第187回:プロ雀士インタビュー 内川 幸太郎  インタビュアー:松本 裕也

2018年麻雀界は大きく動きはじめた。麻雀プロの第一人者でもあるミスター麻雀小島武夫プロが亡くなりそしてMリーグがスタートした。
麻雀に携わる者なら忘れもしない1年になるであろう年にファンみんなが待ち望んでいた勝利が生まれた。

今年の第35期十段位決定戦を制したのは逆転につぐ逆転劇で見事にG1タイトルを初戴冠した内川幸太郎プロ。

内川幸太郎プロといえば2005年に日本プロ麻雀連盟でプロデビューをし2014年にA2リーグ昇級、2017年にA1リーグ昇級。そしてRTDリーグや麻雀プロ団体日本一決定戦等メディアでも大活躍している日本プロ麻雀連盟を代表する若手選手。そんな内川プロだが第37期王位戦3位、第7期グランプリMAX4位、第34期鳳凰位決定戦4位と決勝には残っているもののタイトル獲得には至っていなかった。

 

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[やっと取りました]

これは今回の十段戦決勝が終わり森山茂和会長からトロフィーを渡された後の第一声。容姿端麗で麻雀の腕前もA1リーグまで上がる程の実力者、若手の頃からメディアで注目を浴び、周囲の期待を背負ってきたがゆえタイトルを取りたいという気持ちは非常に大きかったと思う。そんな内川幸太郎プロが何を思い戦いその中で何を感じ、そして今後何を目指していくのかわたくし松本裕也が今回インタビューを努めさせていただきました。そして今回のインタビューは聞きたい事がたくさんあったので詳しい牌譜については割愛させていただきます。麻雀の詳しい内容については前田直哉プロが素晴らしい観戦記を書いていらっしゃるのでそちらをご覧下さい。

初日観戦記

最終日観戦記 

僕と内川プロの出会いは初めは選手(僕)と運営(内川プロ)でした。それからしばらくはそれだけの関係でしたが、日本プロ麻雀連盟巣鴨本部道場が出来て僕は働かせてもらう事に。そこで内川プロと共に働く事になりました。そして僕は今現在麻雀教室講師もやらせていただいていますが、そのきっかけを与えてくれたのが内川プロ。道場で働き始めてちょっと経ったくらいにいきなり「連盟道場で麻雀教室やってみない?」と言われたのがスタートでした。あの一言が無ければ僕は今麻雀教室講師をやっていないでしょう。

ある日の事、道場での仕事終わりに内川プロ、僕、それと共に道場で働く高沢雅プロ、松田彩花プロでお茶をしていました。その時グランプリMAX決勝に残っていた内川プロは我々3人に
「もし優勝したら好きな物ご馳走してやるよ!」
我々3人は
「焼肉!!」
と答えたのを覚えています。
しかしグランプリMAXは敗れ楽しみにしていた焼肉も無くなってしまいました…。

2018年10月都内某所

インタビューをするにあたり場所は内川プロに任せていました。そして当日待ち合わせ場所に着くとなんとそこは[焼肉店]

内川「ようやく連れてこれたね!笑」

松本「!!!マジっすか!?」

そうです。あの日の約束を今回果たしてくれたのです。高沢プロ、松田プロも合流して4人で乾杯をし焼肉を食べながらインタビュー開始。

 

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松本「まずは十段位獲得おめでとうございます!」

内川「ありがとう!」

松本「今回の十段戦ですが、内川プロは逆転での勝利ばかりだったと思うのですが、振り返ってみていかがですか?」

内川「うーん、そうだね。今回は全部追っかけてたね。そういう意味では展開が本当に良かったよね。逃げる事が無かったから(笑)」

内川「それとさ、ベスト16ですげーのあったじゃん?」

松本「あの88P差をひっくり返した試合ですね?」(88P差を1半荘でひっくり返すというのは凄く大変な事です。連盟公式ルールの順位点は12P加減方式。3万点の浮き沈みで12Pが動きます。

1位 2位 3位 4位
一人プラス +12P △1P △3P △8P
二人プラス +8P +4P △4P △8P
三人プラス +8P +3P +1P △12P
四人マイナス +8P +4P △4P △8P

つまり一番良い状況のトップラスでも順位点は20Pしか変わりません。素点で68,000点差付けないとダメということです。)

内川「そう!あの半荘もほぼほぼ厳しい所から四暗刻とオーラスの跳満をアガって勝ち進んだけど、本当に欲しい時に欲しい手が入ってくれたって感じだったね。他の試合でもそうだし今十段戦はとにかくそんな感じだったかなー。」(第35期十段戦ベスト16A卓です。)

松本「なるほど。」

内川「それとね、今回は欲が無かったのも良かったかな?無かったというか薄かったというか。」

松本「それは勝ちたいという気持ちが無かったという事ですか?」

内川「もちろん勝ちたい気持ちはあったよ!でも焦りは全く無かった。やっぱり今まではずっとタイトルが欲しい、早い内にタイトル取れたら活躍出来るかもって思いながらやっていたけどね。でもタイトル取るよりも先にA1に上がっちゃったからね。今回の十段戦はそろそろ取らないとなって感じだった。俺ね、A1に上がってすぐにグランプリMAXの決勝に残ったのよ。その時はよーし!絶対やってやる!って気合い入れていって惨敗。でもへこたれずにリーグ戦めちゃくちゃ頑張って鳳凰位決定戦に残って今回こそはと意気込んで挑んでまた惨敗と。その2回と比べたら正直全然欲が無かったね。」

松本「冷静だった?という事ですかね?」

内川「冷静だったというかグランプリの決勝、鳳凰位決定戦とこの2回の決勝の経験で戦い方というのがなんとなく学べてそれが今回活きた。特に鳳凰位決定戦は最終日にあの化け物の様に強い人達相手に100Pくらい縮められて感触を得られたというかね。」

松本「なるほど。強い人達と戦って得た経験が良かったんですね。」

内川「A1なんかでも常にレジェンドと呼ばれる様な人達と戦ってるんだもん。そりゃ良い経験にしかならないよね!だからこそそういう方々が元気な内に色々な事を学び吸収していきたいね。そして勝ちたい!」

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そして僕は今年亡くなったミスター麻雀小島武夫先生の事を伺うことにした。小島先生は内川プロが連盟入会当初から凄く可愛がっていらっしゃったという話を聞いた。今回の十段戦の最中に亡くなられてその想いを聞いてみた。

松本「今年十段戦の最中に小島先生が亡くなりました。内川プロは凄く可愛がっていただいていたと話を聞いたのですが?」

内川「俺は本当に小島先生には可愛がってもらった。麻雀の話ももちろんだけど麻雀プロとは何ぞや?という話も沢山聞いたし学んだ。もちろん小島先生にご馳走になりながらね。今回十段戦を勝つことが出来て少しは恩返しが出来たかな?とは思う。それとね、決勝終わったあとにお孫さんの小島優ちゃんからLINEで優勝おめでとうございます。おじいちゃんも喜んでいると思います!って言われて本当に嬉しかった。」

内川「まだまだ小島先生の様にファンに魅せる麻雀だったり自分にしか出来ないオリジナリティ溢れる麻雀というのは出来ないけれども、今現在の自分が出来る精一杯を積み重ねていくしかないよね。それで勝ちが積み重なってきてはじめてそういう域に行くんじゃないかな?」

松本「なるほど。小島先生は麻雀プロの先頭を走られていた方。僕ら麻雀プロは少なからず影響は受けてますもんね。でもそんな方から直接お話が聞けるのは本当に羨ましいです。」

内川「小島先生しかり色々な方々の教えがあったからこそ今回の勝利だよね。」

松本「なるほど。そして今回の勝利で鳳凰位と並ぶシードも獲得されて最強戦ファイナルも決定という事ですが?」

内川「終わったあとに沢崎誠さんに言われたけど勝った所がスタートなんだよと。ここから二の矢三の矢と次のタイトルを取っていかなきゃね。そうやって勝ち方を身体に刻み込んでいかなくちゃ。そういった意味では今年は王位戦、WRCと良いシードも貰えるしRTDや最強戦ファイナルとあるからこのチャンスを活かして良い結果を出さなきゃね!」

松本「このあとの試合にも期待(美味しいご飯)していますよ!(笑)」

高沢&松田「ごちそうさまです!(笑)」

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そして話題は今や大注目のMリーグへ。

松本「そして今年十段位を獲得した事でMリーガーへの道も当然視野に入ってくると思いますが?」

内川「Mリーガーねー。十段戦終わって今後の目標は?と聞かれてMリーガーです!と答えたらコメントで鳳凰位じゃないんかーいとツッこまれてたけどね(笑)もちろん近い目標としてはMリーガーだよ!でも俺の麻雀プロとしての最大目標はやっぱり鳳凰位だよ。だって鳳凰位になりたくて連盟入ったんだもん。でも今年はちょっとあれだけどね(笑)とにかく降級争いを勝ってA1に残留する事!」

松本「毎年A1リーグは決定戦争いも降級争いも熾烈ですからね。ファンのみなさんはもちろん僕らも楽しみに見ています。」

内川「A2に落ちて内川何やってんだって言われないようにしないとね!」

松本「そういえばMリーグですが、第1回ドラフトにも足を運ばれていましたけど、僕は正直内川さんは選ばれると思っていました!」

内川「うーん、俺も正直選ばれたかったけど、自分が選ばれなかったという事は自分が他の人より至らなかったという事だからね。企業様もしっかり見ているから。自分が選ばれない一番は麻雀プロとして足りてない部分がタイトルという実績かなと。」

松本「それが解消されました!来年こそという思いはありますよね?」

内川「それはあるけどね!でも本当に大切なのはTwitterでも呟いたけど選ばれなかった人達がMリーグをどう盛り上げていくか?だと思うんだよね!今回俺は選ばれなかったけどMリーグを盛り上げようという気持ちは本当に強かったよ。Mリーグが成功して盛り上がればもっともっとチャンスも増えるじゃない?だから麻雀プロみんなで盛り上げてMリーグ全体を大きくしていこうとしないとね!」

松本「ありがとうございます!では最後にファンの皆様へメッセージがあればお願いします!」

内川「とにかく今の自分に出来ることを一生懸命やる。それが今の内川幸太郎だから。これがupされる頃にはRTD準決勝?決勝?やってるかな?終わってるかな?それも含めて今後も頑張りますので応援よろしくお願いします!」

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今回インタビューを通して内川プロに感じた印象それは
[常に前だけを見て走っている]
という事。敗北や失敗を恐れずにそして立ち止まらずに強さに変えて前を向く。当たり前の事だがそれが本当に難しい。数々の敗北や失敗を重ねてようやく掴んだ十段位のビッグタイトル。このチャンスはきっと逃さないだろう!

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Mr.Yの連盟Weekly!~プロクイーン・新番組~

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インターネットが使えないと生きづらい世の中になってきた。
弁当や宅配の注文など、電話での受付を行わない企業も増えてきた。全てインターネットからの注文のみということだ。
他にも何をするにしてもインターネットは使えないと不便である。
苦手だから・面倒だから誰かにやって貰おう、という考えではこの先ずっと苦労し続けるに違いないので、是非慣れていただきたい。

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麻雀業界には要らぬ心配だったかもしれない。
それでは先週を振り返っていこう。
 
 
 
 
 
 
 
【第35期鳳凰戦A1リーグ第11節A卓】10月29日(月)
瀬戸熊直樹vsHIRO柴田vs内川幸太郎vs和久津晶

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首位のHIRO柴田、今期も好調。+30.9とスコアをまとめ、決定戦進出は決まったと言っても過言では無さそうだ。
そして瀬戸熊と内川の降級争いに注目が集まった対局となった。
序盤は内川が好調だったが、瀬戸熊の3,000・6,000ツモアガリから、2回戦・3回戦と連勝。
卓内トップで順位を8位まで上げた。

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 【第35期鳳凰戦A2リーグ第8節C卓】10月30日(火)
石渡正志vs佐々木寿人vs麓征生vs魚谷侑未

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魚谷、石渡が好調。
麓は終始苦しい日となった。
寿人も随所で手は入るが、一歩先に石渡にアガリを取られてしまうというもどかしい展開だった。

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寿人が入ると対局が早く終わるのは有名だが、同様に藤崎が解説に入ると対局が早く終わるというのも定着しつつある。
そして、その二人が揃ってしまった時…

番組は21:00よりも前に終了した。
17:00から番組が始まったので、つまり「選手紹介+CM+選手へのインタビュー」全て合わせて4時間以内で終わったということだ。

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時計を見て実況の日吉プロもビックリ!

そんなスピードスターの寿人プロが、Mリーグで記念すべきアレを決めた。
 
 
 
 
 
 
 
 
【Mリーグ初役満!】10月26日(金)

個人成績で苦しい位置にいた寿人プロだったが、ついに大物手を決めた!

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国士無双炸裂!Mリーグ初役満だ!
この日、寿人プロは2連勝を決め、復活の兆しが見える一日となった。
Mリーグ最初の役満テンパイが滝沢プロで、最初の役満のアガリが寿人プロ。
紛れも無く二人は連盟のスター選手だ。

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もちろん彼女もスター選手だ。
 
 
 
 
 
 
【実況!トトロンスタジアム!】10月26日(金)
石田亜沙己vs菅原千瑛vs松岡千晶vs大野彩乃

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今回は、1半荘のトトロン。
開催が決まったのが直前ということもあり、急遽解説の菅原プロが選手として参戦。

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高い手をアガっても表情に変化はない。真剣そのものだ。
ロン2のCMをやっていた頃とは違うということだ。

結果は、最近復帰を果たした大野プロの優勝!トトロン2グランドチャンピオンシップへの進出を決めたかもしれない。
 
 
 
 
 
 
 
【麻雀日本シリーズ2018第6節】10月27日(土)

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この日は25回戦から29回戦までが行われた。
29回戦を終えて上位8名がプレーオフへと進む。

29回戦オーラス、寿人が気合の4,000オールを決めてボーダーがともたけとなり、僅差で井出が敗退となった。

この後プレーオフでは各選手が2半荘行い、上位4名が決勝進出となる。

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【第16期プロクイーン決定戦最終日】10月28日(日)
西嶋ゆかりvs水口美香vs天音まことvs浅見真紀vs日向藍子

◎二日目終了時成績
西嶋ゆかり+68.8
浅見真紀 +35.4
日向藍子 +31.1
天音まこと▲ 9.0
水口美香 ▲128.3

この日は、9回戦~12回戦の4半荘行われた。

9回戦、首位の西嶋が抜け番。
ここで浅見が大きいトップを取り、首位が入れ替わる。
日向も浮いて、西嶋の近くに着ける。

そして、10回戦の南1局にはこんな状況に。

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まさに横一線。
決定戦最終日にここまで縺れるのはレアケースだ。

しかし、この半荘では日向がトップを取り、西嶋が遅れを取る展開に。
10回戦を終え、水口はここで途中敗退となった。

◎10回戦終了時成績
日向藍子 +81.8
浅見真紀 +64.7
西嶋ゆかり+37.2
天音まこと▲25.1
水口美香 ▲158.6(敗退)

11回戦、西嶋が50,000点近いトップを取り、再び首位に立ち、最終戦を迎えた。

◎11回戦終了時成績
西嶋ゆかり+71.9
日向藍子 +49.4
浅見真紀 +46.0
天音まこと▲ 8.7

最終戦、日向、浅見が加点をし、西嶋が少し置いていかれる展開に。
そんな中、南1局。

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親の日向が一発でツモり、裏を2枚乗っけて6,000オール!
優勝へ向けて大きくリード!

その後も日向がポイントを伸ばし、西嶋が苦しくなってきたと思われた刹那、

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中・ホンイツ・トイトイ・ドラ2の12,000!
2着目へ浮上し、日向に大きく迫るも、オーラスは先制テンパイを入れた日向がアガリ切って優勝となった。
第5期の涼崎いづみプロ、第8期の石井あやプロに続いて3人目の最高位戦のプロの優勝となった。

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【新番組開始!】 

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新番組「Focus M」(フォーカス・エム)
概要:Mリーグに照準を合わせ切磋琢磨するプロ雀士たちと、企画に賛同した特別参加選手による
真剣勝負のリーグ戦!11/6に開幕します!

来週辺りからスタートするようだ。
放送時間は12:00~予定。お昼休憩に見ることが出来そうだ。

朝はあさじゃん、昼はフォーカス・エム、夜はリーグ戦。
毎日忙しくなりそうだ。
 
 
 
 
 
 
 
 
【月江いくこの今週の一言②】

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いよいよこの企画にも限界が見えてきた。

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ロン2カップ2018Autumnレポート 桜川 姫子

ロン2カップ2018オータム

麻雀ファンのみなさまこんにちは。
桜川姫子です。
今回は実況とレポートを担当させて頂くことになりました。
初めてのレポートでうまく書けているかわかりませんが、最後まで読んでいただけたら嬉しいです。

ロンロンカップとは、日本プロ麻雀連盟公認のインターネット麻雀サイト〖ロン2〗がプロデュースする麻雀対局番組です。
今対局は、麻雀プロだけではなく、ロン2の一般ユーザーさんもロン2の中で行われる予選大会を勝ち抜くことで大会に参加することができます。
今回はユーザー代表の、がぼがぼさん、mayummyさん、満点スマイルさんの3名と、Aリーガー、Mリーガー、タイトルホルダーとなんとも豪華な面々のプロ雀士9名がA、B、C卓に分かれて対戦しました。
それぞれの卓の1位の方は、無条件に決勝進出となります。
2位の方は敗者復活戦に進出となり、そこで1位となった方は決勝へ進出となります。

この敗者復活戦のもう1枠は、各卓の3着の方の中から、FRESH LIVE、ニコニコ生放送での視聴者投票を行い、最も得票数の多かった方が敗者復活戦に進むこととなります。
トップにはなれなくても、2着3着であれば決勝進出の可能性が残ります。ただし予選で4着になってしまった場合は敗退となってしまいます。
しかしみなさん、投票はドキドキなので、出来ればトップか2着を取りたいところですね。

そして今回のロン2カップ2018autumnは、ロン2東南リーチバトルルール(赤3枚入り、一発裏ドラあり)にトビ終了なしを加えたルールで行われました。

実況MCは私、桜川姫子が、メイン解説に山田浩之プロ。さらにプレイヤーズ解説として選手の1人が解説に加わっていただきました。

さらに今回は「天の声さん?」として声の出演で大場三四郎プロがインタビューで参加されることになりましたよ。
ロン2カップではおなじみとなったシステム説明のVTRも以前よりは少ーしわかりやすくなったかな?というところで、対局スタートです。

 

1回戦 予選A卓

 

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滝沢和典

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吉田直

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前田直哉

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柴田吉和

 

A卓は全員男性プロの卓となりました。
まだ足が治っておらず、ギブスをつけての参加となった吉田プロ、3着は絶対に取りたくないと言っていた柴田プロ、Mリーグのことをいじられてしまった滝沢プロ、独特なマイクの持ち方での登場となった前田プロととっても個性的な卓となりました。

腰の重い手役派がそろったこのA卓、誰がどの順位となるのでしょう!

起家から滝沢プロ、柴田吉和プロ、吉田プロ、前田プロ

東2局
親の吉田プロが高打点が見える配牌から12巡目にテンパイしリーチ。

五万赤五万七万八万九万六索八索一筒二筒三筒四筒赤五筒六筒  リーチ  ドラ五万

このカン七索は、なんと4枚山!
これをツモり、6,000オールのアガリ。レッグラリアットが1発決まりましたね!

東4局
柴田プロが2つ仕掛けているところに、親の前田プロのリーチ

七万九万一筒一筒一筒二筒二筒二筒三筒四筒中中中  リーチ  ドラ七万

ここで、安全牌がなくなってしまった柴田プロから八万が切られ、9,600の出アガリとなりました。

南1局
ドラドラの滝沢プロが仕掛けを入れ、自力でドラの発を暗刻にしたところで、親の吉田プロからリーチ。

二万三万四万五万五万五万七万八万五索六索七索白白  リーチ  ドラ発

滝沢プロもドラ暗刻でテンパイし追いつきました!

二万三万北北発発発  ポン中中中  チー八索 左向き七索 上向き九索 上向き

そこに、柴田プロもテンパイが追いつきリーチ!

四万赤五万六万六万六万六万二索三索四索四索一筒二筒三筒  リーチ

この局を制したのは滝沢プロでした。
柴田プロが四万を掴み滝沢プロが12,000と大きなアガリとなりました。
解説のお二人からトップ目の吉田プロのリーチのときに切られたドラの発を大明槓するか、しないか?という議論もありました。
なかなかカン!というのは勇気がいりますよね。

南4局
親の前田プロの配牌がとってもよかったけれど、滝沢プロの九種九牌によって流されてしまいました。前田プロもなんとも言えない悲しそうな表情でした。

南4局1本場
吉田プロがピンズのチンイツのテンパイ。

二筒二筒二筒三筒三筒六筒六筒七筒八筒九筒  ポン一筒 上向き一筒 上向き一筒 上向き

そこに応戦するのは手牌にドラが暗刻である3着目の滝沢プロ。

五万六万七万三索四索五索五索五索三筒三筒  チー四万 左向き二万 上向き三万 上向き  ドラ五索

吉田プロから8,300の出アガリとなりました。

トップ 吉田プロ 2着 滝沢プロ 3着 前田プロ

吉田プロは決勝進出、滝沢プロは敗者復活戦へ、前田プロは視聴者投票の参加となりました。

 

2回戦 予選B卓

 

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がぼがぼさん

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二階堂亜樹

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黒沢咲

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魚谷侑未

 

B卓は、全員Mリーガーの女流プロ3人にユーザーさん代表のがぼがぼさんが挑む!という卓になりました。
魚谷プロ、亜樹プロ、黒沢プロ、がぼがぼさん、みなさんがA卓の前田プロのマイクの持ち方を真似するという爆笑インタビューもありました。
がぼがぼさんは魚谷プロの大ファンということで、憧れのプロとの夢のような卓での真剣勝負ということになりましたね。
きっと、ドキドキだったでしょうね…♪*゚

起家から亜樹プロ、黒沢プロ、がぼがぼさん、魚谷プロ

東1局
がぼがぼさんがさっそく仕掛けます。

四索五索六索七索八索九索三筒  ポン白白白  ポン東東東  ドラ三筒

親の亜樹プロからリーチ。

二万三万四万五万六万六万六万七万一索二索三索二筒三筒  リーチ

これが5枚山!
しかし、なんとリーチをしていた亜樹プロがドラの三筒を掴み、がぼがぼさんの8,000のアガリとなりました!
がぼがぼさんが一歩リードします。

南2局
魚谷プロが仕掛けをします。

二万三万四万五万七万八万九万  ポン白白白  ポン北北北  ドラ三筒

そこに親の黒沢がテンパイをして、強気のビーナスリーチ!

