8月3日、第2期JPMLWRCリーグ一次トーナメント、二次トーナメントを勝ち残った12名にシード選手4名を加えた16名の選手がここ夏目坂スタジオに集い、熱い闘牌を繰り広げた。
今回レポートははじめての経験になりますが、現場の臨場感や現場で感じたことなどを少しでも見てくださる麻雀ファンやプロの方々に伝わるよう第2期JPMLWRCリーグベスト16のレポートを私、菊原真人が担当させて頂きます。
【A卓】
羽山真生vs佐々木寿人vs鮎川卓vs中川基輝
前回優勝シードの羽山
現グランプリMAX佐々木
B1リーガーの鮎川
昨年の新人王戦決勝進出の中川
連盟チャンネルにも何度も出ているネームバリューのある3人に若手の中川のA卓。
前回優勝の羽山がどう闘うか注目して見ていきたい。
1回戦
東場は中川のやりたい事と展開がしっかりと噛み合い、アガリを積み重ね加点を続け、」中川のペースで49,300点のトップ目で南場へ。
その流れから場が動いたのは南3局
南3局 1本場 供託3.0P
佐々木が5巡目にリーチをし、これをあっさりとツモアガる。
ツモ ドラ
このチャンスをモノにした佐々木が中川に迫る2着に浮上し1回戦を終えた。
1回戦終了時
中川+30.1P 佐々木+13.6P 羽山▲13.0P 鮎川▲30.7P
2回戦
起家の中川が連荘し加点を続ける。
東1局 3本場
1回戦ラスだった鮎川が先制リーチ
2巡後、中川はこの牌姿の1シャンテンになっていた。
リーチ者の鮎川が今切ったばかりのを同巡に合わせ打つ。上家の羽山のに中川がチーしてテンパイ。
チー
この羽山が切ったに注目したい。
リーチ者にアガられる事はもちろん嫌なのだが、トップ目の親の連荘も自分にとっては望ましくない。
もしこれがリーグ戦であれば、親の中川に仕掛けがはいり、テンパイを入れられたくないという理由で、鮎川・中川の両者をケアし、中川に仕掛けられづらそうなを切る人もいるのではないだろうか。
しかし羽山の選択は。
自分のアガリが難しいため、今通ったを合わせ打つことで終局までの安全牌をより多く持っていられるという「自身の安全の確保」に加え、中川に仕掛けられた場合には、トータルラス目の鮎川とぶつけることもできる。
中川が鮎川からアガれば、自身と佐々木2人で残りの1席を争う図が出来上がり、マークする人を佐々木に限定できるようになる。
また、鮎川が中川からアガリをものにすれば、中川を簡単に逃がさずに4分の2の闘いに持ち込むことができるという判断なのだろう。
実にトーナメントらしい一打に思えた。
展開が動いたのは南3局
南3局 供託 2.0P 2本場
羽山がリーチ。山に3枚生きていた待ちのをツモ。裏3枚で4,200・8,200のアガリでトップまで突き抜ける。
リーチ ツモ ドラ 裏
2回戦はこのアガリで突き抜けて羽山がトップ、2着に中川、3着に鮎川、4着に佐々木となった。
2回戦終了時
中川+45.0P 羽山+17.3P 佐々木▲14.1P 鮎川▲48.2P
3回戦
羽山トップ、中川2着目、佐々木3着目、鮎川ラス目の並びで南1局を迎え、3回戦で通過者が濃厚になってしまうかもしれない並びで迎えた南1局。
南1局 佐々木は
ポン ドラ
このテンパイ。親の羽山は
チー
このチンイツのテンパイ
佐々木のアガリ牌は2枚、羽山は3枚と山にアガリ牌がいたが、を持ってきたのは羽山。
羽山は自身がアガればグッと通過が近くなる。ホンイツ模様の佐々木からは前巡にが打たれている。
羽山が止まり、長考の末に羽山が選んだのは打。
羽山の冷静な押し引きの判断で反撃の機会を与えず、羽山の丁寧かつ繊細な麻雀が光る1局だった。
3回戦は羽山がこのリードを保ったまま終了した。
3回戦終了時
中川+41.5P 羽山+36.3P 佐々木▲37.1P 鮎川▲40.7P
4回戦は佐々木・鮎川がトータルで離れてしまった羽山・中川を捉えるのは難しく展開そのまま羽山・中川が通過を決めた。
通過者 1位通過 羽山 2位通過 中川
【B卓】
前原雄大vs麓征生vs井出一寛vs江端隼
現鳳凰位シードの前原
A2リーガーの麓
36期王位の井出
一次予選から勝ち上がりの江端
1回戦
会場の選手の中で誰よりも早くアガリをものにしたのは現鳳凰位前原。
井出から5,200の出アガリを決めると東場は前原がアガリを重ね次々と加点していく。
南2局 親 前原
