない。
だが、安東が第1打に切った白をポンするのだ。
私はこのとき浜上の後ろで観戦していたので、塚本の手は見ていない。
しかし勝手に「ん?ドラ対子かな?染め手かな?」と想像していた。
4巡目にカン二筒をチー。
8巡目に六筒をポン。打八筒で手牌が4枚になる。
そして、10巡目に浜上が打ち出す四索にロンの声がかかる。
塚本が開いた手牌は五万五万二索三索
衝撃を受けた。
18,000のラス目の塚本が、この仕掛けをするイメージがまったくなかったからだ。
後に本人に聞いてみた。
「もうラスは受け入れていた。でも戦わないと、浜上さんに加点され続けるかもしれないからね。もらった手材料で、やれることをやっただけだよ。」
温めていた武器、ここで出したのか…。
四索を打ち出した浜上の手は、十分形だった。
三万四万七万八万五索五索六索六索七索七索四筒五筒五筒
6,000オールまで見えるこの手を、塚本は隠していた武器で封じたのだ。

日頃から周りに与えているイメージがあるからこそ、この仕掛けが恐いものに見える。
それを彼はよくわかっていた。

2回戦成績
浜上 +24.8p 安東 +4.0p 中尾 ▲10.1p 塚本 ▲18.7p

2回戦終了時
安東 +21.2p 塚本 +20.8p 浜上 +0.8p 中尾 ▲42.8p

 

3回戦(起家から中尾、浜上、安東、塚本)

2回戦を終えて、中尾1人で負債を抱える形となった。
私の知る中尾は、いつも余裕があり、堂々としている。
しかし、休憩中の中尾の表情に余裕の文字はなかった。
決定戦を戦う彼らにしかわからないプレッシャーがあるのだろう。
声をかけたい衝動にかられたが、心の中で(頑張れ!!)と呟き、ぐっと我慢した。

東1局、塚本が技ありの2,600をアガる。
ドラのない三色のカン三万、これはAルールだとリーチ選択をすることが多い。
これをヤミテンに構え、浜上から見事打ち取るのだ。
親の中尾がダブ東をポン、カン二索をチーして六筒九筒待ちのテンパイをいれていた。
そして持ってきた六万を中尾がツモ切り、すぐ浜上から三万が打ち出される。
三万で、高めハネマンテンパイの浜上。
この三万を放銃した浜上は、後に「堪えたよー」と話してくれた。

道中、浜上の繊細な打ちまわしに目がいった。
親の動向をしっかり観察し、親が仕掛けようものなら一切親の有益になることはしない。
彼がきつい牌を打ち出す時は、勝機のあるテンパイ打牌であることがほとんどだ。
北家の浜上の粘り強さを思い知らされる。

南2局0本場 親浜上 ドラ七索
ここまで苦しい展開の中尾にようやく先制リーチが入る。
中尾
四万四万四万六万六万六万七万八万九万七索七索二筒二筒  リーチ  ロン二筒
二筒を安東から出アガり、5,200。

中尾36,900 浜上34,700 安東17,700 塚本30,700
ここでトップ目にに浮上する。

オーラス、親の塚本が渾身の2,600オールをツモあがり局面を一歩リードする。
塚本
一筒三筒五筒六筒七筒八筒八筒  ポン中中中  ポン西西西  ツモ二筒

しかしオーラス1本場、ドラ四万 浜上が31,600持ちからリーチ。
浜上
二万三万四万四万五万七万八万九万一索二索三索六索六索  リーチ  ツモ三万

2,000/4,000は2,100/4,100を見事ツモあがり2連勝。
攻守のバランスが良く、実に浜上らしい見事な1半荘だった。

3回戦成績
浜上 +17.9p 中尾 +7.2p 塚本 +4.9p 安東 ▲30.0p

3回戦終了時
塚本 +25.7p 浜上 +18.7p 安東 ▲8.8p 中尾 ▲35.6p

 

4回戦(起家から中尾、塚本、安東、浜上)