五万赤五万七万八万九万赤五索六索七索七索八索南南南  リーチ

これを黒沢プロがツモり、裏も2枚も乗って、セレブツモ、セレブ裏裏の6,000オールのアガリとなり、大きなリードとなりました。

南2局 1本場
先制リーチをしたのは2着目のがぼがぼさん。

六万七万八万三索四索五索六索七索一筒一筒四筒赤五筒六筒  ドラ五万

そこに、応戦したのが魚谷プロ。ペン七万を引き入れて三色確定の追っかけリーチ!

七万八万九万六索七索七索八索九索四筒四筒七筒八筒九筒  リーチ

がぼがぼさんが魚谷プロからアガリ。
裏も1枚乗って8,300点でした。

南3局
魚谷プロが仕掛けを入れる中、亜樹プロがツモり三暗刻のリーチ。

八万八万八万二索二索二索三索四索五索六索六索八索八索  ドラ北

親のがぼがぼさんは配牌からあったドラの北を暗刻にしてテンパイ。
残念ながらツモ番がなくリーチできず流局となりました。

四万赤五万六万二索三索四筒四筒六筒六筒六筒北北北

ユーザー代表のがぼがぼさんの逆転もあるかも!というところでしたが、最後まで2着を死守してがぼがぼさんは敗者復活戦へ進出を決めました。
黒沢プロは決勝進出。
魚谷プロは視聴者投票の参加となりました。

トップ黒沢プロ 2着がぼがぼさん 3着 魚谷プロ

 

3回戦 予選C卓

 

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満点スマイルさん

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mayummyさん

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伊藤優孝

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前原雄大

 

満点スマイルさん、mayummyさんとレジェンドのお二人!前原プロと伊藤プロは普段はとても優しいのですが、対局での恐ろしさは皆さん知っての通りだと思います
果たしてユーザー代表のお二人がどこまで立ち向かえるのか。mayummyさんはSummerに続いての出場です!すごいですね!

起家から満点スマイルさん、前原プロ、伊藤プロ、mayummyさん

東1局
まずは親の満点スマイルさんのリーチ。

四万五万六万八万八万三索四索七索八索九索二筒三筒四筒  リーチ  ドラ九索

なんとこれを一発ツモ!裏ドラも1枚乗って6,000オールのアガリとなりました。これで名前も気分も満点スマイルさんですね♪
しかしこれで黙っていないのがレジェンド達!

東2局
mayummyさんのリーチ。

一万二万三万三万四万五万四索六索六筒七筒八筒九筒九筒  リーチ  ドラ五万

ここに向かうは親の前原プロ!

一万二万三万五万五万七索七索  ポン中中中  チー六筒 左向き七筒 上向き八筒 上向き

これを当たり前のように赤五万をツモって4,000オール。さすがでございます!

東2局6本場
前原プロの親はいったいいつまで続くのか?そんな空気の中、前原プロが切った七万に満点スマイルさんがロン!と同時にmayummyさんもロン!ダブロンが無いのでmayummyさんの頭ハネとなり倒してみるとなんとこんな手!

一万二万二万三万三万四万四万四万六万八万九万九万九万  ドラ一筒二索

さすがはユーザー代表。レジェンド2人に全く引けを取っていません!

南3局
ここまでなかなかチャンスの無かった伊藤プロも親番でリーチ。

五万五万五万一索二索三索五索六索四筒五筒六筒九筒九筒  リーチ  ドラ三万

七索をツモって裏も乗って4,000オール!やっぱりただでは終わらない!
最後は前原プロが終わらせて、それぞれ見せ場のある戦いとなりました!

トップ 前原プロ、2着 mayummyさん、3着 伊藤プロ

前原プロは決勝進出
mayummyさんは敗者復活戦へ。
伊藤プロは視聴者投票の参加となりました。

視聴者投票では予選A、B、C卓3位の中から、前田プロが敗者復活戦へ駒を進めることとなりました♪

 

敗者復活戦
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起家からがぼがぼさん、mayummyさん、前田プロ、滝沢プロ

東1局1本場
まずはmayummyさんがリーチ。

二万三万四万五索六索七索七索八索九索九索四筒五筒六筒  リーチ  ドラ九万

滝沢プロもメンホンチートイツテンパイ!

三筒三筒五筒五筒六筒七筒七筒東東南南中中

更に前田プロもリーチ!

赤五万六万七万一索二索三索四索四索六索七索二筒三筒四筒  リーチ

この勝負に勝ったのは前田プロ。裏も乗って滝沢プロから8,000のアガリとなりました。

東2局
先にリーチしたのは前田プロ。そして追いかけリーチの滝沢プロ。
またしても2人のぶつかり合いです!しかし今度は滝沢プロが一発ツモ!

三万四万赤五万六索七索八索二筒二筒四筒四筒四筒七筒八筒  リーチ  一発ツモ九筒  ドラ一筒  裏中

両者一歩も譲りません。しかしユーザーさんも黙ってはいません!

東3局
今度はがぼがぼさんのリーチ。

二万三万四万三索五索三筒四筒赤五筒六筒七筒八筒中中  リーチ  ドラ四索

ドラ待ち、いわゆるドラマチックリーチ!からの〜mayummyさんの追いかけリーチ!

四万赤五万六万二索二索六索六索六索一筒三筒四筒五筒六筒  リーチ

でも二筒は山に1枚ですねぇ…と私が実況してたら、なんとラス牌の二筒を一発ツモォ!もう乱打戦ですね。

南4局3本場
リードしている前田プロに対し、追いかけるがぼがぼさんのリーチ。

一万二万三万一索三索四筒四筒五筒五筒六筒六筒西西  ドラ西

親の滝沢プロから二索が出るけど400点足りないので見逃して流局。

4本場
再びがぼがぼさんのリーチ。

二万三万三万四万四万五万七索九索四筒四筒四筒西西  リーチ  ドラ七索

またしても滝沢プロから八索が打たれる…今度は裏ドラが1枚でも乗れば逆転するがここも見逃す。ここは滝沢プロが4,000オールで連荘。

5本場
またまたがぼがぼさんテンパイ!

赤五万七万一索二索三索赤五索五索五筒六筒七筒中中中  ドラ三索

今度はヤミテンにしてこれをあっさりとツモって決勝最後の椅子をゲットしたのでした!

勝ち上がり がぼがぼさん

 

決勝
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決勝卓は、ユーザー代表のがぼがぼさんが予選、敗者復活戦と勝ち上がって決勝卓まで上り詰めてきました!
そこで待ち受けていたのは、予選でも高打点をたくさんアガっていた強気のビーナス黒沢プロ、世界が誇る地獄の門番前原プロ、予選でもレッグラリアットを決めまくっていた吉田プロ。

起家から黒沢プロ、前原プロ、がぼがぼさん、吉田プロ

東1局
親の黒沢プロが三暗刻にはならなかったが先制でリーチ!

四万四万四万五万六万七索八索六筒六筒六筒九筒九筒九筒  リーチ  ドラ九索

そこになんとがぼがぼさんがツモり四暗刻のテンパイをしてリーチ!

二万二万二万二索二索二索六索六索六索四筒四筒白白  リーチ

白が2枚山!!さらに、ドラドラの吉田プロもリーチ!

一万二万三万五索六索九索九索一筒二筒三筒五筒六筒七筒  リーチ

ぶつかる、ぶつかる!どうなる?!東1局からすごいことに!
そして、そして、この戦いに勝ったのはなんとがぼがぼさん!!!
白をツモアガリ!!8,000.16,000!な、な、なんとー役満が出ましたぁー!予選から勝ち抜いて、決勝で役満をツモるという、なんとすごいことが起きているのでしょう!
すごいっ!すごすぎる!!カッコイイぞ〜カッコよすぎる!がぼがぼさん!!私、実況も興奮を抑えきれずおかしな日本語を話してしまいました。

東2局
役満をツモアガっても油断はできないこの面子。
親の前原プロの攻撃が炸裂します。カン八索のテンパイは取らず、次巡リーチ

三万三万五万七万一索二索三索五索六索七索四筒五筒六筒  リーチ  ドラ四万

六万はがぼがぼさんに暗刻の牌ではあったけれど、前原プロはこのガラクタリーチ、ラス牌の六をツモり裏も乗り、2,000オールのアガリ。すごかったですね。
3本場まで連荘が続きましたが、ここでがぼがぼさんが四暗刻に続いて三暗刻をツモり、2,300.4,300のアガリ。

三万三万六万六万八万八万八万三索三索三索  チー六筒 左向き四筒 上向き五筒 上向き  ツモ六万  ドラ六筒

南3局
がぼがぼさんの親番。持ち点は80,300点までいきました。
そしてまたしても四暗刻?といった手牌になりました。

六万六万三索三索三索五筒五筒西西西白白東  ドラ北

ここでテンパイを入れていた吉田プロからフリテンリーチ!

三万三万七万八万九万七索八索九索四筒五筒六筒七筒八筒  リーチ

この局は流局となり決勝はオーラスへ。

南4局1本場
がぼがぼさん、今度は清老頭なのかぁ!?といった手牌になりました。
しかし、まだまだ終わらせないっ!親番の吉田プロがリーチ!

七万八万三索四索五索六索六索四筒四筒四筒五筒六筒七筒  ドラ南

この局は流局。

南4局2本場供託2
ここも親の吉田プロから先制のリーチ!

七万八万九万二索三索四索五索六索七索七索五筒六筒七筒  リーチ  ドラ発

ここでがぼがぼさんがテンパイを入れます。現物ではない六索を押して、

二万三万四万二索三索四索三筒四筒赤五筒五筒六筒西西

ヤミテン。親のリーチに対して最後まで押し切って、ラス牌の四筒を捕え自ら優勝を決めました!

がぼがぼさん優勝おめでとうございます!
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今回、ロン2カップの実況は初めてでしたが、ユーザー代表さんからの役満が出てとっても興奮しました。また、それぞれのプロの方の個性が見られる大会となって本当に楽しかったです。

ロン2カップは1年に4回。春夏秋冬にあります。
次回は2019winterです。ユーザーみなさまのご挑戦お待ちしております!
あの舞台でプロと戦ってみませんか?私ももっとうまく実況できるようにたくさん勉強しようと思ってます。

それではみなさま、次はロン2カップ2019winterでお会いしましょう!
ごきげんよう!!ヽ(*´∀`)ノ

第16期プロクイーン 優勝は日向藍子プロ!

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優勝:日向藍子(最高位戦日本プロ麻雀協会)
準優勝:西嶋ゆかり
第3位:浅見真紀(最高位戦日本プロ麻雀協会)
第4位:天音まこと
第5位:水口美香(日本プロ麻雀協会)

 

最終成績

日向藍子 +91.5P
西嶋ゆかり +79.0P
浅見真紀 +29.5P
天音まこと ▲41.4P
水口美香 ▲160.6P

 

開催概要はこちら

第186回:第4期JPML WRCリーグ優勝特別インタビュー 藤島 健二郎  インタビュアー:中 寿文

藤島健二郎。

「華の17期生」
勝又健志・前田直哉・山田浩之・猿川真寿・HIRO柴田・近藤久春ら多数のAリーガーを先頭に、松崎良文・増田隆一・一井慎也・石川正明とタイトル戦の決勝・上位進出の常連がズラリと並ぶ黄金世代。

藤島はその世代の一員である。
今まで、その強烈な光の陰に隠れてしまっていたことは否めない。
そんな男が18年目にして遂に掴んだ初タイトル。

その大切な優勝インタビューを、今期より静岡プロリーグでご一緒させてもらっている縁でやらせていただくこととなった。
この話を藤島から直接頂いた時は、本当に本当に嬉しかった。

麻雀プロを志す者として、今の藤島の言葉を聞いてみたいと思いインタビューに臨んだ。

 

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インタビューは静岡リーグの後に、静岡支部長望月同席のもと、お祝いムードの中行われた。

望月「それでは藤島健二郎のWRCリーグ優勝を祝して乾杯!!」

一同「おめでとうございます!!」

藤島「ありがとうございます!!正式に望月さんに報告させてください。WRCリーグ優勝することができました。」

望月「改まってなんだよ~。でも本当に良かったね。本当に嬉しかったよ~。」

長い年月、ともに切磋琢磨してきた者同士のやりとり。
2人とも照れ臭いながらも、どこか一息ついているような表情であった・・。

 

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中 「それでは今回初タイトルとなったわけですが、率直な感想を聞かせて下さい。」

藤島「なんだよそれ笑、嬉しいよ、嬉しいです笑」

あまりに直球な質問にツッコミが入る。
藤島と話をさせてもらっている時はいつもこんな感じな気がする。

藤島「そうだな・・・次の日も仕事でさ、だから実感は湧いてなくて。でも今日、静岡で色々な人からおめでとうって言ってもらって実感したかな。Aリーグに昇級が決まって、ふわふわっとしたままとった感じもあるよ。」

望月「でも追い風は感じているよね。」

藤島「そうですね。それにWRCルールは得意だと思っていて。その分、前原さん・沢崎さんとでも臆することなくできたのが良かったかもね。でも、今まで勝ちたい試合に本当に勝てなくて・・・本当にずっとね。リーグ戦の昇級も8回あるけど、差し切って勝ったこととか1回も無くて。」

望月「完全な先行型なんだね。」

藤島「今年、静岡に参加するにあたって必ず勝つつもりで来ていて。東京から来て、それなりに立場もあって弱いところは見せられないじゃないですか。だから静岡リーグの前日は必ず気持ちも作ってから来ていました。その中で結果を残せたことが活きたかもしれないなとは思っています。勝とうと思って結果を残せたことで、それが自信になった。だから今回、自然体でやれるようになったかなと思っていました。」

私には藤島は静岡で当たり前のように勝っているように見ていたのだが、そんなに簡単なものではなかったのだと知った。

望月「勝負って気持ちの問題とかって言うじゃない?でも実際はみんな色々理由を作って逃げちゃうんだよね。そうじゃなくて気持ちを作って臨むのは大切なことだよね。」

藤島「実を言うと、(WRC優勝者として臨む)今日の静岡リーグは絶対に負けられないなって思ってすごくプレッシャーに感じていました。」

この日の静岡リーグの第1節でも藤島は+98ポイントを叩いていた・・・!!

望月「でも今日勝ったことは本当に良いことだし、すごいよね。麻雀プロってなかなか評価されないじゃない。だから藤島くんがAリーグ昇級して、すぐにWRCとったことがすごいよね。」

中 「静岡に藤島さんが来てくれるようになって全体の雰囲気も変わりましたよね。」

藤島「勝っていくことで引っ張っていける部分があると良いなって思っているよ。」

これは静岡全体に言えることだが、確実に藤島に刺激を受けている。
1つの対局に覚悟と責任を持って臨む姿にみんなが感化されているのだろうか。

中 「それでは決勝戦に関してインタビューさせてください。前回(第2期)と今回(第4期)で考えたことなど違いますか?対戦相手も含めてどうでしょうか?」

藤島「それは全然ちがうね。前回は勝てそう、と思ってしまった。第2期はリーグ戦(予選)こそギリギリの突破だったけど、トーナメントは文句ないくらいの内容だったし、自分が優勝に一番近いと思っていた。実際、自分でも(前回の決勝戦)3回戦までの内容は良かったと思う。 ただ、そこで気持ちの入れ方に落とし穴があった。勝てそう、勝たなくちゃとおもって4回戦にくだらない仕掛けを連発して負けてしまった。6万点を放銃してないのに南場だけで捲られるんだよ?!何が起きたかわからなかった。」

中 「 その気持ちは想像を絶します。」

藤島「だけどね・・・、その原因はすぐにはわからないわけ。次の日が後期のリーグ戦だったんだけど敗因を知りたいし、知らないとリーグ戦に向かえないから、ほとんど寝ないで見ていった。で、会場に着くと、上の人たちは(最終戦)東1局の発の1鳴きさえなければね、って言うわけ。なんで発1鳴きしちゃダメなんですか?ってなった。」

前回決勝の4回戦スタート時には、2位中川ですら52.7P差がついており、藤島以外の親番は簡単に局消化していかない状況だった。(しかも藤島はドラドラの手牌であった。)

藤島「その後、1年間麻雀していくなかで、少しずつわかっていくことも出てくるんだけど、その時はなんで発1鳴きしたくらいで負けるようになっちゃうわけ?ってなっていた。」

そこで藤島は時間をかけて思ったことがあるという・・・

藤島「勝ちたいから、どうのこうのじゃないってこと。なんとなくだけど、そういうんじゃないってことは思って、今年は臨んだかな。だから相手は誰でもよかったかもしれないね。」

中 「では戦術的なことは考えたりしなかったんですか?」

藤島「もちろんイメージはしたけど、やることをやるだけって思っていたかな。」

中 「まさに自然体で臨んだんですね!勝因になったような局はありますか?」

藤島「技術的に高い局はほとんどなかったと思う(笑)。沢崎さんにペン三筒で12,000打った後に(3回戦東4局)3,900は4,200アガった局(同1本場)はよく打てたと思うかな。あれはリーチでも良いとは思うんだけど、俺は100回やって100回ヤミテンだから。」

 

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藤島「あとは一筒四筒七筒で5,800アガった局(3回戦東1局)かな、あれは普段の稽古がつながっていると思う。ただ、あれも同じ結果になる人も多いと思うし、特別技術が高い局とかではないね。」

 

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中「一筒四筒でリーチ打たなかった理由を聞きたいです!!」

東1局の親番で他家のリーチが2軒入る。
WRCルールなら高めタンヤオのピンフは追っかけがセオリーで、多くの方がその選択をするところだが・・・

藤島「それはよく聞かれたんだけど、答えは簡単で。五筒切りリーチが(二筒二筒三筒三筒四筒五筒の形で五筒切りはイーペーコー)本手でしょ?五筒切りリーチに踏み切れない以上本手じゃないってこと。二筒を打たされているだけだから、本手にしてない以上はヤミテン。それで、六筒持ってきて、一筒四筒七筒なら本手になり得る。でも本当は二筒をもう一回切ろうと思った。ただ、二筒切ったら(決勝では)勝てないと思い直してリーチに踏み切ったんだよね。」

中 「なるほど」

藤島「元々ピンズのリャンメン待ちが1人はいるなと思っていて、五筒八筒三筒六筒どちらかは当たると思っていた。牌の順番的にも五筒抑えての三筒勝負は価値があるなと思っていた。」

 

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この選択が東谷から5,800出アガリとなる。

望月「これ勝って(優勝)あるなと思ったよー」

中 「以前、後手にまわった手は基本的にぶつけないと伺かったことがありますが、今回はそういったヤミテンが多かったですね。」

藤島「それは麻雀に向き合っているから。だから三筒六筒で700・1,300アガった局(3回戦南3局)も絶対にヤミテン。アガリ逃しが入っているし、2軒リーチが入っているから。(リーチして)高め3,000・6,000でもヤミテン。ドラなんかはやめようと思っているしね。実際に沢崎さんは待ちだったからね。そこの哲学はブレずにやれたと思う。」

藤島は1つ1つ振り返り説明してくれた。
今回の勝利は麻雀と正面から向き合い、手繰り寄せた勝利だったのが伝わってきた。
そうなると聞いてみたいことがある・・・

中 「前回のWRCでは紙一重の局がありましたね。最終戦の南1局でドラの発を切れれば、優勝した中川さんの親を落とせていたわけですが。」

藤島「結果南1局でドラの発を打たなかったことはそんなに後悔はしてないけど、通る牌だったなと。それは麻雀に向き合ってなかったってこと。だから今回は通る牌を打たないとおかしいじゃん、ってとこから始まっている。(東場で状況を悪くしてしまったので)そのくらいのリスクを犯さないと、勝てる状況じゃないってことがわかってなかったわけ。結局、自分の中で落とした結論は技術的なことではなかったかな。むしろ技術としては勝っていたと思う。だから今年1年は技術的なところでは勝っていたのに、なぜ負けたのかって考えながら日々打っていたよ。勝ち負けより大事なものを、もっと普段の麻雀活動の中で考えながらやっていたね。静岡に参戦したこともそういう部分はかなりあるよ。」

第2期WRCリーグの決勝観戦記など見ていても藤島の内部評価が高いことは伺える。
本人にもそれ相応の自信もあるはずだ。それでも勝てなかった自分を見つめ直し、対局に向かってきたのだろう。
一歩上に進むために選んできた過程と気持ちがこのインタビューで聞けた。それは、これから私が麻雀プロとして歩んでいく上で、この上ない財産となった。

このインタビューの後も、時間を作ってもらい話を聞かせてもらった。

今までの麻雀プロとしての道のり、リーグ戦に臨む心構え、静岡リーグのこと、日常の麻雀の話、果てはプライベートの話も。
気が付けば朝を迎えようかという時間まで話を聞かせてもらった。

そんな中で藤島の気持ちを強く感じた言葉があった。

「今回優勝して、自分の関係ある人たちに順番に報告しているんだけど、全員すごく喜んでくれて・・・それが何より嬉しかった。」

長いプロ生活の中で勝利者を祝福している人たちをずっと見てきたはずだ。
だがそれは他者を祝福する姿である。

その笑顔の意味は自分に向けられた時に初めて分かるものなのではないだろうか?
喜ぶ姿を見て、どれほど応援してもらっていたかを知り、プロとしての責務を一つ果たせたことに安堵する。
言葉にするのは簡単だが、勝利した者にしかわからない感情だと思う。

それを知ってしまった以上、新たな責任を背負った藤島はさらなる飛躍を遂げていくに違いない。

 

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第16期プロクイーン決定戦初日観戦記 日吉 辰哉

タイトル戦の決勝戦はいつでも神聖な場であるのだろう。
私自身はそんな場での対局経験はないのだが、選手のピンと張り詰めた緊張感が会場を包む。

第16期プロクイーン決定戦。開局の火ぶたが切って落とされた直後から、想像通りいやそれ以上の緊張感と勝ちへの執念に満ち溢れた女たちの戦いが繰り広げられた。

 

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1回戦【起家から 水口・西嶋・天音・日向】抜け番・浅見

東1局、誰もが緊張感に包まれているだろう。
そんな中、自身の麻雀を体現したのが天音。

天音まこと(日本プロ麻雀連盟)
第20期新人王

 

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盟友、清水香織との決勝進出争いを制した直後のインタビューでは目に光るものを見せた天音。
清水の想いも背負っての決勝戦である。
スピードは遅れても高打点を目指す天音のスタイル。4巡目以下の1シャンテンから四筒切りの2シャンテン戻し。

三索四索五索三筒四筒六筒七筒白白白発中中  ツモ南  打四筒 上向き  ドラ南

高打点のみに照準を絞った一打。すぐに南を重ねて1シャンテンとする。
しかし1巡前に西嶋が以下の牌姿から南を打ち出して目一杯の1シャンテン。

三万四万九万九万六索七索一筒三筒四筒五筒五筒六筒南  ツモ五万  打南  ドラ南

西嶋は絶妙なタイミングでの南切り。次巡二筒を引き入れた西嶋のリーチ宣言牌五筒を仕掛けた天音。強気の攻め手順を見せた西嶋が1巡早く処理できたのが大きいかと思われたが、2巡後に天音が南を引き当て2,000・4,000のツモアガリ。
高打点を見据えた天音らしい1局。いつも通りの平常心かと思われたが、点棒を点箱に仕舞うその手が僅かに震えていた。