麓がリーチとし、渾身の勝負手をツモアガリ。
ツモ ドラ 裏
裏ドラが1枚乗り4,000・8,000のツモアガリで前原48,500、麓42,900とトップの前原に迫る。麓は親番でも加点をし、6万点オーバーのトップを獲り、麓が1回戦大きくリードした。
1回戦終了時
麓+51.2P 前原+19.8P 井出▲28.6P 江端▲42.4P
2回戦
東2局2本場、4巡目北家の井出にチャンス手が入る。
ツモ
井出はここから打を選択し、最短のテンパイに辿り着き、ヤミテンで前原から12,000をアガリ、トップ目に立つ。
ロン ドラ
南4局、親の江端が8巡目にリーチ。
ツモ ドラ
この6,000オールで一気に逆転し、大きなトップを獲り1回戦のマイナスを挽回する。
2回戦終了時
麓+40.5P 江端▲5.4P 前原▲15.6P 井出▲19.5P
3回戦
南3局全員が平たい点棒状況で迎えたこの局に抜け出したのは井出。
トータルトップの麓から井出が18,000を出アガリ、井出43,900、前原32,100、江端29,400、麓14,600と一度は麓を大きく沈めるも、麓は親番で原点付近の3着まで盛り返す。
前原も井出をまくり、南3局時から全員の着順が変わり、最後はトップに前原、2着に井出、3着に麓、ラスに江端となり3回戦が終了した。
3回戦終了時
麓+36.9P 前原+9.7P 井出▲11.6P 江端▲32.0P
4回戦
前原、井出の闘いになるかと思われた4回戦。
麓が大きく沈み、前原が5万点を越えるトップに立ち、井出のターゲットが麓に変わる。
最終局まで井出と麓は接戦を繰り広げていたが、ここは井出がこの接戦を制して通過を決めた。
通過者 1位通過 前原 2位通過 井出
【C卓】
藤崎智vs近藤久春vs冨田久志vs藤島健二郎
現十段位藤崎
A1リーガーの近藤
予選2位通過のC3の冨田
B1リーガー藤島
A1リーガー2人がいることで注目卓のC卓。
1回戦
東場から加点を続けた藤島。6万点を超えた状態で迎えた南2局の藤島の親番。
これまでの好調さを表すような手が藤島に入る。
南2局 6巡目
ドラ
この手をヤミテンのまま10巡目にはを引き打とし藤島があがるかと思われたこの局。
藤崎の手牌はなんと国士無双待ち!!
山に3枚生きていたをツモリあげたのは藤島や藤崎ではなく冨田。
ピンフツモの400.700をツモりあげ、点数以上の大きなアガリになったが、1回戦は藤島が大きなトップを獲り終了する。
1回戦終了時
藤島+47.6P 近藤+4.8P 藤崎▲17.9P 冨田▲34.5P
2回戦
2回戦も藤島の流れが止まらない。
またもや東場で5万点を超えた藤島が連勝とし、続けて藤島が大きなトップの連勝をする中で、抜群の安定感をみせ連続で2着を獲った近藤とトータルポイントが縦長の展開になり2回戦が終了した。
2回戦終了時
藤島+82.6P 近藤+20.3P 冨田▲44.4P 藤崎▲58.8P
3回戦
南2局 1本場
近藤
ドラ
1シャンテンからツモをツモ切りしを重ね打。
ヤミテンで1,300、2,600をツモアガリ、追撃したい冨田、藤崎の親番を着実に加点しながら潰していくが、次局冨田に大物手が入る。
南3局 親 藤島
冨田
ポン ドラ
残り2枚のアガリ牌。山との勝負かと思われたが、この反撃のチャンスをつぶしてまたもやアガったのは近藤。
近藤と藤島が巧みな卓回しで大きな加点をさせず3回戦を終了させ、藤島はこの時点でほぼ通過当確となった。
3回戦終了時
藤島+91.5P 近藤+15.1P 藤崎▲39.6P 冨田▲67.0P
4回戦
藤崎と近藤の54.7P差が南場で現実味を帯びてくる。
南2局藤崎の親番開始時点での点棒状況は、
冨田44,900、藤崎40,700、近藤20,500、藤島12,900
藤崎は冨田をまくれば近藤と2着巡差になるため、冨田をかわすならあと14.5P差と現実的なところまで詰めよる。
南2局 親の藤崎は満貫のテンパイをいれるも流局、1本場も満貫のテンパイをいれるも流局。
勝負所でなかなかあと1枚が届かないがテンパイ・ノーテンで差は着実に詰まっていき、南4局では
藤崎45,200、冨田44,800、近藤18,600、藤島11,400という形になり、藤崎はこの時点で近藤と7.5P差。
3,900直撃か1,600、3,200ツモアガリか満貫出アガリという条件まで迫ったが、最後は近藤がきっちりツモアガリ。