皇帝位決定戦初日も、残すところあと1半荘。
8半荘で優勝者が決まる今回のシステム。
通年のリーグ戦とは戦い方も変わってくる。
それを特に体現しているのが塚本だ。

浜上はいつもと変わらず終始落ち着いた様子。
安東も中尾も、私の知る2人だ。

しかし塚本に関しては、知らない一面が垣間見える。
観戦者が思わず覗き込みたくなるような戦いを見せてくれる。

そんなことを思いながら観戦していると、東3局に事件がおこる。

東3局0本場 親安東 ドラ六筒
11巡目、中尾から打ち出された東に浜上からロンの声。
手牌をそっと倒し「32,000」の発声が会場内に響く。
浜上
一万九万一索九索九索一筒九筒東西北白発中  ロン東

このときの中尾の手牌はこちら。
二万三万四万四万五万六万四索五索六索四筒六筒白白
三色ドラ1のテンパイ。
序盤からピンズが安く五筒の場況がよく見え、実際山には4枚眠っていた。
中尾の態勢の悪さを物語っている。
しかし、中尾は表情には出さずはっきりと「はい」と答え、点棒を渡していた。
彼の潔い、プロとしての姿勢は素晴らしい。

南1局1本場 親塚本 ドラ二万
好配牌の塚本、カン二万をツモ、四索を重ね雀頭にしてのリーチ。
一万二万三万五万六万七万四索四索六索六索七索八索八索  リーチ  ツモ七索
力強く七索をツモ!3,900は4,000オールのあがり。

オーラス、ドラ四筒
中尾
七万八万九万四索五索八索八索八索六筒七筒八筒東東  リーチ

三索六索待ちのリーチを打つも、四万をツモり、塚本に2600を放銃し、終局。

塚本
四万四万六万六万七万八万九万七索八索九索七筒八筒九筒  ロン四万

4回戦成績
浜上 +37.1p 塚本 +22.5p 安東 ▲8.5p 中尾 ▲51.1p

4回戦終了時
浜上 +55.8p 塚本 +48.2p 安東 ▲17.3p 中尾 ▲86.7p

 

前半戦が終わった。
私が予想していたより、大きなポイント差が生まれる結果となった。
残り4回戦で今期の皇帝位が決まる。

浜上と塚本の一騎打ちとなるのか。
安東、中尾が意地をみせるのか。
最後まで目が離せない。

九州プロリーグ レポート/第17期皇帝位決定戦 初日

皇帝位。
九州本部に所属している者ならば、誰しもが手にしたいタイトル。
Aリーガー16名で戦う1年間、10節、40半荘。
上位4名にだけ与えられる、決定戦への切符。
1年間を戦い抜いた、今回の4名の対局者を紹介させて頂きます。
1位通過 中尾多門プロ
リーグ戦が始まる春先に、彼は私にこう言った。
「俺、絶対決定戦残るから。今までとは比べ物にならないくらい、真面目に取り組むから。」
その言葉を1位通過で有言実行してくれた。
スピードのあるテンポの良い麻雀を打ち、勝負所での戦い方はずば抜けている選手。
彼が展開を握れば、他の三者は苦戦するだろう。
100
 
 
2位通過 浜上文吾プロ
九州本部の顔と言っても過言ではないこの方。
昨年よりも引き出しが増え、いろんな技を使い分けて戦い、決定戦進出の切符を手にした。
目先のことではなく二手先のことを常に考え、大局観を大切にする打ち手。
初戦の入りがキーポイントとなるだろう。
100
 
 
3位通過 塚本将之プロ
前半戦は我慢が続くも、後半持ち味を生かした戦い方で見事決定戦進出。
自分に厳しく、とてもストイック。
どっしりと腰を据えた彼の麻雀は、見ている者を魅了する。
昨年の悔しさを晴らし、初の皇帝位となるか?
100
 
 
4位通過 安東裕允プロ
8節まではマイナスポイントだったが、最後の2節で120ポイントを上乗せし、決定戦進出を決めた。
多くの技を繰り出し、その場面に応じた戦い方をする打ち手。
他の三者からすると、安東はとても厄介な相手になるだろう。
100
 
誰が勝ってもおかしくない、今回の対局者達。
私の大好きな、尊敬する先輩達。
この対局を記録に残したい…たくさんの人に伝えたい…そう思い、自ら観戦記者をさせてほしいと志願した。
会場へ選手が集まった。
いつも多忙なイメージのある対局者達だが、皆口をそろえて「よく寝た!」と言っていた。
睡眠不足は、麻雀を打つ上で一番の障害となる。
当たり前のようだが、試合の前日はなかなか寝付けないもの。
しかし4名の対局者達は、各々コンディションを整えて会場へとやってきた。
中村本部長の挨拶があり、牌チェック、諸注意と進んでいく。
長いようで短い2日間が幕を開けた。
 