このまま天音のペースで進む・・・わけもなく待ったをかけたのは日向。

日向藍子(最高位戦日本プロ麻雀協会)
第1回女流モンド新人戦優勝
AbemaTVガールズファイト3優勝

 

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ベスト16、ベスト8では押し引きの精度の高さに目を奪われた。
絶妙な押し引きの間合いから繰り出される攻撃。その間合いに入った時には根こそぎ持っていかれてしまう。
東3局9巡目、水口の先制リーチを受けた時の日向は以下の牌姿。

 

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ここではしっかりと引きの厚みを見せ、現物の八索、スジとなった九索を打ち出し一度は受けに廻る。
決してオリるわけではなくギリギリのラインでテンパイを目指す。
しかし次の矢が飛んでくる。水口がツモ切ったドラの発を西嶋がポン。
手牌は非常に厳しいが打たれたドラを指をくわえて眺めているわけにもいかない。

解説の藤崎プロは西嶋の仕掛けを見て
「意地っ張りだねぇ」と一言。

水口のリーチ、西嶋のドラポンでいよいよギブアップかと思われた日向だが・・まだまだ粘る。

 

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ここからノーチャンスの九万切り。この後打ち出す可能性のある二索あるいは四索は無筋である。
そして16巡目に七万を引き入れ追いつく。
ここで日向が牙をむく。
押し引きのメリハリ。ここでは強烈な押しだ。
リーチの発声と共に四索を河に叩きつけた。中途半端はない。最高打点を目指したリーチ宣言。
プロクイーンというタイトル名とは真逆な、男勝りの一打に引き込まれる。
そして次巡、静かに七筒を手元に置いた。

天音を抜き去りトップ目に立った日向は迎えた親番で4.000オール、2,000オールと加点しトップを盤石とする。

当然3者は2着争いに。西嶋も粘りを見せるが天音の背中は遠い。
2着争いは天音と水口に絞られた。

水口美香(日本プロ麻雀協会)
夕刊フジ杯2018優勝

 

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ベスト16、ベスト8共に卓内トップ通過。抜群の安定感を見せた水口。点棒を持たせると付け入る隙はない。
水口はベスト16、ベスト8での戦前の意気込みで
「トーナメントを楽しみたい」とコメントしていた。

迎えたオーラス。水口は4巡目にダブ南ポンに続き発ポンで以下の牌姿。

六万七万一索三索七索八索北中  ポン発発発  ポン南南南  打六万 上向き  ドラ五索

水口は現状3着目。8,000の出アガリで2着浮上もラス目の西嶋もすぐ後ろに迫ってきている。
水口はラス落ちのリスクも背負い六万を打ち出し2着浮上を目論む。
解説の和久津プロが口にした。
「これはいつもの水口さんじゃないですよ」

トップ目の日向が加点を目論み強烈な押し返しを見せるも、15巡目に3,000・6,000ツモアガリを決め価値ある大きな2着浮上。

一索三索七索八索九索中中  ポン発発発  ポン南南南  ツモ二索  ドラ五索

決勝直前の意気込みでもベスト16、ベスト8同様に
「決勝を楽しみたい」とのコメントを残した水口。
しかしコメントの最後にこの一言が添えられていた。

「守備型をちょっとお休みしますね」

1回戦成績
日向+31.3P 水口+10.5P 天音▲8.0P 西嶋▲33.8P

 

 

2回戦【起家から 西嶋・天音・浅見・日向】抜け番・水口

東3局、1回戦に続き序盤に天音が大物手。放銃となったのは1回戦4着の西嶋だ。

西嶋ゆかり(日本プロ麻雀連盟)
第15期(現)プロクイーン

 

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第14期の雪辱を胸に昨年初タイトル、プロクイーンを獲得。
ディフェンディングチャンピオンとして4者を迎え撃つ。
4者ともにプロクイーンは初の決定戦だが、全員がタイトルホルダーであり実力は折り紙付き。
しかし、西嶋もプロクイーンを獲得してからの1年間で、大舞台を幾度となく経験し更に大きくなってこの舞台に挑む。

その西嶋は1回戦、持ち前のファイトスタイルで食らいつくも4着。2回戦も厳しい立ち上がりとなる。

 

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ドラトイツの西嶋の選択はいかに。
解説の和久津プロは「ピンフの1ハンを付けたいが五万トイツ落としが間に合うかどうか・・・」とコメント。
注目は北家の天音。高打点を狙ってくる天音の6巡目にドラの九索。更に東ツモ切り。
そして親の浅見も生牌の三元牌全てツモ切り。いつリーチが来てもおかしくない、場合によってはテンパイもあり得る。そんなギリギリの中での攻防、決断。
後手を踏む可能性も考慮すれば、七万九万と比較的安全な牌を打ち出すことも出来る場面ではある。西嶋の選択は五万ツモ切り。

その直後、天音にテンパイが入る。そしてリーチ。待ちは恐れていた二万五万
11巡目西嶋の手元に舞い降りたのは一筒だった。
裏ドラ2枚の8,000。

ここまで、誰の目で見ても劣勢の中西嶋は攻め続けてきた。
しかし結果は良い方に出ない。攻撃が空振ることの精神疲労が西嶋にのしかかる。
早く一本決めたい。そんな焦りにも似た感情が西嶋を包んでいるように感じた。
そして次局。西嶋にまたしてもチャンスが訪れる。
前局同様のドラトイツ。今回こその気持ちが強くなる。これ以上の空振りはごめんだろう。

その西嶋が9巡目にテンパイを果たす。

四万五万六万七万七万一索二索三索三索七索八索九索五筒  ツモ二索  ドラ七万

親の日向が仕掛けている。日向の捨て牌には一索が置かれている。高目8,000のテンパイ。ヤミテンの選択もあるのだろうか・・・
ここまで空振りの連続。アガリを拾いたい気持ち。この手は確実に。そんな葛藤がめぐるのが選手の心理状態ではないだろうか。

しかし西嶋は自身のファイトスタイルは崩さない。ノータイムでリーチを宣言。
12回戦の戦いを考えればまだ序盤かもしれないが、立ち上がりからの連続4着は受け入れがたい。
3者が受け、後は山との勝負である。巡目が進む。また空振りか。
そんな思いがめぐる流局間際の17巡目、西嶋は四索を引き当てた。
現プロクイーンの戦いが幕を開けた瞬間だった。

2回戦成績
西嶋+32.1P 天音+4.7P 日向▲11.5P 浅見▲25.3P

2回戦終了時
日向+19.8P 水口+10.5P 西嶋▲1.7P 天音▲3.3P 浅見▲25.3P

 

 

3回戦【起家から 西嶋・水口・日向・浅見】抜け番・天音

この観戦記をご覧の方は麻雀漫画を読んだ経験が幾度となくあるだろう。
読み終わった後、時にこんな感想が口から洩れるはずだ。
「こんなことありえないよ」
「これは漫画だからね」

いつかのプロ野球中継でこんなことを実況者が言っていた。
「野球は筋書きのないドラマです!」

決定打が出ないまま局は進んでいく。
誰もが抜け出すことが出来ず緊張感が増していく。

南2局1本場では親番水口のヤミテン。均衡を突き破るには十分な打点。

一万一万二万三万三万九万九万二索二索三索三索四索四索  ドラ北

水口は5巡目に手広い1シャンテンからドラ北を手だし。このドラ切りを見た浅見、日向はしっかりと対応。
大接戦の緊張感が続く中でさえ、なお集中力の高さが伺える。

その後、細かいアガリと流局が続きオーラス。持ち点は以下の通り。

西嶋28.0 水口34.8 日向31.6 浅見25.6

ここまで必死に耐えてきた浅見はこの親番が勝負。
南4局6本場、苦しい配牌ながら500オールは1,100オール。連荘に成功。

そして次局、浅見は好配牌を手にする。

八万四索五索五索六索九索九索七筒南南西西北発  ドラ四万

八万とし、1巡目に放たれた南から仕掛け一気にホンイツに向かう。
しかし3者はこの仕掛けに対して役牌をぶつけガンガン切り込んでくる。

「何でみんなここまで浅見の仕掛けを無視できるんですかね・・・」
藤崎プロのコメントとは裏腹に更にヒートアップしていく4者。
「これは喧嘩ですね」和久津プロである。

浅見は西も仕掛けて打白とし1シャンテン。

四索五索五索六索九索九索北  ポン西西西  ポン南南南  ドラ四万

その白を仕掛けたのが西嶋。

一万三万二索四索四索六索八索七筒八筒九筒  ポン白白白  ドラ四万

強引な仕掛けにも見えるが戦う姿勢は崩さない。
仕掛けの後、ドラの四万を立て続けに引き入れ以下のテンパイから八索をノータイムで打ちだす。

四万四万二索四索四索六索八索七筒八筒九筒  ポン白白白  ツモ三索  打八索  ドラ四万

遡ること2巡前に浅見がテンパイを入れていた。

四索四索五索五索六索九索九索  ポン南南南  ポン西西西  ドラ四万

ホンイツテンパイ濃厚な浅見に対しガンガン切り込む西嶋。
「すごいよ、こんなに切れないよ!」
過去にプロクイーンを2度獲得している和久津プロが脱帽である。

しかし無情にも西嶋のアガリ牌五索は山には残っていない。浅見の三索六索は各1枚。
そしてその直後再び西嶋に試練。

 

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捨て牌からはノーヒントと感じた。テンパイをキープするのであれば自身から4枚見えている一索四索を止めて打六索かと感じる。その六索は浅見のアガリ牌。
少考の後、西嶋の手が六索に伸びる・・・
が、もう一度その手が止まる。

再び脳内に巡る牌の旋律。西嶋が掴んだのは一索であった。
更に次巡九索もノータイムツモ切り。

オリてよ・・
そんな浅見の心の声が聞こえてきそうだ。
三索を水口が吸収し浅見のアガリ牌はあと1枚。
痛み分けかと思われた流局間際、浅見が六索を引き当てた。苦しみの中で掴み取った大きな2,000オールは2,700オール。

上がり過ぎている4者のテンション。譲れない戦いは南4局8本場に。
全員がトップを目指し目一杯の手牌進行。

仕掛けを得意とする2着目の水口が以下の牌姿。
南のポンテンでツモアガリ、浅見からの直撃であればトップも見えるが取らず。あくまで完全なるトップ狙い。

七万八万九万七索八索九索三筒三筒四筒七筒九筒南南  ドラ四万

最も苦しい配牌を手にした西嶋が8巡目にテンパイ即リーチ。
しかし3者も1シャンテン。そして全員オリる気はないだろう。
10巡目に追いついた親の浅見。

 

100

 

トップ目に立った浅見の選択はヤミテン。ここでの直撃は4着落ちまである状況である。
上がり過ぎた対局場のテンションの中、トップ目に立った浅見の冷静な判断ともいえる。
結果は2巡後。西嶋からの2,900は5,300。

「浅見さんは何かでオリるつもりだったんですかね」
このアガリを見た藤崎プロの言葉である。

東4局9本場。
西嶋17.9 水口31.0 日向27.8 浅見43.3

日向、水口は満貫ツモアガリでトップ逆転である。西嶋は厳しい立場となった。
トップ安泰というわけではないが、苦しい状況からギリギリの勝負に競り勝ちトップ目に立った浅見。
今局も全員が目一杯の進行ではあるが10巡目の浅見は以下の牌姿から一索のトイツ落とし。
より安全度の高い西を温存し先制リーチには受ける心構えが見て取れた。

二万三万四万五万一索一索六索七索九索九索九索西西  ツモ六万  打一索  ドラ七万

それでもテンパイ一番乗りは浅見。

二万三万四万五万六万八万六索七索九索九索九索西西  ツモ五索  打八万 左向き  ドラ七万

役なし3面待ち。ここまできたら乗りかかった船。リーチを選択し更に加点を目論む。
しかしこの3面待ちが山に1枚しか残っていない。不穏な空気が会場を包む。
直後追いついたのは西嶋だ。

二万二万七万八万九万四索七索八索二筒二筒二筒六筒七筒  ツモ五筒  ドラ七万

自身の手牌はドラ1枚。
トップを狙うには浅見からの跳満直撃と現実的ではない。
更に2着浮上もツモ裏条件と非常に厳しい。そして親の浅見に立ち向かうことは素点を減らしてしまう大きなリスクが伴う場面。
長考の末、西嶋はリーチを選択する。

これで2人のめくり合い・・・となるわけもなく、ここに参戦は水口。
西嶋リーチの直後テンパイ。浅見からの直撃で逆転トップ、当然リーチ。待ちは六索九索、西嶋と同テンだ。

四万四万七万九万五索六索七索七索八索六筒七筒八筒東  ツモ八万  打東  ドラ七万

なんと僅か1巡以内に3人リーチ。3回戦最後に大きな山場。
待ち枚数は3面待ちの浅見が1枚。同テンの西嶋、水口は2枚。
もうどう転ぶかはわからない。

 

100

 

手に汗握るめくり合い。誰の意地が上回るのか・・・
15巡目浅見のもとに舞い降りたのは両者のアガリ牌九索。御覧の通り暗カンだ。

浅見の所作には自信が感じられる。
(あなたたち六索九索待ちじゃないのー)
(リンシャン牌は一万四万七万しかありえないでしょ!)

浅見は力強くリンシャン牌に手を伸ばした・・・
しかしその想いとは裏腹にその手から力なく牌がこぼれ落ちた・・・

卓上には西嶋、水口のアガリを宣言する発声が響く。頭ハネによりアガリの権利は西嶋。
水口のアガリであればトップを譲っていた浅見。ギリギリのところで踏みとどまったはずであった。

裏ドラをめくる西嶋。
表示された牌は六万そして・・・一筒

 

100

 

(こんなことが起こるのか・・・)
信じられない結果を受け入れた直後、私の口からはあの時のプロ野球実況者と同じセリフがこぼれた。
「麻雀はまさに筋書きのないドラマです!」

3回戦成績
西嶋+19.6P 水口+5.0P 日向▲7.2P 浅見▲17.4P

3回戦終了時
西嶋+17.9P 水口+15.5P 日向+12.6P 天音▲3.3P 浅見▲42.7P

 

 

4回戦【起家から 天音・水口・西嶋・浅見】抜け番・日向

3回戦のオーラスの攻防から浅見が4着落ちすることを誰が想像できようか。
2回戦4着スタート、巻き返しを図った3回戦。トップ目からの悪夢。浅見本人の心中察するに余りある結末であった。

その浅見に対して麻雀はやはり残酷であった。

 

100

 

西嶋に対して一発放銃。開局直後の8,000は浅見の心を砕く大きな一撃となった。
いやなるはずだった。

浅見真紀(最高位戦日本プロ麻雀協会)
第9回野口賞

 

100

 

プロクイーンではベスト16まで駒を進めたのが今季が初。もちろん決勝の舞台も初めてとなる。
しかし浅見は野口賞優勝、更には第13回日本オープン準優勝と大舞台の経験値は高い。
2戦連続4着となり迎えた4回戦。1人大きく離されたトータルポイント。
しかし、解説の和久津プロは浅見こそが注目選手だとコメントしていた。

東3局。またしても西嶋のリーチ。もう泣きだしたくなるような状況。
しかし浅見はこの状況になっても、簡単に頭は下げない。

一万二万三万七万八万一索一索二索五索七索東東東中  チー六索  打中  ドラ六万

リーチ直後にツモ切られた六索をチー。リーチの現物待ちとはいえ無筋を連打。
まだ初日とはいえここでの西嶋の加点は独走されかねないとの判断か。
抜け番の日向も含め3者の防波堤となりその身を削る。そしてそれはもちろん自身のタイトル奪取のためである。
アガリ点こそ300・500であるが西嶋の加点を阻止する大きなアガリとなった。

 

100

 

このアガリをきっかけに出来るか。
プロクイーン奪取のためにはこれ以上引き離されるわけにはいかない。
次局の親番こそノーテンで親流れとなるが南1局で大物手炸裂。

まずは親の天音が11巡目に先制リーチ。

四万四万五万五万六万六万九索九索三筒四筒六筒七筒八筒  リーチ  ドラ北

追いついた浅見が12巡目にドラの北を切って三色確定の追っかけリーチ。

三万四万三索四索五索七索八索三筒四筒五筒六筒六筒北  ツモ五万  打北

打点は浅見。しかし天音の二筒五筒は山に6枚、浅見の六索九索は2枚。
やはり厳しいのか・・・
そんな思いをよそに浅見は高目の六索を手元に引き寄せた。

ギリギリの状況で浅見は息を吹き返した。こうなると浅見のペースである。
序盤のリードを活かした安定感のある戦いはベスト16、ベスト8での戦いでご存知の通りであろう。

2回戦、3回戦での辛い展開を感じさせない落ち着きのある内容で戦い抜いた浅見。
一瞬腹を括ったように見えた東3局から一気にオーラスまで駆け抜けていった。

4回戦成績
浅見+20.7P 天音+7.3P 西嶋▲9.3P 水口▲19.7P

4回戦終了時
日向+12.6P 西嶋+8.6P 天音+4.0P 水口▲4.2P 浅見▲22.0P

4回戦の浅見のトップによりご覧のポイント状況となった。
5人のタイトル奪取への強い気持ちを存分に感じる戦いであった。
初日終了時点とはいえ非常に大混戦。2日目はどのような戦いを見せてくれるのであろうか・・・

麻雀日本シリーズ2018 第5節レポート 黒木 真生

100

 

 

1次予選が終了し、13位以下はここで敗退となった。
最強位で雀王の金太賢プロが13位、鳳凰位とグランプリを獲得し、プロ団体日本一決定戦では大将として連盟を優勝に導いた勝又健志(会長推薦)が14位、前回優勝者で、最強位、十段位、マスターズなど多くのタイトル戦で優勝してきた沢崎誠が15位だった。

いずれも「この人が途中敗退?」という顔ぶれだが、これが麻雀日本シリーズだ。
日本中の麻雀チャンピオンが戦っているわけだから、メンバーはどんどん濃く、煮詰まっていくのである。

ここからは2次予選で、ポイントを持ち越し、各自が2試合ずつ打ち、上位8名がプレーオフ進出。下位4名は敗退となる。
確定といって良いのは1位の平賀聡彦プロのみ。残り1戦で100ポイントを超えているので、決勝進出を見据えて、チャンスがあればさらにポイントを叩きにいくだろう。

3位の瀬戸熊直樹(連盟会長推薦)と6位の前原雄大(鳳凰位)はすでに1戦消化しているので、大きなマイナスをしなければプレーオフには進出できそうだが、この2人が最初から守ることだけを考えて打つとは思えない。やはりチャンスがあれば、普通に点数を稼ごうとするはずである。

2位の松ヶ瀬隆弥(RMUリーグチャンピオン)、4位佐々木寿人(連盟会長推薦)、5位白鳥翔(連盟会長推薦)、7位多井隆晴プロ(連盟会長推薦)の4名は2ラスの順位点分ぐらいは浮いているが、実際に2回ラスを引くとマイナスになる可能性が高い。また、下からの突き上げもあり得るので、やはりポイントは減らしたくない。ガードを上げながらの戦うしかなそうである、8位の萩原聖人(連盟会長推薦)はプラス一桁だけに、次はトップを取っておきたいところ。

9位の井出洋介プロ(将王)、10位のともたけ雅晴(WRC王者)、11位の村上淳プロは、残り2回で何とかプラス10ポイント以上に持っていきたいところ。
12位の近藤誠一(連盟会長推薦)は残り1戦、大トップに賭けるしかない。

 

二次予選

順位 名前 一次予選合計 1回戦 2回戦 合計
1 平賀聡彦(RTDリーグ2017優勝) 142.0 ▲ 20.7 121.3
2 松ヶ瀬隆弥(RMUリーグチャンピオン) 48.3 48.3
3 瀬戸熊直樹(連盟会長推薦) 18.3 22.2 40.5
4 佐々木寿人(連盟会長推薦) 38.9 38.9
5 白鳥翔(連盟会長推薦) 32.6 32.6
6 前原雄大(鳳凰位) 22.2 9.1 31.3
7 多井隆晴(連盟会長推薦) 28.1 28.1
8 萩原聖人(連盟会長推薦) 9.4 9.4
9 井出洋介(将王) ▲ 0.3 ▲ 0.3
10 ともたけ雅晴(第2回WRCチャンピオン) ▲ 0.9 ▲ 0.9
11 村上淳(最高位) ▲ 16.1 ▲ 16.1
12 近藤誠一(連盟会長推薦) ▲ 22.0 ▲ 10.6 ▲ 32.6

 

一次予選

順位 名前 1回戦 2回戦 3回戦 4回戦 5回戦 6回戦 合計
1 平賀聡彦(RTDリーグ2017優勝) 28.9 44.5 ▲ 13.9 33.5 ▲ 11.0 60.0 142.0
2 松ヶ瀬隆弥(RMUリーグチャンピオン) 33.6 2.3 ▲ 27.7 21.7 34.7 ▲ 16.3 48.3
3 佐々木寿人(連盟会長推薦) 31.9 21.2 ▲ 5.1 16.5 ▲ 30.5 4.9 38.9
4 白鳥翔(連盟会長推薦) 28.3 ▲ 12.9 6.0 36.1 ▲ 33.5 8.6 32.6
5 多井隆晴(連盟会長推薦) ▲ 9.9 2.3 ▲ 8.4 2.0 4.5 37.6 28.1
6 前原雄大(鳳凰位) ▲ 18.6 ▲ 13.1 ▲ 24.2 41.5 45.9 ▲ 9.3 22.2
7 瀬戸熊直樹(連盟会長推薦) 6.6 ▲ 29.9 30.7 32.5 6.7 ▲ 28.3 18.3
8 萩原聖人(連盟会長推薦) 29.5 ▲ 6.5 2.2 4.3 6.0 ▲ 26.1 9.4
9 井出洋介(将王) ▲ 41.4 8.3 ▲ 6.3 9.7 27.0 2.4 ▲ 0.3
10 ともたけ雅晴(第2回WRCチャンピオン) 8.8 37.4 ▲ 36.0 ▲ 12.7 ▲ 9.7 11.3 ▲ 0.9
11 村上淳(最高位) 36.2 ▲ 11.3 ▲ 13.7 ▲ 24.3 ▲ 34.8 31.8 ▲ 16.1
12 近藤誠一(連盟会長推薦) 23.8 ▲ 5.9 ▲ 30.5 ▲ 28.5 31.9 ▲ 12.8 ▲ 22.0
13 金太賢(2017最強位) ▲ 30.2 ▲ 18.3 26.4 ▲ 30.4 ▲ 8.5 26.3 ▲ 34.7
14 勝又健志(連盟会長推薦) 15.0 ▲ 12.2 ▲ 21.4 ▲ 27.3 ▲ 0.1 ▲ 10.6 ▲ 56.6
15 沢崎誠(麻雀日本シリーズ2017優勝) ▲ 28.4 ▲ 40.9 ▲ 12.4 ▲ 25.2 ▲ 50.6 ▲ 29.9 ▲ 187.4
16 藤崎 智(十段位) ▲ 30.2 6.4 ▲ 23.8