ツモ ドラ
注目のC卓は藤崎の猛追を振り切った近藤と、大きくリードしていた藤島の勝ち上がりとなった。
通過者 1位通過 藤島 2位通過 近藤
【D卓】
末次ヒロトシvs小松武蔵vs大鹿糠文也vs足立純哉
予選1位シードの末次
C1リーグの小松
D3リーグの大鹿糠
Eリーグの足立
中堅2人と若手2人のフレッシュな顔ぶれとなったD卓
前回は去年十段戦決勝まで残った上田直樹が予選を+300Pオーバーでこの予選1位シードを獲ったのだが、末次も今回予選を+298.1Pと圧倒的なポイントで勝ち上がり、爆発的な攻撃力が魅力のひとつ。
昨期もベスト16まで勝ち上がりを決めており今回はその先への想いが強いことだろう。
1回戦
東3局 大鹿糠 29,000 小松 29,300 末次 28,700 足立 30,000とお互い牽制しあう中、末次に最初のチャンスが訪れる。
東3局 2本場 親末次
末次は10巡目にこのテンパイをいれヤミテンを選択。
ドラ
これに追いついた小松と末次の2人テンパイで流局し場はなかなか大きく動かない。
そんななか、最初に抜け出したのは大鹿糠。
南1局 親 大鹿糠
ロン ドラ
大鹿糠のこのリーチに足立がを放銃。
裏ドラがで18,000のアガリとなり、このまま大鹿糠が1回戦をトップで終えた。
1回戦終了時
大鹿糠+42.4P 小松+4.7P 末次▲17.0P 足立▲30.1P
2回戦
2回戦は1回戦ラスの足立がトップ目、1回戦トップだった大鹿糠がラス目でオーラスを迎える。
南4局 リーチ!と聞こえてきたのは大鹿糠から
リーチ ツモ ドラ 裏
一発でをツモリ、3着に浮上し、失点を最小限に抑える価値あるアガリをものにした。
末次は何度も先手を取り4回の先制リーチを打つも全て流局。あと1枚がなかなか届かない苦しい展開となった。
2回戦終了時
大鹿糠+34.1P 小松+7.9P 足立+3.5P 末次▲45.5P
3回戦
今まで丁寧に耐えてきた小松が43,200持ちトップ目で南入。
当面のライバル足立とこのまま2着順、あるいは3着順差をつけて終われれば最終戦に向けてグッと通過が近くなる。
だがここからトップを捲ったのは大鹿糠。親番で加点を続け1人当確濃厚なところまでポイントを伸ばす。
小松が2着、足立が3着で3回戦を終え、最終戦は現実的に小松と足立の闘いになった。
3回戦終了時
大鹿糠+68.2P 小松+21.3P 足立▲6.0P 末次▲83.5P
4回戦
4回戦開始時の小松と足立の差は27.3P。
東4局 親 末次 1本場
親の末次が6,000オールをツモリ迎えた1本場
足立
ドラ
12巡目に上家の小松からが切られる。
この時点では場に3枚、は2枚、は3枚打たれていたが仕掛けない事を選択。
次巡をツモリ、ドラのを勝負しリーチとした。
ツモ
山には後1枚しかいなかった待ちだが、そのを一発でツモリ2,000、4,000は2,100、4,100のアガリで価値のある大きなアガリ。
南入し、2着目の足立32,800、ラス目の小松22,700となりこの時点で足立は小松を2.8Pかわし大接戦。
南2局 親 足立
親番がなくなってしまった小松に最大の山場が訪れる。
ツモ ドラ
場況はピンズがかなり安いがタンヤオがつかないケースもある。
を払えばメンタンピンにはなりそうで三色も追える。
小松はここで打の選択からこのアガリをものにする。
ツモ ドラ 裏
よりも先にを先に持ってきた小松はこの3,000・6,000で当面のライバル足立に親被りをさせて点棒を35,300まで伸ばしトップ目まであと500点という2着目まで浮上。
オーラス足立と小松は33.0P差。
足立の条件は小松からの満貫直撃か跳満ツモの条件だったが、最後は小松がしっかりアガリきり通過を決めた。
通過者 1位通過 大鹿糠 2位通過 小松
今回の熱い闘いが終わり、遂にベスト8のメンバーが出揃った。
ベスト8は以下の日程で日本プロ麻雀連盟チャンネルで放送される。
A卓 8/17(木)17:00〜
羽山真生vs井出一寛vs藤島健二郎vs小松武蔵
B卓 8/24(木)17:00〜
前原雄大vs近藤久春vs中川基輝vs大鹿糠文也
決勝のイスをかけこの8名が激突する。
ベスト8ではどんなドラマが待っているのか、今後も目が離せない対局となりそうだ。