100
100
 
 
1回戦(起家から塚本、安東、浜上、中尾)
東1局0本場 親塚本 ドラ五筒
開局いきなりドラドラの好配牌の塚本。
四万五万五万八万一索九索二筒三筒三筒五筒五筒七筒八筒八筒
この手を、開局したばかりの今、どう育てていくのだろう。
私は心を躍らせた。
塚本の今日の戦い方が、この1局で見えるのでは…と思ったからだ。
9巡目、塚本が動く。
塚本
二万四万五万五万五筒五筒六筒七筒八筒発  ポン三筒 上向き三筒 左向き三筒 上向き
タンヤオを確定させる六筒を前巡に引き入れ、仕掛けやすい手格好となってすぐ浜上から三筒が打ちだされる。
しかし、この仕掛けを見て戦いを挑む者がいた。
中尾は6巡目にタンヤオ七対子をテンパイし、ヤミテンに構えていたのだ。
中尾
四万四万六万六万二索二索四索四索六索八索八索六筒六筒
六索待ちから七索待ちに変え、9巡目の塚本の仕掛けを見てツモ切りリーチ。
このリーチを見て、塚本はどうするのか?
(きっと真っ向勝負をしてくれるはず!)
私はそう思いながら見ていた。
12巡目に自力で五万を引き入れ、カン三万待ちの聴牌。
そこからは塚本、中尾のめくり合い。
塚本
二万四万五万五万五万五筒五筒六筒七筒八筒  ポン三筒 上向き三筒 左向き三筒 上向き  ツモ三万
17巡目、塚本が力強く三万をツモ。
2,000オールの和了となった。
続く、東1局1本場 ドラ九索
今度は安東に好配牌!
六万七万八万五索五索六索七索七索三筒四筒五筒六筒七筒
ダブル立直とまではいかずとも、高打点が見込める最高の配牌。
しかし、4巡目に引き入れたのは三色の崩れる五索だった。
だが巡目も早く好形のため、安東はリーチを選択する。
このリーチを受けた塚本の手牌。
一万二万三万四万一索三索四索四索四索五索八索二筒三筒
5巡目、この手に四万を引き入れ五索を勝負する。
次巡一筒を引き入れリーチ。
入り目を打たれ、追いかけられた安東はどんな心境だっただろう。
そして、即二索をツモあがる塚本。
3,900は4,000オールの和了をものにする。
(恐い…塚本さん恐い…)
会場にいる皆がそう思ったことだろう。
東1局2本場 ドラ二筒
塚本の配牌
二万三索五索六索六索六索三筒三筒三筒六筒六筒六筒西北
三暗刻が…出来あがっている…
この親をどこまで続けるつもりなんだ…
大物手間違いなしのこの配牌、5巡目に4枚目の六筒を持ってきて暗カン、リンシャンから三索を引き入れ、四暗刻イーシャンテンになる。
六万三索三索五索六索六索六索三筒三筒三筒  暗カン牌の背六筒 上向き六筒 上向き牌の背
ここに次巡七万を引き入れ打五索、タンヤオ三暗刻のテンパイ。
一手変わるとツモり四暗刻である。
5巡後、浜上から五万が打ち出され、11,600は12,200の出和がりとなった。
この時の浜上の手牌。
三万四万五万五万六万八万八万八索四筒五筒七筒八筒九筒  ツモ二万  打五万
12巡目と巡目も深く、二万が塚本の現物でもあることから、この放銃は浜上らしくないな…と思った。
続く3本場も、10巡目に安東から1,500は2,400を和了。
4本場、浜上が500/1,000は900/1,400をツモ。
ようやく塚本の親をここで終わらせる。
道中、先頭を走る塚本に食らいついていたのは安東。
南2局の親番では6本場まで積み、44,600まで点棒を増やす。
親番の猛追は素晴らしいものだった。
塚本は安東に捲くられる危機を覚えたに違いない。
安東と対局したことのある人にしかわからない、安東の粘り強さ。
これは安東の持ち味のひとつだ。
逆に苦しいのは浜上と中尾。
和了に絡めず、我慢の時を過ごす。
南3局、親番の浜上にチャンスが訪れる。
下家の中尾の仕掛けによってドラの三筒が重なり、平和のみの手が平和ドラドラに。
浜上
二万三万四万五万六万七万一索二索三索四索五索三筒三筒  リーチ  ツモ三索
リーチを打ち、見事4,000オールをツモ。
中尾もオーラスの親番意地を見せるが、2,000は2,300の横移動にて1回戦目が終了。
1回戦成績
塚本 +39.5p 安東 +17.2p 浜上 ▲24.0p 中尾 ▲32.7p
 