※藤崎智は肺炎のため辞退になりました。
(現在は完治しております)

第137回『勝負の感性⑦~ツモを知る~』 荒 正義

麻雀は配牌も大事だが、ツモはもっと大事である。なぜなら、どんな手でも2回の急所のツモで、手牌は一気に締まる。さらに5巡、6巡とツモは続くのだ。
となれば、ツモの強弱で1局の結末を透視(推理)できたなら勝率は一段と高くなる。
アガリ番のツモのときは、どんどん前に出る。水も漏らさぬアガリで、相手の運を削ぐ。その分、こちらの運量が増す。
弱いツモのときは、引いて構える。いわゆる受けだ。どうせアガリがないなら、前に出る必要はない。6巡目過ぎたら、危険牌はもとより無筋も打たない。
これで放銃率は、格段に低くなる。ツモの失点はあっても、散家なら四分の一で済む。満貫を引かれても、たったの2,000点である。ツモの勢いで、1局の結末を透視する。この感性が大事なのだ。

 

①伸びるツモ

 

二万三万四万三索五索七索八索四筒六筒八筒東西中  ドラ五索

これは第1戦、東1局西家の配牌である。配牌は普通の3シャンテン。勝負は始まったばかりで、相手の運もこちらの運も手探りの状況である。こんな時はツモで判断だ。3巡目までに四索五索六索の急所が1枚でも引けたらGOである。

二万三万四万三索四索五索七索八索四筒六筒八筒東中  ツモ四索

ドラの指示牌の四索ツモだ。これならメンタンピンで、満貫が見えてくる。ツモが六索でもいい。

二万三万四万三索五索六索七索八索四筒六筒八筒東中  ツモ六索

四索のカンチャンは残るが、ソーズは連続形で変化の余地十分だ。二索六索ツモなら両面になる。ドラの重なりでもOKである。

二万三万四万三索五索五索七索八索四筒六筒八筒東中  ツモ五索

これで打点はできたし、後はツモ次第だ。4丁のドラのうち2枚を手中に収めたら、相手の手にドラはあっても1枚限りだ。仮にアガられても打点は低いと見る。だからこの手もGOである。

では3巡目までに、ピンズのカンチャンを先に引いた場合はどうか。

二万三万四万三索五索七索八索四筒五筒六筒八筒東中  ツモ五筒

二万三万四万三索五索七索八索四筒六筒七筒八筒東中  ツモ七筒

ツモの勢いは普通で、この後ソーズの要の3牌(四索五索六索)のどこを引けるかが、勝負の鍵となる。満貫が見えるので、7巡目までは直線的に前に出る。

しかし、問題はこの後だ。西家は6巡目までに引いたのは九索四筒で、手牌がこう。

二万三万四万三索五索七索八索九索四筒四筒六筒七筒八筒

受けはドラの指示牌のカンチャン待ち、これでは押せない。この後、二索を引いてもこう。

二万三万四万三索五索七索八索九索四筒四筒六筒七筒八筒  ツモ二索

ツモが端に寄り、肝心のドラが出る流れだ。場面が中盤なら、このドラが通るかどうかも怪しいものだ。ドラは通る、と確信できたら切ってもいい。しかし構えは、ヤミテンが相場である。この弱いツモの流れで、リーチで押してもろくな結果にならない。また、ドラの重なりでもそうである。

二万三万四万三索五索七索八索九索四筒四筒六筒七筒八筒  ツモ五索

打点はできたが、受けがイマイチ。

二万三万四万五索五索七索八索九索四筒四筒六筒七筒八筒

ここはしっかりヤミテンに構え、次のツモを待つのが正しい応手だ。

ツモ六索でタンヤオになるし、三筒五筒ツモならこうである。

A図
二万三万四万五索五索七索八索九索三筒四筒六筒七筒八筒

B図
二万三万四万五索五索七索八索九索四筒五筒六筒七筒八筒

これなら最終形、リーチでも十分にアガリの予感がある。この時点で私が感じるアガリ率は、A図なら40%。B図なら60%である。

 

 

②入り目次第


二万三万七万八万一索二索三索一筒二筒三筒北北北  ツモ四万  ドラ五筒

上図の手は、第1戦の東3局9巡目の南家の手だ。どう打つ?
なお場は、点棒の動きが少なく無風状態である。
回答。北切りのヤミテン。

南家の手は、チャンタ三色が狙えた絶好手。しかし、ツモが四万ですべてが水の泡。このツモは、4ハン下がりで駄目なツモ。ここは、ピンフの1,000点でよしとする。その間に相手から攻めの火の手が上がり、無筋を掴めば受け(オリ)である。
ここで、一発と裏ドラに賭けてのリーチは打ち手の「欲」である。成功率は10%に満たない。勝ち組になるためには、この「欲」を捨てることが肝心。ドラがなく、親に反撃されたら寒気が走る。まだ勝負は始まったばかりだ。ツモの利かないこの場面で、火中の栗に手を出す必要は無い。ここで親満を打ったら、今日は苦戦を強いられるだろう。

ただし、この後一万の引き戻しがあった場合は話が別だ。

一万二万三万七万八万一索二索三索一筒二筒三筒北北

ツモが生き返ったのだから、リーチで勝負の価値がある。ヤミテンかリーチかは状況次第だが、リーチが得(高目で出て跳満。安めで出て満貫がある)。これなら50%の確率でアガリできるだろう。
このように麻雀は、入り目でツモの強弱を見る。そして打ち手は、応手に緩急つけることが大事なのだ。

 

 

③牌のあとさき

 

三万四万五万六万六索七索八索二筒二筒六筒七筒八筒中  ツモ中  ドラ二筒

この手は、東3局7巡目の西家の手だ。ドラが二筒ならリーチが普通の応手だ。
しかし、直前に親が中切り。

(親の河)
二索 上向き西八索 上向き二万 上向き四万 上向き八筒 上向き
中

それでもリーチか。いやいや、親は捨て牌から見てテンパイが速そうである。テンパイかも知れない。なのに、西家のテンパイは一手遅れの感がある。役牌が切られた後にその牌が重なる、これは悪いパターンの牌のあとさき。残りの中が、山に奥深く眠っていたら万事休すだ。アガリ率は10%である。しかし、失敗率はもっとある。

親に追いかけリーチを食らったら、ツモる度に不安がよぎる。他からドラの出なんか当てにはできない。親とのめくり勝負なら、負けは40%になるだろう。
したがって、ここは「手牌を折る」のが場合の応手だ。悪いテンパイを嫌うのだ。それが中切り。理想のツモがこれ。

三万四万五万六万六索七索八索二筒二筒六筒七筒八筒中  ツモ七万

三万四万五万六万六索七索八索二筒二筒六筒七筒八筒  ツモ二万

3面チャンなら即リーチがいい。これならアガリ率は50%を超える。
いや、いいテンパイ形は他にもある。ツモ四万でこう。

三万四万四万五万六万六索七索八索二筒二筒六筒七筒八筒

ツモが五万ならこうだ。

三万四万五万五万六万六索七索八索二筒二筒六筒七筒八筒

この2つは、状況次第でヤミテンも可能。それならアガリ率は50%。リーチなら33%か。三度に一度である。

ツモが八万ならこうだ。

三万四万五万六万八万六索七索八索二筒二筒六筒七筒八筒

しかし、リーチはない。二万四万五万のツモがあるから、あくまでヤミテンが正しい構えだ。

1枚目の打中の後、ピンズかソーズを1枚引けばこう。

三万四万五万六万六索七索八索二筒二筒四筒六筒七筒八筒

三万四万五万六万五索六索七索八索二筒二筒六筒七筒八筒

1シャンテンだが、受けが倍に広がり打点もOKである。牌のあとさきで不安を感じたら、手牌を折るのが有効である。

 

 

④流れるツモ

 

ツモは、常に一定ではない。ポンチーカンの鳴きによって流れ、飛んで変化する。
7巡目、北家が西家の打牌で小考した。そしてチーの声。北家は鳴いても鳴かなくても、よかった手に違いない。それがこの間で、これが迷いチーだ。この時、親の私の手はこうだった。

二万二万六万七万八万六索八索八索二筒三筒四筒六筒七筒  ドラ二筒

私は字牌のツモ切り。南家も七索のツモ切り。
次も不要牌で、私はツモ切る。すると南家も八筒をツモ切った。
『何するンだ、この野郎!』
いや、失礼!
声にこそ出さないが、誰だってそう思う気持ちは同じ。北家の鳴きがなければ、私の手は、リーチの一発ツモでこうだった。

二万二万六万七万八万六索七索八索二筒三筒四筒六筒七筒  ツモ八筒  ドラ二筒

私は北家の鳴きで、8,000点オールを逃したのである。
しかし、麻雀ではよくある出来事。私は次に出た八索にポンテンをかけ、2900点でアガって、この局を洗った。打ち手によっては夢をもう一度と、七索八筒のツモに期待する人もいるだろう。しかし、それでは夢を追う負け組だ。絶好のチャンス手を逃したら、次はないのだ。麻雀は、そんなに甘くはない。
ここは安くても、一度アガって親権確保だ。仕切り直して、次の手に期待する。
甘い考えは許さない。これが悪い流れの対応である。

逆に、相手の鳴きでいいツモに出会うときがある。

一万二万三万四万五万六万八万九万五索六索二筒二筒二筒  ドラ九万

上図の手は第3戦、東3局の9巡目の親の私の手だ。北家は、西家が切った七万を考えている。私は、このとき願った。
(どうか、チーでありますように…)

そしたら「ポン」だって。驚きました!
これまでの私の着順は③③だ。かろうじてラスは逃れていたが、ツキがイマイチで展開も悪かった。この手は、もうドラの九万を重ねない限りアガリ目無しだ。この時点でこの手のアガリ率は7%に満たない。心は折れかかっていた。
しかし、ツモ山に手を伸ばすと…それがなんと七万

一万二万三万四万五万六万七万八万九万二筒二筒五索六索  ドラ九万

ヤミテンで親満だが、私は自信を持ってリーチをかけた。北家にスルーされたら引けなかった七万なのである。しかも、純カラ。この一瞬のチャンスを逃してはいけない。このツモは、私のアガリ番なのだ。アガリ番なら、アガリはてっぺんまで高く狙うのが勝負の鉄則。私はこのツモで、80%の確率でアガリを確信した。
案の定だ、一発で七索を引いた。そして、これが裏ドラに乗った。

一万二万三万四万五万六万七万八万九万二筒二筒五索六索  ツモ七索  ドラ九万  裏七索

この8,000点オールから3連勝し、私はようやく面目を保てた。

ツモは生きている。鳴きで、あちこちに流れることもある。ポンポン合戦で、飛び跳ねるツモもある。しかし、大事なのはそのツモの強弱で、1局の未来を正確に「透視」することである。

以下次号。

Mr.Yの連盟Weekly!~プロクイーン二日目・月へ~

100

この季節、学生時代はイベントが沢山あった。
体育祭、学園祭と一番楽しい時期だった気がする。
ところが大人になったら一番何も無い時期のような気がする。
この時期は、そんな懐かしいあの頃を、思い出してしまう、時期なのだろう…。
ちなみに全く関係ないが、うちの高校では学園祭をヘボン祭と呼んでいた。
あっ、と思った方は恐らく高校が一緒だ。
それでは先週を振り返ってみよう。
 
 
 
 
 
 
 
【第35期鳳凰戦A1リーグ第10節B卓】10月15日(月)

100

古川孝次vs瀬戸熊直樹vs近藤久春vs吉田直

1回戦こそ苦しかった瀬戸熊だが、その後持ち直しプラスで終えた。
吉田は思うようにポイントが伸ばせない節が続いている。

古川+19.2 瀬戸熊+9.1 近藤▲9.9 吉田▲18.4
 
 
 
【第35期鳳凰戦A1リーグ第10節C卓】10月22日(月)
沢崎誠vs藤崎智vs勝又健志vs和久津晶

2回戦は大荒れの展開。
和久津が沢崎から18,000をアガったかと思ったら、今度は沢崎が勝又から16,000!
大荒れの2回戦を制した和久津と沢崎がポイントを伸ばした。

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 【第35期鳳凰戦A2リーグ第8節A卓】10月16日(火)

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ダンプ大橋vs西川淳vs黒沢咲vs刀川昌浩

3回戦、4回戦とアガリ倒したダンプが勝ち頭。
黒沢は今期始まって初のマイナス圏へと突入してしまった。

ダンプ+48.3 西川+37.1 刀川▲41.9 黒沢▲44.5
 
 
 
【第35期鳳凰戦A2リーグ第8節B卓】10月23日(火)
荒正義vs山田浩之vs二階堂亜樹vs古橋崇志

2回戦終わって、古橋が▲45.7。前節のプラスを吐き出してしまうかと思われたが、後半2回は好調。
マイナスを抑え、踏みとどまる。
現在最下位の荒だが、+26.4で望みを繋いだ。

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【第13期女流桜花Aリーグ最終節D卓】10月17日(水)

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和泉由希子vs蒼井ゆりかvs斉藤理絵vs菅原千瑛

降級ボーダーギリギリの位置にいた菅原。
沈めない戦いとなったが、3回戦に大きく沈んでしまい、降級となってしまった。
和泉、斉藤とポイントを伸ばしてプレーオフ進出を決めた。

和泉+29.9 斉藤+13.3 蒼井▲12.6 菅原▲31.6
 
 
 
【第13期女流桜花Aリーグ最終節E卓】10月24日(水)
魚谷侑未vs内田美乃里vs石田亜沙己vs松岡千晶

熾烈なプレーオフ争い。8位以内に入るとプレーオフへと進むことが出来る。
松岡が11位とポイントが欲しい位置にいたが、この日は好調。
+40.7ポイントとして、なんとトータル3位まで浮上。
決定戦へ大きく近づいた。
松岡がプレーオフ圏内に入った為、8位に位置していた稲岡が惜しくも次点となりプレーオフ進出を逃した。

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【実況!トトロンスタジアム!】10月19日(金)
横山毅vs佐々木亮vs高谷圭一vs稲岡ミカ

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※三田晋也プロが欠席のため、松田彩花プロが代打の実況として登場。

二週連続で行われた実況トトロンスタジアム。
今回は、11月23日(金・祝)に行われる「ロン2リアル大会in大阪」に参加するプロ4名での対局となった。
◎リアル大会、参加者はまだまだ募集中とのことなので、気になる方は是非チェックして頂けたらと思う。
第27回ロン2リアル麻雀大会in大阪概要

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「あ、ロン!やったー!」でお馴染みとなった旧ロン2CMだが、33期生の松田彩花プロは見たことが無いとのことなので、番組中に放送された。

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懐かしのCMだった。
なんと翌週の10月26日(金)も実況トトロンスタジアムが放送されるらしい。
3週連続は史上初だ。
それもそのはず、先週の2週連続も史上初だったのだ。
金曜日→トトロンが定着しつつある。
 
 
 
 
 
 
 
【第16期プロクイーン決定戦二日目】10月20日(土)
西嶋ゆかりvs水口美香vs天音まことvs浅見真紀vs日向藍子

◎初日成績
日向藍子 +12.6
西嶋ゆかり+ 8.6
天音まこと+ 4.0
水口美香 ▲ 4.2
浅見真紀 ▲22.0

この日は、5回戦~8回戦の4半荘行われた。
7回戦、息を潜めていた現プロクイーンの西嶋がついに動き出す。

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リーチ・一発・ツモ・ドラ2・裏3の8,000オール!
気持ちよくトップを取った7回戦に続き、8回戦。

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リーチ・ドラ3・裏3の12,000を日向から打ち取る。

更には、

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高めをツモ!そして裏は…

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裏裏!
リーチ・ツモ・ピンフ・タンヤオ・三色・裏2の倍満!4,000・8,000!

そしていよいよ仕上げにかかる。

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このメンホンリーチ。
水口から12,000をアガリ、フィニッシュ。

80,000点近いトップを取り、30ポイントのリードを持った状態で最終日を迎えることとなった。

◎二日目終了時成績
西嶋ゆかり+68.8
浅見真紀 +35.4
日向藍子 +31.1
天音まこと▲ 9.0
水口美香 ▲128.3

西嶋ゆかり、プロクイーン連覇なるか!?
 
 
 
 
 
 
 
【RTDリーグ2018決勝初日】10月20日(土)
鈴木たろうvs小林剛vs内川幸太郎vs瀬戸熊直樹

全8回戦で行われる決勝戦、1回戦をトップで迎えた内川は2回戦目もポイントを伸ばす。
そして4回戦オーラス、5,200点でトップになるという場面でこのアガリ!

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ツモ・チンイツ・リャンペーコーの倍満!
四の対子落としから見事に最高打点に仕上げた。
初日は内川が快調にポイントを積み重ねた。

◎初日終了時成績
内川幸太郎+111.7
小林剛  + 22.8
鈴木たろう+ 12.4
瀬戸熊直樹▲146.9

決勝戦最終日は11月3日(土)。果たして誰が優勝するのか?!
 
 
 
 
 
 
 
【麻雀最強戦2018 男子プロ代表決定戦 技術の極】10月21日(日)

【A卓】鈴木たろうvs角谷ヨウスケvs石橋伸洋vs猿川真寿
【B卓】藤崎智vs勝又健志vs小林剛vs近藤千雄

A卓からは、角谷ヨウスケプロ、石橋伸洋プロが勝ち上がりとなった。
B卓からは、勝又健志プロ、近藤千雄プロが勝ち上がりとなった。

【決勝】近藤千雄vs勝又健志vs石橋伸洋vs角谷ヨウスケ

東1局、勝又のこのアガリ。

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リーチ・ピンフ・イーペーコー・ドラ2・裏1の12,000!
近藤から打ち取る。

次局の親ではこのアガリ。

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ダブ東・ホンイツの12,000!
角谷から打ち取る。

50,000点を超えた勝又は、その後も加点をし、1回も放銃をせずパーフェクトゲームで最強戦のファイナル進出を決めた。

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【先週の問題の答え】

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先週の答え合わせをしよう。
皆様には16回目に出たサイコロの目を予想してもらった。

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予想した数字覚えて頂けているだろうか?
あ、答えはもちろんコレだ。

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7か9が来そうなのは容易に想像できるが、ここは9だ。
この感覚が精錬されていくと、次に出る数字がちょっとずつ分かっていくらしい。
嘘のような、本当の話だ。
 
 
 
 
 
 
【月江いくこの今週の一言】

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ありがたい言葉だ。

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第7期東北王座リーグ 第3節成績

順位 名前 プロ/一般 1節 2節 3節 4節 5節 合計
1 中村 和也 一般   71.4 70.7     142.1
2 皆川 直毅 プロ 58.9   37.6     96.5
3 雫石 沙応里 プロ 56.1 40.9 ▲ 17.1     79.9
4 新田 大輔 プロ     76.0     76.0
5 高橋 裕幸 一般 34.1   34.6     68.7
6 高橋 徹 一般 13.7 10.3 43.6     67.6
7 戸澤 桐子 一般 25.6 50.1 ▲ 13.2     62.5
8 櫻井 勇馬 一般   41.8 18.2     60.0
9 松平 幸司 一般 38.0 13.6 6.6     58.2
10 小野寺 豊 一般 28.4 3.3 21.6     53.3
11 菊田 政俊 プロ 5.5   47.2     52.7
12 岡崎 圭吾 一般     50.7     50.7
13 大塚 玲司 一般   66.8 ▲ 24.7     42.1
14 菅原 秀仁 一般 ▲ 4.8 60.9 ▲ 16.3     39.8
15 野家 龍治 プロ 36.2   ▲ 1.4     34.8
16 小又 一般     32.3     32.3
17 遠藤 昭太 プロ 30.9         30.9
18 湯村 浩章 一般 10.9 ▲ 0.6 20.1     30.4
19 小舘 洋平 一般 ▲ 0.6 19.6 5.5     24.5
20 武藤 武 プロ 16.5         16.5
21 鈴木 浩人 一般 4.1 ▲ 6.7 15.0     12.4
22 吉田 勝弥 プロ 9.3 13.9 ▲ 12.2     11.0
23 佐々木 啓文 プロ 30.7   ▲ 27.5     3.2
24 粕谷 祐太 プロ 49.7 ▲ 31.4 ▲ 16.9     1.4
25 佐伯 嘉康 一般 37.2 ▲ 37.9       ▲ 0.7
26 大河原 和真 一般 ▲ 11.5 2.2       ▲ 9.3
27 瀧田 亮 プロ ▲ 22.9 ▲ 0.1 2.2     ▲ 20.8
28 石川 勇気 一般     ▲ 25.4     ▲ 25.4
29 大沼 慎 一般     ▲ 31.3     ▲ 31.3
30 蓬田 一貴 プロ ▲ 34.5         ▲ 34.5
31 宇南山 健 一般   6.3 ▲ 43.9     ▲ 37.6
32 中井 章博 一般 ▲ 22.1 ▲ 17.4       ▲ 39.5
33 北畠 美智代 一般 ▲ 37.0 ▲ 18.5 15.4     ▲ 40.1
34 波奈 美里 プロ   ▲ 41.7       ▲ 41.7
35 及川 慶次 プロ ▲ 44.0         ▲ 44.0
36 佐々木 敏昭 一般 ▲ 3.8 ▲ 42.9       ▲ 46.7
37 粕谷 勇吉 プロ ▲ 13.6 ▲ 22.8 ▲ 16.6     ▲ 53.0
38 安ケ平 浩希 プロ 17.5 ▲ 40.7 ▲ 31.7     ▲ 54.9
39 田中 栄 一般 13.5   ▲ 71.9     ▲ 58.4
40 長澤 正杜 一般 ▲ 61.6         ▲ 61.6
41 高橋 大輔 一般     ▲ 63.3     ▲ 63.3
42 佐藤 晃大 プロ 17.1 ▲ 65.2 ▲ 15.3     ▲ 63.4
43 石倉 弘之 一般     ▲ 77.3     ▲ 77.3
44 菅原 直哉 プロ ▲ 77.6         ▲ 77.6
45 谷地 一磨 一般 ▲ 19.8 ▲ 32.9 ▲ 36.8     ▲ 89.5
46 松浦 一般 ▲ 45.2 ▲ 16.5 ▲ 54.1     ▲ 115.8
47 村上 正勝 一般 ▲ 74.2 ▲ 71.8       ▲ 146.0

2018年11月度道場ゲスト

[output_h2_image src=”/wp-content/uploads/hl_news_doujou_ll.jpg” alt=”日本プロ麻雀連盟 四ツ谷道場”]

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          日本プロ麻雀連盟本部道場 11月ゲスト ~道場部~

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第16期プロクイーンベスト8B卓レポート

第16期プロクイーン。A卓はすでに決勝進出が2名決まっており、残り2枠をかけた戦いとなる。

B卓の対局メンバーは、第1回女流モンド新人戦優勝、日向藍子(最高位戦)。
内山えみ(連盟)。
第9回野口賞優勝、浅見真紀(最高位戦)。
第10期女流桜花、第14期プロクイーン、宮内こずえ(連盟)。

といった、連盟vs最高位戦のような構図となった。内山以外なんらかの優勝経験があるが、内山も名前の頭に優勝歴を載せるチャンスがもう目前にきている。

 

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1回戦(起家から日向、内山、浅見、宮内)

東2局1本場、親の内山にいい配牌が入る。

二万三万四万七万八万九万一索二筒三筒四筒四筒八筒九筒北  ドラ二筒

3巡目にはドラの二筒をツモり、打点もかなり見える手に伸びるが11巡経てどテンパイしない。そうこうしている間に浅見からリーチ、一発でツモる。内山は勝負手を成就させられない。

東4局、親の宮内はアガリこそないものの、テンパイで2度連荘し勝負手が入るのを待つ。しかし2本場、宮内、4巡目に

一万二万三万八万八万八万八索九索九索発中中中  ドラ発

このいい手が入るも、6巡目に浅見からリーチが入り1,300のアガリだが、宮内はまたしても親の勝負手を成就できなかた。

南1局、今度は親の日向にいい手が入る。

一索一索一索七索八索八索五筒六筒八筒八筒白白白  ドラ北

しかしやはり勝負手の親はアガれない。内山が発ホンイツの3,900をアガる。

1回戦は最高打点が3,900と、満貫以上が出ない小さな展開になったが、その3,900を3回アガった内山がトップを獲った。

1回戦終了時
内山+27.0P 浅見+6.9P 日向▲5.2P 宮内▲28.7P

 

 

2回戦(起家から日向、宮内、内山、浅見)

東1局に日向がリーチツモタンヤオピンフで2,600オールで先制。

 

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続く1本場、宮内にリーチ白、そしてツモれば三暗刻のテンパイが入る。対する親の日向は12巡目に、

三索三索四索五索六索六索八索八索南南  ポン東東東  ドラ四筒

こうなるが、宮内のツモ切った三索をポンするかとおもいきやスルー。六索八索が通しにくいと判断したか。事実八索をチョイスすれば放銃になっていた。
直後、安全牌がなくなった内山が宮内に放銃し宮内のアガリとなる。

東3局、ついに大きなアガリがでる。浅見がリーチ一発ツモドラ3の3,000・6,000。

 

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そのアガリで持ってきた親番でさらには4,000オール。これによりこの2回戦は浅見が大きくリードする。

 

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その後、さらにリードを大きくするため攻め続けようとするが、内山に3,900は4,500、宮内に8,000を放銃してしまい、少し貯金を減らしてしまう。

南2局1本場、親の宮内は安いながらも微差の日向を突き放すため、仕掛けてテンパイを入れる。しかしその日向はドラ暗刻でリーチをする。

一万二万二万三万三万八万八万八万三筒四筒五筒西西  リーチ  ドラ八万

宮内は一発で四万を掴んでしまい、これに放銃…とはならなかった。
実はその前、浅見は宮内の親を落とすため渋々だろうが、チーして四万ならタンヤオでアガれるテンパイを入れていた。よって頭ハネで宮内は1,000は1,300の失点で済むこととなった。
当面のライバルになるだろう宮内からロンできていたはずのアガリを、目前にして頭ハネをされた日向は宮内を再逆転することはできず、この2回戦目は3着という結果で終わる。

2回戦
浅見+38.3P 宮内+3.4P 日向▲6.8P 内山▲34.9P

2回戦終了時
浅見+45.2P 内山▲7.9P 日向▲12.0P 宮内▲25.3P

 

 

3回戦(起家から浅見、日向、宮内、内山)

浅見が一歩リードで迎えた3回戦。対する3者はまだ誰が抜け出すかわからない。
東1局に親の浅見がタンヤオピンフドラ2の12,000を日向からアガる。浅見は確定にむけさらに前進し、日向は3者の中でビハインドを追う。

東1局2本場、宮内が仕掛ける。ホンイツの仕掛けだ。しかし南家の日向も仕掛け返して片アガリながらドラ3のテンパイを果たす。

六索六索六索二筒三筒四筒西西中中  チー五万 左向き四万 上向き六万 上向き  ドラ六索

これに飛び込んだのはホンイツのテンパイをしていた宮内。8,000の放銃となる。

東2局、大きな山場を迎える。
内山が中白と早々に仕掛ける。そこに親の日向が内山の大三元の可能性はまだ否定できていないが、三色ドラという役ありの手でここを勝負どころと踏んだか、決死のリーチ。リーチのモーションからも気合がひしひしと伝わってくる。
結果は日向がツモアガリ、リーチツモ三色ドラ、そして裏3の8,000オール。東1局の浅見への12,000の放銃なんて吹き飛ばすくらいのアガリを決め、宮内、内山を大きく引き離す。

 

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さらに日向はその後も4巡目に七対子ドラ2をテンパイする。日向を追いかける側の宮内の持ち点はすでに8,800点。内山はまだ26,400点とまだ点数を持っていたが、今度は内山のライフを削るような6,400を内山からロンアガリ。追いかける内山にとっては、親番も5巡で流され、痛い痛い失点となった。

それでも点数を欲しがる日向は南1局にもダメ押しの2,000・4,000をツモり、60,000オーバーの大きいトップを獲った。

3回戦
日向+50.6P 浅見+7.6P 内山▲10.7P 宮内▲47.5P

3回戦終了時
浅見+52.8P 日向+38.6P 内山▲18.6P 宮内▲72.8P

 

 

最終戦(起家から日向、宮内、浅見、内山)

最終戦は各々すべきことが明確になる。3回戦終了時の上位2者は局消化。
内山は近い方の日向と、トップラスにして27,200点差を逆転すること。宮内はかなり厳しいが、日向とトップラスにして約80,000点かつ内山も捲くる必要がある。

東場は大きな動きはなく、南入する。
南1局、親の日向は安全圏に行くため、以下の手を先制リーチ。

三万三万四万四万五万五万八万八万三索四索五索三筒四筒  リーチ  ドラ六筒

安めですら決まれば確定ともいえるリーチをする。しかし、内山も黙っていない。内山の目線からすれば2,000オールですらツモられるわけにはいかないので追いかける。

四万五万七万八万九万四索五索六索八索八索三筒四筒五筒  リーチ

これを一発で日向から打ち取る。裏ドラがのれば満貫になりかなり差が縮まるのだが、残念ながら裏ドラは乗らず3,900の直撃。しかし日向をラスにすることは成功する。

南4局1本場、親の内山が4巡目リーチで4,000は4,100オールをツモる。

 

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日向が現状4着なので、内山はトップになれば日向を逆転できるあと一撃で逆転のところまできた。
続く2本場、7巡目にしてまたしても内山がリーチ。
日向は絶体絶命かと思いきや、腹をくくり内山の危険牌を切り続け、最後は見事アガリきり決勝の椅子をもぎ取った。

最終戦結果
宮内+38.5P 内山+5.0P 浅見▲11.1P 日向▲32.4P

最終戦終了時
浅見+41.7P 日向+6.2P 内山▲13.6P 宮内▲34.3P

勝ち上がり
1位通過 浅見真紀(最高位戦日本プロ麻雀協会)
2位通過 日向藍子(最高位戦日本プロ麻雀協会)

第141回:中級講座『二鳴きするべからず。』 浦田 豊人

北陸支部が設立されてから、もうすぐ十年という節目を迎える年になった。
一歩一歩の活動であったが、2年前から夢であった「プロテスト」を支部にて実施する事になり、北陸発の新人プロを輩出するカタチ作りが徐々に出来つつある。
そしてもう1つの夢の「北陸プロリーグ」もついに昨年よりスタートする事が出来、決勝戦は夏目坂スタジオで開催する事が出来た。
そうなると次なる夢は「北陸にタイトルを!!」
しかしながら支部員の皆さんにお願いするだけではダメで、先ずは自分が頑張らなくてはいけない。
「昔取った杵柄」で錆び付いた刀を磨かなければならない。
そんな勝つことだけしか考えてなかった昔の真剣勝負を、この講座を書きながら思い出しております…。

先日、支部の勉強会で若手プロの後ろで観戦していた時のひとこま。

東1局 北家 ドラ八万

一万三万七万四索六索二筒五筒七筒七筒北白中中

ここに3巡目に東家から中が出る。
彼はスルー。同巡、西家が手出しで親の中を合わせ打つ。
「ポン!」今度は鳴いた。局後、彼に聞いてみる。

私「どうして鳴いたのですか?」
彼「2枚目だったので。もう無いので…。」
その時、私は連盟公式ルール用の、自分の掟をまた思い出していた。

「二鳴きするべからず。」

麻雀において「鳴く」という行為は、その日の勝負を左右する、重要な決断になり得ます。
麻雀はその都度瞬間での決断の連続で、「押し引き」や「リーチ判断」は非常に大事な判断でありますが、「鳴き判断」もその1つであります。
今回はこの鳴きにポイントを絞ってお話していこうと思います。

先ず、麻雀で「鳴く」というタイミングはどういう時かを考えてみましょう。

私は主に3つあると思います。

①鳴いても本手の時

連盟公式ルールにおいて、「本手は何点以上ですか?」と聞かれたら、私は満貫以上と答えます。
なので先ずは面前で満貫ベースを念頭に手を進めていきますが、鳴きでも同様で、もし鳴いても満貫以上の手であるならば、本手としてきちんと仕掛けるべきだと思います。

②かわし手の時

自分が本手に成り得ない手の時、逆に他者が本手の気配が漂う時、そんな時はスピード重視で仕掛けを入れて、他者にアガられる前にアガリを取る。
麻雀においての必勝法は、当たり前ですが出来るだけ大きな手をアガることですが、もしそんな手が入らない場合は、サッとアガるか、もしくは相手にアガらせないように絞る事、これもまた「逆の必勝法」であります。

一発裏ドラの無い公式ルールにおいては、そんなに毎回本手が入るわけでもなく、それ故に相手にとっても本手をかわされた時のダメージは大きく、そういう意味でもかわし手は非常に大事な手段であります。

③状態が悪いのでツモを変えてみたい時、
ツモられそうなのでツモをずらしたい時、
ブラフ鳴きしておきたい時。

これは物凄く抽象的な話になりますので、今回の講座では割愛させて頂きます。
(ホントはいっぱいお話したいのですが…。)

①本手の時、②かわし手の時、
この2つの時に仕掛けていくと決めると、思考もシンプルになり、自分に迷いが生じにくく、瞬時の鳴き判断がぶれにくくなります。
逆に言えば、「①②でない時は絶対仕掛けない!」と1回決めてみましょう。

さて、そう決めてみて冒頭の手を検証しますと、手牌のカタチもまだ整っておらず、ドラもなく、見た目通り本手とはいえません。
3巡目で他者に動きがないとすれば、1枚目は当然の見送りです。それでは2枚目はどうでしょう?
確かに他に役も見えず、2枚目なので鳴きたい気持ちにかられるかもしれません。しかし先程決めた「①本手、②かわし手」のどちらにも当てはまらないので、ここは我慢してスルーが良いと言えましょう。
役はまだまだ他に作れます。最悪メンゼンツモでも良いと思って下さい。
(最悪リーチかければ良い、とは言わないで下さい…。「第2回・中級講座」参照)

そもそも状況が変わらないままでの二鳴きというのは、私の中では存在しません。
相手側にも「なんで1枚目を鳴かなかったのだろう?」「安手だったので鳴かなかったのかな?」とイメージされ、誰もその仕掛けに警戒をせずに襲い掛かってくる事間違いなしです。
(最近では逆手にとって、ドラ2などでもあえて一鳴きせずに二鳴きしていく方もいらっしゃいますが…。)

上記の例は3巡目同巡の2枚目でしたが、これがほとんど手が進まず8巡目の2枚目でも同じであります。

東1局 北家 8巡目 ドラ八万

一万二万三万四万七万四索六索五筒七筒七筒白中中

これでは1枚目時点と何ら変わらないカタチであり、ここでの二鳴きはタブーです。
もう8巡目だから安手でもアガろうと見切りをつけるのではなく、むしろ「アガらない」事に見切りをつけるべきです。

それでは少しカタチが整ってきた下記の1シャンテンではどうでしょう?

東1局 北家 8巡目 ドラ八万

一万二万三万四万七万九万六索七索五筒七筒七筒中中

これなら鳴いて1シャンテンで、かわし手にもなりそうなので、二鳴きOKでしょうか?
否、これもスルーをお薦めします。それは七万九万の部分が気になるからです。
上手くドラ八万を先に持ってくれば、かわし手といえますが、もし五索八索を先に持って来たり、チーテンに取れば、

二万三万四万七万九万七筒七筒  チー五索 左向き六索 上向き七索 上向き  ポン中中中

ドラ八万待ちとなり、こういう出アガリがほぼ期待出来ない一種類だけの待ちは、厳密にはかわし手とは言いません。
「早いテンパイ=かわし手」だと思いがちですが、そうではありません。
待ちがドラ跨ぎ、またはドラそのものではなく、その他のリャンメン以上でなければ、かわし手とは言い難いのです。
なので、この1シャンテンでもやっぱり二鳴きはしない、という選択になります。

鳴きは「①本手、②かわし手」の時に行う。本手ならば1枚目から鳴く。そうでなければ2枚目も鳴かない。
ゆえに「二鳴きするべからず。」なのです。

それでは二鳴き以外の、他のパターンの時でも幾つか例題をあげて、仕掛けの判断を考えてみましょう。

【例題①】

東1局 西家 8巡目 ドラ一索

四万五万三索四索五索六索七索七索二筒二筒八筒八筒八筒

ここに上家より二索が出る。鳴くか?鳴かないか?私の答えは「鳴く」です。

テンパイの受け入れ枚数も多く、鳴かなくても十分にメンゼンでテンパイしそうであります。
三万六万ならまだしも3メンチャンの方から鳴くのはどうなんだろうか?まだ開局だし…?とも思います。

しかながら、今は公式ルールです。
一発裏ドラのないこのルールでは、面前でテンパイしても1,300点確定の手であります。鳴いても1,000点、つまりどちらでもほぼ点数は同じとなります。
であるならば、かわし手はかわし手らしく、ここはサッと仕掛けて局を回す方を選択します。
「リーチかければ2,600、ツモれば4,000になるのでは?」と思われた方は、まだ公式ルールに対応出来ていないと言えましょう。
そんな方はとにかく格好つけずに、もっと泥臭く闘う事をオススメします。

【例題②】

東1局 西家 8巡目 ドラ二索

四万五万三索四索五索六索七索七索二筒二筒八筒八筒八筒

先程と手牌は全く同じなのですが、今度はまだ仕掛けは入れません。
何故でしょう?そう!ドラが二索だからです。

この手は二索を引くか、二索五索八索待ちになってリーチをかけてツモれば満貫になり得ます。
面前なら本手になる可能性があるのならば、ここはスルーの一手です。

このように、例題①と②は手牌は全く手牌が同じであるにもかかわらず、ドラが1つズレるだけで選択がガラッと変わっていきます。
だから麻雀は奥深く、そして堪らなく楽しい競技なのですね。

【例題③】

これは私のリーグ戦での実戦譜です。
(第17期北陸プロアマリーグ)

1回戦東1局 親 ドラ五索

三万四万四索五索六索九索九索七筒八筒東東中中

ここから私は3巡目に出た1枚目の中を仕掛け、アガリやすそうな2種類のリャンメンを残し、九索のトイツ落としをする。
すぐに二万をツモりテンパイ。あっさりと1,000オールをツモる。

二万三万四万四索五索六索七筒八筒東東  ポン中中中  ツモ九筒

これ、全然駄目ですね。この手はダブ東がトイツでドラも1枚有るので、満貫を見据えた本手を目指さなければいけません。
中から仕掛けると「中ドラ1」に終わる可能性が非常に高く、それではせっかくの手材料を殺し、開局早々の勢いも殺してしまう恐れがあります。
なので、ここは1枚目の中はスルー。そしてここが肝心なのですが、2枚目が出てもスルーなのです。
一方、ダブ東が出たら1枚目から仕掛けていき、切る牌はどちらかのリャンメンとなります。
「ダブ東中ドラ1」の親満を作りにいくべきです。
(中が2枚切れてしまっていたら、ダブ東ドラ1を目指します。)
これが「本手を作るための鳴き」、「自分に勢いをつけるための鳴き」と言えましょう。

開局早々は先制したいという弱気から安易にアガリを取りにいったり、また逆に戦闘準備不足で鳴くべき局面で「いきなりのポン」の声が出なかったりします。
しかしながら麻雀において「開局=入り」は非常に大切であります。序盤戦で簡単に一か八かにいってもいけない、かといって慎重すぎて勢いに乗れないのもいけないのです。

もう1つ私の実戦譜から。

【例題④】

第2期北陸プロリーグ第2節
3回戦 南1局 親 ドラ中

一万二万二万三万三万五万五万七万八万四索七筒南中中

1・2回戦でほぼ合計±0ポイントと、今一つ波に乗れずに迎えた3回戦。
この半荘も原点付近で一進一退の状態。迎えた南場の親でオバケ配牌を手にする。
ドラ中がトイツでホンイツがくっきりと見える2シャンテン。ここはなんとしてもものにしたい。

2巡目に上家から一万が切られる。どうする!?
鳴けば早くもMAX18,000の1シャンテン…。

私の判断はスルー。
この手、ここで一万四万六万九万から仕掛けるとなると、おそらく最終形は下記のカタチになると推測される。

一万二万三万五万五万中中  チー九万 左向き七万 上向き八万 上向き  チー一万 左向き二万 上向き三万 上向き

これでは出アガリの可能性は非常に低くなり、いくら四万六万を持って来たらリャンメンに変化出来て、ツモ期待も出来るかもしれないが、それではせっかくの手がなんとも心もとない。

なのでスルーだが、ここから場に四万六万九万とバタバタと切られて、4巡目に上家からも九万が切られる。
どうする!?

そう、勿論ここもスルー。
「二鳴きするべからず」理論と同じで、1枚目と状況が変わらない、この場面では枚数が薄くなったとはいえ、鳴きはありえません。
ここが「公式ルール特有の我慢」のしどころなのです。

するとすぐに下家が5巡目、五万を手出しで打ってくる。
どうする!?
ちなみに下家は北陸支部きっての「感覚派」の藤本プロである。
彼の感覚から、私のホンイツ狙いを見て、「面前で仕上げさせない。鳴いてみろ!」とばかりに打ち出されて来た五万
イヤ、そうじゃないのかもしれないが、藤本と長い付き合いである私には、そう感じられずにいられなかった。
勿論、ここで引っ掛かるわけにもいかない。私は無言。
もうこうなったら中を自力で引かない限りは仕掛けられないなぁ、その時に待ちになる枚数が残っているかなぁ、と思っていた矢先、七万をツモる。

一万二万二万三万三万五万五万七万七万八万南西中中

こうなれば七対子が見えてくる。問題は七対子1本に絞るか?それともメンツ手との両天秤にかけるか?

私の選択は、一万四万六万九万が既に5枚場に切られている事から打一万で七対子に決め打つ。
(一万は場に2枚切れ)
親で七対子狙いは大嫌いなのだが、もうそんな事も言ってられない。

この一連の選択が見事にハマり、

二万二万三万三万五万五万七万七万八万八万西中中  ロン西

幸運にも親の跳満をアガる事が出来た。
アガッた事は勿論嬉しいが、自分で決めた「鳴くべきでない局面」で、しかも目先の点数が欲しい状況で欲に負けず、しっかりと鳴かなかった事が非常に嬉しかった。

「局面が変わらない二鳴きするべからず。」
「鳴く時は本手か、かわし手かをしっかりと自覚した時のみに仕掛ける。」

次回は「鳴かれた側」に視点を変えて、鳴かれた時の「読み」の話をしたいと思います。

邪道戦法はまだまだ続きます。
お楽しみに~。

Mr.Yの連盟Weekly!~カレンダー・サイコロ・他~

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10月も中旬になり、そろそろインフルエンザの季節がやってくる。
予防接種も打たなくてはいけない。
去年はワクチン不足なんて事になったりもしていたので、早めにやっておきたいものだ。
しかし、あの針を刺す瞬間は何度やっても慣れない。
「注射を刺す場所を一分間指で押しておくと痛みがなくなる」という方法があるが、押した場所とは違う所に注射されることもザラだ。
他にも「注射と同時に太ももをツネる」や「爆音で音楽を聞く」、「目をつむってリラックスする」
などがある。
今後も予防接種とはずっと付き合っていくので、自分に合った痛み回避の方法を探して頂けたらと思う。
それでは先週を振り返ってみよう。
 
 
 
 
 
 
 
【第13期女流桜花Aリーグ最終節C卓】10月10日(水)
二階堂瑠美vs童瞳vs美波智子vs武石絵里

降級圏内の美波に注目が集まった最終節だったが、2回戦に50,000点近いトップを取り、降級圏内を脱出。
逆に童瞳が降級圏内に入り、童瞳の一人沈みで対局が終了した。

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美波は吾妻より順位が上となった為、残留がほぼ確定となった。
童瞳は別卓の結果待ちとなった。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
【実況!トトロンスタジアム!】10月12日(金)
平岡理恵vs京平遥vs高宮まりvs中野妙子

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すっかりご長寿番組となった実況トトロンスタジアム。
今回は平均打点が6,300点を超える高打点のメンバー4名の対局となった。
静岡色が濃くなったのは偶然のようだ。

大物手が連発する中、結果は平岡プロの2連勝!

平均打点が高いメンバーということで2半荘の平均打点が番組中に発表された。

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ピンフのみで裁かれた局が数局あったにも関わらずこのような結果となった。
さすがは高打点選手達だ。

なんと翌週の10月19日(金)にも実況トトロンスタジアムが放送されるらしい。
人気企画ということだろう。
 
 
 
 
 
 
 
【第16期プロクイーン決定戦初日】10月13日(土)
西嶋ゆかりvs水口美香vs天音まことvs浅見真紀vs日向藍子

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3日に渡って対局となるプロクイーン決定戦。
この日は初日が放送された。
初戦、現プロクイーンの西嶋が大きい一人沈みでスタートとしたが、終わってみればプラスで初日を終える。

日向藍子 +12.6
西嶋ゆかり+ 8.6
天音まこと+ 4.0
水口美香 ▲ 4.2
浅見真紀 ▲22.0

順位点が大きいルールなので、ポイントはほぼ動いてないと言っていいだろう。
2日目、最終日と目が離せない!
 
 
 
 
 
 
 
【ロン2カップ2018Autumn】10月14日(日)

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初MCを務める桜川姫子プロ。
今回も豪華なメンバーの対局となった。

【A卓】滝沢和典vs前田直哉vs柴田吉和vs吉田直

【B卓】二階堂亜樹vs黒沢咲vs魚谷侑未vsがぼがぼさん

【C卓】伊藤優孝vs前原雄大vs mayummyさんvs満点スマイルさん

恒例の前田プロのマイクパフォーマンスで賑やかなオープニングを迎える。

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対局の方だが、A卓からは吉田プロ、B卓からは黒沢プロ、C卓からは前原プロが勝ち上がりを決めた。
そしてロン2カップ初参加のがぼがぼさんが準決勝を勝ち上がり決勝戦へ進み、決勝は以下のメンバーとなった。

決勝:吉田直vs黒沢咲vs前原雄大vsがぼがぼさん

東一局から大荒れの展開!!