2回戦(起家から塚本、中尾、浜上、安東)
東3局2本場 親浜上 ドラ四索
2巡目、ドラ対子の塚本が早々と自風の西をポン。
続いて、仕掛けにより引き入れた中をポン。
手は対子系に育ち13巡目、ハネ満のテンパイをいれる。
塚本
四索四索三筒三筒六筒六筒六筒  ポン西西西  ポン中中中
しかし、前巡安東からリーチが入っている。
塚本の仕掛けを受けてのリーチだ、こちらも勝負手のはず!
安東
三万四万三索四索五索六索七索八索三筒四筒五筒八筒八筒
ハネ満vs高めツモでハネ満。
見ている者をワクワクさせる、高打点勝負。
塚本と安東のめくり合いの末、流局。
お互い、この手は決めさせてくれと願っただろう。
麻雀の神様は、とても気まぐれである。
話はいきなりそれるが、人にはイメージ、印象というものがある。
それは麻雀にもいえること。
「この打ち手がこの仕掛けをするということは、打点が伴っているはずだ。」
など、対局をするうえで人読みも入ってくる。
塚本に対する皆のイメージは、どっしりとした、打点のある手をつくる打ち手。
そして、とっても繊細な麻雀を打つ。
ざっとではあるが、こんな感じではないだろうか。
今回の皇帝位戦に向けて、塚本はそれ以外の武器をたくさん調達してきた。
いや、今まであまり出していなかっただけで、ここぞという時に最強の武器になるよう、いつでも出せるように懐で温めていたのかも知れない。
そんな彼の意外な一面をみた1局があった。
南3局1本場 親浜上 ドラ三万
前局、親の浜上が2,000オールをツモあがりし、持ち点を49,700にまでのばしていた。
もう親番のない塚本は、南3局の現時点で18,000持ちのラス目。
その塚本の配牌。
五万五万二索三索六索一筒三筒六筒九筒西白白中
決していいとは言えない。
だが、安東が第1打に切った白をポンするのだ。
私はこのとき浜上の後ろで観戦していたので、塚本の手は見ていない。
しかし勝手に「ん?ドラ対子かな?染め手かな?」と想像していた。
4巡目にカン二筒をチー。
8巡目に六筒をポン。打八筒で手牌が4枚になる。
そして、10巡目に浜上が打ち出す四索にロンの声がかかる。
塚本が開いた手牌は五万五万二索三索
衝撃を受けた。
18,000のラス目の塚本が、この仕掛けをするイメージがまったくなかったからだ。
後に本人に聞いてみた。
「もうラスは受け入れていた。でも戦わないと、浜上さんに加点され続けるかもしれないからね。もらった手材料で、やれることをやっただけだよ。」
温めていた武器、ここで出したのか…。
四索を打ち出した浜上の手は、十分形だった。
三万四万七万八万五索五索六索六索七索七索四筒五筒五筒
6,000オールまで見えるこの手を、塚本は隠していた武器で封じたのだ。
日頃から周りに与えているイメージがあるからこそ、この仕掛けが恐いものに見える。
それを彼はよくわかっていた。
2回戦成績
浜上 +24.8p 安東 +4.0p 中尾 ▲10.1p 塚本 ▲18.7p
2回戦終了時
安東 +21.2p 塚本 +20.8p 浜上 +0.8p 中尾 ▲42.8p
 