先制リーチは親の黒沢プロ、そして追いついたがぼがぼさんはツモり四暗刻のリーチ!
そこにドラ2の吉田プロもさらに追いかけリーチ!!

いきなり三人の手がぶつかった!!
結果は…

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がぼがぼさんの四暗刻!!

その後もツモり三暗刻をアガるなどして独走となり、そのまま優勝となった。
がぼがぼさん、おめでとうございます!!
 
 
 
 
 
 
 
【RTDリーグ2018決勝メンバー決定!】10月14日(日)
準決勝16回戦で内川が大トップを取り、決勝進出を手中に収めた。
準決勝最終戦、決勝進出残り1枠を争う瀬戸熊と白鳥の着順勝負となった。

東1局、先制リーチは白鳥。

そこに追いついた瀬戸熊がリーチ!

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一発で掴んだ白鳥が、リーチ・一発・ピンフ・ドラ4の12,000の放銃となった。

大きいリードで瀬戸熊決勝ムードが漂う中…

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白鳥が門前で高目大三元をテンパイ!安めでも南・ホンイツ・チャンタ・小三元・ツモれば三暗刻ととんでもない打点のテンパイを入れる!!!

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しかし親の小林がアガリ、大三元成就せず。
その後親で更に加点を重ねた瀬戸熊が逃げ切り、決勝進出を決めた。

連盟からは瀬戸熊、内川の2名が決勝進出となった。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
【2019版日本プロ麻雀連盟卓上カレンダー予約受付開始!】

今年も女流プロの日本プロ麻雀連盟卓上カレンダーが販売されることになった。
素晴らしいカレンダーが出来上がった。

そんなカレンダーのレポートを担当するのは去年に引き続き小笠原奈央プロ。
去年のレポートのインパクトは忘れない。

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近日中にアップされるはずだ。お楽しみに!

カレンダー予約ページはこちら
 
 
 
 
 
 
 
 
【目指せサイコロマスター】
以前(結構前だが)このようなツイートが投稿された。

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見聞色の覇気を鍛えすぎた山井プロは少し先の未来が見えるようだ。
最近では、合計だけでなく赤と白のサイコロの各々の目も言い当てれるとか言い当てれないとか。

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みんなも目指せサイコロマスター!
ということで、エクセルで擬似的なサイコロプログラムを作成した。
数千回施行して平均がほぼ7になったのでプログラムに誤りは無さそうだ。

それではここで皆様には16回目に出たサイコロの目を予想してもらおう。

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そんなの分かるわけない!と思われるかもしれないが、分かってしまう人もいる、という話だ。
正解は来週発表。
応募フォームとかは無いので、予想した数字を来週まで覚えて頂けたらと思う。実はそっちの方が難しいかもしれない。

第19期北陸プロアマリーグ 第1節レポート

北陸支部が設立されて、もうすぐ10年という節目を迎えようとしております。
2年前より北陸支部でのプロテスト開催、昨年度より北陸プロリーグ開催と、一歩一歩支部員の活動の幅が拡がっておりますが、初年度より開催されているのが、「北陸プロアマリーグ」。
一般参加の方々に支えられて毎年継続されているこのリーグ戦も、今期で第19回目を迎える事となりました。
今期もこれまでと変わらず、熱戦が期待されるものと思われます。
私自身も昨年ぶりの優勝を目指していきたいと思います。

毎回第1節はゲストプロをお迎えしての大会形式としておりますが、今回のスペシャルゲストは「あさちび」・「リトルマシンガン」の通称で有名な「石田亜沙己プロ」。
石田プロの人気はご説明する必要もなくご周知の通りで、実力も女流桜花をはじめとして動画配信で折り込み済み。
参加者は対戦出来る機会に期待が高まっております。

●1回戦

首位スタートとなったのは獅坂プロ。
+32.4Pと好発進を果たす事に成功。

隣の卓は前回優勝の志多木プロ。
4万点以上でオーラスを迎えてトップ目、オーラスも役牌を仕掛けてテンパイになる。
連覇に向けて順調にトップスタート!
と思いきや、下家が手を開く。

二万三万四万二索三索四索二筒三筒四筒六筒七筒九筒九筒  ツモ八筒  ドラ二筒

出来上がりの三色を見事アガッたのは、初出場の梅本さん。
このアガリで見事にトップを捲り、幸先の良いデビュー戦を果たす。

ゲストの石田プロはオーラスを迎えてラス目。オーラスも親のリーチを受けていて、厳しい状況が続いている模様。
しかし、その石田プロ、

二索二索四索四索七索七索八索八索東東北発発  ロン北  ドラ東

メンホン七対子ドラ2と見事な跳満で、ラス目から一気にトップに浮上!
流石スペシャルゲスト!魅せてくれます。
5位スタートと次戦以降の活躍が大いに期待されます。

●2回戦

獅坂プロが首位をキープ、梅本さんもピタリと2位に着けている。
3位には常連参加の吉田さんが浮上。
この辺りで今日の好不調者がハッキリとして来た模様です。

●3回戦

なんとここまで1位の獅坂プロ、2位の梅本さん、そして4位の藤本プロが直接対決となる。
ここでトップを取った人が本日1位にグッと近づくと思われ、いやがうえにも目が離せません。
もう1人の光岡さんも歴代最多優勝3回を誇る強者であり、当然この3人に割って入るものと思われます。
決着は下記のアガリ。

一万二万三万三万三万六万七万七万八万九万  ポン南南南  ロン五万  ドラ三万

アガッたのは獅坂プロ!
振り込んだ藤本を含めて、対戦者は「今日の獅坂プロは手がつけられない」といった感じ。
この上位卓を制して、首位を快走する。

トータル2位に浮上したのが、決勝戦常連の小泉さん。
南場の親にて下記の手。

六万六万五索六索七索一筒二筒三筒五筒六筒七筒八筒八筒  ドラ一万

テンパイだが、567の三色と一通がともに一手変わりという事もあり、ここはしっかりとヤミテン。
六筒ツモで三色を見切り打八筒。ピンフの役ありとなったが、ヤミテン続行。すると待望の九筒をツモり打六筒リーチ。

六万六万五索六索七索一筒二筒三筒五筒六筒七筒八筒九筒  ツモ四筒  ドラ一万

しっかりとした手作りで、高目の4,000オールを決めました。

●4回戦

波乱は起きず、この日絶好調の獅坂プロがそのまま当日1位を決めました。
2位には小泉さん、3位には木戸プロが入りました。
4位は吉田さん、5位~7位には後藤プロ、成田プロ、木原プロとプロが意地を見せてくれました。

関西本部より北陸支部へ移籍して2年目の獅坂プロ、これを機に北陸でも更なる活躍を期待しております。

ゲストの石田プロは、2回戦以降は苦しい展開の連続でしたが、チャンスを待って我慢していく打ち方は、参加者一同大いに見習わさせて頂きました。
開幕戦に華を添えて頂き、本当にありがとうございました。

次節以降も熱い闘いが繰り広げられる事、間違いなしです。

第17期関西プロリーグ A・B・Cリーグ 第7節レポート

Aリーグ第7節:辻本翔哉


約2ヶ月ぶりのリーグ戦のレポートです。
A1卓:横山・坂本・勝間・米川
成績が全員プラスの今節一番の注目卓です。観戦は出来なかったので結果を報告します。坂本+14.6P 横山+6.2P 勝間+4.7P 米川▲25.5Pとなった。半荘1回分程の変動で、トータルの成績の降順の結果となり、差が縮まった。

A2卓:佐々木・辻本・宮田・吉本
2卓は私辻本が参戦していた卓なので詳しくレポートします。
先に結果から報告します。
吉本+54.0P 佐々木+51.1P 辻本▲43.8P 宮田▲61.3Pとなった。
トータルトップで迎えた7節だが、前日まで十段戦決勝を戦っていた佐々木、若手のホープ宮田、Aリーグに慣れ調子を上げてきた吉本と手強い相手との対局となった。

2回戦、東1局 南家
親の宮田から先制リーチが入っていたが

七万八万九万七索八索九索四筒五筒六筒八筒九筒西西  ドラ六索

この形で6巡目にテンパイする。1回戦は消極的な麻雀でラスになってしまい、ここは積極的に攻めようと追っかけリーチをした。宮田から七筒が切られアガる事が出来た。

東2局 東家 またもや宮田の先制リーチが入っていたが

六万六万七万八万九万三索四索五索八索九索七筒八筒九筒  ドラ六万

このテンパイが入り今回はリーチをしなくても親の満貫、それに宮田が四索を切っていてソウズが出やすい場だったので、ヤミテンにした。結果ツモアガリ4,000オールとなった。
そのまま他でも加点し、東場終了時点で60,500点となりトップは安泰かと思われたが、麻雀は何が起こるかわからない。

南1局 南家 ドラ五索
またもや宮田が6巡で先制リーチ。その時は七対子1シャンテンで現物は1枚持ちのドラの五索しかなかった。
トイツはどれも安全牌ではなく残りの3牌もわからなかった。ここはドラを切りたくなかったが仕方なく五索を切る。
すると下家の吉本に放銃。タンヤオピンフドラ2の7,700点となった。
そこから完全にペースを崩してしまい次の親もすぐ流れる。そして

南3局 西家
親の吉本が7巡でツモアガる。

一索二索三索六索六索南南南西西白白白  ツモ西  ドラ四索

ツモ、ホンイツ、三暗刻、役牌2で8,000オール。
卓に衝撃が走った。競技ルールでリーチもせず、それも7巡でそんな高い手をアガられると、一瞬なにが起きたかわからない。
もちろんこの半荘は吉本がトップ。結果、私は28,500点で沈みで終了した。
対戦相手は全員麻雀が強くなりたくてプロになった猛者。油断などはしていなかったが、ここまでの逆転劇はなかなか無い。平常心を乱され今節は大きなマイナスとなってしまった。

A3卓: 藤川・仁科・稲岡・高谷
こちらも観戦は出来なかったので、結果を報告します。
稲岡+30.3P 仁科+17.2P 高谷+3.0P 藤川▲50.5Pとなった。
稲岡が卓内トップとなり、紅一点のスロースターターはこれから調子をあげてきそうだ。一方藤川は、1人でマイナスを抱えてしまい今期は苦戦をしいられている。
今節は全体的には差が縮まり、これからの戦いがより面白くなりそうな結果となった。これで残るは2節。ますます熱くなるリーグ戦に目が離せない。

 

 

Bリーグ第7節:山室太二

 

リーグも後半戦に差し掛かり、選手各々昇降級を強く意識するところでしょう。
麻雀がある種のメンタルゲームである以上精神面を推し測った上でアプローチを掛けていきたいところ、今節の対戦相手は、大橋、城、菅上となかなか押しの強い面子構成で、引き気味に受けすぎると無制限に押し込まれ兼ねないので、2~3局程度採算無視してでも押す姿勢は見せるつもりで臨みました。特に城は上位に着けていてポイントを稼ぎに来ることが予想されます。
実際予想を遥かに越える強さを見せた城。
早いヤミテンが多く、めくりあいにも強く、手の施しがありませんでした。

実戦譜では1回戦南1局

五万五万五万四索五索六索六索七索八索二筒三筒四筒五筒  ロン五筒  ドラ五万

二筒は3枚切れのこの七巡目の仮テンに山室が放銃

2回戦東3局

三万四万八万八万八万三索四索五索二筒二筒三筒四筒五筒  ロン五万  ドラ四筒

このヤミテンで二万の安めをスルーしながら、親現物の五万高めに大橋が放銃。昇級への強い意思を感じました。

4回戦オーラス

四万四万二索三索四索六索七索八索四筒五筒六筒南南  ロン南  ドラ四万

トップ目でのダメ押しのダブ南ドラドラ、これにラス目の親の大橋が放銃。責められない放銃とはいえ、なかなかにえげつない締めでした。
今節は、攻め、かわしともに圧倒的な成功率を誇った城が頭ひとつ抜き出ていて、空振り、放銃が多かった大橋が大きく沈みました。
私はと言うと、押していくつもりだったのですが振るわず微マイナス。昇級はかなり厳しいですが、対戦レポートの任を請けおった以上、少なくとも最終節上位卓の対戦をお届けするよう努めたく思います。

 

 

C1リーグ後期2節:松尾潤

 

1卓 松尾 +63.5P、後藤 +5.8P、行野 ▲29.0、吉田(哲) ▲44.3P

前節からの好調を維持し松尾が3回トップを取りポイントを大きくプラス。4回戦ともオーラスで各選手が順位が変わる大物手をアガリきる最後まで気が抜けない展開となった。
個人的に振り返ると、リーチの判断など反省も多くありますが、悪い方向に転がらなかったことは幸いでした。

2卓 辰巳 +42.8P、掛樋 +29.5P、杉田 ▲12.6P、中野 ▲59.7P

2卓では前節の結果が逆転する結果に。中野は前節トップだったが、局面に恵まれずトータルでもマイナスになる大きな失点となった。

3卓 木下 +20.8P、長野 +17.4P、宮澤 +5.4P、原田 ▲43.6P

原田、宮澤は前節のマイナスを取り戻したいところだが好調の木下がポイントを重ねた。後期C1リーグでは下位4名が降格となるため残り3節どのように戦うのか注目される。

4卓 中安 +15.7P、音羽 +4.0P、吉田(圭) ▲4.1P、根越 ▲15.6P

混戦となり大きなポイントの動きにはならなかったが、中安が2回戦で1人沈みのラスとなるも後半巻き返しプラスとなる。一方で根越は1回戦でトップをとり、そのまま前回のマイナス分を取り返したかったが実らなかった。

 

 

C2リーグ後期2節:北村祐二

 

C2リーグは第2節。
組み合わせは、
1卓(冨田・楠木・吉田・平柴・南田)
2卓(高橋・北村・山本・秋山・伊原・管東)

1卓では、楠木が+59.1Pで卓内1位。前節+100P超の大稼ぎをした冨田は+0.4Pの2位で、結果的に楠木の1人勝ちとなりました。

2卓では、卓内1位が高橋(+36.6P)、2位に伊原(+23.4P)、3位に山本(+12.1P)と、僅差の戦いでした。
全体では、冨田の足踏みによって、後続が点差を縮める結果となりました。

【第2節終了時点】
1位 冨田 +105.3P
2位 楠木 +69.1P
3位 山本 +49.0P
4位 伊原 +46.2P
5位 高橋 +27.4P
尚、北村は▲111.0Pで、早くも崖っぷちに追い込まれました。

「幸先の良いスタート」とは、様々な競技で使われている言葉ですが、麻雀においての「幸先の良いスタート」は、「東1局のアガリ」ではないかと感じます。多くの場合、そのアガリで半荘を優位に進めることができるためか(逆転され、トップを逃すこともありますが)、東1局(のアガリ)の持つ意味はとても大きいと感じます。
2卓、4回戦の東1局。
秋山がピンフドラ1の2,000点をアガリましたが、今節はこの局をフォーカスしました。
先に、この半荘の結果(素点のみ)を紹介すると、

管東 +1.0P
伊原 +5.8P
秋山 +15.8P
山本 ▲22.6P

前述の東1局でアガリをものにした秋山がトップをとりました。
本題の局面では、7巡目、秋山は九筒をツモリ、

六万六万五索六索七索八索九索三筒四筒五筒七筒八筒九筒  ドラ六索

この形でテンパイしました。ここで秋山はヤミテンを選択し、数巡後、四索を山本からロンアガリしました。
この局面では、秋山はヤミテンを選択しましたが、リーチと選択する方もいるのではないかと思います。また、もし場況がひとたび変われば、選択も違ってくるかと思います。例えば、
・親か子(南家、西家、北家)か。
・盤面(序盤、中盤、終盤)。
・他家の動向(鳴きやリーチの有無)。
・一手変わり役か付くか、否か。
・ドラの有無や枚数。
・前回対局の結果、当日のコンディション。
等、選択に影響を与える要素が様々あります。これらを踏まえて、秋山が出した結論はヤミテンでした。結果論ではありますが、選択は吉と出ました。

第31期中部プロリーグ 第7節レポート

Aリーグレポート:村瀬寛光

朝夕の冷え込みが秋の深まりを感じさせる中、会場内では第6節に続いて熱気冷めやらぬ第7節が行われた。

第7節の組み合わせは以下の通り。
1卓 古川・伊藤・寺戸・土岐

現在首位の伊藤が1回戦目から前節の勢いのまま、軽快にアガリを重ねトップ。
続く2回戦目には独走を阻むべく寺戸が立ちはだかる展開へ。
寺戸と言えば過去に中部プロリーグ・静岡プロリーグにおいて2回ずつ優勝経験を持つ実力者でもある。2回戦目は寺戸に軍配が挙がるも、伊藤の勢いは落ちない。
今期伊藤の好調さを物語る1局をご紹介しよう。

八万八万二索三索六索七索八索二筒三筒四筒  チー四万 左向き二万 上向き三万 上向き  ツモ四索  ドラ三万

寺戸が一索を切り、同巡に土岐が四索を切る場面でも何事もなかったようにすぐさま四索をツモっていた。
3回戦目には伊藤に勝負手が入るも不発に終わっていたが、以下の手役を6巡目に面前で仕上げるあたりも調子の良さを感じさせていた。

四筒六筒七筒七筒白白白発発発中中中

4回戦目に寺戸が6万点オーバーを達成し卓内トップは寺戸だったものの、プラスで暫定首位をキープした伊藤にとってまた一歩決勝へ近づいた瞬間である。
終了後、話を伺う機会があったのだが、「本手がアガリきれない中、落ち着いていつも通りの麻雀を打てた事が結果に繋がったのはホッとしています。」と語る謙虚さの中に垣間見える自信に満ち溢れた表情が印象的だった。

2卓 三戸・杉村・林・加藤
今期からAリーグ入りを果たした加藤、Bリーグを首位通過した実力はいかに。
序盤から加藤が積極的に攻め、点棒を重ねていく展開となった。
東4局、三戸・林・加藤が呼応するかのように重ねてリーチ。

三戸
三万三万三万五万七万九万九万九万七索八索九索六筒六筒  ドラ七万


四万四万七索九索二筒三筒三筒四筒四筒五筒東東東

加藤
二万二万二万六万七万八万三索四索五索七索八索三筒三筒

林の手から離された九索で決着、勝負所での加藤に値千金のアガリだった。

3回戦目で今節卓内トップを決定づけた1局がこちら。
東4局、杉村が以下の手で配牌テンパイ。ツモれば一気に浮上するチャンスだったが、成就せずダブルリーチへ。

五万六万七万六索七索八索一筒一筒二筒二筒三筒中中  ドラ発

しかし数巡後、親の加藤が追っかけリーチ。

一万二万三万三索三索四索六索二筒三筒四筒南南南  リーチ  ツモ五索

なんなく五索をツモり上げ、この時点で5万点へ到達し最後まで崩れることなくトップで終了。
ベテラン勢相手にこの結果を残せた事で貴重な経験と大きな自信を得たに違いない。

3卓 都築・小野・清水・森下
1回戦目、清水と森下が交互にアガリを重ねていく。結果トップは清水で2着に森下。森下は中部プロリーグで優勝経験こそないものの決勝進出3回と第39期王位戦で見事優勝を果たしている中部を代表する逸材だ。対して清水は第27期新人王戦4位、第29期中部プロリーグ4位と今後の活躍が期待されている人物である。

2回戦東4局、都築に勝負手が入る。

二万二万二万一筒一筒四筒四筒四筒六筒六筒西西西  リーチ  ドラ九筒

それを阻止するかのように親の森下が追っかける。

四万五万三索四索五索二筒二筒二筒三筒四筒五筒六筒七筒

都築が三万を掴み、起死回生のリーチは不発に終わった。

オーラス2本場、北家都築のホンイツ仕掛けに注目した。

五万六万七万八万北北白白  ポン東東東  ポン西西西

この形から東を鳴いた際、打牌選択は八万。点棒状況を確認すると都築18,900、小野41,200、清水35,500、森下24,400だ。もちろんツモっても森下から直撃しても3着には浮上する。しかしここで五万を選択しておけば白が出なくても九万引きのチャンタで8,000が確定。
実際は勝負に出た清水から5,200出アガリだが、2巡前に九万を引いていた。結果論と言ってしまえばそれまでだが、可能性を追求出来ていれば2着。一瞬の判断ミスが命取りになりかねない。
3回戦目まで清水が1人浮きでこのまま終了するかと思われたが、そこは麻雀の怖いところ。4回戦で手痛い1人沈みを受け一気にマイナスへ、森下は5万点近い2着でマイナスを最小限に留めた。

4卓 朝岡・日下・掛水・山本(拓)
初戦から各自親で連荘し、1時間30分を越す長丁場。中でも東4局、山本(拓)の親では怒濤のアガリを見せ7本場を積む。その貯金をキープしつつ+33.4Pのトップ。
しかし3回戦、4回戦で他者を寄せ付けない圧倒的な力を見せつけたのは掛水。見事卓内トップの座を射止めた。掛水は21期生で未だ優勝経験こそないが決勝には5回進出しており、その超攻撃型の雀風は一度勢いづかせたら止めるのは困難なほど。今期は暫定3位につけているので充分チャンスはあるだろう。終了後、本人からコメントを頂いた。

「今日はドラがなくても手役がついてくる展開に恵まれていた。プラスで終われたのが何よりでした。」と語っていたが、ここまで+100P以上という結果を振り返ると実力以外の何ものでもない。

残り「あと3節」か「まだ3節」かでは現状置かれている立ち位置で意味合いが大きく変わってくる事だろう。己の信念を貫いてこそ道は拓けるに違いない。

Aリーグ

順位 名前 1節 2節 3節 4節 5節 6節 7節 8節 9節 10節 合計
1 伊藤 鉄也 15.6 ▲ 33.6 ▲ 19.6 90.7 63.2 22.2 0.4 138.9
2 小野 雅峻 73.1 32.5 3.8 12.4 ▲ 41.7 20.2 14.0 114.3
3 掛水 洋徳 ▲ 8.9 ▲ 3.5 39.7 54.1 ▲ 1.9 0.0 33.1 112.6
4 三戸 亮祐 5.4 3.3 5.3 33.1 34.3 ▲ 23.6 ▲ 10.3 47.5
5 土岐 雄太 17.8 21.3 15.7 ▲ 11.0 32.4 ▲ 15.3 ▲ 29.6 31.3
6 林 俊宏 13.3 11.7 ▲ 12.3 ▲ 5.2 3.1 0.0 8.9 19.5
7 山本 拓哉 ▲ 86.7 19.8 ▲ 19.7 44.7 21.5 22.4 5.4 7.4
8 加藤 泰史 16.2 ▲ 25.5 45.0 ▲ 38.1 ▲ 17.4 ▲ 24.1 31.5 ▲ 12.4
9 森下 剛任 ▲ 7.4 18.6 ▲ 30.2 16.0 ▲ 8.7 ▲ 9.7 ▲ 2.8 ▲ 24.2
10 寺戸 孝志 35.7 ▲ 18.6 23.6 ▲ 48.7 ▲ 64.9 0.0 48.3 ▲ 24.6
11 都築 友和 ▲ 14.2 5.8 2.8 ▲ 0.3 ▲ 63.9 40.6 ▲ 2.0 ▲ 31.2
12 日下 健司 ▲ 40.1 ▲ 5.0 30.3 ▲ 7.4 20.0 2.1 ▲ 32.9 ▲ 33.0
13 朝岡 祐 22.1 ▲ 27.1 ▲ 25.3 ▲ 37.8 6.2 11.6 ▲ 5.6 ▲ 55.9
14 清水 哲也 ▲ 9.0 ▲ 25.5 20.1 ▲ 4.2 ▲ 32.8 0.0 ▲ 9.2 ▲ 60.6
15 古川 孝次 ▲ 2.0 26.3 ▲ 52.8 ▲ 79.1 59.2 ▲ 20.1 ▲ 39.1 ▲ 107.6
16 杉村 泰治 ▲ 30.9 ▲ 3.5 ▲ 27.4 ▲ 39.2 ▲ 28.6 ▲ 27.3 ▲ 30.1 ▲ 187.0

 

 

●Bリーグ:村瀬寛光

秋分を迎え日増しに秋も深まる今日この頃だが、予想最高気温は真夏日という違和感の中、第2節の幕が開けた。

第1節が終了し上位から下位まで約150P差、プラスの者は更なる上積みを目指し、マイナスを抱える者にとって開きはあるがまだまだ挽回は可能だ。

さて各卓の結果はいかに。
6卓 大滝・太田(充)・中谷・高橋
女流の高橋が序盤から積極的に攻めていく。そこへ負けじと大田(充)が迎え撃つ展開になるも1回戦目は高橋に軍配が挙がる。2回戦目で名乗りを挙げたのは中谷。面前を重視する手役型で攻撃力も高く、6万点には及ばずとも大きくポイントを伸ばした。3回戦目も中谷が突き放すかと思われたが、太田(充)がしっかりとマークし独走を許さない。太田(充)は元Aリーガーで第23期中部プロリーグで優勝した実績を持つ。スピード優先の守備型でリーチと鳴き仕掛けのバランスが巧い。最終4回戦、高橋が今期Bリーグ最大級のポイント+44.6Pを1局で叩き出して卓内トップへ。大滝は前節に続き不調の波から脱出できず1人沈みで終了。

7卓 木村・金平・佐藤・岡田
卓内トップは木村。3回戦まで1着、3着、1着とすべてプラスにまとめ、ここはベテラン木村の貫禄勝ち。金平・岡田もなんとかプラスをキープし、金平は暫定3位に浮上した。佐藤もなんとか4回戦にトップを取ったがそれまでのマイナスが響き、1人で負債を背負い込む形となってしまった。

8卓 大町・堤・大橋・田村
暫定2位の大町とその座を奪還するべく挑む堤・大橋、なんとか隙を窺いプラスで終わりたい田村の構図。1回戦目から持ち前の超攻撃的な雀風を見せつけ、これでもかと大橋が怒濤のアガリを重ねまずは1勝。次戦は田村が奮起し大町・堤・大橋を一切寄せ付けず横綱相撲、見事1人浮きを確保した。しかし3・4回戦は大町が激戦を制し連勝、1・2回戦のマイナスを最小限に抑える事に成功。

麻雀は頭脳をフル活用し、相手の手役・打点・心理を読み、そして時には揺さぶりなどの駆け引きも必要となり、もちろん運も重要な要素の1つ。また自分の思った通りに事が運ばない理不尽なゲームでもある。長丁場のリーグ戦では、不調の時こそいかにその理不尽さに耐え凌ぎ、マイナスを受け入れる勇気を持つ事が必要となってくる。
つい目先の勝負に囚われがちだが、本質は先をしっかりと見据えて打ち切ることが最良な判断を生み、自然と結果も伴ってくるものだと考える。次節も目が離せない。

Bリーグ

順位 名前 1節 2節 3節 4節 5節 合計
1 高橋 侑希 21.5 57.1 78.6
2 安藤 大貴 78.0 0.0 78.0
3 金平 裕樹 32.3 13.7 46.0
4 斎藤 寛生 44.1 0.0 44.1
5 大町 篤志 52.5 ▲ 9.3 43.2
6 青山 大 39.1 0.0 39.1
7 大橋 幸正 11.5 5.5 17.0
8 田村 良介 ▲ 19.1 23.6 4.5
9 木村 東平 ▲ 30.0 31.1 1.1
10 富村 つぐみ 0.2 0.0 0.2
11 堤 文吾 4.0 ▲ 21.8 ▲ 17.8
12 中谷 彰吾 ▲ 28.9 0.3 ▲ 28.6
13 太田 充 ▲ 68.1 24.4 ▲ 43.7
14 岡田 智和 ▲ 77.1 3.2 ▲ 73.9
15 佐藤あいり ▲ 24.5 ▲ 50.0 ▲ 74.5
16 大滝 聡 ▲ 36.5 ▲ 81.8 ▲ 118.3

 

 

●Cリーグ:長谷川弘

前節のレポートでも述べたが、Cリーグは昇降級者が混在するリーグの1つである。
それ故、当然ながら初対戦の相手と対局することもあり得るわけである。
各対局者とも、前節の戦績から他の対局者の分析を十分に済ませて対局に臨んだであろうか。

昨今、頭脳トレーニングとして麻雀がブームの兆しを見せるが、果たして何をもって頭脳ゲームと言わしめるのか。大まかに言えば自身の手牌の発展を考え、捨て牌から相手の手牌、打点を読み、山に眠っている牌を想像するといったところであろうか。
しかし、実際にはそれらの想像力に長けている程度では強者と呼ぶには程遠い。
麻雀は対人ゲームである以上、相手の性格や心理状態、動作の瑕疵、牌勢など、確率に当てはまらない無数の要素にも十分に配慮しなければばらない。
それができてこそ真の実力者と呼べるのではないだろうか。

個人的見解を述べるのであれば、麻雀は「情報収集」、「分析」、「決断」、「実行」という作業を、ただひたすら繰り返すことで対局の内容を高めるゲームと考える。
自身の手牌と全体の捨て牌を照らし合わせて情報を収集し、すぐさまそれらを分析する。その結果を元に方針を決断し、実行に移す。
即ち、ちりばめられた情報を瞬時に正確に読み取り、それらを更に細分化して高い精度で分析し、最良の選択を決断する。
情報は一打切り出される毎に上書きされるため過去のものとなり、使い物にならないこともある。そのため、すぐさま先述したプロセスを新たに繰り返すこととなる。

蓮池は微差の局面で特に情報収集に集中し、他家の動向に的確に対応できるよう心掛けているという。「反省はあとからすればいい」という彼の言葉からも随時新しい情報収集に取り組んでいる姿勢がうかがえる。
大西はリーチ判断の基準を分析の結果に応じて1回戦から4回戦まで使い分け、それを1回戦の好成績に結び付け、決して満足のいく結果ではないにしろスコアを取り戻すことに成功した。
自身の状態と分析の結果をうまくかみ合わせることができず、悔いの残る決断で大物手を逃した原田だが、彼の勤勉さをもってすれば今後それらを修正することは可能であろう。
杉浦は自身の手に溺れ惑わされることなく、危険回避を優先的に実行に移せる堅実さが持ち味だ。
今節は辛酸を嘗めた結果に終わったようだが、今後はその持ち味を存分に発揮して着実に成果を上げることに期待したい。

周到に情報を収集し丁寧に分析することを怠れば、大局を見失うことにも繋がりかねない。
だが、それらを網羅しただけでは不十分ともいわざるを得ない。
なぜなら、それらを疑うことなく決断に結び付け、瞬時に実行に移せるかどうかの胆力が試されるのも麻雀のゲーム性の一面であるからだ。

Cリーグ

順位 名前 1節 2節 3節 4節 5節 合計
1 越川 清一 69.4 44.6 114.0
2 池沢 麻奈美 19.5 28.2 47.7
3 大高坂 松城 38.0 ▲ 0.3 37.7
4 原田 知彦 ▲ 25.6 54.0 28.4
5 鈴木 雄介 16.2 2.7 18.9
6 若松 正和 35.5 ▲ 17.4 18.1
7 太田 峻也 35.3 ▲ 20.8 14.5
8 岡本 丈司 33.4 ▲ 29.9 3.5
9 山本 美文 ▲ 46.9 41.9 ▲ 5.0
10 浅野 文雅 ▲ 6.0 ▲ 3.5 ▲ 9.5
11 鈴木 涼太 ▲ 43.1 26.8 ▲ 16.3
12 日高 志穂 15.2 ▲ 35.8 ▲ 20.6
13 大西 義則 ▲ 45.7 24.1 ▲ 21.6
14 杉浦 貴紀 11.6 ▲ 61.1 ▲ 49.5
15 蓮池 浩太 ▲ 65.8 ▲ 3.9 ▲ 69.7
16 河合 慎悟 ▲ 46.0 ▲ 51.6 ▲ 97.6

 

 

●Dリーグ:長谷川弘

残暑居座る初秋、中部プロリーグDリーグ第2節が行われた。

わずか2節を観戦したにすぎないが、諸氏に改めて熟考していただきたいと感じたことがある。
それは「第一打」の大切さである。

点棒状況などの局面、自身と他者との状態の違い、又はそれまでの展開によって、たとえ同じ配牌であっても常に同一の選択をするとは限らないのが、麻雀の奥深さの1つでもある。
フーロなどにより摸打の回数に極端な偏りがなければ、自由な選択が許されるのは平均して17~18打だ。13牌の手牌を理想の形に仕上げる試み、又は守備に備えるための安牌の確保。攻守のバランスを首尾よく保つために与えられた機会はわずかにそれだけなのである。
配牌時に点棒、又はその時点での着順状況に応じた構想を立てた場合、ほぼ最終形が担保され、且つ、よほどシャンテン数が浅い配牌でない限り、不要牌は単純な孤立牌だけでない。
好牌先打の意味合いを持つ潜在的なものも含めればその選択は多岐にわたる。
更に他家の立場、状況等を勘案すれば、序盤早々に自らを窮地に追い込みかねない単なる自己都合だけの安易な選択はできないはずだ。
たとえその時点で不要と思われる牌であっても、その切り順は同列であるはずもない。
即ち、熟慮を怠った軽はずみな選択では、そこに打ち手の意志すら感じられないことになる。

第一打はその手牌、またはその局の結果を占う、最初にしてもっとも慎重を要する重要な作業だ。
繊細な闘いはすでに第一打から始まっているのだ。

もっとも、ほとんどの対局者はその第一打の意味を尋ねられれば、即座にその一打に込められた己の意思をそれぞれが描いた脚本に沿って的確に表現するだろう。
それは、矜持を持った競技プロであればなおさらのはずである。

山田は場況に応じて躍動的に手数を放つ打ち手だが、第一打も含めた不要牌の切り順は要修正と語った。謙虚な自己分析は必ずや彼を好成績に導くと信じたい。
逆に奥は手数が少なく、慎重に構え過ぎると自身を語ったが、ならばその持ち味を第一打から存分に活かしてほしい。

たかが第一打、されど第一打。それすらもおろそかにしないという小さな積み重ねが、自身を成長に導く一つの重要な要素であると考えたい。
捨て牌を並べる河は、処理された不要牌の単なる吹き溜まりではない。
打ち手の思考と意志、努力の痕跡を如実に映しだしたそれぞれの鏡である。
第一打はその最初の1枚なのだ。

Dリーグ

順位 名前 1節 2節 3節 4節 5節 合計
1 鈴木 淳 ▲ 29.2 101.4 72.2
2 菅野 直 50.7 10.1 60.8
3 山田 まさとし 43.1 ▲ 10.5 32.6
4 後藤 咲 1.7 18.2 19.9
5 羽川 えりか ▲ 6.1 2.8 ▲ 3.3
6 近藤 美香 34.8 ▲ 55.8 ▲ 21.0
7 加来 千香子 ▲ 25.1 ▲ 9.8 ▲ 34.9
8 家田 みゆき ▲ 9.5 ▲ 38.6 ▲ 48.1
9 奥 潤次 ▲ 79.3 ▲ 17.8 ▲ 97.1
10 鈴木 基芳 ▲ 1.1 ▲ 100.0 ▲ 101.1

第14期静岡プロリーグ 第6節レポート

静岡プロリーグも半分の5節を終えた。
ここまで来ると否が応でもポイントを意識せざるをえない。
ポイントを持っている選手は、選択肢を幅広く持ち有利に戦えるだろう。
しかし5節で開いたポイント差は、5節あれば縮められる!
上位の選手もまだまだ油断出来ない。
それでは、今節の結果を各卓ごとに見てみよう。

1卓
藤島健二郎 × 山本拓哉 × 平野敬悟 × 加来千香子

圧倒的実力を見せつけ首位を独走状態の藤島。
山本・平野2人の実力者と新人加来を相手にどのように戦うか。
私は、大きなリスクを負うような戦い方はしないと思って見ていた。

結果は
藤島+13.3 平野+11.6 加来▲14.2 山本▲10.7

私の予想に反して、4人の中で藤島の踏み込みが1番深い。
今節で決勝戦進出を決めてしまおうという戦い方に見えた。
山本も沈みはしたが、この日の出来から考えればよく耐えたように思う。

2卓
望月雅継 × 鈴木秀幸 × 都築友和 × 中野妙子 × 鈴木涼太

試合巧者の望月と鈴木秀。
この2人に翻弄されると何も出来ずに終わってしまう可能性があるため、何とか歯を食いしばって前に出たい3人。

結果は
鈴木秀+24.9 望月+20.7 鈴木涼+15.5 中野▲18.7 都築▲42.4

鈴木秀・望月共に安定した戦いぶりでポイントを伸ばすことに成功。
鈴木涼は、この面子相手にプラスで終えられたことは大きな自信になるはず。
今後の彼の活躍に期待したい。

3卓
川崎義之 × 佐藤あいり × 蓮沼友樹 × 越川清一 × 渡辺洋巳

この5人の中で1番ポイントを持っているのが蓮沼。
もともと幅広い戦術を持っている為、ポイントを活かし戦うことが予想される。
他の4人の選手は自身の決勝戦進出の為、相手に振り回されず自分の麻雀を打ち切ることが大事である。

結果は
蓮沼+19.3 越川+17.3 佐藤+16.4 川崎▲13.5 渡辺 ▲40.5

小さいながらも蓮沼が卓内トップで終了。
藤島の陰に隠れて目立っていなかったが、蓮沼も藤島と同じく6節連続でプラスである。
この事からも彼の雀力の高さが伺える。
このまま決勝戦まで突っ走れるか?!

未消化だった別日対局も続々と消化され、ポイントに大きな変動があったので、上位陣をもう一度確認しておこう。

首位 藤島 +251.6
2位 鈴木郁 +178.6
3位 山本 +164.5
4位 蓮沼 +149.7
5位 望月 +139.3
6位 青嶋 +127.1
7位 川崎 +122.3

例年にないぐらいのハイスコアなボーダーになりそうになってきた。
250ポイント持っている藤島ですらまだ安心出来ない。
次節も何か起こりそうだ…

順位 名前 1節 2節 3節 4節 5節 6節 7節 8節 9節 10節 合計
1 藤島健二郎 36.0 62.5 8.2 87.6 44.0 13.3 251.6
2 鈴木郁孝 108.1 9.5 40.9 ▲ 7.4 27.5 178.6
3 山本拓哉 18.1 5.6 26.4 42.1 83.0 ▲ 10.7 164.5
4 蓮沼友樹 29.8 15.4 2.8 8.0 74.4 19.3 149.7
5 望月雅継 51.9 63.9 ▲ 28.2 22.1 8.9 20.7 139.3
6 青嶋宏樹 58.5 17.2 51.6 ▲ 29.8 29.6 127.1
7 川崎義之 20.2 37.4 94.8 0.9 ▲ 17.5 ▲ 13.5 122.3
8 京平遥 22.8 ▲ 5.8 14.8 44.2 19.3 95.3
9 鈴木秀幸 65.6 ▲ 40.9 ▲ 17.7 35.9 14.9 24.9 82.7
10 平岡理恵 60.0 ▲ 11.0 ▲ 14.0 10.0 10.8 23.9 79.7
11 大橋幸正 24.9 ▲ 13.9 47.5 16.9 49.6 ▲ 51.2 73.8
12 鷲見隼人 ▲ 42.1 ▲ 34.8 ▲ 17.5 7.1 57.2 101.0 70.9
13 足立純哉 25.5 90.8 ▲ 11.8 26.3 ▲ 79.4 51.4
14 太田昌樹 5.6 ▲ 4.8 27.1 16.1 ▲ 27.4 34.4 51.0
15 杉村泰治 ▲ 94.0 43.6 59.2 8.4 12.9 17.4 47.5
16 中寿文 28.1 15.3 ▲ 23.2 ▲ 14.7 32.4 4.7 42.6
17 土屋幸弘 ▲ 26.0 ▲ 20.0 27.6 ▲ 0.5 ▲ 30.0 ▲ 2.8 ▲ 51.7
18 越川清一 32.1 16.0 ▲ 51.3 ▲ 26.9 ▲ 56.4 17.3 ▲ 69.2
19 都築友和 ▲ 52.7 ▲ 16.1 ▲ 8.8 44.0 6.3 ▲ 42.4 ▲ 69.7
20 平野敬悟 ▲ 23.8 33.5 ▲ 75.9 ▲ 69.1 29.7 11.6 ▲ 94.0
21 佐藤あいり ▲ 17.0 ▲ 59.1 ▲ 4.6 2.5 ▲ 52.1 16.4 ▲ 113.9
22 加来千香子 ▲ 17.5 ▲ 23.2 30.5 ▲ 65.0 ▲ 27.4 ▲ 14.2 ▲ 116.8
23 渡辺洋巳 ▲ 8.3 6.6 ▲ 36.9 ▲ 33.7 ▲ 9.0 ▲ 40.5 ▲ 121.8
24 鈴木涼太 ▲ 39.6 ▲ 64.4 ▲ 24.0 ▲ 33.2 ▲ 5.1 15.5 ▲ 150.8
25 中野妙子 ▲ 71.1 ▲ 44.9 ▲ 18.6 ▲ 16.0 ▲ 56.5 ▲ 18.7 ▲ 225.8
26 原佑典 ▲ 70.9 ▲ 26.2 29.0 ▲ 62.9 ▲ 62.2 ▲ 88.0 ▲ 281.2
27 高木翔太 ▲ 70.3 ▲ 85.6 ▲ 22.1 ▲ 34.9 ▲ 78.5 ▲ 72.9 ▲ 364.3

第32回静岡リーグ(プロアマ混合)第1節レポート

半年の間、静岡リーグのレポートを担当させて頂いた。
これは自分にとって新しいチャレンジであり、新しい発見でもあった。

これまでに書いたレポートを改めて読み返してみたが、思ったことはたった1つ。
文章を書くことは昔から好きだが、何も成長していないように感じたのである。

人は失敗を経て成長していくものであると、どこかで目にした一文・聞いたことがある言葉であるが、その本質は失敗を失敗と捉えることが出来ていなければ、現状のまま流されていくだけ…ということなのだろう。

継続は力なり。
何事もやり続けていけば、いつか報われる日が来るのかもしれない。
麻雀を打ち続けていけば、いつか強くなる時が来るのかもしれない。
文章を書き続けていけば、いつか万人が読みたいと思える文が書けるのかもしれない。

今、強く想うこと。
それはただやるだけではなく、考えて取り組むことの大切さである。

引き続き、静岡リーグのレポートを担当させて頂きます。
また半年間よろしくお願い致します。

夏の終わりと共に、第31回静岡リーグは太田昌樹の優勝で幕を閉じた。
道中から好調を維持していた太田は、決勝の舞台でもアドバンテージを活かして藤島健二郎の猛追を凌ぎ切ってみせた。
古くから静岡に身を置く太田と、今期より静岡に参戦する藤島のデッドヒート。
それは静岡リーグの新たな時代の幕開けにふさわしい一戦であった。

その熱き戦いから早一ヶ月。
第32回静岡リーグがスタートした。

第1節を終え、堂々の首位で発進したのは前回準優勝の藤島。
ここ最近の活躍は本当に充実一途だが、それにしても圧巻の一言。今期も間違いなく中心となりうる存在であり、前回の雪辱を果たせるか大いに注目したい。

ディフェンディングチャンピオンの太田も良いスタートを決め、第3位につけた。
首位の藤島とはすでに40ポイントの差がついているが、どのような追い込みを見せてくれるのだろうか。

逆に前期静岡プロリーグ覇者の鷲見隼人・静岡の雄、鈴木秀幸が予想外の苦しい出だし。
実力、経験、そしてホームグラウンドであるこの静岡での実績は説明不要である。まだ第1節を消化したばかりであり、巻き返しも十二分とみる。

今回の静岡リーグで個人的に最も注目している選手は、中部本部の新人・鈴木涼太。
まだ1年目ながら静岡に参戦する熱意、数多くの先輩方から学ぼうとする姿勢、そして何よりその若さという武器は参加者随一である。
第1節は+41.4の好スタート。
次節も思い切りの良い麻雀で攻めて欲しい。

16年目を迎えた静岡リーグ。
昨今の地方の麻雀熱は日に日に増すばかり。
静岡ならではの熱い戦いを、余すことなく全国にお伝えしていければと思う。

順位 名前 プロ/一般 1節 2節 3節 4節 5節 合計
1 藤島 健二郎 プロ 98.6         98.6
2 宮地 孝尚 一般 91.5         91.5
3 太田 昌樹 プロ 59.3         59.3
4 鈴木 雅人 一般 57.6         57.6
5 杉村 泰治 プロ 54.6         54.6
6 松永 誠 一般 54.0         54.0
7 堀 孔明 一般 52.5         52.5
8 高木 翔太 プロ 47.0         47.0
9 鈴木 郁孝 プロ 45.0         45.0
10 鈴木 涼太 プロ 41.4         41.4
11 都築 友和 プロ 37.7         37.7
12 山内 紀博 一般 32.8         32.8
13 山本 拓哉 プロ 30.0         30.0
14 平田 拓也 一般 29.4         29.4
15 藤井 太郎 一般 29.0         29.0
16 源馬 健太 一般 27.3         27.3
17 北島 武弘 一般 24.8         24.8
18 松清 一樹 一般 19.8         19.8
19 八木 寛大 一般 15.9         15.9
20 伊藤 真 一般 8.3         8.3
21 川崎 義之 プロ 4.1         4.1
22 平野 敬悟 プロ 3.8         3.8
23 深見 翔 一般 3.5         3.5
24 伊藤 裕美子 一般 2.2         2.2
25 坂本 彰光 一般 1.3         1.3
26 影山 恒太 一般 0.6         0.6
27 小山 剛史 一般 0.0         0.0
28 村瀬 光佳 一般 0.0         0.0
29 岩井 健太 プロ 0.0         0.0
30 足立 純哉 プロ 0.0      