3回戦(起家から中尾、浜上、安東、塚本)
2回戦を終えて、中尾1人で負債を抱える形となった。
私の知る中尾は、いつも余裕があり、堂々としている。
しかし、休憩中の中尾の表情に余裕の文字はなかった。
決定戦を戦う彼らにしかわからないプレッシャーがあるのだろう。
声をかけたい衝動にかられたが、心の中で(頑張れ!!)と呟き、ぐっと我慢した。
東1局、塚本が技ありの2,600をアガる。
ドラのない三色のカン三万、これはAルールだとリーチ選択をすることが多い。
これをヤミテンに構え、浜上から見事打ち取るのだ。
親の中尾がダブ東をポン、カン二索をチーして六筒九筒待ちのテンパイをいれていた。
そして持ってきた六万を中尾がツモ切り、すぐ浜上から三万が打ち出される。
三万で、高めハネマンテンパイの浜上。
この三万を放銃した浜上は、後に「堪えたよー」と話してくれた。
道中、浜上の繊細な打ちまわしに目がいった。
親の動向をしっかり観察し、親が仕掛けようものなら一切親の有益になることはしない。
彼がきつい牌を打ち出す時は、勝機のあるテンパイ打牌であることがほとんどだ。
北家の浜上の粘り強さを思い知らされる。
南2局0本場 親浜上 ドラ七索
ここまで苦しい展開の中尾にようやく先制リーチが入る。
中尾
四万四万四万六万六万六万七万八万九万七索七索二筒二筒  リーチ  ロン二筒
二筒を安東から出アガり、5,200。
中尾36,900 浜上34,700 安東17,700 塚本30,700
ここでトップ目にに浮上する。
オーラス、親の塚本が渾身の2,600オールをツモあがり局面を一歩リードする。
塚本
一筒三筒五筒六筒七筒八筒八筒  ポン中中中  ポン西西西  ツモ二筒
しかしオーラス1本場、ドラ四万 浜上が31,600持ちからリーチ。
浜上
二万三万四万四万五万七万八万九万一索二索三索六索六索  リーチ  ツモ三万
2,000/4,000は2,100/4,100を見事ツモあがり2連勝。
攻守のバランスが良く、実に浜上らしい見事な1半荘だった。
3回戦成績
浜上 +17.9p 中尾 +7.2p 塚本 +4.9p 安東 ▲30.0p
3回戦終了時
塚本 +25.7p 浜上 +18.7p 安東 ▲8.8p 中尾 ▲35.6p
 
4回戦(起家から中尾、塚本、安東、浜上)
皇帝位決定戦初日も、残すところあと1半荘。
8半荘で優勝者が決まる今回のシステム。
通年のリーグ戦とは戦い方も変わってくる。
それを特に体現しているのが塚本だ。
浜上はいつもと変わらず終始落ち着いた様子。
安東も中尾も、私の知る2人だ。
しかし塚本に関しては、知らない一面が垣間見える。
観戦者が思わず覗き込みたくなるような戦いを見せてくれる。
そんなことを思いながら観戦していると、東3局に事件がおこる。
東3局0本場 親安東 ドラ六筒
11巡目、中尾から打ち出された東に浜上からロンの声。
手牌をそっと倒し「32,000」の発声が会場内に響く。
浜上
一万九万一索九索九索一筒九筒東西北白発中  ロン東
このときの中尾の手牌はこちら。
二万三万四万四万五万六万四索五索六索四筒六筒白白
三色ドラ1のテンパイ。
序盤からピンズが安く五筒の場況がよく見え、実際山には4枚眠っていた。
中尾の態勢の悪さを物語っている。
しかし、中尾は表情には出さずはっきりと「はい」と答え、点棒を渡していた。
彼の潔い、プロとしての姿勢は素晴らしい。
南1局1本場 親塚本 ドラ二万
好配牌の塚本、カン二万をツモ、四索を重ね雀頭にしてのリーチ。
一万二万三万五万六万七万四索四索六索六索七索八索八索  リーチ  ツモ七索
力強く七索をツモ!3,900は4,000オールのあがり。
オーラス、ドラ四筒
中尾
七万八万九万四索五索八索八索八索六筒七筒八筒東東  リーチ
三索六索待ちのリーチを打つも、四万をツモり、塚本に2600を放銃し、終局。
塚本
四万四万六万六万七万八万九万七索八索九索七筒八筒九筒  ロン四万
4回戦成績
浜上 +37.1p 塚本 +22.5p 安東 ▲8.5p 中尾 ▲51.1p
4回戦終了時
浜上 +55.8p 塚本 +48.2p 安東 ▲17.3p 中尾 ▲86.7p
 
前半戦が終わった。
私が予想していたより、大きなポイント差が生まれる結果となった。
残り4回戦で今期の皇帝位が決まる。
浜上と塚本の一騎打ちとなるのか。
安東、中尾が意地をみせるのか。
最後まで目が離せない。