 

0.0
31 斉藤 隆 プロ 0.0         0.0
32 白井 健夫 一般 0.0         0.0
33 京平 遥 プロ 0.0         0.0
34 渡辺 洋巳 プロ 0.0         0.0
35 鈴木 康功 一般 ▲ 1.3         ▲ 1.3
36 大橋 幸正 プロ ▲ 4.8         ▲ 4.8
37 中 寿文 プロ ▲ 8.3         ▲ 8.3
38 髙橋 孝基 一般 ▲ 10.1         ▲ 10.1
39 牧野 光治 一般 ▲ 13.0         ▲ 13.0
40 中野 一男 一般 ▲ 20.2         ▲ 20.2
41 望月 雅継 プロ ▲ 22.7         ▲ 22.7
42 袴田 一郎 一般 ▲ 24.2         ▲ 24.2
43 青嶋 宏樹 プロ ▲ 34.6         ▲ 34.6
44 岡田 智和 プロ ▲ 34.8         ▲ 34.8
45 西田 孝志 一般 ▲ 38.5         ▲ 38.5
46 大谷 数則 一般 ▲ 40.5         ▲ 40.5
47 福井 弘人 一般 ▲ 42.7         ▲ 42.7
48 舟橋 晃 一般 ▲ 42.8         ▲ 42.8
49 大橋 義一 一般 ▲ 53.8         ▲ 53.8
50 原 佑典 プロ ▲ 59.0         ▲ 59.0
51 岡本 茂 一般 ▲ 59.4         ▲ 59.4
52 鷲見 隼人 プロ ▲ 61.5         ▲ 61.5
53 鈴木 秀幸 プロ ▲ 79.6         ▲ 79.6
54 本田 真之 一般 ▲ 122.4         ▲ 122.4

第35期十段戦決勝 最終日観戦記 前田直哉

初日を終え、各々何を思い1週間を過ごしたのだろうか?思いはそれぞれだろうが、今日その戦いに終止符が打たれる。最後に笑っているのは誰だろうか?
5回戦終了時のポイント上位者から最終日の抜け番が選択出来、初日トップの沢崎は初戦の7回戦を抜け番とした。

6回戦終了時
沢崎+65.0P 佐々木+40.0P 内川▲16.7P 藤崎▲41.0P 黒沢▲47.3P

 

100

 

7回戦(親から、内川・黒沢・佐々木・藤崎)

東1局、親の内川が三色を見つつ手を進めるが、10巡目に足止めのリーチとする。だが、最も早くテンパイしていた藤崎がアガリきり幸先の良い出足となった。

三万五万六万六万六万七万七万三索四索五索五筒六筒七筒  ツモ四万  ドラ三万

次も追いかける側の黒沢の出番となる。東2局1本場、親番でこの手をヤミテンとした。

三万四万五万四索四索五索五索六索六索七索七索四筒四筒  ドラ四索

そしてこの後八索を持ってきて七索を切ってのリーチに踏み切った。だが前局に続きここも流局。だが次局はしっかりとヤミテンでアガリを取り迎えた3本場、最初のテンパイは佐々木。

二万三万三万四索五索六索六索八索六筒七筒八筒南南  ツモ七索  ドラ一万

三万を切ってドラ受けのリーチもあるが、南家なのでここは手堅く二万を切ってヤミテンとする。佐々木らしい一打である。だがまたしても黒沢が来る。

二万三万四万四万五万五万六万六万七万東東西西

これはさすがにヤミテンとした。そして内川も仕掛けてここに参戦する。

一万一万四万五万五筒六筒七筒  チー四筒 左向き二筒 上向き三筒 上向き  ポン北北北

この仕掛けと黒沢のテンパイを察知してか佐々木が一旦迂回する。すると今度は藤崎がここにリーチで割って入ってくる!

一万三万四万五万一索二索三索三索四索五索六索七索八索  リーチ

いかにも苦しいリーチだが、このくらいをアガリに結び付けないと逆転は難しいと思ってのことだろう。だがすぐに藤崎が東を掴んでここも黒沢のアガリとなる。次局は藤崎が軽く流したが黒沢にとっては十分な加点となった。
南1局、最初にヤミテンを入れる佐々木。

二万二万四万四万一索一索三索三索三筒三筒八筒八筒中  ドラ中

そして親の内川も足止めも兼ね、先制リーチとする。

三万五万六万六万六万一筒二筒三筒四筒四筒五筒六筒七筒  リーチ

すると同巡黒沢の追いかけリーチが飛んでくる!

四万五万六万七万八万九万三索四索五索七索七索中中  リーチ

これを見て、ならば俺も!と佐々木もリーチといったのだ!
今日を占う山場となった。そして力強く牌を手元に寄せたのは内川だった。打点こそ無いが色んな意味で大きなアガリとなった。そして次局も4,000オールをアガリ一気にトップ目まで突き抜ける。

九万九万五索六索二筒三筒四筒四筒五筒六筒六筒七筒八筒  ツモ四索  ドラ九万

その後も黒沢から5,800をアガリ、トップを盤石のものとする。
ここまで苦しい佐々木だったが南3局の親ではここからフリテンリーチとした。

四万五万六万七万八万六索七索八索四筒四筒六筒七筒八筒  リーチ  ドラ一万

九万を切ってはいるが高目ツモなら6,000オールだ。そして数巡後この手が開花する!高目の六万をツモリこれで一気に浮きにまわる。常に冷静に見える佐々木だが、この時は少し手が踊っているように見えた。

 

100

 

そしてオーラス。東2局では5万点あった黒沢だが持ち点は原点を割っていた。だが高目なら浮きになるリーチを入れてくる。

三万四万五万六索六索三筒四筒四筒五筒五筒七筒七筒七筒  リーチ  ドラ三索

これに終盤、親の藤崎も追いつきリーチ。

一万二万三万四万五万六万七万九万九万九万三索四索五索  リーチ

このリーチを受けて止まる内川。2人の共通安全牌が無いのだ。そして2人の筋である八万を河に置くと藤崎からロンの声。やってしまったと、この時の内川の表情がとても印象的だった。最後は黒沢が浮きになる七対子ドラドラをツモって藤崎の1人沈みで乱打戦であった7回戦は終了した。

7回戦成績
内川+14.9P 黒沢+6.8P 佐々木+4.0P 藤崎▲25.7P

7回戦終了時
沢崎+65.0P 佐々木+44.0P 内川▲1.8P 黒沢▲40.5P 藤崎▲66.7P

 

8回戦(親から佐々木・藤崎・沢崎・黒沢)抜け番 内川

東2局親の藤崎がツモリ三暗刻でリーチ。

四万五万六万二索二索二索六索六索五筒五筒  暗カン牌の背西西牌の背  リーチ  ドラ東

これに黒沢も勝負手になって追いつきリーチ。

二万三万四万五万六万七万五索六索七索三筒三筒六筒七筒  リーチ

この五筒八筒も山には残っていなかったが、佐々木が完全に手詰まりとなり八筒が打ち出されてしまう。これは沢崎にとっても嬉しいアガリだろう。
東場は沢崎の思惑通り小場で進んでいき南1局には藤崎が仕掛けてテンパイ。

三万四万五万三索四索六筒六筒  チー七索 左向き六索 上向き八索 上向き  ポン南南南  ドラ白

だがこの仕掛けで黒沢にドラの白が重なり更に五索を暗刻にしてリーチが入る。

二索三索五索五索五索三筒四筒五筒七筒八筒九筒白白

捨て牌に情報が少なく早速手詰まる佐々木…藤崎の仕掛け、黒沢のリーチに挟まれ吸い込まれるように一索を河に置いた。これが黒沢への5,200の放銃となり、沢崎を追いかける佐々木にとっては手痛い放銃となった。
そして南2局には親の藤崎からのリーチ。

 

100

 

三万四万五万五万六万一筒一筒三筒四筒五筒五筒六筒七筒  リーチ  ドラ七万

沢崎も佐々木も先にテンパイを入れていたがここはドラの七万を藤崎がツモって2,600オール。
そして佐々木1人沈みのまま迎えたオーラス、このまま終わらせようと沢崎が仕掛けていく。だがこの仕掛けで佐々木にテンパイが入りリーチ!

二万三万四万二索三索四索六索七索八索九索二筒三筒四筒  ドラ一万

三色確定のリーチだ。これをツモっても浮きになることは無いが、沢崎を沈めることは出来る。だがそれよりも嬉しい結果となったのだ。同巡テンパイが入ってしまった沢崎から六索が打たれ、この5,200で沢崎がラス、佐々木3着で終了し波乱の幕開けとなったのだった。

8回戦成績
藤崎+13.1P 黒沢+8.6P 佐々木▲8.2P 沢崎▲13.5P

8回戦終了時
沢崎+51.5P 佐々木+35.8P 黒沢▲31.9P 藤崎▲53.6P

 

9回戦(親から沢崎・黒沢・内川・佐々木)抜け番 藤崎

8回戦では痛恨のラスを引いてしまった沢崎だが、それを修正していくかのように東1局の親番で2,000、1,300オールと効果的に持ち点を増やしていく。そして次局先手を取ったのは黒沢。

四万五万六万四索五索六索五筒六筒西西西発発  リーチ  ドラ三索

リーチとするが親の沢崎も追いつく。

七万八万九万一索二索三索四索五索六索七索八索九索南

南は2枚切れだがここは強く三筒を切って勝負に出た。だが佐々木もドラ暗刻のテンパイが入ってしまい四筒で黒沢の高目に放銃となってしまったのだった。次局も親の黒沢に勝負手が入るが、周りも見事な対応を見せここは流局。次局は放銃してしまった佐々木が反撃のリーチと出る。

五万六万七万七万八万九万七索八索九索九索北北北  リーチ  ドラ七索

このリーチに対して仕掛けて沢崎も追いつく。

一筒三筒四筒五筒六筒七筒八筒八筒九筒白白  ポン発発発

八筒を切って真っ向勝負に行くのかと思いきや、ここは安全に現物の一筒を切る。正直言って違和感をおぼえた…いつもの沢崎なら発を鳴いた以上、強く八筒を切っているイメージだったからだ。そして佐々木から二筒が打たれる。これを見て何を思っただろうか?結果これで佐々木が助かり、六索をツモって1,000・2,000のアガリとなった。

更に佐々木は東3局で積極的に仕掛けを入れる。

一万一万二万三万四万五万五万八万八万八万一筒二筒三筒  ドラ中

なんとこのテンパイから一万をポン!一気にチンイツへと渡っていく。だが沢崎もヤミテンを入れる。

三万四万五万四筒五筒六筒七筒八筒九筒白白白中

更に黒沢も追いつきリーチ。

七万八万九万一索二索三索四索五索六索七筒八筒九筒中  リーチ

その宣言牌をポンして佐々木もテンパイ。この勝負所を制したのは佐々木だった。強引かと思われた仕掛けだったが見事に仕上げて黒沢から討ち取ったのだ。

四万八万八万八万  ポン五万 上向き五万 上向き五万 上向き  チー一万 左向き二万 上向き三万 上向き   ポン一万 上向き一万 上向き一万 上向き  ロン四万

そして南2局、ホンイツへと向かう内川とドラ暗刻の沢崎がぶつかる。北家の沢崎が北の後付けで仕掛けていくが、放銃するかと思った内川がその北を重ねてテンパイする。沢崎も目一杯に構え打ち出した西が内川への放銃となってしまう。

一万二万三万四万五万六万西西北北  加カン中中中中  ロン西  ドラ一筒

ここまで悪くない展開だっただけに、沢崎にとっては痛恨の放銃となった。更に次局も内川が沢崎から5,800をアガリ、もう全くわからなくなってきた。更にリーチで畳み掛ける内川だったがここは佐々木が1,300・2,600をツモ。
最後は黒沢がラス目から3着になるアガリで沢崎をラスにして9回戦は終了した。

9回戦成績
佐々木+17.5P 内川+12.5P 黒沢▲10.8P 沢崎▲19.2P

9回戦終了時
佐々木53.3P 沢崎+32.3P 内川+10.7P 黒沢▲42.7P 藤崎▲53.6P

 

10回戦(親から藤崎・佐々木・内川・沢崎)抜け番 黒沢

ついにトータルトップが沢崎から佐々木へと移った。そしてこの10回戦が終わると1名敗退が決定する。初日好調だった沢崎がいきなり2ラスと誰が勝ってもおかしくない展開になってきた。
そして東2局、内川が一気に並びにかかる。

二万二万四万四万三索三索六索六索四筒五筒五筒八筒八筒  ドラ四筒

これをアガれば一気にてっぺんが見えてくる。だが親の佐々木も遂に追いつく。

七万九万七索八索九索一筒一筒二筒二筒三筒三筒西西西

西七万の2択だがここは七万を切って九万単騎とする。実際八万は既に山には無かった。そしてこの九万が沢崎から放たれる。大きな大きな7,700となった!

だが東4局、親の沢崎がホンイツへと向かって仕掛けを入れる。先にテンパイしたのは藤崎だ。

六万八万三索三索六索七索八索六筒七筒八筒西西西  ドラ九筒

三色にしてリーチ。しかし親の沢崎も2つ仕掛けてテンパイ。さすがに流局かと思ったその時、佐々木の手が止まる…そして吸い込まれるように筋の七万を手に取り河に置いたのだ。まさかの5,200放銃となった。これが目の前にタイトルが見えてきたプレッシャーなのだろうか?それでもまだトップ目であることに違いない。そして次局、佐々木珍しく中の後付けの仕掛けを入れる。だが内川への2,600の放銃となってしまう。珍しく冷静さを欠いているように私には思えた。
そして南2局、とんでもない展開になっていく。まずは11巡目に内川がテンパイしリーチ。

二万二万四万五万六万三索五索七索八索九索五筒六筒七筒  リーチ  ドラ三索

待ちこそ悪いが今日は攻めきるという意思のリーチだ。それを受けて親の佐々木も仕掛けてテンパイを取った。

四万五万六万四索六索四筒五筒六筒八筒八筒  チー三筒 左向き四筒 上向き五筒 上向き

しかしこの仕掛けで沢崎の手が化けていく。白を引き発を鳴くと更に白を引き大三元のテンパイとなったのだ!

 

100

 

一筒二筒三筒東東白白白中中  ポン発発発

内川の四索も山に1枚いるが、この中も1枚いるのだ!更に後がない藤崎もテンパイしリーチ。

二索三索三索四索四索七索八索九索七筒八筒九筒東東  リーチ

ツモは2回ずつ…固唾をのんで見守るがここは決着つかずに流局となった。沢崎のテンパイ形を見てヒヤリとしたに違いない。
そしてオーラスは内川がアガリ、トップで10回戦は終了した。

10回戦成績
内川+17.3P 佐々木+6.5P 藤崎▲9.0P 沢崎▲14.8P

10回戦終了時
佐々木+59.8p 内川+28.0P 沢崎17.5P 黒沢▲42.7P 藤崎▲62.6P

ここで藤崎の敗退が決定した。本人によると初日の成績もやっぱりそうだろうなと思ったそうだ。そして途中敗退も予想はしていたとのことだった。皆強いので今の状態で自分になんとかなる相手ではなかったですと語っていた。

 

11回戦(親から、内川・黒沢・佐々木・沢崎)

東1局最初にテンパイを入れる佐々木。

三万三万二索三索四索三筒四筒五筒六筒七筒八筒中中  ドラ五筒

ここはヤミテンに構える。打点もあるしここはリーチでも良かったのでは?そう思っていると親の内川からリーチが入り、佐々木は撤退。だが数巡後にこれまでのアガリ牌であった中を持ってくる。そうなると俄然内川有利だ。そして安目ではあったが幸先よく2,000オール。

五万五万五万三索四索五索三筒三筒四筒四筒五筒東東  ツモ二筒  ドラ五筒

佐々木も放銃したくない気持ちはわかるがまだ守るには早い気がした。東2局も内川がアガる。

二索三索四索五索五索七索八索九索二筒二筒  ポン中中中  ロン二筒  ドラ五索

トータルトップの佐々木からの直撃でトータルでもついに内川が上に立った。
そして東3局、今日はまさかの3連続ラスの沢崎から意地のリーチが飛んでくる!

二索二索二索七索七索七索八索八索六筒六筒白白白  リーチ  ドラ二万

なんと四暗刻だ!これをツモるようならまた勝負の行方はわからなくなる。だが皮肉にも山には残っていなかった。逆にドラをポンしていた黒沢への7,700放銃となり今日の不調を物語るようであった。

六万七万八万六筒八筒中中  ポン北北北  ポン二万 上向き二万 上向き二万 上向き  ロン七筒  ドラ二万

南2局には内川が3,900。更に南3局にもタンヤオ三色ドラ1のテンパイ。

三万四万五万二索二索三索四索五索三筒五筒六筒七筒八筒  ドラ五筒

黒沢も追いつきリーチ。

二万三万四万六万七万八万二索三索四索八索八索三筒四筒  リーチ

更に沢崎も追いかけリーチ!

五万五万二索三索四索五索六索七索七索八索九索六筒七筒  リーチ

いずれも山にいて、決着はすぐについた。この勝負も制したのは内川だった。黒沢から8,000をアガリ、トップを盤石のものとした。最後は黒沢がなんとか浮きにまわり11回戦は終了した。

11回戦成績
内川+28.5P 黒沢+4.0P 佐々木▲13.8P 沢崎▲28.7P

11回戦終了時
内川+56.5P 佐々木+46.0P 沢崎▲1.2P 黒沢▲38.7P

いよいよ最終戦を残すのみとなった。トップの内川と佐々木の差は10.5Pで、まだ全くわからない。沢崎は初日の貯金を全て使い果たしたがこのまま終わる人ではない。黒沢にも一発の爆発力がある。最後にどんなドラマが待ち受けているのだろうか?

 

最終戦(親から、佐々木・沢崎・黒沢・内川)

東2局、最初の山場が来る。黒沢がリーチ。

二万二万二万七万八万九万発発中中  暗カン牌の背五索 上向き五索 上向き牌の背  リーチ  ドラ七万

ツモれば跳満まである。そしてドラを重ねて追いつく佐々木。

三万三万七万七万八万八万四筒四筒六筒六筒七筒七筒八筒

これもツモれば跳満だ。その後佐々木は九索に待ち替えをしてリーチとした。
それを仕掛けて沢崎も追いつく。

一筒二筒三筒五筒六筒南南  チー八筒 左向き七筒 上向き九筒 上向き  ポン西西西

ロン!8,000。声の主は佐々木だった。沢崎からのアガリでトータルでも若干だが内川をかわす。
そして東3局、またしても大物手をテンパイする佐々木。

七万八万八万九万九万七索八索九索九索九索七筒八筒九筒  ドラ五万

これが成就すれば十段位が現実味を帯びてくる。しかし親の黒沢からリーチが飛んでくる。

 

100

 

三万四万四万五万五万五索六索七索八索八索五筒六筒七筒  リーチ

こっちも大物手だ!佐々木はどこまで押せるのか?だが六万を黒沢がツモリ6,000オール。麻雀の神様は簡単にはまだ勝者を決めかねているようだ。
今度は内川だ。

六万六万六万七万七万二索四索五索五索五索  ポン白白白  ドラ五索

佐々木も追いつき直接対決となる!

三索四索九索九索九索三筒三筒五筒六筒七筒東東東

ここは佐々木に軍配が上がる。内川も選択を間違っていなければアガリの手順があっただけに、悔やまれる局となっただろう。
南入し、佐々木は1人テンパイで更にポイントを突き放していく。だが1本場、内川が反撃の狼煙をあげる。

 

100

 

一万一万五万六万七万四索四索四索五索六索七索六筒七筒  ドラ西

更に黒沢もリーチ。

四万五万六万五索五索六索六索七索八索八索二筒三筒四筒

親の佐々木もフリテンながら粘ってテンパイを維持し、3人テンパイで流局。その後も1人テンパイ、1,500と効果的に加点していく。だが4本場では内川がリーチし、佐々木も真っ向勝負の構えだ。アガリ牌を手繰り寄せたのは内川だった。

一万二万三万四万五万六万四索四索四筒五筒発発発  リーチ  ツモ六筒

この2,000・3,900で浮きになり、佐々木に親被りをさせまた肉薄してくる。
南2局でも両者がぶつかる。今度は仕掛けての対決、内川はトイトイ。

一万一万五万五万五万白白  ポン発発発  ポン二索 上向き二索 上向き二索 上向き  ドラ九筒

佐々木はホンイツだ。

二万二万九万九万九万西西  チー六万 左向き七万 上向き八万 上向き  ポン北北北

この大一番を制したのはまたしても内川だった。一万をツモって1,600・3,200のアガリとなり、トータルでも5ポイント上に立った。
そして遂にオーラス。

実質内川と佐々木の勝負となった。その差は5.0P。
佐々木はテンパイも程遠い。内川もテンパイを入れるが終盤になり、流局を視野に入れてテンパイを崩していく。ジッと下をうつむく内川…この局が無事に終わることを祈っているに違いない。だがずっと内川を見てきた者にとっては、プロ入りしてからの十数年を振り返り、そしてやっと手にするタイトルを目の前にこみ上げてくる気持ちを噛みしめているかのように見えた。長い戦いに終止符が打たれた。
第35期十段位に輝いたのは内川幸太郎だった。

最終戦終了時
内川+70.8P 佐々木+65.8P 黒沢▲31.1P 沢崎▲42.9 藤崎▲62.6P

なんとか間に合ってくれた。だが、万全の体調でこの場に臨めなかったのはさぞかし悔しかっただろう。だからこそ既に来年の藤崎は脅威に思えた。
初日あれだけ好調だった沢崎がここまで苦しむと誰が想像したであろう。それでも役満を2度テンパイし、レジェンドの意地と底力を見た気がした。
勝てば女流初の十段位となれた黒沢だが、強気のヴィーナスは最初から最後まで強気のヴィーナスだった。初日の勝負手が序盤に決まっていれば全く違う展開になっていただろう。
最後まで内川を苦しめた佐々木。関西本部所属なので最初はあまり手筋を知らなかったが、しっかりと手役を作り、しっかりと牌を絞り、さすがここまで勝ち上がってきただけはあるなと感じたのは私だけではないだろう。

そしてやっとの思いで掴んだ初タイトル。
ここまでの道のりは長かっただろうし、悔しい思いもたくさんしてきただろう。最後の一打まで気迫が伝わってきた。きっとこれをきっかけにタイトル獲得を伸ばしていくに違いない。
初段戦から決勝までの長い戦いで最後に笑えるのはたった1人である。来年こそはこの舞台に!そう思って連盟のプロたちはまた明日から精進する。そんな私もその1人である。

ウッチー本当におめでとー!

 

100